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 東京五輪招致をめぐる賄賂疑惑記事に、ようやく「電通」の二字が登場した。

 日経の記事を引用。
日本経済新聞の該当記事

JOC、第三者調査チーム発足 東京五輪招致不正疑惑で
2016/5/18 11:20

 2020年東京五輪・パラリンピックの招致を巡る不正疑惑で、招致委員会理事長を務めた日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は18日の衆院文部科学委員会に出席し、外部の弁護士などを交えた第三者調査チームを発足させ、送金の経緯を調査する考えを示した。

 竹田会長は「招致委は解散しており、JOC事務局だけでは事実関係の調査に限界がある」と述べたうえで、弁護士らによる調査チームの立ち上げを表明。招致に関係した職員らからヒアリングを行うなどして、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス」にコンサル業務を委託したことに問題がなかったか、調べる。

 招致活動をめぐっては、東京での五輪開催が決まった13年9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会の前後、招致委が同社に約2億3千万円を支出。フランスの検察当局がIOC委員の関係者への賄賂に当たる疑いがあるとして、捜査を進めている。

 竹田会長は同社について、「電通から契約に値する会社と助言を受けた。有形無形の成果があった」と説明。ただ、14年7月に会社を閉鎖しているといい、「現在どうなっているかは確認していない」としている。
 「D社」ではなく、社名登場。
 
 すでに多くの国民が「コンサル料」という言葉を「賄賂」と変換して理解している。
 また、竹田会長は、当初はブラック・タイディングスがディアク氏と関係があることなど「知らなかった」と嘘をついていたが、今になって知っていたと白状し、何らかなの関係強化につながると思っていた、と言っている。
 
 当然だろう。
 関係強化のための、「コンサル料」なのだ。

 
 巨大ビジネスには、利権をめぐって巨額マネーが動くのは、イベント・ビジネスの限ったことではない。
 その「賄賂」が、せいぜいお車代程度なら、当局も見逃すだろうし、それは、賭博の捜査で、雀荘の麻雀を取り締まるようなものだ。
 そこまで警察が取り締まったら、かならずパチンコ、今ならパチスロの問題に突き当たる。
 あれ、立派な賭博でしょう。
 あの産業には、多くの警察関係者が天下りしている。日本では取り締まるはずがないのだが、韓国は不正の温床と断じて、廃止した。

 できますか、日本で・・・・・・。
 
 ビジネスの利権をめぐる贈収賄が逮捕までに至るかどうかは、何事もそうだが、被害を含めた、その“程度”によるだろう。
 しかし、今回の事件が断罪されても、また、同じことが繰り返される恐れは濃厚だろう。
 より、秘密に行わられるにしても、である。

 果たして問題の本質はどこにあるのだろうか・・・・・・。

 あえて書くが、たとえばビジネスにおいて、人脈は大事である。
 決定権を握る重要人物(キーマン)を接待したり、贈り物などをして印象を良くしようという行為は、ビジネスの常道とも言える。

 オリンピックも、巨大ビジネスとなっているわけで、受注決定に関わる重要人物との関係強化を図ることは、決して不思議なことではない。

 その巨額マネーに、我々国民のお金が関わっていることが、問題なのだ。

 スポーツの巨大イベントは、放映権料も巨額である。

 NHKと民放を含む“ジャパンコンソーシアム”でオリンピックやサッカーW杯の放映権を管理するようになって以降の放映権料を、Wikipedia「ジャパンコンソーシアム」で確認できる。
Wikipedia「ジャパンコンソーシアム」


冬季 1998年 長野オリンピック 3700万ドル(39億円)
夏季 2000年 シドニーオリンピック 1億3500万ドル(142.7億円)
冬季 2002年 ソルトレイクシティオリンピック 3700万ドル(49億4000万円)
夏季 2004年 アテネオリンピック 1億5500万ドル(170.5億円)
冬季 2006年 トリノオリンピック 45億3000万円[
夏季 2008年 北京オリンピック 1億8000万ドル(198億円)

 これ以降は、冬季&夏季を合わせた放映権。
冬季 2010年 バンクーバーオリンピック
         +
夏季 2012年 ロンドンオリンピック   325億円(日本円建て)

