幸兵衛の小言



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内部被曝問題、IAEAそしてWHOだって信用はできない!

私の以前のブログで、「内部被曝」の問題を指摘したところ、丁寧なコメントをいただいた方が、参考にWHO(世界保健機関)のレポートを紹介してくださった。英文で180ページ近い、チェルノブイリ事故調査報告を中心とするレポートのようだ。読もうとは思っていたが、なかなか時間もなく読まずにいた。きっとWHOという機関が信頼できる、という前提でのご紹介なのだろうと思っていたが、WHOレポート自体の信憑性について疑いを持たざるを得ない情報を目にして、読むことをやめた。

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肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』
 
 肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』の「第4章 被ばくは私たちに何をもたらすか」から引用する。

 WHOはチェルノブイリ事故の後、ベラルーシ共和国で増加した小児白血病に関しても、数年間もチェルノブイリ事故が原因だということを認めなかった。ちなみに、チェルノブイリ事故後、ギリシャでは160パーセント、ドイツでは48パーセント、イギリスでは200パーセント以上も、小児白血病が増加している。これは正式な統計である。
 イギリスでは湾岸帰還兵たちが自分たちの健康被害に関する訴訟を起こし、2004年、はじめて劣化ウランの被害を裁判で認められた。最終的にWHOこそが、その被害を公認することが必要とされている。しかし、その当のWHOで放射線予防学の主席研究員だったケイス・ベイバーストック博士が、劣化ウラン弾は、「放射能と化学毒性を持つ劣化ウランを含むチリを吸い込むと、子供も大人も癌にかかる可能性がある」と警告した報告書を、WHOに差し止められたと「サンデー・ヘラルド」紙に語っている。
 加えて、「劣化ウランの放射能と化学毒性が考えられているよりも大きな害を人間の細胞に与えるという科学的証拠がますます増えている」としている。
 ベイバーストック博士は、2003年に退職するまで11年にわたりWHOの放射線と健康に関する主席専門官だった。彼は今、フィンランドのクオピオ大学の環境科学科で仕事をしており、最近はイギリス政府の新しく組織された放射性廃棄物管理委員会に任命された。WHOは他の二人の研究員との共著である研究の発表を許可しなかった。ベイバーストック博士はWHOがより力を持っている原子力推進側の機関、国際原子力委員会(IAEA)に脅かされたのではないかと疑っている。


 国際的機構だろうが国連の機関だろうが信用できるとはいえない、という教訓として印象深い。それはそうだろう、背後にプルトニウムを生み出し、原爆をヒロシマとナガサキに投下し、原発を海外に売り込み、莫大な数の劣化ウラン弾をイラクやボスニアに撒き散らしたアメリカが控えている。アメリカの原子力推進陣営は、核開発や原発建設に水を差す調査や提言、そして事実をもみ消し続けている。

 本書からもう少し引用する。原爆開発のマンハッタン計画に関する記述である。

 アメリカは莫大な予算を投じて、ドイツより先にこの原爆を完成させる事業にとりかかった。それは完全に秘密裏に行われなければならなかった。ニューヨークのマンハッタンに原爆製造チームの事務所が作られ、ここはマンハッタン計画のAと呼ばれた。その後、世界ではじめての大型原子炉が、ワシントン州、シアトルからおよそ350キロメートル東方に広がる砂漠の中に密かに建設された。これはB原子炉と呼ばれた。建設に携わった労働者の数はのべ13万人。砂漠の真ん中にブームタウンが出現しリッチランドと名付けられた。そして原子炉が立つ場所はハンフォード・エリア、通称「エリア」と呼ばれた。
 三年がかりで建設されたこの原子炉が長崎に投下された原爆のプルトニウムを抽出した。この計画を主導した科学者、オッペンハイマーとエンリコ・フェルミはハンフォードで作業すると必ず、ロス・アラモスのマンドール医師の所で「キレーション」という点滴を受けていた。これは体内の重金属を排出させる治療として知られている。二人は自分たちが被ばく、それも内部被曝していることを知っていたのだ。


 「安全」「ただちに害はない」と言っている陣営は、「危険」で「害がある」ことを知っており、自分たちだけは助かる方策を確保しようとする。そして、そのような歴史が、フクシマ以降の日本で繰り返されようとしている。

 残念ながら、今回の事故以降、「信頼」「公開」「公平」という言葉がどんどん我々の辞書から追いやられ、「不審」「隠蔽」そして「差別」という言葉で埋め尽くされようとしているように思う。一日も早く、日本人ならではの心に響く言葉を取り戻したいと願うばかりだ。
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by koubeinokogoto | 2011-05-31 10:46 | 原発はいらない | Comments(0)

現場作業員の命、そして国民の命を守るための施策を忘れるな!

東電の現場作業員に関する放射線管理の杜撰さに関するNHKの記事を以前に紹介したが2011年5月26日のブログ、その際に期待していたフォロー記事をNHKが発信しているので紹介したい。NHKオンラインの該当記事

被ばく検査 対象の40%以下
5月30日 21時18分

東京電力福島第一原子力発電所では、体の表面に受けた放射線量が100ミリシーベルトを超えた職員などを優先して、体内に入り込んだ放射性物質の量を計測し、全身の被ばく線量を調査していますが、計測装置が少ないうえに、検査に時間がかかり、検査を受けた人は対象の40%以下にとどまっています。

福島第一原発で、体の表面に受けた放射線量を示す「外部被ばく」で100ミリシーベルトを超えた職員は、30日までに30人に上ります。このうち3号機のタービン建屋の地下で高濃度の汚染水に足がつかった2人は、全身の被ばく線量が200ミリシーベルトを超え、最も多い人の被ばく量は240.8ミリシーベルトに達しています。東京電力は、外部被ばくで100ミリシーベルトを超えた職員や事故直後の3月に働いていた職員を優先して、体内に入り込んだ放射性物質の量を示す「内部被ばく」を計測する「ホールボディーカウンター」という装置4台を使って全身の被ばく線量を調査しています。しかし、この装置で検査を始めたのは3月22日になってからで、検査結果が出るまで1週間程度かかるうえ、検査場所も、福島第一原発では周辺の放射線量が高く計測できないため、職員は福島第二原発と小名浜コールセンターに移動して検査を受けています。このため、これまでに検査を受けたのは対象となるおよそ3700人のうち40%以下の1400人余りにとどまり、全身の被ばく線量の調査に時間がかかっているのが現状です。全身の被ばく線量が緊急時の限度の250ミリシーベルトを超える疑いのある2人も事故発生当初から業務に当たっていましたが、初めて内部被ばくの検査を受けたのは事故から1か月以上たった先月中旬でした。東京電力は内部被ばくの計測装置を、7月には5台増やすとしていますが、このほかにも内部被ばくの線量が高い職員がいるおそれがあるため、早急に検査体制を充実させることが求められます。

 
 「ホールボディーカウンター」が現時点で4台しかない(あるいは稼動可能なのが4台だけでという状況)ということが、今頃になってニュースで指摘された。他のメディアでは目にしたことがないと思うので、あくまで比較の問題だが、一応NHKを評価しよう。

 しかし、「ホールボディーカウンター」も実はガンマ線しか計ることはできない。内部被曝で脅威となるアルファ線、ベータ線の線量を計る術は今時点では、残念ながら存在しない(だから、”原子力村”の住人達は内部被曝の問題を「科学的根拠がない」とか言って騙すこともできる)が、ガンマ線ですら計測している人が半数に満たないのは、非常に重大な人命軽視の管理体制と言っていいだろう。

 フクシマは一日でも早く見通しをつけて欲しい。しかし、その「工程表」は、希望的観測と、その場しのぎの思いつきで立案されるべきではない。
 それは現場作業員の方の安全管理や、近隣のみならず風や潮流を考慮した海、土壌、大気の汚染状況への考察と対策を含めた、より広範囲かつ中期的な安全管理を行いながら計画されるべきであろう。

