丹沢キャンプ場の事故は、“人災”だ!
先週末も丹沢で痛ましい事故があった。毎日新聞の該当記事
丹沢母子水難:売店で「危ないので避難を」…3人遺体確認
毎日新聞 2014年08月02日 13時25分(最終更新 08月02日 22時08分)
◇父親「車が横転、水が入ってきた。窓ガラス割って…」
神奈川県山北町中川のキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」の河内(こうち)川で1日夜、同県藤沢市片瀬山の会社経営、大森慎也さん(43)一家の車が川に流された事故で、行方不明になっていた大森さんの妻ルミさん(42)▽長女で小学3年の舞奈(まな)さん(9)▽長男で小学2年の凱風(がいふう)君(7)−−の3人が、1日夜から2日午前にかけ、相次いで遺体で見つかった。激しい雨によって川が急激に増水し、鉄砲水のような状態になり避難が間に合わなかったとみられるが、キャンプ場から避難の呼びかけなどはなかったとみられる。県警松田署は、安全管理に問題がなかったか、キャンプ場関係者から話を聴く方針だ。
同署などによると、大森さんはこの日、家族4人で同キャンプ場に遊びに来ていた。一家は管理棟などがあるメインキャンプ場から河内川を渡った場所に位置する四輪駆動車専用のキャンプサイト「アドベンチャーゾーン」におり、そこでテントを張っていた。
同川は普段、足首程度の深さの浅瀬で車や徒歩で対岸に渡ることができるが、この日は午後7時半ごろから激しい雨が降り、事故当時は約1メートルまで水位が上がっていたとみられる。
松田署によると、大森さんは事故の直前、メインキャンプ場にある売店に1人で買い物に出かけていたが、売店の従業員に「危ないので避難した方がいい」と言われたという。テントに戻った大森さんは、家族を乗せて車で避難しようとしたが、急な増水で移動が間に合わなかったとみられる。大森さんは「車が横転し、水が入ってきた。窓ガラスを割って子供を外に出し、自分も脱出した」と話しているという。
大森さんは自力で岸にはい上がったが、ルミさんは1日午後11時半ごろ、車が横転した現場から約2キロ下流で遺体で見つかった。さらに2日午前、ルミさんの遺体発見現場からさらに約1キロ下流で凱風君が、そこからさらに約1.5キロ下流で舞奈さんが、それぞれ遺体で発見された。車は30メートル下流に流されているのが見つかり、テントはそのままの状態で残っていた。
この家族を奪った事故、これは天災ではなく人災であるという神奈川新聞の記事を紹介したい。(太字は管理人)
神奈川新聞の該当記事
事故の山北キャンプ場 中州は違法造成か「事故でなく人災」
2014.08.03 03:00:00
母子3人が川に流され死亡したキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」にある中州を、経営する業者が再三にわたり河川法に違反し人工的に造った可能性があることが2日、分かった。工事を目撃していた近隣住民は「危険性とともに違法性を県に何度も指摘してきた。事故はもはや人災だ」と話す。河川を管轄する県の県西土木事務所(開成町吉田島)は「刑事告訴も視野に調査する」としている。
◇県「刑事告訴視野に調査」
「これは自然災害なんかじゃない」。近くでキャンプ場を営む男性(57)は中州を造成したキャンプ場管理者や、違法な造成を放置していた県への憤りをあらわにした。
男性によると、大森さん一家がキャンプしていた中州はもともと、現在よりも小さかったが、キャンプ場が砂利を盛って拡大させた「人工の中州」といい、周囲のキャンプサイトよりも地盤面が低い。川の増水で中州が削られると、重機で再び砂利を盛って修復していたという。増水に弱い中州という危険性を常にはらむが、四輪駆動車で浅瀬から入れるキャンプサイト「アドベンチャーゾーン」として開設されていた。
河川法では、河川区域内での掘削や盛り土など、土地形状を変更する行為には許可が必要と規定。無許可で形状変更した場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金と定めている。
男性は度々、県に危険性と違法性を伝えていただけに、「管理者の危険性への認識が低かったのだろうが、行政にも早く対応してもらいたかった。事故は起こるべくして起きた」と残念がる。
現場の河川を管理する同事務所によると、この中州をめぐり、業者は2008年4月以降、繰り返し許可を得ずに土砂を搬入。川の流れを変えるなどし、11年8月までに少なくとも延べ6回の是正指導を受けていた。
このほかにも、中州周辺のキャンプサイトに許可を得ずに設置してあるトイレや浄化槽、自動販売機、洗い場なども無許可の工作物設置を禁じる河川法に違反するという。12年3月には同事務所から是正指導より重い行政命令を受けているが、業者はこれに従わず取り消し請求を行い、現在は法廷係争に発展している。
同事務所は、「重大な事故が発生し、結果的に指導が甘かったと認識している。河川法を厳密に適用し刑事手続きも視野に入れ検証、調査する」としている。
【神奈川新聞】
土木事務所の対応が、結果として後手に回ったのが残念だ。しかし、行政命令を無視し、キャンプ場を運営したウェルキャンプ西丹沢が、もっとも責められてしかるべきである。
このニュースの通りであれば、間違いなく人災だ。
このキャンプ場を運営するウェルキャンプ西丹沢のサイトがまだ閉じられていなかったので、同キャンプ場の地図をコピーした。
「ウェルキャンプ西丹沢」のサイト
地図の「アドベンチャーゾーン」の場所をクリックすると、今回の事件現場をアピールするページに飛ぶ。
ウェルキャンプ西丹沢サイトの該当ページ
四輪駆動による中州でのキャンプを奨励する写真が数枚ある。無断掲載を禁止するとしているので、コピーした写真は現段階で掲載しないが、この会社の悪事が明白になった時に、もしサイトを閉じているなら、私はブログで掲載するつもりだ。
中州は川が増水した場合は川底になる危険地帯。アドベンチャーゾーンではなくデンジャーゾーンなのである。
金儲けのために、法令を無視して自然災害の配慮を怠ったキャンプ場を運営している会社は、人命と子どもたちの夢をも壊す、明らかにブラックな企業である。まさに人災だ。
早急に、この組織の罪悪が裁かれる必要があると思う。