幸兵衛の小言

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電気事業連合会という組織(『日本の原発、どこで間違えたのか』より)

内橋克人著『日本の原発、どこで間違えたのか』(朝日新聞出版)に、電力会社10社による電力事業連合会が、マスコミの“反原発”的な報道・記事に、どれほどの圧力をかけてきたかが紹介されている。内橋克人著『日本の原発、どこで間違えたのか』

 電気事業連合会のサイトから、組織概要を引用する。電気事業連合会のサイト

組織名 電気事業連合会
所在地 〒100-8118
東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館
電話 03-5221-1440(広報部)

代表者 会長  八木 誠 (関西電力社長)
目的 電気事業の健全な発展を図り、もって我が国の経済の発展と国民生活の向上に寄与する。
事業 電気事業に関する知識の普及、啓発および広報
電気事業に関する資料、情報等の収集および頒布
電気事業に関する調査研究および統計の作成
電気事業に関する意見の表明
その他、本会の目的を達成するために必要な事項

会員 一般電気事業者(電力10社)

・北海道電力 ・東北電力 ・東京電力 ・中部電力 ・北陸電力 ・関西電力 ・中国電力 ・四国電力 ・九州電力 ・沖縄電力



 大手町の経団連会館の中にあるこの組織、いったいどんなふうに、マスコミへの情報操作や報道規制をしてきたか確認しよう。本書の“序 つくられた「原発安全神話」—なぜ、いま『原発への警鐘』を復刻するのか”から引用する。

 たとえば「週刊朝日」の「知ってますか? 試運転中 六ヶ所村再処理工場の切なさ」(2006年6月30日号)と題されたわずか4ページの記事に対して計7項目に及ぶ詳細な「抗議」書が届いている。次の通りだ。
「題記記事中には、下記の通り不的確な記述や事実誤認の記述などが見られます。
 つきましては、正確な情報に基づき、正しいご理解を賜りたいと存じます」
 この一見、丁重にみえる記述につづいて、次段からは「記」と題した詳細な指摘がえんえんと続く(以下、原文のまま)。
[1]5月17日に再処理工場で発生した「精製建屋内における試薬の漏えい」について
 「記事内容」(p38二段・1行目~)
 「配管の破損による溶液漏れは、いつ起きてもおかしくないと思います。(中略)溶液漏れや、トラブルをくまなくチェックするのは不可能ではないかと思うのです」(筆者注:現場関係者の談話。この「週刊朝日」の記事に対する抗議が
 次のように「事実関係」と題して述べられている)。
「事実関係」
▼再処理工場は、原子力発電所で使用された使用済燃料を化学処理によって再処理することから、化学プラントに似た構造となっており、総延長で千数百キロにわたる様々な配管が存在します。
▼このうち、安全上、重要なものについては、セルと呼ばれる放射性物質を閉じ込める機能を有した部屋に収納しており、万が一、配管から漏えいした場合でも受け皿等により安全に回収できる構造としています。また、配管からの漏えいを検知する機器をとりつけているため、万が一の場合でも、すみやかに、対策が講じられる仕組みとしています。
▼一方、安全上特に厳重な管理を要しない配管については、日常の巡視点検等による保守管理を実施しています(同点検作業に時間的な制約はありません)。もし、これらに不具合が発見されれば、すみやかに部品を交換するなどの対応を行っています。
▼こうした事実を踏まえずに、「内部は放射線濃度が高くて、作業員が中に入っていられる時間も制約されている。溶液漏れや、トラブルをくまなくチェックするのは不可能ではないかと思う」(p38二段・8行目~)とする記述は、不的確と言わざるを得ません。

[2]放射線による健康への影響について
 「記事内容」(p38三段・8行目~)
 
(中略)

 いずれも同じ形式をとって反論の記述がなされる。抗議文を書いた人物の名はすべて伏せられ、組織の中に身を隠したままの匿名で通す。だが、その背後に控えるものの正体は明らかだ。
 「週刊朝日」だけではない。週刊誌では「サンデー毎日」「エコノミスト」・・・・・・およそありとあらゆるマスコミが対象となっている。朝日新聞、共同通信、時事通信、毎日新聞、東京新聞、東奥日報、佐賀新聞、西日本新聞、各紙社説。さらにNHK教育TV、TBS、日本TV・・・・・・。
 記事に対する「反論」を「事実関係」と自称する。当方の主張が「事実」であり、そちらはデマか誤報だと断じる。あらゆるメディアへの巨大スポンサーとして君臨するものの発する「抗議」の「ブラフ(脅し)効果」は計り知れないものがあるだろう。
 だが、ここに示した報道に対する執拗なまでの警告だけではない。「安全神話」をつくり上げる仕組み学校の教育現場での教師、児童、生徒、学生へのスリ込み、「学習指導案」から「ワークシート」の作成、著名文化人の動員、さらに映像を駆使しての特別授業まで広範囲に及ぶ。彼らが「事実関係」と呼んで社会に押しつけた記述の信憑性こそが、いま問われているのではないか。



「電気事業の健全な発展を図り、もって我が国の経済の発展と国民生活の向上に寄与する。」という目的を持った組織は、マスコミにたえまなく目を光らせ、原発に関して彼らにとって都合の悪いことを発見すると、「事実関係」という言葉で抗議してきたわけだ。
 もちろん、そのための専門の「匿名」の担当者を、きっと複数名配置していたのだろう。電気料金を値上げすれば、彼ら彼女らの給料くらい払える、ということだ。
 ちょっとでも反原発的な情報を掲載すると、その分量の何倍もの「事実関係」という名の抗議が舞い込み、そのメディアは、大事な広告主を失う危機感を持つ。次第に自主規制するまでこの「抗議」(≒「嫌がらせ」)は続けられるのだろう。今回の九州電力のヤラセ・メールも、同じ体質が生み出している。

 電力は重要なインフラである。しかし、独占的なメガ電力会社は必要条件ではない。たとえばアメリカでは多数の民間電力会社で運営しているから、経済性に劣り、環境破壊や放射能被害への住民の抵抗が強い原発は、どんどん減少している。そして、国の機関では万一の場合の避難訓練が原発稼動の条件となっており、反対住民が避難訓練に参加しないことで、原発の稼動が認可されない場合もある。原発はアメリカが原爆を開発したことに起源があるが、そのアメリカは民主主義も根付いている。

 原発という人間の管理の範囲を超えたシステム、そしてそれを推進する巨大な独占企業とその連合体。情報操作や反対する側への圧力という構図には、民主主義のかけらもない。加えて、世界最低とも言える政治である。国家の危機的状態での現在の永田町の状況を見ると、“政党制民主主義”の“正当性”がまったく喪失したような気がする。こうなれば、草の根で“民主主義”という言葉を復活させるしかないのかもしれない。
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by koubeinokogoto | 2011-07-08 15:00 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


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