「ほっ」と。キャンペーン

<   2011年 10月 ( 5 )   > この月の画像一覧

厚生労働省が、原発事故沈静化を見ながらの“牛歩戦術”を使うのは、許せない。ようやく、食品の放射性物質規制を、まったくの“ザル”規制である暫定値から、年1ミリシーベルト基準で改めようとするのは、遅すぎるにしても、まぁ良い傾向ではある。しかし、なぜ、「来年4月」まで待たねばならないのだろうか。時事ドットコムの該当記事

規制値見直し着手=食品の放射性物質−厚労省 
 厚生労働省は31日、薬事・食品衛生審議会を開き、食品に含まれる放射性物質の暫定規制値の見直しに着手した。食品に含まれる規制値については現在、放射性セシウムの上限を暫定的に年5ミリシーベルトとしている。小宮山洋子厚労相は「年1ミリシーベルト」と5分の1にして規制値を厳格化する方針を打ち出している。来年4月にも新しい規制値を設ける。(2011/10/31-12:53)



 私も7月以降2011年7月21日のブログ、くどいと言うお叱りを覚悟で書いてきたが、チェルノブイリを経て制定されたウクライナの年間1ミリシーベルトを基準にした規制(AL-97)のことや、似たようなベラルーシの規制のことは、“頭の良い”厚生労働省の役人なら知らないはずがない。そして、すでに暫定規制を信じない市民達による手弁当を含む食の安全性への対応が、あちこちで始まっている。

 まず、改訂への着手そのものが後手に回っているのに加え、「来年4月」というのが、まったく納得できない。

 そもそも、今回の改訂のために、あの内閣府食品安全委員会の答申が必要だったのかどうか、日経の記事を読んでもよく分からない。Nikkei.Comの該当記事

食品の放射性規制、厳格化へ 厚労省、BSE対策は緩和へ
2011/10/31 13:28

 厚生労働省は31日、薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会を開催した。食品に含まれる放射性物質の暫定規制値について内閣府食品安全委員会が27日に答申した評価書を報告し、放射性セシウムは「年1ミリシーベルト」を上限とする案を提示。BSE(牛海綿状脳症)対策は国際基準などを報告した。同省は食用牛の検査月齢を引き上げ、輸入制限を含めて緩和する方向で検討する。

 分科会では「年1ミリシーベルト」への厳格化について異論はなく、今後、具体的な規制値案を取りまとめ、意見公募などを経て来年4月にも施行する。BSE対策は「科学的なデータを国民に説明するなど合意形成の努力が必要」との意見が出た。

 食品中の放射性物質については、福島第1原子力発電所の事故を受け、厚労省は3月、緊急時の暫定規制値として放射性セシウムは「年5ミリシーベルト」などと規定。日本人の平均摂取量などから換算して「牛肉1キログラム当たり500ベクレル」などの上限値を超えた食品が流通しないようにしている。

 食品安全委の27日の答申では健康影響を与える目安として追加の内部被曝(ひばく)分を「生涯の累積線量がおおよそ100ミリシーベルト以上」と提示している。

 一方、BSE対策については国際獣疫事務局(OIE)が人への感染を防ぐため頭部や脊柱を除去する月齢として「31カ月以上」としていることなどを報告。厚労省は感染源とみられる肉骨粉を使わないことを前提に「21カ月以上」を対象にしている日本の食肉検査態勢を見直すとともに、米国やカナダなどからの輸入制限も緩和する方向で調整している。



「年1ミリシーベルト」への厳格化について異論はなく と言うのなら、なぜに「生涯100ミリシーベルト」という、混乱を生むだけの数値をひねり出した内閣府食品安全委員会による答申などを待つ必要があったのか・・・・・・。

 そして、改訂の時期が来年の4月。「えっ?」と驚くばかりの、先の長いマイルストーンの設定だと思う。

 すでに「年間1ミリシーベルト」を基準とするなら、ウクライナでもベラルーシでも見本はすでに存在する。もちろん、あらためて各食品ごとに日本特有の(たとえば、米の基準を厳しくする、など)の基準を検討する必要があるのかもしれない。しかし、余りにも検討期間が長すぎる。来年4月まで、市民はどんな基準を元に食の安全を確保すればいいのか。もはや、「暫定」基準を指標としようとする、賢明な市民や生産者はいなかろう。

