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 更新に少し時間がたったが、前回の記事は、共同通信のウェブサイト、47NEWSから、川内原発の放射能モニタリングポストが十分に機能していない状態で、再稼働したことを紹介した。

 あのニュースは、朝日も独自の詳細な記事を掲載していたが、たまたま共同通信の内容を引用した。
朝日新聞の該当記事

 なんと、その朝日の記事に対し、原子力規制委員会とグルになって、産経が因縁をつけたことを「HUNTER」が報じているので、ご紹介したい。
「HUNTER」の該当記事

線量計報道の後追い記事削除 産経の卑劣な朝日叩き
2016年3月23日 09:45

 川内原発の30キロ圏内に設置されたモニタリングポストの半数が、重大事故時の緊急避難を判断する放射線量(500マイクロシーベルト)を測れないことを報じた朝日新聞の記事に、原子力規制委員会が筋違いの猛反発。双方が反論、再反論を行うという異例の展開を見せるなか、権力側に立って朝日叩きに躍起となったのが産経新聞だ。
 朝日の第一報を受けて規制委が反論を公表した15日以後、規制委側の言葉を借りるなどしてその報道を批判。誤報騒ぎの再燃を狙ったと見られていたが、主張はお粗末。朝日叩きの手口も、“卑劣”と言うに相応しいものだった。

産経の朝日叩き
 朝日の報道内容と規制委側の見解については、18、22の両日に報じた通り。鹿児島県における放射線監視態勢や避難計画の不備に警鐘を鳴らした朝日の記事は、説明不足とはいえ、誤報扱いされるようなものではない。

 一方、新規制基準に基づき川内原発再稼働にゴーサインを出した規制委は、避難計画が審査対象外であったにもかかわらず、朝日の報道を激しく非難。田中俊一委員長は、「犯罪的」という表現で朝日の記事を罵り、報道への圧力を強める姿勢を示している。

 双方が反論、再反論を行うという異例の展開を見せるなか、他の大手メディアはいずれも沈黙。産経新聞だけが、一連の動きを追いかけ、この時とばかりに朝日叩きを行っていた。時系列に従ってネット上で産経の報道を追うと、次のような見出しが並ぶ。

 ◇「言ってないこと書いた」原子力規制庁、朝日記事に抗議 川内原発の観測装置めぐり(3月15日)

 ◇朝日の記事「原発の不安あおる」 鹿児島県、規制委が猛反発 川内原発周辺のモニタリングポストに有識者「問題なし」 (3月16日) 

 ◇朝日記事「非常に犯罪的だ」、規制委が定例会で批判 川内原発の観測装置報道「立地自治体に無用な不安を与えた」と(同)

 ◇問題となった朝日新聞の記事(同)

 原子力委員会の朝日への抗議も論外だが、その尻馬に乗る産経は、まさに“ゲス”ではなかろうか。

 産経には「新聞」の名を語って欲しくないものだ。

 政府広報紙「産経」でよいのではなかろうか。

 また、やることが稚拙で品がない。
 「HUNTER」によると、産経も同様の記事を共同通信からの配信を元に報道していたのに、朝日叩きのため、サイトから該当記事を削除したとのこと。

 産経は、自社の流した線量計についてのニュースを棚に上げ、いったんは追いかけた朝日の報道を、規制委などの言葉を借りて攻撃していた。卑怯、姑息、悪辣……。どれだけ並べても、この新聞のやった行いを表現することができない。それほど悪質。まともな報道機関のやることではあるまい。

 一体、どういう神経をしているのか――。一読者として、産経新聞側に話を聞いた。応対したのは、産経の記者だ。

 Q:朝日新聞の線量計報道を批判しているが、産経も同じ内容の記事を配信していたのではないか?
 ―― あれは、共同通信が配信したもの。

 Q:どこの配信だろうと、「産経ニュース」として流した以上、産経の報道と見るのが普通。しかも、記事には「共同」の二文字は入っていない。
 ―― 内輪の話だが、共同の配信モノを、そのまま流すことがよくある。

 Q:説明になっていない。記事には「同県への取材で分かった」という記述があり、読者は産経の記者が取材したものとしか思わない。
 ―― ……。

 あとは何を聞いても逃げの一手。自社サイトの記事を削除した理由も、その後の朝日叩きについても、きちんとした説明を聞くことはできなかった。

 共同の配信記事を確認もせずに垂れ流しているとすれば、それは検証能力を欠いた証拠。他社の記事を批判する資格などあるまい。産経は、線量計報道後の規制委の反応を見て、朝日叩きに利用できると判断。身勝手な方針転換を行い、ネットの記事を削除したということだろう。規制委田中委員長の言葉を借りるなら、産経の行為こそ「犯罪的」だ。

