幸兵衛の小言

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 その品性が問われている高木毅復興相についての日刊ゲンダイの記事を、一部引用。
日刊ゲンダイの該当記事

下着ドロ報道が決定打…高木復興相に迫る「家庭崩壊危機」
2015年10月28日

 大臣を続ければ、恐らく家庭は崩壊だ。「下着ドロ」に続き、酔うにつれ着衣が乱れる“露出狂”とまで報じられた高木毅復興相(59)。一連の報道で、妻と2男2女が待つ高木家は大揺れだという。

 特に心を痛めているのが、敦賀市内の有名校に通う高3の次女だ。

「彼女の高校の正門前には、週刊誌に『選挙のたびにパンツがかぶせられた』と報じられた高木氏の実父・孝一元市長の銅像が立っています。登下校時に目に入るだけに、相当ショックが大きいようです。大学受験を控えているので、かなりピリピリしているといいます」(地元メディア関係者)

 高木復興相とは高校時代の同級生だった妻との関係もギクシャクしているようだ。「一度は離婚話がまとまったが、妻側がひっくり返した。今は別居中」(政界事情通)という。


 憲法53条違反もなんのそのの“安倍お友達内閣”だが、その構成員には問題児が少なくない。

 高木毅という男は、酒癖のみならず、いろいろと問題がある。

 しんぶん赤旗の報道によれば、高速増殖炉「もんじゅ」を運営している独立行政法人「日本原子力研究開発機構」の関連企業「高速炉技術サービス」が、高木が代表を務める自由民主党福井県第3選挙区支部及び高木の資金管理団体「21世紀政策研究会」のパーティー券を購入し、高木側に対し計354万円の献金を行っていた事実がある。

 明らかに、原子力ムラの構成員なのである。

 なぜ、その彼が、3.11と原発事故からの復興を重要な使命とする大臣になったのか・・・・・・。

 この人の父親のことを考えると、ますます「復興相」が、どれほど彼に適さないか分かろうというものだ。
 
 紹介した記事にもあったように、高木大臣の父は、高木孝一。長らく敦賀市長として原発誘致に励んできた方。2012年6月1日に93歳で亡くなっている。

 3.11から約三か月後の記事で、1983年1月26日に石川県羽咋郡志賀町で開かれた「原発講演会」(地元の広域商工会主催)において、当時の高木孝一敦賀市長が行った講演の内容を紹介した。
2011年06月18日のブログ

 内橋克人著『原発への警鐘』(初版は講談社文庫、2011年4月に朝日新聞出版より改題された復刻版が発行)からの引用が中心なのだが、当時同書を未読だった私は、 “とらちゃん”が管理人のブログ「晴天とら日和」から引用させていただいた。
「晴天とら日和」の該当記事

 “原発は地域振興になる”という神話を作り出そうとしてきた電力会社が行う「地域振興」の実態がわかる内容の一部を、あらためて紹介したい。

 では、1983年1月26日に石川県羽咋郡志賀町で開かれた「原発講演会」での高木孝一敦賀市長の発言内容。

 実は敦賀に金ケ崎宮というお宮さんがございまして(建ってから)随分と年数が経ちまして、屋根がボトボトと落ちておった。この冬、雪が降ったら、これはもう社殿はもたんわい、と。今年ひとつやってやろうか、と。そう思いまして、まあたいしたカネじゃございませんが、6000万円でしたけれど、もうやっぱり原電、動燃へ、ポッポッと走って行った(会場ドッと笑い)。あっ、わかりました、ということで、すぐカネが出ましてね。それに調子づきまして、今度は北陸一の宮、これもひとつ6億で修復したいと、市長という立場ではなくて、高木孝一個人が奉賛会長になりまして、6億の修復をやろうと。今日はここまで(講演に)来ましたんで、新年会をひとつ、金沢でやって、明日はまた、富山の北電(北陸電力)へ行きましてね、火力発電所を作らせたる、1億円寄付してくれ(ドッと笑い)。これで皆さん、3億円既に出来た。こんなの作るの、わけないなあ、こういうふうに思っとる(再び笑い)。まあそんな訳で短大は建つわ、高校は出来るわ、50億円で運動公園は出来るわね。火葬場はボツボツ私も歳になってきたから、これも今、あのカネで計画しておる、といったようなことで、そりゃあもうまったくタナボタ式の街づくりが出来るんじゃなかろうか、と、そういうことで私は皆さんに(原発を)お薦めしたい。


 この講演会で高木市長は、他にもとんでもない問題発言をしており、ネットで検索すると結構探しやすいのだが、「晴天とら日和」さんは継続的に脱原発的な内容を取り上げているので、あえて引用しリンクさせていただいた。「晴天とら日和」では、これらの引用の後で、次のように引用書からの情報を補足している。

原発に限らずこうした事業を誘致した政治家が懐に入れるリベートは、投資金額の1~3%と言われています。原発1基3000億円とすれば、リベートは30~90億円と言うことです。この講演が効を奏してか、会場となった志賀には北陸電力の志賀原発1号機が建設され、運転を開始しています



 高木孝一敦賀市長の言葉に、「原子力による地域振興」の実態が現れている。

 今年7月も含めて何度も書いているが、今また原発再稼働が加速する背景には、「電源三法交付金」という、原発が一度立地された地域では、原発がなければ経済的に成り立たないように仕向ける悪法の存在が大きい。
2015年7月7日のブログ

 以前の記事と重複するが、「原子力による地域振興」の実態の基本は、現在も大きく変わらないだろうから、あえて記す。

 無用のハコ物以外に、本来の地域振興や活性化のためにインフラを構築することなどは、政府も電力会社も真剣に考えていない。そして、原発が運転開始になってしばらくたつと、多額の固定資産税を支払っていることを盾に、自治体にばら撒かれる“小遣い”は減っていき、自治体は地方交付税がなくなるなど、次第に財政が悪化する。すると、また原発増設という“悪魔のささやき”が始まる、という具合だ。

 「ヤクが切れたから、くれ」「しょうなねえなぁ、ほれ」という構造とどこが違うのか。ドランカーの体がボロボロになるように、原発立地自治体も、放射能汚染と“金という麻薬”で、ボロボロになる。

 だから、禁断症状になった自治体は、地場産業も農業も自然も失ってしまった後で、食べていくための「麻薬」の誘惑を断わるのは難しい。今日、定期点検中の原発の運転再開にあたっても、間違いなく地元自治体には原子力村からさまざまな形の「麻薬」が目の前にぶらさげられているはずだ。


