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幸兵衛の小言

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 この記事は、兄弟ブログ「噺の話」に書いたものとほぼ同じなのだが、こちらにも、少し補足して掲載したい。

 川崎の事件は、なんとも言えない悲しみと空しさが募る。

 さまざまなメディアで。あの事件が報道されている。

 その中で、街頭での声やメディアでのコメンテーターなる人たちの発言が、いろいろと物議を醸している。

 その発言の内容は、兄弟ブログでは、あえて明かさなかった。

 しかし、こちらでは、明確にしよう。

 立川志らくが、コメンテーターというタレントとして発した「一人で死ねばいい」という言葉が、SNSを賑わわせていたが、報道番組に長年かかわってきた人物や、弁護士までが、同じような発言をしていることとを、ネットで知った。

 その言葉が、どれほど軽薄であり、問題の本質から人の目を遠ざける行為であるか、彼らには想像することができないのだ。

 また、元農林水産事務次官がご子息を殺害した事件では、川崎の事件を知り、長男が人に危害を加えるかもしれないと思った、という発言があったとのこと・・・・・・。

 なんとも痛ましい事件が続いた。


 同じような事件が再現しないようにするには、果してどんな社会であるべきなのか・・・・・・。

 “犯人”を責めることは、誰もができる。

 しかし、重要なのは、“犯人”を生み出さない社会を模索することではないか。

 
 こういう事件がある度に、随分前に書いた、ある本に関する記事を思い出す。

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中島梓『コミュニケーション不全症候群』

 それは、中島梓さんの『コミュニケーション不全症候群』。
 1991年8月に筑摩書房から単行本として発行され、1995年12月に文庫化。

 八年ほど前、二度、長い記事を書いた。
2011年3月5日のブログ
2011年3月6日のブログ

 今思えば、3.11の直前だった。
 
 最初の記事は、本書の引用を中心に、どんなことが書かれているかを紹介し、翌日、補足的な記事を書いた。

 その二つ目の記事と重複するが、こういう事件の背景にある社会病理について、考えたい。


 あの本の「最後の人間」の章から引用。

 ここに、なぜ「おタク」や「ダイエット」などを素材として「コミュニケーション不全症候群」というテーマで本を書いたのかについて、著者中島さんの思いが書かれている。

 もっとずっと重大に見えるたくさんの問題−たとえば環境破壊、地球の汚染、戦争や飢餓がこれほど身近に迫った臨界点をかかえているように見えるとき、なんでわざわざコミュニケーション不全症候群−いうなればほんのちょっとした不適応ないし過剰適応の問題を俎上にあげてまじめに考えなくてはならないのか。
 それは警察の機構と似ている。−「犯罪が起こらなくては何もできることはない」のである。おタクのなかのあるものがゆきずりに幼女を殺せばはじめておタクという存在は社会問題となる。が、それはすぐに次の−そう、たとえば、見捨てられている少年たちが女子高校生をさらって監禁し、ついになぶり殺してしまった、というような事件にとってかわられ、人々の関心と有識者の意見とはすぐに、それまでのおタクについての考察から、放任家庭への批判へとうつりかわってゆく。同じように拒食症で20キロになって死に瀕してはじめて、少女たちは多少なりともかえりみられるだけの価値のある存在、つまりは立派な「患者」として扱われるようになるだろう。
 本当はそれでは遅いのだが、そういう扱いが幸いにして間に合うことはなかなかない。いや、彼ら彼女たちがそのような、さまざまな異様な症状を呈するにいたったのはそもそも大体が、それほどに−殺人をおかしたり20キロにまで自分自身をすりへらすようなことになるまでに、社会から無視され、かえりみられず、かえりみるだけの価値もない存在として扱われていたからなのだ。社会は彼らをちゃんとした人間として正視しなかったし、彼らもまた自分たちの同類をそうしなかった−彼らの場合はそうするだけの余力はもう残ってなかったのかもしれない。また彼ら自身も社会に対してそういう期待をもつこともなかったのだ。そうするかわりに彼らは自分自身の頭を虚構の砂のなかに埋める−さながら駝鳥のようにだ。そうして何も見ないで生きようとする。

