幸兵衛の小言



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斑目達は「特別職」としての給与を得る資格があるのか!?

斑目が「当面」続投らしい。時事ドットコムの該当記事

班目委員長、当面続投=原発耐性評価「審査は難しい」−原子力安全委
 原子力安全委員会の班目春樹委員長は30日、委員からの慰留を理由に、これまで表明していた今月末での辞意を撤回し、当面続投することを明らかにした。ただ、東京電力福島第1原発事故を受け、定期検査に入っている原発を対象に行われているストレステスト(耐性評価)の審査については、「時間の確保から非常に難しい」と述べた。
 班目委員長は、東京・霞が関で開かれた記者会見で「他の委員から非常に強く慰留され、辞める時は一緒にということで考え直した」と話した。
 ただ、班目委員長を除く委員4人のうち3人が4月16日で任期切れとなる。委員長は「16日に一緒に考えてくださいと言われた」と述べ、今後の進退は同日に改めて判断する考えを示した。
(2012/03/30-23:17)



 フクシマの前から、そして事故当時から今まで、「安全委員会」は国民にとって期待される仕事をしてきたとは、私は思わない。原子力ムラにとっては、期待通りだったかもしれない。

 原子力委員会や原子力安全委員会のメンバーが、いったいどれだけの手当てを得ているのか調べてみた。

 ググったところ、総務省が運営する総合的な行政ポータルサイト“e-gov”から、原子力安全委員など「特別職」職員の給与を確認することができた。月給(俸給月額)と対象職種の一部を引用する。特別職の職員の給与に関する法律

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一、〇五五、〇〇〇円

公害等調整委員会の常勤の委員
中央労働委員会の常勤の公益を代表する委員
運輸安全委員会の常勤の委員
総合科学技術会議の常勤の議員
原子力委員会委員長
再就職等監視委員会委員長
証券取引等監視委員会委員長
公認会計士・監査審査会会長
中央更生保護審査会委員長
宇宙開発委員会委員長
社会保険審査会委員長
東宮大夫
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九三一、〇〇〇円

食品安全委員会の常勤の委員
原子力委員会の常勤の委員
原子力安全委員会の常勤の委員

情報公開・個人情報保護審査会の常勤の委員
公益認定等委員会の常勤の委員
証券取引等監視委員会委員
公認会計士・監査審査会の常勤の委員
地方財政審議会委員
国地方係争処理委員会の常勤の委員
電気通信紛争処理委員会の常勤の委員
中央更生保護審査会の常勤の委員
宇宙開発委員会の常勤の委員
労働保険審査会の常勤の委員
社会保険審査会委員
運輸審議会の常勤の委員
土地鑑定委員会の常勤の委員
公害健康被害補償不服審査会の常勤の委員
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 原子力安全委員会は委員長の付加分はなさそうなので全員931,000円とすると、斑目を含む委員の年収は931,000円x12=11.172,000円となる。

 民間で1000万円を越える年収を得るのが決して簡単ではないのは明白である。彼らは高額報酬に見合う、何を果たしたのか?
 
 「当面続投」の期間も、血税から高額の給与が支払われるのだろう。私は、彼らが報酬を返還した、というニュースを知らない。

 「安全」に関する「審査」もしない委員達に報酬など必要なのか。あるいは、彼らが真っ当な倫理観を取り戻すことができたら(難しいだろうけど)、過去の報酬の何分の一かでも返還するか、君たちの怠慢の結果、故郷を失い過酷な生活を強いられているフクシマの被害者の皆さんに対し投じるべきではないのか。

 もともと原子力規制庁の4月1日発足も、冷温停止状態宣言も、何ら実証的な検討・検証のない、その場しのぎなのである。

 無駄に日々国会で税金の無駄遣いをしている政府首脳と国会議員も含め、「特別職」の君たちは、血税から支払われる報酬に見合うだけの国民への義務を果たしているか。まさに今それが本人達に自問されるべきだし、ジャーナリズムがもっと指摘すべき時ではないだろうか。
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by koubeinokogoto | 2012-03-31 10:49 | 原発はいらない | Comments(0)

ようやく中央紙も仕事を始めたようだ-電力会社御用学者への寄付問題。

昨日の朝日新聞は朝刊一面トップで、下記の記事を掲載した。asahi.comの該当記事

福井県原子力委員に1490万円 電力側、5人に寄付

 全国最多の原発14基を抱える福井県から依頼され、原発の安全性を審議する福井県原子力安全専門委員会の委員12人のうち、4人が2006~10年度に関西電力の関連団体から計790万円、1人が電力会社と原発メーカーから計700万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べでわかった。

 政府は近く、停止中の原発の中で手続きがもっとも進む関電大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働について福井県に同意を求め、県は県原子力委に助言を求める見通しだが、5人の委員が関電など審議対象と利害関係にあることになる。5人はいずれも寄付の影響を否定している。

 委員らの所属大学に情報公開請求し、大学を通じて研究助成名目で寄せられた5年分の寄付が開示され、委員にも取材した。


こちらが、同記事で紹介された寄付を受けていた先生達と、彼らの苦しい弁明。
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 毎日も後追いしたようだ。毎日jpの該当記事