 野党は、原発再稼働の流れに、まったく抵抗できていないように見える。
 TPPにしても然り。
 もちろん、安保関連法案も、まだまだこれから議論されるべき問題だ。

 国会の存在意義が、今問われている。

日本国憲法第五十三条 
内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。


 国会開催を規定する憲法53条に違反している政府を、なぜ野党は追及し切れないのか。
 三権分立の司法に、なぜ訴えることができないのか。
 まだ、詳しく調べていないのだが、政府の国会開催拒否は、明らかに違憲であり、国民にとって大いなる損害を強いることなので、義務付け違反として訴えることができるはずだ。
 「どうぜ、訴える気などないだろう」と、タカをくくている政府に、堂々と戦いを挑む議員や党首はいないのか・・・・・・。

 話を戻す。

 親子代々の原子力ムラの一員である高木復興相などに、3.11や原発事故からの復興など任せられない。

 野党は、追及の手を緩めず、彼を退陣させ、安倍内閣打倒を一日でも早く実現すべく結託すべきではないのか。


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by koubeinokogoto | 2015-10-28 21:33 | 原発はいらない | Comments(0)

 原発作業員だった方の白血病について労災が認定された、というニュースが昨日報道された。
 まず、朝日の記事から一部引用。
朝日新聞の該当記事

原発事故後の被曝、初の労災認定 白血病の元作業員男性
大岩ゆり 2015年10月20日20時34分

 厚生労働省は20日、東京電力福島第一原発事故後の作業で被曝(ひばく)した後に白血病になった元作業員に対し、労災を認定したと発表した。原発事故への対応に伴う被曝と作業員の疾病に一定の因果関係があるとして労災が認められるのは初めて。被曝を伴う作業は長期間続き、被曝に伴う労災申請の増加が予想される。

 労災が認められたのは北九州市在住の男性(41)。男性によると、2012年から13年まで、東京電力の協力企業の作業員として、3号機や4号機周辺で、構造物の設置や溶接の作業に当たり、14年1月に急性骨髄性白血病と診断された。累積の被曝線量は福島第一原発で約16ミリシーベルト、定期点検の工事で12年に約3カ月間働いた九州電力玄海原発で約4ミリだった。

 男性の労災申請を受けた富岡労働基準監督署(福島県)が業務内容や被曝実態を確認し、被曝の専門家らで構成する厚労省の検討会で被曝と白血病の因果関係を検討、「業務上(業務由来)」と結論づけた。これを受け同労基署が20日付で労災と認定した。医療費と休業補償が支払われる。

 時事ドットコムからも引用。
時事ドットコムの該当記事
 厚生労働省によると、男性は2012年10月~13年12月、福島第1原発で原子炉建屋の覆いを設置する工事などに従事。同原発での被ばく線量は15.7ミリシーベルトだった。
 男性は他にも複数の原発で働き、累積被ばく線量は約1年半で19.8ミリシーベルトに上るという。体調不良から医療機関を訪れたところ、白血病と診断されたため労災申請していた。
 国は1971年、放射線被ばくによる白血病の労災認定について基準を策定。被ばく線量が年5ミリシーベルトを超え、作業開始から1年以上が経過して発症した場合、ウイルス感染など他の原因がなければ認定するとした。
 厚労省は今月13日、専門家を集めた検討会を開き、被ばくと白血病の因果関係が否定できないとの見解で一致。「労災認定するのが相当」との報告書をまとめたという。男性は通院治療を続けており、医療費の全額と休業補償が支給される。
 福島第1原発の事故前には、各地の原発で勤務した作業員13人が白血病を含む「がん」で労災認定されている。福島第1の事故対応では8件の申請があり、うち3件の不支給が決定。取り下げられた1件を除く4件が調査中だった。
 今後、労災として認定される件数が増えるきっかけになることを祈っている。
 なぜなら、労災認定のハードルは、かつては極めて高かったからだ。

 拙ブログの2012年4月20日の記事と重複するが、あらためて、ご子息のことを書かれた松本直治さんの『原発死』を紹介したい。
2012年4月20日のブログ

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松本直治著『原発死 増補改訂版』

 本書は潮出版社から1979年に初版が出され、2011年8月に増補改訂版が発行された。私が入手したのは8月24日付けの改訂二版。もっと重版されることを期待する書である。

まず、著者のプロフィールを同書から引用したい。

松本直治(まつもと・なおじ)
1912年富山県生まれ。東京新聞社、北国新聞社を経て、北日本新聞社の編集局長、論説委員長、取締役を歴任。著書に『新生マレーの表情』『人間山脈』『大本営派遣の記者たち』『火の墓標』などがある。1995年、83歳で死去。



 井伏鱒二の序文に次のように書かれているように、著者は太平洋戦争開戦直前から従軍記者として南方に派遣されていた。

 今、ふと思い出した。私たちが輸送船のアフリカ丸で南航中、松本君は結婚してまだ間もないから子供がないが、子供をほしいものだと云ってゐた。もし無事日本に帰還したら、女房にどうしても子供を生ませてやる。男の子を持ちたいものだとゐつてゐた。ところが希望通りに男の子供が生れ、その子が働き盛りになりかけて放射能にやられて亡くなったわけである。三十一歳で亡くなったといふから、松本君が徴用解除で日本に帰つて、二、三年ぐらゐに生れた子供だらう。「放射能」と書いて「無常の風」とルビを振りたいものだ。



 本書の巻末には、井伏、そして井伏の奥さんの代筆になる封書とハガキ、63通の内容が掲載されている。その内容を読むと、本書の序文を依頼された井伏が、当初は固辞していたことが分かる。

昭和54(1979)年4月5日の手紙を紹介したい。

拝復
貴翰拝見しました。
四月に入って寒い日がつづいてゐましたが、昨晩の嵐を経て急に和やかな日射しになりました。ほつとしました。
「潮」の御作評判がとかつたやうで何いりです。
益々御健筆の趣大慶です。仰せの序文は誰か適当の人をお選びになつては如何でせうか。今、ちやうどアメリカでも問題になつてゐるところでもあるし、序文は専門家に任せた方がいいのではありませんか。
私は原水爆のことは何も知りません。出版社の人と宜しく御相談になつた方が良策かと思ひます。新聞社の人か朝日ジャーナルの人にお頼みになつたらいかがです。
 小生、両三日中のうちに東京へ帰ります。
 御自愛を祈ります。                           早々不一
  四月五日                                井伏鱒二



 この時、井伏は熱海にいた。この後の手紙でも序文を辞退する内容がある。松本は、どうしても井伏に書いてもらいたく、その熱意に井伏が翻意したことが察せられる。“戦友”からのたっての頼みに、最後は断ることができなくなったのだろう。