 ひどいものだねぇ。
 通信社を悪者にしかねない、無責任さ。

 共同は、ペナルティとして産経への配信をやめるか、料金を倍にしてはいかがか。
 
 調査報道を理念とする「HUNTER」の記者からは、産経や自民党広報紙の読売の記者のやっていることは、単なる通信社の配信や記者クラブからの情報を垂れ流しているだけに見えるだろう。

 もし、川内で何かが起きてから、放射能量が正しく測れず、避難勧告が遅れた場合に多くの方が被害に遭う可能性があるが、原子力委員会も産経もその責任をとることはないだろう。

 産経は、また、都合の悪い記事をサイトから消すに違いない。

 消えて欲しいのは、産経よ、あなたたちジャーナリストの自負も矜持も失った媒体そのものである。

 
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 原子力規制委員会は「原子力ムラ寄生委員会」に堕ちてしまったが、それにしても、酷い事実が判明した。
 
 共同通信の記事を引用。
47NEWSの該当記事

川内原発の放射線測定、性能不足
監視装置の半数で

2016/3/14 11:40

 昨年再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)周辺の放射線監視装置(モニタリングポスト)のうち、ほぼ半数の48台中22台が事故発生時の即時避難の基準となる高い放射線量を測定できないことが14日、同県への取材で分かった。監視態勢が不十分なまま、再稼働したとの批判が出そうだ。

 国の指針では重大事故時、被ばくのリスクが高い5キロ圏の住民はすぐに避難。5~30キロ圏はまず屋内に退避し、ポストの数値で避難の必要性を地域ごとに判断する。毎時500マイクロシーベルト以上は即時に避難、毎時20マイクロシーベルト以上が1日続いた場合は1週間以内に避難させる。

 県への取材で判明、ということは、鹿児島県も九州電力とグルになっていた、ということか。

 万が一のことは、起こってはいけないが、それに備えなければならないのが、原発という、人類が本来管理できない巨大で危険なシステムなのである。

 前回の記事で紹介したが、福島第一原発の事故を防ぐ機会は、いくらでもあった。

 原発そのものを稼働させない、ということは除外するにしても、10メートルを超える津波は想定できていたのに、対策を怠ったのも大事な機会損失であり、失態である。
 
 もし事故が発生した場合、放射能汚染の状態を測定・管理して適切に地域住人を避難させるのも、当然の義務。放射能を的確に測定するのは、基本の基本なのである。

 いくら放射能が漏れているか分からないのでは、事故現場に行くことさえためらわれる。

 何を規制委員会は検査したのか。何をもって鹿児島県は再稼働を認可したのか。

 あれから五年・・・しかし、歴史の悲劇を学ばない人が、たくさんいるのだ。

 彼らの犠牲になるなんて、まっぴらごめんである。

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 「あれから五年」という言葉がメディアを賑わわせているが、決して、大震災も福島第一原発事故も、復興には遠い地点にとどまっている。

 五年経とうが、十年経とうが、決して忘れてはならないことがある。

 原発事故の原因は、決して「天災」ではなかった、ということだ。

 岩上安見さんの「IWJ(Independent Web Jornal)」に、福島第一原発事故が「人災」である証拠が見つかった、というスクープ記事が掲載されている。

 まず、前半部分を引用したい。
IWJの該当記事

【スクープ速報!】「想定外の巨大津波」は、実は想定の範囲内だった! 震災から5年、東電が「巨大津波」を予測できていた「新証拠」について、福島原発告訴団・代理人の海渡雄一弁護士が岩上安身のインタビューにこたえて証言!

※公共性に鑑み、ただいま全編公開中!

