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原子力安全・保安院による中部電力、四国電力への“やらせ”指示、世論操作の件は、私の「出来レース」という読みに反して、もしかすると原子力村の仲たがいの始まりかもしれない。政府、官庁、電力会社が、お互いに罪をなすりつけ合うようになれば、この村の崩壊も早まるだろう。まだ実態はわからないものもあるが、少し先が楽しみになってきた。

 しかし、この程度の“やらせ”など、原子力村が原発建設のために過去にやってきたことから考えれば、まだまだ序の口の“悪事”である。
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 鎌田慧著『原発列島を行く』(集英社新書)
 以前にも紹介した鎌田慧さんの本書から、鹿児島川内原発建設のために原子力村が、どれだけのことをしてきたかを紹介したい。「第11章 三十年前からつづく電力の“秘密工作”」から。

 川内市議会が、全会一致で原発を誘致したのは、64年12月だった。九電が県と市にたいして、原発建設を正式に伝えたのは、それから、4年たった68年である。ところがその2年後の70年になって、こんどは九電側から、市へ火電の建設が申しいれられ、74年には運転を開始した。
 遅れてきた火電が、原発を追い抜いたかのようにみえる。が、実はそうではない。ふたつの発電所建設は、いわば漁民にたいする挟撃だった。火電の漁業補償額に、原発の補償分もふくまれていたのだから、騙し討ちといえる。
「このように交渉に時間がかかるのでは次の原子力の交渉の時困ると考え、横山市長を仲介として、火力、原子力を含めた一括の協定を結ぶことで話を進めた」
 これは、70年7月に、九電川内調査所長として赴任した、津崎邦武さんの『川内発電所建設回顧記』の一節である。この回顧記を引用しながら当時の様子を再現する。
 川内市漁協との漁業補償協定が成立したあと、内水面漁協(川での漁業権をもつ)の下流の組合員たち、2、300人が大挙して、彼の事務所に押しかけてきた。市長が人質のように同行させられている。
「我々は火力発電所については、九電との間に契約を結んだ。しかし、原子力については何も話し合いをしていない。ところが噂によると、原子力についても既に話し合いがすんでいる、という人がいる。これはどうしたことか説明してもらいたい」
 それまで、川内市漁協の漁業権を放棄させるため、「調査所」(実態は工作部隊)の職員たち全員が、作業服に地下足袋姿で、数ヶ月にわたって、朝早くから漁協のダシザコ工場へでかけては、もっこでダシザコをはこんで、漁協幹部たちの歓心を買っていた。
 夜は説明会や個人宅へ焼酎持参の説得活動である。
「薬師寺(市漁協)組合長には、原発推進の立場に立って戴き、原発の安全面を聞く会では賛成派として質問に立って戴いた」
 漁協組合長も原発の回しものだったのだ。


 この後、漁協総会で漁業権放棄の提案はいったんは否決されるのだが、やり直し総会による記名投票の結果96パーセントの賛成で、漁業権が放棄された。調査所という名の「工作部隊」が、漁協幹部を巻き込んで、反対住民への説得をさせた成果(?)である。

 漁協幹部たちを集めての飲み喰いは、どこの原発でも常識になっている。この本によれば、津崎さんが漁協のある幹部に呼びだされて「飲み屋」へいくと、そのあとで、10回分ほどの請求書が会社にまわされてきた、という。それまでのツケを一掃させられたのである。
 地域にカネをばらまいて立地を推進するやり方は、自治とは正反対のタカリと依存の精神を増殖する。これまで、わたしがいくつかの地域でみてきたのは、自治体の最高責任者である「首長」たちが、住民の強い反対にもかかわらず、判断停止したフリして、企業や国の意向に迎合してきた実態である。それは自治の放棄といえる。


 これらの「首長」が、地元の建設業など原発下請け会社に関与しているとなると、その癒着がより一層強固になろうというものだ。
 津崎さんの本には、政治家の名も実名で登場しているようだ。

 鹿児島出身の大物政治家たちが、川内原発にどうかかわったかの証言も貴重だ。
 山中貞則。東京のホテル・ニュージャパンの事務所へ挨拶にいくと、「お前は挨拶に来るのが遅いではないか。だれのお陰で漁連(漁業補償)が解決したと思っているのか」と一喝される。彼は県漁連の会長だった。この一言に九電上層部との深い関係がよくあらわれている。
 金丸三郎(当時の鹿児島県知事)。「知事室から直接当時の科学技術庁長官、福田赳夫先生にお電話され、推進を依頼して下さったこともあった」。地元での対話集会には、反対派のピケの裏をかいて、前泊、早朝の会場入りの作戦で、「現地に乗りこんで来て戴くことになった」。
 二階堂進。官庁への陳情は、たいがい秘書をわずらわしていた。挨拶にいくと、「原電(原発)のほうはうまく行っちょるな」と声をかけられた。それで、市長、議長、商工会議所会頭、漁業組合長などが政府に陳情にでかけることになっていたので、国会の有力者に会わせてほしい、と依頼した。一週間後、陳情団は、三木武夫首相、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘などの有力閣僚と握手して帰った。
 政治献金の効き目というものであろう。



 フクシマは、たまたま民主党政権で起こった。しかし、自民党を中心とする政官財学+マスコミによる原子力村が、過去に行ってきた原発建設のための醜い工作、それによる地域住民の分断、漁業権放棄による自然破壊という“悪事”の歴史を隠蔽することはできない。

 次の首相が誰であれ、民主党が菅ピュータの思いつきを現実的な政策として進めることができたら、もしかしたら国民を味方にできる可能性が、首の皮一枚だけ残っているだろう。しかし、民主だろうが自民だろうが、政権政党が原子力村の村民であり続けるのであれば、国民の心は、永田町からどんどん離れていくばかりだろう。
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九電の“やらせメール”の件で、社長が辞めるのなら、全ての原発保有電力会社の社長は辞めなければならない、と書いた。2011年7月15日のブログ
 なぜなら、大なり小なり、必ず作為的な世論操作をしてきたのは確実だから。だからこそ、九電の真部社長が、つい辞意をほのめかしたことについて、松尾会長が抵抗しているのだ。九電だけの問題では済まないからね。しかし、9月に真部は辞めるのだろう。そして、原発の定期点検を、車の車検にたとえた独裁者の松尾が残るのだ。

 さて、九電の件を受けて、国が今日29日までに各電力会社に内部調査結果の報告を義務づけたらしいが、中部電力と、四国電力は、経産省(原子力安全・保安院)の指導も“暴露”して報告したようだ。

 中部電力について東京新聞から引用。東京新聞サイトの該当記事

保安院 「やらせ」依頼 中部電力シンポ
2011年7月29日 14時30分

 二〇〇七年八月に中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の「プルサーマルシンポジウム」が国主催で開かれ、経済産業省原子力安全・保安院が地元住民に発言させる「やらせ」の依頼があったことが二十九日、分かった。中部電力の寺田修一法務部長が同日、名古屋市の本店で会見し説明した。