 著者の一人息子である松本勝信さんは、北陸電力に入社し、原子力への夢を抱いて日本原子力発電の東海原発で研修を受け、そのまま東海原発で安全管理の業務に従事したあと、敦賀原発でも安全管理の仕事に就くことになる。しかし、この「安全管理」業務とは、原発現場作業員の安全を管理する仕事で、言葉に反して被曝への「危険」に直面する仕事であった。

 発病当初は医者の診断ミスもあり「舌ガン」の発見が遅れたこともあるが、若い時の癌の進行は早く、またたく間に勝信さんの全身を蝕んでいった。

亡くなる昭和49年の春、見舞いに訪れた父と子の会話を引用したい。

 何時の見舞いだっただろうか、病院の庭に出て、少し歩いてみた。前にきた時は沈丁花の花が強い香りを放っていたのに、今はもうすでに落ち、見上げる一本の桜の木の蕾が次第にふくらみを見せていた。枝に若干、ひらきかけら花をつけているのもある。
「来年、桜の花を見ることがあるかなあ」
 息子と並んで眺めやると、息子の口からふとそんな言葉が出た。静かな広い庭を白衣の看護婦が、通路に通じる道を小走りに去って行くのが見えた。それは病院の一つの点景であることをはっきり意識させた。


 この部分を読んでいる時が、ちょうど桜の散る頃であったので、私は通勤電車の中で読みながら目頭が熱くなった。

 放射線被曝による癌にコバルトを浴びせるという皮肉な放射線治療は、勝信さんの体力をどんどん奪っていった。

放射線治療はいつまでも続けられるものではなかった。抗ガン剤と栄養剤を飲み、注射を打つしか方法がなかった。時々、激痛が脳を襲った。息子は頭を両手で掻きむしり、ベッドに転がった。主治医は、脳の骨が崩れはじめているためだと言った。


 
 そして、この年の11月14日、31歳の若さで亡くなった時にはガンは全身に転移していた。

 彼は、「第3の火」として原子力の未来に期待して希望した仕事そのものが、彼を死に至らしめようとしていることを分かってはいたはずだが、決してそのことを口にしなかった。「癌」という言葉さえ家族の中で口にされることはなかった。

 著者は、息子の死の原因は原発での「安全管理」という業務で被曝したことにあると確信し、勝信さんの死後、仕事先であった日本原電や雇用主であった北陸電力の幹部を訪ねるものの、彼らが被曝と癌の因果関係を認めるはずもなかった。

この本のあとがきには、次のようにある。

 息子の死因は舌ガンとその後の全身転移である。私たち老夫婦は不運だとあきらめるにはあまりにも深いわだかまりと疑惑が心のキズとなって残った。というのは息子は地元の北陸電力から東海村の日本原子力発電所と敦賀原発に勤務、放射線を浴びた。
 今日、放射線被曝と、ガン発生の因果関係の立証は難しい。だが、立証となれば被曝者側ではなく、むしろ企業側にこそ挙証責任がある。
 私は丹念に事実を掘り起こすことで、解明のいしずえの一つになろうと心に決めた。私は息子の墓碑に「魂永遠にここに眠る」と刻んだ。息子は魂をここに残して見守っていると信じたい。そのためにも私は、この原発に対して何かの証をせねばならぬと誓った。
 私は書いては消し、消しては書き、病める原発への証言を綴り続けた。これは「私の手記」というより息子の「死の記録」といっていい。たとえ親バカと笑われようとも、吹きすさぶ無常の風の下に、私は息子とともに立ち、ひとみをこらしてそのゆくえを見守ろうと思う。



 著者の姪御さんである矢来千代子さんが、国学院大学の上田正行教授が金沢大学時代に開いていた日本近代文学の演習を履修した縁から本書に掲載されることになった井伏鱒二の数多くの書簡も貴重な記録だ。

 そして何より、原発の将来性を信じて電力会社に入社し、原発の現場作業員の安全管理に従事することで、自らが被曝し若くして亡くなった勝信さんの無念と、その無念さを晴らそうと奮闘するジャーナリストの父親の記録は、未だに無謀にも原発を再開しようとする者たちが新たに数多くの人々の不孝を招こうとしていることを、生きた肉声の感覚で明らかににしてくれる。コラムニストとしても著名な著者の文章は読みやすく、そして味わいがある。

 高木仁三郎さんが“市民科学者”として原発の危険性を解き明かした数々の本、堀江邦夫さんが原発の現場作業員として自ら従事した貴重なルポルタージュに加え松本直治さんの本書は、原発が人間の管理、統制の範囲を超えた巨大かつ危険なシステムであることを明白にするものだ。


 今後、労災認定される方が増えることは好ましいのだが、問題の解決のためには被曝される原発作業員の方を減らすことが大事なのであり、それは原発を稼働させないことこそ最も有効な対策であることは、誰の目にも明白だろう。

 しかし、こんな自明のことに目をつぶる霞が関、永田町、大手町の原発再稼働を進める人々には、まず率先して自分の子息や縁戚を原発の現場で作業してもらうよう願いたい。なぜなら、そこは彼らが“安全”と訴えてきた職場である。


 表面化しないだけで、多くの方の愛する肉親の生命を奪った原発を再稼働させようとする人たちがいる。

 3.11、福島第一原発事故で、日本人は多くを学んだはずなのだが、学習効果は、残念ながら現れていない。
 

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by koubeinokogoto | 2015-10-21 18:12 | 原発はいらない | Comments(2)
 大手メディアがそろって、TPP交渉妥結に好意的な記事を掲げている。
 
 こういう時には、政府に忖度などしない貴重なメディアとなった日刊ゲンダイの記事を紹介しよう。

 10月19日付けの記事から引用。
日刊ゲンダイの該当記事

TPP交渉に首藤信彦氏「日本はイカサマ麻雀にハメられた」
2015年10月19日

米、カナダ、メキシコはグル

 4日間も延長し、「大筋合意」したとされるTPP交渉。安倍首相は「国家百年の計」「国益にかなう最善の結果を得た」と悦に入り、大マスコミは〈巨大経済圏の誕生〉〈参加12カ国の経済活性化〉と手放しでホメちぎっているが、真に受けたらダメだ。衆院議員時代からTPPの危険性を指摘し、米アトランタで開かれた閣僚会合をウオッチした反対派の急先鋒、TPP阻止国民会議事務局長の首藤信彦氏は、「安倍政権はTPPの罠に見事に引っかかり、タヌキの葉っぱを買わされた」と断じる。