 「木」を見て、単に早期解決を焦るがために、現場作業員の方や汚染地域の人々、ひいては大気汚染の可能性のある関東や東北など「森」の”生命“を守るために配慮が不足することは許されない。「点」の問題解決だけでは、決して「線」や「面」に拡大している、もっと大きな危険を防ぐことはできない。
 「森」が見えていないがために、芋づる式に問題が発生する無駄を繰り返すことなく、「現場」の意見を最大限に生かして、全体を見通しながら、緊急性にも対処する体制をどう作るかが大事であろう。少なくとも、その発想が国のリーダーになくては困るのだ。もし、それができる菅に代わる政治的なリーダーがいるなら応援しようじゃないか。しかし、ただ単に「菅降ろし」そのものが目的の政争に時間と税金をかけている時間はない。

 今なら、まだ“最悪の最悪”は防げるかもしれない。しかし、現実は決して楽観できず、すでにチェルノブイリを越える事故に“人災”が拡大していることを我々は冷静に認識すべきだろう。原子炉3機のメルトダウンは過去にないし、3.11以降に放出された放射能の量は、史上最大であることは間違いがないだろう。
 
 その危機感を政府や官僚、東電経営陣などが認識していないのなら、市民と“市民科学者”の連帯しか、この状況から脱する道はないのかもしれない。しかし、そんなに日本人は馬鹿ではないはず、と一縷の望みを捨てずにいるのも事実だ。「熱い魂」と「氷のような冷静さ」が兼ね備わったリーダーはいないのか。一人では無理ならチームワーク、それも日本人の強みであったはず。とにかく、被害者と被害の拡大の両方を最小限にするために、必死に考え行動してもらいたい。
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by koubeinokogoto | 2011-05-30 22:07 | 原発はいらない | Comments(2)

23年前とはあまりにも違う「朝まで生テレビ」 、もうやめたほうがいい!

楽しみにしていた「落語者」の入船亭扇辰『三方一両損』を来週に飛ばしてまで行った「朝まで生テレビ」を収録していたので、なんとか辛抱して見たところだ。震災と原発事故以来で三回目らしいが、前の二回は見ていない。
 “激論 脱原発と日本の未来!!”というタイトルが、あまりも実態と違った粗悪な内容。とりあえず、出演者を並べてみる。
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司会(のような人): 田原 総一朗
進行: 渡辺 宜嗣・長野智子(テレビ朝日アナウンサー)
パネリスト:
<原発推進派らしい人たち>
大塚耕平(厚生労働副大臣)
宮崎慶次(大阪大学名誉教授、原子炉工学)
松本義久(東京工業大学原子炉工学研究所准教授)
渡部恒雄(東京財団上席研究員、元歯科医師)
澤昭裕(21世紀政策研究所研究主幹)

<原発反対派>
片山さつき(自民党・参議院議員、党影の内閣経済産業副大臣)
福島みずほ(社民党党首・参議院議員)
青山繁晴(独立総合研究所社長、原子力委員会専門委員)
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長、京大原子炉工学卒)
荻原博子(経済ジャーナリスト)
岸博幸(慶応大学大学院教授、元経産官僚)

<アドバイザリーメンバー(のような人)>
パスカル・グードルフ(在日ドイツ商工会議所広報マネージャー)
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 まず、原発推進派側の席にいる大塚耕平の歯切れの悪さが印象的だ。まぁ、今の状況ではしょうがないかもしれないが、こんなことなら出演しないほうがよかっただろう。 

 田原総一郎は、もう無理だ。77歳という年齢もあるだろうが、間違いが多いし、突っ込みも歯切れが悪い。パネリストにこれだけ間違いを指摘されていては、議論にリズムもでない。加えて、あまりにも勉強不足。3月12日の時点で当時の原子力安全・保安院の中村審議官が「炉心溶融」の可能性を記者会見で話したことを知らず、片山さつきに指摘されているようでは、肩書きの”ジャーナリスト“が泣く。

 まともだったのは、原発反対派で飯田哲也。この人は、今後のエネルギー政策論議でのメンバーになるべき人。そして、若干胡散臭いのだが青山茂晴も、まぁまぁ。福島みずほは途中までまぁまぁだったが、20ミリシーベルト問題から発展して「東京から避難すべきか?!」という田原の妙に熱い切り返しに、若干オタオタしたなぁ。岸博幸はもっと熱く発言して欲しかった。官僚経験者として、もっと指摘できることがあるはずだが、妙に冷静なのだ。

 原発推進派は、今の情勢もあるのかもしれないが人選を含め迫力不足。宮崎慶次は、田原と同様に、もうこういう企画で出演するには無理な老齢化を示している。逆に若手推進派の成長株(?)松本義久も、まだまだ青い。しかし、この人は反対派には手ごわい敵になる可能性がある。注意したい人物。

 本来“日本的”ディベート番組のはずが、司会者やパネリストの役不足でまともな議論になっていなければ、論点もあまりにも甘い。フクシマ以降、国民の多くは自ら原発のことを学んでいるということを、まったく知らないようなレベルの低い、つまらない内容で時間を浪費してしまった。録画データはもちろん消去する。

 冒頭で紹介されていたが、前回は石川迪夫が出演して、結構わめいたらしい。炉心溶融の可能性を指摘していたらしいが、それをオーバーに紹介する田原も田原なら、石川だって推進派として前線にいた時に災害対策を指導するなど、やるべきことはあったはずだ。彼が保身に走っているのは明白。

 5月5日にYouTubeにあった1988年10月28日の番組を紹介した。予想通り、すでに下記のURLにリンクしても見ることはできない。この動画は削除された。テレビ朝日が著作権侵害で申し立てたとあるが、その背景には、石川迪夫や加納時男の影が見え隠れする。
朝まで生テレビ1988.10/28 原発①

 あえて、23年前の番組の出演者、そして画像と私が付けたキャプションを、5月5日のブログから引用する。2011年5月5日のブログ

-----1988年10月28日の「朝まで生テレビ」---------------
<原発推進組>
石川迪夫(日本原子力研究所 東海研究所 動力試験炉部長)
板倉哲朗(日本原子力発電 取締役 技術開発本部副本部長)
加納時男(東京電力 原子力本部副本部長)
鈴木雄太(日本原燃サービス 取締役調査部長)
住谷寛(日本原燃サービス 常務取締役)
宅間正夫(東京電力 原子力業務部部長)
橋本寿(六ヶ所村 原子燃料施設 対策協議会会長)
大和愛司(動力炉核燃料開発事業団 東海事業所 安全管理部 安全対策課長)
山本正男(動力炉核燃料開発事業団 環境資源部長)

<中立組>
石川好(作家)
堀紘一(ボストンコンサルティング副社長)*ほぼ推進組、と言ってよい。

<原発反対組>
生越忠(地質学者)
久保晴一(青森県核燃阻止農業者実行委員会)
高木仁三郎(原子力資料情報室 代表)
槌田敦(理化学研究所 研究員)
暉峻淑子(埼玉大教授)
西尾漠(原子力資料情報室)
室田武(一橋大学教授)
山本コータロー(キャスター)

<盛り上げ組>
大島渚(映画監督)*ほぼ反対組。
野坂昭如(作家)
舛添要一(東京大学助教授)
*登場時間少なく、話も槌田さんとの“民主主義論”でのバトルが中心。

<司会のような人>
田原総一朗(ジャーナリスト)

当時50歳の高木仁三郎さんが頑張っている。
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 フクシマの後もテレビでご活躍(?)だった、この方の猫なで声は、23年前はもっと気持ちが悪い。
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 当時は東京電力側の論客だったこの人、その後経団連から政界に送られ、自民党の国会議員となって、“原子力の平和利用”を推進した。3.11以降、ご自身のホームページを閉鎖した。
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結構『岬めぐり』のこの人が鋭いことを言っていたが、今現在は何か発言しているのだろうか。テレビドラマでオヤジバンドしているのは知っているが・・・・・・。
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 安い深夜電力、というのは、動き出したら止められない原発による電力を使わせるための苦肉の策でもある。だから、深夜のテレビ放送は、そういった電力会社の口実を正当化しかねない。電力問題に関連し、こんなムダな番組を放送し私も含め少なからずの視聴者にも電気を使わせる。番組のクォリティを考えると、そろそろこの番組はやめるべきかもしれない。少なくとも、田原総一郎には議論をプロデュースする力も、適切な突っ込みをするセンスも、残念ながらすでにないように思う。

 この番組で「原発」をテーマにするのは、実はこの1988年以来23年ぶりらしい。だから、昨夜の番組でもっとも印象的だったのは、脱原発に舵を切ったドイツのパスカル・グードルフ(ドイツとフランスのハーフらしい)が、「23年もの間、この番組で原発をテーマにしなかったということが不思議?!」と言ったことだ。そうなのだ。この23年間、私を含め日本人はいったい何を議論してきたのだろう・・・・・・。しかし、これからしっかり議論しようじゃないか。原発はいらない。
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by koubeinokogoto | 2011-05-28 16:14 | 原発はいらない | Comments(2)

福島原発の吉田昌郎所長、負けるな!