冬季 2014年 ソチオリンピック
         +
夏季 2016年 リオデジャネイロオリンピック  360億円(日本円建て)

冬季 2018年 平昌オリンピック
         +
夏季 2020年 東京オリンピック   660億円(日本円建て)

冬季 2022年 北京オリンピック
         +
夏季 2024年 開催地未定      440億円(日本円建て)

 この放映権を、電通が独占している。

 ジャパンコンソーシアムを構成するのは、前述したようにNHKと民放各社。
 だから、放映権料はNHKと民放各社が負担するのだが、その70%をNHKが支払っている。
 だから、IOC(国際オリンピック連盟)が、放映権料をどんどん値増ししようが、もしNHKがその値に応じれば、電通はいっきに数百億の売上を得ることになる。
 兄弟ブログ「噺の話」で、2014年のサッカー・ブラジルW杯の放映権料のことなどを書いたことがあるが、サッカーW杯も、同じ構造である。
2014年6月30日のブログ
 同記事と重複するが、サッカーワールドカップ放映のため日本が支払った400億円がどのように分担されたのか、日刊ゲンダイから引用する。
日刊ゲンダイの該当記事

最終的に全国民の負担…「400億円」W杯放映権料に大疑問
2014年6月26日

 日本が支払うW杯の放映権料は400億円とされる。全世界の放映権料が推定2000億円だから、ナント5分の1を日本だけで支払っている計算だ。

 400億円のうち、7割の280億円をNHKが負担。残り3割を民放各局が分担するという。NHKは受信料で成り立っているし、民放もスポンサーの広告料が商品価格に跳ね返ってくるので、最終的に国民の負担である。

 それでも、視聴者がどうしても試合を見たいというのならわかる。

 ところが、視聴率は20日のギリシャ戦は33・6%。早朝ということもあり、4年前の前回より低調だ。

 これが日本以外の試合になると目も当てられなくなる。24日の「クロアチア×メキシコ」(フジテレビ)1・7%、23日の「韓国×アルジェリア」(NHK総合)1・4%、22日の「ドイツ×ガーナ」(NHK総合)2・7%といった具合なのだ。


 フランス大会までの負担額は、放映権自体も各大陸の放送連合体が一括して購入し、大陸ごとのサッカーの普及度を基準にして、負担金額が決められてきたようだ。普及度を基準とすることで、理解できる。

 放映権料の総額を、とりあえず日刊ゲンダイ記事の2000億円とした場合、その5分の1に相当する400億円を日本が負担することに妥当性はあるのか。
 全世界で2億7000万人といわれるサッカー競技人口を分母にすると、総務省調査による日本のサッカー人口637万5000人は、2.5%。

 2000億の2.5%は50億円。せいぜいそれ位が妥当な気がするではないか。

 オリンピックにしろサッカーW杯にしろ、NHKに受信料を払っている多くの国民が、高騰する放映権料の負担をしているという実感はないに違いない。

 目の前で起きた個々の事件をヒステリックに騒ぎ立てるのではなく、巨額なビジネスには、巨額な「コンサル料」が動く、という構造的な問題と捉え、果たして今のままで良いのか、という問いかけをするべきではないのか。

 個々の贈収賄事件を罰したところで、その構造的な問題が変わらなければ、盲腸に絆創膏を貼るようなもので、とてもその病気は治るはずがない。
 
 複数のメディアが報じているが、今回フランス検察当局の捜査のきっかけになったのは、テレ朝ニュースが報じているように、“パパマッサタ坊ちゃん”の「爆買い」らしい。
テレ朝ニュースの該当記事

捜査のきっかけは「爆買い」 東京五輪招致疑惑(2016/05/14 21:55)

 東京オリンピック招致を巡る送金問題で、国際陸上連盟元会長の息子が、招致決定時期にパリで高級時計など高額な買い物をしたことがフランス検察の捜査のきっかけだったことが分かりました。