――甘利TPP担当相が行司役として「大筋合意」をまとめたと伝えられています。

 甘利大臣は行司すらやってませんし、日本は交渉なんかしていません。他国は2国間協議で丁々発止やりあっているのに、日本は蚊帳の外だった。日本の交渉団メンバーは所在なさげに街中をぷらついたり、近くのホテルでコーヒーを飲んで時間を潰すありさまだったんです。アトランタ会合は猿芝居、つまりヤラセだった。開催前から内閣府が自民党議員や農業関係団体などに「必ず決めますから、ぜひ現地入りしてください」と触れ回っていたんです。おかしな話でしょう。自動車の原産地規制をはじめ、新薬のデータ保護期間や農産品など、問題は山積みなのに。前回のハワイ会合から2カ月足らず、たった2日間でまとまるなんて考えられない。「大筋合意らしきモノ」をつくりたかった日本の強い働きかけで形式的に集まっただけだったんです。

――アトランタ会合前に話はついていたということですか。

 要するに“シャンシャン総会”だったんです。閣僚会見後に行われた渋谷内閣審議官によるブリーフィングで、内閣府と農水省が大量のペーパー資料を配布したことでも分かるように、東京でお膳立てしてあったんです。来夏の参院選での争点化を避けたい安倍政権は、一刻も早く「大筋合意」という形をつくって予算をバラまき、批判の矛先をそらそうと焦っていた。それで、7月に開催された前回のハワイ会合ですべてのカードを切って決着させようとしたんです。ところが、思わぬ誤算が生じた。乳製品の輸出拡大を狙うニュージーランドと自動車の原産地規制にこだわったメキシコです。日本から見れば、最後の瞬間に会合をブチ壊され、米国はそれを止めようともしなかった。結果、ハワイは見送り。9月21~22日にサンフランシスコで日本、米国、カナダ、メキシコの4カ国が自動車をめぐって協議した。パニクった日本が折れて、部品の域内調達率を45%程度とすることになったのです。

 甘利大臣は、大筋合意をフライングして発表しようとしていたが、それも“デキレース”であり、“シャンシャン総会”だったからだ。

 まだ、アメリカは立法府の議会が機能しているので、TPPが発効しない可能性もある。その点についても、次のように首藤信彦は語っている。
過去にも、国連の前身の国際連盟や40年代のITO(国際貿易機構)など、主導した米国が議会に拒否されて参加しなかった例はいくつもある。米国はTPPにこだわる必要がありませんから、発効しない可能性が高いとみています。しかし、日本は日米並行協議を背負わされてしまった。全産業がリスクにさらされ、国のあり方そのものが変容する危機に直面しているのです。

 ゲンダイの記事はもっと長いので、ご参照のほどを。

 国のあり方そのものが変容する危機に直面している、という指摘には、まったく同感だ。

 マスコミ報道が、その本質的な問題を避けていることに対して、『わたくしは日本国憲法です。』の著者鈴木篤弁護士がブログで明確に指摘している。
 一部引用する。
「弁護士鈴木篤のつれづれ語り」の該当記事

なぜ「私たち消費者」なのか?ー消費者主義の落とし穴

TPPの合意成立を受けてのマスコミの報道のほとんどは、「TPPが成立したら、『私たち消費者』の生活にどういう影響があるか」という切り口の報道となっている。だが、ちょっと待ってくれ。TPPで問題となっているのは、各国の関税であり、TPPは、その関税を基本的には撤廃させようとするもののはずだ。
だからTPPはアメリカを中心に進められてきたグローバリゼーションを更に大きく進め、巨大資本が、世界中どこでも自由きままに振る舞えるようにすることを目的とするものだという指摘がされていることは、御存知のことと思う。ここでは、そのことについては、論じることを控える。
関税は、それによって、農業・漁業はもちろん、鉱工業や製造業などの産業を守り、それぞれの国の経済の自立性を守るために設定されるのが本旨である。
従って、TPPの合意による影響を報じるなら、何よりもまず、農業、漁業、鉱工業、製造業などの国内産業にとって、これがどういう意味を持つのか、食糧自給率は更に悪化するのか、それとも改善するのか、国内産業は、しっかりした土台の上に成り立つようになっていくのか、それとも自立経済はますます危うくなってしまうのか、こうしたことを、この国を支えている「生産者」の視点にたって議論し、報じることこそ求められているはずである。

 メリットvsデメリット論で語る問題ではない、ということだ。

 その議論の大半は、「消費者」にとって、という但し書きがつくものだから。

 「生産者」の視点や国の食の安全をいかに守るかという考え方、製造業の長期的かつ継続的な発展という視野での議論が求められる。

 輸入品が少しくらい安くなることで、この国の基盤が揺らぐことを看過するわけにはいかない。
 
 

 
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by koubeinokogoto | 2015-10-20 12:33 | TPP反対 | Comments(0)
 予想されたことだが、福島の子供たちの甲状腺がん発生率が、とんでもなく高いことが明らかになった。
 ハフィントンポストから引用。
ハフィントンポストの該当記事

「福島の子供の甲状腺がん発症率は20~50倍」 津田敏秀氏ら論文で指摘
The Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎
投稿日: 2015年10月08日 21時02分 JST 更新: 2015年10月08日 21時15分 JST

2011年3月の東京電力福島第一原発事故による放射性物質の大量放出の影響で、福島県内ですでに甲状腺がんが多発しており、今後さらに多発することは避けられない――。

こうした分析を、岡山大学大学院の津田敏秀教授(生命環境学・環境疫学)らの研究グループがまとめ、国際環境疫学会が発行する医学雑誌「Epidemiology」(インターネット版)で発表された。

8日に東京の日本外国特派員協会で記者会見した津田氏は「チェルノブイリ原発事故で4年以内に観察された甲状腺がんの多発と同様の現象が起きているが、日本国内ではこのことが理解されず、何の準備もされていない。よく準備して対策をとるべきだ」と訴えた。
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津田氏は、福島県内で2011年10月から実施されている、甲状腺がんの超音波スクリーニング検査の数値を分析した。

調査は事故当時18歳未満だった福島県民全員、約38万5000人を対象に、段階的に実施されている。このうち、2011~13年度に検査を受けた約30万人について、100万人あたり3人程度といわれる、ほぼ同年齢の日本全国での1年間あたりの発症率と比較した場合、福島市と郡山市の間で約50倍、福島原発周辺地域で約30倍、少ない地域でも20倍となった。2013年調査のいわき市で約40倍となるなど、潜伏期間を考慮すると発症率がより高いとみられるケースもあった。

