幸兵衛の小言

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2012年 04月 05日 ( 1 )

どうしても政府は大飯を再稼動したいらしい。時事ドットコムの該当記事

原発「安全基準」を了承=大飯再稼働、8日にも地元要請−2回目の首相・閣僚会合

 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は5日夕、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を協議する2回目の関係閣僚会合を行った。経産省原子力安全・保安院が、先にまとめた30項目の原発安全対策を分かりやすく整理し直した再稼働の「暫定的な安全基準」案を提示し、その内容を大筋了承した。安全基準は、現行の法規制を超える安全確保策の実施を電力会社などに求める。
 野田首相は冒頭、「4大臣で納得がいくまで議論したい」と述べ、再稼働に当たり安全確保に万全を期す姿勢を改めて強調。経産相と藤村修官房長官、細野豪志原発事故担当相を交えて議論した。
 政府として再稼働の基準を決定し、これに基づいて大飯原発の安全性を確認できれば、枝野経産相が8日にも福井県を訪れ、西川一誠知事に再稼働への理解を直接求める見通し。ただ、枝野経産相は会合後、記者団に「まだ(安全性の確認の)結論が出ていない」と語り、福井訪問の前提が整っていないことを明らかにした。(2012/04/05-20:40)

 
 この「暫定的な安全基準」案とは、いったい何なのか?

 現在、結果として生き延びている原子力安全・保安院は、ほとんど原子力ムラの言いなりの組織と言ってよいだろう。その組織が一夜漬けで作った案は、再稼動に都合の良い内容であることは容易に想像ができる。そもそも彼らのすることを本来チェックする機構である原子力安全委員会も、これまた宙ぶらりんのまま、その機能を放棄している。そんな状況を都合よく利用しての「政治的判断」なのだ。

 「政治的判断」が、短期的な「経済の論理」を「人命」よりも優先し、結果として国家を破滅の道に導こうとしているという意味で、昭和16年の太平洋戦争開戦と同じ過ちを、今の政府は繰り返そうとしているのではないか。

 70年前にも、米英と戦争をすることが現状から乖離した愚挙であると認識し、その戦争につながる日独伊三国同盟に反対した人間は、少数ながら存在した。しかし、大衆を戦争への道へとミスリードしたマスコミや声の大きな陸軍の暴走によって、少数派であった真っ当な声はかき消された。

 しかし、平成24年の今日、再稼働に反対する声は少数派とは言えないし、一部のメディアもそれほどの馬鹿ではなくなった。何と言っても、ネットの時代、良くも悪くも市民の情報収集と伝播能力は格段に向上している。

 「美浜の会」のサイトから、時岡おおい町長あてに発信されたメッセージを引用する。「美浜の会」サイトの該当ページ

大飯原発3・4号の地震動の過小評価等に関する要望書
「活断層の3連動で760ガル」は断層モデルだけの評価
これで安全性判断するのは国の耐震設計審査指針に違反しています

おおい町長 時岡 忍 様

 貴職が強調されているとおり、大飯原発3・4号の運転再開については、安全性の確認が最も優先されるべきだと私たちも考えます。とりわけ、福島原発事故以降は、安全性については最大限の注意が払われるべきです。現在、大飯原発近傍の活断層FoB−FoA−熊川断層の3連動問題が大きな焦点になっています。原子力安全・保安院は、3月28日の「地震・津波に関する意見聴取会」や、30日の福井県原子力安全専門委員会で、「3連動で760ガルは妥当」との判断を示しました。
 しかし、現行の約36㎞であるFoB−FoA断層の2連動時の基準地震動700ガルと比べ、約63㎞にもなる3連動の基準地震動が760ガルで妥当という保安院の判断は、あまりにも過小評価であると、多くの人が疑念を抱いています。
 そのため、私たちは4月3日に、保安院に質問書を提出しました。ご参考までに、この要望書の別紙としてつけています。

 活断層の3連動評価について、保安院の判断は下記のようになっています。

「FoB~FoA断層と熊川断層については、念のために連動を考慮した地震動評価結果(760ガル)が事業者より示されており、妥当と判断する。更に、この地震動を用いた施設の耐震安全性評価の実施が必要」。