 中電側は依頼を受け、本店の社員が発言の文案をいったん作成したが、「特定意見を表明するように依頼することはコンプライアンス(法令順守)上、問題がある」と最終的に依頼を拒否した。

 保安院の森山善範原子力災害対策監は同日の記者会見で、依頼について「把握していない」と述べた。

 九州電力の「やらせメール」問題など一連の問題で、国の関与が明らかになったのは初めて。シンポジウムは国による「自作自演」と批判を浴びそうだ。

 また、保安院からは、会場に空席が目立たないように参加者集めの依頼もあった。

 寺田部長は「特定の意見を表明するよう依頼することは行っていない」と説明。シンポでは、参加者による質疑で十二人が発言したが、すべて原発の安全性やプルサーマルに否定的な考えで、「当社が事前に作成した文案と類似する発言はなかった」と否定した。

 シンポへの参加依頼では、浜岡原発の関連部署に勤務する社員約七百人にメールや口頭で求めたほか、協力会社三十六社や地元住民にも幹部が訪問するなどしていたことを明らかにした。シンポには全体で約五百人の参加があり、中電からは百五十人程度が出たという。協力会社などからの参加人数は「把握していない」と明言を避けた。

 寺田部長は「任意での参加を呼び掛けたもので、強制的な方法はとっていなかった」と強調する一方、「呼び掛けは誤解を招く行為だと反省している。今後は動員についても慎重に判断したい」と陳謝した。

 九州電力の「やらせメール」問題を受け、国は電力会社に二十九日までに報告するよう指示。これを受けて中電は社内調査を進め、報告書を同日提出した。

 シンポは、中電が浜岡原発4号機でのプルサーマル計画を国が同年七月に許可したのを受け、プルサーマルの必要性や安全性への理解を求めるために開かれた。
(東京新聞)



 四国電力の報告については日経から引用。日本経済新聞サイトの該当記事

四国電も「保安院から動員要請」 06年のシンポ
2011/7/29 14:12

 四国電力は29日、2006年に愛媛県で開いた伊方原子力発電所(愛媛県伊方町)のプルサーマル計画に関するシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院から、出席者を集めるよう要請があったことを明らかにした。同日開いた記者会見で発表した。

 四国電は会見で、同社が当時、社員や関連会社にこのシンポジウムへの参加を呼びかけ、質問や意見についても依頼をしていたと公表。当日のシンポジウムでは15人が発言したが、そのうち10人が四国電もしくは関連会社の関係者だったとしている。

 ただし四国電はプルサーマル発電を誘導するような発言はさせていないと説明。「第三者を装って特定の意見を表明するよう要請した事実はない。シンポジウムも理解を深めるためのもので賛否を問う形の内容ではない」(広報担当者)としている。

 その一方で「社会の誤解を招きかねない行為で大変申し訳ないと思っている。プルサーマル発電の実施に影響を与えたとは思っていないが、社会の目線から見てご批判、誤解を受けることがないよう適切に対処していきたい」(同)とした。



 海江田が“陳謝”し、“第三者委員会”を設置して調査する、とのこと。時事ドットコムの該当記事

国も関与と中部・四国電=「やらせ」問題、海江田経産相が陳謝 
 海江田万里経済産業相は29日、緊急記者会見し、中部電力、四国電力の報告で、原子力安全・保安院から原発推進を働き掛ける「やらせ」指示を受けていたのが明らかになったことについて「事実であれば大変申し訳なく思う」と陳謝した。第三者委員会を設置し8月中に事実関係を調査する方針を示した。(2011/07/29-15:27)



 夕方には、九電が恥の上塗りをしていた記事が出た。時事ドットコムの該当記事

佐賀、鹿児島県に調査報告=原発会合へ社員ら動員−九電
 九州電力は29日、原発への理解を求めるため2005~10年に開催したシンポジウムなどで、同社と協力会社の社員に、参加と発言を呼び掛けたことを認める調査結果を、同社の原発が立地する佐賀、鹿児島両県に報告した。
 佐賀県では、山元春義副社長らが牟田香副知事らに提出。副社長は「大変申し訳ない」と陳謝しつつも、「自主的な」参加や発言を呼び掛けたと強調。副知事は「仕事を請け負っている(協力会社)側の受け止め方は違う。慎むべきことだ」と非難した。(2011/07/29-18:35)


 しかし、この報告は国(経産省)ではなくて、佐賀県と鹿児島県宛て・・・・・・。不思議だ。

 どう考えるか、少なくとも二つのパターンがありえそうだ。

(1)出来レース
 “横綱”の東電、“大関”の関電が、何も報告しないのなら、中部と四国をダシに使った出来レースという説。こんな会話が想像できる。
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 電力会社陣営  どこまで報告したらいいんですか?
          そもそも、世論操作は、経産省と一緒にやってきたんじゃないですか!
 政府(経産省) 分かった、分かった、うちも悪者になるから、中電と四国くらいは、
          それぞれ一つくらいは報告してくれ。
          落としどころは、安全・保安院から二~三人クビにして終らせよう。
          そっちも担当役員の減俸くらいはしてくれよ。
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(2)原子力村のちょっとした仲たがい
 東電と関電は、ほころびを見せられないので、ダンマリ。しかし、中部と四国は、これまで経産省と一心同体で世論操作してきたのに、経産省が「内部調査しろ!」などと過去のことを知らない海江田が偉そうに言ってきたので、「冗談じゃない、我々電力会社だけのせいにされてはかなわん!」とばかり、原子力安全・保安院からの“指導”を暴露した、という説。ちょっとした、原子力村の仲たがい。

 
(2)であれば、原子力村の分裂への期待も出てくるが・・・、(1)だろうなぁ。

 原子力村では、原発関連報道を監視するとともに、PA(パブリック・アクセプタンス≒社会受容性)という英語を使い、常に国民を洗脳するための活動を行ってきた。国民にはタレントや御用学者、御用マスコミを使って“世論操作”を行ってきたわけで、シンポジウムに“さくら”を使うなんてのか、当たり前にやってきたはずだ。しかし、東電、関電でほころびが出ると事が大きくなるので、こんな形の幕引きなのだろう。第三者委員会の顔ぶれによっては、何か期待できるのかもしれないが、期待しないほうが精神衛生上はよさそうな気がする。
 
 以前に書いたように原子力村は、反原発報道には嫌がらせに近い抗議を行なう。2011年7月8日のブログそして、“馬鹿”な国民には、PAのマニュアルに従い、継続的な“洗脳”と“刷り込み”を行う。講談社「現代ビジネス」の該当ページ

