幸兵衛の小言

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小沢一郎が野田ドジョウ民主党を見限って新党結成に動き出したようだ。増税のみありきの自民党との妥協の産物である法案への反対は当たり前だろう。
 しかし、政府の怠慢と政争が続いているうちに、福島の子どもたちの生命の危険性がどんどん高まっていることを、永田町も霞ヶ関の住人も何ら考慮しようとしていないように思える。

 あの山下俊一が、またとんでもないことをしている。週刊金曜日のサイトから紹介したい。
週刊金曜日ニュースの該当記事

異常数値が出る子どもを放置——山下氏の指示を黙認する政府に怒号
2012 年 6 月 20 日 5:56 PM

「放射能を年間一〇〇ミリシーベルト浴びても安全」などと、数々の問題発言を繰り返して福島県民の不信を買っている「県民健康管理調査」検討委員会の山下俊一座長が、子どもの甲状腺再検査を封じている問題で六月一日、衆院議員会館内で政府交渉が開かれた。

 県ではこれまで、一八歳以下の県民三万八一一四人の甲状腺検査を実施したが、うち三五・三%にあたる一万三四六〇人に五ミリ以下の結節や二〇ミリ以下の嚢胞が認められた。さらに五・一ミリ以上の結節や二〇・一ミリ以上の嚢胞が認められたのは一八六人に上り、二次検査の対象となった。

 ところが山下座長は今年一月、日本甲状腺学会会員に対し、この一万三四六〇人は「細胞診などの精査や治療の対象とならない」という理由で、事実上次の二年半後の検査まで保護者の追加検査の要求には応じないよう指示した。

 このため県内では、「なぜ二年半もの間、成長期の子どもの検査を求めないのか」といった批判が出ている。これを受け、環境団体FoE Japanなど市民団体が中心となり、政府の原子力災害対策本部生活支援チームの医療班員を招いて交渉することになった。

 交渉には、福島からの避難者ら三〇〇人が参加。席上、市民側が「異常が出ること自体おかしいのに、なぜ一万三四六〇人もの子どもたちを『異常なし』とし、経過観察もないまま二年半も放置するのか」「山下座長のセカンドオピニオンを封じるような指示は撤回させるべきだ」など、一八項目に上る質問や意見を突き付けた。

 これに対し政府側は、「国として答える立場にない」「専門的なところは県の検討委員会で進めている」といった回答に終始。山下座長の行為についても無視を決め込んだ。このため、会場から「無責任だ」「子どもの命がどうなってもいいのか」といった怒号が飛び、一時騒然となる場面もあった。

(成澤宗男・編集部、6月8日号)


 この政府交渉について、大手メディアが取り上げた様子はない。

 FtoEは、6月1日の政府交渉に先立つ案内で、次にように呼びかけていた。FtoEのサイトの該当ページ

福島の子どもたちを守ろう!県民健康管理調査のあり方~甲状腺検査を例に

★5月30日に予定していた政府交渉は、6月1日に変更になりました。ご注意ください

県民健康管理調査のあり方が問題となっています。
最近発表された子ども38,114人を対象としたの甲状腺検査では、386人の子どもに結節(しこり)が認められましたが、5ミリを超えないものについては、2年半もの間、経過観察なしで放置されてしまいます。

また、画像や医師の所見などが患者にわたされず、あろうことかセカンド・オピニオンを封じるような通知が、山下俊一・福島医大副学長から発せられています。

そもそも、影響がないことを前提とした県民健康管理調査では、子どもたちの健康は守れません。
これらの問題を問うため、原子力災害対策本部に対する交渉を行います。ぜひ、ご参加ください。



FtoEは、質問事項として次の内容をリストアップしていた。

◆福島県健康管理調査についての質問事項:

<甲状腺検査について>
福島県健康管理調査の4月時点での発表では、子ども38,114人を対象としたの甲状腺検査について以下の結果となっている。

A1:結節やのう胞がみとめられなかった人:24,468人(64.2%)
A2:5.0ミリ以下の結節や20ミリ以下ののう胞が認められた人:13,460人(35.3%)
(結節 202人、のう胞13,379人)
B:5.1ミリ以上の結節や20.1ミリ以上ののう胞が認められた人186人(0.5%)
(結節:184人、のう胞1人)
(福島県「県民健康管理調査」検討委員会資料より)

B以外の99.5%を異常なしとしている。A2とされた子どもが再検査を受けられるのは2年半後である。また、診断結果としては「A1」「A2」「B」のいずれに属するかのみが通知され、エコー画像や医師の所見がわたされていない。山下俊一・福島医科大学副学長は、甲状腺学会の会員宛に、問い合わせがあっても「追加検査は必要ない」旨を説明する趣旨の文書をだしている。多くの親たちが不安をかかえ、疑問を感じている状況である。

1.A2を異常なしとしてしまってよいのか。ある大きさ以下は問題がないとしてもよいのか

2.5.0ミリ以下の結節でもB判定とされた1名について、判断基準は何だったのか。

3.2年半後に再検査としているが、その間に経過観察は必要ないのか

4.診断画像や医師の所見が、受検者にも知らされないのは問題ではないか。積極的にセカンド・オピニオンを受けられる状況にすべきではないか

5.甲状腺機能を確認する血液検査は実施しなくてよいのか

6.B判定の子どもがうける二次検査はいつ何を行うのか

7.山下俊一氏によるセカンド・オピニオンを封じるような甲状腺学会員宛の文書に関しては、これをただちに撤回し、むしろセカンド・オピニオンを奨励すべきだと考えるが、ご見解はいかがか。

8.対照群(コントロール)をとるべきではないのか。

9.この検査結果に関して事故の影響の有無を検討しているか。

10.「9」を判断するにあたり、結果を地図に落とすマッピングであると考えられるが、そのような作業を行っているのか。その結果を開示させていたっだきたい。

11.子どもだけでなく、大人の検査も必要ではないか


 これらの質問に、政府側はまともな回答をしなかったようだ。

 成長段階にある子どもの放射能による被害の進行の速さは、すでに多くの日本人が知るところだろう。
 なぜに二年半も時間を空ける必要があるのか。コストセーブという言葉が思い浮かぶ。その政府の目論見を、山下俊一という人間をつかって操作しているのが、今の政府の実態なのではないか。そもそも山下俊一という男が、福島医大副学長に就任し、「県民健康管理調査」検討委員会の座長に未だに座り続けていることが、不思議なのである。

 この山下俊一については、昨年4月に朝日新聞の記事を紹介することで、その欺瞞性を指摘した。2011年4月18日のブログ
 ASAHI.COMにはまだ記事が残っていたので、あらためて引用したい。この当時の朝日は、山下に批判的ではなく、反原発も明確な状態ではないため、あくまでコメントの紹介というスタンスだ。ASAHI.COMの該当記事