福井県原子力委:関電側、委員4人に790万円寄付−−06~10年度

 福井県の原発に関して技術的な助言をする「県原子力安全専門委員会」の委員12人中4人が、関西電力と関わりの深い業界団体「関西原子力懇談会」(関原懇)から06~10年度に研究助成金として計790万円の寄付を受けていたことが分かった。同委員会は、県が関西電力の原発再稼働を判断する際、助言する立場にある。

 関原懇によると、寄付があったのは▽泉佳伸・福井大教授が30万円(10年度)▽西本和俊・大阪大教授360万円(06~08年度)▽三島嘉一郎・元京都大教授300万円(06~07年度)▽山本章夫・名古屋大教授100万円(09~10年度)。

 関原懇の会長は主に、関電の原子力担当の役員が就任。関電は法人会員になっている。関原懇は「原子力や放射線利用の振興に貢献があり、有望な研究をしている先生の研究助成のため寄付している。関電の意思で活動しているということはない」と説明している。

 同委員会の開催要領には「学識経験者の中から知事が就任を依頼する」などの記載しかなく、県は委員を選任する際、原子力業界からの寄付などについて報告を求めていない。一方、国の原子力安全委員会は審査の中立性を確保するため、審査委員に電力事業者などとの利害関係を自己申告させている。
【安藤大介】毎日新聞 2012年3月26日 東京朝刊



 以前に紹介した、別冊宝島『日本を脅かす! 原発の深い闇』2011年7月16日のブログには、三島、西本を含む東大、京大、阪大人脈の教授達への原子力ムラからの寄付の詳細が書かれていた。

 原発問題に関しては、ようやく草の根ジャーナリズムの姿勢に、大手マスコミの一部が追いつきつつある、そんな印象である。

 いずれにしても、こういった学識経験者と言われる専門家が認める再稼働などには、何ら「実証的」な裏付けなど存在しない。あくまで“原子力ムラ”村民同士の「金銭的」な裏取引きに基づくものである。
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by koubeinokogoto | 2012-03-26 12:23 | 原発はいらない | Comments(0)

「原燃料費調整制度」という悪法-値上げの前にするべきことがある!

“原子力ムラ”の問題はいくらでもあるが、彼らが主張する「燃料費高騰による電気料金の値上げ」にも、いろいろとその前に、電力会社と政府が努力すべきことがあるようだ。
 さまざまな問題提起のブログを紹介しているブログ「薔薇、または陽だまりの猫」を見ていて、次の2月25日の中日新聞の社説を知った。
「薔薇、または陽だまりの猫」さんの該当ページ
中日新聞サイトの該当記事

電気値上げ 燃料高値買いは背信だ

 火力発電の主力燃料、液化天然ガス(LNG)を世界一の高値で買えば電気料金も自(おの)ずと高くなる。唯々諾々と産ガス国の言い値に従い、消費者にツケを回す電力業界の構造は限りなく背信に映る。

 東京電力は企業向け料金の値上げ発表に続き、家庭向けも国に値上げ申請する。原発が失った発電能力を火力で補っているため、燃料費が年八千億円以上増え赤字経営に陥るからだという。

 日本が保有する原発は計五十四基。福島以外の原発も周辺自治体の反対などで定期検査終了後も再稼働できず、今や動いているのはわずか二基だ。

 その結果、日本の総発電量に占める原発の割合は著しく低下し、火力発電は49%から72%へと膨らんだ。東電以外も遅かれ早かれ料金を引き上げるのだろうが、値上げ理由をうのみにはできない。

 火力発電にはLNGや石炭、石油が使われ、LNGが四分の三を占めるが、そのLNG調達には不可解な点があまりに多い。輸入LNGの六割は電力向けで、昨年十二月の購入価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり約十六ドル。ところが、欧州は約十ドルで輸入し、米国は自国の地中に堆積した頁岩(けつがん)層からのシェールガス生産が始まり、三ドル前後と極めて安い。

 ドイツはパイプラインで輸入するロシア産と、LNGで輸入するカタール産などを競わせて値引きを迫れるが、日本には産ガス国との間を結ぶパイプラインがない。

 電力業界は高値の理由をこう説明しているが、同じ条件下の韓国は日本企業が投資したロシアのサハリン2から日本の半値以下で輸入し、三年後にはガス輸出国に転じる米国とも安値で契約済みだ。なぜ電力業界は、のほほんと大手を振っていられるのか。主たる理由は原燃料費調整制度の存在だ。

 産ガス国が値上げしても、為替変動で輸入価格が上昇しても、上がった分を電気料金に自動的に上乗せできる制度なので、過保護を見抜かれた電力業界は産ガス国の言い値で押し切られてしまう。

 産業界からの批判を避けるため、大口企業と割引契約を結んでいるともいわれている。中小・零細企業や家庭など、力の弱い需要家ばかりにツケを回し、声の大きい企業は割引で黙らせる。