 中島さんの文章は、特にこの評論は、独特の言い回しもあって分かりにくい部分もあるが、私なりの理解とちょっとした主張にまとめると、こういうことになる。

(1)現代社会は、自分自身が安心していられる“テリトリー”が、常に侵害される恐れがある
(2)そのテリトリー外の人とのコミュニケーションが、なかなか上手く行えない傾向にある
(3)いわば「コミュニケーション不全症候群」と言うべき病は、必ずしも“ヘンな人”や
   “異常な人“といった特定個人の問題ではなく、現代人がすべからく侵されかねない
   社会病理である
(4)そういった環境に過剰適合したものとして、「おタク」や「ダイエット」、そして行き
   過ぎたダイエットによる摂食障害などの問題がある。
(5)しかし、こういった社会病理に起因する問題は、特定個人が何か問題を起こしたり、
   ニュースになるような事態になって初めて、あくまで“個人”の問題として警察が扱い
   マスコミも取り上げるが、本質的な社会病理のことは滅多に話題にならない
(6)重要なのは、その特定個人による“事件”の背景にある社会病理の実態を知ることと、
   それをどう解決するかという議論なのである


 さまざまな事情、背景から、自分の狭いテリトリーに閉じこもりがちな人に対し、その殻を一層固いものにしてしまうような発言や行動は、決して今回のような事件の解決にならないと思う。

 すでに“犯人”である人物に対し批判するのは、周囲の同調も得られやすい。
 そういう時の発言は感情的になりやすいが、多くのメディアは、それを煽る。

 そうやって、犯人を批判、指弾することは、同じような事件の発生を抑制する効果があるのかどうか。

 大事なことは、“犯人”を出さないことではないのか。

 安倍内閣を含め、登下校時の安全確保、ということを力説するが、それで問題の本質部分が解決できるのだろうか・・・・・・。


 中島梓さんが『コミュニケーション不全症候群』を書いてから三十年近く経とうとしている。
 彼女が指摘した、“社会から無視され、かえりみられず、かえりみるだけの価値もない存在として扱われ“る人は、間違いなく増えていると思う。

 同じような事件が起こらないようにするには、寛容な姿勢で、相互扶助の精神が生きる社会が必要だと思う。

 3.11の後、そういう社会に戻りつつあったように思うが、残念ながら、あれだけの犠牲があったにもかかわらず、不寛容な社会に戻りつつある。

 “さながら駝鳥のように”“自分自身の頭を虚構の砂のなかに埋める”人が増えているのではないか。

 防御の観点でいろいろ考えることも、大事かもしれない。

 しかし、警備を厳重にすることにも限界がある。

 AIを活用して画像認識技術で危険と思われる人物を特定する、なんてことが可能な時代だ。
 中国では顔の認識技術と罰金の引き上げで、交通違反や犯罪を減らしている。

 しかし、行き過ぎると、常に監視の眼が光る息苦しい社会になる危険性がある。

 ジョージ・オーウェルの「1984」の社会は、技術的には現実性を帯びてきた。

 そんな息苦しい社会を、多くの人が望むのだろうか。

 やはり“犯人”をできるだけ生み出さないための社会の姿を模索することが大事ではないか。

 あえて、「甘い!」という批判を覚悟で書くが、イソップ寓話の「北風と太陽」の教えを思い出す必要があると思う。


 なお、この件に関するマスコミ人の軽率な発言について、居残り会リーダー佐平次さんの弟さん、鈴木篤弁護士がブログで鋭い指摘をなさっている。ぜひ、ご覧のほどを。
弁護士鈴木篤のつれづれ語り
# by koubeinokogoto | 2019-06-03 20:27 | 幸兵衛の独り言 | Comments(0)
 復興より、自分が応援する政治家が大事、という言葉で、ようやく辞任した桜田前五輪大臣と、同じような精神構造持つのが、原子力村の人々、と言えるだろう。