 役人の都合と時間かせぎ、としか思えない。4月というのは、期の変わり目でもある。

 米など主食への不安、毎日飲む水、そして赤ちゃんへ与えるミルクなどの食生活への不安を一日も早く解消すべく、“公僕”は仕事をして欲しい。新たな規制づくりに、なぜ今から5カ月も必要なのか。暫定規制から考えれば一年以上を経ての改訂になる。

 今から5カ月必要なら、その工程表を明らかにして欲しいものだ。

 私は、日本の官僚の得意な、できるだけ現状維持の期間を長びかせようとするサボタージュのような気がしてならない。そして、時間の経過によって、フクシマから未だに放出さ続ける放射能の量が低減するのを待とうという“牛歩戦術”なのではないか、と勘ぐってしまう。

 そんなに「暫定」規制値の適用期間を長くしたいのなら、改訂までの間、暫定規制値をパスした食品を優先的に厚労省を筆頭とする霞ヶ関の官僚達、そして内閣の大臣とその家族、そして全政治家に食べていただこうじゃないか。これは、官僚の怠慢と、それを指導できない政治家の失態なのだ。

 放射性セシウムが、飲料水、牛乳・乳製品で1リットルで200ベクレル、野菜類、穀類、肉・卵・魚・その他は1キログラムで500ベクレル以内なら、霞ヶ関と永田町に食品をどんどん送るべきだろう。国会の前、厚労省の前に、風評被害を含め売れなくなった食品を積み上げてみてはどうだろうか。
 「暫定」期間を長引かせていることによる市民の食への不安の増大、そして生産者の方々に大きな生活への不安を与え続ける官僚と政治家には、それだけの罪があると、私は思う。
[PR]
福島県が県内のコメの放射性物質調査の結果、「暫定」基準である1キログラム当たり500ベクレルを下回ったということで、「安全宣言」をしたようだ。時事ドットコムの該当記事

福島全域でコメ出荷可能=セシウム、規制値下回る

 福島県は12日、収穫後のコメを対象に実施した放射性物質の本調査をすべて終え、全検査地点でセシウム濃度が国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を下回ったと発表した。これに伴い、県内全域でコメの出荷が可能になった。佐藤雄平知事は同日、記者団に対し「コメの安全性が確認され、安堵(あんど)している。(今後は)トップセールスに出掛けたい」と述べ、昨年の生産量が全国4位の44万5700トンだった県産米を売り込む姿勢を強調した。
 収穫前に行う予備調査では、二本松市の旧小浜町の水田で規制値と同じ500ベクレルのセシウムを検出。この日の本調査の結果は470ベクレルにとどまった。県は、この水田と近隣で収穫されたコメは、検査のために全量買い上げる方針。市場に出回ることはないとしている。
 県は、今年のコメの作付けが制限された東京電力福島第1原発の周辺自治体を除く48市町村で、放射性物質を調査。9月上旬から予備調査、次いで出荷の可否を決める本調査を行い、問題のなかった自治体から順次、出荷を解禁していた。特に二本松市は本調査を、当初予定の38地点から288地点に増やし、重点的に調べてきた。
(2011/10/12-19:17)


 果して、「暫定基準」に従った調査結果について、消費者はどう評価するのだろうか。
 
 これまで、くどいくらいに紹介してきたが、ウクライナの現状の基準と日本の「暫定」基準は次のような相違がある。2011年7月21日のブログ
-------------------------------------------------------------------------
■放射性セシウムに関する規制値比較(ベクレル/Kg、ベクレル/リットル)
           日本                    ウクライナ
飲料水        200                      2
牛乳・乳製品    200                     100
野菜類        500     ジャガイモ          60
                   野菜(根菜、葉菜)      40
穀類          500    パン・パン製品        20
                   パン・穀類製品       185 *ジトーミル州の管理基準値
肉・卵・魚・その他 500      肉・肉製品         200
                    魚・魚製品         150    
-------------------------------------------------------------------------
*「飲料水」の「2ベクレル/リットル」は、決して書き間違いではない。

 日本の「暫定」基準は、「野菜類」「穀類」「肉」など全て500ベクレル/Kgであるが、ウクライナではジャガイモで60ベクレル/Kg、野菜は40ベクレル/Kg、パン・パン製品は20ベクレル/Kg、パン・穀類製品という分類で、ジトーミル州で185ベクレル/Kgという基準を採用している。

