幸兵衛の小言

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与党が除染や中間貯蔵施設の建設・管理に税金を投入するよう安倍に要請した。
「東京新聞」サイトの該当記事

除染に国費投入提言 与党の復興加速化本部
2013年11月11日 夕刊

 自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部は十一日、東京電力福島第一原発事故に伴う除染や、福島県内の廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設・管理への国費投入を柱とした第三次提言を安倍晋三首相に提出した。首相は「与党と廃炉や汚染水処理に取り組んでいきたい。(復興を)一歩進めていくための選択、判断基準を(被災者に)示していかないといけない」と述べた。

 政府は提言に沿い、除染費用は東電負担としてきたこれまでの政策を見直す方針だ。

 それぞれ本部長を務める大島理森(ただもり)・自民党前副総裁、井上義久公明党幹事長らが官邸で政府の復興施策に反映させるよう要請した。

 大島氏は、民法の規定で三年とされる原子力損害賠償の時効問題で、停止や延長措置を盛り込んだ関連法案を与党の議員立法で今国会に提出する考えを記者団に明らかにした。

 提言は、除染とインフラ整備を当面、帰還可能な地域で優先的に進める必要性を明記。福島第一原発の廃炉や汚染水対策の実施体制を明確にするため、東電の関係部門の分社化や独立行政法人化の検討を盛り込んだ。

 年間被ばく放射線量が五〇ミリシーベルト超の「帰還困難区域」に関し、除染しても何年間、帰還できないか明確にすべきだとも指摘。避難指示が六年を超える被災者への追加賠償について、年内に方向性を示すよう要請した。



 この要請に石原環境相が異議を唱える発言をしているようだが、それはともかく、ここでよく考えなければならないのは、「除染」するということは、除染後に「住む」ということを前提としているということだ。

 しかし、「住むことが可能」とする国の基準には大きな問題がある。

 与党の要請の中に、“年間被ばく放射線量が五〇ミリシーベルト超の「帰還困難区域」に関し、除染しても何年間、帰還できないか明確にすべき”とあるのを目にして、この人たちはチェルノブイリのことをどれだけ知っているのだろう、と思った。
 それとも、該当区域については、帰還をあきらめてもらうよう伝えるべきだ、というのなら少しは理解できるが、そうだとしたら、五〇ミリシーベルト以下の地域はいったいどうなのか・・・・・・。そもそも税金を使って除染をしたり貯蔵施設を作ることは緊急性の観点で優先度が高いのか、とも思う。

 私には、この要請をした与党議員の背後に、除染や中間貯蔵施設を建設する業者の影がちらついて見える。

 たしかに、被災者の方は、生まれ故郷に帰りたいだろう。しかし、それは「住める故郷」にである。五〇ミリシーベルトの地域が数十年、あるいは百数十年後には住めるようになります、と言われたとして、故郷を追われた人々は癒されることはない。未だに“避難”生活をして困窮している人々が“日常生活”を取り戻すことを支援するのが、国の緊急課題だろう。

 そもそも基準に問題がある。福島とチェルノブイリの避難基準を比較してみよう。

    福島の区分         年間放射線量     チェルノブイリの区分
 帰宅困難区域            50mSV以上     (強制避難区域)
 居住制限区域(一部帰宅可能) 20mSv~50mSv    (強制避難区域)
 避難指示解除準備区域       ~20mSv      (強制避難区域)
   (居住可能)              5mSv~     
移住の義務発生
   (居住可能)              3mSv~     18歳未満立入り禁止
   (居住可能)              1mSv~     移住の権利発生    
   (居住可能)              0.5mSv~    放射線管理ゾーン


 赤字が「立入り禁止」区域の基準である。

 チェルノブイリが5mSvに基準をおき、福島は20mSvに基準を置く。日本はチェルノブイリから何ら学んでいない。20mSv規準は、あくまで「経済性」優先の悪行なのである。