 フランスの検察関係者によりますと、国際陸連元会長でIOC(国際オリンピック委員会)元委員、ラミン・ディアク氏の息子、パパ・マッサタ氏は2013年9月ごろ、パリで高級時計など2000万円近い買い物をしたということです。検察当局は、買い物に使われた金の流れを調べた結果、東京の招致委員会側が振り込んだ約2億円が代理店などを介してパパ・マッサタ氏に渡ったとみられることを確認したとしています。また、この高級時計などは東京招致に協力した複数のIOCメンバーに渡されたとみて捜査しているということです。

 IOCやFIFAの関係者は、きっと「馬鹿だな、バレるようなことして」と思っているだろう。
 世界的に、巨大スポーツビジネスの贈収賄構造にメスを入れよう、などという動きにならないよう、その巨額な「コンサル料」に関わっている人たちは、戦々恐々として祈っているに違いない。
 
 巨額ビジネスと化したオリンピックやサッカーW杯は、そのために費やされるお金の支払いの是非に、国民の意思がまったく反映されていないことにも問題がある。

 もし、NHKの受信料を支払っている国民が、「平昌と東京のオリンピック、660億円で買っていいですか?」と相談されたら、果たしてどの位の方が賛同するだろうか?

 それらの大イベントへの運営費への税金の投入は、放映権の比ではない。

 東京五輪の全体運営費用について、JOCは“確信犯”的に当初3000億円と見積もり、招致が決まってから、1.8兆円になりそうだ、などと言っていることについては、以前書いた。
2015年12月22日のブログ

 1.8兆円は、新国立競技場関連の費用を含まず、である。

 よく言われる「経済効果」だが、いったい、東京五輪で誰が経済的に潤うのか・・・・・・。

 仮に効果があるにしても、もう「経済」だけで物事を考えることは、少し休むべきだろう。
 
 今回の贈収賄事件は、オリンピックが、アテネで始まった当初の「世界大運動会」ではなく、多くの利害関係者が蠢くビッグビジネスであり、そこには、不正が必然的に発生することを、あからさまにしている。

 あくまで、「氷山の一角」だ。

 また、賄賂以外にも、安倍首相のIOC会議における福島第一原発事故による放射能汚染水が「アンダー・コントロール」だという大嘘や、招致活動中の猪瀬前東京都知事、そして現在の舛添都知事のあり様などを見ても、とても、真っ当なリーダーにより、真っ当なプロセスで2020年の招致が実現したとは思えない。

 「復興」をアピールする五輪開催、などと安倍は言っていたが、では「3.11」による震災と原発事故からの復興は、いったいどこまで進んでいるのか・・・・・・。
 加えて、熊本での復興だって急がなければならない。

 マスメディアは、できるだけ触れようとしないのが、「3.11」震災関連のニュースではないか。だから、大手芸能事務所のゴタゴタやタレントの不倫、スポーツ選手の覚醒剤や賭博事件などは、メディアにとってスペースと時間を「3.11」や憲法問題を除外させる実に都合の良い“ネタ”なのである。

 「3.11」からの復興の実態は、熊本の震災に関連して、もっと報じられるべきだと思う。
 あれだけの震災を経験した、国家としての学習効果を発揮しなければ、犠牲者の人々にとって申し訳ない。

 残念ながら、「3.11」震災の復興よりも、東京五輪のために、建設関連の技術者、職人さんが動員されているのが実態ではないのか。


 人間は誘惑に弱い。
 権力の座に長く座っていると、どんな聖人君子も堕落する。

 巨大スポーツイベントの構造を放置していけば、決定権を持つ重要人物との関係強化のための「コンサル料」支払を、防ぐことはできないだろう。

 問題は、放映権へのNHK受信料、運営費への税金投入という形で、我々国民の大事なお金が使われるということだ。

 今回の事件、オリンピックやサッカーW杯などという巨額マネーが動く世界大運動会のあり方そのものを議論するきっかけにすべきではかなろうか。

 建設という名の破壊が、どんどん進められている。

 私は、東京都民によって、かつてデンバー市民がそうしたように、東京五輪開催反対運動をしても、まったく不思議ではない状況にあると思う。

 いまや、政治や社会は「週刊文春」を中心に回っているような気がしないでもないが、さすがの文春も、電通を敵に回すことは、できないだろう。

 少なくとも、今回の事件をきっかけに、「東京五輪って、そんなにまでして、やる必要あるの?」という議論が増えることを願う。 

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 英紙「The Guardian」が、2020年の東京五輪開催決定の背後で、予想はされていたが、日本側から特定のIOC委員へ賄賂(裏金)が支払われていた可能性が高いと報道している。

