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幸兵衛の小言

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“やっかい”で“危険”なMOX燃料による原発再稼動は、“蛮行”である!

MOX燃料が、フランスから高浜に到着した。
「時事ドットコム」サイトの該当記事

MOX燃料、高浜に到着=仏から、福島事故後初−関電

 関西電力高浜原発3号機(福井県高浜町)のプルサーマル発電用に、フランスで製造されたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船「パシフィック・イーグレット」が27日朝、高浜原発の専用港に到着した。関電は燃料集合体の陸上搬送に向けた作業を始めた。2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、MOX燃料が海外から日本に輸送されるのは初めて。
 関電は、原発の新規制基準が7月8日に施行されるのに合わせ、MOX燃料を使用するプルサーマル発電を念頭に高浜3、4号機の再稼働審査を申請する方針。ただ、再稼働時に実際にプルサーマル発電を行うかについては、原子力規制委員会の審査や地元自治体の意向を踏まえて判断する考えだ。(2013/06/27-12:45)


 
 美浜の会とグリーン・アクションも連名で抗議しているが、原子力資料情報室の声明を紹介したい。
「原子力資料情報室」サイトの該当ページ

MOX燃料は装荷せず、そのまま廃棄物とするべき
2013.6.26

NPO法人 原子力資料情報室
共同代表 山口幸夫、西尾漠、伴英幸


 関西電力のMOX燃料輸送に抗議する。関電は、国内での再処理-プルトニウム利用から撤退し、すでに抽出されたプルトニウムについてはプルサーマル以外の処分策、すなわち廃棄物としての処理・処分策を追求するべきである。


今回のMOX燃料輸送は「東北地方太平洋沖地震後の状況を踏まえ、延期」(関電プレスリリース)されていたものである。それを、この時期に実施することは、原子力規制委員会による新規制基準が7月から発効するのを睨んでのもので、高浜原発の運転再開を強引に迫る意味合いではないか。しかし、高浜原発の運転再開へ向けた合意は全くない。大飯原発の断層問題に示されたように、なりふり構わぬ強引さで運転再開を強行することは言語道断で、とうてい認められない。

過去のプルサーマルの安全審査や地元合意は、福島第一原発事故によって、とうに吹き飛んでしまっている。私たちは原発の再稼働を行うべきではなく、ましてやプルサーマルを行うべきでもないと考える。しかし、それでも関電が実施を推し進めようとするのであれば、まずは、改めて審査のやり直しを求め、その結果に基づく地元合意を取り直さなくてはならない。福島原発事故を受けての安全対策強化の中にプルサーマルをきちんと位置づけ、プルサーマル燃料を考慮した過酷事故対策を明らかにすべきである。

関電はこうした対応すら行おうとせず、従来通りの対応で終始するのは、福島原発事故を対岸の火事にしかとらえておらず、なんら反省していない証左であり、蛮行と言わざるを得ない。

加えて、プルサーマル後の使用済みMOX燃料をどう処理・処分するのか、六ヶ所再処理工場に続く第二再処理工場の建設などは到底考えられず、結局、直接処分をするしかない。使用済みMOX燃料は使用済みウラン燃料よりもはるかに長い期間管理し続けなければならないし、処分するにしてもさらに厄介である。関西電力は発生者として、責任をもってこの厄介な使用済みMOX燃料に対応しなければならないが、そのような姿勢を全く示さないばかりか、国へ押し付けようとさえしている。実に無責任な対応の繰り返しである。

2011年3月の未曾有の原発事故を真摯に捉え、プルサーマル炉心の過酷事故時の対応と責任を冷静に推し量るなら、明らかにMOX利用に合理性がないと理解するはずだ。燃料使用などあり得ないはずである。


 まさに“蛮行”という表現が相応しい。

“使用済みMOX燃料は使用済みウラン燃料よりもはるかに長い期間管理し続けなければならないし、処分するにしてもさらに厄介である”のに、“関西電力は発生者として、責任をもってこの厄介な使用済みMOX燃料に対応しなければならないが、そのような姿勢を全く示さないばかりか、国へ押し付けようとさえしている。実に無責任な対応の繰り返し”を、安倍政権は庇護するだろう。

 美浜の会とグリーン・アクション連名の抗議文には、次のようにある。「グリーン・アクション」サイトの該当ページ

“使用済みMOX燃料の処理の方法は全く決まっていない。現状では、高浜原発の使用済み燃料プールに半永久的に貯蔵することになる。使用済みウラン燃料の最終処分も決まっていない中、行き場のないやっかいな核のゴミをこれ以上作り出すべきではない”

 “行き場のないやっかいな核のゴミ”について、以前にも紹介した本から、少し専門的な説明を引用したい。

 「MOX」は、プルトニウムそのものを燃料に使うことにより、例えば原子炉のブレーキに相当する制御棒が効きにくいなど原発稼動中の危険性も大きいが、その燃料を作る過程や再処理まで危険がいっぱいであることを、『新装版 反原発、出前します-高木仁三郎講義録-』(反原発出前のお店編、高木仁三郎監修、七つ森書館)から再度引用したい。どれほどMOX燃料を使うと“やっかい”なのか、重要部分を太字にする。
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『新装版 反原発、出前します』(七つ森書館)