 民主党政権時代に設定したからと言って、安倍政権は国民の安全管理から責任を逃れられない。

 この基準についての議論は、今ではほとんど聞くことがない。しかし、食品の基準だって年間1mSv基準に変わったのだ。なぜ、年間20mSvで「安全」と言えるのだろうか・・・・・・。まず、この基準をもう一度改訂することが、除染や中間貯蔵施設をつくるより優先するはずだ。

 たとえば、現在10mSvの地域が除染の結果5mSvになっても、「本当に、住めるのか?」という疑問が、そこを故郷にする人々にだってあるはずだ。チェルノブイリの基準を知れば、大いに不安になるだろう。私は非常に危険だと思う。

 日本政府のソ連よりも4倍も甘い基準は詳しくは下記の通り。

避難指示解除準備区域
 20ミリシーベルト/年以下
 空間線量率が3.8マイクロシーベルト/時以下
居住制限区域
 20ミリシーベルト/年超 50ミリシーベルト/年以下
 空間線量率が3.8マイクロシーベルト/時超 9.5マイクロシーベルト/時以下
帰還困難区域
 50ミリシーベルト/年超
  空間線量率が9.5マイクロシーベルト/時超

 経産省のサイトから「避難指示区域の見直しについて」という資料をダウンロードできる。 
「避難指示区域の見直しについて」(PDF)
 この資料には、20mSvの基準の根拠などは一切記載されていない。

 除染に関しては、除染による汚物を川に放出することによる汚染水拡大が問題になっているし、除染業者そのものにも問題が多い。

 特に20mSvを超える地域に関しては、「除染して住めるようにしましょう」という言葉を、被災者自身が、空虚な実現性の低いものととして受け止めているように思う。

 とても数十年にわたって住める環境にはならないであろう地域を税金でせっせと除染するより、現在もっとも緊急を要するのは、毎日“記録”を更新している放射能汚染水対策のはずだ。
「時事ドットコム」の該当記事

71万ベクレルを検出=連日最高値、漏えいタンク周辺−福島第1

 東京電力は12日、福島第1原発で汚染水約300トンが漏れたタンク近くの観測井戸で10日に採取した地下水から、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり71万ベクレル検出されたと発表した。
 7日に採取した分の同42万ベクレルから4日連続で過去最高値を更新した。東電は「検出された値を見れば、漏れたタンクの汚染水の影響が考えられる」としている。(2013/11/12-11:44)



 安倍は与党の要請に答えて「廃炉や汚染水処理に取り組んでいきたい」と答えたようだが、とても真剣に汚染水対策に取り組んでいるようには思えない。もはや、今の東電は心身ともに“死に体”である。放っておけば被害は広がるばかりである。

 安倍政権は、まったく戦略的ではないのだ。戦略とは、「あれも、これも」ではなく「あれか、これか」なのである。

 今、重要なことは、あらためてチェルノブイリの教訓を生かして居住規準を5mSvに設定し直すことではなかろうか。それとも、ウクライナの人と日本人とでは放射能への耐性が違っていて日本人は放射能に強い、と政府は言いたいのだろうか・・・・・・。冗談じゃない。

 故郷を失った住民の方には住まいを含めて、しっかりとした生活ができるための補償をすべきであり、税金は除染よりも、まず被災者の方への支援を優先して使われるべきだと、私は思う。そして、政府や官僚、政治家は、あてにならない遠い未来における復帰、という当座しのぎの嘘をつくのをやめて、緊急性では優先順位が落ちる活動への税金投入を止めて、待ったなしの今そこにある危機や、国民の生きるための対策を優先すべきである。

 故郷を失った国民が新しい生活を踏み出すための支援をするのが、“国策”による被害者への政府の責務だ。そして、汚染水問題の解決が遅れることは、故郷を、そして自分たちの仕事場である豊漁の海を失う人が増え続けることにつながる。