 日本原子力産業協会が、その名も「あつまれげんしりょくむら」というサイトを作ったことに、ネットえは批判の声がとびかっているようだ。

 47NEWSから、引用。

47NEWSの該当記事

原子力団体サイト「炎上」
命名や絵柄「ふざけすぎ」

2019/4/12 05:47

 原子力関連企業などでつくる日本原子力産業協会が12日までに、次世代層向けとしてウェブサイト「あつまれ!げんしりょくむら」を開設し、ツイッターなどに「ふざけすぎ」「原発事故から数年しかたっていないのに」との批判が相次いで、炎上状態となっている。

 協会担当者は「さまざまな意見が寄せられていることは把握している」とし、サイト開設の狙いを「逆境の中でも原子力に関わる若手を応援し、関心ある学生の疑問に答えていきたい」と話す。

 開設は8日。ホーム画面いっぱいに戦国武将や妖怪、ピエロのような大勢のキャラクターを、コミカルなタッチで掲載。

 こちらが、その「あつまれげんしりょくむら」のサイト。
「あつまれげんしりょくむら」のサイト

 サイトでは、海外の原発推進者の、次のような言葉を動画で紹介している。

こんにちは。ポーランドのミアです。あなたにメッセージを送ります。

あなたが私たちの地球の気候変動を心配しているのならば、原子力を応援しましょう。原子力は低炭素社会を実現するテクノロジーです。

是非あなたも一緒に!


こんにちは。私の名前はリバー・ベネット。米国出身です。

私はGeneration Atomic(原子力を推進する非営利団体)で働いていますが、原子力工学を学ぶ学生でもあります。なぜなら、クリーンなエネルギーである原子力の将来にとても期待しているからです。

こんにちは。私はアヌーク。オランダ出身です。原子力についてお話します。
私は原子力は気候変動と闘う解決の一つであると信じています。

もちろん日本ではとても悲しい事故が起こりました。しかし、人々の暮らしをクリーンな電力で支えるために、原発が再稼働されています。

 冗談じゃない。

 新たな「原発安全神話」の布教活動、と言ってよいだろう。


 こちらが、この活動の主体である日本原子力産業協会のサイト。
日本原子力産業協会のサイト
 同サイトの沿革にあるように、「社団法人 日本原子力産業会議」が母体だ。
 昭和31(1956)年1月27日に、当時の原子力委員会委員長正力松太郎が、第8回定例委員会において原子力産業会議設立を提唱したことに、端を発している。

 “原子力大臣 正力松太郎”については、何度か書いている。
2011年4月13日のブログ
2011年4月29日のブログ

 「原子力村」という言葉が意味することを、そのムラの住民たちは知っていてのシャレなのか・・・・・・。

 もう、8年も経ったら、こういうシャレで若き村民たちの交流サイトを作っても許される、とでも思ったのか。

 前五輪大臣と同じで、軽いのだ。

 この協会会員と同じ企業が名を連ねる経団連が、原発再稼動のみならず、新規増設を訴えるのも、復興より大事なのが自分たちの利益、という精神構造があっての悪行。

 「低炭素」「クリーン」「地球温暖化対策」などの言葉に騙された結果が、福島第一の事故だったことを、忘れてはならない。

 原発神話づくりが、再稼動した、とも言える。

 こんなサイトを運営していることは、まさに、犯罪行為である。

 ゾンビのような、原子力村の復活は、許せない。
# by koubeinokogoto | 2019-04-12 21:51 | 原発はいらない | Comments(0)

 「平成」は、当時の小渕官房長官が発表し、竹下首相の談話は、官房長官が紹介した。

 「令和」は、官房長官の発表後、安倍首相がしゃしゃり出て、自分の好みの曲まで含め、次のように勝手な解釈を加えた。
ハフポストの該当記事

平成の時代のヒット曲に「世界に一つだけの花」という歌がありましたが、次の時代を担う若者たちが、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そのような、若者たちにとって希望に満ち溢れた日本を国民の皆様とともに作り上げていきたいと思っております。