 MOX燃料を使うためには、ウラン濃縮度がいろいろ違った燃料を作らなくてはなりません。さらにプルトニウムの冨化度(濃度)もいろいろと違ったものを作らなくてはいけないのです。仮にそれを再処理するとなるとどういうことになるかを考えると、頭が混乱してきます。同じ組成のものは一度に再処理できますが、違った組成のものは一度に再処理できないので、原子炉からでてきた使用済み燃料を何通りにも分けなくてはなりません。このように核燃料サイクルがきわめて複雑になるのです。
 もう一つ、MOX燃料加工の場合に問題になるのは、プルトニウムn半減期の問題です。プルトニウム-239の半減期は2万4000年ですが、プルトニウム-240の半減期は6600年です。それからプルトニウム-241の半減期は14年で、プルトニウム-242の半減期は37万年です。このような放射能ができるのです。これが原子炉ごとに違ってくるのですが、問題はプルトニウム-241です。この半減期が短いので早く崩壊していって、アメリシウム-241になります。半減期が14年ですから、一年もすればけっこうたまってきます。アメリシウム-241はガンマ線を強く出しますので、取り扱いが面倒な上に核特性が違ってきます。燃料としては品質が劣化します。このアメリシウム-241がMOX燃料の加工をやっているうちに、たまってきてしまうと、強いガンマ線のために工場に立ち入れなくなることもあります。ですから、「プルトニウムを長い間置いておくな!」「プルトニウムは取り出したらすぐ使え!」といわれています。



 通常のウラン燃料さえ原発のゴミはやっかいなのに、MOX燃料の原発でできるゴミは、もっとやっかいだし、危険性が増すばかりなのだ。

 高木さんの別の本からも、引用したい。
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高木仁三郎著『原子力神話からの解放』

 初版が光文社カッパ・ブックスから亡くなる直前2000年8月に発行され、講談社+α文庫で再刊された『原子力神話からの解放』の「第9章 『核燃料はリサイクルできる』という神話」から。すでに紹介した内容を、もっと平易な言葉で説明している部分を含め、MOX燃料が危険なだけでなく、経済性の面でもメリットがないことが分かる。

リサイクルで放射能が増える!

 MOX燃料は私の専門分野ですから、大きな国際研究もやりましたし、いろいろなレポートも書いています。ここではくわしく述べませんが、プルサーマル計画、つまりMOC燃料をやると、どのくらいエネルギー的に得をするのか研究したことがあります。たとえ1パーセント以下とはいえ、本来なら捨ててしまうプルトニウムをまた使うわけですから、それによる燃料節約の効果も一定程度はあるだろうと、計算上は考えられるわけです。そこで、私たちの国際研究であるIMAプロジェクトのなかで、このメリットについて研究してみました。
 IMA研究の正式な名前は「MOX燃料の軽水炉利用の社会的影響に関する包括的評価」というものです。私たちがこの研究をやって明らかにした一つの重要な点は、プルトニウムを取り出して燃やすことは、安全性の問題は別にしても、燃料資源上のメリットはまったくないということです。とくに、リサイクルによって環境の負荷を少なくするといったメリットは、まったくありません。
 ウランが原発の燃料となるプロセスは、非常に長い道のりだという話はすでにしましたけれども、使用済み燃料を再処理して取り出すことは、それをさらに複雑にした流れとなります。プルトニウムをあちこちに動かし、いろいろな工程を経てプルサーマルという名の再利用を行なうと、その過程でいろいろな廃棄物が出てくるうえに、そうやって燃やしたプルトニウム自体が結局、最終的には使用済みのMOX燃料というゴミとなって残ってしまいます。ゴミを減らすことになるどころか、この計画はかえってゴミを増やすことになるのです。


 “リサイクル”などと言う言葉に誤魔化されてはいけない。通常のウラン燃料より放射能のゴミが増えるし、稼動後の危険性も増すのに、経済的な効果もないMOX燃料など、原子力資料情報室の声明にあるように、フランスから届いたそのままで廃棄物とすべきだ。


 安倍右傾化政権が、「原子力規制委員会」をダシにして、強引にMOX燃料を使用する原発までも再稼動を進めようとするのなら、それは何十万年にも渡って放射能のゴミの処理を先延ばしにする“蛮行”としか言えない。

 なぜ、日本の国のリーダーたるべき人々はフクシマから学べないのか、不思議でならない。

 地震大国日本が、フクシマの後も原発を推進することは、遠い未来の地球の存在さえも左右しかねない“愚行”である。「その時は、私はとうにこの世にいない」とばかりに、問題を先送りすることは、決して許されないはずだ。
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by koubeinokogoto | 2013-06-27 19:49 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