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安倍政権下で、予想通り“原子力ムラ”が復活しようとしている。

 朝日新聞の一面で、電気事業連合会(電事連)が、自民党議員に“模範解答”を配布していた事実が報じられたので引用したい。(太字は管理人)
朝日新聞サイトの該当記事

電力業界、自民に原発新増設促す 「模範解答」配布
2014年1月31日05時29分

 安倍政権が策定を進めるエネルギー基本計画の閣議決定を前に、電力会社などでつくる電気事業連合会(電事連、会長=八木誠・関西電力社長)が自民党議員に原発の必要性や新増設を訴える文書を配っていたことが30日、わかった。同党が計画内容について行った党所属国会議員へのアンケートについて、原発推進の立場で答えるよう促す内容。原発新増設は政権の方針も超えており、業界が自らの利益を前面に押し出した形だ。

 朝日新聞が入手した電事連の文書によると、エネルギー需給の基本方針として「原子力が重要な電源であるとの位置づけを明確化する」と強調。「原子力発電を一定程度の規模を確保する」として、「そのための新増設・リプレース(建て替え)の必要性を明確化する」とした。安倍晋三首相は新増設について「現在のところまったく想定していない」としている。

 再稼働についても、文書は「安全の確認された原子力の再稼働を効率的かつ迅速に行う」と明記。核燃料サイクルも「着実に推進する」としている

 エネルギー基本計画は昨年12月、経済産業省が原発を「重要なベース電源」とする原案を公表。安倍内閣は1月に閣議決定する方針だった。だが、自民党は一昨年の衆院選公約で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」としており、党内から異論が出て閣議決定を先送りした。

 このため、党政務調査会は今月6日から20日まで、エネルギー需給に関する基本方針など4点を尋ねる議員アンケートを実施した。電事連の文書は党の意見集約を原発推進へ誘導する狙いがあったとみられる。

 複数の党所属国会議員や党関係者によると、20日を前に電事連の関係者が議員を訪問。4点についてアンケートへの「模範回答」を記した文書を渡したという。

 最終的に全体で何人に配られたかは不明だが、党の原発推進派の議員連盟に加盟する約140人の議員や、再稼働を認めつつ原発依存度を徐々に下げるべきだと考える「中間派」に働きかけた可能性がある。(疋田多揚)

     ◇

〈電気事業連合会(電事連)のコメント〉 私ども事業者としても国のエネルギー政策に貢献していきたいと考えており、様々な機会を通じて広くエネルギー政策に関する考えをご説明させていただくことはあるが、個別の内容や説明機会などの詳細については、回答を差し控えさせていただく。

     ◇

〈エネルギー基本計画〉 国のエネルギー政策の中長期的な方向を示す計画。2002年に成立したエネルギー政策基本法に基づき、ほぼ3年ごとに閣議決定している。11年3月の東京電力福島第一原発事故を受け、民主党政権は「30年代の原発ゼロ」を掲げて基本計画の見直しを進めたが、安倍政権の発足後、「原発の活用」を前提に計画作りが進んだ。経済産業省が昨年末、計画案をまとめ、安倍内閣は与党内調整などを経て閣議決定する方針。



 “懲りない面々”というのは、この“原子力ムラ”のことを言うのだろう。

 「エネルギー基本計画」については、先日書いたのでご参照のほどを。
2014年1月9日のブログ


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内橋克人著『日本の原発、どこで間違えたのか』

 電気事業連合会(電事連)について、2011年の7月にも書いた。2011年7月8日のブログ

 その際にも引用した、3.11の直後、2011年4月に発行された内橋克人著『日本の原発、どこで間違えたのか』から、引用する。

 電事連の言う、“様々な機会を通じて広くエネルギー政策に関する考えをご説明させていただく”、とはどういうことなのか。

 大手町の経団連会館の中にあるこの組織によるマスコミへの情報操作や報道規制について、本書の“序 つくられた「原発安全神話」—なぜ、いま『原発への警鐘』を復刻するのか”から引用。 (太字は管理人)

 たとえば「週刊朝日」の「知ってますか? 試運転中 六ヶ所村再処理工場の切なさ」(2006年6月30日号)と題されたわずか4ページの記事に対して計7項目に及ぶ詳細な「抗議」書が届いている。次の通りだ。
「題記記事中には、下記の通り不的確な記述や事実誤認の記述などが見られます。
 つきましては、正確な情報に基づき、正しいご理解を賜りたいと存じます」
 この一見、丁重にみえる記述につづいて、次段からは「記」と題した詳細な指摘がえんえんと続く(以下、原文のまま)。
[1]5月17日に再処理工場で発生した「精製建屋内における試薬の漏えい」について
 「記事内容」(p38二段・1行目~)
 「配管の破損による溶液漏れは、いつ起きてもおかしくないと思います。(中略)溶液漏れや、トラブルをくまなくチェックするのは不可能ではないかと思うのです」(筆者注:現場関係者の談話。この「週刊朝日」の記事に対する抗議が
 次のように「事実関係」と題して述べられている)。
「事実関係」
▼再処理工場は、原子力発電所で使用された使用済燃料を化学処理によって再処理することから、化学プラントに似た構造となっており、総延長で千数百キロにわたる様々な配管が存在します。
▼このうち、安全上、重要なものについては、セルと呼ばれる放射性物質を閉じ込める機能を有した部屋に収納しており、万が一、配管から漏えいした場合でも受け皿等により安全に回収できる構造としています。また、配管からの漏えいを検知する機器をとりつけているため、万が一の場合でも、すみやかに、対策が講じられる仕組みとしています。
▼一方、安全上特に厳重な管理を要しない配管については、日常の巡視点検等による保守管理を実施しています(同点検作業に時間的な制約はありません)。もし、これらに不具合が発見されれば、すみやかに部品を交換するなどの対応を行っています。
▼こうした事実を踏まえずに、「内部は放射線濃度が高くて、作業員が中に入っていられる時間も制約されている。溶液漏れや、トラブルをくまなくチェックするのは不可能ではないかと思う」(p38二段・8行目~)とする記述は、不的確と言わざるを得ません。

[2]放射線による健康への影響について
 「記事内容」(p38三段・8行目~)
 
(中略)

 いずれも同じ形式をとって反論の記述がなされる。抗議文を書いた人物の名はすべて伏せられ、組織の中に身を隠したままの匿名で通す。だが、その背後に控えるものの正体は明らかだ
 「週刊朝日」だけではない。週刊誌では「サンデー毎日」「エコノミスト」・・・・・・およそありとあらゆるマスコミが対象となっている。朝日新聞、共同通信、時事通信、毎日新聞、東京新聞、東奥日報、佐賀新聞、西日本新聞、各紙社説。さらにNHK教育TV、TBS、日本TV・・・・・・。
 記事に対する「反論」を「事実関係」と自称する。当方の主張が「事実」であり、そちらはデマか誤報だと断じる。あらゆるメディアへの巨大スポンサーとして君臨するものの発する「抗議」の「ブラフ(脅し)効果」は計り知れないものがあるだろう。
 だが、ここに示した報道に対する執拗なまでの警告だけではない。「安全神話」をつくり上げる仕組み学校の教育現場での教師、児童、生徒、学生へのスリ込み、「学習指導案」から「ワークシート」の作成、著名文化人の動員、さらに映像を駆使しての特別授業まで広範囲に及ぶ。彼らが「事実関係」と呼んで社会に押しつけた記述の信憑性こそが、いま問われているのではないか



 マスコミに、少しでも反原発的な記事が出ると、匿名の“クレーマー”としていやがらせをし、教育の現場でも刷り込みを画策する。

 そして、国会議員へも周到な根回しをしている、その実態のほんの一部が、今回の記事である。


 いわば、原発「安全神話」の総本山、それが電事連である。

 フクシマを経験し、その収束はまったく見えない状態であろうが、電力会社は“儲かる”原発への執着と捨てようとしない。

 電気事業連合会のサイトに「原子力発電について」のページがあり、次のような内容が書かれている。
「電気事業連合会」サイトの該当ページ

原子力発電の安全確保に全力で取り組み、
世界最高水準の安全を追求してまいります。


原子力発電の利用は、安全性の確保が大前提です。
電力会社では、福島第一原子力発電所の事故を教訓に、事故直後から緊急安全対策を実施、その後もさらなる安全性向上に向けた自主的取組みを進めています。
安全確保の取り組みに終わりはなく、今後も、新しい安全基準を確実にクリアしていくことはもとより、自らが不断の努力を重ね、一層の安全対策に万全を期してまいります。



 フクシマの汚染水対策に“全力”で取組んでいると思えない状況で、よくもヌケヌケとこんなことが言えるものだ。

 こんなことも書いてある。
「電気事業連合会」サイトの該当ページ

安全を守る技術的なしくみ

「人間はミスを犯す」「機械は故障する」。これらを前提としながら、なおかつ安全を保っていくにために、原子力発電はさまざまな技術的な備え(安全設計)をしています。

多重防護
原子力発電所の安全確保の考え方は「多重防護」を基本としています。「多重防護」とは、文字どおり何重にも安全対策がなされていることを意味します。

自己制御性
日本の原子炉は、あらかじめ自己制御性をもつように設計されています。自己制御性とは、核分裂の数が増加した場合でも操作などを行うことなしに、核分裂の数を減少させるように働く性質のことです。

アクシデントマネジメント
「アクシデントマネジメント」とは、設計で考慮した以上の苛酷事故に至るおそれのある事態が発生しても、それが拡大することを防止し、万が一、苛酷事故に拡大した場合にも、その影響を緩和するための対策です。



 これは、3.11、フクシマの前ではなく、現在の内容なのである。

 “多重防護”も“自己制御性”も“アクシデントマネジメント”もまったくの「神話」だったから、フクシマが起こったのである。

 フクシマなどなかったかのように、原発を未だに推進しようとする理由は、ただ一点、“金”のためなのだ。

 電事連という「広報部門」を抱えた電力会社、彼等を後押しする経産省などの“原子力ムラ”は、現実を真摯に見て、長期的に地球的な観点でエネルギー問題を考える気など、これっぽっちもないのだ。

 彼等のために、この国が、そして地球が危険に晒されて、国民が安心して暮らせないとすれば、こんな不条理なことはなかろう。

 “原子力ムラ”の復活は、許されるものではない。地震大国日本の原発は、国を滅ぼす。
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by koubeinokogoto | 2014-01-31 07:14 | 原発はいらない | Comments(2)
NHKの新会長による“トンデモ”発言、公共の電波(と言われる)ものを預かる責任者が、あんな考えの持ち主でいいはずはないと思うが、自民党は火消に躍起になっている。

 しかし、ここは野党がしっかりと、本来の仕事をして欲しいものだ。東京新聞から引用。
東京新聞サイトの該当記事

歴史認識政権に火の粉 慰安婦発言菅氏「問題ない」
2014年1月28日 朝刊

 安倍政権は27日、NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長(70)が「従軍慰安婦は戦争地域ではどこの国にもあった」とした発言を問題視せず、会長辞任の必要はないとの考えを示した。安倍晋三首相の靖国神社参拝が批判される中、政権は籾井氏の発言をかばうほど、国内外から「同じ歴史認識を持っている」とみられることになる。 (金杉貴雄)

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十七日の記者会見で「籾井会長が個人として発言した。会長としての発言なら取り消すと言われたので問題ない」と擁護した。

 政府が籾井氏を守ろうとするのは、籾井氏の会長就任が官邸の意向が強く働いた人事のため、問題が深刻になれば官邸の責任論に発展する可能性があるからだ。

 政府は昨年秋、NHK会長を選任する経営委員十二人のうち四人の交代を国会に提案。与党などの賛成多数で就任した。個人的にも思想的にも首相に近い人物が目立った。その後の新会長の人選では、首相に近く、経営委員長経験者の古森重隆(こもりしげたか)富士フイルムホールディングス会長と親しい籾井氏に候補として白羽の矢が立った。

 慰安婦問題では、首相は籾井氏と同様、日本が不当に批判されていると疑問視し、国の関与を認めた一九九三年の河野談話の見直しが持論だ。第二次安倍内閣発足後は、中韓や米国からの批判に配慮して自らの見解を述べることを避けてきた。

 だが、靖国神社参拝に加え、籾井氏の発言までかばえば、火の粉は政権自身に降りかかりかねない。

 この問題は、通常国会の補正予算案や、新年度予算案の審議にも影響しそうだ。民主党の海江田万里代表は二十七日の記者会見で、籾井氏を「NHK会長としての見識を疑う」と批判。二十八日の衆院代表質問で取り上げる考えを示した。



 どうしても腑に落ちない点を再度引用。
“菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十七日の記者会見で「籾井会長が個人として発言した。会長としての発言なら取り消すと言われたので問題ない」と擁護した”、これっておかしいでしょう。

 「会長が個人としての発言」は「会長としての発言」ではないのでしょうか?
 
