幸兵衛の小言

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カテゴリ:食の安全について( 2 )

ファストフードで危険な食べ物は肉だけではない、というお話。

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エリック・シュローサー著『ファストフードが世界を食いつくす』(草思社文庫)

 エリック・シュローサーの『ファストフードが世界を食べつくす』の「第5章 フライドポテトはなぜうまい」から引用する。
 

 数十年間というもの、マクドナルドはほぼ大豆油7に対して牛脂93の割合の混合油でフライドポテトを揚げていた。この混合こそ、マクドナルドならではの風味を帯びたフライドポテトの秘密だった‐キロ当たりの飽和牛脂肪の量がハンバーガーを上回るフライドポテトの秘密でもある。
 フライドポテトのコレステロール値の高さに対する非難の大合唱が始まり、マクドナルドは1990年、揚げ油を純正植物油に切り替えた。切り替えにあたって、ある大問題と向き合う。ほのかにビーフ風味を帯びたフライドポテトを、牛脂を使わずにどうやって作ればいいのか?マクドナルドが現在フライドポテトの調理に使っている原材料のリストを見ると、問題がどう解決されたか、答えのヒントが見つかる。リストの末尾に、一見なんの害もなさそうな、だが妙に意味深長な、ある名称が見られる‐“天然香料”。


 食品添加物と並んで、食の安全を脅かす存在が、香料であることは、あまり知られていない。しかし、ファストフード店の飲料なども含め、香料は欠かせない秘密の素材となっている。
 「天然なら安全では?」・・・とんでもない!

 天然香料が人工香料に比べて純正だとは、必ずしも言い切れない。アーモンド香料(ベンズアルデヒド)は、桃やあんずの種子などの天然原料から抽出した場合、微量のシアン化水素が含まれる。これは猛毒だ。ベンズアルデヒドを別の過程で‐丁子油にバナナ香料の酢酸アルミを混合して‐作ると、シアン化水素とは無縁なものができる。それでも、これは法的に人工香料に分類され、天然に比べて大幅に低い価格で売られる。天然にしろ人工にしろ、香料は今日では同じ化学工場で生産されている。この工場を見て“母なる自然”を連想する人は、まずいないだろう。こうした香料を“天然”と呼ぶには、言葉を柔軟にとらえたうえに、相当の皮肉を込めなくてはならない。



 本書では、この後、香料メーカーで“調香師”(フレーバリスト)と呼ばれるごく少数の専門家がどのように香料を作っているか、香料の成分がいかに秘密に包まれているかなどに迫る。

 “天然香料”という言葉は、私に“脱法ハーブ”という言葉を連想させる。

 天然などという言葉に騙されてはいけない。何ら疑うことなくファストフードのフライドポテトを子供に食べさせている母親が多いことを、私は大いに危惧する。
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by koubeinokogoto | 2014-07-26 10:23 | 食の安全について | Comments(0)
今日の昼は野暮用があったので外で昼食をとった。会社近くにある地下鉄駅近くのショッピングセンターのレストランフロアーに行った。そこにはマクドナルドがあるのだが、あのニュースの後なのに、小さな子供を連れて若い母親が並んでいるのを横目で見ながら、私はもちろん別な店に行ったのだった。

 それにしても、なぜ、あの若い母親はあの店に並ぶのか。

 中国の食品会社が期限切れの鶏肉を現地のマクドナルドに販売していた問題は、予想通り日本企業にも波及した。
東京新聞の該当記事

中国企業の期限切れ鶏肉 マック・ファミマ使用か 一部販売休止
2014年7月23日 朝刊

 中国・上海の食品会社で使用期限切れの鶏肉を供給していると報じられた問題で二十二日、日本マクドナルドとファミリーマートでは、この会社から鶏肉を仕入れていることが判明したとして一部メニューの販売を中止した。 

 日本マクドナルドは二十二日、国内で使用する「チキンマックナゲット」の約二割をこの会社から輸入していたと発表。問題の鶏肉を使っていた店舗は東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、長野、静岡など一都十県の約千三百四十店。このうち約五百店舗で、チキンマックナゲットの販売を二十一日から二十二日にかけて一時中止した。マクドナルドは調達先をタイや中国の他の企業に切り替えて、二十三日には販売を全面再開する。

 また、コンビニ大手のファミリーマートは二十二日、鶏肉の加工食品二商品の販売を中止した。二商品は全国約一万店で取り扱っている「ガーリックナゲット」と、東京・多摩地区と長野、山梨両県の計十店舗で今月二十一日に実験販売を開始した「ポップコーンチキン」。

