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本日3月31日付の、原子力資料情報室(CNIC)からのメッセージを全文掲載する。
原子力資料情報室サイトの該当ページ

原子力安全委員会よ、口先だけの反省より、行動を起こせ
—原子力資料情報室からのメッセージ(4)

2011.3.31

原子力安全委員会は何をしているのか? 多くの人々がこう感じてきた。ようやく少しは表に出てきたが、安全委員長は、事故対策を「東電の自主性に任せていた」、耐震安全性は「割りきらなければ設計できなかった」と語った弁が報道されている。責任回避だ。
これまでの反省の上に立って、安全委員会が今後どう行動するかがいま問われている。原子力資料情報室は、原子力安全委員会に以下の対応を早急にすすめることを求める。

1. 今回の地震が他の地震の活動を早めるとの地震学からの指摘がある。とりわけ、東海地震 はいつ起きてもおかしくない時期に来ている。にもかかわらず、中部電力は運転を継続しながら、耐震安全性を強化するという。しかし、いま 原発震災が再発すればどうなるのか、その惨事はもはや疑いえない。同原発の耐震安全性強化のチェックとこの実施は浜岡原発を停止して行うように求めること。同時に、原子力安全委員会は耐震安全性および過酷事故への対応強化含めて早急に安全総点検をすること。

2. 現場での作業は過酷を極めている。事態が長期化することは明らかだ。この被曝環境の中では、多くの作業者が必要になる。原子力の専門家を含めて原子力産業に従事してきたOBなども動員して、作業員の確保を急ぐこと。

3. SPEEDIはほとんど役に立たなかったが、しかし公開された評価結果によれば、広がった汚染状況の中で、妊婦と子供たちなど、すぐに避難させた方がよい地域がある。加えて、福島第一原発の置かれている状況は非常に厳しい。最悪の事態が確実に避けられる保証はない。M7クラスの余震 の可能性もこの事態をいっそう危惧させる。30km内は当然のことながら、最悪の事態を想定して、さらに広域の避難計画を実施すること。

4. メディアからは、「専門家」が放射線被曝による「健康影響はない」、「発がんのリスクはない」と繰り返し主張している映像が垂れ流されている。「専門家」に、このような曖昧な科学を語らせ続けてよいのか。 この結果、関心のある人たちには、いっそうの不安をあたえ、関心のない人たちは「専門家」の言葉を信じて、比較的高い空間線量が観測されているにもかかわらず、子供たちを屋外で遊ばせている。発がんのリスクを正しく伝えること。

5. 原子力安全委員会は、毎日、定時に記者会見を開け。かつ、必要に応じて、緊急記者会見を開くこと。

認定特定非営利活動法人原子力資料情報室
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
TEL.03-3357-3800 FAX.03-3357-3801



 まったくその通りである。マスコミで、浜岡原発周辺に住む人々を取材したニュースを、私は見ても聞いてもいない。しかし、周辺に住む多くの人々は、「もし福島のように・・・・・・」という大いなる不安に苛まれていると察する。
 浜岡を停止することで、「計画停電」が増えてもしょうがないと思う。しかし、確実に特定地域の特定時間で停電が実施されるることが、最低一週間前には案内されるような管理をして欲しい。そうすれば市民も企業も、計画的な生活や活動をすることで協力できるはずだ。起るか起らないか分からないことが、今の日本の市民生活と産業を弱体化させているように思う。

 浜岡原発に関する対応、あるいは無対応にストレスを感じていたので、CNICのこのメッセージはうれしい。その他の原子力安全委員会への提言も、まったく正論であろう。

 原子力安全委員会のサイトを見ると、トップページには、「○月○○日、災害対策本部に出席した」とかいう文章が無駄に羅列されている。何か会議で提言(アドバイス?)した場合には、わざわざPDFを開かなくてはならず、その内容も「えっ、これだけ?」ということばかり。このサイトで見る限り、この組織は「会議に出ることが仕事」と勘違いしているし、情報は極力公開しない、という姿勢もバレバレなのだ。
原子力安全委員会のサイト
 このサイトには、この組織の立場と使命が書かれているので、念のため紹介する。

<原子力安全委員会について>
 原子力安全委員会は原子力基本法、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法及び内閣府設置法に基づき設置されています。原子力を安全に利用するための国による規制は、直接的には経済産業省、文部科学省等の行政機関によって行われていますが、原子力安全委員会は、これらから独立した中立的な立場で、国による安全規制についての基本的な考え方を決定し、行政機関ならびに事業者を指導する役割を担っています。このため、内閣総理大臣を通じた関係行政機関への勧告権を有するなど、通常の審議会にはない強い権限を持っています。

 原子力利用における国の安全規制は科学的合理性に基づくべきであることから、専門的かつ大局的な見地から判断を下す役割を担う5人の原子力安全委員会委員が、国会の同意を得て総理大臣により任命されています。また、原子力安全委員会の下には、法律によって設置が定められている原子炉安全専門審査会と核燃料安全審査専門審査会が置かれ、関連する分野について深い見識を有する専門家が参加して原子炉施設と核燃料物質の加工や再処理施設等の安全性に関する調査審議を行っています。さらに、耐震安全性、放射線防護、放射性廃棄物の処理・処分等、多くの分野にわたって、それぞれ深い見識を有する専門家の議論に基づいて、国による安全規制についての基本的な考え方を、原子力安全委員会の文書、報告書、安全審査指針等としてとりまとめ、公表しています。