 しかし、原子力村のそういった世論操作を、フクシマ後の国民は、とても「アクセプタンス」(受容)しない。

 東電、関電内部に、心ある、そして気骨ある侍はいないのだろうか。内部告発するネタはいくらでもあるはずだ。もし、彼や彼女が勇気をふるって告発したら、少しは脱原発のスピードも上がると思うのだが。電力会社の甘い水にどっぷり浸かっていて、這い出せないのかもしれないのなら、残念なことだ。
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原子力村が反原発的な記事の“監視”のために年間数千万円単位の金を使ってきた、というニュースを先週末東京新聞が掲載した。東京新聞の該当記事

エネ庁が原発記事監視 4年で1億3000万円
2011年7月23日 07時06分

 経済産業省資源エネルギー庁が原発に関するメディア情報を監視してきたことが、本紙の調べで分かった。本年度発注分を含めると、外部委託費の総額は四年間に約一億三千万円に上る。昨年度までは、いずれも電力会社役員らが理事を務める財団法人が受注していた。

 同庁の資料などによると、昨年度までの三年間は「電源立地推進調整等事業(即応型情報提供事業)」として、新聞や雑誌の記事を監視する事業を年約一千万~約二千四百万円で外部委託していた。

 委託先は、東京電力の勝俣恒久会長が非常勤の理事を務める「日本科学技術振興財団」や、経産省原子力安全・保安院のOBや元原子力安全委員会委員長らが役員になっている「エネルギー総合工学研究所」といった財団法人ばかりだった。

 事業は、一部に同庁ホームページ(HP)にあるQ&Aコーナーの更新が含まれているが、主には「不正確または不適切な報道を行ったメディアに訂正情報を送る」こと。ただ同庁によると、メディアに訂正を求めたことは一度もない。

 Q&Aのページは現在、福島第一原発の事故を受けて「苦情が多く寄せられたため」(担当者)閉鎖されている。

 本年度は震災に伴う第一次補正予算に「ネット上の不正確情報の監視」として八千三百万円を計上。

 十五日には委託先を決める入札が行われ、広告代理店が落札した。

 福島第一原発の事故で原発への不安が大きくなり、ネット上で情報が乱れ飛んだことを受け、従来の新聞記事の監視を縮小し、一般市民がツイッターやブログなどを通じて発信する情報の監視に重点を置く。

 監視により「不正確または不適切な情報」が見つかった場合は、原子力の専門家などのアドバイスをもとに、同庁HPに、その情報を打ち消すような内容を掲載するとしている。

 資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の話 原子力について正確に報道されていない場合もある。報道内容を把握し、適切な広報のあり方を検討するため続けている。
(東京新聞)


 昨今のメディアの中で、朝日新聞(アエラなども含め)は、“反原発”の姿勢を次第に明確にしているが、東京新聞の頑張りも、なかなかのものだ。
 
 産経も今日になって後追いした。MSN.産経ニュースの該当記事

エネ庁が原発記事を監視 11年度はツイッター対象
2011.7.26 09:29
 経済産業省資源エネルギー庁が2008年度から、報道機関の原発関連の記事を監視する事業を行っていたことが分かった。本年度は東京電力福島第1原発事故を受け、短文投稿サイト「ツイッター」やブログなどのインターネット情報を監視するための補正予算を計上している。

 08~10年度に実施されたのは「原子力施設立地推進調整事業(即応型情報提供事業)」。計約4千万円で外部委託し、電力会社幹部が理事などを務める団体が受注してきた。

 10年度の事業仕様書は、全国紙や原発立地地域の地方紙のうち「不正確または不適切な報道を行った」メディアに訂正情報を送るとしていた。今回の事故を受けたツイッターやブログ上での原子力や放射線に関する記述について「不正確な情報を随時監視」し、「風評被害を招く恐れのある」情報があれば、ホームページなどにQ&A形式で「正確な情報」を載せるとしている。



 共同通信からも短いニュースが本日配信されている。「共同通信」47NEWSの該当記事

 先日、“同じ穴のムジナ”である「電気事業連合会」が、かつて週刊誌の反原発的記事について、ほぼ嫌がらせに近いことをしていることを、内橋克人著『日本の原発、どこで間違えたのか』より紹介した。2011年7月8日のブログ

 原子力村は、「原子力安全神話」を揺るがすような情報を、新聞や週刊誌そしてwebサイトからツイッターまで監視する無駄な行動に、我々市民の血税から年間数千万円を費やしている。そして、その金は、原子力村の天下り先へ還流される。

 ジョージ・オーウェルが未来の核戦争後の管理社会を描いた『1984』が発行されたのは、彼が結核で亡くなる前年1949年である。冷戦前夜に書かれた、ソ連の共産主義への警戒が背景にあるこの書は、独裁者による管理社会、監視社会を描いている。『1984』は、現実とほど遠いフィクションだと、果たして言えるだろうか。
 北朝鮮の現状や高速鉄道事故でも露呈した中国の管理体制のみならず、日本の原子力村による言論監視の構図にも、『1984』的なものを私は感じる。そして、地デジ、双方向テレビなどのIT技術により、オーウェルが描いた統制のためのシステム“テレスクリーン”だって、やろうと思えば可能な時代である。しかし、ITという道具は、必ずしも体制側のためだけに存在するものではない、ということも皆さん周知の通りである。道具はあくまでも道具であり、誰がどう使うかが問題だ。

 オーウェルがスターリンをモデルにした“ビッグ・ブラザー”は存在しなくても、“原子力主義”を掲げる全体主義者が日本には存在する。原子力を中心に利害関係でつながった政官財学とマスコミの集団だ。
 「原子力は安全」という、ほとんど宗教に近い刷り込みや洗脳が原子力村によって行われ、その安全神話に異を唱える者には攻撃や嫌がらせがあり、その者の周囲を金と権力で味方につけて、反原発を唱える人を“村八分”にしようとする。原子力村のメンバーである「日本原子力文化振興財団」で“洗脳マニュアル”を作成していたことも、週刊誌などで暴かれている。講談社「現代ビジネス」の該当ページ

 監視される社会は、必然的に周囲にスパイを生み出し、我々の生活の周辺に不安と疑惑を充満させる。そんな息苦しい社会を生み出すような原発は、絶対にいらない、
 資源エネルギー庁の監視のための予算は、今後の震災と原発事故復興のための補正予算に組み込まれるべきだろう。まったく、無駄であり、その仕事(?)に従事する人にも働き甲斐や生き甲斐を与えるものではあり得ない。
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録画を見たところだ。
 政治家なしで、田原総一朗いわく「専門家ばかり」という顔ぶれにしたことは、評価しよう。その専門家を含む出演者は以下の通り。
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司会: 田原 総一朗
進行: 渡辺 宜嗣・長野智子(テレビ朝日アナウンサー)
パネリスト:
飯田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)
石川迪夫(日本原子力技術協会最高顧問)
小川順子(東京都市大学准教授)
後藤政志(元東芝・原子炉格納容器設計者)
高田純(札幌医科大学教授、放射線防護情報センター代表)
奈良林直(北海道大学大学院教授<原子炉工学>)
西尾正道(北海道がんセンター院長<放射線治療>)
ピオ・デミリア(在日イタリア人ジャーナリスト)
吉岡斉(九州大学副学長<社会科学>、原発事故検証委員会委員)
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原発推進派は次の顔ぶれ。(以下、敬称略)
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石川迪夫:あの気持ちの悪い笑顔のテレビへの登場は久しぶりではなかろうか。
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小川順子:紅一点も登場。こんな人もいたんだ。
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高田純:チェルノブイリなどを調査してまで原子力は必要という不思議な人。
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奈良林直:かつて、プルトニウムを「塩と危険性は同じ」と言った嘘つき。
 