週刊現代オンラインから、福島の現場で頑張る吉田所長の記事を紹介したい。週刊現代オンライン

吉田昌郎56歳。フクシマを仕切る最高責任者。第一原発のすべてを知る彼が判断を誤れば、再び爆発が起き、日本中に放射能汚染が拡がる。過労でキレかける現場を守り、本店と闘う。重すぎる責任、そして使命感。あまりのストレスにこの間、都内の病院に2度通った。ヨシダ、大丈夫か

ヨシダ、死ぬなよ!

 福島第一原発と東京電力本店の間では回線を結び、毎朝テレビ会議を行っている。4月20日、このテレビ電話会議の席上で、こんなやり取りがあった。

「『今後の余震と津波への対応』がテーマのひとつでした。

 本店のある部長が、『それでは(津波対策に)土嚢どのうを積もう』と提案したんですが、それに対して、ヨシダが声を荒らげたんです」(東京電力幹部)

 ヨシダは、突然怒り出した。

「ちょっと待ってくれ! 想定外の津波が来て、こういうことになったんだ。土嚢の積み増しでいいというなら、一度現地に来て、現状を見てからモノを言え! 机上のプラン、計画はもうたくさんだ!」

 会議室は一瞬、シーンと静まり返ったが、結局、ヨシダの言うとおり、「土嚢積み増し」案は見送りとなった。別の東京電力社員が、ヨシダの真意を解説する。

「ヨシダは、本店の幹部が福島第一に来ても、ほとんどが一泊することもなくすぐに戻ってしまうことに苛立っています。現場を知らずにモノを言うな、というのがホンネです。



 ほぼ同世代。「事件は現場で起こっているんだ!」という科白があったが、まさに彼が現場で必死に戦っている様子が想像できる。負けるな、ヨシダ!
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by koubeinokogoto | 2011-05-28 09:53 | 原発はいらない | Comments(2)

1ミリシーベルトで安心? (『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』より)

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肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』
 
 「20ミリシーベルト問題」は、まだグレイな部分はあるが、ひとまず「20」から「1」にキーナンバーが替わったことは、よしとしよう。しかし、では「1ミリシーベルトなら安全か?」という質問に、Yesとは答えにくいのが内部被曝の問題である。
 正解に近い答えは、「内部被曝は、ごく低線量の放射線でも危険性はある。放射能は浴びないにこしたことはない」ということになるだろう。

 「いくらまでなら安心なのか?」ということが多くの人の関心事だろうし、私だってそういう“しきい値”があれば知りたいと思う。しかし、そんな指標は存在しないということも含め、内部被曝の脅威については知る必要があるだろう。

 ちくま新書から2005年6月に初版が発行された本書は、ヒロシマで自らも軍医としてその日を迎え、その後、数多くの内部被曝患者の診療を経験した肥田舜太郎さんと、湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾の内部被曝によるイラクの人々の被害を明らかにしたドキュメンタリー映画「ヒバクシャ」を制作した鎌仲ひとみさんの共著。内部被曝に関して数々の有益な情報を提供してくれる。「第4章 被ばくは私たちに何をもたらすか」からの引用。

 人類史上、最大の人体実験ともいわれる広島・長崎への原爆投下があっても、内部被曝そのものに関しては長い間、言及されることはなかった。近年、ようやく内部被曝の存在が注目され、国際放射線防護委員会(ICRP)の見解とヨーロッパの科学者グループ、欧州放射線リスク委員会(ECRR)が出した見解がはっきりと二つに分かれるようになった。前者は内部被曝も体外被曝と同様に許容量を定め、後者は内部被曝の許容量をゼロ以外は安全ではないとしている。
 たとえば、たった一粒のプルトニウムが体内に入った場合、ECRRは体内で放出されるアルファ放射線がその人間に癌を発症させる可能性は十分にある、というのだ。ちなみに、この一粒はたばこの煙の粒子の20分の1の大きさしかない。
 ヨーロッパの科学者グループであるECRRが2003年に公表した報告によると、1945年から89年までに放射線被ばくで亡くなった人の数は6160万人になる。ICRPのこれまでの計算では117万人ということになっている。ECRRは現行の国際放射線防護委員会が設定する一般人の許容限度、1ミリシーベルト/年を0,1ミリシーベルト/年以下に、労働者の限度も50ミリシーベルト/年から0.5ミリシーベルト/年に引き下げるべきだと主張している。もし、これが実現すれば、原発の労働者だけでも100倍の人員が必要になる計算だ。これによって増加する人件費が原子力産業にとって経済的に見合わないことは明白だろう。
 だからこそ、ICRPは「合理的に達成できる限り低く保つ」と許容限度を勧告しているのだ。



 “6160万人 対 117万人”の差は、あまりにも大きい。ECRRとICRPと、どちらの主張を信じるかは人それぞれだろうが、もちろん私はECRRに軍配を上げる。ECRRの試算について、本書は次のように指摘する。
 

内部被曝を再評価したECRRの新たな考え方に基づいた計算によると、死亡者数は6160万人に跳ね上がり、そのうち子供が160万人、胎児が190万人となる。これは本当に私たちにとって「容認」できる許容量なのだろうか?このことこそが今問われているのだ。
 内部被曝に関するしきい値を死守することは、アメリカ政府にとって重要な課題であったことは簡単に想像できる。もし、内部被曝の人体に与える影響が明らかになれば、あらゆる核開発の障害になることは確実だった。内部被曝はアメリカ国家の最重要機密になり意図的で巧妙な隠蔽工作が続いてきた理由がここにある。
 広島・長崎における原爆の影響は局所的であり、放射能汚染は問題にならない、放射線そのもので死んだ人間の数は少なく、投下後、三、四週間で死ぬべき者は全て死んだなどとアメリカ政府は喧伝し、放射能の長期にわたる影響を完全にそして公式に否定した。


 ここで指摘されている通り、アメリカ政府は、ヒロシマもナガサキも、あくまで投下直後の体外被曝による被害しか認めず、アメリカにおける内部被曝被害についての数々の指摘についても、「科学的な根拠」がない、とか「統計的に誤りがある」などという理由で、私が何度か取り上げた「マンクーゾ報告」も認めるはずはなかった。ちなみに、本書ではマンクーゾが調査したハンフォードでの内部被曝被害についても取り上げている。その中で、1987年にアメリカ政府が公開した19000ページに及ぶ機密文書によって明らかになった驚くべき事実として、ハンフォードにある9つの原子炉が日々の操業のなかで放出した放射性物質の総量が、スリーマイル島の事故の1万倍にも相当していたことが紹介されている。データは公開しても、アメリカ政府は、その放射性物質と、この地域での白血病やガンの高い発症率との因果関係は、決して認めようとしない。

 こういった内部被曝に関する背景や歴史を知ることで、「1ミリシーベルトで大丈夫ですか?」と答えの存在しない質問を発するのではなく、子供たちが浴びる放射性物質を“限りなくゼロにする”よう努めるのが、今すべきことなのだと思う。
 
 なお、本書については、落語ブログ仲間の佐平次さんが何度か取り上げているので、ぜひご覧のほどを願います。佐平次さんのブログ
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by koubeinokogoto | 2011-05-28 08:39 | 原発はいらない | Comments(2)

福島原発の放射線管理は、30年前より杜撰ではないか!?