 チェルノブイリの例から、これは予想されたことだった。

 しかし、国も福島県も、この問題について、適切な対策を施すどころか、誤魔化し続け、嘘をつきまくっていた。

 津田教授は、国や福島県の対応について、次のように実に真っ当な批判をしている。
1986年にソ連(現・ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故では、14歳以下の甲状腺がん患者の発生が5年目以降に急増したという。津田氏は「福島県内において甲状腺がんの著しい多発が起きていて、チェルノブイリで4年以内に観察された甲状腺がんの多発と一緒であり、チェルノブイリ同様、5~6年目以降の大きな多発は避けがたい状態だ」と指摘した。

福島県の検討委員会は8月31日時点で、事故当時18歳未満だった計104人が甲状腺がんと確定したことを明らかにしているが「現時点では原発事故の影響とは考えにくい」とし、理由としてスクリーニング検査による精度の向上や、治療の必要がないのに陽性と診断する「過剰診断」を挙げている。津田氏は「精度向上や過剰診断ではせいぜい2~3倍、あるいは6~7倍、1桁の上昇しか説明できない。統計学的な誤差の範囲もはるかに超えている」と、国や福島県の姿勢を批判した。

その上で「詳細な情報を与えるだけで、有害な暴露は桁違いに少なくなる。きめ細やかな、コストのかからない対策はいくらでも思いつく。被曝量の多い場所を見つけて滞在時間を少しでも短くすることで大きく変わってくる。不要な被曝を避ける手段が、まったくとられていない。福島県に住み続けなければならない人ほど、そういう知識をきちんと与えられなければならない」と指摘した。


 この問題については、以前にも書いている。
2015年3月26日のブログ

 これまで山下俊一をリーダーとする‘もみ消し’グループは、原発由来を否定してきた。
 山下俊一の後任達も、見事なまでに原発事故と甲状腺がんとの因果関係を認めない発言を繰り返している。

 因果関係を否定する理由として使われる‘スクリーニング効果’について、矢ケ崎克馬琉球大学名誉教授が明確に反論しているので、該当記事もご覧のほどを。


 津田教授の記事が朝日新聞本紙ではなくハフィントンポストであること。そして、記者会見の場が日本外国特派員協会であることが、福島第一原発事故を巡る現在のメディアの閉塞状況を物語っているように思う。

 3.11からしばらくは、震災や原発事故の特別ページなども設けていたメディアは、記事の扱いがあまりにも減っている。
 もはや、終わったこととしているのか。
 冗談じゃない。
 
 震災からの復興は進まず、いまだに二十万人近い人が避難生活を続けている。

 原発事故も、収束には長い年月がかかるし、放射能は東京にだって、どこにだっていまだに潜んでいる。
 東京新聞には、都内で高レベルのセシウムが検出されたことを報じている。
東京新聞の該当記事

都心の川に残る汚染 東証近くセシウム452ベクレル検出
2015年10月9日 07時05分

 東京電力福島第一原発事故による放射能汚染問題で、本紙は東京の都心を流れる日本橋川、神田川、隅田川の堆積物調査を実施した。初めて調査した日本橋川では、一キログラム当たり四〇〇ベクレル超の放射性セシウムが残る地点も確認された。昨年に続いて調査した隅田川も地点により上下はあるものの、汚染は残っていた。 (小倉貞俊、山川剛史)

 本紙は専門家の協力を得ながら、首都圏の主要河川や東京湾などの汚染実態調査を続けている。今回は八月から九月にかけ、橋やボートから専用器具を使って堆積物を採取し、独協医科大の木村真三准教授の協力により、高精度のゲルマニウム半導体検出器で四~十二時間かけて測定した。調査は十回目となる。

 その結果、東京ドーム(東京都文京区)近くで神田川から分岐し、皇居の北側、金融街を抜ける日本橋川では、堆積物も非常に多く、下流にいくほど濃度が高くなる傾向が見られた。今回の調査で最も高かったのが、東京証券取引所近くにかかる鎧(よろい)橋(中央区)の四五二ベクレルで、周辺の橋ではいずれも三〇〇ベクレル超の汚染が確認された。

 一方、神田川では、中流域で文京、新宿両区にまたがる白鳥橋周辺で堆積物も多く、一五〇ベクレル前後の汚染が残っていた。しかし、お茶の水、秋葉原を抜け隅田川に注ぐ手前までの間は堆積物は非常に少なく、汚染は確認されなかった。

 都によると、日本橋川も神田川も原発事故以降に大規模な浚渫(しゅんせつ)はしておらず、事故で降ったセシウムが、有機物を多く含む底の泥などに吸着され、たまり続けているとみられる。

 二回目の調査となる隅田川は、昨年のように三〇〇ベクレル台が相次ぐ状況ではなかったものの、河口域も含め全般的に二〇〇ベクレル前後の汚染が残っていた。

 調査結果について木村准教授は「いずれの地点も(一般の廃棄物とは分別した処分が必要となるセシウム濃度基準の)八〇〇〇ベクレルを上回るものではなかった。セシウム汚染は日常的に触れるものではなく、直接的な影響は極めて限られている。しかし、環境中に放出された放射性セシウムが今後どのような動きを示すか、継続的に監視していく必要がある」と指摘している。
(東京新聞)

 テレビや全国紙からは、なかなか伝わらないことだが、震災も原発事故も、まだ深く国民の生活を揺るがせている。

 定期的に全国各地で放射能汚染を計測し、適宜対策をとることが求められるし、それは国民の命を守る国の仕事だ。 

 五輪誘致の際に、安倍晋三は大嘘をついたが、いったいどこが「アンダー・コントロール」なのか。
 国民の生命が危険にさらされている状態を放っておく政府など、いらない。


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by koubeinokogoto | 2015-10-09 20:47 | 原発はいらない | Comments(4)
 入閣したとたん、脱原発派から、原発再稼働賛成・・・・・・河野太郎がブログを閉鎖したことについて、朝日から引用する。

朝日新聞の該当記事
入閣の河野太郎氏「脱原発」どうする ブログの公開中断
関根慎一 2015年10月7日23時55分

 自民党内きっての脱原発派として知られる、河野太郎衆院議員(麻生派)が初入閣した。河野氏はこれまで安倍政権の原発推進の方針に異議を唱えてきたが、7日の初閣議後の記者会見では持論を封印。また、原発再稼働を批判してきたブログは同日夜現在で「メンテナンス中」として、閲覧できない状態になっている。

 河野氏は自身のブログ「ごまめの歯ぎしり」で、安倍政権の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)再稼働について「核のゴミには目をつぶり、やみくもに再稼働しようというのは無責任です」と批判してきた。

 7日の記者会見で持論と政権方針との整合性を問われると「2012年の総裁選の時に、当時の安倍晋三候補は長期的には原子力への依存度を下げるとはっきりおっしゃっていた。ベクトルとしては同じ方向を向いている」と説明した。

