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フクシマを踏まえて発足するはずの原子力規制委員会の人事が、まだ政権与党には違いがない民主党内部で、もめている。
時事ドットコムの該当記事

原子力団体から報酬29万円=規制委員長候補の田中氏

 斎藤勁官房副長官は2日、衆院議院運営委員会理事会に出席し、政府が原子力規制委員会の初代委員長候補として国会に提示した田中俊一氏が、2011年度に複数の原子力関連企業・団体から報酬約29万円を受け取っていたことを明らかにした。斎藤氏は「国会への報告が遅れた」と陳謝したが、「すべて基準の枠内で問題はない」と説明した。
 政府は原子力規制委員会の人事について、過去3年間に同一の原子力事業者から年50万円以上の報酬を受けた者は候補から除外するとの基準を設けている。このため、政府が7月26日に田中氏らの人事案を国会に提示した際、報酬に関しては該当なしと説明していた。
 しかし、民主党から「50万円以下の報酬でも調べるべきだ」との意見が出たのを受けて政府が追加調査した結果、田中氏が日本原子力文化振興財団など3団体から原稿料などを受けていたことが判明した。
 追加調査では、委員候補4人のうち、島崎邦彦、中村佳代子、更田豊志の3氏も原子力関連の団体から講演料などを受け取っていたことが分かった。(2012/08/02-15:58)

 昨年4月1日のブログで、NHKオンラインからの情報として、この田中俊一を含む日本の原子力利用を支えてきた研究者や技術者が陳謝会見をしたことを紹介した。
2012年4月1日のブログ

---2011年4月1日のブログより-----------------------------------------------
 原子力委員会や原子力安全委員会の元委員達が、「陳謝」会見をした。
原子力委員会元委員らが陳謝
事態収束の兆しが見えない東京電力の福島第一原子力発電所について、国の原子力委員会や原子力安全委員会の元委員らが、1日、記者会見し、原子力の利用を先頭に立って進めてきた立場から国民に陳謝するとともに、政府は国を挙げて事態に対処する強力な態勢を作るべきだなどと訴えました。

記者会見したのは、原子力委員会の元委員長代理の田中俊一氏や原子力安全委員会の元委員長の松浦祥次郎氏、それに東京大学名誉教授の石野栞氏の3人です。3人は、日本の原子力利用を支えてきた研究者や技術者16人を代表して、1日、文部科学省で記者会見し、「これまで原子力の平和利用を先頭だって進めてきた者として、今回の事故を防ぎえなかったことについて、国民に申し訳なく思います」と述べました。そして、事態は次々と悪化し、収束の見通しは得られていないとして、電源と冷却機能を回復させ、原子炉や燃料プールを冷却し、大量の放射性物質の拡散を防ぐための対策を急ぐ必要があるとしました。具体的な対策としては、▽安定した冷却機能の復旧に向けて、24時間態勢で作業を進める一方で、作業員の人数を増やして1人当たりの作業時間を制限し、被ばく量を少なくすること、▽放射性物質の拡散を防ぐとともに、汚染の影響を評価し、避難している住民が帰れるまでの手順を示すことなどを挙げました。そのうえで、危機的な事態に専門家の知識や経験が十分に生かされていないとして、政府の下に、原子力事故の解析や放射線の計測評価など経験と技術を持った専門家を結集し、国民に情報を提供し協力を求めながら、国を挙げて事態の収束に当たることが重要だと訴えました。

 ある意味、非常に日本人的な行動かもしれない。「このままでは、死んでも死に切れない」という思いからの行動だったかと察する。
 しかし、私はあえてまず言いたい。残念ながら、「謝れば済むことではない」ということ。 
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 田中俊一という人が、かつて原子力ムラの村民であったことは明白。この4月1日の謝罪会見は、まさかエイプリルフールの余興ではなかろうが、その年齢や経歴から、今後の原子力政策を左右する組織のリーダーとして適任かどうかは、任命前から疑問視すべきなのは当然だろう。 

「美浜の会」のサイトに、「何が問題?原子力規制委員会の人事」と題して、誰がどんな理由から不適格かが記載されている。
Q:この5人の委員候補はどんな人たち?

A:×田中俊一(たなか しゅんいち)氏:【原子力ムラ・不適格】(委員長候補)

(独)日本原子力研究開発機構 副理事長、原子力委員長代理、原子力学会会長を歴任。

長年にわたって「原子力ムラ」の中心で活動。「原子力委員会」は国の原子力推進機関。原子力事業者と秘密会合を重ねて原子力を推進するなど公正さに疑惑がもたれている。副理事長であった「(独)日本原子力研究開発機構」は、政府の原発推進、核燃料サイクル推進の研究開発機関。

さらに、田中氏は、原子力損害賠償紛争審査会において、最後まで自主的避難者に対しての賠償方針に反対。「100mSvというのは健康に大きな影響がないということ。このあたりをどう今後住民に、折り合いをつけていただくかということが大変大事」(注)と発言。
注)2011年8月23日 第32回原子力委員会 議事録より


×更田豊志(ふけた とよし)氏:【原子力ムラ・不適格】(委員候補)