1.「活断層の3連動で760ガル」との断定は、国の耐震設計審査指針に違反しています。
 この判断について保安院は、断層モデルを用いた評価であると、30日に行われた福井県原子力安全専門委員会の場で説明しました。しかし、原子力安全委員会の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(2006年9月19日、原子力安全委員会決定)では、基準地震動の策定については、応答スペクトルに基づく方法と、断層モデルを用いた手法の「双方を実施、それぞれによる基準地震動Ssを策定する」よう求めています。
 それゆえ、「双方」を実施せず、断層モデルだけで760ガルと断定するのは、国の審査指針に違反しています。現行の700ガルは、双方の評価を実施した上で、応答スペクトルに基づく評価値を採用したものです。断層モデルだけで「3連動で760ガル」と断定する保安院の見解は、指針に違反し安全性をないがしろにするものです。

2. 3連動の場合の耐震安全性評価の確認は、当然に、再稼働の前に行うべきです。
 上記の保安院の判断では「この地震動を用いた施設の耐震安全性評価の実施が必要」と述べています。しかし、この耐震安全性評価をいつ実施するのかは明記されていません。3月30日の福井県安全専門委員会に保安院が出した資料2−2では、「耐震バックチェックにおける地震動評価の今後の予定について」という図式が示されているだけです。機器や制御棒挿入時間などの耐震安全性評価について、運転再開の後に、耐震バックチェックで評価すればいいというようなことは許されません。
 その資料には「事業者による耐震安全性評価結果の確認及び耐震補強計画の策定」までしか書かれていません。補強が必要な場合に、実際に耐震補強工事を行うのではなく、「耐震補強計画」を確認するだけで運転再開を認めるようなことがあってはなりません。

3.耐震安全性評価の基準は、ストレステストのクリフエッジ(崖っぷち、Ssの1.8倍=1260ガル)とは別の基準です。
炉心溶融一歩手前を安全性の「基準」のように扱うのは極めて危険な考えです。

 3月30日の福井県原子力安全専門委員会に保安院が提出した資料2−3(または、地震・津波15−2−1添付資料)の3頁では、次のように記載されています。


「さらに、地震動評価における不確かさを考慮したケースについて評価した結果、大飯3・4号機ストレステスト1次評価で確認したクリフエッジ(基準地震動Ss−1の1.8倍)を下回る。」

 しかし、ストレステストによるクリフエッジ(崖っぷち)は、炉心溶融の一歩手前の「基準」であり、そのような崩壊ギリギリの値と、耐震安全性の評価基準とは別もののはずです。700ガルの1.8倍である1260ガル以内だから安全だという評価は、極めて危険な判断です。

 保安院は、3月27日の私たち市民との交渉の場で、現行の耐震安全性評価では、大飯3・4号の地震時の制御棒挿入時間について、評価基準値(許容値)2.2秒、評価値2.16秒であることを認めています。3連動の場合の制御棒挿入時間の評価については、クリフエッジと比べるのではなく、基準値2.2秒以内に収まるかどうかを評価すべきです。
 現行の2連動の場合でも評価基準値(2.2秒)と評価値(2.16秒)の間の余裕はわずか2%しかありません。3連動になると、仮に760ガルを採用しても、制御棒挿入時間は評価基準値の2.2秒を超えてしまいます。その場合、大飯3・4号の運転ができないのは明らかです。



要望事項

1.保安院による「活断層の3連動で760ガル」との断定は、国の耐震設計審査指針に違反しています。このような判断は認められないと表明してください。
 また、指針どおりに、3連動の場合の応答スペクトルに基づく地震動評価を行うよう国に求めてください。

2.3連動の場合の耐震安全性評価の確認は、当然に、再稼働判断の前に行うべきだと国に求めてください。

3.耐震安全性評価基準は、ストレステストのクリフエッジ(崖っぷち、Ssの1.8倍=1260ガル)とは別の基準です。クリフエッジという炉心溶融一歩手前を「基準」のように扱い、1260ガル以内ならば安全であるかのように判断することに反対してください。


2012年4月5日

原発設置反対小浜市民の会/プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
連絡先団体:美浜の会 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581
(12/04/05UP)


 
 今や完全に宙に浮いた存在の原子力安全委員会であるが、その委員会が仮にも設定した安全基準や指針までを、これまた宙に浮いたままの組織である原子力安全・保安院が棚に上げていいわけではあるまい。

 相変わらずブレまくっている枝野や、本心は再稼働一本槍のくせに、わけのわからない言葉で隠そうとするドジョウ首相などには、国の行方を任せるに足る度量もなければ頭脳もなく、もちろん情熱もない。だから、「競争の原理」や「監視社会化」を、本来は国家百年の計に則って行われるべき教育の世界に持ち込もうとオダを上げる橋下のほうが、逆に頼もしく見られたりするのだ。橋下が主張する方法で教育の世界を“改悪”すれば、逆に彼が目指す「国際基準」の人材など育つわけがない。