反原発派は次の通り。
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飯田哲也:最近NHKでも民放でもよく登場する。反原発の顔になりつつあるなぁ。
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後藤政志:田中三彦と原発エンジニア出身論者ツートップの一人。
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西尾正道:札幌医大での共通項はあるが、高田純との好敵手かな。
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ピオ・デミリア:海外代表であり、ジャーナリスト代表。
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吉岡斉:科学史の視点から原発問題を語る学者さん。大きな声に弱いのが難点。


 毎度指摘するが田原総一朗が司会役として、次のような点で不適切。
(1)いきなりの発言遮断
 ピオ・デミリアが、田原に指名され、「社会的コスト」の問題を指摘しようとして、
 福島の避難地域の取材のことを言おうとしたら、「それは政府がやるべきこと!」と
 言い切って発言を遮断した。
 デミリアは、直前のフクシマ収束の見通しに関し、奈良林が収束に関して楽観的な
 ことを言っていたことに関し、そういった「技術的コスト」だけが問題ではない、
 「社会的コスト」も含めて、原発推進派は考えて欲しいと言おうとしたと思うが、
 非常に重要なことだ。なぜ、遮断したのか訳が分からない。彼は日本に留学して
 いたとは言え、日本語は上手いとは言えないことを事前に断っていたのに、話そうと
 する途中で遮った。非常に失礼と言える。私なら切れていた。
 そして、議論が真っ当な方向に進んでいる時に、度々大きな声で遮断する。せっかく
 の流れを頻繁に止めていた。

(2)不勉強でトンチンカンな質問
 ICRP勧告などの放射能基準の論議の時に、「その根拠は?」と何度も大きな声で
 聞く馬鹿馬鹿しさにあきれた。 根拠などない、ということを知らずに、この
 顔ぶれを集めて司会などすべきではない。もし、知っていて、「根拠のない基準」
 そのものを問題点としてあぶり出したいなら、責任をもって、そこまで持って
 いかなければならないが、テーマはすぐ変えられる。

(3)見当違いの発言
 後藤政志に、「(メルトダウンを起こすような)そんな原子炉をどうして作った!」
 と、まったく話にならない発言。煽りたいのかもしれないが、不適切すぎる。


 他にも田原については問題があるが、このくらいにしておく。

 さて、出演者について、気がついたこと。

・高田純
 私はこの人の本『世界の放射線被曝地調査』(講談社ブルーバックス)を読んだ時も
 感じたのだが、なぜこの人が原発を認めるのか不思議だ。放射線被曝に関しての専門
 性は認めるし、フクシマでの現場作業員の改悪された放射能許容値250ミリシーベルト
 はとんでもないことだ、という指摘もその通り。正しい検査をして、安全を確認でき
 たら過度な心配をすることはない、という指摘も分かるが、彼はチェルノブイリや
 マーシャル諸島での被害も見ている。なぜ反原発を標榜しないのかが疑問だ。国から
 の支援による調査もしているからかもしれない。

・吉岡斉
 最初は歯切れが良かったのだが、中盤移行は沈黙してしまった。特に、発言中に石川
 や奈良林が口をはさむと、流れに任せていた。呆れているのか、譲っているのか不明。
 最後には、ポイントを絞って正論を言っていたので、中盤が残念。本当は、この人に
 結構期待していたので不満。頑張って欲しかったなぁ。

・西尾正道
 もっとも光っていた。高田との戦いもおもしろかったが、ICRP基準のことや、政府の
 規制値改悪への糾弾は、まったくその通り。内部被曝のことに関してもしっかり説明
 していた。

 飯田、後藤のコンビはもちろん正論を言っていた。それに対する石川と奈良林のコンビの論調も予想通りの馬鹿馬鹿しさ。小川は、何のために出演したのか分からない。

 まとめ、ではないが、これだけの顔ぶれが集まっても、テーマがごった煮で、田原総一朗が中途半端に話題を替えるので、視聴者が有益な情報が得られたのかどうか疑問だ。

 どうしてもムダな3時間としか思えない。そして、そのムダな時間を、私は懲りずに過ごしてしまった。

 この番組が田原ありきなら、もうやめて、もう少し有益な情報を落ち着いて提供するコンテンツに替えるか、「落語者」にして欲しい。あ~、疲れた。
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放射能汚染された牛の問題が拡散中だが、ニュースで繰り返される「国の暫定基準」は、いつになったら改訂されるのだろうか。
 
 日本の基準は、以前にも紹介したが、3月17日に厚労省が各自治体に配布した、原子力安全委員会作成による「飲食物摂取制限に関する指標」のことである。下記の報道機関へのリリース文のように、「当分のあいだ」の「暫定規制値」のはずだ。
2011年3月24日の該当ブログ

厚生労働省の3月17日の報道関係者への通達

平成23年3月17日
医薬食品局食品安全部
企画情報課 課長 吉野、佐久間(2441、2448)
基準審査課 課長 森口、渡、内海(2481、2484、4280)
監視安全課 課長 加地、大原、今村(2471、4241、4242)
(電話代表) 03(5253)1111
(直通電話) 03(3595)2326、2341、2337


報道関係者各位

放射能汚染された食品の取り扱いについて
(福島原子力発電所事故関連)


・ 平成23年3月11日に発生した東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故により、周辺環境から放射能が検出されています。このため、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする食品衛生法の観点から、当分の間、原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定規制値とし、これを上回る食品については食品衛生法第6条第2号に当たるものとして食用に供されることないよう対応することとし、別紙のとおり各自治体に通知しました。



 下記の表が自治体に通知された「飲食物摂取制限に関する指標」である
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 今中哲二さんや小出裕章さんが所属する京都大学の「原子力安全研究グループ」のホームページに、チェルノブイリ原発事故以来、ウクライナでは放射能の規制基準が次第に改訂されて厳しくなっていったことが記されている。「原子力安全研究グループ」HPの該当ページ

