人気ブログランキング | 話題のタグを見る

幸兵衛の小言

koubeinoko.exblog.jp
ブログトップ

集団的自衛権、メディアは閣議決定という暴挙に抗議すべきだ!

安倍政権は、集団的自衛権に関する、まったく誤魔化しの議論が“熟してきた”などとうそぶいて、閣議決定を急いでいる。

 72年見解のどこをとっても集団的自衛権を容認するものではないのは、先日書いた通り。
2014年6月10日のブログ

 今では数少ない真っ当な主張をするメディア「日刊ゲンダイ」の記事を全文引用する。
日刊ゲンダイの該当記事

「集団的自衛権」1日閣議決定 国民は黙って見過ごすのか?
2014年6月30日

やめろと言わないのは“許した”のと同意

 安倍政権が1日、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を強行する意向を固めた。菅官房長官が会見で明らかにした。この日程も安倍首相の外遊優先。豪州に出発する前の4日までに決めてしまおうというハラで、こんな乱暴な発想で平和憲法のもとで徹してきた「専守防衛」の看板を外すなんてムチャクチャ。憲法学界の重鎮は「国民は恥辱を受けたままでいいのか」と怒りの声を上げている——。

■戦争屋の“手品”にはめられ恥辱を受けたままでいいのか

「メンバーの中では議論が熟してきた」

 27日に行われた与党協議の後、自民党の高村副総裁がヌケヌケとこう言った。これまでに行った与党協議の回数はわずか10回。それも1回が2、3時間程度のもの。しかも、この数週間で論点はあちこちに飛び、収拾がつかない状態だった。

 これには専門家の間からも、「手品を見せられているようだ」と戸惑いの声が出ている。憲法学者・小林節氏(慶大名誉教授)はこう言う。

「本来は、集団的自衛権の議論だったはずが、いつの間にか、『集団的』も『個別的』も区別できていない15事例の検討に移り、それが終了していない段階で、自衛権行使の新3要件の議論になった。さらにそれも決着しないうちに、国連軍や多国籍軍の戦争にも参加させろという集団安全保障の話にすり替わった。あまりに論点がコロコロ変わるので、多くの国民には理解できなかったはず。うっかりしていると、専門家である我々でさえ、これが憲法議論であったことさえ忘れるほどでした」

 論点のすり替えは、与党協議に“正義”がないためだ。安倍首相は、他国の戦争で母と子が逃げ遅れ、アメリカの艦船に助けられた場合……といった机上の空論を持ち出して議論を混乱させたばかりか、新3要件では、集団的自衛権を否定した1972年の政府見解をねじ曲げた。
 公明党も、国民の生命、自由に「明白な危険がある場合」は集団的自衛権を発動、つまり“戦争をしていい”と追認したが、何が明白な危険であるかは時の政権の考え方次第だ。逆にどの場合に行使が認められないかについては、何ひとつ具体例を出さない。そもそも国民の生命に「明白な危険」があるなら、現行の個別的自衛権で十分である。

 30日、小林節氏も名を連ねる「国民安保法制懇」が、「集団的自衛権行使は立憲主義の否定である」という緊急声明を発表する。

「今さら解釈変更に反対しても遅いという人もいますが、追いはぎや強盗に遭っているのに声を上げないのは、“許した”のと同意になります。黙って見過ごすのと、声を上げたけど、張り倒されてとられちゃったというのでは、やっぱり意味が違う。多勢に無勢で、恥辱を受けて押し切られたという状況をつくる。そうすることで歯止めにもなるし、解釈改憲論者たちは言い訳を始め、ボロを出すのです」(小林節氏)

 1日の閣議決定で「戦争できる国」へ一気に加速する。国民は恥辱を受けても最後まで嫌だと抵抗すべきなのだ。



 「国民安保法制懇」については、次の神奈川新聞の記事が詳しいので紹介したい。
神奈川新聞の該当記事

集団的自衛権を考える(10) 国民安保法制懇メンバーは語る(上)
2014.05.31 10:52:00

 憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する憲法学者や元政府関係者ら12人が「国民安保法制懇」を立ち上げた。安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に対抗し、今夏にも報告書をまとめる。28日の結成会見に出席したメンバー6人の発言を2回にわたり紹介する。