 またブログを閲覧できなくしたことに関しては「今までは外から言っているだけだった。今度は政府内の議論でしっかりと言うべきところは言っていく」と述べ、言葉を濁した。河野氏の姿勢は今後、野党から追及の的となりそうだ。(関根慎一)

 河野太郎の「ごまめの歯ぎしり」を、実際にご確認にほどを。
河野太郎のブログ「ごまめの歯ぎしり」

 実に不思議な発言を、再度太字で紹介。

「今までは外から言っているだけだった。今度は政府内の議論でしっかりと言うべきところは言っていく」

 「外」、というのは「閣外」、という意味か。

 本来、内閣にいようがいまいが一人の政治家としての主張、主義、哲学などがあって然るべきで、閣僚になって、本人の人格が変わるものではないはずだ。

 しかし、閣僚となるにあたって、河野太郎は牙を抜けれたのだろう。

 ある意味で、自分の政治哲学や理念などより保身を優先する、現在のダメ政治家の姿を分かりやすく見せてくれたサンプルとも言える。

 河野太郎も、自民党も、すでに政治家、そして政党としての体をなしていない。
 自民党も公明党も、個々の政治家の有機的な組織ではなく、アメリカと一部の企業グループや富裕層のためだけを考える烏合の衆だ。議員としての「人数」しか、あてにされていない。
 そして、その数の暴力で、憲法違反も公約違反も、やり放題。

 今、日本は民主主義の危機を迎えている。 
 慌ててブログを閉鎖するような河野太郎が、獅子身中の虫になるのは、無理だろう。

 自民党と公明党は、3.11からの復興いまだ進まない被災地の人々や、消費税や公共料金の値上げ、そして実質賃金の減収に苦しむ大多数の国民の声の受け皿になっていないし、なろうともしていない。

 「一億総活躍社会の実現」などと安倍は言うが、活躍できるのは、衣・食・住の基盤があってこそ。いまだに、どれだけの国民が、満足な生活基盤を持っていないのか、重要なことは、活躍の前提の問題解決ではないのか。

 復興庁のサイトに避難者の数字が掲載されている。
復興庁サイトの該当ページ

 いまだに20万人近い人が、「避難」しているのだ。

 3.11、福島第一原発事故からの復興は、まだ途上にあるし、東京五輪による悪影響を受けてもいる。
 安倍晋三は、経済界や仲間うちと食べる豪華なレストランの食事中に、避難者のことに思いを巡らすことは、一切ないだろう。


 野党は、何をしているのか。

 共産党の「国民連合政府」構想、小沢一郎の「オリーブの木」構想などを元に、反安倍政治で野党は結束して独裁政権と立ち向かわなければならないのではなかろうか。

 とにかく、河野太郎には、がっかりだ。
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by koubeinokogoto | 2015-10-08 12:54 | 幸兵衛の独り言 | Comments(4)
 甘利や安倍は、まるでTPP交渉が上手くいった、と嘯いているが、とんでもない。

 自民党が2012年12月の衆議院選挙の公約(拙ブログ掲載ポスター参照)違反であり、「聖域は守る」とした国会決議違反であり、重要なその内容や意図について明らかにし議論の場を設けようとしないのは、説明責任の放棄だ。

 平成25年の第183回国会4月19日農林水産委員会の決議が衆議院のサイトに掲載されている。
衆議院サイトの該当ページ

 次のことが掲げられている。前段を省いて決議事項部分を引用する。


政府は、これらを踏まえ、TPP協定交渉参加に当たり、左記の事項の実現を図るよう重ねて強く求めるものである。

               記

一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。

二 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。

三 国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。

四 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。

五 濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。

六 交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。

七 交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。

八 交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。

 右決議する。

 これらの「決議事項」を忘れてはならない。

 国会無視、閣議決定優先、内閣の横暴、という安倍内閣による民主主義崩壊の一連の流れが、このあたりから始まったのかもしれない。

 この後紹介する北海道新聞の記事によれば、まっさきに取り上げられている「米」に関するアトランタでの合意事項は次のようになっている。 

米国向けに当初年5万トン(13年以降7万トン)、豪州向けに同6000トン(同8400トン)の無税輸入枠を新設。既存の輸入義務の枠内でも米国産の米を追加輸入。

 関税は維持した、と言うのが政府の言い分なのだろが、この「無税輸入枠」っていうのは、非課税で輸入するということで、実態としては完全な国会決議違反ではないか。

 こういった行為を、常識的には“ごまかし”と言う。

 自動車などでの輸出上の便宜や輸入食材が安くなるということと引き換えに、日本の農業は大きな試練を迎えることになる。

 北海道新聞から引用。
北海道新聞の該当記事

生産者「メリットない」「国会決議違反」 道内に懸念の声
10/06 06:15、10/06 08:08 更新

 収穫の秋たけなわの道内を5日、環太平洋連携協定(TPP)交渉の大筋合意という激震が見舞った。コメや小麦、乳製品や牛肉、豚肉など広範な品目で、関税が段階的に引き下げられたり輸入枠が拡大されたりする。今後、外国産の安価な農産物との厳しい競争に直面することが、一気に現実味を帯びてきた。生産者からは「メリットがない」「国会決議違反だ」などと、懸念の声が出た。

 「厳しい結果だ。地域の存続にもかかわる」。旭川市郊外の東旭川町瑞穂地区で水田13ヘクタールを営農する大橋政美さん(58)はこう話す。大橋さんは東旭川農協の稲作協議会長。同農協は自家精米や天然有機肥料で栽培したブランド米を販売し、東京都内にも販路を広げる努力を続けてきたという自負がある。ところが今後は外国産米が大量に流入してくることも予想され「(市場が)値段の安さばかりを求めることにならないか」と危惧する。

 主食用のコメは関税こそ維持される一方、米国とオーストラリアに無関税の特別輸入枠が設定される。空知管内新十津川町で水稲約23ヘクタールを作付けする井向一徳さん(53)も「コメの消費は毎年減って余っており、昨年産の米価暴落で農家は苦しんでいる。今回の交渉結果は輸入を増やして米価を押し下げる可能性があり、政府の姿勢は理解できない」と憤る。

 小麦も、国産小麦との価格差を小さくするために輸入品に掛けているマークアップ(輸入差益)と呼ばれる事実上の関税が削減される。十勝管内音更町で小麦約39ヘクタールを作付けする畑作農家の津島朗さん(54)は「小麦を作っても赤字になるようなら、農家はつくらなくなる。農業が守られないまま大筋合意するのはあってはならない話。農家にはメリットはなく、食の安全も守れない」と、政府の交渉姿勢を批判した。