<原子力安全委員会の使命>
 我が国の原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主・自主・公開の三原則の下に進められ、エネルギーの確保などを通じて国民生活の水準向上に寄与しています。国は、原子力利用の大前提である安全を確保するため、原子炉や核燃料物質等の利用については、法律に基づく規制を行います。原子力安全委員会の使命は、原子力利用時の安全確保を確実なものとすることにあります。
 原子力利用に際しては放射線や放射性物質の発生を伴うことから、万一の事故などでこれらが人々の健康や環境に悪影響を与える可能性(リスク)の存在を完全に否定することはできません。原子力安全の目標は、このようなリスクを社会が容認できる水準に抑えることにあります。この目標を達成し、さらに高い安全の水準を目指すためには、原子力利用に関わる事業者と規制に関わる行政機関が、共に安全確保のためにより効果的な方策を生み出して実行に移す努力を続けることが必要であり、さらにこのような努力について国民に知っていただく必要があります。
 原子力安全委員会は、専門家の立場から、科学的合理性に基づいて、安全確保のための基本的考え方を示し、改善・是正すべき点については提言や勧告を行うことによって、行政機関や事業者を指導します。また、情報公開や国民との対話を進め、原子力安全への信頼を高める努力を続けます。


 あえて太字で、下記部分を繰り返す。

独立した中立的な立場で、国による安全規制についての基本的な考え方を決定し、行政機関ならびに事業者を指導する役割を担っています。このため、内閣総理大臣を通じた関係行政機関への勧告権を有するなど、通常の審議会にはない強い権限を持っています。


 その「強い権限」を、この非常時に発揮しないで、いつ発揮するのか?!

 もう一つ、太字リピート。

原子力安全委員会は、専門家の立場から、科学的合理性に基づいて、安全確保のための基本的考え方を示し、改善・是正すべき点については提言や勧告を行うことによって、行政機関や事業者を指導します。また、情報公開や国民との対話を進め、原子力安全への信頼を高める努力を続けます。

 
 どんな「情報公開」をして、「国民との対話」を進めているのか?


 福島は「事後」の対応、浜岡はすぐにでも「事前」の対応をすべきだ。マダラメだかデタラメだかしらないが、しっかり仕事をしろ、と言いたい。
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案の定、読売が原発擁護のための情報操作的に記事掲載を行っている。オバマが大学で行った発言の紹介、という体裁だが、こういう記事に惑わされていけない。
YOMIURI.ONLINEの該当記事

それでも…オバマ大統領は原発推進路線を堅持

福島原発
 【ワシントン=山田哲朗】オバマ米大統領は30日、ワシントン市内のジョージタウン大学でエネルギー安全保障について演説、「米国は電力の5分の1を原子力エネルギーから得ている。原子力には大気中の二酸化炭素を増やすことなく電力を作る重要な能力がある」と指摘し、原発推進の姿勢を堅持する考えを表明した。

 福島第一原発の事故で米国内でも原発の安全に懸念が高まっていることに対しては「安全は必ず確保する。調査結果や教訓を、次世代の原発の設計、建設に役立てる」と述べた。

 また、中東政情が不安定になり原油価格が高騰している問題については「今から10年少しで、石油輸入量を3分の1削減する」とし、2025年までに石油の輸入量の3分の1を減らす方針を示した。

(2011年3月31日11時22分 読売新聞)



 オバマとはいえ、原爆を作り、戦争で実際に使用した国の大統領なのだ。そして、日本という、アメリカの原発関連産業にとっての大得意先を持つ企業は、オバマの大事な有権者でもある。

 この発言は事実なのかもしれない。しかし、急ぐかのように掲載するメディアには、確実に意図的なものがある。背景にはいろんな組織の影も見え隠れする。

「安全は必ず確保する。」


 という発言が、どれだけ根拠の薄い精神論、あるいは願望であるかは、高木仁三郎さんの著者などを元に今後少しづつ書いていきたい。
 ちなみに、ニューヨーク・タイムズから、この部分の英文を少し前から引用すると、次のように説明されている。

Alluding to the crisis in Japan, Mr. Obama said nuclear power must remain an important source of electricity in the United States because it does not add climate-altering carbon dioxide to the atmosphere. But, he said, “I’m determined to ensure that it’s safe.”


 果たして、“I’m determined to ensure that it’s safe.”の日本語訳が、「安全は必ず確保する」で適切なのかも疑問だ。あえて言えば、「安全を確保しようと決心した。」という訳になるだろう。まぁ、大意は違わないが、英語の和訳段階でも微妙な操作をする場合があるので、油断せずできるだけ原文を確認しないとね。特に読売は。
 何と言っても、原子力委員会(原子力“安全”委員会、ではありません)の初代会長が正力松太郎である。今や、彼がアメリカによる操作によって、日本での原発普及役の重要な役割を演じていたことが、ほぼ明白になっている。ほぼ、アメリカの“スパイ”に近い存在で、特別なコードネームさえあった。この件は別途書こうと思っている。

 いずれにしても、海外での出来事を、そのまま紹介しているだけであり、そこには何らか主張や、解説めいたものすらない、たれ流し記事。読売は、こういうのが特に多い。「アメリカで○○が、こう言った。」以上、終わり、である。彼らに重要なのは、どの内容を載せるかという選択。その選択の基準は、他のメディアとは相当違っているように思う。また、その“見出し”の付け方にも意図的なものがあり、同じニュースを扱う場合でも、読売の見出しには読む者をなんらかの方向にリードしようという魂胆が見え隠れしている。そういった確信犯的な意図がない場合でも、読む者がどう思うかという気配りが少ない場合が多い。他のメディアでも今回の震災・原発事故の報道ではそういう面が見られるが、顕著なのがヨミウリだと思う。
 