 ウクライナ基準は、食べる頻度を想定し、年間の内部被曝を1ミリシーベルトに抑えるように計算されている。毎日飲む飲料水は、2ベクレル/リットル、食べる頻度の高いジャガイモや野菜も、基準が低くなるのは理屈である。

 日本における主食のコメの基準が、果たして「暫定」500ベクレル/Kgの限界ギリギリの場合、毎日食べたら、、いったい年間での内部被曝はどれほどになるのか。計算式があるから、近いうちに試算してみるが、500ベクレル/Kgという基準が、子ども達や妊婦にとってとても安全には思えないのだ。

 知事自らトップセールスする、という意気込みは褒められるのかもしれない。
 しかし、「暫定」基準を元に早々に「安全宣言」を出すことで、問題は解決するのだろうか。たしかに厳しい基準を適用すると、それだけ農家の生計を圧迫するかもしれない。しかし、コメは主食である。消費者の関心はそれだけ高いことになる。そして、「暫定」基準については、市民の多くが疑いの目で見ているように思う。

 何度も書いてきたが、ウクライナ基準を参考にするか、専門家による算定に基づき新たな日本の「正式」基準を策定し、その基準を元に評価することが本来優先されるのではなかろうか。「暫定」基準の適用から、すでに半年以上経過しているのだ。

 もし、あるべき「正式」基準に満たないコメの生産農家には、国(税金)で買い取るか生産者を金銭的に援助すべきだろう。しかし、なぜかこの問題をメディアは取り上げない。「報道ステーション」でも、このニュースには古館のコメントもなく、スッと通り過ぎたなぁ。

 すでに、フクシマについて政府、官僚、そしてマスコミが結託して“収束”ムードを演出しているようだ。本当に安全なら、私もブログでこんなことは何度も書きたくはない。しかし、チェルノブイリを経験したウクライナの基準を歴史の教訓として、フクシマを経験した日本が生かすことができないのなら、日本という国にはまったく“学習効果”がない、と言えないだなかろうか。

 どれほど知事が「安全」と叫んでも、「暫定」が続く時間が長ければ長いだけ、市民の食への不安は払拭されないはずだ。私はそう思う。
[PR]
福島第一原発からは未だに放射能が撒き散らかされているのに、政府やマスコミの論調はガレキの問題とか除染など、「事故の後処理」的な印象を強調する内容ばかりになってきて、ほとんどフクシマは「収束」したかのようなイメージを植えつける情報操作がなされているように思っている。しかし、フクシマがまだまだ現在進行形である、ということを裏付けるニュースを紹介したい。時事ドットコムの該当記事

福島市内で高セシウム=3カ月前より濃度上昇地点も−NGO
 東京電力福島第1原発事故の影響を調べているNGO「FoE Japan」などが5日、東京都千代田区永田町の参院議員会館で会見し、福島市内で高濃度のセシウムに汚染された地域があることを明らかにした。
 NGOによると、調査は9月14日に実施。神戸大大学院の山内知也教授(放射線工学)に依頼し、福島市小倉寺と渡利の計5カ所で土壌のサンプル調査を行った。
 この結果、最も濃度が高かった地点では1キロ当たりセシウム134と137が計30万ベクレルを超えた。3カ月前と比較して濃度が5倍以上になっている場所や、学童保育が行われている建物の近くで15万ベクレルを超えていたケースもあった。
 山内教授らの調査では既に、これらの地域では放射線量が高い「ホットスポット」があることが分かっている。同教授は「時間がたってセシウムの濃縮が進み、汚染が進行している地域もある」と指摘。「泥を除いたり、水で洗い流したりするだけでは線量が下がらない場所もある。子どもと妊婦を避難させた上で、アスファルトやコンクリートの除去なども考える必要がある」と訴えた。(2011/10/05-12:38)


 山内教授に関しては、あの20ミリシーベルト問題の際に、極めて真っ当な主張をされていた神戸新聞のニュースを取り上げたことがある。2011年5月25日のブログ
 本日行なわれた記者会については、FtoEのサイトで予め告知されていた。引用したい。FtoEサイトの該当ページ

渡利地区における土壌汚染調査結果 記者会見&緊急報告会

福島市渡利では、福島市の調査により高い線量がポイントではなく面的な広がりを持って存在することが明らかだったのにもかかわらず、説明会も開催されないまま、何か月も放置されてきました。