 事故当時、東電は巨大津波を予測できていた――そんな新証拠が存在するという。

 福島第一原発事故をめぐり、2016年2月29日、検察審査会から「起訴議決」を受けた東京電力の勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3人について、検察官役の指定弁護士が業務上過失致死傷の罪で強制起訴を決定した。

 起訴状によると、3人は原発の敷地の高さである10メートルを超える津波が襲来し、建屋が浸水して電源喪失が起き、爆発事故などが発生する可能性を事前に予測できたのに、防護措置などの対策をする義務を怠ったとしている。

 実は、起訴状の中身を裏づける、当時の東電が巨大津波を予測していた決定的な「新証拠」があるという。告訴団代理人の海渡雄一弁護士が2016年3月10日、岩上安身のインタビューで明かした。

 東電は福島第一原発事故の主な原因を「想定外の巨大津波」であると結論づけているが、新証拠が事実であれば東電の従来の主張は覆り、「想定外の原発事故」は予測できた「人災」だったことになり、東電幹部らの刑事責任は避けがたいものとなる。

 2月29日に、ようやく強制起訴となったが、検察審査会での起訴議決は、2014年夏のことだった。
 当時、東京新聞を引用して記事を書いたが、その時点でも、「人災」の疑いは十分に匂っていた。
 当時の記事を再掲載したい。なお、東京新聞のリンクは、すでに切れている。
2014年8月1日のブログ

-------------2014年8月1日のブログから引用----------------------

東京新聞の該当記事

大津波の恐れ報告 東電元会長出席の会議
2014年8月1日 07時09分

 東京電力福島第一原発の事故が発生する約三年前、東電の勝俣恒久元会長(74)が出席した社内の会議で、高さ一四メートルの大津波が福島第一を襲う可能性があると報告されていたことが、三十一日に公表された東京第五検察審査会の議決で分かった。これまでの東電の説明では、勝俣氏は大津波の可能性を知らないとされ、本人も検察に同趣旨の供述をしていたが、検審は「信用できない」と否定、起訴相当と判断した。東京地検は同日、議決を受け、再捜査することを決めた。 (加藤裕治、加藤益丈)

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 議決によると、この会議は二〇〇七年七月の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発(新潟県)が被災したのを受け、〇八年二月に開かれ、福島第一の津波想定を七・七メートル以上に変更する資料が配布された。出席した社員から「一四メートル程度の津波が来る可能性があるという人もいて、考える必要がある」との発言もあった。

 検察側の捜査資料にあった会議のメモなどから、検審はより詳しい報告や議論もあったと判断。出席していた勝俣氏は大津波の可能性を知りうる立場にあり、「東電の最高責任者として各部署に適切な対応策を取らせることも可能な地位にあった」と結論付けた。

 これまでの東電の説明では、大津波の可能性は原子力部門で試算され、武黒一郎元副社長(68)でとどまり、勝俣氏や他部門の幹部には知らされなかった、としていた。

 この会議には武黒元副社長も出席。報告を聞き「(東北電力)女川(原発)や(日本原子力発電)東海(第二原発)はどうなっている」と尋ねていたことが議決から明らかになった。

 東海第二原発は〇七年に茨城県が公表した津波想定に基づき、ポンプ室の側壁の高さを四・九メートルから六・一メートルにかさ上げ。東日本大震災で五・四メートルの津波が襲ったが、冷却に必要な電源を確保でき、福島第一と明暗を分けた。

 歴代幹部のうち勝俣、武黒両氏と、武藤栄元副社長(64)の三人が起訴相当と議決された。津波の情報を知っても、判断する立場にない二人は不起訴相当、対策を決める権限がない一人は不起訴不当と議決された。

 起訴相当の三人については、仮に地検が再び不起訴としても、別の市民による検審が起訴議決すれば、強制起訴される。(東京新聞)


 この件、東京新聞は社説でも扱っている。一部引用する。ちなみに、朝日、毎日も社説はこの件だったが、当然のように読売は違うネタ。
東京新聞の該当社説
 東北電力の女川原発(宮城)は津波に備えて、三十メートル近くに「壁」をかさ上げしたのとは好対照だ。東電が対策を怠ったのはなぜなのか。市民はこう考えた。

 「原発の運転停止のリスクが生じると考えたとうかがわれる」「東電は対策にかかる費用や時間の観点から、津波高の数値をできるだけ下げたいという意向もうかがわれる」−。この推察は、国会事故調査委員会が「シビアアクシデント(過酷事故)対策を経営上のリスクとしてとらえていた」と指摘したこととも響き合う。

 東電は〇六年段階でも、津波によって非常用海水ポンプが機能を失い、炉心損傷に至る危険性があることや、全電源喪失の危険性があることも分かっていた。それを市民は議決文に書き込んだ。