 人間は“忘却”という、時には好ましい特性を持つが、原発擁護派のマスコミは、そういった国民のスキをついて、情報を操作することがあることに注意したい。

 この問題は、単純にYES or NOで考えるべきことではなく、いろんな議論を表出させて、将来の日本の姿を展望していく中に答えを見つけ出す必要があるだろう。「本当に、電力需要はどんどん増え続けるのか、あるいは、そうあるべきなのか?」という生活の質を含む議論にまでいかなければ、「増え続ける電力需要にどう対応するか?」という質問からしかスタートできなくなり、歴史は繰り返すことになるかもしれない。
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ある程度覚悟していたが、とうとうプルトニウムが検出された。今、マスコミへの報道規制がかかっていると思われるので、「炉心溶融(メルトダウン)」という言葉がほとんど使われていない。特に、カタカナのほうは各媒体で皆無に近い。しかし、3月12日には、原子力安全・保安院の中村審議官が「炉心溶融」の可能性を認める発言をした。
3月12日の日経の該当記事
 その後、週刊誌などの記事をネットで拾うと、菅首相の逆鱗にふれ、「国民に不安を与える」とかなんとかいう理由で、中村審議官が更迭されたらしい。これは、週刊誌ネタなので信憑性は何とも保証できないが、今までの状況を見ると十分にありそうな話ではある。私がブログで書いた中村審議官の3月12日夜の会見の歯切れの悪さは、きっと政府からの脅しによって、何も本当のことを言えないための混乱だったのだと、今だから察することができる。ある意味では、彼も被害者だ。

 パニックに陥るのを懸念すること自体は理解できるし、私も自分のブログが風評被害の片棒を担ぐのは望まない。しかし、福島原発事故発生以来の隠蔽体質には、やはり言いたいことがある。「プルトニウム」の検出は、少なくとも「冷却材喪失事故」の発生が、ほぼ間違いがないことが裏づけられたのだと思う。もちろん、だからと言って、やみくもに「大変だ!」と叫ぶつもりはない。

 今もっとも気になるのは、未だに「ただちには健康には影響がない」といった虚しい言葉が繰り返されていることである。国策としての原発での事故における政府や関連省庁や傘下の行政法人、そして東電の隠蔽体質に、もう国民は騙されるわけにはいかない。しかし、ここで認識したほうが良さそうなのは、原発や核兵器工場などでの放射性物質による被害は、日本のみならず世界中で、その国や関係機関から隠蔽される歴史がある、ということだ。
 その事例を紹介したい。ようやく読了した高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』(1981年、岩波新書より発行)、から、「第四章 核文明のジレンマ」の「Ⅰ プルトニウムの毒性」で、核兵器工場におけるケースが、次のように紹介されている。 高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』(岩波新書)

ウィンズケールの労働者

 イギリスの核兵器工場は、以前からずさんな放射線管理が問題となっていたところだった。そのひとつ、ロンドンの西約80キロにあるオルダーマストンの核兵器研究施設で、1978年の8月に、労働者のプロトニウム被曝が明るみに出た。ようやくこの年になってから、この施設では全身の被曝を測ることのできる装置を採用してプルトニウムの内部被曝を調査し始めたのだが、9人の男性と3人の女性の肺の中に、許容量を越える被曝が見出されたのだった。うち3人の女性は、洗濯施設で働いていたのだが、許容量の2倍を超えるプルトニウムが肺の中に見出されたのだった。彼女たちは、未だガンを生じていないが、それ以降その恐怖に脅えながら生きていかなければならないことになった。
 この事件と前後して、イギリスでは原子力労働者の死をめぐる法的な係争事件が目立つようになった。ジョナサン・トラウトンは、ウィンズケールのプルトニウム燃料取扱い施設で働き、骨髄腫で1972年に死亡した。彼の死は、プルトニウムの被曝によってもたらされた疑いが濃厚だった。このケースは法廷にもちこまれたが、1977年にイギリス核燃料公社は、2万2500ポンドの補償を支払って和解した。この金額は会社が全面的に被曝の責任を認めたことを意味したが、会社は被曝とガンの因果関係を認めること自体は拒んだ。
 マルコム・パティンスンはやはりウィンズケールの再処理工場で働いていて、36歳で白血病で死んだ。裁判の判決が出される直前に会社は、未亡人に6万7000ポンドを支払って和解する道を選んだ。この時は会社も因果関係を否定できなかったが、判決に明記されることを嫌がったのだった。その他にも2つの和解のケースが成立したが、判決まで会社が争ったことはなかった。会社側も、1960年から1978年の間に、57人の労働者がプルトニウムを体内被曝したことを認めている。そして、いま10件以上の死が法廷にもちこまれているという。しかし、今なお、「プルトニウムが原因で死亡したと認定されたケースはひとつもない」ということが、プルトニウム安全神話の有力な根拠となっているのである。


 高木さんは、この他にも、アメリカのロッキー・フラッツ平原にあるダウケミカル社のプルトニウム工場周辺で、放射能で汚染された地域でのガン発生率が他の地域平均より上回っているにもかかわらず、政府やダウケミカル社からは「統計的に十分有意とはいえない」として無視されていることなども指摘している。

 国策(≒国家プロジェクト)として原発を推進している以上、政府(どの政党だろうと)や関連組織は、日本に限らず、事故によるネガティブな情報をひた隠しにする傾向にある、ということ。そして、隠蔽するにあたって、金で口を封じたり、場合によっては結構乱暴なこともしかねない、ということだ。あえて例を出すなら、映画の世界とはいえ、『チャイナ・シンドローム』におけるジャック(ジャック・レモン)のことを思い出して欲しい。「あれは、フィクションだろう!」とは言えないことが、今後危惧される。
 