 こんなあしき構造を許しては原燃料費調整制度を続ける政府も背信のそしりを免れない。円高を活用した海外ガス田の権益獲得など燃料調達も視野に入れた料金制度のゼロからの見直しを求める。



 「総括原価方式」といい、この「原燃料費調整制度」といい、まったく国民無視の制度といってよいし、放置しておくことで、どんどん市民生活を圧迫させるものと言えるだろう。
 原燃料のコスト削減努力を放棄し、高い燃料で購入したとしても値上げして電力会社の利益は確保できる。これは、電力会社のみを優遇する不平等制度であろう。

 どんなにコストをかけようが、もっと言えばコストをかければかけるほど利益が増える、そんな産業は他に存在しない。

 今、日本の製造業は、市場とモノづくり構造のグローバル化の中、涙ぐましいコスト削減をすすめている。政治家は、簡単に「産業の空洞化を防ぐ」などと言っているが、部品会社は客であるメーカーの海外進出に呼応して日本の工場を閉鎖しアジアに進出しなければ、現地企業に仕事を奪われるのだ。そして、タイなどアジアで製造された製品は、日本に輸出もされる。だから、一国の貿易収支のみを見て、その国の経済を語ることのできない時代になっている。中国にある台湾系EMS(製造請負企業)が、iPodやiPad、スマートフォンの相当部分を製造し、その製品が全世界に輸出されているのが、今日の世界のモノづくりの姿である。それは、まさしくバウンダリフリー(障壁のない)競争と協調への構造変化なのだが、電力会社だけは、いまだに彼らを守ってくれる壁に囲まれているようだ。

 品質(Q)、コスト(C)、スピード(D)、そして環境への配慮(E)という各課題の解決を目指し、過酷な競争の中で戦っている製造業と、電力会社の優遇された環境との落差は、あまりも大きい。そして、彼らの利益を付与するための値上げは、特に中小企業や家庭への大きな負担となる。

 電力会社のみ、まったく違うルールで、野球に例えるなら、他の産業はスリーアウトでチェンジだが、電力会社のみテンアウトまで許されているような、そういった差があると言ってもいいだろう。

 こんな制度があるから、コスト削減という意識は働かない。そして、「総括原価方式」と「原燃料費調整制度」、少なくともこの制度自体にメスを入れない限り、原発再稼動にも電気料金の法外な値上げにも応じることはできない。
 そういったことを中央のマスコミが主張しないのなら、こんなちっぽけなブログでも、出来る限り地方紙やネット上の正論を紹介したいと思う。地方紙のジャーナリズム本来の視点に立脚した記事に接すると、大マスコミの醜態が、何とも情けない。過去のプロ野球選手の報酬を巡って、何百万部もの発行を誇る大新聞同士が、くだらない喧嘩をしている暇はないはずだ。「球団」ではなく、悪事の「糾弾」をするのが、ジャーナリズムの重要な役割の一つであったはずだ。
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by koubeinokogoto | 2012-03-20 09:00 | 原発はいらない | Comments(2)

大江健三郎の真っ当な“感性”と、政治家達の前のめりの“慣性”

パリで開催された書籍展において、大江健三郎が、非常に明確な脱(反)原発論を披露したようだ。時事ドットコムの該当ページ

原子炉「二度と稼働させるな」=書籍展で大江氏講演−パリ

【パリ時事】ノーベル文学賞作家の大江健三郎氏が18日、パリの見本市会場で開催中のフランス最大の書籍展「サロン・デュ・リーブル」で講演し、東京電力福島第1原発事故後に停止された原子炉を「二度と稼働させないようあらゆる手段を尽くすことが、私たちが破滅を免れ、生きていくための唯一の手段だ」と訴えた。
 大江氏は「次の原発が破裂すれば日本人は生きていけない」と指摘。次世代が生存できるかという観点から「日本について、アジアについて、世界について考えるという、普遍的な考え方を私たちがやり始めた最初が今だ」と述べ、福島原発事故が日本人の思想に大きな影響を与えたと強調した。(2012/03/19-06:26)



 ノーベル文学賞受賞者の日本人が、かくも真っ当なことを言ってるのに、その国のリーダーたるべき人たちは、まったく方向違いのことをしようとしてる。大飯原発の再稼働問題は、どこをどうして「政治的判断」にすり替わってしまうのか、不可解極まりない。

 最近は、いわゆる大手新聞の社説を読む気になれないので、地方新聞の中から、賛同できるものを選ぶ。信濃毎日新聞の3月15日の社説を紹介したい。信毎Webの該当記事

大飯原発 政治判断の段階ではない
3月15日(木)

 福井県の関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題が、大詰めを迎えている。

 関西電力が行った安全評価の1次評価結果について、原子力安全委員会が検討会を終え、近く見解をまとめる。

 これを受け、野田佳彦首相や枝野幸男経済産業相らが協議、地元に説明して理解が得られれば政治判断する段取りだ。

 いよいよ最終段階へと足を踏み入れるが、前のめりと言わざるを得ない。原発の安全性について、腰を据えて検証する姿勢を野田内閣に求める。

 首相は東日本大震災から1年の記者会見で、立地自治体や地元への協力要請に関して「政府を挙げて説明し理解を得る。私が先頭に立たなければならない」と強調した。大飯原発の再稼働に向けた決意と受け取れる。