NHKオンラインに、福島原発の現場での放射線管理の問題が載っていたので紹介したい。
NHKオンラインの該当記事

放射線管理に問題 東電を厳重注意
5月26日 4時30分

 東京電力福島第一原子力発電所で女性社員2人が、一般の人が1年間に浴びる限度の3倍の被ばくをするなど、放射線管理に問題があったとして、経済産業省の原子力安全・保安院は東京電力を厳重注意するとともに再発防止策を指示しました。

 原子力安全・保安院によりますと、福島第一原発の施設で地震が起きた3月11日からおよそ10日間事務をしていた東京電力の女性社員2人が一般の人が1年間に浴びる限度の3倍にあたるおよそ3ミリシーベルトの被ばくをしていたということです。2人は放射線業務に当たるための登録をしておらず、原子力・安全保安院は「非常時とはいえ放射線管理の対応が遅れたことは問題だ」として東京電力を厳重注意しました。また、第一原発にある免震重要棟という施設で放射性物質の濃度が高かった4月3日までの間作業員に防護マスクを着用させるなどの措置をとっていなかったほか、福島第二原発でも屋外の放射線量が高かった3月21日までの間必要な放射線管理をしていなかったとして東京電力を厳重注意しました。そのうえで東京電力に対し放射線測定を行う作業員を増やすことや作業員の被ばく量の評価を一定の期間内に確実に実施するなどの再発防止策を指示しました。福島第一原発では、放射線業務に当たる登録をしていた女性社員2人が、国の規則で定められた限度の3倍から1.5倍にあたる被ばくをしていたことが分かっていて3月23日以降女性を勤務させない措置がとられています。


 この記事に関連して指摘したいことがある。
 (1)NHKは、もっと「20ミリシーベルト問題」について追求せよ
    この記事内にある「一般の人が1年間に浴びる限度の3倍にあたるおよそ
    3ミリシーベルト」
という内容から、NHKは一般人について「年間20ミリシーベルト」
    ではなく「年間1ミリシーベルト」を前提に記事を書いている。
    そうであるなら、「年間20ミリシーベルト」を子供にまで適用しようとしている暴挙
    についても、ぜひ報道して欲しい。

 (2)現状の管理の杜撰さも、継続して報道して欲しい
   昨夜帰宅して見たNHKの「ニュースウォッチ9」で、福島原発の現場作業員の過酷な
   実態が紹介されていた。ある意味、久しぶりに“マスコミ”でのジャーナリスティック
   なニュースであった。この手のニュースは週刊誌に多いが、どうしても“眉に唾”して
   読まれてしまう。“腐ってもNHK”が放送する効果は間違いなく大きい。

 その昨夜の「ニュースウォッチ9」は録画していなかったので、うろ覚えだが、次のようなとんでもない現場作業管理の実態が明らかにされていた。
・内部被曝の測定(堀江邦夫著『原発ジプシー』によると“ホールボディ測定”)を全員に実施していない
・原発作業員の勤務で必要な「安全教育」を受けていない人が多い
・火力発電所での仕事と騙されて福島原発に連れて来られた人がいる
・線量計を持たされずに現場作業をしていた人がいる
・防護マスクがはずれて、放射線を大量に浴びた人がいる
などなど。

 現在7,000人と言われる現場作業員の方々が、とんでもない環境で仕事をしている実態を、かいま見せてくれた。フクシマの早期問題解決のためには、現場作業員の一人一人の被曝を抑える人海戦術と、その仕組みを全体として支える人や施設が必須である。ホールボディ測定の設備や担当者数がどんな状況で、どのような体制で内部被曝を検査しているかなども、政府や経産省(安全・保安院)はしっかり管理・指導し、不足している設備やスタッフを補わないといけない。そういった全体の管理が不十分であると、結果として、作業員の方への被曝や作業負荷が増えて体調を崩し、その人員を補充する必要に迫られる。いわゆる「人夫だし」と言われる人集め担当の“親方”が、「火力発電所の仕事」などと騙してでも人をかき集める、という悪循環が繰り返されることになる。

 人の命にかかわるこのような杜撰な東電の管理を知ってか知らぬか、政府や経産省(安全・保安院を含め)、原子力安全委員会は、何ら手を打っていないようにも見える。いわゆる「木を見て、森を見ず」が果てしなく続いているのが、フクシマのような気がしてしょうがない。

 堀江邦夫さんが30年余り前に自分自身が原発の現場作業員を体験して書いた本が『原発ジプシー』である。私は古書店で入手して、ブログで紹介した。2011年4月5日のブログ
 すでにご存知の方も多いだろうが、初版の発行元である現代書館から“増補改訂版”が今月発売されている。また、講談社文庫から、オリジナルに加筆修正された『原発労働記』というタイトルの本も発行されている。
堀江邦夫著『原発ジプシー』(現代書館、増補改訂版)
堀江邦夫著『原発労働記』(講談社文庫)

 堀江さんが美浜、敦賀、そして福島で30年余り前に体験した時でさえ、いい加減な場合もあったとはいえ、「安全教育」は実施されていたし、放射線量を現場で管理する「放管(ホーカン)」が不在の時はあっても、作業員本人が線量計を身につけずに現場に入ることは、そう多くはなかったはずだ。そう考えると、現在のフクシマにおける放射線管理は30年前よりも杜撰だ、と言えるかもしれない。

 「工程表は変えない」などと、現場の実態を知らずにその場しのぎのことを言っていた菅は、今フランスの空の下、まったく先の見通しもなく抜本的なエネルギー政策論議も経ずに、「原発の安全管理を強化する」とか、「自然エネルギー」だとか、得意の“菅ピューター”による思いつきを、世界のリーダー達の前で言っている。うわべだけの説得力のうわ言を語るのと同じ軽薄さで、サルコジとは水面下で妙な約束をして帰ってくるかもしれない・・・・・・。ラ・アーグの再処理工場は、日本の原発の使用済み燃料を“保管”するだけでも、フランス財政への助けになる仕組みは、以前書いた通り。2011年5月8日のブログ

 淡い期待だが、昨夜の放送をしたNHKが、「フクシマで現在進行している生命軽視の杜撰な放射線管理」を継続して指摘していって欲しいと思う。もちろん、「20ミリシーベルト問題」も、である。
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by koubeinokogoto | 2011-05-26 08:52 | 原発はいらない | Comments(0)

山内知也神戸大学大学院教授へのインタビュー記事(神戸新聞より)

神戸新聞のサイトに、神戸大学大学院の山内知也教授へのインタビューを中心とする記事が掲載されているので、ご紹介したい。神戸新聞NEWSの該当記事

「子どもには年1ミリシーベルト適用を」山内神戸大教授

福島第1原発事故で放射線が検出された福島県内の小中学校について、国が屋外活動制限の可否を判断する目安とした年間の積算放射線量20ミリシーベルト。「子どもが浴びる線量としては高すぎる」「放射線の専門家でもそこまでの被ばくは少ない」などの研究者の懸念に対し、国は暫定措置であることを理由に譲らない構えだ。「子どもには年1ミリシーベルトを適用すべき」と4度にわたって国に申し入れている神戸大大学院海事科学研究科の山内知也教授(放射線計測学)に聞いた。(黒川裕生)


 年20ミリシーベルトは国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告する一般人の限度の20倍で、事故復旧時の「現存被ばく」の参考レベル上限値だ。

 ICRPは3月21日に公表した見解で「長期的な目標としての参考レベルは、年1ミリシーベルトに低減させることを視野に1~20ミリシーベルトの範囲から選択することを勧告する」としている。1~20ミリシーベルトの範囲なら、放射線感受性が大人より高い子どもには、厳しい基準である1ミリシーベルトを選択すべきだ。

