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幸兵衛の小言

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地震と津波について語られていた“嘘”!(『決定版 原発大論争!』より)

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『決定版 原発大論争!』(別冊宝島編集部編)
 先日紹介した2011年8月31日のブログこの本から、チェルノブイリ事故の後で電力会社が内部資料として作成した原発擁護のQ&Aで、彼らが「地震」「と「津波」について構築していた“嘘”と、その「内部資料」に対する地質学者生越忠さんの反論を紹介する。 
 まず、「内部資料」の“大嘘”から紹介。

Q 地震、津波がきても大丈夫なのか。
(答)
 原子力発電所は、その地方で想定され得る最大級の地震に対しても十分な耐震性を持たせてあります。
 また、津波が来ても重要な機器や施設が被害を受けないよう設計しています。
(説明)
(地震対策について)
○地震の多いわが国では、原子力発電所の地震に対する備えを厳重に行い、安全性の確保をはかることが必要です。
 このため、原子力発電所の耐震設計は、一般の建物に比較して一段と厳しく設計されています。建設にあたっては、敷地周辺地域の地震歴などを詳細な調査により、想定され得る最大の地震に対しても、十分余裕をもって耐えられるような設計が基本となります。 
 たとえば、安全上特に重要な設備(原子炉および重要な機器)などは、建築基準法で定められている「一般建物の設計耐震力」の3倍の地震に対しても十分安全であるように設計されています。
 (中 略)
(津波対策について)
○わが国では原子力発電所が海岸沿いに設置されること多いので、以下のような津波対策が講じられています。
①敷地の選定に当っては、そこで予測される津波の規模を想定し、その津波による影響を十分考慮しております。
 このため敷地の地盤面は、安全上重要な機器や施設が津波の影響を受けないような適切な高さになるよう整地が行われます。
②また、非常用冷却海水ポンプなどの安全設備は津波の影響を受けることのないよう機器の設置レベルが決められます。
③津波警報については、気象庁が各所のデータに基づき津波のおそれのある沿岸市町村、放送局その他関係機関に通報します。そして警報を受けた原子力発電所は、ただちに警戒等の措置を講ずるようになっています。
 したがって、原子力発電所においては、津波による被害は考えられません。


 
 この説明が正しいのなら、もちろんフクシマは起こらなかった・・・・・・。

 次に生越忠さんの反論から抜粋。本書のオリジナルである別冊宝島81号の発行が1988年の9月であることを、お断りしておく。

「ここではM=6.5以上の直下型地震は起こりえないと断言できます」
 1980年9月18~19両日、北海道原発反対共闘会議は、小林恒人衆議院議員(日本社会党)を団長とする泊原発現地調査を派遣したが、同調査団は調査終了後、泊原発の建設準備を進めていた北海道電力原子力発電所岩内調査事務所を訪れ、同原発の耐震性の問題などをただした。そのとき、同事務所の小泉幸雄所長が口にしたのが、右の言葉であった。
 現在の地震学の水準では、いつごろ、どのへんに、どの程度の規模および強さの地震が起こるかの予知は、東海道地震を除いては不可能に近く、とくに直下型地震の予知は、当分の間は絶望的とさえいわれている。
 ゆえに、泊原発の立地点またはその付近で起こりうる直下型地震の上限をM=6.5と予知することは、だれにもできないはずだが、それにもかかわらず、原発建設にかかわる電力会社の一幹部が右のような言葉を平然と言い放ったのは、一体全体、いかなる根拠があってのことなのだろうか。
 (中 略)
 我が国の原子力委員会は1979年9月末(原子力委員会と原子力安全委員会とに改組される直前の時期)に、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を作成し、そのなかで、直下型地震についてはM=6.5に限定して考慮することを定めている。小文の冒頭に紹介した小泉所長の発言は、実は、この指針に沿って出されたもので、べつに科学的根拠に基づいているわけではなかったのである。


 「指針」がM=6.5となっていて、その指針を元に耐震設計をしているから、M=6.5を越える地震が来ないと“断言”できる、というのが、この頃の原子力村の論理だったわけである。では、なぜそんな非科学的な論理にしがみつく必要があったのか。

岩盤が崩れてしまえば耐震設計は無意味だ! 

 地震には、発震機構によって、海のプレートが陸のプレートの下にもぐり込む場所で起こる海洋型地震と、陸のプレートの内部にある活断層の再活動によって起こる直下型地震との二種類があるが、ある地点における震害の大きさという点からみると、震源距離の遠い海洋型巨大地震よりも、震源距離の近い直下型地震のほうが、たとえ規模(M)は小さくても、より大きな震害をもたらしたという例が、これまでに少なからず存在している。
 とくに、M=6.5以上、震源深さ20キロメートル以浅の直下型地震が起こると、地震断層がしばしば出現するが、もし万一、原子炉の基礎岩盤が出現し、水平または垂直方向に大きなずれが生じた場合には、どんな耐震設計も無意味なものになりかねない。
 日本には、これまでに二十一例の地震断層が知られているが、前記の濃尾地震の際に出現したものが最大で、変位は、水平方向に最大8メートル(水島地震断層)、垂直方向に最大6メートル(根尾谷地震断層)に達した。この二十一例のうち、海洋型地震によるものは、安政東海地震および関東大震災の際に出現した各一例ずつあるだけで、残りの十九例は、すべて直下型地震によるものだった。さらに、二十一例のうちの十七例までは、M=6.5以上の地震に際して出現している。
 しかし、現在の地震学の水準では、地震断層の出現しそうな場所、出現した場合の延長距離や変位の程度などの予測は、まったくできない。また、地震時に生じる地盤変形には、地震断層によるずれのほかに、隆起・沈降・陥没や地割れなどもあるが、これらの予測も不可能である(ただし、たとえば東海地震が起こった場合、御前崎が隆起するだろういったようなことは、ある程度予測できる)。
 そのため、これらの地盤変形は、地震時における原子炉事故の原因になりうるにもかかわらず、耐震設計では考慮外におかれている。原子炉が地震に襲われた場合、耐震力がたとえ一般建築物の三倍以上あったとしても、基礎岩盤自体が大きく変形してしまえば、原子炉が破壊されるという最悪の事態が起こりうることも予想されるのに、である。
 このように、原子炉の耐震設計には、大きな落とし穴が存在する。そしてこのことは、直下型地震はM=6.5に限定して考慮すると定めた前記の耐震設計審査指針に、きわめて具体的に現われている。
 地震断層は、前述したように、M=6.5以上の地震に際して出現すやすいものである。だからこそ、現行の原子炉設置基準が地震断層に対してまったく無力なものであることを隠すためには、電力会社や通産省にとって、原子炉立地点で地震断層の出現のおそれがあるような、M=6.5以上の地震は、絶対に起こってはならないのである。これが「科学」ではなく「政治」であることは、言うまでもない。



 原発の耐震基準は、この1981年と2006年に改定されたが、どちらも本質的かつ科学的な基準設定ではなく、「政治」的なルールであることには変わりない。
 
 “大地震が起こっては困る”→“大地震は起こりません”という政治の論理、
 “原発に事故が起こっては困る”→“原発は安全です”という悪魔の論理、という構造は、未だに変わらないと思ったほうがよいだろう。

 まだまだフクシマは「現在進行形」だが、原子力村の“フクシマ後”の陰謀は、すでに動き出していると警戒すべきだと思う。野田だって、“どじょう外交”で原発を海外に売り込んでいた男であることを、忘れるわけにはいかない。
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by koubeinokogoto | 2011-09-04 10:35 | 原発はいらない | Comments(0)

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