 除染も中間貯蔵施設も重要である。問題は緊急性と拡大傾向として、放射能汚染水問題が最優先の課題であるということだ。非常に危険なレベルの放射能が検出されている。だからこそ、東電任せから国の直接関与により、世界中の知恵や人材や技術を動員しなくてはならないと思う。

 今でも、とめどなく放射能汚染水が地下をはい回り、海に流れ出ている。これは、地球規模の危機の拡大なのである。
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by koubeinokogoto | 2013-11-12 17:19 | 原発はいらない | Comments(0)
テレビや新聞などでの“食品偽装”報道ラッシュを横目に、「毒じゃあるまいし、食品偽装ばかりメディアが取り上げていて、喜ぶのは安倍右傾化政権だろう!」と思っていた。

 放射能汚染水やTPP問題の代わりに、メディアは、これでもかとばかり、エビや牛肉のことを取り上げている。

 もちろん、偽装を擁護しようとは思わない。しかし、そのために隠されているニュースもあるということが問題だ。もう、「あのデパートも」とか「あのホテルでも」とか、メディアが長い時間や広い紙面を費やすだけのニュースとしての価値はなかろう。

 NHKを含めテレビ局は政府広報メディアになりつつあるのではなかろうか。土曜のNHKの「週刊ニュース深読み」は、地球温暖化をテーマにしていた時と同様、食品偽装問題をただ煽るだけの番組で、見るに耐えられなくなり途中でテレビを消した。他にもっと国民にとって大事な問題があるだろう・・・・・・。

 そんなことを思っていたら、「特定秘密保護法案」について真っ当な社説を掲載していた東京新聞が、今日はTPPについて、こんな社説を出していた。
「東京新聞」サイトの該当ページ

週のはじめに考える TPPが脅かすもの
2013年11月10日

 TPP(環太平洋連携協定)交渉が大詰めを迎えます。遅れて参加した日本は、事前協議などで米国への譲歩を繰り返しています。これが国益なのか。

 「何が秘密なのかも秘密」−。安倍政権が成立を目指す特定秘密保護法案に国民の不安が高まっていますが、TPPも徹底した秘密主義をとっています。内容が漏れれば、参加十二カ国の妥結に影響がでるからという。守秘義務を四年間も強いる異常さです。

 国民が知らない間に食や農業、医療や保険、教育、雇用、文化まで生活の基盤が根底から変わることが決まっていたら大変です。

◆守れなければ席を立つ
 懸念がなまじ誇張でないのは、交渉参加を認めてもらう段階から繰り返されてきた日本政府の譲歩ぶりからです。

 欧州が輸入禁止している米国産牛肉の安全基準を緩和したり、かんぽ生命ががん保険に参入せず、そればかりか日本全国の郵便局で米保険会社のがん保険販売を請け負ったり、米国の意向を忖度(そんたく)して軽自動車の増税方針を日本側が先回りして示す−。「入り口段階」で、こんな具合でしたから、本交渉では「さらに…」と不安が募るのは当然です。

 すでに与党内からは「聖域」として関税を維持するとしてきた重要五項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖など)すべてを守ることはできないとの声が出ている。「守るべき国益を追求する」「守れなければ席を立ってくる」と強弁してきたわけですから、妥結後に「開けてびっくり」の内容となっていることは許されるはずがありません。
 

 本来、国の制度とか政策は、国民の命や健康、暮らしを守り、安全・安心な社会を形成するためにあります。しかし、TPPは関税引き下げなど貿易ルールだけでなく、暮らしを守ってきた制度も対象とし、いわば国のかたちの変更につながりかねません。

◆命か企業利益かの選択
 極端に市場主義が浸透した米国、とりわけ富の拡大を目指す「1%の勢力」にとって、各国の制度は邪魔なものです。そこで米企業や米政府が使うのが「競争条件を対等にせよ」という決まり文句です。いかにも正論に聞こえる「対等な競争条件」を錦の御旗に、邪魔なルールや制度を徹底的に壊すか、都合よく変えさせる。

