幸兵衛の小言

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高い「入場料」を払わないためにも、TPPには参加すべきではない!

以前にも引用した4月13日付けの日経の記事を再度ご紹介。珍しく画像もJPEG形式でペーストできたので、日米合意をまとめた表も含めて引用。
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日経サイトの該当記事

TPP日米合意 本交渉へ見えた課題
2013/4/13 2:14

 日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けた日米の事前協議がようやく決着した。しかし目立つのはコメなど農産品を守ろうとするあまり、譲歩を重ねた日本の姿だ。TPP交渉と並行して続ける日米交渉では米国が長年訴え続けてきた自動車や保険の市場開放要求が再び突きつけられた。結果次第ではTPP交渉参加への高い代償を払わされることにもなりかねない。

 「農業を守るために自動車のカードを切った。一切の譲歩はしていない」。外務省幹部らは12日午後、自民党幹部にこう説明して回った。日米合意では「農産品など貿易上のセンシティビティ(強い関心事項)が両国にある」と確認。日本は農産品関税、米国は自動車関税を互いに維持できるようにすることで折り合ったという理屈だ。

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「農業を守るために自動車のカードを切った。一切の譲歩はしていない」、と外務省幹部は言っているようだが、自動車における屈辱的ともいえる事前合意も、このままでは決して農業を守る“カード”にはならないだろう。

 日本の自動車業界は、「農業を守る」ために犠牲になってでもTPP参加に賛成なのだろうか・・・・・・。

 「食の安全」についての危惧について、日経の記事も次のように締めている。

 自動車と並んで日米交渉の焦点となる「非関税措置」ではかんぽ生命保険の新商品凍結や「食の安全」に関して日本に食品添加物や残留農薬の認可範囲を広げるように求めている。日本が認める食品添加物は約800種類。米国は3000種類ある。添加物の規制が緩和されれば米国の輸出増につながるとみている。

 食品の安全面からTPP参加に反対する生活協同組合では「一部の農薬では日本の方が米国などより残留基準が厳格なものもあり、海外の低い食品安全基準にあわせることになりかねない」(首都圏の生協関係者)と危惧している。


 太字で強調。
 “日本が認める食品添加物は約800種類。米国は3000種類ある。添加物の規制が緩和されれば米国の輸出増につながる”ことや、生協関係者が指摘する通り、「一部の農薬では日本の方が米国などより残留基準が厳格なものもあり、海外の低い食品安全基準にあわせることになりかねない」ことを考えると、TPPがアメリカによる日本の「食」の侵略であり、「攻撃」であることが明白だ。

 この記事にも、多くの欺瞞が隠されている。「継続協議」や「検討」などの言葉は、実はすでに協議の余地がないものも含まれていそうだ。そもそも日経は一貫してTPP賛成の経団連をバックに控えたメディアである。控えめな内容だが、少しはリスクを書いておこう、という意図があるような印象だ。

 日経の記事が、真実を伝えていないのは、後でアメリカ側の発表内容を見れば明らかになる。

 モンサントなどに金で踊らされているオバマのアメリカは、決して「食」における日本侵略をあきらめない。実は、すでに高い「入場料」を払うことは決まっているはずだ。それにしても、高い「入場料」を払うことになったものだ。

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鈴木宣弘著『食の戦争』
 
 鈴木宣弘著『食の戦争』から、日本が払うことになった「入場料」に関する部分を引用。

 2013年4月12日の日米のTPP事前協議によって、自動車、保険、牛肉などの「その他の非関税障壁」(関税以外の方法で、輸入製品でかける足かせ)についての規制緩和などアメリカの要求する「入場料」にとどまらず、アメリカ議会の90日の承認手続の間に、さらに追加的な譲歩がなければ日本の参加を認めないと脅された。さらには、日本の交渉参加後も、TPP本体の条文とは別に、並行してTPP交渉の終了時までに残る「支払い不足分」、つまり食品添加物や農薬といった食の安全基準を緩和するなどの「非関税障壁の撤廃」についてもアメリカの要求に応じることを明文化して確約させられたのである。



 著者鈴木宣弘の指摘と、日経の記事にある内容に、相当ギャップがある印象を持たれる方は多いだろう。

 それはそうだ。実は事前協議の合意内容について、政府は国民に真っ赤なウソをついている。

 かつて農林水産大臣を務めた山田正彦元衆議院議員の4月15日のブログに、USTR(アメリカ合衆国通商代表部)の発表内容の和訳があるので引用したい。ちなみに山田氏は、この事前協議の合意を「ミズーリ艦上の降伏文書」にたとえている。
「山田正彦ウィークリーブログ」の2013年4月のページ


内閣官房の書簡はたった1ページで抽象的な言葉で終わっていますが、私の親友・首藤信彦氏(外交評論家・前衆議院議員)が徹夜で仮翻訳した文章を送っていただいて、更に驚きました。その内容をこの後に掲載していますので皆さんにも是非、読んでいただきたいと思います。
併せて政府が発表している佐々江賢一郎さんの米国に対する、米国務省への書簡。更に米国通商代表代行マランチェスの日本政府に…対する書簡も添付しますので、是非、比較してお読みください。