汚染、「飛び地」状も セシウムの健康被害は未確認 チェルノブイリ事故
2011年4月8日11時6分

 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では、原子炉の試験運転中に大きな水蒸気爆発が起きた。10日間にわたり、放射性物質の大量放出が続き、原発から数百キロと極めて広い範囲に拡散した。福島第一原発の事故は、運転を停止した後に起きており、放射性物質が多く飛散したのは、避難地域を中心に限定的だ。

 旧ソ連政府などは、土壌のセシウム137の値が1平方メートルあたり3万7千ベクレル(100万分の1キュリー)を超えた地域を「汚染地域」、55万5千ベクレル(100万分の15キュリー)を超えた地域を「強制移住地域」とした。

 セシウム137は半減期が30年と長いため、土壌汚染の指標として使われる。

 国際原子力機関(IAEA)の報告によると、旧ソ連の汚染地域は約14万5千平方キロメートルと、日本の面積の約4割に上った。その地域に住んでいた住民数は、約600万人に上る。強制移住地域は、岐阜県の面積に匹敵する約1万平方キロメートルで、約27万人が対象となった。

 しかしこの汚染地域も風向きなど気象条件により、原発から同心円状ではなく、まだら状に広がっている。東側に400~600キロの範囲に、飛び地のように広がった地域もある。

 汚染地域に住み続けた人が86~2005年に受けた放射線量の積算値の平均は10~20ミリシーベルト。強制移住地域に住み続けた人の積算値は、50ミリシーベルトを超えたという。しかし、国際機関と共同でチェルノブイリでの健康調査を実施してきた山下俊一・長崎大教授(被曝〈ひばく〉医療)によると、セシウム137の影響を受けた健康被害は確認されていないという。

 山下さんは「現地の人は汚染されたキノコや野菜を食べ続け、体内にセシウム137を500~5万ベクレルぐらい持っている。しかし、何ら疾患が増えたという事実は確認されていない」と話している。



 今なら、とても「山下さん」などと朝日は書かないだろう。

 週刊金曜日のニュースから太文字であらためて抜粋。
政府側は、「国として答える立場にない」「専門的なところは県の検討委員会で進めている」といった回答に終始。山下座長の行為についても無視を決め込んだ。

 山下俊一という男が、チェルノブイリにおける放射能被害について、とんでもない大嘘をついていたことは、少し調べれば分かることだ。もし、その誤りを悔いて新たな使命に自らを捧げているならまだしも、未だにこの人は嘘をつき続けている。それが、人の生命に影響していることが大きな問題である。
 あえて言えば、山下俊一の暴挙を黙認することで福島の子どもたちの生命を危機に直面させている政府の無策は、まさに犯罪に等しい。

 政府の怠慢と政争が続くことで、福島の子どもたちの生命が危険にさらされている気がしてならない。大震災からの復興、フクシマの早期収束、放射能被害対策を最優先する政治は、いったいいつになったら行われるのだろうか。
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by koubeinokogoto | 2012-06-21 21:14 | 原発はいらない | Comments(0)
読売と好対照に反原発を明確にしている朝日は、「週刊朝日EXデジタル」のサイトに「週刊朝日UST劇場 in ロフトプラスワン」という企画で6月7日に放送された「原発問題 そうだ、広瀬さんに聞いてみよう!」で使われた資料が掲載されており、コピーなどが自由にできるセキュリティのかかっていないPDFがダウンロードできる。
週刊朝日EX DIGITALの該当ページ

 この度の大飯再稼動問題に関し、広瀬隆は、数々のデータ、事実、試算などにより、この再稼動はあくまで関電が資産確保するための「算盤勘定」による、あくどい企業活動であることを指摘している。

この資料を、いくつか並べてみるだけで、それは明確だ。

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昨年の実績値で想定して、原発ゼロでも需要がまかなえる想定ができるわけだ。
そして、関電が本来は稼動可能な火力発電所を休止している事実が示される。
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次に、東京新聞による、関電の大飯再稼動の真因を探る「ビジネス」面の問題が提示される。
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この記事の一部を拡大。
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 そもそも、関電は、今夏の電力不足予想の数値をコロコロ変えてきているが、そういった事実も含め、大飯の再稼動、あるいはすべての原発が停止していても電力不足は起こらないこと、電力不足を煽る関電は自社の利益しか考えていないこと、再稼動ありきで、政府も関電もまったく代替電力確保の努力をしていないことなどを鋭く指摘し、詳しい裏付けのある試算などで実態を解説されている。
 もちろん、その情報のすべてが正しいかどうかは、別なルートからの裏付けも必要かもしれないが、この人の原発問題に関する調査は、その著書を読んでも相当年季が入っており、正義感の強さは周知のことだろう。私は広瀬隆を信じる。

 どこかの知事が、大飯再稼動の動きを“操り人形”の意で「文楽」にたとえたらしいが、その批判精神は買えても、原子力ムラと対峙するだけの力にはなり得ない。

 「算盤か、人命か」、あるいは、「企業の利益か、国家・国土の存亡か」という問題に対し、「人命」と「国家・国土」の側に立つ人々にとって必要なのは、真実に迫る情熱と、嘘と欺瞞に立ち向かうための事実や裏付けであると思う。観念論だけでは、原子力ムラは、なかなか崩すことはできない。

 朝日や東京新聞は、本来のジャーナリズム精神を取り戻しつつあるように思うし、広瀬隆は健在だ。そして、広瀬隆という、原子力ムラから長らく迫害あるいは無視されてきた人間の声は、一部のメディアに限らず、今こそ広く知られるべきだと思う。詳しくは、ぜひ紹介した冒頭のサイトから資料をご覧になることをお奨めします。

 今、何が起ころうとしているのか、国民は知る必要がある。そして、フクシマを経た総体としての日本という国に、まだ学習能力が残っていることを信じたい。
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by koubeinokogoto | 2012-06-13 18:40 | 原発はいらない | Comments(0)
福井県原子力安全専門委員会が、安全などないがしろにして、大飯再稼動を支援している。東京新聞のサイトTOKYO Webの該当ページ

福井県専門委 「大飯安全」報告書案 防災不備 問題視せず
2012年6月11日 13時56分

 関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、福井県原子力安全専門委員会は十日、福井市の県庁で会合を開き、政府の暫定的な安全基準を妥当と認めた上で、3、4号機の安全性を確認できたとする報告書案をまとめた。免震重要棟の建設や津波を防ぐ防潮堤の整備など先送りした抜本策は問題視しなかった。一部修正したうえで十一日午後、西川一誠知事に正式な報告書を提出する。

 知事は県議会やおおい町の時岡忍町長の意見を聞いた上で、地元としての結論を出す方針だが、専門家による安全性が確認されたことで、再稼働を容認する見通しだ。政府は知事の報告を待って、週内にも野田佳彦首相と関係三閣僚による会合を開き、再稼働を正式決定する。