 1ミリシーベルトが基準の場合、福島県内の大半の学校が対象になる。

 「学校の休校や疎開が必要になり、子どもが受けるストレスが大きい」と主張する専門家がいるが、この状況下では生命や健康を守ることを優先すべきだ。避難後の生活への不安からとどまっている人も多いだろう。「避難する人には補償する」と国がきちんと示す必要がある。補償の仕組みを明確にした上で、子育て世代を早急に県外に避難させた方がいい。

 現在の世界の放射線防護対策は、広島、長崎の被爆者の健康調査に基づく。

 例えば、100から200ミリシーベルト程度の比較的低線量の放射線を一度に浴びた場合、人体にどんな影響があるのか。「よく分からない」が研究者の共通認識だった。しかし米科学アカデミーが2005年の報告書で「たとえ低線量であっても安全といえない」と指摘している。それまでの概念を覆す内容だが、日本ではこのリポートはほとんど顧みられていない。

 旧ソ連・チェルノブイリ原発事故の影響を調べるため、スウェーデンの学者が同国北部の大規模な疫学調査をした。

 114万人を対象にした8年にわたる調査で、セシウム137の土壌汚染とがん発症率の間に関連がうかがえた。1平方メートル当たり100キロベクレルの汚染地帯では、がんの発症率が11%も高かった。

 国が5月6日に発表した福島県の汚染マップでは、1平方メートル当たり3000~1万4700キロベクレルの汚染地帯が帯状に広がり、原発から60~80キロ圏でもスウェーデン北部を上回る高濃度の汚染が確認できる。現行の避難計画が適切だとは思えない。あらためて基準や計画の見直しを求めたい。

【セシウム137要注意 半減期は30年】

 山内教授によると、当初被ばく線量が懸念された放射性物質のうち、ヨウ素131は半減期が8日と短いため、2カ月が経過した今、注意すべきは半減期が30年と長いセシウム137になっている。

 校庭の土に付着したセシウム137から受ける1年目の影響が年20ミリシーベルトと仮定すると、積算で小学1年生は小学卒業までに113ミリシーベルト、中学卒業までに164ミリシーベルトを受けることになるという。164ミリシーベルトは、胸部CT検査ならば10数回分に相当する。

 全体の放射線量が減少傾向にある中、国は「今の値を超えない限り、健康被害はない」として除染を見送っており、モニタリング調査や屋外活動の時間制限を重視する。

 山内教授は子どもの健康の観点から「放射線を教える者として、感受性の高い子どもにこのレベルの線量の被ばくを認めるわけにはいかない」と批判している。

(2011/05/24 10:15)


 久しぶりに、全面的に賛成できる新聞の記事だ。山内教授はMOX燃料の高浜原発での使用について反対活動をした科学者の一人でもあった。こういった科学者がいてくれると、心強い。

 「20ミリシーベルト問題」も含め、放射能被曝に関する、本来ジャーナリズムとして望ましいと思える記事は、朝日、読売、毎日にはほとんど掲載されない。そもそも主張の矛先が鈍く、あくまで状況説明的なものが多い。東電、関電他、広告主である電力会社への気遣いが優先しているのなら、彼らマスメディアの存在意義を、このさい検討すべきタイミングでもあるだろう。
 
 反面、地方紙のほうが、明確な主張をしていて、かつ関連情報を含め多くのスペースを割くことができる状況にあるようだ。例えば、新潟日報の柏崎刈羽原発に関する報道は高く評価されている。今後は、地方紙に少し目を向けて、適宜紹介しようと思う。

 「20ミリシーベルト」は許せない。これは国家の“殺人行為”であるという私の主張は、もちろん変わらない。
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by koubeinokogoto | 2011-05-25 18:24 | 原発はいらない | Comments(0)

福島の親たちの声に、高木文科相は答えよ!(5/23の要望書)

昨日5月23日、文科省への抗議行動があり福島からバスで駆けつけた方を含め650人が、「20ミリシーベルト反対」の抗議行動を実施した。
 毎日jpのみ、写真入りで記事にしているので紹介したい。毎日jpの該当記事

福島第1原発:20ミリシーベルト基準 父母ら撤回要請

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文科省職員(手前)に子供の20ミリシーベルト基準の撤回の
要望書を涙ぐみながら読み上げる福島から来た親子=東京都千代田区の
文科省前で2011年5月23日午後1時39分、木葉健二撮影
 

 東京電力福島第1原発事故で、学校の屋外活動を制限する放射線量を年間20ミリシーベルトとした文部科学省の基準は甘すぎるとして、福島県内の父母ら約650人が23日、東京・霞が関の文科省を訪れ、撤回を求める要請文を提出した。同省科学技術・学術政策局の渡辺格(いたる)次長は「最終的には1ミリシーベルトを目指して努力する」としたが、撤回の意思はないことを改めて示した。

 父母らは小雨の中、文科省前で約2時間にわたって「子どもの安全は保障できるのか」「大人と子どもの影響は違う」などと訴えた。福島市飯野町の斎藤夕香さん(38)は「基準を巡っては学校現場でも判断できない状況が起きており、撤回してほしい」と話した。

 文科省の基準は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した「年間許容量1~20ミリシーベルト」を根拠に決めたが、内閣参与の小佐古敏荘(こさことしそう)・東京大教授(放射線安全学)が「大人と子どもの基準が同じなのは納得できない」と反発して辞任するなど混乱が続いている。【鈴木梢】

毎日新聞 2011年5月23日 20時39分(最終更新 5月23日 21時55分)



 写真のキャプションにもある要望書の一つは、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が高木義明文科相宛てで提出したもので、その内容を「美浜の会」HPから紹介したい。
美浜の会HP

文部科学大臣 高木義明 様
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
代表 中手聖一


福島の子どもたちの被ばく最小化のための行動を直ちに執るよう要請します

 私たちは、自分たちの子どもを放射能から守りたい、ただただその一心で集まった福島の親たちをはじめとする市民団体です。私たちの苦悩と悲しみがどれほどのものか、大臣はお分かりでしょうか。

 貴省が4月19日に通知した「3.8μSv/h=年間20ミリシーベルト」の基準は、いわゆる安全基準として一人歩きし、私たちの愛しい子供たちは、部活や体育などで、校庭へグランドへと駆り出されています。校庭には毎時数十~数百マイクロシーベルトという、恐ろしいほどの放射線を放つ場所が、何の管理もされずに放置されています。校舎内の放射能汚染は日に日に進み、子どもたちは毎日毎日学校で被ばくさせられています。

 全国全世界から福島に集まっている関係者は、みな線量計で被ばくを管理しながら働き、その傍らで子どもたちは無防備のまま生活しています。このような異常な状態を作りだしたのは、大臣、貴省が出した"子ども20ミリシーベルト基準"によるのです。

 私たちの我慢ももう限界です。のんびりとモニタリングをしているときではありません。
 高木大臣、以下の被ばく低減策を直ちに行うことを決断してください。

一、今すぐ"子ども20ミリシーベルト基準"通知を撤回し、あらゆる被ばく低減策を、国が行ってください。

二、そのために、授業停止やいわゆる学童疎開・避難が必要なところは、躊躇なく行ってください。また、自主的に避難や疎開を行う者への経済支援を行ってください。

三、校庭削土をはじめとする除染作業、高放射線区域の隔離等を急いで行ってください。その際に集められた放射能は、国と東京電力が引き取ってください。

四、マスク・手洗い等の励行はもちろん、給食食材の配慮など内部被ばく防護策を徹底してください。

五、これらにかかった費用は、国が責任を持って負担し、東京電力に請求してください。

(11/05/24UP)



 何度か書いてきたが、子供に対する「20ミリシーベルト」容認は、国家による国民への「殺人行為」に等しい。あるいは、日本国憲法第25条1項「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という生存権に対する憲法違反である。

 放射線の「許容量」などは本来なく、できる限り被曝しないことにこしたことはない。特に内部被曝は、ほんの小量の放射性物質でも、後に白血病やガンの発生率が高まることは、ある意味で常識である。