 どこが、若者に希望が満ちた日本なのか・・・・・・。

 日本の国民の皆様とともに作り上げる、というなら、その国民が生きている沖縄の皆様にとって、希望に満ちた国を作る努力をせよ。

 そもそも、出典となっている「万葉集」の文面を、彼はしっかり読んだのだろうか。

 大宰府の大伴旅人の家に天正二年の(旧暦、あたりまえか)正月十三日に歌人が集り、三十二の歌を創作したのだが、その作品の前に書かれた次の「序」が元である。ちなみに、原文は漢文。

天平二年正月十三日に、師(そち)の老(おきな)の宅(いへ)に萃(あつ)まりて、宴会を申(ひら)く。時に、初春の月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香を薫(かおら)す。加之(しかのみにあらず)、曙の嶺に雲移り、松は羅(うすもの)を掛けて蓋(きぬがさ)を傾け、夕の岫(くき)に霧結び、鳥はうすものに封(こ)めらえて林に迷(まと)ふ。庭には新蝶(しんちょう)舞ひ、空には故雁(こがん)帰る。ここに天を蓋(きぬがさ)とし、地を座(しきゐ)とし、膝を促(ちかづ)け觴(かづき)を飛ばす。言(こと)を一室の裏(うら)に忘れ、衿(えり)を煙霞の外に開く。淡然(たんぜん)と自(みづか)ら放(ひしきまま)にし、快然と自(みづか)ら足る。若し翰苑(かんゑん)にあらずは、何を以(も)ちてか情(こころ)を述(の)べむ。詩に落梅の篇を紀(しる)す。古(いにしへ)と今(いま)とそれ何そ異(こと)ならむ。宜(よろ)しく園の梅を賦(ふ)して聊(いささ)かに短詠を成すべし。

 その歌会における、主の旅人の作品がこれ。

 わが園(その)に 梅の花散る ひさかたの 天(あめ)より雪の 流れ来るかも

 梅の花が散る様子を、空から降り落ちる雪のようだ、という歌。


 「世界に一つだけの花」との関連性などまったくない。

 ましてや、花を大きく咲かせて、などという文脈でもない。

 この宴は、たぶんに中国で催される風雅な宴を意識して開催されたもの。

 梅も中国原産だ。

 初めて、日本の古典の出典による元号、ということに安倍はウキウキしているのかもしれないが、そういう考え自体が、危険なナショナリズムの兆候である。

 過去の元号の出典は、明治は「周易」「孔子家語」、大正は「易経」、昭和は「書経」。
 江戸時代の寺子屋の必須項目、そして明治時代の日本のリーダーも学んでいた四書五経の教えは、そう簡単に捨てるべきではない。

 アメリカを手本とする前、日本がどれほど多くを中国から学んできたことか。

 そういった歴史こそ、あらためて振り返るべき時代が、令和なのではなかろうか。

 NHKの九時のニュースに、安倍が出ていて、すぐチャンネルを替えた。

 まったく最近のNHKは、政権の広報部門みたいである。
 
 オスプレイの緊急着陸のニュースが、吹っ飛んだ。

 元号お祭り騒ぎは、ほどほどにして欲しいものだ。

# by koubeinokogoto | 2019-04-01 21:49 | 責任者出て来い! | Comments(0)

 あれから八年・・・ということで、さまざまな角度から特別番組が組まれているが、重要な問題がおざなりになっているように思う。

 それは、八年前からの、甲状腺がんの増加に関する問題だ。

 検索しても、大手メディアのサイトでは、ここ最近ほとんど扱われていない。

 朝日が今年1月に掲載した記事は、福島県立医大の発表をそのまま扱っていて、どちらかと言うと、原発事故との関連性を希薄化しようとしているような記事で感心しない。
朝日新聞の該当記事

 真実は、もっぱら、他のサイトから確認することになる。

 なかでも、「福島原発事故の真実と放射能健康被害」のサイトが有益だ。
 昨年末更新された、甲状腺がん増加に関する詳細な記事を紹介する。
「福島原発事故の真実と放射能健康被害」のサイト