 現在稼働中の原発は、54基中2基のみである。このままでは日本経済の足を引っ張りかねないとの懸念は理解できるが、だからといって再稼働にかじを切ることにはあまりに疑問が多い。

 第一に、1次評価を検証した経産省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は、国民の信頼を失ったままである。

 新たな原子力規制庁は、4月1日からの発足が疑問視されている。抜本改革がなされないままことを進めても、国民の納得を得るのは難しい。

 第二に、1次評価だけでいいか、といった疑問がある。

 安全評価は地震や津波、電源喪失などの事態に対して、どの程度余裕があるかをコンピューターで解析するものだ。再稼働の条件となる1次評価と、全原発を対象とする2次評価がある。

 安全委の班目春樹委員長は「2次評価は検討の深さが違う」「安全評価は1次と2次がセット」などと述べ、1次評価だけでは不十分との見解を示している。

 3月末で退任の意向を表明している班目氏が、専門家として最後にブレーキをかけたとも受け取れる。政府は軽視すべきではない。

 第三に、大飯原発周辺の活断層の評価である。保安院が現在、詳しい検討を進めており、3月末に判断するという。想定される揺れや被害にかかわるだけに、丁寧な検証が要る。この点がはっきりしないまま、安全性の判断はできないだろう。

 大飯原発の再稼働をめぐっては、周辺自治体の住民の反対も強い。野田首相は広く世論に耳を傾けてもらいたい。



 地方新聞の社説などに、中央紙では書かない「正論」を見かけることが多く、その時は「まだ、日本も捨てたもんじゃない」と、少しだけ“ほっ”とする。

 信濃毎日の指摘は、私の感覚では、“当たり前”のことを言っている。しかし、朝日、読売、毎日、日経は、必ずしも“当たり前”のことを言っていない。大江健三郎の講演での発言も、私は、ある意味で“当たり前”と受け止めている。

 この“当たり前”と言う感覚を、大事にしたいと思う。

 「電力不足」→「原発再稼働」の短絡的図式が間違っている、という感覚は“当たり前”であろう。

 この“→”の両側に、「資源不足」→「戦争」、という言葉を当てはめれば、そのままほぼ70年前の日本が犯した暴走の図式になるのではないか。「電力不足」→「原発再稼働」には、「日独伊三国同盟締結」→「アメリカの経済封鎖」→「石油他資源欠乏」の後に「戦争(開戦)」という言葉を配置したのと同じような、国家による愚挙のベクトルが見える。

 もちろん、太平洋戦争開戦前の日本には、「八紘一宇」であるとか「大東亜共栄圏」という別な思想的思惑もあったが、国民に耐乏を強いても戦争を肯定させる論理は、食糧を含む資源の不足の打開策としての戦争、というロジックではなかっただろうか。
 そして、陸軍の暴走に始まりマスコミによる好戦的世論の醸成が進み、唯一“当たり前”の感覚で非戦を唱えていた海軍も、米内(大臣)-山本(次官)-井上(軍務局長)という最強ラインが崩れた後には、開戦への“前のめり”のモーメントの強さに崩れて、「やれば必ず負ける」と分かっていた戦争に猛進した。その日本の姿が、「電力不足」→「原発再稼働」の、超短絡的な図式にもオーバーラップして見える。

 何度か同じようなことを書いてきたが、3.11は、われわれの生活のあり方を見直す契機ともしなければならない。毎年毎年、電力需要が右肩上がりになる、という前提が、「“原子力ムラ”の策略ではなかったのか?」と自問することが、今の日本人の責務なのではないか。

 「不足なのか、それとも使いすぎなのか?」という問いかけを含め、これまで当たり前と思っていたことを、「なぜ?」と疑ってかかることが大事なのだ。昨年の夏の節電により、産業界もわれわれ市民の生活においてもさまざまな苦労を強いられたのは事実だが、しかし、何とか乗り切ったではないか。石油や天然ガスを燃料にする発電の割合が増えるからと言って値上げを主張する電力会社の算定基準には、本来当たり前に経費とすべき内容までが目一杯含まれていたことを忘れてはならない。

 その電気料金制度は、若干の改善がありそうだが、根本的には「総括原価方式」そのものを廃止するしかない。北海道新聞の3月18日の社説を引用する。“どうしんウェブ”の該当記事

電気料金制度 算定方法の見直しこそ(3月18日) 