 これまでに、例えば、高木仁三郎さんの著『科学は変わる』を引用し、アメリカで30年以上に渡る調査を元にした「マンクーゾ報告」による“倍加線量”との関係で、この値の恐ろしさを書いたことがある。2011年4月22日のブログ
 また、広瀬隆さんの『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』から、アメリカ東海岸の港町ポーツマスで、過去に原子力潜水艦の故障を修理した労働者達に白血病やガンが異常な率で発生したことに関する調査から、内部被曝の恐ろしさを紹介したこともある。その労働者たちの原潜修理中の被曝量そのものは、平均でたった2.11ミリシーベルトなのだ。2011年4月24日のブログ

 日本という国は、国民の、それも将来ある子供たちの命をどう考えているのだろう。この「20ミリシーベルト問題」が改善されない限り、ささやかなブログではあるが継続して抗議していきたい。

 23日の行動に協調した団体のHPにも、それぞれにこの活動のことが掲載されているので、関心のある方はどうぞご覧のほどを。
Green ActionのHP
フクロウの会HP
 原子力資料情報室のHPから、どんな活動が呼びかけられていたのかを確認できる。
原子力資料情報室の5/23行動に関するページ

 高木大臣は、即座に対応すべきであり、無言でいることは、大臣自身が“原発ペンタゴン”のメンバーであるとみなされても仕方がない。
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by koubeinokogoto | 2011-05-24 12:01 | 原発はいらない | Comments(0)

東電元副社長、武黒一郎の役割は、日本の“原発海外営業部長”である。

菅、斑目の保身、東電への責任なすりつけが露骨になってきた。昨日22日のasahi.comからまず引用。
asahi.comの該当記事

海水注入を中断、再注入 政府に伝わらず 3月12日
2011年5月22日0時39分

 政府と東京電力で作る政府・東電統合対策室は21日、福島第一原子力発電所1号機で3月12日にいったん始めた原子炉への海水注入を、東電が自主的に中断していたことを明らかにした。官邸にいた東電幹部から、経済産業省原子力安全・保安院などが原子炉への海水注入について安全性を検討するとの連絡を受けたためという。注入開始や中断の情報は当時、政府に伝わっておらず、連携の悪さが改めて示された。

 東電は午後3時36分に1号機の建屋が水素爆発した後、原子炉を冷やすため、発電所長の判断で午後7時4分、海水の試験注入を開始。ところが当時、官邸にいた武黒一郎・東電フェローから午後7時前後、保安院などの検討について電話連絡を受け、東電は同25分、注入をいったん止めた。武黒フェローが電話連絡をしたのは、だれかの指示を受けたものではなく、自主的判断という。

 菅直人首相が午後6時からの20分間に、経済産業省原子力安全・保安院などに海水注入の安全性検討を指示していた。班目春樹・原子力安全委員長に核分裂が連鎖的に起きる再臨界が起こる可能性を尋ね、「ある」と聞いたためという。

 保安院などが午後7時40分、検討の結果、問題ないことを首相に説明。同55分の首相指示などを受け、東電は午後8時20分、海水注入を再開。同45分に再臨界を防ぐホウ酸も加えた。

 東電は当時、再臨界の可能性はないとみており、幹部の連絡がなかった場合、「そのまま注入を続けた」と説明した。海水注入は、所長判断で行う決まりになっている。東電は最初の海水注入開始と停止について、保安院に口頭連絡したが、保安院側は「記録はない」と説明している。細野豪志首相補佐官も会見で「総理もずっと後になってから知った」と話した。

 海水注入は午後7時25分から約1時間中断したが、1号機は水素爆発した後で、東電が今月15日に公表した炉内の解析でも、すでに炉心溶融が起きた後になる。東電は中断による事故悪化の影響はなかった、と主張している。(小堀龍之)



 21日の発表に対して斑目は、「再臨界の危険性がある」という表現を、「再臨界の可能性はゼロではない」に訂正させセコく保身に走ろうとしているが、彼の「安全委員会委員長」としての罪はまったく消えない。

 もちろん、菅も負けてはいない。本日23日の衆院特別委員会での、谷垣の質問への回答ぶりを、毎日jpから引用。
毎日jpの該当記事

福島第1原発:海水注入中断…首相が指示否定 衆院復興委
 菅直人首相は23日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、東京電力福島第1原発1号機の炉心冷却のための海水注入が3月12日に55分間中断した問題について「私や首相官邸の会議のメンバーが注水を止めたということは全くない」と述べ、首相が東電に中断を指示したとの見方を否定した。内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は、海水を注入すれば「再臨界の危険性がある」と発言したと一時発表されたことに関し「首相から海水注入の問題点を洗い出せと指示があり、『再臨界の可能性はゼロではない』と申し上げた」と説明した。

◇「開始報告なし」
 復興特別委は、政府の復興基本法案や自民党の対案などを審議するために設置され、23日が初の実質審議。自民党の谷垣禎一総裁らは海水注入の中断が事態悪化を招いた可能性もあるとして、首相の責任を追及した。

 これに対し、首相は3月12日午後6時から官邸で行われた会議で、海水注入の開始まで1時間半程度かかると東電から指摘を受けたと説明した。実際には東電は午後7時4分に海水注入を始めていたが、官邸で検討が続いているとして同25分に中断。首相は自らの関与について「注入を始めたという報告は(東京電力から)私や官房長官、副長官に上がっていなかったので、(政府が注入を)やめろとか、やめるなとか言うはずがない」と否定した。

 一方、首相は復興基本法案について「自民党案のいい部分はしっかり受け止めたい」と述べ、修正協議に前向きな姿勢を示した。額賀福志郎氏(自民)が「今国会に2次補正予算案を提出すべきだ」と求めたのに対して、「今後どういう施策が必要か、皆さんの提案も受けて検討したい」と述べるにとどめた。【松尾良、吉永康朗】


 菅と斑目が、「責任は東電に全部なすりつけよう」ということで共闘を組んだのは間違いがないだろう。

 さて、朝日の記事で、ある人物の名が登場している。その名は、武黒一郎・東電フェロー。
 もし、菅が嘘をついていない場合、東電に海水注入の停止を指示(示唆?)したのは、この男のように、文脈からは推察できる。あるいは、菅が嘘をついている場合は、この男に海水注入停止を指示した可能性が高い。もし、東電と官邸との連絡役として彼が存在していたのなら、菅、斑目の責任を逃れるためのスケープゴートになる立場のようにも思える。
 しかし、そうはなならないだろう。なぜなら、武黒一郎は日本の原子力村の重要メンバーの一人だから。いわば、日本国株式会社「原発海外営業部部長」という役割を担っているのだ。中越沖地震で柏崎刈羽原発が停止した時に、東電副社長として、何の根拠もなく、「原発は安全だ」と嘯いていた男である。いわば、同じ東電副社長から政界に転じた加納時男の直系のような、原子力村の顔役である。

 昨年5月の読売オンラインの記事を紹介する。
読売オンラインの該当記事

原発受注会社の社長に武黒東電副社長

 電気事業連合会の森詳介会長(関西電力社長)は21日の記者会見で、海外で原子力発電所の受注活動を行うため政府や電力会社などが設立する新会社「国際原子力開発」の社長に、東京電力の武黒一郎副社長(64)が就任すると発表した。

 国際原子力開発は今秋設立予定で、資本金は1億円。東京電力を始め大手電力3社が中心となって出資する。森会長は「早めに新会社のトップを決め、(当面の対象となるベトナムでの)受注に向けて素早く対応したい」と説明した。(2010年5月24日 読売新聞)


 ベトナムへの売り込みが、3.11以前にどうなっていたか、産経の2月16日の記事を引用。
msn.sankeiの該当記事

ベトナム原発で協力協定、日本原電
2011.2.16 15:38

 日本原子力発電は16日、ベトナム電力公社(EVN)との間で原子力発電導入に関する協力協定を結んだと発表した。ベトナム政府は昨年、原発導入で日本の支援を受けることを決定。今回の協定締結はこれに沿ったもので、日本原電は事業化調査(FS)を請け負う契約を今年度中にも結ぶ。