私たちは政府に対して、何度も、説明会を開催すること、渡利を特定避難勧奨「地区」に指定し、とりわけ、子どもや妊婦の避難が可能となるように、賠償を支払うことを保障することを求めてきました。

8月下旬、渡利の一部の地域において、原子力災害現地対策本部および福島県による詳細調査が実施されましたが、詳細調査が実施されたのはごく一部の地域にすぎませんでした。このままでは、特定避難勧奨地点の指定からもれた地域の住民が、避難にあたっての賠償を受け取れない等の弊害が生じるおそれがあります。

このため、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、FoE Japan(フレンズ・オブ・ジ・アース・ジャパン)は、神戸大学の山内知也教授(放射線エネルギー応用科学)に依頼し、9月14日に渡利地区の放射能汚染調査(空間線量および土壌汚染を測定)を実施しました。

土壌分析の結果、複数の箇所からチェルノブイリの避難の義務ゾーン、特別規制ゾーンに匹敵するきわめて高いセシウム濃度が検出されました。このたび、この結果に関する緊急報告会を開催するものです。

なお、すでに空間線量については、下記のような結果となっています。
http://www.foejapan.org/energy/news/110921.html

<記者会見> in 東京
◆日時:2011年10月5日(水)10:00~11:00
◆場所:参議院議員会館B106(東京・千代田区)

<緊急報告会> in 福島
◆日時:2011年10月5日(水)18:30~20:30
◆場所:福島テルサ・あづま(福島市上町4−25)
http://www.f-shinkoukousha.or.jp/terrsa/access.html

◆出席者
  山内知也/神戸大学大学院教授
  阪上武/福島老朽原発を考える会代表(フクロウの会)
  満田夏花/国際環境NGO FoE Japan

◆主催:
福島老朽原発を考える会
FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)


 
 簡易的な除染で済む地域と、とてもそれでは間に合わない汚染地域がある。緊急避難地域の指定の有無とは関係なく、“ホットスポット”がある。それは、放射性物質が風や雨、海なら海流やプランクトンなど自然の媒介によって拡散している以上は当たり前であり、予測も計測も可能なことである。本来は国が予測し計測し、対策を練って実施すべき国民の安全確保の問題だ。

 ちなみに、チェルノブイリ事故におけるウクライナの土壌汚染の避難基準は次の通りである。
(1)避難(特別規制ゾーン)=1986年に住民が避難した地域:土壌汚染密度の定義なし。
(2)移住義務ゾーン:55万5000ベクレル/m2(15キュリー/km2)以上。
(3)移住権利ゾーン:18万5000~55万5000ベクレル/m2(5~15キュリー/km2)。
(4)放射能管理強化ゾーン:3万7000~ 18万5000ベクレル/m2(1~5キュリー/km2)。
 なお、ベラルーシでは、これらの基準に加え、148万ベクレル/㎡を第一次移住義務基準としていた。

 ベクレル/kgからベクレル/㎡への換算は表土5cmの採取の場合で60倍する計算になるらしい。ということは,
 
30万ベクレル/kg→1800万ベクレル/㎡、15万ベクレル/kg→900万ベクレル/㎡、

 となる。いずれにしても「移住義務」、要するに「避難」レベルなのである。

 FtoEサイトの紹介したページからダウンロードできる下記の資料では、ベクレル/kgからベクレル/㎡の換算率を20倍と低く見積もって、かつベラルーシの148万ベクレル/㎡といいう高い基準を採用しているにもかかわらず、多くの地域が避難ゾーンに該当する。
福島市渡利地区における土壌中の放射能調査(概要)

 市民やNGO、NPOの活動による活動はあくまで問題を指摘することにとどまらざるを得ないわけで、税金を投入して対策を実施すべきなのは、当たり前だが国の責務である。

 被害を小さく見せようとする情報操作と併せて、まるで事故が収束したかのように思わせる操作が政府とマスコミによって行なわれている。しかし、フクシマによる被害が現在進行形で、かつ場所によっては拡大しているという事実は、どんな情報操作があろうと揺るがない事実であり、国にはその対策を速やかに行なう責務がある。