 1997年,ウクライナ保健省は食品と飲料水中のセシウム137とストロンチウム90に関する新しい許容濃度(AL-97)を承認した(表8)。AL-97は1998年1月1日より施行された.表8に示すような濃度の放射能を含む食品を、日常的に標準的な量ほど摂取を続けた場合、その人は、セシウム137とストロンチウム90からそれぞれ年間1ミリシーベルトの被曝をうけることになる。セシウム137濃度とストロンチウム90濃度のそれぞれのAL-97値に対する比比を合計したものが1を越えなければ、その食品は許容されることになる。AL-97の採用により、いかなる人に対しても、食品からの内部被曝量が年間1ミリシーベルトを越えない、と保証される。


 チェルノブイリの事故の教訓を生かせなかったフクシマだが、事故後の対策に関しては、この「AL-97」を生かすことはできる。「年間1ミリシーベルト未満」を基準にしているウクライナの規制値と、日本の“暫定”規制値を比べてみよう。
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■放射性セシウムに関する規制値比較(ベクレル/Kg、ベクレル/リットル)
           日本                    ウクライナ
飲料水        200                      2
牛乳・乳製品    200                     100
野菜類        500     ジャガイモ          60
                   野菜(根菜、葉菜)      40
穀類          500    パン・パン製品        20
                   パン・穀類製品       185 *ジトーミル州の管理基準値
肉・卵・魚・その他 500      肉・肉製品         200
                    魚・魚製品         150    
-------------------------------------------------------------------------

 「飲料水」の「2ベクレル/リットル」は、決して書き間違いではない。
 
 ウクライナと日本、どちらの政府が国民の生命を大事にしているかが、この基準比較で分かろうというものだ。

 ウクライナは、日々摂取する水には厳格な規制値が設定されているし、他の食品に関しても日本と比べて設定が厳しいのが一目瞭然だ。そもそも、野菜も肉も魚も同じ「500ベクレル」というのが、いかにも原子力安全委員会らしいアバウトさではないか。そして、ウクライナで規制値の設定があるストロンチウムについては、何ら規制値設定がないのも問題である。

 牛肉で「500ベクレル/Kg」の規制値で、今の混乱である。それも政府と監督官庁の怠慢が原因とも言えるだろう。宮城の稲ワラの高い汚染を「想定外」と言う学者や専門家(?)がいるが、とんでもない。それだって十分に想定できたことだ。

 ここは、まだ茶番を続ける永田町には頼らず、霞ヶ関の「公僕」に仕事をしてもらおう。厚生労働省よ、「暫定」規制値は、とんでもなく危険な基準である、早急により厳しい規制値に改訂すべきだ。

 被害の拡散を防ぐことと、「暫定」規制値を、ウクライナの事例などを踏まえて、より一層安全を確保できそうなレベルに改訂することは、別である。

 将来の日本復興を担う子ども達の命がかかわっているのだ。

 これ以上、馬鹿な政府の犠牲者を増やさないよう、今こそ厚労省が本来の使命を果たさなくて、いつ仕事をするのだ、と言いたい。もちろん、政府がその陣頭指揮をとるべきだが・・・・・・。国民の命を粗末にし、放射能規制値強化と併せて大気・土壌・海水・食物といった幅広い対象への適切な放射能測定と管理をしないような国に、私は血税を払い続けたくない。
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 別冊宝島『日本を脅かす!原発の深い闇』

 フクシマ以降、さまざまな「?」がずっと消えない。
 ・3号機の燃料プールはどうなっているのか?
 ・なぜ東電の発表はコロコロ変るのか?
 ・被曝検査結果がどうして公表されないのか?
 ・何が危険で何が安全なのか、そしてその情報がどうして公表されないのか?
 ・いったい誰を信じたらいいのか?
などなど。

 肝腎な事実やデータを政府が隠し、マスコミも追及しない、御用学者はもちろん似非文化人も原発擁護に加担する状況で、非常に“切れ味”の良い本が発行された。別冊宝島『日本を脅かす!原発の深い闇』である。
 宝島社のサイトの本書紹介ページからうたい文句を引用。

徹底究明! 原発マネーと放射能汚染の隠蔽!!

巨額マネーを吸い上げるための巨大なサギ装置……それが原発だ。政界、官界、財界、学術機関、メディア、そして闇社会。原発マフィアたちは、いかにして電気マネーを貪ってきたのか?政治献金、天下り、原発文化人&御用メディアの加担、電源三法交付金のバラマキ、テレビ・新聞を懐柔する広告の出稿実態……。買収、裏ガネ、反対派への暗殺指令までがとびかう異常な世界を赤裸々にリポート!福島第一原発の事故について指摘されている情報操作、放射能汚染・拡散の確信犯的な隠蔽……電力会社と政府や役人、学者、メディアが結託した「隠蔽工作」も暴く、他誌では読めない戦慄の告発ムック!!



 個々の有益情報の紹介は今後適宜させていただくとして、ご興味のある方にはお読みになることを推奨します。
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九電のやらせメールの問題で、意外にも海江田が社長辞任要請をしたようだ。47NEWSの該当記事

経産相、九電社長の辞任要求 やらせ「責任は当然」

 海江田万里経済産業相は15日の閣議後の記者会見で、玄海原発(佐賀県玄海町)の県民説明番組をめぐる九州電力の「やらせメール」問題に関し「組織的な関与が濃厚であり、トップが責任を取るのが当たり前だ」と述べ、真部利応社長の辞任を求めた。

 経産相は真部社長の続投表明を踏まえて「責任の取り方が全くおかしい」と指摘。また、電力会社の体質として「ひと言で言えば『お山の大将』だ。世の中と違った価値判断の基準がある」と厳しく批判した。

 また、一連の問題が、定期検査中の原発再稼働の問題にも「影響する」との認識を示した。

2011/07/15 10:47 【共同通信】



 これはおもしろい。こういう情報操作は、原発を所有する電力会社なら、大なり小なり間違いなくやっている。同じ共同通信の昨日の記事を紹介する。
47NEWSの該当記事

九電以外の6社も社内周知 原発説明会、やらせは否定

 やらせメールが問題となっている九州電力以外に、原発8 件を保有する電力会社8社のうち6社も、立地やトラブルに関する地元住民向けの説明会の開催について、社内や関連企業に周知した例があることが14日、共同通信の取材で分かった。

 反原発団体からは「社員には、原発推進の意見を表明しろという無言の圧力になる」との声もあり、電力会社の体質があらためて問われそうだ。

 東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力の6社が「説明会8 件を知らせることはある」と回答した。

 いずれも積極的な周知ではないとし、「参加は任意」と動員や賛成意見を表明するよう求めたことなどは否定している。

2011/07/14 04:53 【共同通信】



 “いずれも積極的な周知ではないとし、「参加は任意」と動員や賛成意見を表明するよう求めたことなどは否定”  しているようだが、彼らがこれまでどれだけ嘘をついてきたか考えれば、「周知」したということは、何らかの「行動」を要請したことに通じる。
 マスコミが、もう少し突っ込んだ取材をすれば、いくらでも情報操作の実態は明るみになるはずだ。
 そして、反対派住民への嫌がらせや、懐柔するためのさまざまな「毒まんじゅう」のことだって、叩けば埃が山と出る。