 「全員が競争原理の中で進んでいけるわけではない。家族主体の経営でも生き残れる道を示してほしい」。搾乳牛120頭などを飼育する根室管内別海町の酪農家兼松真武さん(38)はこう訴える。乳製品は、バターや脱脂粉乳について生乳ベースで当初計6万トン、6年目以降は7万トンとするTPP輸入枠が設定される方向だ。今後は価格下落なども懸念され、兼松さんは「コスト削減はもう限界。どんな対策を取っていけばいいのか」と困惑する。

 毎日からも引用。
毎日新聞の該当記事

TPP大筋合意:「コメ聖域」何だった…農家困惑
2015年10月06日 01時15分(最終更新 10月06日 09時35分)

 安倍晋三首相の交渉参加表明から約2年7カ月。日米など12カ国間で貿易や投資を高い水準で自由化する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が、各国の利害を巡る攻防の末、大筋合意に至った。「輸入品が安くなる」「農家が受ける打撃は大きい」。暮らしに大きく影響する可能性が高い枠組みに、期待と不安、困惑が交錯した。

 「『農産物、特にコメには手をつけない』とした国会決議は何だったのか」。宇都宮市今里町で水稲を12ヘクタール、イチゴを42ヘクタール作付けする手塚安則さん(60)は憤る。全国的に豊作だった昨年は、栃木県産コシヒカリ(1等)の農家に仮払いされる「概算金」(60キロ当たり)は8000円と史上最低。コメ余り状況が続く中、「コメは聖域」と繰り返す地元の自民党議員らに期待を寄せてきたが、「輸入米がこれ以上増えると、さらに価格低下は避けられない」と懸念する。

 秋田市の5ヘクタールで「あきたこまち」と備蓄米を生産する鈴木万喜夫さん(66)も「国内農業を成長分野にするという政府の主張はうそっぱち。国会での批准など手続きはまだ残っている。これからもデモや集会で反対を訴え続けたい」と話す。

 北海道旭川市の米農家、谷口裕次さん(44)も落胆を隠さない。

 国による生産調整(減反)に振り回されながら、父から受け継いだ8.5ヘクタールに加え、他に15ヘクタールを借り、今後も新たに4ヘクタールを追加する予定だ。だが、分散した水田で草刈りや農機を運ぶ手間も増え、産地交付金などの補助金で何とかやり繰りしているのが実態。「規模の拡大にも限界がある」と嘆く。

 アメリカでは、今回の合意内容に対して不満の声が少なくないようだ。
 議会が妥結を認めない可能性もある。

 日本も、国会で論議すべき内容である。
 国民にも内容を、より明白に提示すべきだ。
 交渉のためにアトランタの会議終了までは内容を非開示にしてきたことは分からないではないが、合意内容は明らかにしないと、論議のしようがない。
 もちろん、安倍政権は、論議の遡上に上げたくないのだろうが、そんなことは許されない。

 くどいようだが、国会で論議すべき重要事項だ。

 二年前の衆議院での決議事項にも、次のように明確に記されているじゃないか。
七 交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。


 野党の衆議院議員は、この証拠を元に、国会での議論を行うよう、強く迫るべきだ。

 メディアも然り、なのだが、新聞の論調は、安倍内閣、自民党への追求の切っ先が、なんとも鈍くなった。
 新たな市場の誕生を歓迎する記事も目立つ。おいおい、なのだ。

 自動車やコンビニを海外に輸出できたり、輸入食材が安くなるメリットの代りに失うものについて、もっと深く掘り下げた記事を見かけないのが、あまりにも残念だし、腹立たしい。

 一部の産業のみ恩恵を受け、国の基本である農産業を今まで以上に疲弊させる行為には、断固反対だ。
 また、ISD条項も、大きな問題である。

 自民党は民主党政権時代の平成24年3月9日付けで、TPPに関する号外(The Fax NEWS)を出している。
 発行は、自由民主党広報本部で、編集責任は広報本部長の甘利明と記載されている。
自民党の2012年3月9日の号外

 その内容を引用する。

TPP交渉参加の判断基準
① 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
② 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
③ 国民皆保険制度を守る。
④ 食の安全安心の基準を守る。
⑤ 国の主権を損なうようなISD条項(注)は合意しない。
⑥ 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
(注)ISD条項…外国政府の差別的な政策により何らかの不利益が生じた場合、投資家(Investor)である当該企業が相手国政府(State)に対し、差別によって受けた損害について賠償を求める(Dispute)権利を与えるための条項。これが濫用されて、政府・地方自治体が定める社会保障・食品安全・環境保護などの法令に対し、訴訟が起こされる懸念があります。
わが党は、政府が11月と同様に二枚舌を使いながら、国民の知らないところで、交渉参加の条件に関する安易な妥協を繰り返さないよう、政府に対して、上記の判断基準に沿うことを強く求めていきます。

 野党の時の「判断基準」は、なかなか結構ではないか。
 しかし、その後の豹変ぶりが、どうなっているのか。

 自民党は民主党に対して「二枚舌」と非難しているが、自分たちは、三枚舌、いや、百枚舌ではないのか。

 忘れてはいけない。
 自民党は、三年前、「TPPに反対」と、今になっては大嘘をついて、この年の12月の衆議院選挙で大勝したのだ。

 注まで付けて危険性を説明しているISD条項も、アトランタでの合意には含まれている。

 なぜ、こんな誤魔化しを許すことができるのか。

 メディア、国会議員、そして国民は、自民党が自ら掲げた主張を元に、アトランタの合意事項を検証すべきだろう。
 そうすれば、TPPには、本来参加できないはずなのだ。

 古い話、として安倍内閣は2012年のことを持ち出されるのを嫌がるだろう。
 しかし、たった三年前のことであり、この嘘まみれの公約を信じて多く農業関係者が自民党の一票を投じただろうし、そのおかげもあっての大勝利があり、現在の政権につながったのである。

 どうも、日本人の良さでもあるとは言え、多くのメディアや国民も、「喉元を過ぎて熱さを忘れている」ように思えてならない。

 特に民主党を含む野党は、三年前のことを、忘れてはならない。

 安倍政権が倒れるまで、拙ブログでは、大嘘のポスターを掲載し続ける。
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by koubeinokogoto | 2015-10-07 12:53 | TPP反対 | Comments(0)
 10月2日の小沢一郎の談話を、「檄文」と形容して日刊ゲンダイが取り上げているので、引用したい。
日刊ゲンダイの該当記事