 東電幹部六人のうち、津波の情報に接していても、判断できない立場の二人は「不起訴相当」にし、一人は「対策の決定権がなかった」とし、「不起訴不当」にとどめた。冷静さが感じられる。「起訴相当」としたのは、情報を知りつつ、判断できる立場の幹部に絞り込んだわけだ。

 業務上過失致死傷罪での刑事責任を問うテーマをふたたび検察が負うことになった。東電を強制捜査もせずに、「想定外だから罪は問えない」と一蹴した判断をそのまま維持するのか。被災者らは注視している。「人災」なのか、その真相に肉薄してほしい。

 ようやく、責任を明確にするための動きが出てきた。
 福島第一原発事故は、紛れもなく、“人災”であった。
 もちろん、大地震、大津波という自然災害が関係はしているが、地震大国日本で原発を稼動させる以上、その対策を講じるのは当然の企業責任であり、東電はそれを怠った。
--------------------引用ここまで--------------------------------------------

 かつて、原子力発電所の活用が、国策であったことは事実だろう。
 しかし、その安全対策のすべてを国の責任に帰すことはできない。
 東電をはじめとする電力会社は、国の庇護の元で大きな経済的な恩恵を受けてきた。
 安全確保は、民間企業の責任として当然行われるべきものだったし、今後も継続して安全を最優先にすべきである。

 それだけ、制御するのが難しい、巨大なシステムなのだ、原発は。

 IWJの記事に戻る。岩上安見が、海渡弁護士にインタビューしている内容。
 動かぬ「証拠」の存在が明白だ。
 
岩上「2月29日、福島第一原発事故をめぐり、検察審査会から基礎議決を受けた東京電力の勝俣恒久・元会長、武黒一郎・元副社長、武藤栄・元副社長の3人について、検察官役の指定弁護士が業務上過失致死傷の罪で強制起訴されました」

海渡「告訴事件では僕はこの被害者側の代理人をしています。実は7月に開催された2回目の検察審議会議決内容が画期的なものでした。東京電力は2007年12月の段階で、福島沖でも大きな地震と津波が起きる可能性を踏まえ、対策を取らなければならないという方針を決めていたのです。津波対策を預かっている部局がそう決めていたのです。武藤氏も加わった状態で決めていました。

 翌年の2008年の3月にシュミュレーションをやって、福島第一に15.7mの津波が来ると言う計算結果が出ていました。これに基づいて、2008年の3月末に耐震バックチェックの中間報告があり、最終報告までには津波対策をきちんとやりますと説明することになっていました。証拠として、県に説明するためのQA資料が残っています。これは、つまり社の方針です。

 2008年の6月、津波対策案がまとまり、土木調査グループが武藤氏にその案を持っていきます。案では、10メートルの地盤の上に10メートルの防潮堤を立てる計画が立てられていました。しかし、武藤氏はその1か月後に、防潮堤建設をやらないと決めました」

岩上「知らなかった、どころではなく、津波対策の計画が実際にあり、それを東電のトップが却下したのですね」

 この経営陣の誤った判断を修正しようと努めた東電社員がいたことを、海渡弁護士は、次のように語っている。
海渡「この話は司法記者クラブで何度も話しているんですけどね。2008年9月10日の資料です。東電では、同年7月31日に津波対策をやらないことに決めました。その1か月後の耐震バックチェック説明会での議事録にこんなことが書かれています。

 まず、『津波は機微事項だから回収 議事メモには残さない』と記載されています。そういうことで配られたメモです。

 このメモには、『予備津波に関する学識経験者のこれまでの見解および推本の知見を完全に否定することが難しいことを考慮すると現状より大きな津波高を評価せざるをえないと想定され、津波対策は不可避』と書いてあります。つまり、武藤氏は津波対策を先延ばしにしろと言ったわけですが、現場の担当者はやる必要があると、あきらめきらないで粘り、訴えた人もいたということです。

 東電の当時の経営陣は、もう逃げられない。

 彼らは、法の裁きを受けるべきだし、あの原発事故により避難生活に苦しんでいる人や、甲状腺ガンを発症した若者たちに、永久に東電として補償しなければならない。

 「安全神話」を世間にまき散らし、「事故は起こらないこと」になっているとして、不可欠な自然災害への対策を講じなかった責任は、あまりにも大きい。

 「人災」を「天災」と誤魔化すことは、「天」が許さない。
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 「電力自由化」に関連するCMを、あちらこちらで目にするようになった。