 今、日本の市民が必要としている政府は、何ら根拠のない楽観論でもなければ、具体的用途の見えない増税論でもない。震災や原発事故の被害状況や汚染の実態を隠さず公開し、その対策について客観的な基準を元に的確な指示や方法を示す政府である。それができないのなら、政党や政治家に関わらず、市民はふさわしい人と組織を求めるしかなかろう。そして、それが出来るような気もするし、そうしなければならないだろう。「原子力はクリーンエネルギー」という原子力村の情報操作に操られてきた、過去の日本および日本人とはオサラバである。

 カレル・ヴァン・ウォルフレンは『人間を幸福にしない日本というシステム』において、現状維持を金科玉条とする官僚に統制され、その官僚の力を適切にリードできない政治のなすがままに国民が「しかたがない」と諦めてきた日本には本来の民主主義はない、と指摘している。
 震災とフクシマという大きな犠牲を払った今、例えば松本の菅谷市長や神戸大学の山内教授に代表される市民側に立った専門家や、信頼できるNGOやNPO、そしてようやく目覚めつつある市民によって、初めて日本に民主主義が育つ可能性が芽生えたように思う。また、そうでなければ、被害に遭われた方々にも将来ある子ども達にも申し訳ないと思うのだ。
[PR]
食品に関するウクライナの放射能基準のことを先日もあらためて紹介したが、なかなか「暫定」基準から「正式」基準への長い道のりを歩ききれない政府になど頼らない市民の活動が始まっているというニュース。中日新聞Webサイトの該当記事

松本市、学校給食で放射線測定 ウクライナ基準を採用
2011年10月4日

 東京電力福島第一原発事故の影響で農作物が放射性物質に汚染された可能性があるとして、松本市教育委員会は3日、市内4カ所の学校給食センターで、給食用食材の放射性物質の測定を始めた。給食用食材の検査は県内の自治体で初めて。当面の間、汚染が懸念される地域の農作物を対象に毎日測定する。

◆県内自治体で初、当面は毎日測定
 納品時に食材の一部を対象に実施する。「サーベイメーター」と呼ばれる放射線測定機を食材に当てて計測。東北や北関東などの農作物が対象で、西日本産や食材の8割を占める県内産は検査しない。

 食品を対象にした国の暫定基準値は1キロ当たり500ベクレルだが、松本市教委はチェルノブイリ原発事故の汚染地となったウクライナの基準である1キロ当たり40ベクレルを採用した。

 この日は午前7時すぎから、西部(野溝西)、東部(原)、梓川(梓川梓)、波田(波田)の4カ所の学校給食センターで一斉に検査。

 市内の小、中学校38校、約1万9900人分の食材をチェックした。

 このうち、東部学校給食センターでは、センターの担当者が測定機で群馬産のキュウリ1箱を調べた。異常な数値は確認できなかったため、給食用として使うことを決めた。

 学校給食課の担当者は「給食で使用される食材の産地を市のホームページで公表しているが、保護者から放射能汚染を懸念する声があった。子どもの安全安心のために検査を続けていきたい」と話している。 (出来田敬司)


 松本市長は、以前著書『チェルノブイリ診療記』を紹介した菅谷昭(すげのや あきら)さん。2011年8月29日のブログ
 五十歳台半ばにして信州大学医学部助教授の職を投げ打って、チェルノブイリ事故による甲状腺障害を受けた子ども達を救うために、被害の大きかったベラルーシに五年半単身で出向かれた医師である。
 
 今の状況を思うに、まず松本市から何か起らないか、と期待していたので、非常にうれしい地方自治による活動である。

 繰り返しになるが、今中哲二さんや小出裕章さんが所属する京都大学の「原子力安全研究グループ」のホームページに、チェルノブイリ原発事故以来、ウクライナでは放射能の規制基準が次第に改訂されて厳しくなっていったことが記されている。「原子力安全研究グループ」HPの該当ページ

 1997年,ウクライナ保健省は食品と飲料水中のセシウム137とストロンチウム90に関する新しい許容濃度(AL-97)を承認した(表8)。AL-97は1998年1月1日より施行された.表8に示すような濃度の放射能を含む食品を、日常的に標準的な量ほど摂取を続けた場合、その人は、セシウム137とストロンチウム90からそれぞれ年間1ミリシーベルトの被曝をうけることになる。セシウム137濃度とストロンチウム90濃度のそれぞれのAL-97値に対する比比を合計したものが1を越えなければ、その食品は許容されることになる。AL-97の採用により、いかなる人に対しても、食品からの内部被曝量が年間1ミリシーベルトを越えない、と保証される。