以下、首藤信彦氏の仮翻訳文書。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
USTR 2013.4.12
TPPへ向けて:日本との協議事項報告 <仮訳>

アメリカ政府はTPPに参加したいという日本との公式二国間協議を2012年2月に開始しました。これは日本のTPP参加国との協議を始めたいという2011年11月の表明にもとづくものです。
日本との協議は、自動車や保険セクターおよび他の非関税障壁に関する二国間の幅広い関心事をカバーし、TPPが求める高い基準を日本が満たす用意があるかどうかという点に関する議論も含まれています。
今日、アメリカ政府は日本との間に、強固な実施行動のパッケージおよび諸合意が成立したこと、そしてアメリカ政府が一連の協議を成功裏に完結したことを報告申し上げます。

自動車
アメリカ政府は、自動車部門に関する深刻かつ積年の関心事を明確にしました。日本政府はアメリカとの協議において、日本車の輸入関税はTPP交渉の他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに遅い時期において段階的に廃止されることに合意した。しかも、この段階的廃止は猶予期間が終了した後にのみ実行されることも日本政府は合意した。さらに、これらの措置は米韓FTAで韓国に認められた関税廃止措置よりもはるかに遅れることも日本政府は合意した。

4月12日に日本政府は、簡易許可手続き(PHP)すなわち日本に輸出される米国車に対してより簡単で時間のかからない認証方法での輸入台数を二倍以上にすることを一方的に決定して通告してきました。最近の例でいえば、車種ごとに年2000台まで認められている簡易輸入手続きを、今度は車種ごとに年5000台までアメリカ自動車メーカーは日本に輸出する際には認められることになります。

アメリカ政府と日本政府は日本の自動車産業分野に存在する広範な非関税障壁(NTM)を、TPP交渉と並行して行われる二国間協議の俎上に載せることを合意しました。そのテーマの中には諸規制の透明性、諸基準、証明書、省エネ・新技術車そして流通などの問題が含まれる。さらに、特定車両に対するセーフガード条項を協議し、係争事例の法的救済として関税再課税(snapback tariffs)などのメカニズムも協議することを日米政府は合意した。協議でどれだけの範囲のイシューを協議するかは添付されたTOR(内閣官房資料3)に書かれている。そしてその協議の結果はTPP交渉におけるアメリカと日本の二国間における最終二国間市場アクセス包括協定における強制的約束として含まれるものである。

保険
近年、アメリカ政府はアメリカの保険会社が日本郵政の保険との関係において、日本の保険市場で平等な基準で取り扱われていないことを強調してきた。今回の協議において、TPP協議へ向けて平行して行われる交渉と同時に、このTPP交渉における平等な取扱いの問題を取り上げることに合意した。さらに、日本政府は、4月12日に一方的に以下のことを通告してきた。その内容は、日本郵政の保険に関しては、民間の保険会社に日本郵政と平等な競争条件が確保され、また日本郵政の保険が適切なビジネス経営(非公営)の下で運営されていると日本政府が決定するまでは、いかなる新規のあるいは修正されたがん保険及び単独の医療保険を許可しない、ということである。

非関税障壁(NTM)
アメリカ政府はアメリカ製品の日本への輸出を妨げている広範な産業分野および産業横断的な非関税障壁に対する懸念を表明してきた。これらの問題がTPP交渉においてはまだ十分に討議されていない以上、それらは二国間で、TPP協議と並行して、討議され、TPP交渉終了までに完結させなければならない。(これに関しては別添fact sheetで問題の実情を含め詳細に説明されている)

日本は高い基準での協定受け入れを表明
我々二国間の協議を通してアメリカ政府は、日本がTPP交渉に参加したいなら、現在の参加国である11か国によってすでに交渉された高い基準での協定を受け入れを保証せよと強く強調してきた。それに対し、また2月22日の共同声明に記載されているとおり、日本政府は、すべての産品を交渉のテーブルに乗せ、そのうえで2011年11月12日にTPP参加国によって表明されたTPP協約に明記された包括的で高い基準の協定を達成するために、交渉に参加することを言明した。

強固な関係の成長
もし日本がTPP交渉に参加するなら、その参加はアメリカの最大の貿易パートナーである国の参加であり、TPP協定の経済力を高める。日本は現在、アメリカの第4位の貿易パートナーである。2012年にアメリカは700億ドルの産品を日本に輸出し、サービス分野は2011年に440億ドルに達した。TPPに日本が参加することは、アジア太平洋地域FTA(FTAAP)への道筋を進めると同時に、競争力のあるアメリカで生産された製品とサービスに対する日本市場のさらなる開放を意味する。そのことは同時にアメリカ国内の雇用を支えるのだ。TPPに日本が参加したことにより、TPP参加国全体では世界のGDPの40%近く、そして世界貿易の三分の一を占めることになるのだ。    
以上
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【駐米日本大使発書簡】