 騙されてはいけないが、この「自由化」は、原子力ムラにとっての隠れ蓑でもある。
  日刊ゲンダイから引用する。(太字は管理人)
日刊ゲンダイの該当記事

値下げ競争の裏に原発再稼働 電力自由化に騙されるな
2016年3月9日

 来月から家庭向けの電力小売り自由化がスタートする。ガス会社や石油会社、商社など、全国で100社以上が新たに参入予定で、大手通信会社は携帯料金とのセット割を打ち出すなど、ド派手なCM合戦が連日、繰り広げられている。

 電気代が少しでも安くなるなら……と、乗り換えを検討している家庭も多いだろうが、電力自由化のお祭り騒ぎの裏には、経産省と原子力ムラの深謀遠慮があることを知っておくべきだ。

経産省は電力自由化後も、原発の廃炉費用を電気料金に転嫁する方針です。発電事業者が電力を各家庭に届けるため、自前でインフラ整備をすることは難しいので、既存の大手電力会社の送電網を使う。その際、電力会社に『託送料金』を支払いますが、そこに廃炉費用や電源開発促進税が上乗せされる。つまり、自由化で再生可能エネルギーを選んだ人も、一律に原発関連費用を負担することになるのです。どう見ても、原発再稼働ありきでつくられた仕組みで、完全な自由化とは程遠い。自由化で電力が安くなるといっても、せいぜい5%程度、電力大手の独占体制が崩れるわけでもない。消費者にとってのメリットより、電力会社が生き残ることを優先した仕組みにしか見えません。経産省と電力会社の間で、電力自由化を導入する代わりに、原発再稼働を強力に進めるという密約があったともいわれています」(ジャーナリスト・横田一氏)

 この度の電力自由化のどこが「自由」なのか。

 廃炉費用や電源開発促進税が上乗せされることを、大手メディアはほとんど伝えようとしない。

 3.11を目前にして、「あれから、五年」といった特別番組があちこちで組まれているが、この五年間で、いったい何を日本は学んだのか。

 たしかに、変わったこともあった。
 たとえば、「世界一きびしい規制」という、新たな“神話”が生み出されたことではないのか。

 実際には、規制は以前より緩くなったとしか思えない。
 一例として、「免震重要棟」は、まったく“重要視”されていない。

 そもそも、再稼働には「免震重要棟」の設置が大前提だった。新たな規制基準には「基準地震動による地震力に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにする」と明記されているが、それすら守られていない。九電は川内原発の再稼働後に、免震重要棟の新設計画を撤回してしまった。コスト削減のためだ。再稼働さえしてしまえば、後は何でもアリということか。こういうフザケた態度に出ても、原子力規制委は再稼働の許可を取り消そうとはしないのだから、やりたい放題になる。

 福島第1原発は、免震重要棟があったことが不幸中の幸いだった。事故対応の拠点として機能したことは周知の事実だ。にもかかわらず、コストを理由に電力会社は設置を見送る。免震重要棟は高浜原発にもないが、規制委は再稼働に「OK」を出したのだ。

免震重要棟が、安全基準ではなく『コスト』の問題として語られる。福島の悲惨な事故から何の教訓も得ていないのかと情けなくなります。海外に原発を売りまくり、倫理よりも利益を重視する安倍政権だから、こういうデタラメな論理がまかり通ってしまう。廃炉や核のゴミ処理、万が一の事故対応まで含めたら、原発のコストは本来、他のどの発電より莫大なのです。だから、国のエネルギー基本計画にも『運転コストが低廉』としか書かれていない。老朽原発を次々に動かそうとしているのも、新規に造るよりも既存の原発を動かした方が、当面の運転コストが安いという理由なのでしょう。コストを重視すれば、安全性はおざなりにされる。国民を危険にさらしてまで、コスト重視で再稼働に走るのは本末転倒です」(環境ジャーナリストの天笠啓祐氏)


 いまだに全国で避難生活を送る人が、2月末時点で17万人余りもいる状況では、とても復興したとは言えない。

 高浜原発の稼働には待ったがかかったが、原子力ムラは、手をこまねいて待っているわけではない。油断はできないのだ。

 「3.11」は、「当面のコスト」ではなく「長期的な安全」を選択する契機になるはずだったのではないか。

 いったい、この五年間は何だったのか・・・・・・。

 それを、あらためて問い直すことからしか、本当の復興、日本再生は始まらない。
 「電力自由化」という耳障りの良い言葉の影で、原発コストを国民に押し付ける原子力ムラの“自由”を、許すわけにはいかない。

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