 専門委による会合は四月十四日に政府が県に再稼働を要請して以来、五回目。

 出席した関電担当者が、大飯原発付近の斜面崩落の危険性や制御棒の挿入時間などについて安全上、問題ないとあらためて説明。経済産業省原子力安全・保安院の担当者も原発付近の「破砕帯」が活断層と連動しないと報告した。専門委はいずれも妥当と判断し、議論を打ち切った。

 報告書案は、政府が四月に示した暫定的な安全基準を「福島第一原発事故を通じて得られた知見や教訓を反映した多層的な対策」と評価。その上で、関電が実施した外部電源の耐震性向上や非常用電源の多重化、緊急対応の要員確保など計十一項目の対策に関して、安全基準を満たしていると結論づけた。

 事故時の災害拠点となる免震重要棟の建設やフィルター付きベント(排気)設備の設置、津波を防ぐ防潮堤の整備など、二〇一五年度に先送りした抜本策は「計画の進み方を確認する」と触れただけで問題視しなかった。

 委員長の中川英之福井大名誉教授は「五月に入って報告書の取りまとめ作業に入り、ようやく安全性を示すことができた」と話した。

 会合は公開予定だったが、用意した五十席を上回る一般傍聴希望者が集まり、「全員を入れろ」などと抗議したため、全委員が一時退席。会場を県庁内の別室に移し、約一時間遅れで始まった。一般傍聴は認めなかった。

<福井県原子力安全専門委員会> 行政上の権限はなく、県の諮問機関として、原発の安全性や原子力政策について独立的・技術的な立場から助言する。原子力工学や放射線医学の専門家ら10人と、地震工学と地質学に詳しい臨時委員2人の計12人の学識経験者で構成する。高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)のナトリウム漏れ事故を検証した県の委員会が2003年、常設の第三者委員会をつくるよう提言し、翌年8月に新設された。
(東京新聞)



 なお、この安全専門委員会は、本日11日午後に、報告書を知事に提出した。

 「会合は公開予定だったが、用意した五十席を上回る一般傍聴希望者が集まり、「全員を入れろ」などと抗議したため、全委員が一時退席。会場を県庁内の別室に移し、約一時間遅れで始まった。一般傍聴は認めなかった。」ことに対して、「美浜の会」他の団体は共同抗議声明を昨日発表している。
「美浜の会」サイトの該当ページ

2012年6月10日
共同抗議声明 (発行:18:30)

傍聴者を排除して別室で委員会を強行
私たちは福井県原子力安全専門委員会に抗議します


6月10日、福井県の原子力安全専門委員会は第74回委員会を開催し、関西電力の大飯原子力発電所3,4号機を再稼働させる安全性について審議しました。しかし、福井県民を含む市民の傍聴は一切認められず、委員、関係者とメディアのみが別室で審議を強行しました。

本日は69名の傍聴希望者が県内外から集まりましたが、福井県側は傍聴者を50名と限定し、抽選が行われました。本日閉庁日の福井県庁は会議室がいくつも空いているはずで、より大きな会場を委員会に用意することはできるはずです。また、以前には50名の定員を超える傍聴が認められたケースもありました。今回も傍聴希望の市民は、立ち見でもいいから傍聴を認めてほしいと訴えましたが、県側は抽選を強行しました。

抽選の結果傍聴を認められた市民は、残り19名の市民も傍聴させてほしいと専門委員会の中川委員長に訴えましたが聞き入れられませんでした。委員会開始予定を20分ほど過ぎた3時50分ごろ、委員は突然会議室を退出し別室に移動しました。その30分後、審議の開催を待つ市民に対して、原子力安全対策課の岩永課長が「会議は別室で行う。傍聴は認めない。この部屋から退去するように」と、一方的に通告しました。この時点で廊下には40名近くの機動隊・警備員が配置されていました。

このような状況で、破砕帯の問題、活断層の三連動問題、制御棒の挿入問題など安全性に関する重要な審議が市民の傍聴を排除して密室で強行されました。また、配布資料一覧のなかに福井県原子力安全対策課提出の資料として記載がある資料No.3「これまでの審議のまとめについて(福島第一原子力発電所事故を教訓とした県内原子力発電所の安全性向上対策について(大飯3,4号機の安全性について)) が傍聴者には配布されないことも遺憾です。

傍聴には福井県民をはじめ、京都北部、関西、東京から参加者がありました。このような福井県の原子力安全専門委員会の強行に私たちは抗議します。


サヨナラ原発福井ネットワーク
原発なしで暮らしたい丹波の会
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
グリーン・アクション
再稼働反対! 全国アクション
福島原発事故緊急会議
みどりの未来
グリーンピース・ジャパン

連絡先団体:サヨナラ原発福井ネットワーク 山崎隆敏



 反対者や市民を締め出してまで、再稼動に突っ走っている「安全委員会」のメンバーの一部には、電力会社や原発関連企業からの献金があることを、以前次のように紹介した。

 3月25日の朝日新聞は朝刊一面トップで、下記の記事を掲載した。asahi.comの該当記事

福井県原子力委員に1490万円 電力側、5人に寄付

 全国最多の原発14基を抱える福井県から依頼され、原発の安全性を審議する福井県原子力安全専門委員会の委員12人のうち、4人が2006~10年度に関西電力の関連団体から計790万円、1人が電力会社と原発メーカーから計700万円の寄付を受けていた。朝日新聞の調べでわかった。

 政府は近く、停止中の原発の中で手続きがもっとも進む関電大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働について福井県に同意を求め、県は県原子力委に助言を求める見通しだが、5人の委員が関電など審議対象と利害関係にあることになる。5人はいずれも寄付の影響を否定している。

 委員らの所属大学に情報公開請求し、大学を通じて研究助成名目で寄せられた5年分の寄付が開示され、委員にも取材した。



こちらが、同記事で紹介された寄付を受けていた先生達と、彼らの苦しい弁明。
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 こちらも以前に紹介したことのある、別冊宝島『日本を脅かす! 原発の深い闇』には、三島、西本を含む東大、京大、阪大人脈の教授達への原子力ムラからの寄付の詳細が書かれているので、関心のある方は同書をお読みのほどを。2011年7月16日のブログ

 あらためて、6月11日付け東京新聞の記事中にある「再稼動の流れ」という図をご紹介したい。
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 このプロセスでは、献金にまみれた原子力ムラの一員としか思えない委員を含む行政上の権限はなく、県の諮問機関の“お墨付き”があれば、地元町長や県議会の「意見」を踏まえ知事が政府に再稼動受諾意思を伝え、「首相と関係3閣僚」だけで最終決定ができることになる。

 誰が、そんなこと決めたの?
 