野党の“青二才”に業煮やし 小沢一郎氏が「檄文」に込めた決意
2015年10月4日

〈政権交代を目指さない野党連携は単なる子どもの遊び〉――生活の党の小沢一郎代表が2日、「政権交代こそ野党連携の最大の目的」と題する談話を発表した。内容は青臭い書生論に固執する主要野党に業を煮やした印象だ。野党のお子ちゃま議員は〈違憲立法を許すならば戦前の昭和史を繰り返す〉と国民の不安を代弁した小沢の「檄文」に瞠目すべきだ。

 次の選挙で国民をナメきった安倍政権に目にモノを言わせたいが、その受け皿となり得る政党がない。選挙のたびに戦後最低を更新し続ける投票率が、国民の〈忸怩たる思いの表れ〉と小沢は指摘し、〈野党再編の最大の目的は次の総選挙で政権を取ることにある〉〈この前提を抜きにして、何を言っても始まらない〉と改めて強調した。

 先日、共産党の志位書記長が提唱する「国民連合政府」構想に難癖をつける民主党の幹部についての小言を書いたが、小沢一郎も彼らに対して強い不満を抱いていることが、よく分かる。
 来夏の参院選での野党連携に向け、〈最善の策は何か。各党が解党して1つの党をつくることだが、現実的になかなかそこまでいかない。次善の策は(比例代表選を)統一名簿、つまり『オリーブの木構想』で戦うこと〉と提案。既存政党とは別に選挙の届け出政党をつくり、そこに各党の候補者が個人として参加する構想で、そのメリットを〈単なる選挙区調整では自党候補が選挙区から出ないと、どうしても比例区の応援に力が入る。選挙区も比例区も一緒に戦えば、本当の力の結集になる〉と説明した。

 「オリーブの木」について、Wikipediaから引用。

Wikipedia「オリーブの木」
1994年の第12回総選挙で勝利した中道右派連合は、シルヴィオ・ベルルスコーニを首相に政権運営を担ったが、ベルルスコーニの汚職疑惑によりわずか1年で崩壊した。第12回総選挙を政党連合「進歩主義者」で臨んだものの敗北した中道左派連合は、ベルルスコーニ政権総辞職後に発足したランベルト・ディーニ率いる非政治家内閣を信任、政権への影響力を持つ一方で次期総選挙に向けて中道勢力との連携が課題であった。

ディーニ内閣が上下両院で承認された翌日、経済学者のロマーノ・プローディは中道左派勢力を結集する市民運動を開始することを表明、シンボルを「オリーブの木」とした。運動名を「オリーブの木」にした理由は、「平和の象徴で、丈夫で実がなる」ことからである。

プローディの「オリーブの木」構想に賛同したのは野党第一党の左翼民主党(PdS)で、書記長のマッシモ・ダレマは「オリーブの木」への参加を表明、前回選挙を「進歩主義者」で戦った各党も参画した。しかし左派の共産主義再建党(PRC)はプローディが旧与党勢力のキリスト教民主主義(DC)出身でDC政権において閣僚経験があることから警戒し、参加を見合わせたものの選挙協力には同意した。

「オリーブの木」は旧イタリア共産党系のPdSが中核であるものの、プローディを首相候補にしたことから共産主義の色彩を抑えることに成功した。1996年の第13回総選挙ではベルルスコーニ率いる右派連合を抑え、議会最大勢力に躍進した。

 当時のベルルスコーニ政権にも負けない(?)、いや、もっと国民にとっては危険なのが安倍政権だと思う。
 反安倍政権で野党が結託できないのであれば、日本の政治はイタリヤより相当にレベルが低いということになるだろう。

 小沢一郎は、「オリーブの木構想」を、数年前から口にしている。
 それは、彼が自民党を辞めた時に構想した二大政党制とは違うし、その後の小沢の行動は、必ずしも支持できないこともある。
 しかし、何度か書いてきたが、アメリカが小沢潰しを画策し、それを自民党、なかでも安部政権が後押ししたのだ。
 安倍政権の暴走を阻止するための戦略として、私は小沢一郎の構想を、十分に理解できる。

 今こそ、野党は反安倍政治で結束すべき時だ。
 国会前や全国各地でデモに参加し、また、個人それぞれの臨み方で反安倍政治に立ち上がった国民の受け皿をつくるべきであろう。

 小沢一郎の次のような怒りも、もっともだと思う。
 民主党は特に保守系が細かな政策の一致にこだわり、野党総結集に二の足を踏む。維新にいたっては「大阪系」と「非大阪系」が分裂。ただでさえ少ない党勢を分散させ、多すぎる野党の数をまた増やすなんて愚の骨頂だ。

 いわゆる「蝸牛角上の戦い」をしている場合ではない。
 何を共通項にして、国民の総意を得て次の選挙を戦うべきは、小沢一郎は言うように明白である。
 小沢は〈野党連携の政治的な旗印は、「非自公」「反安保法」など主要政策の一致で良い〉〈野党連携実現の肝は、各議員の「自分を捨てる」「自分を殺す」という利他の精神。「オレがオレが」と主張していては大事を成就できない〉と踏み込んだ表現で苦言を呈した。

 私は、小沢一郎の主張、そして「オリーブの木構想」を支持する。

 民主党の幹部は、前原のように条件付きとはいえ集団的自衛権を認める党員を除名してでも、「反安保法」「非自公」などを旗に掲げて、国民連合政権を目指す「オリーブの木構想」に瀬極的に参加し、野党の結束のために行動すべきであろう。
 
 とはいえ、共産党の国民連合政府構想、小沢一郎のオリーブの木構想を統合した受け皿をつくるには、まだまだ、戦略、戦術は必要だろう。

 イタリアのオリーブの木構想が経済学者のロマーノ・プローディであったことで結束できたように、リーダーとして政治家ではない顔が必要だと思う。

 もしも、引き受ける気があるなら、内田樹だっていいだろうと思う。

 あるいは、反原発から反安保法案運動なども含め精力的に活動し、国民運動のシンボル的存在とも言える落合恵子をリーダーに立てることも考えられる。
 
 そうなれば、オリーブではなく、「レモンの木構想」と銘打ってもいいじゃないか。

 結構、落合恵子とレモンの木、悪くないのではないか。
 かつて深夜放送で「レモンちゃん」として親しんだ中高年も多いだろうし、若者にも彼女の今は知名度は上がっているはず。

 オリーブの木でもレモンの木でもいいのだが、野党は小異を捨てて結束し、反安倍政治の国民の声や行動の受け皿をつくることが、最優先の課題であると認識すべきではなかろうか。

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by koubeinokogoto | 2015-10-05 12:49 | 幸兵衛の独り言 | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