 経済産業省の有識者会議が、電気料金制度の運用見直しについて報告書をまとめた。

 電気料金は、電気をつくるのに必要な燃料費などの原価を電力会社が見積もり、一定の利益を上乗せする「総括原価方式」で算定される仕組みである。

 電力業界と経産省のなれあい関係の中で、電力会社による原価算定の不透明さが指摘されている。是正のメスがようやく入った形だ。

 政府は近く省令を改正し、東京電力が予定している家庭向け電気料金引き上げの査定から適用する。厳格な運用を求めたい。

 報告書で注目したいのは、オール電化の宣伝費や電気事業連合会への拠出金、原発立地する自治体への寄付金などは原価への算入を認めない方針を初めて打ち出したことだ。

 宣伝費などは電力の安定供給に必要な経費とは言い難い。原価からの除外は当然の措置だ。

 報告書には、人件費を原価として算定する際に上限を設け現在より低い基準を使う措置も盛り込んだ。

 電力会社の人件費が千人以上の企業に比べ高いことを考えれば、人件費の圧縮もうなずける。

 問題は、原発の運転状況によって火力発電所で使う燃料の調達量が増えた場合、その経費を値上げに反映させることを認めた点だ。

 原発の稼働停止で東電以外の電力会社も火発への依存を強めている。東電だけでなく、ほかの電力会社が値上げに踏み切る可能性もある。

 燃料費は原価の3分の1を占める。その経費増が料金に反映されれば電力会社の負担が一般家庭にしわよせされることになる。これでは利用者本位の料金改革とは呼べまい。

 政府と電力業界に求めたいのは、制度の根本にある総括原価方式そのものの見直しである。

 同時に国は電力会社が安易な値上げに走らぬよう徹底的な経営合理化を促し料金算定を透明化すべきだ。 新制度下において、値上げ幅の抑制効果が限定的な点も見逃せない。 有識者会議の試算では、宣伝費や拠出金などを原価から除外しても、原価に占める割合が小さいため、家庭向け料金の値上げを抑える効果はほとんど期待できないという。

 東電は東日本大震災後に社員の賃金を2割カットしているため、人件費圧縮の効果にも限界がある。

 今回の運用見直しは、東電の値上げ方針に対する査定が当面の目的で、緊急措置の色合いもある。

 電力会社の高コスト体質や地域独占の見直し、発電と送電の分離などの課題と合わせ、政府と電力会社は利用者が納得できる電気料金制度の改革を加速させる必要がある。



 まったく、真っ当な指摘である。

 さぁ、そろそろ政府並びにお抱えマスコミが、夏の“電力不足”という言葉を声高々に唱え始めるだろう。しかし、当面の業績向上やこれまで甘受した生活の快適さを選ぶのか、それとも、長期的なエネルギーの問題のあり方や、ヒロシマ、ナガサキ、フクシマを経験した日本の今後の世界における存在意義をどこに見出すか、といった言わば“国家百年の計”のどちらを優先するのか、それが今問われるべきであろう。

 フクシマを踏まえていないストレステスト第1次評価など、本質的な安全評価の玄関にさえ辿り着いてはいない。

 もし斑目氏が本気で退任前最後のご奉公をするつもりなら、安全委員会委員長として政治判断にゆだねるなどと逃げないで、先日「安全評価は1次と2次がセット」とマスコミに言っていた通り、第2次評価結果を見るまでは再稼働は認められない、と明言すべきだろう。それとも、退任後に小遣い稼ぎの仕事を“原子力ムラ”から斡旋されていてて、すでに口を閉じさせられているのかもしれないなぁ。このままなら、そう思われても仕方がない。

 信濃毎日の表現を借りれば、政府はあまりにも“前のめり”になっている。この動きは、いったんしっかり踏み止まらなければ、慣性の法則で、どんどんつんのめる。それは、太平洋戦争突入前の日本の姿でもあったように思う。もう“止まれない”、“ブレーキのきかない”状態になっていたのだろう、あの時は。しかし、原発問題は、まだまだこれから議論を進めるべき時期にある。

 大江健三郎の言葉の背景には、世界という空間と歴史という時間を見据えた真っ当な“感性”の存在を感じる。しかし、この国のリーダーたちの発言や行動には、70年前に300万人もの犠牲を払うことになる戦争への見切り発車をした時と同様の“前のめりの慣性”しか感じない。彼らは、懲りずに再び誤った路線を走ろうとしている。

 しかし、国民はヒロシマ、ナガサキ、フクシマを経て、そんな政治の暴走に加担しないだけの冷静さを確実に持っているし、今はアクセルではなく“ブレーキを踏むべき”タイミングであることを、十分に知っている。
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by koubeinokogoto | 2012-03-19 13:52 | 原発はいらない | Comments(0)

震災初日に「炉心溶融」指摘-菅や枝野には何の“お咎め”もないのか!?

あの3月11日の夜に開かれた第一回の原子力災害対策本部会議で、すでに「炉心溶融」の可能性が指摘されていた、という当たり前のことが、今になってニュースになっている。47NEWSの該当記事

初日に炉心溶融の指摘 対策本部の議事公開 広域避難も議論  福島第1原発事故 

 東京電力福島第1原発事故を受けて昨年3月11日夜に首相官邸で開かれた政府の原子力災害対策本部の第1回会議で、原子炉の冷却機能が喪失して炉心溶融(メルトダウン)に至る可能性があるとの指摘が既に出ていたことが、政府が9日に公開した同本部の議事概要で分かった。
 広い範囲での住民避難が必要となる最悪の事態を想定しながら、国の情報公開が不十分だったことがあらためて裏付けられた形だ。