 両社の製品とも中国・上海の食品企業「上海福喜食品」で加工されたもので、使用期限切れの鶏肉を使っている可能性がある。

 一方、日本ケンタッキー・フライド・チキン、流通大手のイオン、セブン&アイ・ホールディングス、コンビニ大手のローソンでは問題の鶏肉は使っていないという。



現地で拘束された者がいて、日本政府は一時輸入差し止めをするという共同通信の記事。
'47NEWSの該当記事

上海・期限切れ鶏肉、5人拘束 日本政府、一時輸入差し止め

【上海共同】23日の新華社電によると、上海の食品会社「上海福喜食品」が米ファストフード大手マクドナルドなどに使用期限切れの鶏肉を販売していた問題で、上海の公安当局は同日までに関係者5人を刑事拘束した。組織的な違法生産行為があったと認定したとみられる。

 上海食品監督当局は同日までに「チキンマックナゲット」や豚肉のハンバーグなどの加工品に問題があったと認定、関連商品約100トンを押収した。新華社が報じた。菅義偉官房長官は23日の記者会見で「製造された食品については(検疫所が)一時的に輸入を差し止める措置を行っている」と述べ、健康被害の報告はないと説明した。
2014/07/23 14:17 【共同通信】



 鶏肉に限らないようだ、という東京新聞の続報もご紹介。(太字は管理人)
東京新聞の該当記事

期限切れ肉 鶏以外もずさん管理 上海の会社責任者聴取 組織的に不正か
2014年7月23日 14時00分

 【上海=加藤直人】米国の大手食品加工会社「OSIグループ」の傘下にある中国上海市の食肉加工会社「上海福喜食品」が使用期限切れの肉類を加工して供給していた問題で、上海市は「組織的な不正」との見方を強め、食品会社の責任者ら五人を隔離して事情聴取している。上海紙・東方早報などが報じた。福喜食品をめぐっては当初、チキンナゲットなど鶏肉の期限切れが指摘されたが、上海テレビは牛肉についてもずさんな管理の実態を伝えており、問題の対象が鶏肉以外に広がる可能性がある

 上海福喜食品には、鶏肉と牛・豚肉の生産ラインがあり、工場に潜入取材して最初に報じた上海テレビは、問題の工程として牛肉の加工も取り上げていた。

 OSIは問題発覚後、「工員の個人的な行為」との見解を示していたが、上海市は、工場ぐるみで意図的に不正をしていたとの見方を強めている。上海市食品薬品監督局と市公安当局は合同指揮部を設けて調査を進めており、責任者の刑事責任が追及される可能性も出てきた。

 合同指揮部は、上海福喜食品から今年一月以降の原料仕入れ、生産加工、品質管理、売り上げなどの記録を提出させた。

 さらに、福喜食品の上海工場倉庫に保管してあった肉類の原料百三トン、「チキンマックナゲット」などの製品五千百八箱を押収した。

 合同指揮部は、福喜食品の製品が中国国内ではマクドナルドやピザハットなど計九社に納入されていたとみて、流通経路を詳しく調べている。

◆従業員「死にはしない」TVの潜入取材で発覚

 【上海=加藤直人】中国上海市の「上海福喜食品」が使用期限切れの肉類を加工して供給していた問題は二十日夜、上海テレビによる工場への潜入取材が放映され、その直後に上海市が立ち入り調査に入ったことで表面化した。

 上海テレビは工場内で白い帽子をかぶって作業する従業員らの様子を放映し、「使用期限切れではないの」と問いかける従業員に対し、別の従業員が「死にはしないよ」と応じる生々しい映像も放映された。

 機械から工場の床に落ちた原料の肉を、従業員がそのまますくいあげて生産ラインに戻す映像なども放映され、同社のずさんな食品の衛生管理の実態も浮き彫りになった。

 その後、上海紙が一斉に問題を報じたことで、上海市民にも大きな衝撃を与えている。上海の目抜き通りである南京西路のマクドナルドが入る百貨店に勤める女性は二十三日朝、「中国は食の安全の問題が多すぎる。外資だと思って安心してマクドナルドの商品を食べていましたが、中国製の原料に問題があったなんてショックです」と話していた。

◆食肉加工品輸入 1年で6千トン

 中国上海市の食肉加工会社「上海福喜食品」が使用期限切れの肉類を供給していた問題で、厚生労働省は二十三日、七月までの一年間に同社から約六千トンの食肉加工品が輸入されていたと明らかにした
(東京新聞)



 ウォールストリートジャーナルからも引用。ウォールストリートジャーナルの該当記事

上海福喜の期限切れ肉への懸念、日本にも拡大
2014 年 7 月 23 日 13:36 JST

 米食肉大手OSIグループの中国現地法人「上海福喜食品」が消費期限の切れた肉を顧客企業に納入していたとされる疑惑を受け、同社との関係を断ち切る企業が増えている。食品安全の問題で知られる中国市場で会社の評判を守るためだ。

 ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の親会社である米ヤム・ブランズと、マクドナルドの中国部門は21日に上海福喜からの納入を停止。こうした動きは22日には日本にも拡大した。日本マクドナルドはこの日、上海福喜が納入したチキンナゲットの販売を中止したと発表した。影響は10%の店舗に及んだ。

 米マクドナルドのドン・トンプソン最高経営責任者(CEO)は、22日の決算会見で、この件について、だまされたと感じていると述べた。広報担当者は「当初報道からすると、あったとされる不適切な行為はマクドナルドに分からないように行われていたようだ」と話した。同社は、調査で中国当局と協力しているという。

 OSIグループの中国の担当者は22日のコメント要請に応じなかった。21日には、中国メディアが極端な例を報じているとの見方を示しながらも、全ての責任を負い適切な処置を講じると述べていた。


 まず間違いなく、親会社であるOSIグループは確信犯だろう。個人に罪を被せようとしても、それは無理というものだ。

 さて、ここで考えるべきことは何か。

 マクドナルドやファミリーマートが該当するメニューを販売停止することで問題は解決するのか。 
 中国のこの会社からの輸入を停止することで、食の安全は確保できるのか。
 該当する鶏肉を使っていないケンタッキーや他のコンビニの食品なら安全なのか。
 この杜撰な管理は、上海の工場特有の問題なのだろうか。

 いずれも「否(ノー)!」である。

 ファストフードの構造的な問題に、現場の取材を元に切り込んだ好著がある。
 流通経路全体において、大企業がどんなシステムで食材を加工しているのか、その過程で労働者がいかに差別され搾取されているのか、などについて、2001年に初版発行された本が、あらためて読まれるべき時ではないだろうか。
 
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エリック・シュローサー著『ファストフードが世界を食いつくす』(草思社文庫)

 ジャーナリストのエリック・シュローサーの『ファストフードが世界を食べつくす』は昨年草思社文庫で再刊されて手に入りやすくなった。私も文庫で読んだ。

 目次は次の通り。

[目次]
はじめに
第1章 創始者たち
 スピーディーサービス/模倣者たち/成功のしるし
第2章 信頼に足る友
 マクドナルドとディズニー/よりよい生活という幻想/子どもの顧客をねらえ/完璧な相乗効果/
 ブランドの精神/マック先生とコカコーラ人
第3章 効率優先の代償
 スペースマウンテン/生産量第一主義/おだて—安上がりの秘訣/嘘発見器/
 無気力な若者が増えていく/内部犯罪/楽しくやろう
第4章 フランチャイズという名の甘い誘惑
 新たな信仰への献身/政府融資による自由企業/プエブロの外の世界
第5章 フライドポテトはなぜうまい
 孤立農家の過ち/記憶に刻まれる風味/一〇〇万本のフライドポテト
第6章 専属契約が破壊したもの
 専属供給の圧力/ミスター・マクドナルドの胸/市場の支配/裕福な隣人という脅威/
 断ち切られた絆
第7章 巨大な機械の歯車
 IBP革命/札束の袋/離職率一〇〇パーセント/芳しき匂い
第8章 最も危険な職業
 よく切れるナイフ/最もむごい仕事/見つかるな/腕一本の値段/ケニーの場合
第9章 肉の中身
 新たな病原体にとっての、格好のシステム/国民的食べ物/子どもたちを殺す病原菌/
 必要と考えるすべての費用/意思の問題/なぜ自主回収されないか/放射線“低温”殺菌/
 子どもたちが食べているもの/キッチンの流し
第10章 世界的実現
 マクドナルドおじさんの世界戦略/晒し者/脂肪の帝国/マック名誉毀損裁判/牧場への回帰
終章 お好きなように
 科学的社会主義/何をすべきか/どのようにするか
訳者あとがき



 「はじめに」から、まず引用。

 本書は、ファストフードについて、それが具現化する価値観や、それが築いてきた世界について述べた本である。ファストフードはアメリカ人の生活に革命的な影響を及ぼしてきた。わたしは商品という面からも、象徴(メタファー)という面からも、これに興味を抱いている。人々の食べるもの(あるいは食べないもの)は、どの時代でも、社会的要因、経済的要因、技術的要因の複雑な相互作用によって決定される。初期のローマ共和国は、そに市民である農民に養われていた。ローマ帝国の場合は、奴隷に養われていた。一国の食生活は、ときに、芸術や文学よりも意味深い。現代アメリカでは、いついかなる日をとっても、成人人口の約四分の一がファストフード店に足を踏み入れている。ファストフード産業はかなりの短期間に、アメリカ人の食生活ばかりか、国の風景、経済、労働力、大衆文化までも変容させてきた。