 まず、同新聞の記事を元にした、肝腎な社名の割愛を含む、朝日新聞の記事からご紹介。
朝日新聞の該当記事

東京五輪招致巡り裏金報道 英紙「1.6億円支払い」
ロンドン
2016年5月12日10時44分

 英紙ガーディアンは11日、東京五輪の招致委員会側が国際陸上競技連盟のラミン・ディアク前会長の息子の関係するシンガポールの会社の口座に総額130万ユーロ(約1億6千万円)を支払った疑いがあると報じた。この会社の口座はドーピングもみ消しを巡る金のやりとりにも使われたとされ、ディアク前会長の不正を捜査しているフランスの検察当局もこの事案を把握し、捜査しているという。

 東京五輪の招致は2013年9月にブエノスアイレスであった国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まった。ディアク前会長は当時、開催都市を決める投票権を持つIOC委員だった。

 同紙の報道を受け、20年東京五輪・パラリンピック組織委員会の小野日子(ひかりこ)スポークスパーソンは朝日新聞の取材に応じ、「東京は、IOCにベストな提案をした結果として、招致を獲得したものと確信しています」と話した。

 世界反ドーピング機関の独立委員会がトルコ選手の違反もみ消しを調べた際、「東京側が国際陸連に400万~500万ドル(約4億3千万~5億4千万円)の協賛金を支払った」という証言があった。今年1月に明らかになった際には日本オリンピック委員会は「フェアに戦った」と不正を否定している。(ロンドン)

この記事には、肝腎な社名「電通」の二字が抜けている。

 では、元ネタであるガーディアンの記事から、一部引用する。
The Guardianの該当記事

Tokyo Olympics: €1.3m payment to secret account raises questions over 2020 Games
• Alleged payment believed to be under scrutiny by French police
• Pressure on IOC to investigate links between Diack regime and Olympic bids

Exclusive by Owen Gibson
@owen_g
Wednesday 11 May 2016 15.58 BST

 A seven-figure payment from the Tokyo Olympic bid team to an account linked to the son of the disgraced former world athletics chief Lamine Diack was apparently made during Japan’s successful race to host the 2020 Games, the Guardian has learned.

 The alleged payment of about €1.3m (£1m), now believed to be under French police scrutiny, will increase pressure on the International Olympic Committee to investigate properly links between Diack’s regime and the contest to host its flagship event. It also raises serious questions over Tokyo’s winning bid, awarded in 2013.

Any suggestion that votes could have been were bought will be hugely embarrassing for the IOC, which has set great store by the probity of its bidding process since reforms following the bribery scandal that preceded the 2002 Salt Lake City Winter Games.

Diack Sr was an IOC member between 1999 and 2013, becoming an honorary member in 2014 before resigning as president of the International Association of Athletics Federations (IAAF) in November last year after allegations he had accepted more than €1m in bribes to cover up positive Russian doping tests. He is now prevented from leaving France while prosecutors there investigate corruption at athletics’ governing body.

In March, the Guardian revealed that the French investigation had widened to include the bidding races for the 2016 and 2020 Olympics.

It is now understood that among transactions under suspicion are payments totalling about €1.3m apparently sent from the Tokyo 2020 bid, or those acting on their behalf, directly to the Black Tidings secret bank account in Singapore. The account is linked to Lamine Diack’s son, Papa Massata Diack, who was employed by the IAAF as a marketing consultant.


Latest revelation
How the €1.3m payment made by the Tokyo 2020 bid team links to the son of former world athletics chief

Lamine Diack, IAAF president from 1999 to last year, was still an influential IOC member in 2013 when Tokyo beat fellow bidders Istanbul and Madrid.

Black Tidings is at the heart of the allegations of institutionalised corruption at the IAAF over more than a decade.