 なお、関連する内容を2015年10月9日にも書いているので、ご興味のある方はご覧のほどを。
2015年10月9日のブログ

福島の甲状腺がん→現状で子供201人が発病!原発事故の現在と影響
更新日:2018年12月27日 公開日:2014年3月14日

2019年、福島原発事故の現状。それは子供達の甲状腺がんの多発を抜いて語ることはできません。

そこで今回は『福島原発事故と甲状腺癌』のカテゴリに属する7つの記事をまとめて5分で読めるようダイジェストでご紹介します。詳細な内容は各記事への青色のリンクをクリックすることで閲覧できます。

福島原発事故の現状…現在の状況がどうなってしまっているのか…

2018年9月5日に公表された最新の福島県民調査報告書によると、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子供達は、2か月半前…前回の198人から3人増えて合計201人になりました。

それから手術で良性結節だったことが確定し甲状腺がんではなかった1人も元々は、この甲状腺がん及び疑いにカウントされていましたから、この1人も数えれば甲状腺がん及び疑いは合計202人となります。

福島県の発表は甲状腺がんを、悪性…悪性とはがんのことですが『悪性ないし悪性の疑い』という言葉を使い、あたかも甲状腺がんでない子ども達もこの中に含まれているように書くことで、焦点をぼかしチェルノブイリ原発事故との比較を困難にしています。


しかし手術を終えた165人の中で、良性結節だったのはたった1人にすぎず、162人が乳頭癌、1人が低分化癌、1人がその他の甲状腺癌との診断です。

つまり手術を終えた165人中164人が小児甲状腺癌でした。

%表記にすれば『悪性ないし悪性の疑い』のうち99%は、小児甲状腺癌。

ですので疑いという言葉を過大評価して安心するのは危険です。

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この記事は現状、福島県で甲状腺癌と考えられる201人の子どもたちを市町村別、事故から病気発見までの経過年数別、男女別、事故当時の年齢別、地方別にそれぞれ分類して、チェルノブイリ原発事故や過去の日本や福島県のデータと比較しています。比較することで、現状の福島の小児甲状腺がん患者数が多いのか?少ないのか?放射能の影響はあるのか?ないのか?客観的に見ることができます。

なお混乱しやすい先行検査と本格検査の定義の解説もおこなっていますので初めて『福島の甲状腺がん問題』に接する方にも最適です。


 サイトから、他の記事もぜひご確認いただきたい。

 なぜ、「あれから八年」の番組で、甲状腺がんのことが避けられているのか・・・・・・。

 これは、由々しき問題である。

# by koubeinokogoto | 2019-03-11 20:36 | 原発はいらない | Comments(0)
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幕蓮著『官邸ポリスー総理を支配する闇の軍団』(講談社)

 元警察庁キャリア官僚が内部告発した本として話題になった『官邸ポリスー総理を支配する闇の軍団』からの二回目。

 
 主要登場人物の仮名と、実際の人物と思われる名を、あらためて並べてみる。

  内閣官房副長官 瀬戸弘和--->杉田和博
  内閣情報官 工藤茂雄 ------->北村滋
  警察庁総括審議官(元警視庁刑事部長) 野村覚--->中村格

 今回は、政府に近いマスコミの人間が、その罪を“官邸ポリス”にもみ消してもらった、あの騒動について。

 工藤は運動不足解消も兼ねて、敢えて階段で六階に上がった。そこには内閣情報調査室の各班がある。
 その一番奥、総務版の背後にある資料室の入り口のセキュリティセンサーに掌(てのひら)を近づけた。ピッ、ガシャッと、ロックが外れる。役所のなかでも、特に厳重なシステムだ。警察庁警備局の部屋以上のセキュリティが施されており、内調の職員だからといって自由に出入りすることはできない。
 何よりこの部屋には、内調のIDカードだけでは入れない。内調でも総務班の一部など、限られた職員だけが入室を許されている。
 薄暗い部屋に入っていく。周囲の棚には、過去の週刊誌やDVDだけでなく、いまは懐かしい八ミリフィルムやVHSビデオも保管されている。その奥に、パソコンが整然と置かれたデスクが並んでいた。そこが、まさに官邸ポリス準備室だ。表向きは内調の資料室の作業スペースだげ、これが特命チーム、通称「エイワン」の打ち合わせ場所であった。
 今日はふらっと寄っただけだが、ここに関係者を集めて打ち合わせをすることもある。工藤は、ときおり、ここで一人になって沈思黙考し、気持ちを新たにしていた。
 -内務省を実質的に復活させ、真に強い日本を作るのだ、と。