 あのメールごときで社長の首が飛ぶなら、原発を所有する電力会社の社長は全員、遅かれ早かれ首にならなければならないだろう。組織ぐるみで情報操作しているのは、間違いがないのだから。

 今回の海江田の発言は、政府が電力会社にスケープゴートを求める一連の行動の一つだろう。しかし、海江田が九電の社長の辞任を言うのなら、菅を道連れに早急に自分も辞めるべきではないか。 経産省のトップとして、本来は戦略的長期的にエネルギー政策を検討すべき時である。菅に振り回される苦労は分からないでもないが、海江田自身の責任だって小さくはない。

 彼が国を預かる器ではないことは、今では古い話になるかもしれないが、消防庁隊員への恫喝発言でも分かる。MSN.産経の該当記事

海江田経産相、消防庁隊員「恫喝」発言で「不快な思いさせたなら…」謝罪
2011.3.22 09:57

 海江田万里経済産業相は22日午前の閣議後会見で、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所で放水作業の準備中だった東京消防庁の隊員を恫喝(どうかつ)したとされる問題で、「隊員に不快な思いをさせたのならおわびする。言った言わないになるので、事実関係はいずれご報告する」と述べた。

 東京都の石原慎太郎知事は21日、政府側の人物が隊員に対し、「言う通りにやらないと処分する」と発言したと明かしていた。都関係者はこの政府側の人物を海江田経産相としている。


 海江田は当初発言の事実を否定していたが、本当に言っていなければ、謝るはずがないのが政治家である。

 あの時に本来求められたのは、危機的状況でも冷静さを失わず、原子力安全委員会や傘下の原子力安全・保安院のメンバーだけでは危機回避に不十分と思えば、国内外の専門家の知識と知恵、ノウハウを総動員して解決に当たる、そういう経産大臣だったのだ。

 そもそもこの人は、「財テク」評論家上がりで、“経済”大臣はできるのかもしれないが、“産業”や“危機管理”を統括するだけの適性があるとは思えない。

 その場限りの感情的な行動しかできないトップが、この国を危うくしてきた。海江田も辞任を匂わせているのだから、菅と海江田は一緒に早急に去って欲しい。首相も大臣も、すぐにいなくなる人間が責任ある行動はできないし、周囲も彼らのために頑張ろうとはしない。レイムダック内閣による人災は、もう結構だ。
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昨日は、震災の被災地の方や原発事故の被害者の人々、そして過酷なフクシマの現場労働者の方が、非人間的、もっと言えば「虫ケラ」同然の扱いを受けてはいけない、ということを高木仁三郎さんの著書の紹介の後で書いた。

 福島で7月19日に対政府交渉が予定されている。
 “「避難の権利」の確立を求めて”と題されたこの活動の主催団体の一つ「フクシマの会」のサイトから引用したい。「フウロウの会」のサイトの該当ページ


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対政府交渉 in 福島~「避難の権利」の確立を求めて
http://www.foejapan.org/energy/news/evt_110719.html
2011年7月19日(火)13:00~16:30@コラッセふくしま
=======================================================

福島市や市民団体の調査により、避難区域外においても放射能汚染が広がっている実態が明らかになってきました。既に、子どもたちの被ばく量は1ミリシーベルトの数倍にも達しており、福島県内でも、早急に避難・疎開、夏休みの前倒し等の被ばくの低減を、行政が主導して行うべきです。

福島には、避難をしたくてもできない人たちがたくさんいますが、避難を阻んでいる大きな理由の一つが、「自主」避難のむずかしさや限界にあります。住民の「避難の権利」、すなわち自らの被ばくのリスクを知る権利や、自主避難した場合に補償等が受けられる権利を確立させていくための措置が必要です。

今回、日本政府に、避難を促進していくことを求める要請を行います。

※現在、政府と調整中のため、下記の予定が変更になる場合もあります。

■日時:2011年7月19日(火)13:00~16:30
 13:00~14:00 事前集会(交渉に向けた打ち合わせ)
 14:00~16:00 政府との交渉
 16:00~16:30 事後集会(今後にむけて)

■場所:コラッセふくしま(福島駅西口徒歩3分)
http://www.corasse.com/category/access

■参加費:無料

■参加ご希望の方は下記のフォームからお申込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/35134b25158681

■主催:
子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、国際環境NGO FoE Japan、グリーン・アクション、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、国際環境NGO グリーンピース・ジャパン


 交渉の要請項目は以下の通り。

2011年7月

避難・疎開に関する具体的要請項目

1.空間線量や土壌汚染の実態に鑑みて、現行の避難区域外においても線量が高い地域を避難区域に設定すること。とりわけ妊婦や子どもたちの避難を早急に実施すること。

2.住民が、放射能汚染によるリスクを知り、自らの判断によって「選択的移住」を行うことができるようにすること。そのために、正当な賠償を受ける権利を保証し、かつ行政施策によって、以下を実現すること

1)放射能汚染リスクに基づく自己選択
・希望する住民すべてに内部被ばくの検査を受け、詳細なデータとともにその結果を知ることを保証すること
・とりわけ妊婦・乳幼児・子どもの検査を優先させること

2)移住前と同等の生活の保障
・避難・移住・移住前の家屋等の維持・転職など、原発事故およびその結果としての放射能汚染に起因する移住に関連して、発生したすべての費用が賠償されることを保証すること
・移住前と同等の生活が保障されるべく、住居や職業のあっせん、医療・健康管理等について、適切な行政措置が行われること

3)アイデンティティの保護
・福島県民としてのアイデンティティを維持しつづけるため、教育・文化などの分野で、適切な行政措置が行われること

3.学校を中心としたサテライト疎開の実現など、あらゆる知恵を総動員して、子どもたちの避難を実現させること

注)サテライト疎開は、福島県内の学校の分校を県外の学校に併設することにより、児童や保護者の選択肢を増やし、無理のないかたちで学級ごとの県外移転を可能にする構想である。

以上



 震災と原発事故のダブルパンチに遭った福島に対し、これまでの政府の対応はあまりにもお粗末だ。
 被害を受けて避難しており通常の公務もままならない県や市町村に、本来国が行う施策を丸投げし、余りにも多くの負担をかけているのが、現在の政府と言ってよいだろう。

 日本国憲法、第25条1項には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定められている。憲法に照らしても、掲げられた要請は当然の内容である。

 「拡散」要請に応えて掲載しました。他の方も「フクロウの会」のサイトをご覧いただき拡散のほどを!
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高木仁三郎さんが反原発を提唱する“市民科学者”として活動していた時、原子力村が高木さんに対してとった姿勢、態度にはあきれる。反原発活動を、何ら肩書きも支援組織も持たない一科学者として展開することは、苦労の連続だったことが察せられる部分を『市民科学者として生きる』から紹介したい。高木仁三郎著『市民科学者として生きる』