 大飯の話に戻す。この件に関する地方紙の社説では、次の中国新聞がもっとも分かりやすく真っ当な気がした。東京新聞もほぼ同様の趣旨で、地元と言うのは単に近隣県だけではなく“全国”である、と主張しているが、今回は中国新聞を引用したい。中国新聞4月4日の社説

大飯原発再稼働 安易な突破口にするな

 定期検査に入っていた関西電力大飯原発3、4号機を再稼働させようと、政府が動きを加速させている。

 野田佳彦首相はおととい、関係閣僚と再稼働に向けた初の会合を開き、福島第1原発事故の教訓を踏まえた暫定的な安全基準をつくるよう指示した。
 地元の福井県などが新たな基準を求めたのに応じた形だ。早くも週内に経済産業省原子力安全・保安院が新基準の原案を示し、福井県に再稼働への協力を要請するという。「前のめり」との批判は免れない。

 福島第1原発事故の後、定期検査を経て再び稼働した原子炉はまだない。このままでは1カ月後にも国内54基すべてがストップする。その前に何としても再稼働に目星を付けたい。他の原発を動かす突破口にもしたい—。それが政府の本音だろう。

 関電は発電電力量に占める原発の割合が2010年で5割。電力各社の間でも最高レベルだ。原発停止の影響は特に大きく、再稼働を目指す動機となっている。原子炉の型が福島第1とは違うことも、再稼働をしても問題ないとの判断を引き出したとみられる。

 政府は、原子力安全委員会が3、4号機について「安全評価(ストレステスト)の1次評価は妥当」としたのを受けて本格的に動きだした。

 ただ1次評価は、津波や地震に対する原子炉の安全上の余裕を机上で点検したもの。機器や配管が壊れるまで負荷を掛ける2次評価は行っていない。国は1次評価を再稼働の条件としているが、原子力安全委の班目春樹委員長は「1次評価だけでは安全性を評価するには不十分」と述べている。

 福島第1原発事故の国の調査報告書がまだ完成していない段階でもある。原子力規制庁の発足は、大幅に遅れている。再稼働に向けて同意を取り付ける範囲や、安全監視の体制もはっきりしない。手続きの順番が違うのではないか、との印象はぬぐえない。

 隣の滋賀県や京都府は、現時点での再稼働に対する反発を強めている。滋賀県は独自のシミュレーションを実施し、ひとたび事故が起きれば県内に放射性物質が拡散するとの結果を出した。再稼働の同意を求める自治体に含めるべきだと主張する。

 福島第1原発事故は、県境を越えて被害を広げた。枝野幸男経産相が、滋賀や京都にも理解を求めるとした上で、再稼働に同意が必要な地元として「ある意味で日本全国」と国会答弁したのも当然であろう。

 仮に安全対策を十分示したとしても、国の原子力政策の将来像を示さないままでは地元や世論の理解が得にくいことにも留意したい。

 少なくとも短期的には再稼働がやむを得ないというならば、脱原発依存に向けた具体的なビジョンも同時に示すべきである。そうでなければ世論は、再稼働をいったん許すことが、原発の将来的な固定化につながると考えるだろう。

 もちろん、夏場の電力需給が切迫する問題は無視できない。ただ、需給見通しをさらに精査するとともに、電力使用量のピークを分散させる工夫などを国民に示し、協力を求めるのが再稼働よりも先ではなかろうか。



 ストレステストを一次だけで終わらせようとしているように見えるが、そのために労した時間とコストのムダだって馬鹿にならない。それに対してドジョウさんは「あれは菅さんがやったこと」と言いたいのかもしれないが、同じ民主党政府としての一貫性など忘れて税金の無駄遣いばかりやろうとしているのではないか。あらたに宙ぶらりんの組織である安全・保安院に、“暫定的な安全基準”などを作らせる目的は明白である。とにかく、再稼動させたいのだ。

 こういったプロセスを考えると、先に再稼働ありきで、何ら真っ当な思考を停止している組織の実態が見えてくる。

 政府や国会に事故調査のための組織を作ったのは、いったい何のためだったのか?

 今の国のリーダーに求められるのは、未だに放射能にまみれた汚染水を撒き散らす収束の見えないフクシマを検証し、地震国日本において、本当に原発が存在し得るのか、未来のエネルギー政策をどう構想するのか、という国家としての大命題に取り組むことではないのか。

 この度の「政治的判断」という言葉は「真っ当な思考の停止」を意味しており、その後に「暴走」という言葉は続かないことを祈るばかりだ。
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by koubeinokogoto | 2012-04-05 14:42 | 原発はいらない | Comments(0)

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