 「安全委員会」が機動隊・警備員を配置してまで「再稼動の安全性」を保障することは、民主的なこととは言えないだろう。

 しかし、彼らは議会制民主主義のタテマエから、議会や町長、知事に地元住人や県民の声が反映されている、とみなしているのだろう。そして、最終的には国民の負託を受けた政府が決めていいのだ、という開き直りがある。
 しかし、原子力から抜け出そうにも抜け出せない構造になってしまっている地元や、選挙での公約などどこふく風の民主党に、こんな大事な判断を委ねていいのか。万が一の事故には町の境界も県境も歯止めになるはずもない。「最大限の努力」を繰り返す野田ドジョウの言葉の空虚さは、昨年あの時期の菅や枝野の言葉と同じ重さしか感じられない。こんな学習効果のない政府に、我々の生命を委ねることは到底できない。

 そもそも、フクシマを踏まえた新たな原子力規制庁は、再稼動における新たな基準づくりを検討する役割もあるはずだ。

 6月9日の朝日新聞は、大飯原発直下に活断層がある可能性を指摘した。朝日新聞ASAHI.COMの該当記事

 
2012年6月9日7時7分
大飯原発直下に活断層の可能性 専門家指摘、関電は否定
 関西電力大飯原発の敷地内にある断層について、名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)と東洋大の渡辺満久教授(同)が「活断層の可能性がある」とする分析結果をまとめ、再稼働前の現地調査の必要性を指摘している。関電は「活断層ではないと判断しており、再調査の必要はない」としている。

 関電によれば大飯原発の敷地には断層が15ある。最も長い1本(F—6断層)について、3、4号機の原子炉設置許可の申請時に掘削調査などをしている。

 鈴木さんらが当時の資料や航空写真を確認したところ、新しい時期に断層が動いた可能性を示す粘土が断層面にあることや、断層の上にある堆積(たいせき)物の年代が特定できていないことが分かった。鈴木さんは「関電の調査は不十分で、断層の活動を否定できる根拠がない」と話す。

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 何か起こった時に、「知らなかった」とか「認識不足だった」では済まされないのだ。

 大飯が「全電源喪失」への備えが出来ているとは、到底考えられない。原子力安全・保安院は原子力推進院となって、重要なチェック事項を端折ってしまっている。

「夏場の電力不足」キャンペーンにより、新規制庁発足を待たずに「政治的判断」による大飯の再稼動を許す「空気」が橋下らの「関西広域談合」のために強まっているが、日本はそれでいいのか・・・・・・。

 関西電力は、大飯再稼動がない場合の、他の電力会社からの融通や他社受電などを含む供給計画を出すことを拒否している。西日本の電力会社間の融通や、送電線の託送料を高くすることで参入を電力会社が拒んでいるIPP(独立系発電業者)などからの受電により、猛暑でも供給量は不足しないという試算もあり得るはずなのに、「再稼動ありき」で、産官学の原子力ムラは再稼動反対包囲網を突破しようとしている。
 融通や他社受電、節電による、原発再稼動なしの供給試算(シミュレーション)は、ぜひ大手マスコミで取り上げて欲しいものだ。今の政治的な事象のみを扱うだけではなく、関電が数字を出さない以上、データを元にした議論が必要だろう。市民と企業とが協力して節電することや、電力会社同士の融通や、託送料を改善しIPPによる発電量を増加させて関電の受電量を増やすことなどで原発再稼動は不要というシナリオを拒む人たちがいるのだ。
 今こそ、、ジャーナリズムに求められるは、現実的な試算を提示し、「これでも、再稼動が必要?」という疑問を突き付けることであろう。そういった指摘で生まれる議論にこそ、今後のエネルギー問題解決のヒントが見えてくるはずだ。

 原子力ムラは、そうした代替策の議論を封じ、あくまで短期的な目の前の問題として「今年の夏の電力不足」と脅しつづける。

 しかし、フクシマ以前にも、地震などの自然災害がない時でさえ、原発は間一髪の事故をたびたび起こしている。それらの原発は老朽化し危険性はますます大きくなっていることに加え、大震災以降に日本列島が乗る地盤は眠りから覚め大いなる胎動を続けている。日常的な震度3や4の地震に、実は「慣れ」てはいけないはずで、それは次なる大地震の前兆と考えるべきなのではないか。

 地震列島日本で原発を稼動させることは、常に事故を起す可能性を秘めた大博打であったことがすでに判明している。大飯の再稼動は、国民の生命、日本という国-その自然やあらゆる伝統や文化のすべて-を掛け金(チップ)にした、一部の愚かなギャンブラーによる博打でしかない。とても、そんな博打には自分の生命をチップとして差し出すことはできない。
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by koubeinokogoto | 2012-06-11 20:29 | 原発はいらない | Comments(0)
朝日新聞の記者として長年にわたり電力産業の取材を経験してきた著者により、昨年6月に発行された本。最近になって古書店で安く求めて読み終えたところだ。
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志村嘉一郎著『東電帝国その失敗の本質』

 日本の電力産業の歴史を辿りながら、現在の東電の根深い問題を探っており、短期間で著者が書き上げたにしては読み応えがあった。

 著者が大震災、そしてフクシマの後に関係者への取材をする中、かつては東電の力の前に屈してきた人たちが、それまでの重い口を開き始めた。

 原発事故の後、電力中央研究所(電中研)の研究者OBに聞いた。
「万が一、原発の電源が全部喪失したらどう対応するか、なぜ研究しなかったのか」
「いや、その研究はタブーだった。そうした研究は東京電力が許さなかった。原発は、四重、五重の安全策がほどこされている。それが、今度のように一度で全て失われるというような事態は想定していない。『そうした事態はあり得ない』というのが東京電力などの考え方で、『そんな研究をするなら金を出さない』というわけだ。アメリカでは、スリーマイル島の原発事故以来、あらゆることを想定して研究させていた。こんどの福島の原発事故くらいのことは、とうに研究し資料を持っていたと思う。しかし、日本ではそうした研究を、東京電力など電力会社がゆるさなかったのだ」
「クリントン国務長官が事故後すぐに、『アメリカから水を持って行く』と言っていたが、日本政府が断ったいきさつがあった。アメリカは、人工衛星から福島第一原発の事故の大きさが分かり、冷却装置がすべて失われていたことを知った。『これでは最悪の事態が進みかねない。研究資料によれば水を注入する以外に方法はない』と判断、専門家がクリントンにそのことを言わせたのだ、と思う。しかし、東京電力では、冷却装置がすべて失われるなどということは想定しておらず、その場合に炉心がどうなるか、そうしたらどう処置するか、などのマニュアルを持っていなかったので、クリントン発言の意味が分からず、政府を通じて断ったのだと、考えられる。結局は、最悪事態を防ぐには真水を注入するしかなかったのに」


 原発安全神話は、本来想定すべき最悪の事故への対策をおざなりにさせた。そして、安全神話のための広報活動や、政治家への献金には多額の費用を投じていたのに、人命にかかわる事故対策の研究費用をケチってきた実態が浮かぶ。
 アメリカはいろいろ問題のある国だが、「シミュレーション」に関する考え方は日本にはない良さがある。
アメリカの最悪事故対策の内容は、次のように説明されている。