 公開したのは昨年12月26日の第23回までの議事概要76ページと、政府・東電統合対策室の全体会議の内容など。当時は議事を記録していなかったが、経済産業省原子力安全・保安院や他省庁の出席者らが残したメモや録音、大臣用発言要領を集め、出席者に内容を確認して作成した。

 第1回会議は11日午後7時3分から22分まで官邸4階で開かれ、菅直人前首相が原子力緊急事態を宣言。発言者は不明だが「冷却用の緊急ディーゼル発電機を動かす必要があるが、津波で動かない。電池で動く冷却(装置)だけ動いている。これで8時間は持つ」「8時間を超えて炉心の温度が上がるようなことになると、メルトダウンに至る可能性もあり」と記載されていた。陸路、空路でディーゼル発電機の代わりになるものを輸送中としている。

 12日正午すぎの第3回会合で、玄葉光一郎国家戦略担当相(当時)は「避難区域は10キロでいいのか。考え直す必要はないのか」と発言。避難区域は同日午後に20キロに広げられた。

 菅前首相は12日夜の第4回会合で「チェルノブイリ型はありえるのか。スリーマイル(原発)のようなメルトダウンがありえるのか」と発言。13日夜の第6回会合では「戦後におけるわが国の最大の危機」と強調。16日の第9回会合では「撤退なんてありえない。何としても冷却しなければならない」と発言。東京電力の現場撤退問題を念頭に置いたとみられる。(共同通信)


 この会議で「炉心溶融」(メルトダウン)の可能性が指摘されたのは、ごく当然のことであるが、当時国の責任ある立場にいたメンバー、特に菅は、その現実に冷静に立ち向かうことができなかった。

 何度か紹介しているように、翌3月12日には当時の原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が、「炉心溶融」の可能性を語っている。ご存じのように中村審議官は、この後に菅によって担当をはずされ左遷されたらしい。日経の当時の記事は、まだサイトに残っているので、関心のある方はご覧のほどを。日経の3月12日の該当記事

 昨今の枝野の東電に対する強硬姿勢(見た目だけ?)や、菅が今になって脱原発のポーズを取るのを目にすると、どうしても違和感を覚える。

 菅が、国のリーダーとしてまったく責任を果たせなかったこと、そして、枝野があれだけの嘘を言い続けたことは、断罪されなくてよいのか?

 海江田も含めてかもしれないが、あの時に国家の「危機管理」を担う立場にいた彼らは、東電にのみ責任をなすりつけて、彼らが今も政治家として生き延びている事実が、私には解せない。

 彼らは「パニックを招くことを恐れた」と言うが、パニックに至っていたのは、彼ら自身である。

 東電や他の電力会社は、値上げを言う前に、より一層の企業努力でさまざまなムダなコストの削減に努めるべきなのは当然だろうし、管理職や一般社員は、他の民間企業と比較して高額と言えるレベルではあるが、平穏な時期なら得られたはずの給与や賞与が削減されもするだろう。

 そして、大震災の被災地、フクシマの被害地域の方々はもちろん、他の国民だって節電や、震災後の景気低迷などでの耐乏生活を強いられている。

 しかし、国民の負託に応える立場にいた菅、枝野には、何のお咎めがなくていいのか。

 特に今もなお政権の中枢にいて“言語明解意味不明”のトークを続ける枝野に、国民は「嘘つき!」とテレビの画面に向かって毒づくしかできないのが、何とも歯がゆい。

  政府の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」が昨年末に発表した「中間報告」の第7章は次のような内容である。原発事故調査・検証委員会「中間報告」
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Ⅶ これまでの調査・検証から判明した問題点の考察と提言
 1 はじめに
 2 今回の事故と調査・検証から判明した問題点の概観
 3 事故発生後の政府諸機関の対応の問題点
 4 福島第一原発における事故後の対応に関する問題点
 5 被害拡大を防止する対策の問題点
 6 不適切であった事前の津波・シビアアクシデント対策
 7 なぜ津波・シビアアクシデント対策は十分なものではなかったのか
 8 原子力安全規制機関の在り方
 9 小括
 10おわりに
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 この中の「3」から少し引用したい。

(2)原子力災害対策本部の問題点
a 官邸内の対応
 原子力災害が発生した際、政府における緊急事態応急対策の中心となるのが、内閣総理大臣を本部長とする原災本部である。原災マニュアルによれば、原災本部は「官邸」に設置するとされており、情報の集約、内閣総理大臣への報告、政府としての総合調整を集中的に行うため、官邸地下にある危機管理センターに官邸対策室が置かれることとなっている。また、緊急事態が発生した場合には、各省庁の局長級幹部職員が同センターに参集することとされており、これを緊急参集チームと呼んでいる。同チームには、緊急時において迅速・的確な意思決定がなされるよう、各省庁が持つ情報を迅速に収集し、それに基づいて機動的に意見調整を行うことが期待されている。
 3 月11 日15 時42 分に行われた東京電力からの原災法第10 条に基づく通報を受けて、原子力災害対策に関する官邸対策室が危機管理センターに設置されたのは、同日16 時36 分頃であった。一方、地震・津波が発生して以来、事故対応についての意思決定が行われていたのは、主として官邸5 階においてであった。ここには、関係閣僚のほか、原子力安全委員会(以下「安全委員会」という。)委員長などのメンバーが参集し、東京電力幹部も呼び出され、同席していた。官邸5 階においては、東京電力本店又は吉田昌郎福島第一原発所長(以下「吉田所長」という。)と直接連絡を取り合うなどして、東京電力から直接情報を収集することもあった。
 しかし、ここでの議論の経緯等を地下に詰めていた緊急参集チームは十分把握し得なかった。政府が総力を挙げて事態の対応に取り組まなければならないときに、官邸5 階と地下の緊急参集チームとの間のコミュニケーションのあり様は不十分なものであった。