 一方、「官邸」サイトに掲載されている、日本側の発表内容がこれ。
「官邸」サイト掲載の該当PDF

日米協議の合意の概要
平成25 年4 月12 日
内閣官房TPP 政府対策本部

1 日本が他の交渉参加国とともに,「TPP の輪郭」において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことを確認するとともに,日米両国が経済成長促進,二国間貿易拡大,及び法の支配を更に強化するため,共に取り組んでいくこととなった。

2 この目的のため,日米間でTPP 交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定。
 対象分野:保険,透明性/貿易円滑化,投資,規格・基準,衛生植物検疫措置1 等

3 また,米国が長期にわたり懸念を継続して表明してきた自動車分野の貿易に関し,
(1)TPP 交渉と並行して自動車貿易に関する交渉を行うことを決定。
   対象事項:透明性,流通,基準,環境対応車/新技術搭載車,財政上の
   インセンティブ 等
(2)TPP の市場アクセス交渉を行う中で,米国の自動車関税がTPP 交渉における最も長い段階的な引下げ期間によって撤廃され,かつ,最大限に後ろ倒しされること,及び,この扱いは米韓FTA における米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回るものとなることを確認。

4 日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識しつつ,TPP におけるルール作り及び市場アクセス交渉において緊密に共に取り組むことで一致。 以上



 違いは一目瞭然だ。

 たとえば「非関税障壁」について、まずUSTR側は、こう書かれている。
非関税障壁(NTM)
アメリカ政府はアメリカ製品の日本への輸出を妨げている広範な産業分野および産業横断的な非関税障壁に対する懸念を表明してきた。これらの問題がTPP交渉においてはまだ十分に討議されていない以上、それらは二国間で、TPP協議と並行して、討議され、TPP交渉終了までに完結させなければならない。(これに関しては別添fact sheetで問題の実情を含め詳細に説明されている)


 日本側の発表内容。
日米間でTPP 交渉と並行して非関税措置に取り組むことを決定。
 対象分野:保険,透明性/貿易円滑化,投資,規格・基準,衛生植物検疫措置1 等


 「保険」の項目についてなど、日本側はほとんどふれていない。

 アメリカは、次のように言っている。

日本は高い基準での協定受け入れを表明
我々二国間の協議を通してアメリカ政府は、日本がTPP交渉に参加したいなら、現在の参加国である11か国によってすでに交渉された高い基準での協定を受け入れを保証せよと強く強調してきた。それに対し、また2月22日の共同声明に記載されているとおり、日本政府は、すべての産品を交渉のテーブルに乗せ、そのうえで2011年11月12日にTPP参加国によって表明されたTPP協約に明記された包括的で高い基準の協定を達成するために、交渉に参加することを言明した。



 まったく違う協議のことを言っているのではないか、と思わせるギャップ。

 事前協議に関するアメリカ(USTR)の言い分が正しいとしたら(たぶん正しいだろう)、日本の政府は、確信犯的に合意内容を隠している。「概要」という言葉に、すでに欺瞞の匂いがプンプンしている。早い話が、これは国民に対する“詐欺”である。ほとんど屈辱的な「入場料」支払いを約束させられているのだ。

TPPにおけるアメリカの布陣は強力だ。『食の戦争』から引用する。

 アメリカのTPPの主席農業交渉官はモンサント社の前ロビイストであるイスラム・シディーク氏であると報じられている(久野秀二京大教授)。そして、そもそも、すでにアメリカからの要求で数々の基準緩和をしてきているのだから、TPPでその傾向に歯止めがかかるわけがなく、むしろ加速して「とどめを刺す」のがTPPだという本質を忘れてはならない。



 TPPという集合住宅のような“建物”は、すでに「入居」する段階で大家でもない住人の一人のアメリカから高い「礼金」「敷金」を取られているようなものだ。そして、すでに入居した住人同士の「自治会会則」が決められた後で日本は入ろうとしている。

 しかし、ブルネイでは「先住」メンバーに対し、既決の会則を日本は変えることはできなかった。 
「東京新聞」サイトの該当記事

 農業問題について言えば、アメリカの一部の企業の利益のために日本人が危険な食品を食べることを、安倍政権と外務省などの官僚が進めようとしている。こんなことが許されていいのか。

 ここは逆転の発想が必要ではないか。
 
 交渉が長引くことは、まだTPP参加撤回のチャンスがあるということだろう。メディアや国民がしっかり「TPP反対」を叫び、「入場料」(「「敷金」「礼金」)支払いも含めてTPP参加を撤回し、本来優先すべきアジア隣人との関係強化にシフトすべきだと思うが・・・マスメディアは何も言わない。
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Commented by 佐平次 at 2013-09-30 11:56 x
拙ブログでも本書を紹介しました。
リンクさせていただきました、悪しからず。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-09-30 12:18 x
もちろん、リンクしていただいて結構です。
この件、その後も書こうと思っていたのですが、フクシマやらICPPやらもあって・・・・・・。
また、書くつもりですが、その時は佐平次さんの記事にリンクさせていただきます!

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by koubeinokogoto | 2013-09-06 00:55 | TPP反対 | Comments(2)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