 たとえば2011年3月31日付けの朝日新聞によると、米国オークリッジ国立研究所が1981、2年に、原発のすべての電源が失われた場合のシミュレーションを実施し、報告書を米原子力規制委員会(NRC)に提出していた事実が報じられている。このシミュレーションは東電福島第一1~5号機とおなじGE社製マークⅠ炉がモデルである。電源が喪失して非常用のバッテリーが四時間使用可能の場合、「五時間で核燃料露出」、「五時間半で水素発生」、「六時間後に燃料溶融」「七時間後に圧力容器下部が損傷」などのシミュレーションだった。NRCはすぐにこれを安全規制に活用したが、日本では、「送電線がすぐに復旧する」として、真剣に検討されることはなかった。しかし、今回の事故がこれとほぼ同じ経過をたどり、ついには三基の原発で水素爆発を誘発、放射性物質を飛散させ、レベル7のチェルノブイリ級の惨事を招いてしまったことは周知のとおりだ。



 フクシマは「天災」ではなく、政府(国)や財界の支援を背景にした「東電帝国」による「人災」ではなかったのか、と思える。もちろん、その昔から、現在のような官僚的体質があったわけではない。しかし、どこかからか、次第にあの会社は道を誤ってきたようだ。そして、それは一企業の問題では済まない災害につながったのだ。
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by koubeinokogoto | 2012-06-10 20:08 | 原発はいらない | Comments(2)
国会の事故調査委員会の公開参考人聴取に、東電の清水前社長が登場した。東京新聞サイト「TOKYO Web」の該当ニュース
東電・清水前社長、「撤退」否定 国会事故調が参考人聴取
2012年6月8日 17時40分

 東京電力の清水正孝前社長が8日、国会が設置した福島第1原発事故調査委員会(黒川清委員長)に参考人として出席し、事故が深刻化する中、原発からの全面撤退を政府に申し出たとされる問題について「緊急時に対応する人を残すという意味だった。『全員』とか『撤退』とは、まったく申し上げていない」と否定した。

 国会事故調はこれまでに、菅直人前首相、海江田万里元経済産業相、当時の官房長官の枝野幸男経産相を参考人聴取。3人はいずれも、昨年3月14日午後から15日未明にかけて清水氏からの申し出を、全面撤退と解釈したと発言していた。


 この「全員撤退」に関する「言った」「言わない」は、たぶん、下記の政府の事故調査・検証委員会の中間報告にあるような、「伝言ゲーム」だったのだろうと察する。
 これまでの何度か取り上げてきた、政府の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」が昨年末に発表した「中間報告」の第3章は次のような内容である。原発事故調査・検証委員会「中間報告」
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Ⅲ 災害発生後の組織的対応状況
1 原災法、防災基本計画等に定められた災害対応
(1)総論
(2)原災法第10 条に基づく通報後の対応
(3)15 条事態発生時の対応
(4)オフサイトセンターの整備・維持
(5)東京電力の態勢
2 事故発生後の国の対応
(1)国の対応の概観
(2)保安院の対応
(3)官邸危機管理センター(緊急参集チーム)の対応
(4)官邸5 階
(5)安全委員会の対応
(6)他の政府関係機関等の対応
(7)福島第一原子力保安検査官の活動の態様
3 事故発生後の福島県の対応
4 事故発生後の東京電力の対応
(1)地震発生直後の東京電力本店及び福島第一原発の対応
(2)福島原子力発電所事故対策統合本部の設置
5 事故発生後のオフサイトセンターの対応
(1)地震発生直後のオフサイトセンターの状況
(2)オフサイトセンターにおける活動の態様
(3)オフサイトセンター(現地対策本部)の福島県庁への移転
(4)原災本部長による現地対策本部長への権限の一部委任
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この中の「4 事故発生後の東京電力の対応」から抜粋したい。

(2)福島原子力発電所事故対策統合本部の設置
a 福島原子力発電所事故対策統合本部の設置経緯
 3 月14 日夜、吉田所長は、2 号機の圧力容器や格納容器の破壊等により、多数の東京電力社員や関連企業の職員に危害が生じることが十分懸念される事態に至っていたことから、福島第一原発には、各プラントの制御に必要な人員のみを残し、その余の者を福島第一原発の敷地外に退避させるべきであると考え、本店対策本部と相談し、その認識を共有した。
 他方、清水正孝東京電力社長(以下「清水社長」という。)は、同月14 日夜、吉田所長が、前記のとおり、状況次第では必要人員を残して退避することも視野に入れて現場対応に当たっていることを武藤栄東京電力副社長(以下「武藤副社長」という。)から聞かされ、同日15 日未明にかけて、寺坂保安院長等に電話をかけ、「2 号機が厳しい状況であり、今後、ますます事態が厳しくなる場合には、退避もあり得ると考えている」旨報告した。
 このとき、清水社長は、プラント制御に必要な人員を残すことを当然の前提としており、あえて「プラント制御に必要な人員を残す」旨明示しなかった。
 東京電力が福島第一原発から全員撤退することを危惧した関係閣僚らは、3 月15 日未明、班目委員長、伊藤危機管理監、安井保安院付らを官邸5 階に集めた。その場で、「清水社長から、福島第一原発がプラント制御を放棄して全員撤退したいという申入れの電話があった」旨の説明がなされ、仮に全員撤退した場合に福島第一原発がどのような状況になるのかについて意見を求められた。このとき、参集した者らは、「全員撤退は認められない。」との意見で一致した。
 その報告を受けた菅総理は、同日4 時頃、清水社長を官邸5 階に呼び、関係閣僚、班目委員長、伊藤危機管理監、安井保安院付らが同席する中で、同社長に対し、東京電力は福島第一原発から撤退するつもりであるのか尋ねた。清水社長は、「撤退」という言葉を聞き、菅総理が、発電所から全員が完全に引き上げてプラント制御も放棄するのかという意味で尋ねているものと理解したが、その意味での撤退は考えていなかったので、「そんなことは考えていません。」と明確に否定した。これを受け、菅総理は、政府と東京電力との間の情報共有の迅速化を図るため、政府と東京電力が一体となった対策本部を作って福島第一原発の事故の収束に向けた対応を進めていきたい旨の提案を行った。清水社長も、官邸との連絡体制を十分に図らなければならないと考えていたため、菅総理の提案を了解した。
 同日5 時30 分頃、菅総理らは、東京電力本店2 階に設置された本店対策本部を訪れ、本店対策本部にいた勝俣恒久東京電力会長、清水社長、武藤副社長その他の東京電力役員及び社員らに対し、自らを本部長とし、海江田経産大臣と清水社長を副本部長とする、福島原子力発電所事故対策統合本部(以下「統合本部」という。)の立ち上げを宣言した。この立ち上げの経緯については、更に関係者からも確認するなどの調査を進める予定である。