 FSは1~1年半程度かけて行い、建設候補地の地盤調査、環境影響調査の結果のほか、必要な発電容量の試算、原子炉のタイプの選択肢なども提示する。ベトナム政府内で内容を検討し、日本の官民出資会社、国際原子力開発を通じて日本メーカーに建設を発注する。



 日本原子力発電(原電)とは、日本の9つの電力会社と電源開発の出資によって設立された連合組織。日本最初の原発である、解体中の東海発電所と、稼働中の東海第二発電所、そして敦賀原発は原電の所有である。
 3.11以降も、ベトナムは、2号機に関して日本に発注する考えに変更はない、と言っている。しかし、他の原子炉の受注を巡って韓国も熱心にアプローチしており、フクシマによるダメージは小さくないだろう。そもそも、ベトナムが原発建設推進の政策を変えないことに、大きな疑問を抱く。日本の二の舞になっていいのか・・・・・・。

 アメリカの“原発推進村”は、スリーマイル島事故以降の反対運動活発化や、プルサーマル計画の挫折、先行き不透明な使用済み核燃料廃棄問題などから、原発建設のターゲットを海外市場にシフトした。もちろん、日本は格好のお客さんとなった。
 そして、その日本の「政官財学マスコミ」による“原発ペンタゴン”は、アジアに目をつけ、原発を売り込もうとしている。その「死の灰」をアジアに拡散する旗振り役こそ、国際原子力開発社長の武黒一郎なのである。
 
 昨年10月、国際原子力開発の発足直後、朝日新聞のインタビューに武黒一郎はこう答えている。asahi.comの該当記事

海外原発受注、反攻なるか ベトナムの成否カギ
技術問題解決に自信——武黒社長に聞く
2010年10月23日1時47分

ベトナムからの原発受注を目指し、官民共同出資の「国際原子力開発」が22日発足した。日本は海外の原発受注競争で敗退が続いているだけに、ベトナムの成否が今後の原発輸出の試金石になる。

■官民一体の新会社発足

 国際原子力開発には、政府などが設立した産業革新機構、電力9社、原発メーカーが計2億円を出資。ベトナムは2030年までに14基の原発建設を計画しており、このうち南東部ニントアン省の2基の受注を目指す。
 国際原子力開発の武黒一郎社長(東京電力フェロー)に原発受注に向けた課題を聞いた。


 インタビューの問答は以下の通り。

——日本の強みは。

 「これから造る原発はきちんと設計、製造、管理すれば、80年間運転することも不可能ではない。その間にはいろいろな技術問題が起きうる。日本は50年にわたる原発の歴史があり、そうした課題をすべて解決してきた。造るだけでなく、変化に対応して解決していく能力がある」

 ——使用済み燃料の再処理工場は稼働時期の延期が続いています。廃棄物の最終処分場の場所も未定です。

 「原発の運転を始めても急に使用済み燃料がいっぱい出てくるということではない。相当な量は発電所内のプールで貯蔵できる。長い時間軸のなかで考えていくことで、対応することは十分可能だ」

 ——沸騰水型炉(BWR)、加圧水型炉(PWR)と、造る原発の炉型も異なるライバル同士が新会社に結集するが、足並みはそろいますか。

 「両方の炉型を提案できることは、この会社の強みだ。ベトナムではメーカー3社も含めて、一体となってやっていこうということで合意している」



 今でも、同じ質問に彼が同じ答えができるとは、到底思えない。使用済み燃料について「長い時間軸のなかで考えていく」ということは、解決策が見出せないから時間稼ぎをどこまでも継続する、ということだ。その間に「死の灰」はどんどん増えていくことになる。

 加納時男や武黒一郎といった「東電OB(フェロー?)」のネットワークは、原発を国内のみならず海外に売り込むことで利害を共有している。OBやらフェローというだけで、彼らが中堅企業の役員並の手当てをもらっているのは、あくまで彼らが原子力村に利益をもたらすからだ。彼らは結構しぶとい。ほとぼりが冷めると、またベトナムだ、モンゴルだと原発を売りに行くはずだ。加納と武黒の関係には、どうしても「親分」「子分」のような連想をしてしまう。今後、彼らのような一味のことを“原発マフィア”と呼ぶことにしよう。

 その国の危険と引き換えに日本が原発を売ることで原発マフィアが利益を得て、その結果として我々日本人は、ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマという歴史からも学べない情けない民族であると世界から思われるとしたら、こんな許し難いことはない。
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by koubeinokogoto | 2011-05-23 16:42 | 原発はいらない | Comments(4)

久住静代は「放射線影響学」の“看板”を下ろし、安全委員会は解体せよ!

こんな人が原子力“安全”委員会にいるから、国民の“安全”は守られない、というニュースをご紹介。
47NEWSの該当記事

政府の被ばく基準に批判相次ぐ 衆院特別委で専門家 
 福島第1原発事故を受け、政府が計画的避難区域や校庭の活動制限の基準に採用している「年間20ミリシーベルト」という被ばく線量について、衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会で20日、放射線医学の専門家らから「高すぎる」と批判が相次いだ。

 矢ケ崎克馬・琉球大名誉教授は、政府が根拠としている国際放射線防護委員会(ICRP)の基準について「内部被ばくを考慮していない」と批判。欧州は内部被ばくを考慮した別の基準を採用しており、外部被ばくだけで年間20ミリシーベルトというのは「とんでもない数字」と強調した。

 武田邦彦・中部大教授は「20ミリシーベルトで発がんリスクが高まるのは明らかなのだから、保護者が納得しないのは当然だ」とし、校庭だけでなく通学路などを除染する必要性を強調した。

 国の原子力安全委員会の久住静代委員は、日本人の数十%はがんが原因で死亡し「20ミリシーベルトが発がんに与える影響は小さすぎ、疫学調査で検出できないほどだ」と20ミリシーベルトという基準の妥当性を主張したが、崎山比早子・元放射線医学総合研究所主任研究官は「子どもの方が放射線感受性が強く寿命も長い。年齢による影響の差を考慮しない議論は論外だ」と反論した。

2011/05/20 13:19 【共同通信】


 この久住静代という人の言葉には、あきれるばかりだ。以前にも、“年間20ミリシーベルトで健康に影響が出るということはない”と言いながら、“決して、こども達に放射線量を年間20ミリシーベルトまで受けることを容認しているものでない。できるだけ、受けないように努めるべき”というまったく矛盾した発言をし、“暫定措置”などと訳の分からんことを言っていた。本人の意見なのか組織が言わせたのか分からないが、この人の言動を思うに、まったく放射能被害の“いろは”を知らないのか、あるいは知っていても知らないフリをする詐欺師としてか思えない。
 どんな人か、いちおう原子力安全委員会のサイトから略歴を調べてみた。原子力安全委員会HPの委員紹介ページ

久住 静代 (専門:放射線影響学)
1972.3. 広島大学医学部医学科卒業
1988.5. 日米共同研究機関・放射線影響研究所臨床研究部副部長
1989.4. 広島大学原爆放射能医学研究所非常勤講師
1996.4. (財)放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役
2004.4. 原子力安全委員会委員(常勤)


 おいおい、広島で勉強してきて、この有り様なの・・・・・・。この組織のサイトに、この行間に眠る実態が掲載されるわけもないが、少しネットで調べただけでも御用学者としての旗色は鮮明。この人には、「放射線影響学」の看板を即刻下ろしてもらいたいものだ。それとも、「放射線」を勉強して原発推進派の御用学者になることによる経済的「影響」を研究しているのかもしれないなぁ。

 今さらながらだが、未だにこの問題が解決されていないので、「福島老朽原発を考える会」(別名、フクロウの会)が4月25日に同会のサイトに掲載したメッセージを紹介する。福島老朽原発を考える会(フクロウの会)の4月25日のメッセージ

【福島原発震災(59)】皆20ミリシーベルトまで浴びなさいという姿勢
ご承知のように、一般公衆の線量限度は年間1ミリシーベルトです。これは、みんな1ミリシーベルト浴びなさいという意味ではありません。放射線防護の大原則は「できるだけ低く」です。0.1ミリシーベルトにできるのならそうしなければならないし、0.01ミリシーベルト、さらに低い線量にできるのならそうしなければならないのです。