 それとも籾井という人間は、二重人格なのか・・・・・・。

 「公」「私」を分けて使うなら、公共の場での発言は、すべからく「公」である。

 菅は結構苦労人で、個人的には嫌いではなかった。内閣の中で、安倍のブレーキ役になることを期待していたが、権力の座に座ると人間は変わるのだ。

 昨年五月にも書いたが、東郷和彦著『歴史認識を問い直す-靖国、慰安婦、領土問題』からの引用を含め書きたい。
2013年5月15日のブログ

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東郷和彦著『歴史認識を問い直す-靖国、慰安婦、領土問題』(角川ワンテーマ21)

 2007年のことである。

 3月16日の質問主意書に対する回答が決められる前の3月1日、ぶらさがり懇談で安倍首相は、「当初、定義されていた強制性を裏づけるものはなかった。その証拠はなかったのは事実ではなかったかと思う」という発言をした。なきさけぶ人を強制して連れてくる狭義の「強制連行」はなかったという趣旨の発言だった。
 ところが、この発言が「安倍総理は、慰安婦に対する(いっさいの)強制性を否定し、河野談話の修正を企図している」というAP電と翌3月2日の『ニューヨーク・タイムズ』の記事で報ぜられて以降、事態が一変した。
 私はこの時、アメリカ西海岸カリフォルニア州立大学サンタ・バーバラ校で教鞭をとり、5月には、同大学の長谷川毅教授と「日本の歴史問題」についての国際シンポジウムを準備中であった。
 安倍総理を慰安婦問題の「否定者」(denier)として糾弾する米国マスコミの論調は想像を絶してすさまじいものがあった。日本語の活字にするとどうしても表現できない、肌で感ずる不気味な「日本否定論」が突如として噴出した。



 安倍は、この時の失態を覚えているのだろうか・・・・・・。

 著者は、この年の五月に開催されたシンポジウムの後で参加したアメリカ人から、明確な指摘を受ける。

 会合の後に議論に参加したアメリカ人から言われたことは、世界がこの問題を見る目がどこにあるのかを知るうえで、晴天の霹靂だった。
①日本人の中で、「強制連行」があったか、なかったかについて繰り広げられている議論は、この問題の本質にとって、まったく無意味である。世界の大勢は、だれも関心を持っていない。
②性、ジェンダー、女性の権利の問題について、アメリカ人はかつてとはまったく違った考えになっている。慰安婦の話を聞いた時彼らが考えるのは、「自分の娘が慰安婦にされていたらどう考えるか」という一点のみである。そしてゾッとする。これがこの問題の本質である。
③ましてや、慰安婦が「甘言をもって」つまり騙されてきたという事例があっただけで、完全アウトである。「強制連行」と「甘言で騙されて」気がついた時には逃げられないのと、どこがちがうのか。
④これは非歴史的(ahistorical)な議論である。現在の価値観で過去を振りかえって議論しているのだ。もしもそういう制度を「昔は仕方がなかった」と言って肯定しようものなら、女性の権利の「否定者」(denier)」となり、同盟の担い手として受け入れることなど問題外の国ということになる。
⑤解りやすい例でいえば、「建国のころアメリカは奴隷制を受け入れていたのだから、歴史的には奴隷制は当然の制度」という議論が、今のアメリカではまったく受け入れられないことは、日本人にも理解できるのではないか。「慰安婦制度は歴史的にやむをえなかった」という議論は、全くそれと同じに聞こえる。
⑥あなたは、河野談話を基礎に、謙虚な姿勢から発言していた。だから皆「レイプ・センターではない」というあなたの言わんとすることを我慢して聞いていた。この順序が逆だったら、何人もの人が席を立ったと思う。


 
 安倍が好きな言葉“グローバル”な観点で、慰安婦問題は上記のように認識されているのである。

 「従軍慰安婦は戦争地域ではどこの国にもあった」ということが、もし歴史的な事実であろうが、政治家や、腐っても言論機関を代表する者は、“だから日本に責任はない”、ということを少しでも匂わしたり、馬鹿な大阪の市長のように、声を大にして日本を正当化してはならない。

 籾井や橋下の主張は、小学生が集団で泥棒をして、「だって、xxちゃんもやってるもん」と弁解するのと、その心のあり方として同一である。
 

 重要なのは、過去の過ちを真摯に反省し、同じ罪を犯さないよう努めることなのだ。

 いわゆる「河野談話」について、外務省のサイトから引用する。
外務省サイトの該当ページ

慰安婦関係調査結果発表に関する
河野内閣官房長官談話


平成5年8月4日

 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。



 再度、重要部分を太字にて。

“当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する”


 私は、この談話を強く支持する。この声明からは、戦争を反省し、次の一歩に進みだす可能性が込められている。

 NHKの新会長の“個人的”発言にも、それを擁護する自民党にも、明日への展望を見出すことはできない。こんな男がNHkの会長になったら、果たして例年質の高い内容を放送しているNHKの8月の“反戦番組”はいったいどうなるのだろう。

 この男、他にも適性を疑う、というか、完全にNHKを自民党寄りにしてしまう危険性を感じる発言をしている。

 秘密保護法についての質問に、次のように答えている。(太字は管理人)朝日新聞サイトの該当記事

 ——秘密保護法について、NHKスペシャルやクローズアップ現代で取り上げられていない。法律の是非について幅広い意見があり、問題点の追及が必要との指摘もあるが、NHKの伝え方についてどう考えるか

 まあ通っちゃったんで、言ってもしょうがないのではと思いますが、僕なりに個人的な意見はないことはないのですが、これは差し控えさせていただければ。

 ——法律が通ったから、これ以上議論を蒸し返すことは必要ないということか

 そういう意味ではないですが、一応決まったわけでしょう。それについて、ああだこうだ言ってもしょうがない、と言うわけではない。必要とあれば取り上げますよ。もし本当に世間がいろいろ心配しているようなことが政府の目的であれば大変なことですけど、そういうこともないでしょうし


 言論を司る組織の長として、これだけ当事者意識を感じず、報道の自由に関する不感症とでも言うべき発言には、驚く。

 こんなことも言っている。

——国際放送を強化すると言うが、日本の立場を政府見解をそのまま伝えるのか

 民主主義について、はっきりしていることは多数決。みんなのイメージやプロセスもあります。民主主義に対するイメージで放送していけば、政府と逆になるということはありえないのではないかと。議会民主主義からいっても、そういうことはありえないと思います。

 国際放送は多少国内とは違います。尖閣諸島、竹島という領土問題については、明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。時には政府の言うこと、そういうこともあります。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない。国際放送については、そういうニュアンスもあると思います。外交も絡む問題ですし、我々がこう思うからと、勝手にあさってのことをいうわけにはいきません。領土問題については食い違いはない。



 「民主主義=多数決」という恐ろしい発想の人間を、NHKのトップにしようとしている。

 「民主主義」が何たるものか、「アメリカ大使館」でも、こう教えてくれる。(太字は管理人)
「アメリカ大使館」サイトの該当ページ

民主主義の原則

多数決の原理と少数派の権利

一見すると、多数決の原理と、個人および少数派の権利の擁護とは、矛盾するように思えるかもしれない。しかし実際には、この二つの原則は、われわれの言う民主主義政府の基盤そのものを支える一対の柱なのである。

多数決の原理は、政府を組織し、公共の課題に関する決断を下すための手段であり、抑圧への道ではない。ひとりよがりで作った集団が他を抑圧する権利がないのと同様に、民主主義国においてさえも、多数派が、少数派や個人の基本的な権利と自由を取り上げることがあってはならない。

◾民族的背景、宗教上の信念、地理的要因、所得水準といった要因で少数派である人でも、単に選挙や政治論争に敗れて少数派である人でも、基本的人権は保障され享受できる。いかなる政府も、また公選・非公選を問わずいかなる多数派も、それを取り上げてはならない。



 民主主義は、いかに少数派の意見を尊重するかに、その精神の生命線があるのであって、多数決は議決のための一手法にすぎない。しかし、このおっさんは、何も分かっていない。

 今後も自民党は数の暴力(多数決)で軍国化を進めようとするだろる。しかし、こんなおっさんがトップにいるメディアは、とても、そういう動きに毅然とした姿勢を示すようには思えない。

 こんな男にNHKを任せていいのか。
 
 適性なしと判断せざるを得ないNHK新会長人事への追求は、安倍右傾化政権を暴挙を今後も許すのか歯止めをかけるのか、結構重要な鍵を握っていると思う。
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by koubeinokogoto | 2014-01-28 06:30 | 戦争反対 | Comments(0)
安倍右傾化政権の親分が、24日の国会初日に、本性を露わにした演説を行なった。
共同通信「47NEWS」サイトの該当記事

首相、集団的自衛権に意欲 中国を名指し批判、施政方針演説

 第186通常国会が24日召集され、安倍晋三首相は衆院本会議で施政方針演説を行った。集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更に意欲を示し、自衛隊の海外展開を念頭に、世界の平和と安定に貢献するとうたう「積極的平和主義」の意義を強調した。東シナ海上空への防空識別圏設定や海洋進出など権益拡大を図る中国を名指しで批判。4月の消費税増税対策に全力を挙げるとともに、経済の好循環実現に決意を示した。

 2012年12月の第2次内閣発足後初めて国会演説で集団的自衛権に明確に言及。
2014/01/24 14:41 【共同通信】



 安倍が頻繁に使うようになった「積極的平和主義」なる言葉は、昨年十二月の「国家安全保障戦略」で掲げられたもので、その戦略とやらは、官邸サイトからダウンロードできる。
「官邸」サイトの該当ページ

 「Ⅱ 国家安全保障の基本理念」「2 我が国の国益と国家安全保障の目標」を抜粋。(青字赤字は管理人による)

Ⅱ 国家安全保障の基本理念
 
 (中 略)

2 我が国の国益と国家安全保障の目標

国家安全保障の基本理念を具体的政策として実現するに当たっては、我が国の国益と国家安全保障の目標を明確にし、絶えず変化する安全保障環境に当てはめ、あらゆる手段を尽くしていく必要がある。
我が国の国益とは、まず、我が国自身の主権・独立を維持し、領域を保全し、我が国国民の生命・身体・財産の安全を確保することであり、豊かな文化と伝統を継承しつつ、自由と民主主義を基調とする我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うすることである。
また、経済発展を通じて我が国と我が国国民の更なる繁栄を実現し、我が国の平和と安全をより強固なものとすることである。
そのためには、海洋国家として、特にアジア太平洋地域において、自由な交易と競争を通じて経済発展を実現する自由貿易体制を強化し、安定性及び透明性が高く、見通しがつきやすい国際環境を実現していくことが不可欠である。
さらに、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持・擁護することも、同様に我が国にとっての国益である。
これらの国益を守り、国際社会において我が国に見合った責任を果たすため、国際協調主義に基づく積極的平和主を我が国の国家安全保障の基本理念として、以下の国家安全保障の目標の達成を図る
第1の目標は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために、必要な抑止力を強化し、我が国に直接脅威が及ぶことを防止するとともに、万が一脅威が及ぶ場合には、これを排除し、かつ被害を最小化することである。
第2の目標は、日米同盟の強化、域内外のパートナーとの信頼・協力関係の強化、実際的な安全保障協力の推進により、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、我が国に対する直接的な脅威の発生を予防し、削減することである。
第3の目標は、不断の外交努力や更なる人的貢献により、普遍的価値やルールに基づく国際秩序の強化、紛争の解決に主導的な役割を果たし、グローバルな安全保障環境を改善し、平和で安定し、繁栄する国際社会を構築することである。