 メンバーの一人、伊藤真弁護士の主張と、この組織のメンバー紹介は下記の通り。(太字は管理人)

■憲法の枠組み無視 伊藤真・弁護士

 いまほど憲法と国民がないがしろにされている時代はない。安全保障の政策論が憲法論に勝ってしまっている。

 安倍首相の理屈は「国民の安全が害されることになるから、今までの解釈の枠組みなんか守ってられないよ」というものだが、国が国民の生命と財産を守らなければいけないのは当然のことだ。

 どのような方法で守るのかという枠組みを憲法は示している。不都合があった場合、国民が憲法を変えて新たな枠組みを提示する。その中で国民を守るのが国の仕事であり、首相の仕事だ。なのに、自分たちが考える安全保障政策が常に正しいという前提に立ち、憲法の枠組みを無視した政策を押しつけようとしている。

 影響を受けるのは国民だ。テロの標的になるかもしれない。海外で活躍している企業人がどんな思いをするか。自衛官の一人一人がどういう生き方をしなければならなくなるのか。主権者である国民が自分たちのこととして考えなければならない問題を、民主的正当性のない私的な懇談会の報告書を基に政府が勝手に決めようとしている。

 法によって縛られる側の人が「ちょっと縛りきついから緩やかにしてよ」と解釈を変えるなんて、あり得ない話だ。刑法という法律で縛られている泥棒が「軽い空き巣ぐらいならいいんじゃないの」と言って、泥棒の解釈が通ってしまうのと同じだ。

 国民一人一人が個人として尊重されるため、憲法が国家権力を拘束するという立憲主義がこの国の根本のありようだ。その土台だけでなく、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重というこの国の基本原理も破壊されようとしている。国民の意思がないがしろにされた形で平和主義が変えられ、最大の人権侵害である戦争をどうするかという部分も大きく変わってしまう。

◆安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会 集団的自衛権の行使容認に向け、安倍晋三首相が第1次政権時に設置した私的諮問機関。公海上の米艦船防護などを憲法解釈変更により実現すべきだとの報告書を安倍氏退陣後の2008年6月にまとめたが、実現しなかった。第2次安倍政権発足に伴い、13年2月に活動を再開。検討対象を日本の安全保障に必要な法整備の在り方に広げた。官僚OBや学者ら有識者14人で構成し、座長は柳井俊二元駐米大使。14年5月15日に報告書を安倍首相に提出し、憲法解釈を見直し9条が認める「必要最小限度の自衛措置」として集団的自衛権の行使を認めるよう提言した。

◆国民安保法制懇のメンバー ※敬称略、五十音順
愛敬浩二(名古屋大教授、憲法)/青井未帆(学習院大教授、憲法)/伊勢崎賢治(東京外国語大教授、平和構築・紛争予防)/伊藤真(弁護士)/大森政輔(元内閣法制局長官)/小林節(慶応大名誉教授、憲法)/阪田雅裕(元内閣法制局長官)/長谷部恭男(早稲田大教授、憲法)/樋口陽一(東大名誉教授、憲法)/孫崎享(元外務省国際情報局長)/最上敏樹(早稲田大教授、国際法)/柳沢協二(元内閣官房副長官補)



 ここ最近、大手メディアのこの問題についての論評には鋭さがなくなってきたような気がする。

 日刊ゲンダイの記事の見出しにある「国民は黙って見過ごすのか?」という言葉を、私はメディアに対して言いたい。
 
  「集団的自衛権」1日閣議決定 日本のメディアは、この暴挙を黙って見過ごすのか?
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by koubeinokogoto | 2014-06-30 19:41 | 戦争反対 | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