日本原子力研究開発機構の安全研究センター副センター長。福島第一原発事故後も原発推進を前提とした「原発の継続的改善」を主張。日本原子力研究開発機構は、「原子力ムラ」の当事者。安全規制対象の「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構の現役幹部を登用することは、欠格要件に該当する。

×中村佳代子(なかむら かよこ)氏:【規制対象事業者・不適格】(委員候補)

中村氏の所属する(公益社団法人)日本アイソトープ協会は医療用放射性廃棄物処理工場を運営し、最終処分場の設置を計画中で、原子力安全規制の対象になる事業所である。

中村氏は、「低線量被曝では子供と大人で発がんリスクに差がなく、原発事故による住民の被曝線量も十分に低い」(読売新聞 2012年7月22日)と発言するなど、低線量被ばくリスクを軽視する立場である。


×大島賢三(おおしま けんぞう)氏:【外務官僚・不適格】(委員候補)

国連大使、JICA副理事長・顧問を歴任した外務官僚。世界的な原子力推進を国際協力の名のもとに推進する国策を担ってきた立場である。国会事故調の委員も務めたが、同氏が果たした役割については注意深く検証する必要がある。

※島崎邦彦氏については、評価を保留しています。


「評価保留」の島崎邦彦は地震予知分野の研究者。3.11以後、あの地震を予知できなかったことを大いに悔やんでいることが、2011年4月14日の産経のサイトに掲載されている。
MSN.産経ニュースの該当記事

崩れた地震学、学者ら予測できず 「歴史の空白」盲点に
2011.4.14 17:18

「東海予知」ハードル高く

 「過去30年の地震学が崩壊した」。東日本大震災の巨大地震に地震学者が打ちひしがれている。史上最大の地震を予測できず、研究を防災に生かせなかったからだ。敗北の裏には、過去の経験則に基づく地震学の限界があった。東海地震の予知もハードルは高く、「予知失敗」を前提とした対策が求められる。(長内洋介)


前例がない

マグニチュード(M)9・0の巨大地震は、なぜノーマークだったのか。政府の地震調査委員会で長期予測に携わってきた島崎邦彦東大名誉教授は、まず「歴史の空白」を挙げる。

 日本は地震の記録が世界で最も多く残っている国だ。史上最古の地震は日本書紀に書かれた大和時代の416年。その後も京都などで日記や歴史書に記載され、江戸時代の大地震はすべて記録されている。

 ところが、都から遠く離れた東北地方では平安時代半ばから江戸初期までの数百年間、記録がまったくない。今回のような巨大地震は江戸以降もなく「起きないという考えに自然と傾きがちだった」(島崎氏)。

 過去の地震から規則性を見いだし、それを検証して将来を考えるのが地震予測の基本だ。前例がないと研究は進まない。地震学は自然科学であると同時に、歴史学の側面もある。そこに盲点が潜んでいた。


定説の呪縛

 科学的な見地からも、東北地方のM9クラスの巨大地震は否定されていた。

 地球の陸地や海底は、プレートと呼ばれる複数の大きな板状の岩で覆われている。海のプレートは徐々に移動し、陸のプレートの下に沈み込む。2つのプレートの境界がある海溝付近が巨大地震のすみかだ。

 ただ、プレート境界は場所によって性質が違う。チリ地震で有名なチリ海溝は、普段はがっちり固着して動かず、あるとき急にずれて巨大地震を起こす。一方、マリアナ海溝や伊豆・小笠原海溝は普段から境界面がずるずると動いているため、大地震は起きない。

 東北沖の日本海溝は、北は「がっちり型」だが、南は「ずるずる型」とされ、全体が連動する巨大地震は起きないというのが1980年代以降の定説だった。

 「M9は限られた場所でしか起きないという考え方はスマトラ沖地震で否定され、今回で息の根を止められた。根本から疑って考えるべきだった」。島崎氏は無念さを隠さない。


 田中俊一、島崎邦彦という人たちが、昨年3.11とフクシマの後に吐露した「無念」をバネに、古い言葉だが良い意味での「転向」を経て今後の規制委員会で活躍する可能性は、ないとも言えない。
 しかし、3.11そしてフクシマを経験した日本は、いろんな意味でマインドチェンジせざるを得ないと思う。

 原子力規制委員会の委員は、過去に原子力ムラに「寄生」していた人ではなく、文字通り「規制」できる人でなければ困る。たとえば、過去にマイノリティとして大地震や原発事故への警告をしてきたにもかかわらず、政府や原子力ムラの前に、耳を傾けるべき声を封じられてきた人達の手に委ねられるべきであろう。地震研究専門家からの人選なら、私なら石橋克彦しかいないと思う。また、原子力の現場を知る技術専門家として、後藤政志、田中三彦といった名前が委員の中に入らない限り、国の原子力政策へのマインドチェンジはできていないと判断できる。

 ここまで、ズルズルと発足が遅れてきた原子力規制委員会は、人選も含めてリセットすべきであり、発足するまでは全ての原発を稼動してはならない、ということこそが“世論”であり、本来ジャーナリストが主張すべきことだ。
 国会や官邸周辺に集まる多くの国民の声がまともに聞こえない政治家やマスコミは、耳も了見も退化しているのだから、何も語る資格がない。日本を復興する了見と行動力のある人材に道を譲るべきだろう。
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