b 情報収集の問題点
 今回のような事態が発生した場合、原災マニュアル上は、原子力事業者はまずERC に事故情報を報告し、しかる後ERC 経由で官邸へ情報が伝達されることとなっている。ERC には、3 月11 日の地震発生直後から、東京電力本店から派遣された四、五名の社員が常駐しており、彼らを通じて福島第一原発の情報がERC へ伝えられていた。
 当初、ERC に参集していた経済産業省や保安院等のメンバーは、東京電力からの情報提供が迅速さを欠いていたことに強い不満を感じていた。しかし、東京電力本店や福島第一原発近くに設置されたオフサイトセンターが同社のテレビ会議システムを通じて現場の情報を得ていることを把握している者はほとんどおらず、同社のテレビ会議システムをERC へも設置するということに思いが至らなかった。また、情報収集のために、保安院職員を東京電力本店へ派遣するといった積極的な行動も起こさなかった。
 正確で最新の情報の入手は、迅速かつ的確な意思決定の前提である。今回、事故発生直後の初期段階では、情報の入手・伝達ルートが確立されておらず、国民への情報提供という点も含め大きな課題を残した。

*ERC:経済産業省緊急時対応センター
 
 上記のような失態を防ぐには、果たしてどうあるべきだったのか。

 特に事故直後は「情報」の収集と分析、判断がもっとも重要だと思うが、「官邸5階」と「地下」との何とも遠いことか。外部との通信手段が確保されたどこか一カ所に関係者を集める、ということは誰でも思いつくことのような気がする。
 もちろん、事後にはいろいろ自由な批判ができるわけだが、どこに、そして“誰”に問題があったのか。
 あえて言うならば、当時の「内閣官房長官」枝野幸夫の不手際とミスダイレクションを強く感じる。内閣官房長官には、単に記者会見を担当するだけの職務ではなく、政府内部、政治家と官僚、与党と野党との“調整役”こそが求められているはずだ。この“調整”という言葉位、軽そうで重い言葉もないのではなかろうか。

 別々のもの(組織、情報、技術など)をつなぐ、という意味でソフトウェア用語の「Pluggability(プラガビリティ)」という言葉を使う場合があるが、当時の枝野には「プラガビリティ」が著しく欠けていたと思う。そして、逆に生かすべきSPEEDI情報の秘匿など、「やってはいけないこと」をしてきた政府首脳の中心的な立場にいた。

 フクシマはまだまだ収束のメドが立たないが、あれからもう一年。あえて、あの時に彼らが行った誤り、そして行わなかった失態と怠慢が、時間の流れの中で風化し忘れられることのないよう、時には彼らが掘り起こして欲しがらない過去を引っ張り出してみたいと思っている。
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by koubeinokogoto | 2012-03-09 12:59 | 原発はいらない | Comments(0)

原子力安全・保安院の“決算大サービス”や、規制庁のあり方など。

原子力安全・保安庁が、その組織として最後の“決算大サービス”とでも言うべき、やってはならない仕事をしているようだ。時事ドットコムの該当記事

伊方2号機「機器健全」=稼働30年、保安規定認可へ
 経済産業省原子力安全・保安院は6日、稼働30年を迎える原発を対象に高経年化(老朽化)対策として行っている意見聴取会を開き、四国電力伊方原発2号機(愛媛県伊方町)の機器を健全と認めた。保安院は近く、同原発の保守点検ルールに当たる保安規定を認可する方針。東京電力福島第1原発事故の後、原発の保安規定が認可されるのは初めて。
 伊方2号機は1月、定期検査のため運転を停止。再稼働には保安規定の認可とは別に、ストレステスト(耐性評価)の1次評価で妥当と判断されることなどが条件となっている。
 聴取会では委員の井野博満東京大名誉教授が、老朽化対策の審査基準が妥当かどうか見直す必要性を指摘。福島第1原発事故を受け安全設計指針の見直しが進んでいることを踏まえ、老朽化対策の評価も条件付きであることを明示すべきだと訴えたが、保安院は「現在の審査基準に基づけば、条件を付す必要はない」と拒否した。
(2012/03/06-22:47)


 わざわざ“意見聴取会”を開催し、
「委員の井野博満東京大名誉教授が、老朽化対策の審査基準が妥当かどうか見直す必要性を指摘」しているのに、保安院は「現在の審査基準に基づけば、条件を付す必要はない」と拒否するのなら、そんなセレモニーを行うこと自体に意味がないだろう。全てに税金がかけられているはずなのだから。