 これを読んで、不思議な思いを抱く人は、私と同様に、“真っ当”だと思う。

 軍事ジャーナリストの田岡俊次の指摘を待つまでもなく、「手段」と「目的(目標)」の転倒なのである。
ダイヤモンド・オンラインの該当記事

一読してまず驚いたのは「国家安全保障の目標の達成をはかる」として「第1の目標は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために、必要な抑止力を強化し、我が国に直接脅威が及ぶことを防止するとともに、万が一脅威が及ぶ場合には、これを排除し、かつ最小化することである」としている点だ。抑止力の強化は安全保障の「一手段」であるはずで、それを安全保障の「目標」とするのは本末転倒だ。

 安全保障と防衛を同意語のように思う人が日本には多いが、安全保障の要諦はできるだけ敵を少なくすることにある。敵になりそうな国々ともなるべく関係改善を図り、友好国とは一層親密にすることが国の安全に重要だ。



 また、この“戦略”は、自民党内でつくられた「国家安全保障基本法案」と密接にリンクしている。同法案は,安全保障体制の見直しを目指す全12 条の法案の仮称であり,2012 年7 月6日の自民党総務会でその概要が決定された。自民党国防部会でまとめられた法案であり,内閣が提出する「閣法」ではない。

 自民党のサイトから、PDFがダウンロードできる。
自民党「国家安全保障基本法案」(PDF)

この法案の問題についてはさまざまな人が指摘するところだが、憲法学者永山茂樹が、1月24日の神奈川新聞のインタビューで、次のように語っている。(太字は管理人)神奈川新聞サイトの該当記事

◇政権が目指す「本丸」

 安倍政権が目指す集団的自衛権の行使容認。実際の行使に踏み切る際の裏付けとなる「国家安全保障基本法案」をご存じだろうか。野党時代の自民党が2012年7月に発表したもので、安全保障分野の基本的な政策や方針を定めている。最大のポイントは集団的自衛権の行使を前提にしているところにある。「現在の安倍政権の安全保障政策が凝縮されている」と指摘する憲法学者の永山茂樹さんに、法案が内包する問題点を聞いた。

安保政策先取り 
 法案は、安全保障体制の見直しを掲げてまとめられた。「目的」に始まり、「国及び地方公共団体の責務」「国民の責務」「国際の平和と安定の確保」「武器の輸出入等」など12条から成る。

 永山さんが強調するのは、法案が安倍政権の推し進める安全保障政策見直しを先取りした内容になっている点だ。

 最たるものが第10条「国際連合憲章に定められた自衛権の行使」だ。

 自衛権行使のケースを「我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること」と定める。

 これは、集団的自衛権の発動を意味する。


 憲法で禁じられている集団的自衛権の行使容認に意欲を見せる安倍政権は、24日召集の通常国会の会期中に従来の憲法解釈を変更する方向で検討を続けている

曖昧さへの懸念
 第11条では、集団的自衛権を行使して軍事行動に参加する際の留意点についても規定している。

 「当該安全保障措置等の目的が我が国の防衛、外交、経済その他の諸政策と合致すること」などとしているが、永山さんは、その前段で「我が国が国際連合憲章上定められ、又は国際連合安全保障理事会で決議された等の、各種の安全保障措置等に参加する場合」としている一文に着眼する。

 永山さんは「『各種』や『等』の語句を用い、参加する軍事行動の範囲を曖昧にしている。つまり国連安保理で決議されたものに限定していない」と指摘。米国を主体に英国、オーストラリアなどが有志連合をつくり、国連安保理決議を抜きに開戦したイラク戦争を例に「こうした有志連合に加わる可能性を示すものだ」と警鐘を鳴らす。


 「積極的平和主義」は、決して「平和」など志向していない。平和を破壊する側に、大きく踏み出す口実を自ら作ろうとしているのが安倍右傾化政権なのである。

 本来は、国家の安全保障のために、できるだけ敵をつくらないための施策、手段が必要なのに、たとえば「抑止力」という一手段を、「目標」と置き換えて軍国主義を進めようとしている。

 あくまで自民党内でつくりあげ、その内容の吟味も十分になされていないドラフトを元に、集団的自衛権を肯定する「国家安全保障基本法」を成立させようとする次なる安倍政権の目論見は、決して許すことができない。

 しかし、世の中には安倍右傾化政権を支持するような呆れた連中もいるようで、特にNHKの新会長のトンデモ発言や、それを支持する橋下などは、まったくもって論外、場外退場を言い渡したいのだが、そういった馬鹿と好対照な著名人の発言を目にした。


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(写真は「芸能ニュース ラウンジ」より借用)「芸能ニュース ラウンジ」サイトの該当ページ

 井上やすし原作の林芙美子をモデルにした舞台「太鼓たたいて笛ふいて」で芙美子役を務める大竹しのぶの主張が、朝日新聞に掲載されている。(黒字は管理人による)
朝日新聞サイトの該当ページ

 特定秘密保護法を作った安倍政権は、集団的自衛権の行使容認、憲法改正へ向けて動き出した。東京・新宿で上演されている井上ひさし作「太鼓たたいて笛ふいて」。従軍記者から戦後、反戦小説家となった林芙美子を演じる俳優の大竹しのぶさん(56)には、あの時代が今の世の中と重なって見えるという。

 2002年に初めて演じてから4度目の公演となる。「前よりも深く、真実味を感じている。いまの日本の状況をみて井上さんが書いたのかな、と思うほどです」。5日目の公演を終えた20日、大竹さんはかみしめるように話した。

 劇の中で「物語を決めるのは この国のお偉方」と歌い、芙美子は従軍記者になる。しかし、日本軍による侵略を目の当たりにし、ウソの物語に踊らされたことに気づく。「無知な人間の妄想ほどおそろしいものはないわ」
 昨年12月、たくさんの反対や懸念の声を押し切って秘密法が成立した。大竹さんも、反対する映画人の会に名を連ねた。

 「なぜこの法律が必要なのか、詳しい説明もないまま乱暴なやり方で通ってしまった。そのことに恐ろしさを感じる。上のほうの、物語をつくる人たちによって決められ、違う方向に動かされていくような。演じながら、太平洋戦争を始める前ももしかしたらこんなんだったのかなって思いました」

 「『お上』が作った物語に流されるのではなく、自分たちで考えることが大事。震災や原発事故以降、多くの人たちが今まで考えなかったことをきちんと考えなくちゃいけないと思ったはずです。みんなで節電しましょう、とか。なのに、いつのまにか考えなくなってしまった」

 敗色が濃くなってきたある日、芙美子の母は「夫、戦死、靖国の神になりました」と書かれた、知人の死を知らせるはがきを受け取る。

 昨年末、安倍晋三首相が靖国神社に参拝。中韓両政府は反発し、米政府も「失望した」と談話を出した。

 「特攻隊の人たちは、自分が死ぬことで(戦争を)やめてくれ、という思いだったと思う。安倍総理は御霊(みたま)をねぎらうのがなぜいけないのですかということをおっしゃっていた。しかし、特攻は美しいことではなく、残酷で、二度とあってはいけないこと。それをもっともっと知らせることのほうが大切なのではないでしょうか」

 10年春に亡くなった井上さんは生涯、反戦を訴え、憲法改正に反対した。

 「国のことを考えるのは、私たちが選んだ国会議員。みんなの意見の代表のはずなのに、私たちが考えていることとの間に差がありすぎる。井上さんがずっと叫んでいたように、憲法が変わることは絶対に阻止しなくちゃいけないと思う。知らないうちに『あれ、ちょっと言葉が変わってない?』みたいなことにならないように」

 日本はきれいに負けるしかないと主張する芙美子。「非国民」と言われ、日本が嫌いなのかと問われ、こう歌う。「私は日本を愛してる。この国、滅びるにはあまりに素晴らしすぎるから」

 「3・11が起きるずっと前から、原発は本当に怖くないのかと(歌手の)忌野清志郎さんらがずっと訴えていた。でも、私たちはそれに耳を貸そうともしなかった部分もあった。そして、福島が住民が帰れない状況になってしまった」。今、ひとごとではなくて、一人ひとりが自分のこととして日本を考えていかないと、と何度も繰り返した。

 物語の終盤、芙美子は戦に打ちのめされた庶民の悲しみを伝えようと決意する。「歴史の本は私たちのことをすぐにも忘れてしまう。私たちがどんな思いで生きてきたか、どこで間違って、どこでその間違いから出直したか、今のうちに書いておかなくてはね。私たちが自分で地獄をつくったということを」

 大竹さんが一番伝えたいせりふでもある。(今村優莉)



 林芙美子は、新聞の特派員として従軍記者となり、男性にも負けない行動力を発揮した。戦後、文士の多くから戦争協力者として非難されることになる。その戦後の林芙美子を中心に描くのが、この舞台であるようだ。
 大竹は、『放浪記』がA面なら、『太鼓たたいて笛ふいて』は、芙美子のB面と表現する。NHK NEWS WEBの該当記事

舞台では、「放浪記」で成功した芙美子がやがて時代の波に流され、従軍記者になって戦意高揚の記事を書く、あまり知られていない半生が描かれます。
芙美子は戦後、「私の笛や太鼓で踊らされていた読者に申し訳がない」と後悔し、新たな道を歩み出します。
「『森光子さんの放浪記がA面だとすればこの舞台はB面だ』と親しい人にいわれました」(大竹さん)
決して明るくはない物語なのに笑えて泣ける井上さんならではの作品で、「どんなことがあっても楽しく考える」という大竹さんの魅力も舞台に明るさをもたらしています。
大竹さんは平成14年の初演から4度目の主演ですが、演じるたびにせりふへの感じ方が違っているといいます。
「ことばを伝える仕事をしているからこそ、私たちはことばに敏感になっていかなくてはいけないと思います。井上さんのことばで『難しいことをやさしく、やさしいことを深く』とありますが本当にそのとおりですね。やさしいことばで伝えているので、みんなの心に静かにしみ渡っていくのが分かります」(大竹さん)



 同じようなA面とB面の人生を演じた、演じざるを得なかった人々がいた。

 火野葦平を中心に、従軍作家たちによる戦争美化や軍隊の広報活動の実態と、作家であり兵士であった彼らが見て経験した戦争の残虐性を描く「NHKスペシャル 従軍作家たちの戦争」について、昨年の8月14日に書いた。
2013年8月14日のブログ

 火野葦平も林芙美子も、見事に利用されたのである。A面の彼らの「太鼓」「笛」に踊らされた国民がいたことは、紛れもない事実だが、その反省に立って彼らがB面の行動したことも、これまた事実である。

 8月14日のブログで、私は次のように書いた。この思いは変わっていない。

 大東亜文学者会議に参加した(動員された)数多くの作家について、後世に彼ら個人を非難することは簡単だ。戦争を肯定する作品で財をなした火野や、石川の南京に関する自著の内容の否定などについて、その姿勢や態度を糾弾することも決して間違いではないかもしれない。しかし、戦争を知らない子供たちは、当時戦争に巻き込まれていった個人を戦争への協力者として看做すことには、もっと慎重になるべきだと思う。

 あの“わらわし隊”と“従軍作家”たちとの間に共通する重要なことは、戦争そのものが憎まれるべきであって、いったん始まった国家規模での狂気の沙汰の中、その渦に巻き込まれた漫才師も作家も、どちらも戦争の被害者ではあっても加害者ではない、ということだ。



 林芙美子をモデルとしてフィクションを交えた評伝に近い小説『ナニカアル』を書いた桐野夏生は、戦争協力者として非難された芙美子について、次のように述べている。朝日新聞サイトの該当記事

「戦争協力というより、新聞の販促合戦に利用された感がある。芙美子は、面白ければどこでも行く作家根性のある人だった」

 厳しい評価が残ったもう一つの理由は、芙美子が大衆の出身だったからだ、と桐野さんは考えた。「当時の文壇は帝大卒のエリートばかり。行商人の娘で、故郷を持たない芙美子は、大衆の読者獲得に利用されつつ、その率直さを上品な文壇に嫌われたのでは」


 大竹しのぶは、林芙美子の戦後の人生を演じることで、彼女の切ない反省の想いを共有できたからこそ、安倍右傾化政権による軍国化に、明確な反対の意思を表明したのだろう。それは、間違いを繰り返してはいけない、という“真っ当な”人間の心情なのだと思う。