 アメリカの“風景、経済、労働力、大衆文化”にまで影響を与えるファストフードについて、これほどまで真正面から取り上げた書はないだろう。

 「第6章 専属契約が破壊したもの」から引用する。世界最大の鶏肉加工業者タイソンフーズにまつわるエピソードが紹介されている。タイソンフーズはOSIグループよりもはるかに大きな食肉加工業者である。もちろん、OSIがタイソンの仕組みを真似ていることは言うまでもない。

 1992年、アメリカ人の鶏肉消費が初めて牛肉を追い抜いた。 マックナゲット用の契約を獲得したのをきっかけに、タイソンフーズは世界最大の鶏肉加工業者となる。現在、国内向けマックナゲットの約半分を生産し、レストラン・チェーン大手100社のうち90社に鶏肉を納入している。垂直統合が完了していて、鶏の孵化、解体、加工までを手掛けている。ただし、鶏の飼育まではしない。飼育に必要な設備投資と財務リスクを引き受けているのは、数千人の“独立請負業者”だ。
 タイソンと契約した養鶏業者は、鶏舎こそ自前だが、中で飼っている鶏は自分の所有物ではない。大手加工業者の例にもれず、タイソンも、契約業者に一日齢の雛を送り届ける。孵化したその日から屠られる日まで、鶏は一生を養鶏業者の敷地内で過ごす。それでも、所有しているのはタイソンだ。タイソンが飼料を提供し、獣医を派遣し、技術上のサポートを提供する。給餌日程を決め、設備の更新を求め、“家畜指導官”を雇って、会社の指示がきちんと実行されているかどうか確認させる。タイソンの派遣したトラックがやってきて積み荷の雛を降ろし、七週間後にふたたびやってきて、解体を待つばかりの若鶏を運び去る。加工工場に着くと、タイソンが鶏の羽数を数えて体重を量る。養鶏業者の収入は、ここで勘定される羽数と体重、消費飼料費をもとに、一定の計算式に従って算定される。


 まさに、機械的な養鶏の姿が、そこにある。そして、タイソンは鶏肉をファストフードに安定供給するために、養鶏業者をほぼ完全な管理下に置くのである。

 養鶏業者が提供するのは、土地と、労働力と、鶏舎と、あとは燃料だ。大半は借金を負い、一棟あたり約一五万ドルを投じて鶏舎を建て、二万五〇〇〇羽程度を飼育している。ルイジアナ工業大学が一九九五年に行った調査によると、養鶏業者は平均して一五年間にわたって養鶏業を営み、鶏舎を三棟建てて、なおかなりの負債を抱え、年収が一万二〇〇〇ドル程度だった。国内の養鶏業者の約半数は、わずか三年で廃業し、いっさいを売り払うか、失うかしている。アーカンソーの地方の田舎道を行くと、取り残された鶏舎の廃屋がそこここに散らばっている。
 養鶏業者が銀行からローンを取りつけるには、多くの場合、大手加工業者とあらかじめ契約を結んでいることが条件となる。


 零細な養鶏業者は、生き残るためにタイソンやODIなどの大手食肉加工業者の仕事を受けるようになる。
 そして、昼なお暗い養鶏場で、機械的に無理やりエサを与えられ、通常の生育期間よりはるかに短期間に食肉にされる鶏たち。
 そこには手塩にかけて鶏や豚や牛を育てるという思想はまったく排除される。
 その機械的につくられた“消費期限内”の鶏肉を、マックやケンタッキー、そしてコンビニで買って食べているのだ。

 消費期限の問題以前に、ファストフードの食材に関しては、流通経路全体に安全性に限らない数多くの問題がある。
 
 今回の件が、あらためて、「私は何を食べているのか?」「私は子どもに何を食べさせているのか?」という素朴な疑問を思い起こすきっかけになれば良いと思う。
 
 TPPによって、アメリカの大手食品会社、食肉加工業者がアメリカ流の「食品」を日本市場で展開しようとするだろう。
 彼らが好きな言葉は、効率、大量生産、低コスト、マニュアル、など。
 それらの言葉と相反する日本の畜産や農業はいったいどうなるのか。手塩にかけて安全な食材をつくっている日本の農家や養豚、養鶏業者などが経済の論理、自由競争の名のもとに生きづらくなるのである。

 何を食べ、何を食べないか、これは重要な問題だ。
 
 この本の内容は、今後も紹介したい。自分たちがいったい何を食べているのかを、あまりにも知らない人が多すぎるように思うのだ。
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by koubeinokogoto | 2014-07-23 12:26 | 食の安全について | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