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幸兵衛の小言

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「おもてなし」ではなく「もったいない」を、東京五輪の合言葉に!

東京五輪会場問題、東京新聞が社説で真っ当な指摘をしている。

東京新聞の該当社説

【社説】
五輪会場見直し モッタイナイの精神で
2014年7月22日

 自然、文化、景観、それに財源。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの会場計画見直しではバランス感覚が大切だ。市民の声を聞き、後世に「負の遺産」を残さぬよう賢い最終形を目指したい。

 五輪では二十二の競技会場が新設される段取りだった。国が主会場の新国立競技場を手掛け、東京都が十の恒久施設、組織委員会が十一の仮設施設を受け持つ。

 当初見込んだ総事業費は四千五百五十四億円。しかし、景気の復調に伴い資材価格や人件費が大幅に膨らみ、計画の軌道修正が避けられなくなった。

 東京招致の功を焦り、大風呂敷を広げたつけが回ってきたということだろう。「もったいないの精神」に立ち返って経費圧縮に最善を尽くし、内外への説明責任を果たさねばならない。

 中でも、国立競技場の建て替えは大きな問題を抱えている。八万人収容、開閉式屋根、そして、このために風致地区の制限を取り払ったとされる七十メートルの高さだ。

 巨大過ぎて、明治神宮外苑の歴史的景観や周りの自然環境が壊れる。膨大な建設費がかかるし、五輪後の収支に不安がある。近くの都営アパートで暮らす多くの高齢住民が立ち退きを強いられる。

 政官財とスポーツ界の一握りの人たちが、情報を伏せたまま結論ありきのように計画を進めた経緯も本紙の調べで明らかになっている。蚊帳の外に置かれた市民から批判が相次いだのも当然だ。

 建設を担う国側の日本スポーツ振興センターは出費を抑えるためにも、延べ床面積を当初より二割余り縮めた設計案を決めた。しかし、懸念には応えていない。

 世界的な建築家の伊東豊雄氏の改修案が注目されている。現競技場の一部建て直しで、周辺の環境を損なわずに八万人を収容できる。工事費も全面建て替えの半分程度という。解体を中止し、真剣に検討し直すべきではないか。

 五輪を通して成熟した民主社会のありようを発信するなら、その過程には市民参加が欠かせない。戦災復興の象徴を保存しつつ震災復興の証しへとつなぐ。草の根の知恵を生かしてこそ最高のおもてなしの舞台になるはずだ。

 既存施設を修理しても使えない場合のみ新設できる。国際オリンピック委員会は行動計画でそう表明している。都や組織委も一部会場の新設を取りやめる考えだ。

 公約通り選手村から八キロ圏内に会場の85%を収めるのは難しそうだが、器より心を大切にしたい。


 この件については以前にも書いているので、ご興味のある方はご覧のほどを。2014年5月28日のブログ

 五輪誘致のプレゼンテーションで、ある女性タレントが、「お・も・て・な・し」と“しな”をつくって語るのを見て、私は虫唾が走った。

 海外の五輪を見物に(応援でもいいが)来ることのできる外人さんは、決して食べるのに困るような人ではないだろう。どちらかと言うと裕福な部類に入るのではないか。

 日本には大震災や原発事故で、3.11以前の生活環境を回復できないままの人が、まだたくさんいるのだ。

 多額の血税を五輪にやって来る外人観光客へのもてなしのために使う前に、その税金の使い道があるはずだ。そして、五輪でふたたび建設という名の破壊を行なう前に、まず震災や原発事故によって破壊された街の復興が優先されるべきだろう。

 復興庁が、安易に問題を収めようとして避難指示を解除するつもりだった福島県川内村では、現場の猛烈な抗議に直面した。毎日新聞の該当記事

川内村・住民懇談会:反発強く26日避難指示解除見送り
毎日新聞 2014年07月13日 21時37分(最終更新 07月13日 22時10分)

 東京電力福島第1原発事故に伴い避難指示解除準備区域に指定された福島県川内村東部について、政府は13日、村内と同県郡山市で住民懇談会を開き、26日に避難指示を解除する方針を提示した。住民はインフラ整備の遅れなどを理由に反発。遠藤雄幸村長も「時期尚早」との見解を示し、政府は26日の解除を見送る方針を示した。

 懇談会には政府の原子力災害現地対策本部と復興庁などの担当者が出席。除染が完了し6月中に実施したモニタリングで年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下になったことを確認し、交通や買い物の環境が改善したと説明した。住民は「(商店や病院などがある)他町村が帰還できなければ、インフラが戻ったとは言えない」「除染土の仮置き場が撤去されていない」などと訴えた。

 懇談会後に報道陣の取材に応じた遠藤村長は、除染効果を検討する村の検証委員会を今月設置したばかりで、道路の復旧工事の見通しが立つのが8~9月になることから「26日解除は早い」と話した。復興庁の熊谷敬統括官は「村と解除の日程を協議したい。26日はない」と明言した。

 政府は、解除と同時に村の居住制限区域を避難指示解除準備区域に変更する方針も伝えたが、これについても村と協議して決める。

 同村東部の原発20キロ圏内の避難区域(157世帯329人)のうち、同準備区域(139世帯275人)では、自宅で寝泊まりできる長期宿泊が4月に始まり、今月25日に終了するが、登録者は約20世帯にとどまっている。【深津誠】


 年間20ミリシーベルト以下だから安全、などという嘘を当り前のように「すりかえ」ようとしていることも大問題だが、生活基盤の確保もできていない状況で、「解除しました、住めますよ」などと言う復興庁の言い分は、避難者への国や東電の負担を抑えるための方便として思えない。20ミリシーベルトはIAEAという世界で原発を推進する組織が「緊急時」の基準として「1~20ミリシーベルト」と根拠なく算出している基準の最大値を採用しているのである。この件、どのメディアもだんまりになってきた・・・・・・。
 20ミリシーベルトの問題にご興味のある方は過去の記事をご覧のほどを。2011年12月16日のブログ

 東京五輪に戻る。「おもてなし」という言葉で誤魔化され、無駄に血税を使われて、江戸・明治・大正・昭和と続く古き佳き日本の姿が破壊され、五輪後にほとんど使い道のないハコモが残るのでは困る。

 合言葉は「もったいない」であるべきだ。そして、少しでも予算に余剰が生まれたなら、そのすべては大震災と原発事故による被災者のために使われるべきだと思う。

 もし、年間20ミリシーベルトなら安全、と言い切るなら、五輪の会場や外人選手の宿舎を福島県の川内村に設置してはどうか。東京から遠かろうが、ブラジルのサッカーワールドカップで日本代表が移動した距離を考えればまったく問題なかろう。インフラ整備も五輪用の予算を使うことができるではないか。それができない理由は・・・政府は百も承知である。
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by koubeinokogoto | 2014-07-22 07:33 | 幸兵衛の独り言 | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


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