 被曝した3人の作業員の方々が昨日退院し、「健康に問題はない」というアナウンスが早々に出されたりすることから、すでに怪しい動きを感じるのは私だけではないだろう。
 今の困難な状況まで解決のメドが立たないのも、こういった「隠蔽体質」が原因の一つである。現場の劣悪な環境下で生命を削りながら仕事をしている人たちが、出来る限り被害を蒙らないことを祈るし、そしてもし被害を受けた場合は、相応の国によるケアが当然である。加えて、その現場の人たちが味わった事故の実態が、何らかの強い力で封じ込められないようにしなければならない。隠そうとするなら、国民は束になって暴かなければ、地震と原発事故の被害者の方たちに申し訳ないと思う。
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3.11以降のブログで何度も名前を出している「原子力資料情報室」(CNIC)は、故高木仁三郎さんが設立した組織である。CNICのサイトには、「高木仁三郎の部屋」がある。
「高木仁三郎の部屋」
 その「部屋」には、「歩み」として、高木さんが一貫して歩いた人生、“原子力の平和利用”がいかに危険で脆弱なものかを訴え続けた沿革、が記されている。

あえて、この「歩み」の全文を掲載したい。

年譜 高木仁三郎が歩いた道
『原子力資料情報室通信』317号(2000/10/30)にもとづく

1938 7月18日、群馬県前橋市に開業医の子として生まれる。
1957 群馬県立前橋高等学校を卒業し東京大学理科一類に入学。
1961 東京大学理学部化学科を卒業(核化学)。日本原子力事業(NAIG)に
   入社しNAIG総合研究所核化学研究室に勤務。
1962 G. Seaborg "The Transuranium Elements"(1958)を神田の
   古書店で購入。
1965 7月、東京大学原子核研究所助手となり宇宙核化学を研究。
   朝日学術奨励金を得たプロジェクトでアルミニウム26の検出に従事。
1969 論文「宇宙線ミュー中間子と地球物質との反応生成物の研究」で
   理学博士号取得(東京大学)。7月、東京都立大学助教授に就任
  (理学部化学教室)。このころ同人誌『ぷろじぇ』に参加。
   三里塚闘争にかかわり始める。
1972 5月から独ハイデルベルクのマックス・プランク核物理研究所
   客員研究員(73年5月まで)。
1973 8月末をもって東京都立大学を退職。主に翻訳で生計を立てつつ
   雑誌原稿などを執筆。
1974 プルトニウム問題を考える自主グループ「プルトニウム研究会」
   を組織。
1975 「プルトニウム毒性の考察」(岩波書店『科学』5月号)。
   8月、京都で「反原発全国集会」。9月、原子力資料情報室が
   設立され(武谷三男代表)、専従世話人となる。
1976 内部告発による美浜原発1号の燃料棒折損事故を追及。
   ◇プルートーンの火(社会思想社教養文庫)
1978 反原発運動全国連絡会『反原発新聞』創刊。編集長を務める
  (88年まで)。
1979 3月28日、米スリーマイル島原発事故。
   ◇『科学は変わる』東経選書[社会思想社教養文庫1987]
1980 ◇スリーマイル島原発事故の衝撃[編著](社会思想社)
1981 ◇プルトニウムの恐怖(岩波新書)/危機の科学(朝日選書)
1982 ◇元素の小事典(岩波ジュニア新書)[新版1999]
   /わが内なるエコロジー(農山漁村文化協会人間選書)
1983 ◇核時代を生きる(講談社現代新書)
1984 ◇核に滅ぶか?[前田哲男との対談]径書房
1985 9月、日比谷公会堂での「三里塚・東峰裁判完全勝利をめざす集会」
   実行委員長。
   ◇単位の小事典(岩波ジュニア新書)[新版1995]
    /いま自然をどうみるか(白水社)[増補新版1998]
1986 4月26日、チェルノブイリ原発事故。秋、ヨーロッパを訪問。
   ◇チェルノブイリ—最後の警告(七つ森書館)
   /森と里の思想[前田俊彦との対談](七つ森書館)
   /原発事故——日本では?(岩波ブックレット)
1987 1月、原子力問題の講師養成のため「反原発出前のお店」開講。
  5月、原子力資料情報室の代表に就任。
   ◇われらチェルノブイリの虜囚[水戸巌らと共著](三一新書)
   /科学の「世紀末」[関曠野との対談](平凡社)
   /あきらめから希望へ[花崎皋平との対談](七つ森書館)
1988 4月24日の反原発運動全国集会(原発止めよう2万人行動・
   日比谷公園)事務局長。脱原発法制定運動を提起。
1989 ◇巨大事故の時代(弘文堂)
1990 ◇食卓にあがった死の灰[渡辺美紀子と共著](現代新書)
1991 原子力資料情報室とグリーンピース・インターナショナル共催
   「国際プルトニウム会議」(大宮市)。
   ◇下北半島六ケ所村・核燃料サイクル施設批判(七つ森書館)
   /核の世紀末—来るべき世界への想像力(人間選書)
1992 多田謡子反権力人権賞を受賞。◇マリー・キュリーが考えたこと
  (岩波ジュニア新書)
1993 1月、「日本の脱プルトニウムへ向けた希求と、日本政府の
   プルトニウム政策転換を求める強い意志を表わすため」
   (「脱プルトニウム宣言」)科学技術庁前でハンスト。
   9月、原子力資料情報室がシンポジウム「今、なぜプルトニウムか」
   を開催(日本原子力産業会議と共催)。
   『マリー・キュリーが考えたこと』でサンケイ児童出版文化賞を
   受賞。
   ◇反原発、出前します!—高木仁三郎講義録(七つ森書館)
1994 ◇プルトニウムの未来—2041年からのメッセージ(岩波新書)
1995 11月、国際MOX燃料評価(IMA)プロジェクトを開始。研究代表
   を務める。
   イーハトーブ賞を受賞。
   ◇宮澤賢治をめぐる冒険—水や光や風のエコロジー(社会思想社)
1996 ◇もんじゅ事故の行きつく先は?(岩波ブックレット)
1997 11月、IMA最終報告書"Comprehensive Social Impact Assessment
   of MOX Use in Light Water Reactors"(MOX燃料の軽水炉利用
   の社会的影響に関する包括的評価)を発表。
   12月3日、長崎被爆者手帳友の会平和賞を受賞。
   12月8日、スウェーデンでライト・ライブリフッド賞を受賞。
1998 1月、「オルターナティブな科学者を育てる」高木学校の呼びかけ。
   7月、大腸ガンが発覚。8月末日をもって原子力資料情報室代表
   を退任。
   9月、科学者の声明「科学技術の非武装化を」(岩波書店『世界』
   9月号)に参加。
   12月、高木学校Bコース第1回連続講座「化学物質と生活」で
   「プルトニウムと市民」を講演。
   ◇このままだと「20年後のエネルギー」はこうなる(カタログハウス)
1999 2月6日、NHK教育TV「未来潮流:科学を人間の手に−高木仁三郎・
   闘病からのメッセージ」。
   声明「成田空港の滑走路暫定案を白紙に戻すよう訴えます」(8月
   発表)を起草。
   9月7日、原子力資料情報室が特定非営利活動法人の認証を受ける。
   9月30日、茨城県東海村のジェー・シー・オー東海事業所で臨界事故。
   『恐怖の臨界事故』を口述。9月から、高木学校Bコース第2回連続
   講座「エネルギーと生活」。
   ◇市民の科学をめざして(朝日選書)/市民科学者として生きる
   (岩波新書)/恐怖の臨界事故(岩波ブックレット)
2000 4月28日、青森地裁での核燃料サイクル施設許可取消訴訟で証言。
   7月2日、第9回田尻賞を受賞。7月発表の地層処分問題研究
   グループ報告書『「高レベル廃棄物地層処分の技術的信頼性」批判』
   に論文「現在の計画では地層処分は成立しない」を執筆。
   10月8日午前0時55分、東京都中央区の聖路加国際病院で死去。
   ◇"The Criticality Accident at Tokai-mura−1mg of uranium
    that shattered Japan's nuclear myth," J.Takagi and CNIC
   (CNIC)
   /原子力神話からの解放—日本を滅ぼす九つの呪縛(光文社
    カッパブックス)/証言—核燃料サイクル施設の未来は
   (七つ森書館)/鳥たちの舞うとき(工作舎)
   /原発事故はなぜくりかえすのか(岩波新書)