 同じ「原子力安全研究グループ」のHPには、ICRPの基準そのものが、この50年間で10倍に厳しくなっていることが、次のグラフを使って説明されている。原子力安全研究グループHPの該当ページ
e0337865_16391013.gif

 このICRPの設定する許容量の根拠には問題があることを、以前に高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』から引用した。2011年5月20日のブログ
高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』
 同書で高木さんはICRPの基準について、「利益と危険のバランス」という的確な表現を使っている。

 政府の食品に関する「暫定」放射能基準が野放しになっているのは、まさに「利益と危険のバランス」を悪用しした例と言っていいだろう。あまり厳しい基準にすると、政府や東電の補償額が拡大する、という経済の論理を優先させているわけで、この「暫定」期間に危険性の高い食品を口にする子ども達の安全性のことは優先されていない。

 チェルノブイリの事故の教訓を生かせなかったフクシマだが、事故後の対策に関しては、この「AL-97」を生かすことはできる。「年間1ミリシーベルト未満」を基準にしているウクライナの規制値が、残念ながら起った事故の歴史を踏まえた教訓として、日本でも生かされるべきであることは、政府を除く多くの地方自治体や市民には分かっていることであろう。「生涯累積100ミリシーベルト」などと言う指標が、どれだけ説得力のない誤魔化しであるかは明らかだ。

 松本市の活動が全国に普及し、政府の怠慢と殺人に等しい行為が地方自治から正されるのは時間の問題だと思うし、そう願いたい。
[PR]
東電が長年に渡って与野党複数議員のパーティー券を購入していた、という周知とも言える事実がニュースになった。47NEWSの該当記事

東電、複数議員のパー券購入 与野党問わず 
 東京電力が複数年にわたり、与野党の国会議員や地方自治体議員のパーティー券を購入していたことが3日、分かった。東電は1974年に政治団体や政治家への献金をしないと決めているが、同社広報部は「飲食の対価としての支払いで、法律でも許されている。献金とは趣旨が異なる。74年の決定に変わりはない」と説明している。

 東電によると、パーティー券は「社会通念上のつきあい」として、これまで与野党を問わず幅広く購入。議員の所属政党や個人名、購入金額などは「集計していない。相手があることなので公表は控えたい」としている。
2011/10/03 13:31 【共同通信】



 73年のオイルショック後、原油価格の高騰で電気料金が値上げされた時、公益的性格のある電力会社が電気料金の値上げ決定に影響を持つ政治家に献金することへの批判の声が上がり、電力会社は政治献金を、タテマエとして廃止した。そもそも政治献金の原資は我々消費者が払う電気料金なのである。

 しかし、その対策(?)として、“パーティー券”というカードが登場する。政治資金を集めるためのパーティーは、正式にその名も「政治資金パーティー」という名で届けられ、パー券は通常一枚20,000円。20万円以下なら届出の義務がないという、おいしいカードなのだ。

 以前に紹介した、別冊宝島『日本を動かす!原発の深い闇』に、東電から政界に送り込まれ昨年まで参議院議員を務めた加納時男に支払われたパーティー券のことが書かれているので引用したい。執筆は“グループ・K21”、となっている。別冊宝島『日本を脅かす!原発の深い闇』

 電力業界は、人材を政界に送りこみ、電力業界の要求を政治に反映させてきた。
 加納時男元参院議員は、東京電力副社長から比例代表で98年に初当選、2期国会議員を務めた。加納氏は自民党のエネルギー政策小委員会事務局長に就任。国会ではもっぱら原発推進を主張し、エネルギー政策基本法の成立に尽力した。2010年に議員を辞すると、東電の顧問に就任した。
 加納時男後援会と政治団体「地球環境・エネルギー総合研究所」の政治資金収支報告書によると、07~09年までのパーティー券収入は約2億円。そのカネを所属派閥の「宏池会」や約60人の国会議員にバラ撒いていた。
 高級クラブや料亭での多額の飲食費、旅費に政治資金を費やし、その“豪遊”ぶりには開いた口がふさがらない。

 
 私は「パーティー券」の購入そのものが、なぜ規制されないのか素朴な疑問を持つ。
 東電の広報部が、「飲食の対価としての支払いで、法律でも許されている。献金とは趣旨が異なる。74年の決定に変わりはない」と言い放つことができるのは、“ザル法”を精一杯活用していることを物語っており、「集計していない。相手があることなので公表は控えたい」と答えるのは、例えば、OBの加納時男の“ばら撒き”や“豪遊”に多額のパーティー券購入費用が使われていることがバレルからである。