 まぁ、清水前社長も言葉足らずだったことは間違いないが、現場の、あの吉田前所長が全員撤退をするはずもなく、パニック状態にあったとしか思えない菅を含む官邸メンバーの勘違い、早とちりも否めない。


 事故調査委員会なので、あの事故に特化した聴取になるのは当たり前だが、この清水前社長に質すべき内容は、もっと他にもあるように思う。

 清水は慶応出身で、東電として初めての私立大学出身の社長だ。あの「電力の鬼」と言われた松永安左エ門の大学の後輩にあたる。松永安左エ門のことは別途書きたいと思うが、今の「九電力体制」をつくったのは、この人だ。

 公開聴取では、あの事故からしばらく雲隠れした東電社長とは思えない落ち着いたな姿を見せていた。

 清水に質したいことは、あの事故のことばかりではない。たとえばこういうことだ。

・「コストカッター」と言われた資材部長時代の施策が、「安全」より「コスト」を
 優先させる企業体質をつくったのではないか?
・「電気事業連合会」会長時代にアジアへの原発輸出の旗振り役を演じたが、
 それは今でも正しかったと思うか?
・東電が筆頭株主になっているAOCホールディングスの冨士石油の社外取締役に
 就任するらしいが、あの「フクシマ」の時に東電社長だったあなた自身が天下り
 することを、どう思うのか?


 「あの時」にばかり焦点を合わせるのではなく「なぜ、あの時になったのか?」ということに焦点を合わせることが、フクシマに至る真相に近づくような気がする。

 福島第一原発の廃炉を宣言したのは、清水ではなく、勝俣(当時会長)だ。「勝俣院政」体制にあったことは事故後の対応を見れば分かる。

 勝俣から松永までを遡り、なぜ、今日の電力体制が出来たのか、そして、あの時代に国家の繁栄を思って起業した先人達と、今のサラリーマン経営者の違いを解明することも、日本という国のいくつかの過ちを正すことにつながるのではないだろうか。「歴史」は、多くを物語る。

 事故調査委員会の活動は、重要だと思う。映像はその人間の心の中を透かして見せてくれる。しかし、清水や菅や安全・保安院をいじめているだけでは何ら根本的な問題は解決しないのではないか。
 日本の「原発問題」の本質にメスを入れるには、「電力の鬼」まで歴史を遡っての検証が必要だと思う。その歴史には、あの白洲次郎も大事な役回りで登場する。この件は別途書きたいと思う。
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by koubeinokogoto | 2012-06-08 22:48 | 原発はいらない | Comments(0)
予想はしていたが、関西電力が、大阪市などの株主からの脱原発関連提案のすべてに反対することを明記した株主総会招集通知を送付した。時事ドットコムの該当ニュース

関電、脱原発提案に反対=株主総会の招集通知に明記

 関西電力は7日、筆頭株主の大阪市が提案した「脱原発」など28件の株主提案全てに反対する意見を明記した株主総会の招集通知を発送した。
 関電株の約9.4%を保有する大阪市は「可及的速やかな全原発廃止」のほか、発電部門と送電部門の分離、天下りの受け入れ禁止、取締役の半減など10件を提案。また、第4位株主で約3%を保有する神戸市も株主の京都市と共同で「原発に依存しない電力供給体制の早期構築」を提案していた。
 脱原発提案に対し、関電は「安全確保を大前提に原発を今後も重要な電源として活用していく必要がある」と主張するなど、株主提案全てに反対する取締役会の意見を明記した。(2012/06/07-12:34)



 この招集通知は、同社サイトの「株主総会情報」のページから、株主ではなくても、ダウンロードできる。最初に並んだ提案の「第3号議案」に関する記述を引用する。ちなみに、このPDFはセキュリティがかかっていて、文章のコピペができないため、私が見ながら書き起こした次第。誤字脱字はお許しのほどを。関西電力サイトの「株主総会情報」のページ

<株主(33名)からのご提案(第3号議案から第11号議案まで)>
第3号議案から第11号議案までは、株主(33名)からのご提案によるものであります。なお、提案株主(33名)の議決権の数は、635個であります。

第3号議案 定款一部変更の件(1)
▼提案の内容
 「第1章 総則」(目的)第2条の(1)電気事業、に次の分を追加する。
 ただし原子力発電から撤退し、将来、送電線設備を全国的な公的運営組織に移管する。
▼提案の理由
  昨年3月の東北地方太平洋沖地震による福島原発事故は、福島県を中心に、10万人以上を放射能汚染による避難生活と、全国民を放射能に怯える生活への陥れ世界を震撼させました。このような事態を招いた原発推進共同体(電力業界、原子力発電建設企業、推進してきた政治家・行政・マスメディア・言論界と関係学者など)の責任は重大です。とりわけ1960年代から原子力発電推進を第一とした歴代経営者は「建設・運転維持」のコストだけで、巨大事故による地域社会・住民生活破壊の「社会的コスト」を無視してきいた事実は歴史に刻み込まれました。こうした企業犯罪とも云うべき事態の根本的反省なしにこれからの電力はあり得ません。よって今後、経営を根本的に破壊するおそれのある原子力発電事業から撤退を決意し、急速に自然エネルギーを普及して、全国で自由にどこでも接続できる送電系統設備へ向けた準備を行うことにします。

○取締役会の意見
 当社は、お客さまに良質で低廉な電気を安定的にお届けする使命を果たすため、安全確保(Safety)を大前提に、長期的なエネルギーセキュリティの確保(Energy Security)や経済性(Economy)、地球環境問題への対応(Environmental Conservation)の3つのEを加えた、「S+3E」の観点で総合的に勘案し、電源について多様な選択肢を持ち続けることが重要であると考えております。
 わが国は、エネルギー自給率が4%と極めて低く、原油価格の高騰や化石燃料調達先の特定地域への依存など、さまざまなリスクに直面しておりますことから、当社としては、化石燃料に過度に依存しないエネルギーミックスが大切であり、安全確保を大前提に原子力発電所を今後も重要な電源として活用していく必要があると考えております。
 原子力発電所の安全確性向上対策については、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、「電源の確保」、「原子炉の冷却機能の確保」、「使用済燃料プ^ルの冷却機能の確保」のための緊急対策を直ちに実施し、多重性・多様性を拡充してまいりました。また、より一層の安全性・信頼性向上に資する対策についても、計画に基づき着実に実施しております。政府においても、大飯発電所第3、4号機について、これまで当社が実施してきた対策により安全性の確保が図られており、福島第一原子力ハウ伝書の事故と同様の事故は起きないものと判断がなされております。
 当社は、規制の枠組みにとどまることなく、安全性向上対策を自主的かつ継続的に進めていくことが不可欠であると考えており、今後も、福島第一原子力発電所の事故に関する新たな知見への対応や諸外国の動向も踏まえた最新の知見への対応も含め、原子力発電所の安全性向上対策を着実に実施してまいります。
 また、自然エネルギーについては、現行の事業体制のもと、送配電網への接続や他の電力会社と相互に協力して地域間連系線を活用した風力発電の導入拡大の仕組みを進めるなど、普及拡大にも積極的に取り組んでまいります。
 これらの取組みに加え、現行の事業体制のもと、送配電部門の透明性・公平性を高めるための工夫を検討してまいりますので、送電線設備を全国的な公的運営機関に移管する必要はないと考えております。
 したがいまして、取締役会は本議案に反対いたします。