 「物語を決めるのは この国のお偉方」と信じていた林芙美子は、戦後、大いにその考えを反省することになる。
 果たして今日、国民は、林ほどの心理的葛藤を経ることなく、この国の物語を「この国のお偉方には、任せてはおけない」ことを知っているはずだ。

 林芙美子を演じることで、A面での自分の活動を振り返る彼女の無念さを自分のものとして、堂々と戦争反対を訴える大竹しのぶという女優が、ますます好きになった。拙ブログでも、こういった発言をできるだけ取り上げたいと思う。
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by koubeinokogoto | 2014-01-27 12:32 | 戦争反対 | Comments(2)
日本の大新聞には載りそうにない貴重な記事であり真っ当なオピニオンをロイターのサイトで発見した。

 田中秀征へのインタビュー記事である。全文引用したい。(太字化は当ブログ管理人による)「ロイター」サイトの該当記事

インタビュー:細川氏勝利なら安倍おろし、政策転換迫る=田中秀征氏
2014年 01月 21日 21:53 JST

[東京 21日 ロイター] -細川護煕政権の首相特別補佐を務めた田中秀征氏(元衆院議員)は21日、ロイターのインタビューに応じ、23日告示・2月9日投開票の東京都知事選挙は、細川元首相の出馬で、国政の課題を問う選挙になるとの認識を示した。

細川氏は原発の是非をめぐって、安倍晋三政権に政策転換を迫ることになるだろうとし、同氏が主張する「脱原発」は再稼働しないことだと語った。

さらに自民党が沖縄県名護市長選に続き都知事選で負けた場合、「政権に相当なダメージになる」とし、内閣支持率が低下するなかで「党内で安倍晋三首相降ろしが始まる」との見通しを示した。

田中氏は小泉純一郎政権で「私的懇談会」の座長として首相と学識経験者などとをつなぐ役割を果たし、小泉元首相とも親しい間柄。「脱原発」で連携した背景についても聞いた。

インタビューの概要は以下の通り。

──今回の都知事選の意味。

国政の課題を問う選挙になる。かつてないくらいの度合いでそうなる。1年前の衆院選が国政の重要課題を問う選挙にならなかった。(民主党の政権担当能力を問う)民主党処分の性格だったことと、当時すでに明るい兆しが出つつあった景気回復を本格的な流れにするにはどうするかが(争点として)あって、自民党まで原発依存をなくすと約束した選挙となり、原発政策については争点にならなかった

「(安倍政権は)そういう選挙で議席を確保しながら、その後、総選挙で議論されていない重要課題をかなり強引に進めつつある。不満が蓄積する中で、突然、都知事選という機会が与えられた。国政選挙になるのは当然だ」

──細川氏は政界を退いて20年。突き動かした動機は。

3年前の東日本大震災が細川氏を変えた。自分も何かしなければならないという気持ちになり、実際、三陸海岸にがれきを使って土手を作るプロジェクトに参画。脱原発を主張するようになった。突き動かした動機は2つある」

1つは、自分が原発を容認してきたという責任。これは小泉氏と一致している。総理経験者として、原発の安全神話を信じてこういう結果になったことへの責任を感じている。事故が起き、格の違う責任を持っているものとして黙っていられなかった」

もう1つが、細川内閣の時、所信表明で『質実国家』という言葉を使った。大量生産・大量消費・大量廃棄という経済社会から転換しなければならないという問題意識をもって掲げた。今回こそ、その機会だということ

──小泉氏は自民都連推薦の舛添要一氏ではなく細川氏と連携。自民党との決別にみえる。総理経験者としてここまで踏み込んだ動機は。

「(細川氏と)全く同じ。原発容認していた総理経験者としての責任ということ。政党の話ではない。いわんや、息子がどうなるとかとは次元の違う話」

小泉氏は質実国家ではなく『循環型社会』という言葉を使っている。市場原理主義やグローバリズムを野放しにする発想とは違う。小泉氏は非常に大きな転換をした

──国政を問うとは。

「安倍晋三首相に(政策)転換を迫っている。その99%が原発の問題。もっと具体的には再稼働しないこと」

──脱原発とは。原発ゼロをどう進めていくのか。

「このまま再稼働しなければゼロだ。再稼働しないということ。廃炉をどうするかなどはこれからの問題。とにかく止めるということ。(核の)ごみを出すのをやめる。今まで出したごみ(の問題)はある

──都知事で国政に働きかけることができるのか。その手法は。

「一番は世論に与える心理的効果だ。他の知事選挙や市町村選挙などにも(影響が)出てくる。国政選挙が近づけば議員や候補は考える。政治的影響がある」

──東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の福島第1原発事故対応の責任はどう考えているか。

「(東電の)大株主としての行動はある。(東京都が)影響を与えることができる」

──責任の取り方が不十分ということか。

「細川氏はもう一度検討・検証するつもりかもしれない。東電に対して株主としての影響力を行使していく。それがどうであるかは、これからの検討課題だ」

──細川氏勝利の場合、安倍政権へのダメージは。

「相当、自民党内から細川支持の流れが出てくる可能性がある。再稼働の問題でも」

──自民党内で安倍批判が強まるか。

名護市長選に続き、都知事選で負ければ、政権には相当なダメージになる。それで消費税増税となれば4月からの(景気の)落ち込みは確実。好ましい政権だと(思えば)国民は耐えるが、我慢できなくなると支持率は落ちる。集団的自衛権や特定秘密保護法に手を出すべきでない。余計なことだ

──次に何が起きるか。

「(自民党の)中で安倍首相おろしが始まる」

──アベノミクスの評価は。

「(安倍首相は)幸運だった。運も実力のうち。1年前の民主党政権末期に景気には明るい兆しが出てきていた。止まっているエスカレーターが安倍さんが乗ったら動いたではなくて、上に向かっていたエスカレーターに安倍さんが乗って、(自身の)足でさらに昇り始めた。米国経済は本格的な回復と言って良い。ただ、日本経済が消費増税を飲み込んでも大丈夫なところまで来ているかというとまだ疑問だ。あれだけの公共投資をやって、大震災特需もあり、異次元金融緩和もあり、それでこれですかという感じだ

──原発再稼働ゼロで円安による輸入物価上昇への対応は。

「しばらく耐えるということ。主婦層へのアンケート調査をみると、生活における電気消費量の節約に主婦はその気がある。いまは省エネに協力する用意があるのに活用していない。無駄な消費をしないということ。細川氏はそういうアプローチをすると思う。もう1つが、自然エネルギーの普及。病院などの公的部門やアーケードなどに普及させるなど、様々な手を打っていくということだ

──為替政策の変更を求めるか。

「関係ない。都知事だ」

(インタビュアー:吉川裕子)



 読売や産経は、細川バッシングに走るだろう。読売は原子力ムラの広報誌であり、産経は自民党の社外報である。

 朝日や毎日も含め、細川支持が明確な田中秀征にインタビューする日本の大新聞はありそうにないし、氏のテレビへの出演も昨今は減っているように思う。

 しかし、海外メディアは、日本の現在の政治、経済の状況を踏まえ、この都知事選への細川立候補の背景や影響を冷静に読み解こうとして、このような記事を掲載している。

 確信犯的な世論誘導記事などより、どれだけ読者によって有益な情報かは明白だ。

 3.11、フクシマから早や三年が過ぎようとしている。

 日本人に“学習効果”があるのか、それとも“喉元すぎれば熱さ忘れる”民族的体質の方が勝るのか。

 首都のリーダー選びは重要な日本の大きな分岐点となるだろう。
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by koubeinokogoto | 2014-01-24 19:30 | 原発はいらない | Comments(2)
ネット社会の良いところは、特定の新聞を購読しなくても、ある程度の記事をWebから入手できることだが、読売が都知事選に向けた原子力ムラ擁護のキャンペーンを張っている。
読売新聞サイトの該当記事

細川氏公約「原発即ゼロ」なら影響大…懸念の声

 東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)に出馬表明した細川護熙元首相(76)が、公約として原発即時ゼロを掲げるかどうかが注目されている。

原発即時ゼロの影響は計り知れず、関係者の間で懸念の声が出ている。

 細川氏は昨年末、径こみち書房から出版されたジャーナリストの池上彰氏の著書でのインタビューで、「日本も、10年か、20年か、30年かかるかわからないにせよ、『即原発ゼロ』にするんだと明確に言い切ったほうがいい」と語った。細川氏は都知事選で「脱原発」を掲げる意向だが、原発について「『即ゼロ』がいいと思う」と発言している小泉元首相に協力を要請している。

 原発を即時ゼロにした場合、電力不足に加え、原発再稼働を前提にした料金体系も見直しが必要になる。電気料金の値上げは避けられず、採算の厳しい中小企業の経営にも打撃となって産業空洞化が進みかねない。

 2020年東京五輪・パラリンピックへの影響を指摘する声もある。大会組織委員会の会長に就任する森元首相は、18日のテレビ東京の番組で、「6年先の五輪のためにはもっと電気が必要だ。今から(原発)ゼロなら、五輪を返上するしかなくなる世界に対して迷惑をかける」と批判した。

 最大の電力消費地である東京都の知事が原発即時ゼロを主張すれば、原発がある立地自治体が反発するのは確実で、原発再稼働への影響も必至だ。

(2014年1月19日09時14分 読売新聞)



 見出しに、“懸念の声”とあるが、この記事で具体的な固有名詞が出ているのは、あの森元首相のみである。

 森の言い分が、まったく馬鹿げていることは、一般常識に照らして明らかだろう。

 「原発ゼロなら、五輪返上」は、電力が足らないから原発は必要、という原子力ムラの主張を代弁するものであり、それは、「原発に頼らないエネルギー計画を検討できないか」という生産的な問いかけを抹殺するものでしかない。

「世界に対して迷惑」なのは、未だに放射能を国境を越えて撒き散らし地球環境を汚染していることである。もし、日本が原発を辞退したところで、世界のどこも困らない。他の安全な国・地域で開催すればいいことなのだ。たかが、世界運動会である。

 「原発のある立地自治体が反発」するというなら、少なくとも具体的な自治体の首長の声を掲載する位のことをして欲しい。しかし、原発の是非は、立地する地域だけの問題を超える国家的・地球規模の問題である。少なくとも、事故によって大きな被害を被る可能性の高い近隣の自治体の声も重要だ。南相馬市の市長選のことを読売はどう思っているのか。

 正力松太郎と言う“原発大臣”の時代はもちろんだが、ナベツネの今になっても、読売は原子力ムラの宣伝紙のような存在に堕したままの、非常に悪意のある、犯罪にも近いプロパガンダを続けているし、今後もっとエスカレートするだろう。

 先日一部を紹介した本田靖春の遺作『我、拗ね者として生涯を閉ず』の中で、著者は、「社会部が社会部であった時代」の特筆すべきスクープとして、1954年の3月、ビキニ水爆実験で漁船員が放射性物質“死の灰”を浴びた第五福竜丸事件の速報を挙げている。そういう時代もあったのだ。

 もし、本田靖春の言葉を真似て表現するなら、過去のある時期、たとえば本田靖春たちが「社会部」で活躍していた時代について、「新聞が新聞であった時代」として振り返るしかない三流紙が、読売だと言えるだろう。

 こんなメディアの暴力になど負けず、細川都知事を誕生を強く祈るばかりだ。
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by koubeinokogoto | 2014-01-22 19:51 | 原発はいらない | Comments(2)
都知事選の争点として脱原発の色合いを出来るだけ薄めようとしている安倍政権と自民党だが、そんな姑息なことをするより、目の前の原発による危機をいかに解決するかを考えるべきだろう。

 MOX燃料を使用していた三号機の格納容器から、とんでもない高濃度の放射能が、今も漏れている。大新聞は、都知事選が近づくにつれて、フクシマの最新の事故状況をほとんど書かなくなったが、まずNHKのサイトから引用。
「NHK NEWS WEB」の該当記事

3号機 冷却水が格納容器から漏れたか
1月20日 5時12分

東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋1階の床を流れている水を調べたところ、放射性物質の濃度が高く、メルトダウンした燃料を冷やした水が格納容器から漏れている可能性が高いことが分かり、東京電力では、詳しい漏えい箇所などを調べることにしています。