 東電が「集計していない」はずがない。「法律でも許されている」なら、堂々とそのリストまで公表してから、今後は一切パーティー券の購入はしない、と宣言でもしない限り、まだまだ政府や国民からの圧力は減ることはないだろう。野田“どじょう”内閣は、できる限り東電に罪をなすりつけようとする。そして、今回のような記事も、さてどのようなルートから“刺されたか”は、分かったものじゃない。

 原子力村のズブズブのもたれあい、という過去のことも断罪すべきである。しかし、現在と未来にとってもっと緊急性と重要性、そして拡大傾向というプライオリティを検討する三要素で大事なことがある。
 それは、まだまだ収束していないフクシマのことだ。希望的観測ではなく、実質的な冷温停止への道筋は示されたと言えるのか。減ったとは言え、未だに発生している放射能を空や海で食い止めるあらゆる方策を検討し実施しているのか。食品や土壌汚染問題への具体的で現実的な施策はいつになったら示されるのか。避難解除宣言だけ一人歩きさせるのではなく、中長期的な原発立地地域住民の方への復興のためのシナリオづくりは誰がしているのか。などなど、政府や関係官僚、東電、そしてマスコミがもっと注力しなければならない課題は山積みのはずだ。

 特に、何度も書いてきたが、食品に関する「暫定」放射能基準から、いつ「暫定」が取れのか、政府の対策の遅さや見解はお粗末すぎる。
 もう一度、チェルノブイリ以降に暫時基準を厳しく改訂してきたウクライナと、日本の「暫定」基準の比較を掲載したい。2011年7月21日のブログ
-------------------------------------------------------------------------
■放射性セシウムに関する規制値比較(ベクレル/Kg、ベクレル/リットル)
           日本                    ウクライナ
飲料水        200                      2
牛乳・乳製品    200                     100
野菜類        500     ジャガイモ          60
                   野菜(根菜、葉菜)      40
穀類          500    パン・パン製品        20
                   パン・穀類製品       185 *ジトーミル州の管理基準値
肉・卵・魚・その他 500      肉・肉製品         200
                    魚・魚製品         150    
-------------------------------------------------------------------------
*「飲料水」の「2ベクレル/リットル」は、決して書き間違いではない。

 たしかに、ウクライナ並みの基準にした場合、膨大な量の食品が基準に引っかかり、農水産業への影響は小さくないだろう。食品によっては、しばらくは輸入食品に頼らざるを得ないかもしれない。
 しかし、「生涯累積100ミリシーベルト」などと言う訳の分からない理屈を持ち出してきて、国民を混乱させているうちに、子ども達が汚染された食物を口にすることを見過ごしている国家の罪は大きい。ちなみに、ウクライナの基準は内部被曝年間1ミリシーベルト未満が設定の根拠である。

 政府は、そもそも“風評”ではなく、国民は国の「暫定」基準をすでに目一杯疑っており、自衛の道を歩み始めているということを理解すべきである。

 ・食品の規制をウクライナ並みにし、それによる農水産業の被害への補助を東電と
  国(我々の税金)で行う。*子どもの未来のためには、最低限の国民負担も必要
 ・並行して土壌の除染を進めるとともに、汚泥など大量発生している身近な生活圏
  の放射能汚染物質について、専門家によるプロジェクトによって早急に対策を
  立案し実行する。
 ・福島第一原発から未だに発生している放射能から空や海を守る施策や、一日も
  早く放射能そのものの発生を止めるためのあらゆる手を尽くす。
 そういった現在と近未来のために必要なマイルストーンをしっかり歩まない限り、フクシマの収束などあり得ないだろう。早期「冷温停止」といいう楽観的な謳い文句を掲げるだけでは、何ら現実的なフクシマの“今そこにある危機”への対策にはならない。“何を食べ”“どこに住み”“どのように暮ら”したらいいのか、震災とフクシマによってもたらされた国民の苦痛は、過去の罪悪を暴くことだけでは癒されない。今求められることは、憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という権利が保障されることに他ならない。
 早くも始まっているであろう“政争”などにかまけている場合ではないのだ、“どじょう”も“たぬき”も。
[PR]