 ちなみに、「S+3E」というキーワードは、昨年の6月に経産省によって示されたもの。次のような経産省資料の説明がある。資料の詳細はPDFでご覧のほどを。経産省「エネルギー政策見直しの基本的視点」(2011.6.29)


Ⅱ.震災を踏まえた今後のエネルギー政策の基本的視点
<「S+3E」と「時間軸」を踏まえたプライオリティの見直し>

【「3E」から「S+3E」へ)】
○エネルギー政策の基本理念である3E(安定供給、経済性、環境適合性)の重要性は不変だが、加えてS(安全性確保)が大前提であることを再認識する必要。特に原子力については、安全確保に万全を期すことが不可欠。
○「安定供給」については、海外依存度の低減のみならず、災害等の国内有事にも強いエネルギー供給体制の構築が必要。その際、大規模集中電源に依存するリスクが顕在化したことを踏まえ、分散型電源や電力以外のエネルギー源と共生する複線・多重型のシステムを実現する必要。
○「需要サイド」は、これまでの省エネ技術の革新等を通じたエネルギー消費の効率化への不断の取組に加え、エネルギー消費の際限ない増加を許容する社会のあり方を問い直し、「省エネ・節電型」に変革する必要。



 国策と言われる原発。そして、この通知書にある「S+3E]も経産省が掲げたものだが、関電の「意見」にはそのことが、まったく触れられていない。まるで「S+3E」は関電のオリジナルのような書き様だ。

 株主提案の第3号から11号までの議案は、株主33名で議決権635ということは、一般市民の善意の株主なのか、それとも橋下を含む大阪市の職員なのか、などは不明。
 たしかに、定款に「脱原発」を盛り込むという提案は関電も飲めないだろうが、まるで未来永劫原発を稼動させるとでも受け取れる関電の「意見」には、閉口する。
 「3E」にSafetyの「S」が加わった「S+3E」を説明しながら、原発は「S」に影響しないとでも言う論調には、困ったものだ。たとえば、ありえないことだが「長期的には原発以外の再生可能エネルギーの可能性を追求しながらも、短期的には原子力発電への依存は避けられなく、定款への記述というご提案には賛成できません。」というような内容であれば、まだ会話をする余地がある。しかし、関電は何が何でも原発再稼動なのである。


 さて、次に議決権の多い株主提案を一つご紹介。

<株主(3名)からのご提案(第18号議案から第20号議案まで)>
 第18号議案 定款一部変更の件(1)
 ▼提案の内容
 「第1章 総則」に以下の条文を追加する。
 (経営の透明性の確保)
 第5条の2 本会社は、可能な限り経営及び事業に関する情報開示をすることなどにより、需要家の信頼及び経営の透明性を確保する。
 ▼提案の理由(提案株主(2名)、議決権の数(879,404個))
  電力事業は、その公益性に鑑み、需要家の信頼と経営の透明性を確保することが必要であり、経営及び事業に関する最大限の情報開示を行う必要がある。同時に、政治家及び政治的団体等への寄付等の便益供与や、例えば「原子力安全委員会」等に携わる研究者等に対する寄付等については一切行わないとともに、あわせて競争入札による調達価格の適正化に努めることを会社の方針として明確に示すことが必要である。
 ▼提案の理由(提案株主(1名)、議決権の数(273,511個))
  電力事業は、その公益性に鑑み、需要家の信頼と経営の透明性を確保することが必要であり、経営及び事業に関する最大限の情報開示を行う必要がある。

〇取締役会の意見
 関西電力グループの事業活動は、お客さまや地域社会をはじめとした社会の多くのみささまにより支えられております。こうしたみなさまからいただく信頼こそが、企業としての使命を果たし、持続的に成長を遂げていくための基盤であると考えおります。このような認識のもと、平成16年に「関西電力グループCSR行動憲章」を定め、「透明性の高い開かれた事業活動」など6つの行動原理に基づき、すべての事業活動を展開し、社会に対する責任を誠実に果たしていくことにしております。当社は、記者発表やホームページなどを通じて情報を積極的にお届けしており、今後も引き続き情報開示に努めてまいります。
 また、寄付金の支出に当たっては、公益事業としての立場を踏まえ、公益への寄付、地域社会への貢献等の観点から、当該寄付の趣旨を慎重に考慮し、対処しております。
 個別の寄付実績の開示については、相手方との関係や今後の業務遂行上支障となるおそれがあるため、行っておいません。
 なお、当社は政治家や政治団体に対する寄付は行っておりません。
 資材調達に当たっては、指名競争入札に加えて、さまざまな発注方法の工夫によりコスト低減を図っております。また、継続的な取引においては、サプライチェーン全体最適化の観点から、安全・品質・工事力の確保および技術力の維持を図りつつ、仕様や発注単位の見直しおよび業務運営の効率化等による原価低減に取り組んでおります。
 今後も、これまで以上に、競争入札の可能性の追求や競争効果を高める発注方法の工夫、取引先提案の活性化、価格査定の充実等によりコスト低減に取り組むとともに、サプライチェーン全体最適化の取組みにより安定調達とコスト低減の両立に注力してまいります。
 したがいまして、あらためて本提案のような規定を設ける必要はなく、取締役会は本議案に反対いたします。



 この提案が大阪市、神戸市そして京都市からのものであることは容易に察することができる。提案自体はごく真っ当なものと言えるだろう。

 株主提案は、定款に「本会社は、可能な限り経営及び事業に関する情報開示をすることなどにより、需要家の信頼及び経営の透明性を確保する。」という内容を追加することなのだが、関電の回答には、「やることはやっている、文句あるか!」という本音がちらつく。そして、関電の意見の後半は、「コスト」の文字のオンパレード。原発が稼動しないことによる業績悪化が、コスト削減意識を強くするのは分からないでもないが、あまりにもコスト意識が過剰になると、安全がなおざりになりかねない。
 