An independent report commissioned by the World Anti-Doping Agency (Wada) and published in January showed how Diack and his marketing consultant sons, Papa Massata and Khalil, joined up with the lawyer Habib Cissé to act “as an informal illegitimate governance structure” of the IAAF.

The Guardian had earlier revealed that Papa Massata Diack, who had carte blanche to seek sponsorship deals in developing markets under an agreement with marketing partner Dentsu, appeared to request $5m (£3.5m) from Qatar at a time when it was bidding for the 2017 world athletics championships and the 2020 Olympics.

In January, the Guardian revealed that Papa Massata Diack was apparently involved in 2008 in a scheme to deliver “parcels” to six influential members of the IOC at a time when Doha, Qatar, was trying to bid for the 2016 Olympics.
But the latest revelations are perhaps the most troubling yet for the IOC and will send shockwaves through the Olympic movement at a time when its president, Thomas Bach, has repeatedly held it up as an example of probity to other troubled sporting organisations including Fifa and the IAAF.

Asked about the alleged payment, believed to have been made in more than one tranche before and after the Games were secured, the Japanese Olympic Committee – which oversaw the bid – said its press team was away on business for a week and was unable to respond.

The Tokyo 2020 organising committee said it had no knowledge of what went on during the bid period. A spokeswoman said: “The Tokyo 2020 Organising Committee has no means of knowing these allegations. We believe that the Games were awarded to Tokyo because the city presented the best bid.”

The allegations come at a difficult time for the IOC, which is under pressure over this summer’s Rio de Janeiro Olympics amid a host of practical and political issues and locked in an ongoing battle to persuade potential bidding cities that the Games remain a worthwhile prize.

The seven-figure payment from Tokyo 2020 also raises questions about the role of Dentsu, the Japanese marketing giant that has an all-encompassing sponsorship contract with the IAAF that runs until 2029, having been unilaterally extended by Diack in the final months of his presidency.

The report by Wada’s independent commission, chaired by Dick Pound, detailed how the Black Tidings account was held by Ian Tan Tong Han, who was a consultant to Athlete Management and Services, a Dentsu Sport subsidiary based in Lucerne, Switzerland, that was set up to market and deliver the commercial rights granted to it by the IAAF.

 引用した部分だけでも、“Dentsu”の名が三度登場する。

 細かな翻訳はしないが、疑惑の送金に電通が関与した可能性を指摘している。
 電通と国際陸連とのスポンサー契約は、ラミン・ディアク氏が会長任期の最後の数カ月で、一方的に29年まで延長させたものだった。
 ラミンの息子パパマサッタ・ディアクは、2017年の国際陸上と2020年のオリンピック開催地を決める投票の際にカタールに約5億円を要求したことがガーディアンの調べで判明しており、そんな人物が電通とパートナー契約を結んでいる、ということ。
 また、電通はIAAFとスポンサー契約を結んでいるが、スイスにある電通スポーツ部門支社の顧問がディアク氏の側近だと言われている。

 せっかくガーディアンの記事を紹介するなら、ぜひ原文に忠実に伝えて欲しいものだが、そうはならないのが、日本のメディア。

 いまや、オリンピックなどの世界的規模のイベントに、電通が大きく関わっていることは、誰もが知っていることだろう。

 電通を経由する広告出稿への影響を恐れるあまり、日本のマスメディアは、この記事そのもを無視するか、紹介するにして、電通の二字を“割愛”する。

 こうなったら、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ではないが、朝日も毎日も東京も、示し合わして勇気ある報道をしてはどうか。

 「ペンは剣より強し」なんて言葉、死語になりつつある。

 本来、権力のある者に対してペン先が向かうべきだ。

 今日のメディアは、不倫タレントや不正を行った政治家などの個人や、多くの人が共通して怒りを共有するであろう“ブラック”企業などを叩くことはあっても、ガーディアンの言葉を使うなら、“ the Japanese marketing giant”(マーケティングの巨人)の電通を叩くなんてぇことはできないようだ。

 百歩譲って、広告に経営基盤の多くを頼る民間企業ではないNHKのニュースにも、電通の名が出てこない。

 個人でも法人でも、悪いことをしたら、それを反省し、謙虚に詫びて改善に努めるべきなのであり、少なくともジャーナリズムの世界の端っこに存在するメディアは、そういった“悪”を追求すべきではないのか。