無視と誘惑と
 反原発の活動によって自分が鍛えられたことの中に、長年にわたって国家官僚や電力会社によって、ほとんど人格的に抹殺ないし無視されてきたという事実がある。1、2のエピソードを紹介してみよう。
 1980年代の初期の頃だったろうか。科学技術庁に何かの申入れで、地域の住民団体に随行した時のことである。科学技術庁の玄関口で、もう何年も会っていなかったN大学のA教授にあった。私より一まわり年上だが、核化学をやっていた時の研究仲間で、親しかった人だ。彼は原発推進論者で、政府の委員会の委員をやったり、原発討論に推進側の立場で登場したりする人物だった。
 彼も私も「やあ、しばらく」と声をかけ合って、科学技術庁の玄関口で少しの時間、けっこう親しそうに世間話をやっていた。もちろん、お互いの立場はよく知っていたが、私も多分彼も、原発の推進、反対の意見の違いを唯一の基準にして、人との付き合い(といっても立話程度だが)を決める方ではないので、その場はそれで済んだ。
 それから一年程してだろうか。今度は北陸のある町での原発賛否討論の相手役として彼に再会した。その討論の終った後でお茶を飲みながら彼がした話だが、「あの時、科技庁の玄関口で高木君と親しそうに話し合っていたと言って、後から役人たちに相当の猜疑心で見られたよ。彼らにとって、高木君はウジ虫のような存在で、「昔、一緒に学問をやっていたよ」と言ったら、自分まで何かけがらわしい存在に見られてしまったよ。近寄ると黴菌に感染すると思ってるんだ、ほんと」。
 最近ではずい分変ったが、少なくともチェルノブイリ前までは、原発反対派はそんな風に扱われた。虫ケラ同然の扱い、ないしは、原発反対でメシを食っている政治ゴロ的な扱いは、人格をトータルに否定されたような感じで、ずい分プライドを傷つけられた。


 これが、あの頃の高木さんを取り巻く状況だったのだ。原子力村からの敵対的な扱いを考えながら、その頃の自分は何をしていたのか、と思わないわけにはいかない。この後、原発裁判での差別的な扱いが回顧した、次のような文章が続く。

 私の証言に対する追及があるのだが、ほとんどの場合、内容論に及ぶことはなかった。「原子力資料情報室とはどういう所か」「たった数人で、ビルの一フロアの小さな空間に存在するだけではないか」「実験設備はあるのか」「原発問題の他に、成田の反対派にも関わっているのではないか」等々が主たる質問で、これに私の基礎知識をテストするような馬鹿げた質問がいくつかあって、それで終わりである。私の調べたところ、同じ反対派の専門家でも大学や公的研究機関に属している人は、そんな風には扱われなかったようだ。肩書きがいかに重視され、権威につながるような肩書きのない私は、それだけで証人として欠格であることを、国側は主張、立証しようとしたわけで、裁判所側もかなりそのように私を扱った。
 これにも、それなりに傷つけられた。しかし、少し冷静に考えると、地域の住民たちは基本的に常にそのように、虫ケラ同然に扱われて来たわけで、私もそれと同じ扱いを受けただけである。「市民科学者」を標榜しようとするなら、当然、私もそこから出発しなければならなかった。しかし、自分の側にある種の思い上がり意識があったから、そのような扱いにとくに傷ついたように感じたのである。このこともまた、よい学習材料となった。


 高木さんは、自分が「虫ケラ」同然の扱いを受けても、原発立地地域の人々もそのような迫害を受けてきたことを思い、市民の立場で頑張り続けるために自分を奮い起こしたのだろう。
 この後に、「誘惑」の例も紹介されている。
 ある原子力の業界誌の編集兼発行人にあたる人から、「研究会」を主宰して欲しい、そのためにX社Y社長からあずかった三億円を一時金として自由に使って欲しい、という悪魔の囁きがあったらしい。

 当時の資料室は火の車で、30万円ですらとびつきたい状況だったから、「3億円あったら、一生資料室は金の苦労をしないで済むのではないか。Y氏も財界のリベラル派として知られる人だし」などと一分くらいのうちは頭を働かせた。しかし、その編集長の言う、研究会の性格とか「通産省や電力会社の若手」にリアリティーが感じられなかった。これは、彼らの側の私をとりこむための誘惑に違いなかった。それにしても、「一時金」が3億円とは!しばらく考えさせてくれと言って別れ、それ以上はもう会わずに、電話で断った。誰にも相談しなかった。

 
 「虫ケラ」同然の扱い、そして、金で横っ面をはたくような誘惑、また数々の嫌がらせを受けながらも、“市民科学者”である高木仁三郎さんと原子力資料情報室は負けずに活動を続けた。

 この「虫ケラ」の言葉で、あらためて今日の状況を考えざるを得ない。今の震災の被災地の人々やフクシマの被害者の方々は、果して人間らしい扱いを受けているのだろうか。結果として“虫ケラ”同様に扱われていないだろうか。もちろん、フクシマの現場で働く作業員の人たちも、人間らしく扱われているのか。東芝の4次下請けの配管工として現場で亡くなった大角信勝さんの奥さんは、本日労災を申請した。今後のプロセスをマスコミはしっかりフォローして欲しい。間違いなく、あの現場での非人間的な労働管理があったはずだ。

 あれから、4カ月が過ぎた。
  震災の被災者の方の苦労と苦悩は軽減されたのか。
  そして、フクシマ以降の国民の不安はどこまで解消されたのか。
  フクシマの現場で働く労働者の皆さんの環境は改善されたのか。

 たとえば、本来は国の責任で、大気中のみならず土壌、海水、そして野菜や肉、魚などの食物の放射能測定を継続的に行うべきであろう。ところが実際は、海外や日本の非政府組織、地元の住民や一部の科学者の努力で、本来国民の生命の安全を守るために国家として行うべき必要な調査と情報提供の一部が補われているというのが、今日の実態ではないか。

 国民の不満は、すでに我慢の基準値を超えていると思うべきだ。

 “菅ピューター”が独自の“首相の座しがみつきプログラム”で「脱原発」を唱えたことだけは、評価してもいい。しかし、彼の寿命は長くない。“ポスト菅”や原子力村の反撃は油断がならない。
 しかし、長期的なエネルギー政策問題も重要だが、「今そこにある危機」も忘れてはならない。

 マスコミも「政争」や「やらせメール」のことなどに過大に紙面や時間や労力を割かず、国民の視点でジャーナリストとしての矜持をもった報道や問題提起、主張をして欲しい。
 たまたま、数年ぶりに購入した「アエラ」に載っていたが、日本の放射能基準は、チェルノブイリ以降のロシアやウクライナが改訂してきた現在の基準よりあまりにも緩い。そういった問題点をメディアはもっと指摘すべきだし、上述したような、広範囲に渡る計画的な放射能測定を行うよう提言すべきである。