参考:
高木仁三郎『市民科学者として生きる』岩波新書(1999)
原子力資料情報室『脱原発の20年』原子力資料情報室(1995)



 先日、神保町の古書店で、『プルトニウムの恐怖』(岩波新書)を買ってきたので、今読んでいるところだ。 
 その「第四章 核文明のジレンマ」の冒頭は、次の引用文で始まっている

「核エネルギーは、一連の決め手の装置がうまく動作し、かなめの位置にいる人々が完全に指示を守り、サボタージュもなく、輸送中のハイジャックもなく・・・・・・、革命も戦争もない場合に限って安全といえる。
 <神の行為>は許されない。」
-H.アルフヴェン(電磁流体力学に関する業績で知られるスウェーデンの物理学者)
(注 「神の行為」とは、天災など不可抗力のできごとのこと)

 

 福島原発事故の恐怖は、いぜん去ろうとしていない。しかし、この不安感が残っているうちに、日本再生のためのエネルギー問題を考えることも重要かもしれない。
 そのために、高木仁三郎という人と著作を知ろうと、私は今思っている。
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本日25日午前中の枝野官房長官の会見に関する記事である。
ASAHI.COMの該当記事

原発から20~30キロ圏内の自主避難呼びかけ 枝野氏

枝野幸男官房長官は25日午前の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所から半径20~30キロ圏内の住民に対して自主的に避難するよう要請した。これまで同圏内は「屋内退避」を指示していたが、枝野氏は「避難を希望する人が増加するとともに、商業・物流に停滞が生じ、社会生活の維持継続が困難となりつつある」と説明した。

 自主避難については24日夜、対象地域の市町村長に要請したという。枝野氏は「今後の事態の推移によっては放射線量が増大し、避難指示を出す可能性も否定できない」と述べ、今後放射線の影響で避難が必要になる可能性があるとの認識を示した。

 菅政権は12日に20キロ圏内の住民に避難を指示。15日には20~30キロ圏内の住民に屋内退避を指示していた。枝野氏は今回の要請について「屋内退避の指示をだした時点と比べて、状況が新たな段階に入っているということはない」と述べた。しかし、圏内の住民や自治体にとっては、事実上、避難指示を受けた場合と同じ対応を求められることになる。今後、政府の判断の遅れが問題になるのは必至だ。

 枝野氏は会見で、政府として対象地域の生活支援に取り組むとともに、避難指示を出した場合の準備を加速させ、避難指示に踏み切った際の移動手段や、受け入れ施設の確保に向けた努力を徹底するよう関係機関に指示したことも明らかにした。