 タブーがある社会は、“未開”な社会と昔教わったことがある。

 海外メディアに比べて日本のメディアは、まだ未開の原始的な状況にある、ということなのだろう。大手芸能事務所なども含め、あまりにもタブーが多すぎる。

 電通という“巨人”の政治経済への影響力は強い。
 しかし、その大企業が不正に加担しているのなら、他の企業と同様に断罪されるべきである。

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 まったくひどい話だ。

 私は、衆院の厚生労働委員会というものは、社会的弱者や障害者のために存在するのかと勘違いしていたようだ。
 同委員会与党メンバーによる、とんでもな差別について、東京新聞の記事を引用する。
東京新聞の該当記事

障害者支援の衆院委 ALS患者の出席拒否 与党側が反対
2016年5月11日 朝刊

 衆院厚生労働委員会で十日に行われた障害者総合支援法改正案を巡る参考人質疑で、当事者として意見を求められていた難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)男性患者の出席が拒否された。関係者によると、民進党が男性の出席を要求したが、与党側が反対した。障害者のための法案を審議する国会の場で、差別とも受け取られかねない対応があったことに批判が集まりそうだ。

 代わりに出席した日本ALS協会の金沢公明常務理事は「福祉に最も理解があるはずの厚労委が障害を理由に出席を拒んだのは深刻だ」と訴える内容の男性のメッセージを読み上げた。ALS患者の男性は呼吸器を装着し声が出せず、ヘルパーが口元を読み取る「通訳」が必要。与党側は九日の事前協議で「やりとりに時間がかかる」などとして出席に反対したという。

 支援法改正案には、会話ができない難病患者がコミュニケーションを図りやすくするため、現在は認められていない入院中のヘルパー利用を解禁する内容が盛り込まれている。

 一億総活躍社会、なんてうたい文句は、まったくの思いつきであることを露呈している。
 衆議院の厚生労働委員会メンバーは、衆議院のサイトに掲載されている。
 衆議院サイトの該当ページ

 委員長は、自民党の「渡辺博道君」とのこと。

 昨年、与党が派遣法改正を強行に進めようとした際、与野党議員のもみ合いの結果、「頸椎捻挫」をしたと言っていたのが、この人。
 携帯もなくなって、刑事告発するとか言っていたが、携帯はその後発見された。
 
 メディアの前では大袈裟なギブスを首に巻いて診断書を示していたが、その後、怪我はどうなったのだろうか。

 もし、彼が怪我の後遺症で自ら発言することができなくなっていたなら、もっと、今回の法案の当事者である方々の心情が理解できたはずなのだが・・・・・・。

 会話ができない障害者の方とのコミュニケーションを図るための内容を含む法案を質疑するにあたって、その当事者の方とのコミュニケーションを拒む与党の「厚労族」は、まったくもって国民にとっては「賊」としか言いようがない。


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 「パナマ文書」に記載された、オフショア法人名のデータベースが公開された。

 名前の挙がった法人の責任者は、「合法」を主張し、「脱税目的ではない」と言うだろう。また、海外企業とのビジネス上の必要性からオフョア法人を設立した、とも答えるだろう。

 合法か違法か、という論議も大事だが、「パナマ文書」を機に、税の不公平を問題にすべきだと思う。

 一般市民と大企業の間、お金持ちとそうじゃない一般庶民との間に、間違いなく税の不公平があると、私は思っている。

 また、オフショア法人は、暴力団、マフィアのマネーロンダリングのためにも使われる。

 そもそもオフョア法人とは、自国の法律が及ばないよう海外に本拠を置く会社であり、そんな会社を設立すること自体が、「李下に冠を正す」ことであり、「瓜田に履を納れる」行為である。
 