 「TPPの本質は市場の強奪です。今の流れでは日本が大切にしてきた伝統や支え合い社会が崩壊する。『開国』が『壊国』になる」と東京大学大学院の鈴木宣弘教授(農業経済学)は言います。 

 米国農産物の輸出拡大に日本の厳しい食品安全基準は邪魔、学校給食の地産地消奨励策も参入障壁だから変えさせよう、という具合に。これは、国民の命か企業利益かを選択する問題です。

 ところが安倍晋三首相は「世界で一番、企業が活動しやすい国を目指す」という。規制を緩め、税制を優遇し、外国企業でも思う存分、稼ぎやすいように配慮する。それは米国の狙いとピタリ符合してしまいます。

 「(株)貧困大国アメリカ」(岩波新書)など米国ルポの著作が多いジャーナリストの堤未果さんは、TPPに傾斜する日本に強い危機感を抱いています。中枢同時テロ後に米国で成立した「愛国者法」に似て言論統制法ともいえる特定秘密保護法案や企業利益を最優先するなど「米国をなぞるような政策が進行している」と見ます。

 米国で何が起こっているかといえば、刑務所や自治体、立法府まで企業に買われる。巨大化した多国籍企業は度を越した献金とロビー活動で政治と一体化し、企業寄りの法改正で「障害」を取り除いていく。企業の論理の前には国民の主権すらないがしろにされる社会です。

 堤さんは「もはや企業を無理やり縛ることはできません。米国では遺伝子組み換えの表示義務がないので不可能ですが、日本は組み換えでない食品を選ぶことができるよう(国民主権の)『選択肢』を残す必要がある」と訴えます。

 安倍首相は、TPPについて貿易自由化交渉と同時に重要な「安保防衛上の枠組み」との考えを示しています。米国や豪州などと結束し、中国などをけん制する意味合いなのでしょう。

 しかし、TPPが「仲間」と「仲間外れ」をつくるなら、第二次大戦につながったブロック経済と同じではないか。ガット(関税貿易一般協定)体制以前に「先祖返り」しかねません。

◆国民の幸せこそが国益
 国益を守るといった時、真っ先に考えるべきは、国民の幸せであってほしい。国民生活を大きく変容させかねない米国への配慮よりも、です。首相の考えと、国民の多くが抱く願いとのズレを感じずにはいられません。



 私がTPP反対をテーマに書いた時に紹介した『食の戦争-米国の罠に落ちる日本-』の著者、鈴木宣弘の言葉も引用している。
2013年9月4日のブログ

 食品偽装は、たしかに企業としてモラルを疑われることである。しかし、“新自由主義”の信者である安倍晋三が煽動する競争至上主義、短期的な利益追求が企業にも“モラルより利益”を優先させる風土をつくっていったのではないか。

 あえて言おう。芝エビの代わりバナメイエビを食べても、危険性はない。和牛の代わりに、輸入肉に牛脂を注入した成型肉を食べたって、健康被害はないだろう。

 しかし、放射能汚染水が管理されないことは、日本のみならず地球環境への大きな影響を与える問題である。TPPに参加することで、日本の農業や医療、TPP参加のための犠牲を払わされようとしている自動車といった産業が衰退することは、夥しい数の日本国民の生活を直撃する問題である。

 食品偽装よりも犯罪的とも言える政府の偽装を許すべきではない。福島第一の汚染水が“完全にコントロール”されている、と言ったり、昨年末の選挙の公約として「TPP反対」を訴えながら、今ではさまざなま産業への犠牲を強いてまでTPP参加を目指す安倍政権こそ、“偽装”の最たるものだろう。

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 これが、昨年末の衆院選での自民党のポスターである。現在の状況を考えるに、これは“偽装”どころか、“詐欺”ではないのか。

 もし、少しでもジャーナリズムという言葉が日本に残っているのなら、国家が国民に対して行なっている“偽装”問題を追求することが最優先のはずだ。
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by koubeinokogoto | 2013-11-10 19:09 | TPP反対 | Comments(6)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