 20~30キロ圏内への対応については、野党7党が24日の各党・政府震災対策合同会議の実務者会合で、「政治判断で避難勧告を出すべきだ」と見直しを要請。民主党の岡田克也幹事長は「政府に伝える」と応じていた。



 「自主避難」の「呼びかけ」というのは、“屋内にいればそんなに危険ではないけど、今後のことを考えて、避難しいたい人は自分で勝手に避難してはいかがですか。」ということなのか?
 記事中の文章を再度確認する。
 

枝野氏は「今後の事態の推移によっては放射線量が増大し、避難指示を出す可能性も否定できない」と述べ、今後放射線の影響で避難が必要になる可能性があるとの認識を示した。


 こういう認識なら、「避難勧告」を出すべきだろう。野党が噛み付くのも当然である。国が責任を持って避難する国民を援助すべきだろう!
 そもそも20km~30km地域の人達の不安を煽るだけ煽ってきて、この場に及んで「自主避難」などという言葉しか使えない政府って何なのか・・・・・・。
 菅がよく使っていた「最大限の努力」とか言うのが、これか?

 原子力資料情報室では、20日の段階で次のメッセージを発信している。
原子力資料情報室サイトの該当ページ

福島原発の危機に際して日本政府に要求します
— 原子力資料情報室からのメッセージ (3)

2011.3.20

 多大な努力にもかかわらず、福島第一原発で、プルトニウムをふくむ燃料を装荷している3号機から放射能が大量に放出される危険性が増大しています。特に心配されるのは、20から30キロ圏内で屋内待避を強いられている方々であり、可能な限りすみやかに遠方へ避難するべきと考えます。妊婦、小児、児童から優先的に避難できる手立てを取ることを私たちは政府に求めてきました。改めて強く政府の決断を求めます。

 30キロ以遠でも相当量の放射能が届く恐れのある地域からは、やはり避難の必要があります。条件を整えて迅速に避難できるような体制をとることを求めます。
(なお、短時間この地域に立ち入って救援活動を行うことによる大きなリスクはないと考えます)


認定特定非営利活動法人原子力資料情報室



 とにかく、秩序ある、そして安全な場所への避難が可能なうちに政府は国民を危険な状態から救うべきだ。もし、30kmから避難該当地域を拡大する必要があるなら、避難先の手当てを含め真剣に早急に検討して、アナウンスすべきである。「風評被害」を巻き起こしている張本人は、政府ではないのか。
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原子力資料情報室が、本日25日19:00から日本外国特派員協会(有楽町電気ビル北館20階)で、記者会見をするらしい。Ustreamで見るつもりだ。
 今起こっていることに関して、政府の御用学者やエセ専門家、そして各テレビ局の記者など、これまで妙に楽観的なことばかりを言っていた人たちよりは、ずっと信頼できることを言ってくれるはずだ。
原子力資料情報室サイトの案内ページ

報道各位

3/25(第7回)福島原発に関する記者会見
Press conference with English interpreting

福島原発に関する記者会見(第7回)を下記のとおり開催いたします。

同時通訳が入りますが発言は日本語です。
国内メディアの方もご参加いただけます。
ぜひご取材ください。

CNIC will hold a press conference with English interpreting.
We are preparing to have it broadcast live on the following link

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独立行政法人で「原子力安全基盤機構」(JNES)という組織がある。“仕分け”されずに残ったこの組織の業務が、公式サイトにこう書かれている。原子力安全基盤機構公式サイト

主な業務

1.原子力施設及び原子炉施設に関する検査その他これに類する業務
2.原子力施設及び原子炉施設の設計に関する安全性の解析及び評価
3.原子力災害の予防、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関する業務
4.エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関する調査、試験、研究及び研修
5.エネルギーとしての利用に関する原子力の安全の確保に関する情報の収集、整理及び提供



 「3」の業務を、今ぜひ担ってもらいたいものだ。残念ながら「予防」では活躍できなかったようだが、「拡大の防止」「復旧」のためには、いくらでも仕事があるはず。
 この組織のサイトに、別の独立行政法人である日本原子力研究開発機構の野村さんという方が書いた「原子力災害対策の要点」という資料(PDF)があったので、リンクしておく。ちなみに、この資料には、「飲食物摂取制限に関する指標」なども含まれている。
原子力災害対策の要点(PDF)
 その中に、「原子力緊急時の防災体制」という図があるので、紹介したい。経産省のパンフレットを参考にしたようだ。
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 様々な混乱した状況下で、原発災害対策に、どんな組織がどのような責任や使命を帯びて活動し関係しているかが見えない中、この図はなかなか分かりやすいと思う。あの原子力安全委員会の名も見つかった。ただし、この図に書かれている、重要な災害対策の組織「オフサイトセンター」は、下記の記事のように、「物理的」には機能しなくなった。
福島民報の該当記事

オフサイトセンター機能せず
 原発の緊急事態の対応拠点となる国の「原子力災害対策センター(オフサイトセンター)」(福島県・大熊町)が震災で被害を受け、機能のほとんどが失われたことが16日、分かった。経済産業省原子力安全・保安院は「想定外の出来事だが、機能を発揮できないことは問題だ」としている。
 保安院は11日の地震発生直後、オフサイトセンターに現地災害対策本部をセンターに設置した。しかし、停電が起き電源車による発電を試みたが、電気系統が復旧していない。衛星回線を使った原発関係の被害の情報収集は可能だが、それ以外の県災害対策本部と結ぶテレビ会議や市町村への情報提供など全ての機能を発揮できていない。
 このため、保安院は16日、対策本部を県庁本庁舎に移し、本部に参加している内堀雅雄副知事も福島市に戻った。
 センターは、国、県、市町村など関係機関が総合的に原発災害に取り組むことができる緊急事態応急対策拠点施設として国が管理運営している。
(2011/03/17 11:49)