福島第一原発3号機では18日、原子炉建屋1階の床に幅30センチほどの水の流れがあり、継続的に排水口に流れ込んでいる様子をがれきの撤去作業をしていたロボットのカメラが捉えました。
東京電力が調べた結果、1リットル当たりの放射性物質の濃度はストロンチウムなどのベータ線と呼ばれる放射線を出す放射性物質が2400万ベクレル、セシウム137が170万ベクレルと建屋の地下にたまっている汚染水の値に近い、高い濃度であることが分かりました。
水の温度はおよそ20度で、原子炉の底の温度とほぼ同じだということです。
東京電力は、「地下にたまった汚染水よりやや濃度が低いが、何らかのルートで格納容器から漏れ出した水と考えられる」と話しています。
3号機ではメルトダウンした燃料を冷やすための水が原子炉に注がれ、格納容器の破損箇所から漏れて建屋の地下にたまっていますが、燃料の状態や格納容器の破損状況は分かっておらず、東京電力は詳しい調査を行うことにしています。



 このニュースは北海道新聞も掲載している。
北海道新聞サイトの該当記事

福島第1原発、3号機建屋で漏水確認 冷却水の一部か
(01/18 20:44、01/18 22:09 更新)

 東京電力は18日、福島第1原発3号機の原子炉建屋1階の床面を水が約30センチの幅で流れ、付近の排水口に落ち続けているのが見つかったと発表した。がれき撤去作業をするロボットに備え付けられたカメラの映像で確認した。

 第1原発1~3号機では、溶け落ちた燃料を冷やすため原子炉内に冷却水の注入を続けているが、格納容器の損傷部分などから漏れているとみられている。東電は、今回見つかった水が、漏れた冷却水の一部の可能性があるとみて調べている。

 東電によると、水が見つかったのは、建屋1階の東側にある「主蒸気隔離弁室」と呼ばれる部屋の扉付近。


 “格納容器”に、極めて高い濃度の放射能を“格納”できていないのである。そして、燃料の状態も破損状況も分かっていないのである。

 格納容器のイメージを描くために、3.11からほぼ八か月後の平成23年11月30日に東京電力が報道機関に配布した資料「福島第一原子力発電所1~3号機の炉心状態について」から、一号機ではあるが格納容器の断面イメージ図を引用。
東京電力アーカイブの該当ページ

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 メルトダウンによって圧力容器から核燃料が格納容器に落ち、現在もドロドロ状態で放射能を発し続けていると想定できる。

 この格納容器に破損があるなら、その箇所を早急に特定して汚染水漏れを防がないと、大量の放射能汚染水を垂れ流すことになる。

 冷やさないと核反応が収まらない。しかし、その冷やすための放射能にまみれた冷却水が、容器から今のこの時間も継続的に漏れている。これがフクシマの実態である。


 もし、東京オリンピックを、“福島オリンピック”として立候補したら、間違いなく開催は認められなかっただろう。しかし、六年後にオリンピックを開催する東京の各競技場と福島との距離は、そう離れてはいない。たった250kmほどである。チェルノブイリから250~300kmの地域でも、空を飛んだ放射能が多くの被害を巻き起こした。
 もし、このまま格納容器の破損が修理されていないなら、地下水は放射能にまみれて、その水は海にも継続して流れるだろうし、地下から近隣の地域にも届く可能性がある。東京近郊にだって、その影響はあるかもしれない。

 「東京」だから安全で、「福島」だから危険なのか・・・・・・。放射能には県境も国境も関係ない。

 先日、「エネルギー基本計画」が、原発再稼動を目指すとんでもない内容であることを書いた。
2014年1月9日のブログ

 三号機はMOX燃料を使っていた。MOX燃料は、もうじき閣議決定されようとしているこの「エネルギー基本計画」でも謳っている「核のリサイクル」の大きな構成要因でもある。しかし、「リサイクル」という言葉に騙されてはいけない。危険な放射性物質をどんどん増やすのが、この計画なのである。

 昨年の6月にも書いたが、再度、高木仁三郎さんの書から引用。
2013年6月27日のブログ

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高木仁三郎著『原子力神話からの解放』

 初版が光文社カッパ・ブックスから亡くなる直前2000年8月に発行され、講談社+α文庫で再刊された『原子力神話からの解放』の「第9章 『核燃料はリサイクルできる』という神話」から。

 MOX燃料が危険なだけでなく、経済性の面でもメリットがないことが分かる。

リサイクルで放射能が増える!

 MOX燃料は私の専門分野ですから、大きな国際研究もやりましたし、いろいろなレポートも書いています。ここではくわしく述べませんが、プルサーマル計画、つまりMOC燃料をやると、どのくらいエネルギー的に得をするのか研究したことがあります。たとえ1パーセント以下とはいえ、本来なら捨ててしまうプルトニウムをまた使うわけですから、それによる燃料節約の効果も一定程度はあるだろうと、計算上は考えられるわけです。そこで、私たちの国際研究であるIMAプロジェクトのなかで、このメリットについて研究してみました。
 IMA研究の正式な名前は「MOX燃料の軽水炉利用の社会的影響に関する包括的評価」というものです。私たちがこの研究をやって明らかにした一つの重要な点は、プルトニウムを取り出して燃やすことは、安全性の問題は別にしても、燃料資源上のメリットはまったくないということです。とくに、リサイクルによって環境の負荷を少なくするといったメリットは、まったくありません。
 ウランが原発の燃料となるプロセスは、非常に長い道のりだという話はすでにしましたけれども、使用済み燃料を再処理して取り出すことは、それをさらに複雑にした流れとなります。プルトニウムをあちこちに動かし、いろいろな工程を経てプルサーマルという名の再利用を行なうと、その過程でいろいろな廃棄物が出てくるうえに、そうやって燃やしたプルトニウム自体が結局、最終的には使用済みのMOX燃料というゴミとなって残ってしまいます。ゴミを減らすことになるどころか、この計画はかえってゴミを増やすことになるのです


 “リサイクル”などと言う表現が、いかに詐欺的であることがわかる。

 通常のウラン燃料より放射能のゴミが増えるし、稼動後の危険性も増すのに、経済的な効果もないのがMOX燃料である。
 しかし、安倍政権は国民の声を無視し、「エネルギー基本計画」をなし崩し的に閣議決定して、「核のリサイクル」という悪魔の所業をしようとしている。これまでも膨大な税金を投入してきた六ヶ所村にさらに血税を使おうとしているし、“もんじゅ”さえ復活させかねない。

 都知事選が近付き、原発の記事を意図的に避けているような大新聞やテレビなどは、「書かない」「載せない」「話さない」ことで、安倍自民党政権を応援しているのと同じである。

 NHKのスタンスはよく分からないところがあるが、こと“フクシマの今”については、結構よくフォローしているように思う。格納容器の破損のことについては、これまでもNHKスペシャルなどで取り上げてきているので、なんとか一貫性を持たせているように思う。北海道新聞も結構、頑張っていると思う。しかし、三大紙と言われている新聞は、何ともだらしがない。朝日はいったいどうしたのか・・・・・・。


 細川陣営の公約づくりが少し長引いているようだが、明後日22日に記者会見が予定されているようだ。自民党陣営や、積極的あるいは忖度によって自民党を応援するメディアは、間違いなく佐川からの献金問題やらを持ち出して細川潰しにかかるだろう。原発の最新の状況などは、きっと紙面を飾ることはないだろう。

 しかし、フクシマが、まったく収束のメドもたたず、今も放射能を拡散していることは、東京都民のみならず、国民の生活に関わる重要な課題である。また、東京オリンピックという次の知事にとって大きな仕事を考えるにしても、フクシマ問題は避けて通れない。

 反細川陣営が、争点から原発色を薄めようとしても、フクシマから漏れる放射能は、薄まるどころか日々どんどん濃くなっているのだ。

 国は、本気になってフクシマの収束に取り組まなければならない。靖国参拝も憲法改正も、NSCも、そして我がまま坊屋のアジア隣国への心得違いの発言も、何ら国民の生活を豊かにする方向には向かない。上がった消費税が、東電のうわべだけの黒字づくりや原子力ムラに流れるのは、許せない。

 都知事選に関して、間違いなく争点の一つである原発を避けて通ろうとするメディアがどれかを、しっかり見届けたいと思う。
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by koubeinokogoto | 2014-01-20 19:31 | 原発はいらない | Comments(2)
安倍がエネルギー基本計画の閣議決定を延ばし、「慎重な議論を」などと言っているが、そんなミエミエのポーズに騙されてはいけない。

 同計画で原発を「重要なベース電源」と明記していることを受けて、東電の再建計画(総合特別事業計画)は、税金のさらなる投入や、原発再稼動を前提にした、とんでもない内容になっている。

 この問題、朝日や毎日はあくまで計画の内容を掲載しているにすぎず、読売は原発再稼動を促す社説を出している。

 ここ最近は、東京新聞のみ、奮闘している印象がある。その東京新聞の記事の方から先に引用。(太字は管理人による) 東京新聞サイトの該当記事

東電再建 税金なし崩し 除染負担軽減で刈羽再稼働 
2014年1月16日 07時04分

 茂木敏充(もてぎとしみつ)経済産業相は十五日、東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。福島第一原発事故に伴う除染関連費を国費で賄うなど東電の負担を軽くした上で、柏崎刈羽原発(新潟県)を七月から再稼働、利益を出し被災者への賠償資金を工面するとの内容。東電の経営陣や株主らの責任は問わず、なし崩し的に税金を投入する計画への批判が高まりそうだ。

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 計画では、政府が原子力損害賠償支援機構を通じて貸し付けるお金の上限を現在の五兆円から九兆円へ拡大東電は返済に二〇一二年に値上げした電気料金などを充てる。さらに除染の際に出る残土を一時的に保管する中間貯蔵施設の整備を急ぐため、国が建設・運営費に一兆一千億円を負担。除染費用の一部の二兆五千億円を、政府が保有する東電株の売却で賄うことも明記した。これらにより東電の負担は軽減される。

 柏崎刈羽原発の1、5、6、7号機を稼働し高コストの火力発電を減らす方針も示した。しかし東京都知事選で「脱原発」の争点化が予想される上、新潟県の泉田裕彦(いずみだひろひこ)知事も再稼働には慎重で、経営の再建が計画通りに進むかは微妙。一方で、計画には柏崎刈羽原発の稼働が遅れた場合、今年秋にも家庭と法人向けを合わせ平均で最大10%の電気料金値上げが必要になるとも明記した。

 このほか予想を上回るコスト削減を達成した場合は、利益の一部を社員の年収アップにつなげる仕組みを導入することも盛り込んだ。福島第一原発事故前に六百五十三万円だった社員の平均年収は管理職で30%、一般職員で20%カットしているが、一六年度には全社員の年収を5%カットの水準に戻す青写真を描く。

 政府は原子力損害賠償支援機構を通じて一二年に一兆円の公的資金を投入し東電株を取得。今回の計画では株価が上がった場合、政府は保有する東電株を順次売却。議決権比率を現在の50・1%から段階的に下げ、経営の自由度を高める方針も盛り込んだ。(東京新聞)



 “柏崎刈羽原発の稼働が遅れた場合、今年秋にも家庭と法人向けを合わせ平均で最大10%の電気料金値上げが必要になるとも明記” するなど、これは国民への脅し以外のなにものでもない。

 次に同じ東京新聞の社説。 東京新聞の1月16日の社説

東電再建計画 原発頼みは筋が通らぬ
2014年1月16日

 政府が認定した東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)は国の支援を強化し、東電の事故負担の軽減を図って再建を確かにする狙いがにじむ。フクシマの反省や教訓はどこへいったのか

 いわば国と東電が二人三脚で作った再建計画である。エネルギー基本計画で原発を「重要なベース電源」と位置付ける政府と当事者である東電の合作では、なし崩し的に原発再稼働が盛り込まれるのは予想できた。だが、過酷事故を忘れてしまったかのような、あまりに無神経な計画の内容ではないか。

 再建計画では、被災者への損害賠償は従来通りに東電が支払うが、電力会社が除染など事故処理の費用をすべて負担する枠組みを見直し、国と東電の役割分担を明確化した。除染のうち、実施・計画済みの費用は国が保有する東電株の売却益を充て、東電の負担を軽くする。

 確かに、一企業では背負いきれない巨額費用を東電に押しつけるだけでは事故収束が進まないおそれがある。国も原発を国策として推進してきた以上、国費の投入はやむを得ないとの声はある。