 関電が「情報開示」などは、最初からするつもりがないのは、先日の原子力委員会の秘密会合でも露呈した通りだ。

 まぁ、誤魔化したり、煙に巻くのはお手の物なのだろうが、総会では紛糾必至だろう。

 さて、大飯再稼動では結局関電になびいた橋下。筆頭株主大阪市の首長として、どう対応するのか。この男ならではのスタンドプレーは間違いなくあるだろうが、鋭い突っ込みはできそうにないだろう。大飯を反対できなかった男に対し、他の市民株主から糾弾される可能性だってあるだろう。いずれにしても、関電、そして東電の株主総会から目が離せない。
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by koubeinokogoto | 2012-06-07 21:04 | 原発はいらない | Comments(0)
6月5日付け朝日新聞朝刊の連載「プロメテウスの罠」から引用。原子力資料情報室の伴さん達脱原発派が奮闘している姿の紹介になるとともに、あの「秘密会合」のことを取り上げているので、あえて全文を紹介したい。。

 伴英幸は、内閣府・原子力委員会の新大綱策定会議の委員もしている。原子力政策の方向や課題をまとめる場だ。
 5月29日に霞が関ビルで4開かれたその会議は、大荒れになった。
 核燃料サイクルをめぐり、原子力委員と電力業界関係者、官僚などの推進派が長期にわたり秘密会合を開いてきた。その事実が毎日新聞にスクープされたためだ。
 しかも、使用済み核燃料の再処理を続けるというこれまでの政策を正当化できるよう、報告書案を書き換えていたことも報じられる。
 「原子力ムラ」と呼ばれる産官学の癒着への不信が、委員たちから一気に噴き出した。
 伴は意見書を提出した。
 「官僚と事業者との長年にわたる密着が明らかになった以上、このまま新大綱策定会議の審議を継続しても、決定した原子力政策に国民の信頼など得られるはずもない」
 伴は、徹底した透明性と「新たな組織による出直し」を求めた。
 「原子力の利害関係者を排除した新たな第三者委員会をつくって、福島原発事故以降の原子力委員会のあり方を、存続の是非を含めて議論すべきです」
 他の委員からも、批判が相次いだ。NPO法人「気候ネットワーク」代表の浅岡美恵は、「原子力委員会の基盤も信頼も崩壊した」と指摘し、慶応大学教授・金子勝は「新大綱策定会議の抜本的見直しが不可欠です」と述べた。
 議長をつとめる原子力委員会の近藤駿介は「もう(秘密会合は)やりません」などと釈明した。
 経済産業相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会でも、24日と28日の2回にわたり、原子力委員会への関与などをめぐる質問が飛び出した。
 「秘密会合に経産省からも出席していたことが明らかになった。出席の理由は何か」
 経産相の枝野幸男は、経産官僚の出席は「求めに応じて出ていったものでると確認した」と答えた・基本問題委員会では、原子力委員会のような癒着は「あるという予兆は感じておりません」と述べた。
 脱原発派の阿南久が質問した。
 「秘密会合で経産省の人はどのような発言をしたのか」
 事務局を担当する経産官僚は「別途、ご説明します」と答えた。公式の場で説明することはできない、との趣旨である。(小比木潔)



 この日、毎日のスクープに関して、原子力委員会は下記の「見解」という名の「弁解」資料を提出している。この資料などは、「内閣府原子力委員会」のサイトからダウンロードできる。「内閣府原子力委員会」のサイト

原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の
報告書とりまとめに関する報道について(見解)


平成24年5月25日
原子力委員会

 2012年5月24日付毎日新聞朝刊記事「秘密会議で評価書き換え」等、一連の報道で、原子力委員会が事業者を含めた会議を開き、再処理に有利に報告書原案を書き換えた、などとの報道がありました。これにつきまして、原子力委員会として、事実関係を説明します。
 まず、事業者を含めた会合を開催していたことは事実ですが、事業者の意見を反映して報告書を書き換えたという事実はありません。この会合は、検討小委の資料準備のための作業連絡を目的として開かれてきたもので、核燃料サイクル諸量や所要費用の計算手法やデータの提出依頼・確認、資料の記述の技術的正確性の確認などを行ってきました。その会合に、関連行政機関に加え、データの提出や計算を依頼している事業者の方も参加していたことは事実で、検討小委を設置して以来20回以上開催し、このような作業を行ってきました。
 4月24日で依頼してきた定量評価の作業が終了しましたので、この会合はその後開催されていません。
4月24日の会合に提出した資料の中に、「総合評価案」と題するものが含まれていたのは事実ですが、これはその後何度か用意された原案の一つです。実際、4月24日の会合の後、小委員会の委員のご意見を踏まえて改めて別の原案が作成・修正された上で会議に提出されました。その過程は以下の通りです。
 4月27日の検討小委で座長は、5月8日の会合にむけて、「総合評価案」作成のための意見書を5月2日までに提出するよう各委員に依頼しました。その意見書を踏まえて、座長は原案を作成し、会合前の5月7日に小委員会委員にそれを配布し、コメントをいただき、最終原案を5月8日の小委員会に提出し
ました。
 5月8日の会議(公開)では、提出された最終原案の審議が行われ、その後、座長は委員各位のご意見をできるだけ反映した最終報告書案を作成し、全委員に修正内容を確認しています。また、この作業は5月16日の会議の後にも行っています。したがって、この検討小委員会の報告書を、「特定の事業者や立場に有利なように書き換えた」ということは事実無根です。

 原子力委員会としては、小委員会座長は委員会の公正な運営に最大限尽くしてきたと認識していますので、このように報告書が書き換えられたとの報道がなされることは極めて遺憾です。ただ、素案とはいえ、報告書案と受け止められるものが外部の事業者や関係者に配布されたことが、このような疑念を招いたことを反省し、今後、関係行政機関以外との情報提供や資料送付について担当原子力委員が指示・確認を行うなど、情報管理や作業依頼に係る会合の運営を改善していく事とします。



 まず、朝日が、“毎日新聞”のスクープであると明記していることを、当たり前だが評価したい。

 「プロメテウスの罠」の内容と、原子力委員会の「弁解」の内容から、「新」大綱を策定しようというプロセスにおいて、原子力ムラは、「旧」弊の秘密主義で臨んでいることは明白。

 「弁明」資料の最後をもう一度太文字で確認。
“このような疑念を招いたことを反省し、今後、関係行政機関以外との情報提供や資料送付について担当原子力委員が指示・確認を行うなど、情報管理や作業依頼に係る会合の運営を改善していく事とします。”

 同じ顔ぶれで、果たして“改善”など期待できるのだろうか。

「李下に冠」「瓜田に履」のレベルの“単なる誤解”とは言えない。構造的な問題であり、確信犯的な“談合”である。フクシマから時間を経るにしたがって、原子力ムラは、また動き出している。

 伴さんの指摘のように、「官僚と事業者との長年にわたる密着が明らかになった以上、このまま新大綱策定会議の審議を継続しても、決定した原子力政策に国民の信頼など得られるはずもない」し、金子勝が言うように、人選も含めた“新大綱策定会議の抜本的見直しが不可欠”である。そして、原子力のあり方に関する、文字通りの「新大綱」が策定される前に、大飯のみならず、どんな原発も再稼動してはならないはずだ。
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by koubeinokogoto | 2012-06-06 01:40 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