 「コトバンク」によると、オフサイトセンターとは次のような組織、のはずだった。
オフサイトセンターとは(byコトバンク)

知恵蔵2011の解説.
2000年4月、原子力災害対策特別措置法において指定された施設。正しくは緊急事態応急対策拠点施設。1999年の茨城県東海村でのJCCの臨界事故を教訓として設置された。原子力災害発生時には、国、自治体、原子力事業者による事故拡大防止のための応急対策、住民の安全確保策などさまざまな緊急対策が必要となる。オフサイトセンターを拠点に、国、自治体、事業者、専門家など関係者が一体となって「原子力災害合同対策会議」を組織し、迅速に有効な手をうつ。原子力施設から20km以内に設置され、現在20カ所に設置されている。経済産業省原子力安全・保安院などに所属する原子力防災専門官、原子力保安検査官が常駐し、平常時は原子力防災訓練や防災業務研修にも使われる。
( 渥美好司 朝日新聞記者 )


 福島県庁に移った対策本部は、本来のオフサイトセンターの役割を果たすことはできそうにないだろう。
 しかし、当初の「オフサイトセンター」の条件は満たさなくても、原発の現場(オンサイト)と、離れた場所にいる政府や各組織、そして本来「オフサイトセンター」に参加するはずの専門家などが組織するチームとでネットワークされた新たな「オフサイトセンター」が組織化され、機能しなければならないように思う。
 私は専門家でないので、すでに名前は違えど同様の機能が補完されている、と言うことなのかもしれないが、どうもそうは思えない。
 もし、「オフサイトセンター」の不在が現在の混乱の真因なのであれば、あらためて機能としての「オフサイトセンター」再生は不可欠だろうと思う。

 「平時」の時に考案されていた“あるべき姿”がこの図なら、「有事」の今こそ、あらためて実質的な防災体制を復旧させることで、今の困難な状況を打破して欲しい。まったく、落語のブログの管理人が書くには、あまりに大それたネタだが、調べれば調べるほど、防災の原点に立ち戻る必要を感じて書いた次第。
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全国の放射能モニタリングへのリンクが可能なサイトを探して、原子力安全・保安院→経済産業省→文部科学省と“旅”をして、ようやく文科省のトップページにあるのを発見。
文科省トップページ(全国の放射能モニタリング結果)
 各県のより詳しいモニタリング情報は、それぞれの県のサイトにあるはずで、ちなみに私が住む神奈川県の情報は、下記の県のサイトの「防災・災害情報」のページに掲載されている。
神奈川県のサイトにある「防災・災害情報」
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まず、最初にお断り。風評被害を拡大するつもりは毛頭ない。水の放射能の測定によって広がる不安の元となる、「乳児はダメ」というお達しへの当たり前の不安、「じゃあそれ以外の子供や大人は大丈夫なのか?」ということに関して、各自治体や保健所がどんな指標を元にアラームを発しているかを確認したい。

 3月17日に厚労省は報道機関向けに次のような情報を発信した。
(実際の文章の体裁は下記URLでご確認ください。発信元の「医薬食品局食品安全部」以下の名称が、本当は右上にあるなど下記とはレイアウトが違っています。)
厚生労働省の3月17日の報道関係者への通達

平成23年3月17日
医薬食品局食品安全部
企画情報課 課長 吉野、佐久間(2441、2448)
基準審査課 課長 森口、渡、内海(2481、2484、4280)
監視安全課 課長 加地、大原、今村(2471、4241、4242)
(電話代表) 03(5253)1111
(直通電話) 03(3595)2326、2341、2337


報道関係者各位

放射能汚染された食品の取り扱いについて
(福島原子力発電所事故関連)


・ 平成23年3月11日に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により、周辺環境から放射能が検出されています。このため、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生法の観点から、当分の間、原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定規制値とし、これを上回る食品については食品衛生法第6条第2号に当たるものとして食用に供されることないよう対応することとし、別紙のとおり各自治体に通知しました。


 そこで、ここに言う「別紙」である。A42枚の資料は、最初のページが次のような文章。

別紙
食安発0317第3号 平成23年3月17日
都道府県知事
各 保健所設置市長 殿
特 別 区 長

厚生労働省医薬食品局食品安全部長 放射能汚染された食品の取り扱いについて 平成23年3月11日、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に係る内閣総理大臣による原子力緊急事態宣言が発出されたところである。 このため、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生法の観点から、当分の間、別添の原子力安全委員会により示された指標値を暫定規制値とし、これを上回る食品については、食品衛生法第6条第2号に当たるものとして食用に供されることがないよう販売その他について十分処置されたい。 なお、検査に当たっては、平成14年5月9日付け事務連絡「緊急時における食品の放射能測定マニュアルの送付について」を参照し、実施すること。


 そして、2枚目は、肝腎の下記の「飲食物摂取制限に関する指標」である
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 よくご覧のほどを。100ベクレル/kgを越える場合の乳児への警告は、「欄外」に書かれている注意事項。

 何を言いたいのか。新たな通達などがあったのかは知らないが、概ね現時点で地方自治体も保健所も、この指標を元にアラームを出しているだろう、ということを知っておくことも重要かと思う。乳児に関する欄外の注意で、“指導すること”なんて中途半端なことが書いているから、なおさら歯切れが悪くなるのだろう。