 しかし、国費投入とは、原発と全く関わり合いがない沖縄県民も含め、国民負担が何兆円も生じることである。東電への融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主の負担を求めるのが本来の筋である。原発を推進した経済産業省などの関係者が誰一人として責任を問われていないのもおかしい。

 再建計画では、東電の収益体質の強化も柱の一つとしている。燃料調達の改善や海外投資などの改革も描くものの、切り札は相変わらず原発である。今年七月以降、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を順次目指すとした。

 福島原発の汚染水問題すら収束せず、今なお十五万以上の人に避難を強いていながら、収益優先で原発に固執する姿勢は到底理解を得られまい。

 汚染水の貯蔵タンクで溶接費を節約したばかりに大量流出を招いたように、東電がこのまま収益重視の経営を続ければ、安全対策はおろそかになろう。再稼働の議論より先に、フクシマの検証と総括もやはり必要だ。

 二〇一六年度からの電力小売り自由化をにらめば、ガス販売や原発に代わる新エネルギー事業へシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念、国の支援もそこに力点を置く。それが福島事故を経験した東電の生き残る道ではないか。


 最期の部分を、赤字で再度強調したい。

“ガス販売や原発に代わる新エネルギー事業へシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念、国の支援もそこに力点を置く。それが福島事故を経験した東電の生き残る道” という主張はまったくその通りである。

  東電はフクシマの事故対応に真剣に取組むことと、他の原発の廃炉のために専念すべきである。もし、それができる体制にないのであれば、すみやかに会社を整理し、営利企業ではない事故処理と廃炉計画を進める国の直轄組織に編成し直すべきだろう。

 原発以外の電力業務を担う組織体と切り離さない限り、安全の論理ではなく経営の論理にしばられ、原発再稼動、さもなくば値上げ、などという悪魔のサイクルにつながるのである。

 東電を現在の延長戦上で“再建”しようとすることに、無理がある。

 税金を湯水のように投入して名目上の利益が出るようにしたところで何ら問題は解決しない。

 原料費の低減にしても、他の国のように国がまとめて価格交渉を行うなどのリーダーシップが必要である。

 以前に下記の中日新聞の記事を紹介したが、燃料費の高値買いは、国の怠慢がもたらしてきたようなものである。(中日のサイトの該当記事は、すでにリンク切れになっている)
2012年3月20日のブログ

電気値上げ 燃料高値買いは背信だ

 火力発電の主力燃料、液化天然ガス(LNG)を世界一の高値で買えば電気料金も自(おの)ずと高くなる。唯々諾々と産ガス国の言い値に従い、消費者にツケを回す電力業界の構造は限りなく背信に映る。

 東京電力は企業向け料金の値上げ発表に続き、家庭向けも国に値上げ申請する。原発が失った発電能力を火力で補っているため、燃料費が年八千億円以上増え赤字経営に陥るからだという。

 日本が保有する原発は計五十四基。福島以外の原発も周辺自治体の反対などで定期検査終了後も再稼働できず、今や動いているのはわずか二基だ。

 その結果、日本の総発電量に占める原発の割合は著しく低下し、火力発電は49%から72%へと膨らんだ。東電以外も遅かれ早かれ料金を引き上げるのだろうが、値上げ理由をうのみにはできない。

 火力発電にはLNGや石炭、石油が使われ、LNGが四分の三を占めるが、そのLNG調達には不可解な点があまりに多い。輸入LNGの六割は電力向けで、昨年十二月の購入価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり約十六ドル。ところが、欧州は約十ドルで輸入し、米国は自国の地中に堆積した頁岩(けつがん)層からのシェールガス生産が始まり、三ドル前後と極めて安い。

 ドイツはパイプラインで輸入するロシア産と、LNGで輸入するカタール産などを競わせて値引きを迫れるが、日本には産ガス国との間を結ぶパイプラインがない。

 電力業界は高値の理由をこう説明しているが、同じ条件下の韓国は日本企業が投資したロシアのサハリン2から日本の半値以下で輸入し、三年後にはガス輸出国に転じる米国とも安値で契約済みだ。なぜ電力業界は、のほほんと大手を振っていられるのか。主たる理由は原燃料費調整制度の存在だ。

 産ガス国が値上げしても、為替変動で輸入価格が上昇しても、上がった分を電気料金に自動的に上乗せできる制度なので、過保護を見抜かれた電力業界は産ガス国の言い値で押し切られてしまう。

 産業界からの批判を避けるため、大口企業と割引契約を結んでいるともいわれている。中小・零細企業や家庭など、力の弱い需要家ばかりにツケを回し、声の大きい企業は割引で黙らせる。

 こんなあしき構造を許しては原燃料費調整制度を続ける政府も背信のそしりを免れない。円高を活用した海外ガス田の権益獲得など燃料調達も視野に入れた料金制度のゼロからの見直しを求める。


 電力会社を保護する原燃料費調整制度を放置しておいて、燃料費削減というスローガンのみ唱えてみても片手落ちである。総括原価方式だって野放しだ。原子力ムラを擁護する制度はそのままで、東電の見かけの利益づくりのために我々国民の血税を投入しようとするのが、安倍政権なのである。

 原発再稼動、さもなくば値上げ、という発想は、その他の国家努力を放棄しているに過ぎない。

 エネルギー基本計画についてもっと議論を深めるのであれば、その計画を是としての東電の再建計画は、少なくとも基本計画の後に立案されるべきであろう。

 安倍政権が進めようとしていることは、3.11とフクシマの経験にまったく学ぼうとしない暴挙である。

 まずは、都知事選で、国民の「ノーモア原発」の声を高らかに叫ぶことが直近の課題であろう。東京都の有権者の皆さん、よろしくお願いします!
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by koubeinokogoto | 2014-01-16 18:22 | 原発はいらない | Comments(2)
東京都知事選、自民党は原発は争点にならない、と宣伝活動を繰り広げるが、とんでもないことである。

 東京都民ではないが、細川候補を支持する。
 
 この件について、まず最初に、落語ブログ仲間の佐平次さんのブログを読んでいただきたい。
佐平次さんのブログ「梟通信」の該当記事


 福島の原発は主に首都圏の電力を供給するために存在したわけで、東京都の首長としてエネルギー問題は、避けて通れない重大テーマである。

 ましてや、東京に限らず、この国のエネルギー計画について、電力の大量消費地である東京都の首長は、無関心でいられるはずがなかろう。

 政府がそのエネルギー基本計画において、原発を復活させようとしていることについては、先日書いた。2014年1月9日のブログ

 大新聞は年明けからは、この問題をほとんど取り上げないが、11日付けの北海道新聞の社説には、結構しっかりとした主張があった。「北海道新聞」サイトの該当社説

理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな(1月11日)

 将来像も理念も十分な検証も欠いたまま、エネルギー政策が東京電力福島第1原発事故以前の状態に引き戻されようとしている。

 原発を重要なベース電源と位置付けたエネルギー基本計画案、福島第1原発事故による避難住民の全員帰還を断念する復興加速指針、事故対策への国費投入を拡大する東電の新再建計画。

 政府は昨年末、議論を尽くすことなく、これらの重要な政策を矢継ぎ早に打ち出した。

 年が明け、新たな規制基準で原発再稼働を判断する原子力規制委員会の審査が始まってから半年が経過した。早ければ今春にも最初の審査結果がまとまる見通しだ。

 エネルギー基本計画案は原発依存度を可能な限り低減させるとしながら、将来の電源構成比率を示していない。時間を稼いで再稼働の既成事実を積み重ね、その結果を追認させようとする意図は明らかだ。

 これが原子炉3基の炉心溶融という大惨事を引き起こした国の政策だろうか。事故の反省も再生可能エネルギーを育てる意欲も見えない。なし崩しに原発回帰を図るようなやり方は断じて認められない。


◆サイクル堅持する愚◆

 日本原燃は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委に審査を申請した。

 工場は20回も完成延期を繰り返し、本格操業のめどは立たない。

 それでも申請に踏み切ったのは、「核燃料サイクルの推進」を盛り込んだエネルギー基本計画案に力を得てのことだろう。

 長期にわたって巨額の費用を投じながら、展望が全く開けない国家プロジェクトの事例の中でも、核燃サイクルは最悪の見本だ。

仮に再処理工場が稼働しても、プルトニウムを燃やす高速増殖炉が実用化される見込みはない。

 プルトニウムを通常の原子炉で使用するプルサーマル計画は安全性に疑問があり、コストも高い。

 日本は既に、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを国内外に44トンも抱えている。さらに増え続ければ、核不拡散の見地から国際的な批判を招くだけだ。

 核燃サイクルが破綻した現実に目をつむり、ひたすら延命を図る厚かましさには驚くほかない。


 青森県など関係自治体と代替策を話し合い、サイクル撤退の道を追求することこそ政治の役割だ。

◆問題多すぎる再稼働◆

 再稼働に向けた安全審査は、北海道電力泊原発を含む9原発16基について行われている。電力各社の地震や津波の想定には甘さが目立ち、安全対策への熱意がうかがえない。
 北電も原子力規制委の指摘を受け、最大津波の高さをはじめ火山噴火や竜巻被害の想定などで修正を繰り返してきた。敷地内や海底の活断層の疑いも依然残されている。

 規制委は政治的圧力や経済性に左右されぬ原則を貫き、厳格な審査に徹しなければならない。

 周辺自治体の住民避難計画作りも遅れている。泊原発から30キロ圏内の13町村は本年度内に作成する予定だが、問題はその中身だ。

 計画の基礎となる防災指針自体が急ごしらえで、規制委によってさみだれ式に追加修正された。計画はあっても、渋滞対策など詰めるべき課題が多い。訓練も不足しており、現状では実効性が疑わしい。

 政府は再稼働の問題を規制委に、避難計画を自治体にそれぞれ丸投げし、成り行きまかせの状況を静観している。無責任な態度と言わざるを得ない。

 少なくとも「原発依存度を下げる」と言うのであれば、全原発が停止している今こそ、その展望と電源多様化の具体策を示すべきだ。

 福島の事故後、国内の原発はほとんど稼働していない。政治の意思と目標が明確になれば、多くの国民は新たな挑戦に踏み出す用意がある。

◆脱原発の見取り図を◆

 跳ね上がる安全対策費、立地対策を含む社会的コストなどを考えれば、原発は割安な電源ではない。あてのない放射性廃棄物処分、福島の事故の賠償、除染、廃炉の費用も際限なく膨らむだろう。

 復興加速指針は、政府が福島の一部地域について原状回復を事実上放棄することを意味する。

 放射能汚染によって故郷が失われ、人が住めなくなってしまうような事態をコストに換算することなど、そもそも不可能なのだ。

 一昨年、民主党政権に「原発ゼロ目標」を掲げさせた脱原発を求める民意は、決して揺らいでいない。

 将来のエネルギーの選択は結局、どのような社会に暮らしたいかという根本的な問題につながる。

 途方もない危険と巨額で無意味な負担を先送りしない見取り図を描き、真剣に到達の道筋を考える時だ。

 そのために国民が議論する機会さえ封じておいて、脱原発の目標をあっさり否定するのは、民意軽視も甚だしい。




 このままでは「閣僚会議」という密室で、国民の声など無視して原発復活を根底とする基本計画が決まってしまう。

 三大紙のうち読売はもうアテにならないが、朝日、毎日はもっと訴えるべきだろう。


 「3.11」と「フクシマ」を経験したとは思えない安倍政権の愚行を、いかに喰い止めるか・・・・・・。


 私が、原子力資料情報室をつくった高木仁三郎さんのことを最初に書いたのは、2011年3月26日である。
2011年3月26日のブログ

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高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』

 その時の記事の最後に、『プルトニウムの恐怖』から、「第四章 核文明のジレンマ」の冒頭にある、次の引用文を紹介した。

「核エネルギーは、一連の決め手の装置がうまく動作し、かなめの位置にいる人々が完全に指示を守り、サボタージュもなく、輸送中のハイジャックもなく・・・・・・、革命も戦争もない場合に限って安全といえる。
 <神の行為>は許されない。」
-H.アルフヴェン(電磁流体力学に関する業績で知られるスウェーデンの物理学者)
(注 「神の行為」とは、天災など不可抗力のできごとのこと) 