 このニュースを知って、すぐに思い浮かべたには、ジョン・グリシャムの小説『法律事務所(The Firm)』だ。

 簡単に筋書きを書くなら、こうなるかな。

 ハーバード大学の法科を優秀な成績で卒業見込みのミッチ・マクディーア(映画ではトム・クルーズが演じた)には、いろいろな法律事務所から誘いが来たが、彼は、好待遇で熱心に誘ってくれたメンフィスの中堅法律事務所に就職する。彼と妻には住居とベンツが与えられ、給料に加えて多額のボーナス、そして2年後の昇給も確定していた。 
 しかし、その事務所では先輩の弁護士が謎の死を遂げていた。そして、事務所はFBIの監視下にあり、ミッチはFBIに協力することになった。
 生命の危険もある中で調査を重ねた結果、同事務所がタックスヘイヴンのケイマン諸島を利用して企業の脱税に協力していた。そして、事務所を隠れ蓑としてマフィアがマネーロンダリングをしていたことが判明するのだった・・・・・・。


 今回「パナマ文書」に関わる法律事務所モサク・フォンセカは、まるで映画の法律事務所と同じような役割を果たしていたのではなかろうか。

 そして、情報をリークした人物には生命の危機があっただろうし、コンタクトを受けたジャーナリストも危険を覚悟で、情報源を守るために行動していたと思われる。

 まさに、ミステリ小説(フィクション)の現実版(ノンフィクション)のような事件なのである。

 では、小説ではなく、どんな現実があったのかについて、「ニューズウィーク日本版」から引用したい。

「ニューズウィーク日本版」の該当記事

パナマ文書はどうやって世に出たのか

リーク元と接触した南ドイツ新聞の記者が明かす緊迫のやりとり。果たしてその正体は?
2016年4月6日(水)19時46分
小林恭子(在英ジャーナリスト)

 パナマの法律事務所「モサク・フォンセカ」から流出した、金融取引に関する大量の内部文書。これを元に「パナマ文書リーク」の報道記事が続々と出ている。

 いったいどうやって情報がメディアの手に渡り、各社の報道につながったのか。

 ウェブサイト、ニーマン・ラボ(4月4日付)とワイヤード(4月4日付)の記事から、要点をまとめてみたい。

 法律事務所の内部文書は1977年から2015年12月までの期間のもので、1150万点に上る。文書のサイズは2.6テラバイトに及ぶという。ウィキリークスの手によって世に出た米外交文書リーク(「ケーブルゲイト」、2010年)が1.73ギガバイトであったので、これの1000倍以上になるという。

 1150万の文書ファイルには480万の電子メール、100万の画像、210万のPDFが入っていた。

経緯は

 2014年末、ある人物が南ドイツ新聞の記者に暗号化されたチャットを通じて連絡をつけてきた。記者の名前はバスチアン・オベルマイヤー(Bastian Obermayer)。その人物は「犯罪を公にしたい」と言ったという。実際に顔を合わせず、連絡は暗号化されたチャンネルのみでだった。そうしなければ「命が危なくなる」からだった。

暗号化されたチャットをその都度消去

 オベルマイヤー記者とリーク者は常に暗号化されたチャンネルで連絡を取り合い、どのチャンネルを使うかは時々変えた。それまでのコミュニケーションの内容をその都度、削除したという。暗号アプリの「シグナル」、「スリーマ」や、PGPメールなどを使ったというが、オベルマイヤーはどれをどのように使ったかについて、ワイヤードに明らかにしなかった。

 新たなチャンネルで連絡を始める際には一定の質問と答えを用意し、相手がその人物であることを互いに確認した。

 文書の一部を受け取った南ドイツ新聞は非営利組織の「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ、ワシントンにある)に連絡した。ICIJは過去にも大型リークの分析を担当した経験があったからだ。ICIJのスタッフはミュンヘンにある南ドイツ新聞に出かけ、どう処理するかを話し合ったという。

 この間、ファイルは少しずつ南ドイツ新聞に送られていた。メールで送るには大きすぎるが、どうやって送られたのかについて、南ドイツ新聞はワイヤードに明らかにしていない。

 次に、ICIJのデベロパーたちがリーク文書を検索するサーチエンジンと世界の報道機関がアクセスできるURLを作った。サイトには報道機関の記者たちがリアルタイムでチャットできる仕組みも作られていた。記者同士がワシントン、ミュンヘン、ロンドン、ヨハネスバーグなどに集い、情報を交換もした。