 高木さんの本の紹介から、やや現状への怒りで熱くなってしまった。
 高木さんがあれだけ問題を的確に指摘していながら、原子力村が「虫ケラ」同然の扱いをしたり、我々が聞く耳を持っていなかったためにフクシマが起こった。反原発は、思いつきで口にすれば出来るような生易しいことではないことも、高木さんの著者から分かる。だからこそ高木さんの苦労に報いるために、ささやかなブログながら、問題を指摘していきたい。
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7月9日の夜7時半から、NHKスペシャルでは、“シリーズ「原発危機」の第三回”として、「徹底討論 どうする原発」が放送された。

 出演者の一人、原子力安全委員会専門委員の奈良林直という男の話には、あきれた。まず、出演者などの情報を、NHKのサイトの同番組紹介ページから紹介。NHKのサイト内の番組紹介ページ

(今回の番組内容)

原発への依存を続けるのか? それとも、新たなエネルギーの可能性を信じ、舵を切るのか?
“フクシマ後”の今、日本は、そして世界は、大きな選択を迫られている。

7月、私たちは最初の岐路に直面する。定期点検を終えた各地の原発を運転再開するのかどうか−。想定以上の津波や新たな活断層の危険性に対して、安全は確保できるのか。この大きな問いに政府は、国民が納得できる回答を示せていない。

一方、いち早くドイツやスイスは“脱原発”を決めた。アメリカは、原発維持という政府の方針に対して、電力会社が不採算を理由に新規建設を中止するなど、その「選択」は揺れている。

“フクシマ後”の日本の原発と、世界各地の現場をルポ。その実態を受け、有識者による徹底討論で、日本の原発の行く末を考えていく。

討論に参加していただく方々

原発事故担当大臣 細野豪志さん
原子力安全委員会専門委員・北海道大学教授 奈良林 直さん
21世紀政策研究所研究主幹 澤 昭裕さん
元原子力プラント設計技術者・芝浦工大非常勤講師 後藤政志さん
環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也さん
ノンフィクション作家 吉永みち子さん
(司会/アナウンサー 三宅  民夫
アナウンサー     守本  奈実
解説委員       水野倫之)



 奈良林直は、日本をジャンボジェット機に例え、「原発という55基すべてのエンジンが止まったら、ジェット機が失速して大きなリスクに晒される」と発言したが、どこからそういう発想が生まれるのだろう。

 彼の数多くのトンデモ発言には、後藤政志、飯田哲也の両氏も半ば呆れて言葉を失っていたようだ。

 原発55基をエンジンにしたような乗り物には、とても乗る気がしない。その中でフクシマの4基の事故が、今どれだけの危機を巻き起こしているというのか。

 ネットで調べたら、この人、4月3日の「サンデースクランブル」で、次のようなとんでもないことを言っていたようだ。 
-------------------------------------------------------------
奈良林直
 今あの、塩をですね、塩を200グラム取ると、成人男性の方は、致死量というんですけど、半分の方が亡くなられます、200グラムですよ。ところがプルトニウム239の経口致死量、飲み込んだ場合、ええ、これは32グラムです、ですから毒性というのは、まあ飲み込んだ場合はですね、塩とそんな大差ないんです、それから肺にのみこんだ場合の致死量は約10ミリグラム、これはあのう、だいたい青酸カリ、ちょっと、こ、まあ怖い数値になってしまいますけど、そのくらいの、あの毒性です。で、むしろあの、食中毒のボツリヌス菌とかですね、そういった、あの、毒素の方があるかに危険性が高い。それから、ダイオキシンもありますけども、そういったものがさらに危険性が。ですから、その、プルトニウムを粉末にして、わざわざ、飲み込まなければ、肺に入れなければ。

佐々木正洋アナウンサー 
 そんな人間誰もいないですね

奈良林直 
 あと紙一枚で止まる物質ですから。それはそれで、ちゃんと、まあプルトニウムを使った燃料を作る所は、しっかりした、施設で作っていますので、それは大丈夫です
-------------------------------------------------------------

Youtubeが辛うじて消えていなかったので、今のうちにご覧のほどを。


 プルトニウムを筆頭に、核分裂によって生じる放射性物質の危険性について、こんなレベルの認識しかしていない人が、原子力安全委員会の専門委員なのだ。経口摂取の急性被害のことで塩とプルトニウムを比較し、まるで「安全」と思わせるような論法には、あきれるばかりだ。加えてプルトニウム32グラムが、どれだけ危険な量かも分かっていないようだ。

 そして、これから実施される「ストレステスト」は、原子力安全委員会と原子力安全・保安院の協力で確認されるらしいから、今の組織形態とメンバーなら、最初から結果は分かろうというものだ。asahi.comの該当記事
 

原発再開はストレステスト後 統一見解 稼働全基も対象

 枝野幸男官房長官は11日の記者会見で、全国の原子力発電所への安全性評価(ストレステスト)の手順を統一見解として発表した。定期検査を終えた原発に順次、設計上の想定を超える地震や津波にどこまで耐えられるかを調べる1次評価を実施し、再稼働の是非を判断する。さらに再稼働後も含む運転中の全原発に2次評価を実施し、原発の継続や中止を判断するという二段構えにした。

 菅直人首相は同日、首相官邸で枝野氏と海江田万里経済産業相、細野豪志原発担当相と会談し、統一見解を確認した。

 統一見解は「我が国原子力発電所の安全性の確認について」で、枝野、海江田、細野3氏の署名で発表した。現状認識として「(原発事故後の)緊急安全対策の実施について(経産省)原子力安全・保安院による確認がなされ、従来以上に慎重に安全性の確認が行われている」と指摘する一方、問題点として「保安院による安全性の確認に理解を示す声もある一方、疑問を呈する声も多く、国民・住民に十分な理解が得られているとは言い難い状況にある」とした。

 この認識をもとに解決方法として「欧州諸国で導入されたストレステストを参考に新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」と表明。ストレステストの内容は内閣府原子力安全委員会の確認の下で評価項目や評価実施計画を作成し、各電力会社が実施する。その上で結果を原子力安全・保安院が確認し、さらに原子力安全委員会が妥当性を確認する、とした。



 すでに斑目委員長や久住静代のことは書いたが、専門委員にもこんな男がいることが、日本の原発政策の不毛と無能ぶりを露呈させている。
 
 「推進」する組織から「安全」をチェックする組織を分離させ、大胆な人材の刷新を図らないかぎり、今回の「ストレステスト」は、また裏切られる国民の「ストレステスト」になるだろう。しかし、国民のストレス耐性がとんでもなく高いことを、原子力村の連中にわからせてやろうじゃないか。
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