 原発を稼動させることが

 ・自然界に存在しなかった放射性物質を使い廃棄物を出し続ける反自然的行為であること
 ・人間性を無視した現場の過酷な労働を必要としていること
 ・立地する地域の海を奪い、賛成と反対派に分かれて共同体が破壊されること
 ・稼動後に発生する放射能のゴミの処理方法が見出せないこと
 ・原発が人間の管理能力を超える超巨大システムであること
 ・再処理によって作られるプルトニウムはテロ被害の可能性があること
 ・なにより、地震など天災や不可抗力で甚大な被害があること

 などを、あらためて日本人は再認識し、原子力ムラによる国民を犠牲にした無謀な行動を阻止しなければならない。 

 大震災とフクシマを経た日本の国民の良識が試される機会が、次の東京都知事選である。

 私は都民ではない。しかし、都民の知り合いには、細川候補への投票を促したいし、このちっぽけなブログで私の思いが、一人でも多くの東京都の有権者の方に伝わることを祈っている。
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by koubeinokogoto | 2014-01-13 00:54 | 原発はいらない | Comments(4)
6日に「エネルギー基本計画」に関するパブリックコメントの受付が終了した。

 「エネルギー基本計画に対する意見」という資料が公開されており、「電子政府の総合窓口 e-Gov」のサイトから、この「意見」をダウンロードできる。これが、いわば「計画案」である。
「電子政府総合窓口 e-Gov」サイトの該当ページ

 この「意見」は「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」で作成されたもので、この分科会のメンバーの名は、資源エネルギー庁のサイトに掲載されている。
「資源エネルギー庁」サイトの該当ページ

これがメンバー一覧だ。

総合資源エネルギー調査会基本政策分科会

委員名簿

分科会長 三村 明夫 新日鐵住金(株)相談役
委員 秋元 圭吾 (公財)地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダー
植田 和弘 京都大学大学院経済学研究科教授・研究科長
柏木 孝夫 東京工業大学特命教授
橘川 武郎 一橋大学大学院商学研究科教授
崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
       NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長
志賀 俊之 日産自動車(株)代表取締役最高執行責任者
辰巳 菊子 (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問
寺島 実郎 (一財)日本総合研究所理事長
豊田 正和 (一財)日本エネルギー経済研究所理事長
中上 英俊 (株)住環境計画研究所代表取締役会長
西川 一誠 福井県知事
増田 寛也 野村総合研究所顧問、東京大学公共政策大学院客員教授
松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授
山名 元 京都大学原子炉実験所教授
(計 15名)



このメンバーの中で、“脱原発”を唱えているのは植田委員と辰巳委員の二名だけ。完全な少数派。

“原子力ムラ”から寄付を受けている山名元をはじめ原発推進派ばかりなのは、赤旗の記事の通り。「赤旗」サイトの該当記事

 山名元京都大原子炉実験所教授は、「原発利益共同体」の中核団体、「日本原子力産業協会」(原産協会)の地方組織である関西原子力懇談会や東北原子力懇談会などから2006~10年度に計615万円の寄付、いわゆる“原発マネー”を受け取っています。

 第1次安倍内閣で総務相を務めた増田寛也氏が顧問の野村総研は、原産協会の会員企業で、社外取締役には、東京電力の南直哉元社長が就任しています。

 秋元圭吾氏の出身母体、地球環境産業技術研究機構は、電気事業連合会、日本原子力発電、原発メーカーなどが出資企業に名前を連ねる公益財団法人。評議員長は関西経済連合会相談役の秋山喜久関西電力元会長です。



 安倍政権で堂々と“原子力ムラ”が復活し、3.11後の「エネルギー基本計画」策定に関与する委員に原発推進派ばかりが就任している。これが、今の日本の実態なのだ。

 だから、この「計画案」は、とんでもない内容になっている。ここから先は、引用が少し長くなるのでご了解のほどを。

「第2章 エネルギー政策の新たな視点」の「第2節 各エネルギー源の位置づけと政策の時間軸」から「1.一次エネルギー構造における各エネルギー源の位置付けと政策の基本的な方向」をすべて引用する。

第2節 各エネルギー源の位置付けと政策の時間軸

1.一次エネルギー構造における各エネルギー源の位置付けと政策の基本的な方向

我が国が、安定したエネルギー需給構造を確立するためには、エネルギー源ごとにサプライチェーン上の特徴を把握し、状況に応じて、各エネルギー源の強みが発揮され、弱みが補完されるよう、各エネルギー源の需給構造における位置付けを明確化し、政策的対応の方向を示すことが重要である。
“多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造”における各エネルギー源の位置付けと政策の方向性について、以下のように整理する。

(1)石油
①位置付け
国内需要は減少傾向にあるものの、現在、一次エネルギーの4割を占めており、幅広い燃料用途(運輸・民生・ピーク電源及び調整電源等)や素材用途(化学)があるという利点を持っている。特に運輸部門の依存は極めて大きく、調達に係る地政学的リスクは最も大きいものの、可搬性が高く、全国供給網も整い、備蓄も豊富なことから、他の喪失電源を代替するなどの役割を果たすことができ、今後とも活用していく重要なエネルギー源である。
②政策の方向性
供給源多角化、産油国協力、備蓄等の危機管理の強化や、原油の有効利用、運輸用燃料の多様化、調整電源としての石油火力の活用等を進めることが不可欠である。また、災害時には、エネルギー供給の「最後の砦」になるため、供給網の一層の強靭化を推進することに加え、内需減少とアジア全域での供給増強が同時に進む中、平時を含めた全国供給網を維持するため、石油産業の経営基盤の強化に向けた取組などが必要である。

(2)天然ガス
①位置付け
現在、電源の4割超を占め、熱源としての効率性が高いことから、利用が拡大している。海外からパイプラインを通じた輸入はないが、石油と比べて地政学的リスクも相対的に低く、化石燃料の中で温室効果ガスの排出も最も少ない。水素社会の基盤の一つとなっていく可能性もある。今後、シェール革命により競争的に価格が決定されるようになっていくことなどを通じて、各分野における天然ガスシフトが進行する見通しであることから、その役割を拡大していく重要なエネルギー源である。
②政策の方向性
我が国は、現時点では、国際的には高い価格でLNGを調達しており、電源としての過度な依存を避けつつ、供給源多角化などを進めてコストの低減を進めることが重要である。また、地球温暖化対策の観点からも、コージェネレーションなど利用形態の多様化により、産業分野などにおける天然ガスシフトを着実に促進し、コンバインドサイクル火力発電など天然ガスの高度利用を進めるとともに、有事における強靭性の向上などの体制整備を進める必要がある。

(3)石炭
①位置付け
温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量当たりの単価も化石燃料の中で最も安いことから、優れたベース電源の燃料として重要性が再評価されており、環境負荷を低減(高効率火力発電技術の利用等)しつつ活用していくエネルギー源である。
②政策の方向性
老朽火力発電所のリプレースや新増設による利用可能な最新技術の導入を促進することに加え、発電効率を大きく向上することで発電量当たりの温室効果ガス排出量を抜本的に下げるための技術等の開発をさらに進める。こうした高効率化技術等を国内のみならず海外でも導入を推進していくことで、地球全体で環境負荷の低減と両立した形で利用していく必要がある。

(4)LPガス
①位置付け
中東依存度が高く脆弱な供給構造であったが、北米シェール随伴の安価なLPガスの購入などが進んでおり、地政学的リスクが小さくなる方向にある。化石燃料の中で温室効果ガスの排出が比較的低く、最終需要者への供給体制及び備蓄制度が整備され、可搬性、貯蔵の容易性に利点があることから、平時の国民生活、産業活動を支えるとともに、有事にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源である。
②政策の方向性
災害時にはエネルギー供給の「最後の砦」となるため、備蓄の着実な実施や中核充填所の設備強化などの供給体制の強靭化を進めるとともに、供給構造の改善を通じてコストを抑制することで、利用形態の多様化を促進するとともに、LPガス自動車など運輸部門においてさらに役割を果たしていく必要がある。

(5)原子力
①位置付け
燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である。
②政策の方向性
原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。
安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める
また、万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。
さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠
である。

(6)再生可能エネルギー
①位置付け
安定供給面、コスト面で様々な課題が存在するが、温室効果ガスを排出しない、国内で生産できる有望な国産エネルギー源である。
②政策の方向性
今後3年程度、再生可能エネルギーの導入を最大限加速していくとともに、系統強化、規制の合理化、低コスト化の研究開発などを着実に進める。
一方、各エネルギー源で特徴が異なることから、それぞれの特徴を踏まえ、経済性等とのバランスのとれた開発を進めていくことが必要である。

1)太陽光
個人を含めた需要家に近接したところで中小規模の発電を行うことも可能で、系統負担も抑えられる上に、非常用電源としても利用可能である。
一方、発電コストが高く、出力不安定性などの安定供給上の問題があることから、更なる技術革新が必要である。中長期的には、コスト低減が達成されることで、分散型エネルギーシステムにおける昼間のピーク需要を補い、消費者参加型のエネルギーマネジメントの実現等に貢献するエネルギー源としての位置付けも踏まえた導入が進むことが期待される。

2)風力
大規模に開発できれば発電コストが火力並であることから、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源である。
ただし、需要規模が大きい電力管内には十分な調整力がある一方で、北海道や東北北部の風力適地では、必ずしも十分な調整力がないことから、系統の整備、広域的な運用による調整力の確保、蓄電池の活用等が必要となる。こうした経済性も勘案して、利用を進めていく必要がある。

3)地熱
世界第3位の地熱資源量を誇る我が国では、発電コストも低く、安定的に発電を行うことが可能なベース電源を担うエネルギー源となりうる。
また、発電後の熱水利用など、エネルギーの多段階利用も期待される。
一方、開発には時間とコストがかかるため、投資リスクの軽減、送配電網の整備、円滑に導入するための地域と共生した開発が必要となるなど、中長期的な視点を踏まえて持続可能な開発を進めていくことが必要である。

4)水力
発電量の調整が容易で、コストも低い水力は、渇水の問題を除き、安定的なエネルギー源としての役割を果たしている。
一方、国内には大規模出力を確保できる開発候補地を見つけることが困難であるため、既開発地点の更新や有効利用が重要となる。新たな未開発地点が残る中小水力について、高コスト構造や水利権の調整等の課題を踏まえつつ、地域の分散型エネルギー需給構造の基礎を担うエネルギー源としても活用していくことが期待される。

5)バイオマス(バイオ燃料を含む)
材料や形態が様々であり、コスト等の課題を抱えることから、規模のメリットの追求と、そのための原材料の安定供給の確保や、既存の利用形態との競合の調整等を踏まえ、分散型エネルギーシステムの中の位置付けも含めて、導入の拡大を図っていくことが期待される。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続する。



 原発への入れ込みと比べ、再生可能エネルギーに関して、なんと文章が簡素なことか・・・・・・。

 もちろん、原発を擁護する理屈として、前段では、石油など燃料確保の脆弱性、二酸化炭素による温暖化、そして経済性の要因を、くどい位に並べている。

第1章 我が国のエネルギー需給構造が抱える課題

第1節 我が国が抱える構造的課題

1.海外の資源に大きく依存することによるエネルギー供給体制の根本的な脆弱性

我が国は、国民生活や産業活動の高度化、産業構造のサービス化を進めていく中で、1973年の第一次石油ショック後も様々な省エネルギーの努力などを通じてエネルギー消費の抑制を図り、1973年に比べて最終エネルギー消費を2012年に1.3倍の増加に留めた。
我が国では現状、ほとんどのエネルギー源を海外からの輸入に頼っているため、海外においてエネルギー供給上の何らかの問題が発生した場合、我が国が自律的に資源を確保することが難しいという根本的な脆弱性を有している。
こうした脆弱性は、エネルギー消費を抑制するだけで解決されるものではないことから、我が国は中核的エネルギー源である石油の代替を進め、リスクを分散するとともに、国産エネルギー源を確保すべく努力を重ねてきた。
その結果、2010年において、原子力を含むエネルギー自給率は19.9%にまで改善されたが、なお、根本的な脆弱性を抱えた構造となっている