今、福島で起こっていることは、単に、1ミリシーベルトの線量限度が子どもを含めて20ミリシーベルトに引き上げられただけでなく、「できるだけ低く」の大原則もかなぐり捨ててしまっているのです。福島県内では、これまで学校の校庭の使用を控えていたところがありました。それが、4月19日の文部科学省による、学校の安全基準を20ミリシーベルトにする通知により、校庭の使用を再開する方向に動いたのです。

放射能を少しでも低減するためにとっていた措置をやめて、より多くの線量を浴びさせているのです。皆20ミリシーベルトまでは浴びてもらいますよ、というのが文部科学省の姿勢です。しかもこれは外部被ばくだけで、内部被ばくを考慮するとさらに被ばく線量は増えます。

20ミリシーベルトで飯舘村は避難が決まりました。同じ20ミリシーベルトでも、福島市では、学校に子どもたちが通い、土ぼこりが舞う校庭で走り回っているのです。原発で働き、白血病で亡くなり、労災認定を受けた嶋橋さんの被ばく線量は、年間最多で9.8ミリシーベルト、9年間積算でも約50ミリシーベルトでした。

20ミリシーベルトといえば、国際放射線防護委員会(ICRP)のリスク評価でも1000人に一人がガン死に至る線量です。ICRPは過小評価が問題になっていますし、子どもに対する放射線からの影響が成人よりも大きいのは明らかです。リスクを10倍厳しく見ると、100人に一人がガン死ということになります。さらに多くのひとがガンにかかり、免疫不全による原爆ブラブラ病と呼ばれる症状がでることも懸念されます。これでも健康には影響ないといい続けるのでしょうか。


 まったく妥当な主張である。私も以前にいくつかの関係書籍から取り上げたように、20ミリシーベルトは、とんでもない値である。内部被曝も考えると、「暫定措置」などという訳のわからない理由は関係なく、あってはならない数値。 ICRPが緊急時の対応として、「年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトの範囲」という訳のわからない勧告を出したのを利用しているだけである。何かあっても、「ICRPに従った」と逃げるのは目に見えている。

 以前紹介した2011年5月3日のブログ小出裕章さん達「原子力安全研究グループ」のHPに、そのICRPの基準そのものが、この50年間で10倍に厳しくなっていることが、次のグラフを使って説明されている。
原子力安全研究グループHPの該当ページ
 
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 このICRPの設定する許容量の根拠に問題があることを、高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』から引用したい。なお、この本は重版されたので入手しやすくなったのは朗報である。高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』

許容量
 ここでは、許容量がどのような手続によって決められているか、したがって許容量をめぐるさまざまな論争がどんな根拠で生れるのか、ごく基本的なことを述べておこう。
 すでに述べたように、ごく微量の放射線もその電離作用によって生体、とくに遺伝子に影響を与えるから、決してこれ以下なら絶対安全という放射線量はない。そこで、各国の基準のもとになる勧告を出している国債放射線防護委員会(ICRP)では、利益と危険のバランスという考え方をとっている。その意味では、「許容」とは、原子力の利益と危険のかね合いで決る概念である。
 しかし、利益と危険のつりあいをいったいどうやってとれるかととなると、どうもはっきりしない。両者を共通のはかりにかけるための手続きも不明確だし、利益を得るもとの危険をこうむるものが、必ずしも同一人ではない。
 利益-危険のバランス論の有効性は疑問で、実際にはICRPも、ガン死の確率が年間1万人の労働者に1人(つまり1人につき1万分の1)というところで、「許容」の線をひいている。これなら他産業に比べて決して危険ではない、というわけである。この考え方を基本とし、ICRPは、自らの線量-効果の評価に基づいて、年間職業人の最大許容量を5レムと定めている。レムは、体に吸収される放射線量(ラドという単位を使う)と、その放射線の生物学的効果をかけ合わせて決る単位だが、ここでは単純に被曝線量を表わす単位と理解しておこう。100マイクロキューリーのコバルト線源から1メートル離れたところで1年間ガンマ線を被曝し続けると約1.2レムになる。
 ICRPの評価によれば、年間1レムの被曝によるガン死の確率はおよそ1万分の1(1万人に1人)になるから、許容量を5レムに設定すれば、労働者の平均としては一人あたり1レム以下となり、「安全な産業」であるというわけだ。放射線の規制は国によってやや異なるが、この年間5レム(職業人)というのが基本の前提となっている。一般に非職業人(公衆)では、その10分の1の年間0.5レムが、許容限度とされている。
 しかし、ここにも多くの論争が発生する。はたして年間5レム、すなわち2000分の1のガン危険率が、十分に安全な水準といえるのかどうかという問題もあるが、最大の論争点は1レムの被曝が1万分の1の危険率かどうかという点である。この線量-効果の関係の評価こそが歴史的にも最も中心的な争点になってきたことであり、また歴史とともに評価が難しくなってきた点だった。そしていまなおホットな議論が続いている。我々はいずれまた、この問題に立ち戻ることになる。


 高木さんの指摘の通り、この問題に、我々日本国民は立ち戻っている。本書の初版は1981年11月、30年前であるのでICRPの基準も今よりは緩い。職業人(≒原発産業従事者)の許容量5レムは、50ミリシーベルト、非職業人(公衆)の0.5レムは5ミリシーベルト。もちろん、この値に高木さんは疑問を呈している。

 現在は、紹介したように年間1ミリシーベルトがICRPの基準となっているのだが、久住委員が所属する「安全」委員会は「利益と危険のバランス」を量り、ICRP基準の最大許容値というとてもあてにならない数字を利用して、非職業人(公衆)の許容値を年間20ミリシーベルトに値上げ(人の命は値下げ)するにとどまらず、恐ろしいことに被曝による影響を受けやすい子供達にまでも20ミリシーベルトを適用しようとしている。これは、国家による国民への“殺人行為”に等しい。

 久住静代という人や原子力安全委員会が、「利益と危険」のバランスにおいて原発の利益に重きを置き、利益を得る側であってもけっして危険をこうむる側ではないことは間違いない。

 高木さんは「憎しみからは何も生れない」ということを、晩年主宰されていた“高木学校”でおっしゃっていたらしい。私もけっして憎しみやいっときの感情で、このブログを書いているつもりはない。日本復興あるいは再生は、今の子供達にかかっている。そして、原子力村、すなわち政官財学マスコミの“原発ペンタゴン”(→この言葉は、よく拝見している「ほめ・く」さんのフブログから拝借しました「“ほめ・く”さんのブログ」該当ページ)が主導したとは言え、結果として原発推進を許してきた我々市民にも、今回の事故の責任がないとは言えない。では、これからのことで何が貢献できるか、あるいは罪を償えるかとなると、その一つは将来のある国の宝の子供たちをいかに被害から守るか、ということだろうと思う。もちろん、出来る範囲で原発には反対していく。
 だから、個人攻撃ではなく、権力のある地位にいて、その子供たちを危険に追いやる似非科学者を批難しないわけにはいかないのだ。そもそも原子力安全委員会は即刻解体し、削減できた費用を復興支援に当てるべきだ。デタラメ委員長は、事故発生直後、菅に「燃料溶融」の可能性を示唆したなどと今になって言っているが、では、なぜその推測を元に実質的な対策を指導しなかったのか。保身のための発言としか思えない。

 今後の原子力安全問題は、危機においてまったく無力であったばかりでなく国民をミスリードしてきた御用学者など原子力村の“村民”には任せられない。市民の立場、あるいは百歩譲って原子力村の影響を受けない立場にいる科学者や、実際に原子力産業に携わってきて現場の問題が分かるエンジニア経験者、そして市民代表、かねてから原発の危険性を指摘してきたグループ、また海外の中立的な専門家などを交えて議論されるべきで、「危険」より自分たちの「利益」を優先する“国賊”達は退場すべきである。
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by koubeinokogoto | 2011-05-20 23:28 | 原発はいらない | Comments(6)


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