 フクシマ以降、「現在の審査基準」そのものが問われているのである。そういう常識は、この組織には通用しないようだ。4月に新組織に組み込まれたら出来ない、彼らにとっての“最後のご奉公”、それこそ“期末決算大サービス”のつもりなのだろう。

 昨日の国会で、細野が原子力規制庁に出向するメンバーに、「ノーリターン・ルール」を適用する課長職以上の人数が「たった、19名」である、と自民党の塩崎が指摘していたのを夜のニュースで見た。

 しかし、単純に人数の多寡の議論ではないだろう。

 経産省や文科省から400名以上出向する中の「19名」が多いのか少ないとかの議論の前に、そもそもほぼ同じ顔ぶれで「原子力規制庁」を組織化すること自体の是非が問われるべきではないのか。
 
 ギリシャでは暴動が起きるであろう公務員の削減案も、国会議員の削減案も結構なのだが、「組織をつくる」ためにも、もっと国はリーダーシップを発揮しなくてはならないだろう。
 新たな原子力規制庁は、「現在の審査基準ではOK」などとは決して言わない、「推進」ではなく「規制」を使命とする人材で組織化されなければならない、言い換えれば、「規制」を仕事として評価される価値基準と組織文化を持たなければならないはず。

 たとえば、原子力規制庁に出向する公務員の中で、「規制」ではなく、相変わらず「推進」する側の考えと行動を示すメンバーを辞めさせる位のトップ(長官他の管理職)でなければ、新組織をつくる意味はないだろう。
 だから、「19名」の人数の前に、「何のための組織か?」ということからもっと論議が必要なのだと思う。「全員ノーリターン」という意見もあるようだが、果たしてそれで“独立性”など保たれるのか、疑問だ。

 この問題、当初から指摘されているように、“拙速”で失敗する見本のような流れになっている。下記の京都新聞の社説が、もっとも真っ当な指摘であるように思う。京都新聞の2月27日の社説

原子力規制庁  見直しへもっと議論を
 新たに原子力の安全や規制を担う「原子力規制庁」の4月1日発足が危ぶまれている。
 というより、もともと政府のスケジュールに無理があったというべきだろう。
 確かに1月末に閣議決定した原子力規制法改正案で、原子力安全・保安院を経済産業省から分離し、原子力安全委員会などを合わせ再編−といった大枠は決めている。
 だが、人事方針など細部はこれからのうえ、野党からは「組織の機能や権限が不明確」「独立性が保てるのか」などの批判や疑問の声があがっている。
 国会の福島第1原発事故調査委員会に至っては、政府が規制法改正案を閣議決定したこと自体を批判する声明を出している。
 委員会は事故を踏まえた「行政組織のあり方の見直し」を含めて提言することも任務としているにもかかわらず、「調査の最中に法案を決めたことは理解できない」というわけだ。
 もっともな指摘だ。加えて、国会は社会保障と税の一体改革で与野党の対立が激化していることもあり、規制法改正案は審議入りのめどすら立っていない。
 4月発足にこだわらず、じっくり議論すべきだ。
 これまで、原子力を推進する経産省の中にある保安院が「なれあい」の安全審査を行い、さしたる議論もなく安全委員会が追認するという審査のあり方が事故の背景にあるとされる。
 それだけに規制庁に最も求められるのは高い独立性だろう。
 政府案は規制庁を環境省の外局に置くとするが、自民党の「原子力規制組織に関するプロジェクトチーム」座長の塩崎恭久氏らは、それでは不十分という。
 打ち出した対案が、公正取引委員会などと同じ国家行政組織法に基づく三条委員会としての原子力規制委員会の新設だ。
 485人態勢とされる規制庁の人事はどうか。
 細野豪志原発事故担当相は、経産省と文部科学省出身者は元の省に戻れないルールを決めたものの一部の幹部に限るとするのに対し塩崎氏らはすべての職員を対象にすべきとする。どちらが法的に独立性が担保された組織か、なれあいに陥らないか。明確ではないか。
 野党からは、利害団体と距離を保つため米原子力規制委員会のようなガイドラインをつくるべきだとの提案もあった。見直しに向けまだまだ議論が要る。
 気になるのは、本来なら原発再稼働の審査も規制庁が行うのが筋なのに、野田佳彦首相が規制庁発足前の再稼働の可能性を示唆したことだ。これでは原子力行政に対する国民の不信をぬぐうどころか不信を高めかねない。
[京都新聞 2012年02月27日掲載]



・組織のミッション
・組織の権限と責任
・民間を含む人選による組織化
・“ぶれない”リーダーの任命

など、考えるべきこと、やるべきことは多い。とりあえず経産省別館で業務開始、という実態が、この問題を象徴してもいる。いったんリセットし、まずフクシマの収束とフクシマを踏まえた新たな基準づくりを優先すべきなのではなかろうか。
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by koubeinokogoto | 2012-03-07 08:36 | 原発はいらない | Comments(0)


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