 このういう状況を踏まえれば、今の段階で「大人は大丈夫か?」と言われても、この紙切れに基づいたポジティブな答えも楽観はできない。なぜなら、放射性物質の量は変化するから。ある時点で基準内でも、時間経過で増えることも減ることもありえる。「安全」の2時間後に「危険」と言われたとしたら、「それって、いつから危険なの?」と混乱は増すばかりだろう。

 元になっているのが原子力安全委員会の資料。厚労省自らが数多くの情報を収集したり、何らかの実験をして発信している指標ではないのだ。原子力安全委員会が“放射能”のプロなら、この組織がより具体的な指針を出すなり指導をするべきかもしれない。(この組織のことは、まだよく調べていないので、あらためて書きたいと思う。) 

 ここは、しばらく慌てず“自己責任”の姿勢しかなさそうだ。危ない、と思ったら食べない飲まない、ということだろう。残念ながら、「大人は大丈夫」なんて言っている人がいたら、その人の“判断基準”は、必ずしも大丈夫とは言えないはずだ。「ただちには危険はない」の発言は、「ただちには信じられない」という状況だから。
 テレビでは、やたらと安心させようという“専門家”の発言が目立つが、そう言われれば言われるほど、眉にツバをしたくなるのが、今の国民感情であろう。正確なデータと、そのデータの解釈、そして危ないのであれば、「危ないから、○○してください。」、あるいは「危ないからXXはしないでください。」という発言を求めたいのが、今の状況。

 「暫定」ではなく、もっと明確な指標や注意・警告が早急に発信されることを待ちたいが、この「暫定期間」は長くなりそうな気がする。「パニックにならないでください」とテレビで言っている人たちこそ、冷静に的確な情報発信をして欲しいものだ。言葉と裏腹に不安な表情は、テレビでは隠せない。
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「原子力安全・保安院」の名は、度々の記者会見で今や(残念ながら)国民の多くが知ることになった。
 経済産業省の一機関であり、法令上は資源エネルギー庁の特別の機関、ということになるらしい。

 事故後の最初の記者会見のお粗末さについて以前に書いたが、毎日新聞が下記のように報じたIAEA会合での失態には、開いた口がふさがらない。
毎日新聞の該当記事

福島第1原発:原子力保安院、IAEA会合にお粗末対応
【ロンドン会川晴之】福島第1原発事故状況説明のため、国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)で21日開かれた各国外交団向けの技術説明会で、日本から初めて出席した経済産業省原子力安全・保安院の担当者が、日本語の資料を配布していたことがわかった。説明会の出席者によると、日本政府のお粗末な対応ぶりに席を立つ外交団の姿もあったと言い、日本政府の説明不足に対する不信感が高まっている。

 原発事故に関する日本政府の情報開示をめぐっては、米政府関係者が日本政府に、情報発信を強化するよう要請するなど、各国に不満が高まっている。IAEA加盟国にも同様の不満が高まっていることから、天野之弥事務局長が18日に訪日した際、日本政府と情報共有を図るため、日本人の調整官を日本に常駐させることを決めた。さらに、政府も保安院の担当官をウィーンに派遣することを決め、21日の各国向け技術説明会に初めて出席させた。

 説明会では、説明や質疑応答は英語で実施され、現在の概要を説明する英語版の資料が映し出された。だが、(1)福島第1原発周辺の放射線量測定値(2)福島県対策本部作成の福島県内測定値−−の2種類の日本語資料が配布された。

 日本語資料を基に韓国の代表団は、放射線量が上昇した時、原発でどのような事象が起きたのかと因果関係を尋ねたのに対し、保安院の担当者は「因果関係を詳しく把握していない。調査した上で回答する」と述べたという。

 IAEAは、日本政府の情報発信が少ないとの批判を受け、先週から加盟各国向けに技術説明会を土日も含めて連日開催している。日本政府に専門家派遣を強く要請したが、かえって不信を増幅した形になった。



 この組織にも、不眠不休で一所懸命に仕事をしている人もいるのだろうとは思う。しかし、国際会議に日本語の資料しか用意できないというところに、本来パニックに陥ってはならない管理組織の、未だに続くうろたえぶりが露見している。昔は政治が三流でも官僚は一流などと言われていたが、今やどちらも・・・・・・。監督官庁である経産省は、この会議に臨むにあたってどう管理・指導したのか?

 この組織の公式サイトにある「FAQ」(よくある質問)には、最初に次のようなことが書かれている。
原子力安全・保安院公式サイトのFAQのページ

組織と業務
安全規制の基本理念NISAの組織としての基本的な方針などがありましたら、お聞かせいただけないでしょうか。
NISAの業務は、四つの行動規範に基づいて行われます。第一は、強い使命感です。これには、常に国民の安全を第一に考え、緊張感を持って任務を行うこと、緊急時には安全確保のために積極果敢に行動することなどが含まれます。第二は、業務遂行の透明性です。これには、何事も秘密にせず、日々の業務執行状況について情報公開に取り組むことなどが含まれます。第三は、科学的・合理的な判断です。これには、安全確保を使命とする専門機関として、現場を正確に把握・判断することなどが含まれます。第四は、中立性・公正性です。これには、安全規制機関として常に中立・公正な判断を行うこと、産業界の利益追求をおもんぱかって判断を左右しないことなどが含まれます。



 果たしてここで掲げている
 (1)緊張感
 (2)透明性
 (3)科学的・合理的判断
 (4)中立性・公正性

 のどれが、今現在果たされているのだろうか・・・・・・。

 過去の失態を、重箱の隅をつつくように取り上げるつもりはない。まだ、災害が続いているのだ。君たちがしっかりしなくて、どうする!
 あえて、今後の大幅な改善を期待しての叱咤であり、小言である。頼むよ、ホントに。
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