 ICIJによると、リーク文書をそのまま公表する予定はないという。ジャーナリストたちが責任を持って記事化するよう、望んでいるからだ。

情報源を守るためにHDも破壊

 リーク者を守るため、南ドイツ新聞のオベルマイヤーはリーク者との連絡用に使った電話やラップトップのハードドライブを破壊した。「念には念を入れたかった」。今でもリーク者が誰であるかは知らない状態だ。

 ワイヤードはメガリークの新たな時代が始まっている、という。

 ニーマン・ラボの記事によると、受け取った情報の分析は南ドイツ新聞ばかりではなく、フランスのルモンド紙、アルゼンチンのラ・ナシオン紙、スイスのゾンタ―グツァイトゥング紙、英国のガーディアンやBBCなどが協力して行った。プロジェクトにかかわった記者は約400人。世界76か国の100以上のメディア組織が協力したという。

 日本では共同通信と朝日新聞がこのプロジェクトに参加した。

 さらに詳しく知りたい方は「マッシャブル」の記事(英語)もご参考に。


[執筆者]
小林恭子(在英ジャーナリスト)
英国、欧州のメディア状況、社会・経済・政治事情を各種媒体に寄稿中。新刊『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)、『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス(新書)』(共著、洋泉社)

 海外で「メガリークの新たな時代」が始まることで、かつては小説の中だけの物語が、現実味を帯びてくる。
 しかし、間違っても、日本の新聞記者に情報をリークしようと思う者はいないだろう。

 納税者である国民の怒りが爆発し、アイスランドの首相は辞任した。

 しかし、オフショア法人との関係が指摘されている中国やロシアの為政者は、その地位を保つだろう。
 なぜなら、それらの国は民主主義の国家とは言いにくく、あえて言うなら独裁国家に近いから。

 では、日本は・・・・・・。

 
 納税者として、あらためて、考える必要がある。
 消費税増税は、福祉や被災地対策に回ったのか?
 いや、消費税増税は、法人税減税につながっただけである。
 
 加えて、以前記事で書いたが、日本の大企業には、あのトヨタでさえ長年税金を払うことがなかったように、さまざまな税制面の優遇措置がある。
2014年12月19日のブログ

 消費税を10%に上げる前に、政府がすべきことは、いくらでもある。
 それは、富める者から、適正な税を徴収することであり、脱税という犯罪を厳重に取り締まることではないか。


 朝日新聞は、ICIJの事務局長ジェラード・ライルのコメントを含む記事を掲載した。
 ライル事務局長のコメントを一部引用する。(太字は管理人)
朝日新聞の該当記事

 タックスヘイブンの売りは秘密性です。だからこそ、その秘密を白日の下に晒(さら)す私たちの報道は、それに大きなダメージを与えています。

 今回のパナマ文書報道で、私たちはなぜ公職者に焦点を当てたのか。それは私たちが義務を負っているからです。ジャーナリストとして、こうした文書を入手することは、公益上の特別な義務を負うことになります。公益に資するために最も簡単で最も良い方法は、公職者に焦点を当てることです。だからこそ私たちは、一連のパナマ文書報道で、政治家やその家族、関係者に重点を置きました。

 ジャーナリストの仕事は記事を出すことです。私たちはおそらく今後も2カ月ほどはパナマ文書の取材・報道を続けるでしょう。

 社会には役割分担があります。私たちの役割は、暴露すべきものを、単純に暴露することです。そして私たちは一歩下がり、その次の段階には関与せず、介入しないようにする必要があります。これから前面に出て、問題にどう対応するかを決める責任は、政府当局や一般の人々にあるのです。

 ICIJは、十分に彼らの分担責任を果たしたと思う。

 さて、問題はその後だ。

 政府当局は、果たして彼らの役割分担をしっかり務めるかどうか、疑問がある。

 だからこそ、納税者(一般の人々)は、ICIJからのバトンをしっかり受け取らなければならないと思う。
 「パナマ文書」を機に、税負担の不公平に、怒りをぶつけよう。

 そして、今夏の参院選が歴史的な選挙になるよう、一人一人が行動することこそ、分担した責任を果たすことだと思う。

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