2.人口減少、技術革新等による中長期的なエネルギー需要構造の変化

我が国の人口は減少に向かい、2050年には9,707万人になると予想されている(社会保障・人口問題研究所)。こうした人口要因は、エネルギー需要を低減させる方向に働くことになる
例えば、自動車の燃費や、家電の省エネ水準が向上しているほか、製造業のエネルギー原単位も減少傾向にあるなど、我が国の産業界の努力により、着実に省エネルギー化が進んでいる。
また、電気や水素などを動力源とする次世代自動車や、ガス等を効率的に利用するコージェネレーションの導入などによるエネルギー源の利用用途の拡大なども需要構造に大きな変化をもたらすようになっている。
こうした人口減少や技術革新等を背景とした我が国のエネルギー需要構造の変化は、今後とも続くものと見込まれ、このような変化にどう対応していくかが課題となっている。


3.新興国のエネルギー需要拡大等による資源価格の不安定化

世界に目を転じると、エネルギーの需要の中心は、先進国から新興国に移ってきている。世界のエネルギー需要は、2030年には2010年の1.3倍に増加すると見込まれているが、需要増加の9割は非OECD諸国のエネルギー需要の増加によるものである。
エネルギー需要を拡大する中国やインドといった国々は、国営企業による資源開発・調達を積極化させており、新興国の企業群も交えて激しい資源の争奪戦が世界各地で繰り広げられるようになっている。
こうした資源獲得競争の激化や地域における紛争、さらには経済状況の変化による需要動向の変動が、これまで以上に資源価格の乱高下を発生させやすい状況を生み出している。中国の海外からの原油調達が急増し始める2004年以降、30ドル/バレル前後であった原油価格(WTI)は2008年夏には瞬間的に147ドル/バレルを超えるまでに急騰した。その直後に発生したリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに深刻化した金融危機により、欧米を中心に需要見通しが大きく落ち込んだ結果、原油価格は40ドル/バレルを割り込むまでに落ち込んだが、現在は再び上昇し、100ドル/バレルを超える水準となっている。今後も、中東地域における政治・社会情勢や欧米、中国等の経済状況によって、原油価格に大きな変動が生じる状況が続いていくものと考えられる。


4.世界の温室効果ガス排出量の増大

新興国の旺盛なエネルギー需要は、温室効果ガスの排出状況の様相も一変させるに至っている。世界の二酸化炭素排出量は、約227億トン(1997年)から約300億トン(2010年)に増加した。
現在、新興国が二酸化炭素排出量増加の大宗を占めており、世界全体の排出量全体に占める先進国(米・EU・日)の排出量の割合は、約5割から約3割に低下し、先進国と新興国の排出量の割合が逆転した。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界全体のエネルギー起源二酸化炭素の排出量は、2035年までに、さらに20%増加すると予測されている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書によると、人類の活動による影響が20世紀半ば以降に観測された地球温暖化の最も有力な要因であった可能性が極めて高いとされており、地上の世界平均気温が上昇するにつれて、今世紀末までに極端な降水がより頻繁となる可能性が高いことが報告されている。
地球温暖化問題について、もはや、一国主義的な考え方に基づいて、先進国を中心にエネルギー需要や利用の在り方を工夫するだけでは対処することができない状況となっている



第2節 東京電力福島第一原子力発電所事故及びその前後から顕在化してきた課題

1.東京電力福島第一原子力発電所事故による深刻な被害と原子力発電の安全性に対する懸念

東日本大震災とそれによる巨大津波は、被災地域に甚大な損害をもたらすとともに、全電源を喪失して原子炉冷却機能を失った東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故を引き起こし、周辺地域の住民が避難生活を余儀なくされる事態となり、未だに約14万人(2013年12月16日現在)の避難住民が帰還できない状況が続いている。
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けては、長い時間をかけた取組が必要であるが、福島再生に向けて、汚染水処理対策、燃料デブリの取り出しなど、多くの困難が伴う取組を少しでも早く進めていかなければならない。
東京電力福島第一原子力発電所の事故は、エネルギー分野におけるシビア・アクシデントへの対応策が欠如していたことを露呈した。いわゆる「安全神話」に陥ってしまったことや、被災者の皆様を始めとする国民の皆様に多大なご苦労をおかけしていることを、政府及び事業者は深く反省しなければならない。
事故の結果、原子力発電所の安全性に対して、国民から重大な懸念が示され、原子力発電所は全国で次々と停止されることとなった。


2.化石燃料への依存の増大とそれによる国富流出、供給不安の拡大

原子力発電所が停止した結果、2012年時点におけるエネルギー自給率は6.0%まで落ち込み、国際的に見ても自給率の非常に低い脆弱なエネルギー供給構造を抱える状況となっている。原子力を代替するために石油、天然ガスの海外からの輸入が拡大することとなり、電源として化石燃料に依存する割合が震災前の6割から9割に急増した。日本の貿易収支は、化石燃料の輸入増加の影響等から、2011年に31年ぶりに赤字に転落し、エネルギー分野に留まらず、マクロ経済上の問題となっている
現在、原子力発電の停止分の発電電力量を火力発電の焚き増しにより代替していると推計すると、2013年度に海外に流出する輸入燃料費は、東日本大震災前並(2008年度~2010年度の平均)にベース電源として原子力を利用した場合と比べ、約3.6兆円増加すると試算される。
海外からの化石燃料への依存の増大は、資源供給国の偏りというもう一つの問題も深刻化させている。現在、原油の83%、LNGの29%を中東地域に依存しており(2012年)、中東地域が不安定化すると、日本のエネルギー供給構造は直接かつ甚大な影響を受ける可能性がある
石油の場合、第一次石油ショック後から整備してきた備蓄制度によって、需要の189日分(2013年9月末時点)の備蓄が確保されており、供給途絶に至る事態が発生した場合でも、輸入が再開されるまでの国内供給を支えることが一定程度可能である。他方、天然ガスについては、供給源が多角化しているものの、発電用燃料として急速に利用が拡大しているため、主要な供給地において供給途絶に至るような事態が発生した場合には、電力供給体制に深刻な影響を及ぼす可能性があり、そうした事態に陥らないよう、北米からのLNG供給を含む供給源の更なる多角化を迅速に進める必要に迫られている。


3.電源構成の変化による電気料金上昇とエネルギーコストの国際的地域間格差によるマクロ経済・産業への影響

(1)電気料金の上昇とその影響
6電力会社が既に規制部門の電気料金について6.2~9.8%の値上げなどの改定を行っているが、実際には、高騰する燃料価格等により、全国で標準世帯のモデル料金が2割程度上昇している。
さらに、2012年7月から始まった固定価格買取制度により、再生可能エネルギー供給のための設備投資が加速し始め、非住宅向け太陽光を中心とした導入が急増している。2013年7月末までに設備認定を受けた発電容量の17%程度が運転を開始したが、電気利用者への負担は、太陽光発電の余剰電力買取制度によるものも含めると、現在、賦課金がkWh当たり0.40円であり(国全体で3,500億円)、標準家庭モデルで月に120円ほどとなっている。固定価格買取制度に基づいて導入される再生可能エネルギーは、今後増加していくと考えられ、電気利用者の負担の上昇要因となっていくと考えられる。
電気料金の上昇は、電力を大量に消費する産業や中小企業の企業収益を圧迫し、人員削減、国内事業の採算性悪化による海外への生産移転、廃業等の悪影響が生じ始めている。
マクロ経済に対する影響について、2011年12月に内閣府が「日本経済2011−2012」の中で、原子力発電を火力発電ですべて置き換えた場合、電力業に生じる生産性が10%程度低下すると見込まれる(すなわち発電コストが上昇する)ことから、実質GDPは0.39~0.60%程度減少するという試算を示しており、エネルギー構造の変化が経済成長にも悪影響を及ぼすことが懸念されている。

(2)エネルギーコストの国際的地域間格差の拡大とその影響
北米で始まったシェール革命は、天然ガスを始めとして国際的な地域間におけるエネルギー価格に大きな格差を生じさせはじめており、このことが、各国の産業構造に対して大きな影響を与える可能性がある。
IEAのWorld Energy Outlook 2013では、米国内の天然ガス価格は欧州の3分の1、日本の5分の1となっており(2013年10月時点)、この地域間のエネルギー価格差が継続した場合、世界で産業部門のエネルギー使用量の7割を占めるエネルギー集約型産業(化学、アルミ、セメント、鉄鋼、製紙、ガラス、石油精製)については、日、米、EUを比べた場合、米国のみが拡大し、日、EU合わせて現在の輸出シェアの3分の1を失うとの試算を示している。このように、エネルギーコストの国際的な地域間格差が、エネルギー分野に留まらず、石油化学産業等も含め、産業の活動に大きな変化をもたらし、経済成長や産業構造に大きな影響を与える可能性がある。

4.我が国の温室効果ガス排出量の急増

化石燃料依存の増大は、コスト面だけでなく、地球温暖化問題への対応についても困難をもたらしている。現在、エネルギー起源の温室効果ガスの排出は、発電部門を中心に増加に転じている。2010年度の二酸化炭素排出量と比べて、2012年度の一般電気事業者以外の排出量が29百万トン減少しているにも関わらず、一般電気事業者の排出量が112百万トン増加した結果、全体として二酸化炭素排出量は83百万トンの大幅な増加となった
こうした変化は、企業活動のライフサイクルアセスメントに悪影響を及ぼし、企業の海外移転の加速につながる。



 前段は、すべからく原発を再稼動させるための作文。

 
赤字にした部分などは、まったく出来の悪い作文としか言えない。最高学府を卒業したであろう官僚も、筋の通らないことを表現しようとすると、こういう駄文を書くことになる、という好例と言えるだろう。

 あらためて引用する。

“東京電力福島第一原子力発電所の事故は、エネルギー分野におけるシビア・アクシデントへの対応策が欠如していたことを露呈した。いわゆる「安全神話」に陥ってしまったことや、被災者の皆様を始めとする国民の皆様に多大なご苦労をおかけしていることを、政府及び事業者は深く反省しなければならない。
事故の結果、原子力発電所の安全性に対して、国民から重大な懸念が示され、原子力発電所は全国で次々と停止されることとなった”


 “深く反省”すれば、それだけでいいのか。原発が全国で次々と停止した、という事実を挙げて終わっているこの駄文は、いったい何を言いたいのか・・・・・・。

 なぜ停止せざるを得なかったのか、それが問題だろう。

 そして、次の部分が重要。

“万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠”

 この指摘は、その通り。問題は、この重要な課題への解答がない以上、原発再稼動はありえない、ということ。

 “原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準” といった文章には、あらためて「安全神話」をつくろうとする意図がミエミエである。

 分科会は、原発推進官僚の作文を追認しただけと言えるだろうし、“原子力ムラ”メンバーによって3.11以降のエネルギー基本計画を立案するなど、茶番にすぎない。

 「美浜の会」のサイトには、この計画に対する反対のチラシが掲載されていて、次のように非難している。

(チラシのタイトル)
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「美浜の会」サイトのPDF

“原子力政策の具体的施策の方向性の1 番目に福島の再生・復興に向けた取組を上げ、「政府の最優先課題として廃炉・汚染水対策、原子力賠償、除染・中間貯蔵事業など、福島の再生・復興に全力で取り組んで行かなければならない」。「事業者任せにするのではなく、国が前面に立つ必要がある」と述べている。しかし現実は全く逆である。国は多額の税金を投入して東電を救済し、被災者は切り捨て、被ばく線量が下がっていないのに早期帰還を強要している。汚染水は今も漏れ続けているが、なんら具体的な対策も取れていない”


まったくその通りである。

 この件について、一部の新聞は12月には社説などで反対の意見を表明していたが、年が明けてからダンマリである。朝日の今日の社説などはIPCCのレポートを無批判に支持し地球温暖化のことを取り上げているが、“原子力ムラ”に塩を送っているようなものだ。

 このまま「閣議決定」で「エネルギー基本計画」が了承されようとしている。こんな乱暴なことはない。

 「そんなこと言ったって、もう決まりでしょう。無駄な抵抗じゃないの!?」という声も聞こえる。

 しかし、フクシマを経験した国が、原発を「ベース電源」とし、原子力規制委員会が認可したら「再稼動」もあり、なんて計画を国民としてだまっていられますか!
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by koubeinokogoto | 2014-01-09 00:12 | 原発はいらない | Comments(0)

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by 小言幸兵衛