 その翌日、珍しく業務が落ち着いていた工藤は、昼飯に何を食べようか、などと考えていた。そのときスマホが鳴った。液晶画面には「山本記者」と表示されている。それを確認して、通話ボタンを押した。
「山本さん、こんな時間に珍しいですね。どうかなされましたか?」
 工藤が聞くと、その声にかぶせるように、切羽詰まった山本の声が聞こえた。
「工藤さん、助けてください!実は厄介なことに巻き込まれていまして・・・・・・恥ずかしくて、いまのいままで相談できなかったのですが、私は逮捕されるかもしれません・・・・・・」
 声の主は、多部総理や須田官房長官にも近い、東日本テレビ元ニューヨーク支局長の山本巧記者である。内閣情報調査室のトップとして情報を収集することを任務とする工藤にとって、米国や北朝鮮の情勢について情報をもたらしてくれる山本は、大事な存在であった。

 この山本のモデルは、もちろん、TBSの元ワシントン支局長だった山口敬之である。
 作中の名前で続けるが、山本は、彼が自社で記事化できなかった北朝鮮の金正恩委員長のスキャンダルを、署名入りで週刊誌で発表したため、支局長の任を解かれていた。
 翌年のアメリカ大統領選挙選に向けて情報交換をしていこうとしていた矢先のことで、工藤も、そんな山本にどれほどの価値があるか自問しながらも、彼の電話を聞いていた。
「ある女性と合意のうえに関係を持ったのですが、最近、関係がこじれてしまいまして、彼女が私に強姦されたとして警視庁に告訴したらしいのです」
 倫理意識の強い工藤は、内心、そんな痴話喧嘩くらいで電話するな、と思った。もし事実なら、そんな輩は罰せられれんばいい。しかし、総理の盟友を無碍にするわけにもいかない。
「状況がよく分からりませんので、現時点では何とも申し上げられません。もちろん、いわゆる事件のもみ消しなど、当然できませんが、少々お時間をください」
 そう答えて、電話を切った。

 この後、工藤は、内閣官房副長官で官邸ポリスのリーダー、瀬戸に相談する。

 瀬戸は、警視庁の広報課長の根本に実態を探らせるよう工藤に指示を出した。

 
 瀬戸は、そうそう、と言って続けた。
「山本は、言ってみれば総理を宣伝する本の出版も計画しているらしい。その山本を助けられれば、ことによると官僚嫌いの多部総理も、内務官僚だけは評価してくれるかもしれない。山本みたいな人間でも、政権の広報マンとして使えるなら助けてやれ。しかし、言わずもがなだが、くれぐれも違法なことはするな。黒を白にするような無茶もダメだ」

 工藤は、官邸ポリスのメンバー、警視庁刑事部長の野村覚に電話した。
 野村は、捜査一課ではなく、後輩の広報課長の根本に電話をした。

 工藤は、山本の名を出さずに、有名人の逮捕案件は速やかに連絡をくれるよう、伝えた。
 根本は、何のことか分からず不審がっていたが、翌日。

 コンコンと課長室のドアがノックされた。
「課長、いま少々よろしいですか?」と広報課次席の声が聞こえた。
「どうぞ」と根本が答えると、次席が課長室に入ってきた。
 (中 略)
「いま、品川中央署の副署長から電話がありました。東日本テレビの山本という記者を、成田空港で逮捕する予定、とのことです」
 そこまで一気に言うと、次席は少し表情を和らげた。
「先だっての副署長研修で、社会的に耳目を集める可能性のある逮捕事案は事前に一報を、と課長に言っていただいたお陰です。早速、効果が出てきました。どう対応いたしましょうか?報道担当係長を呼びますか?」
 ここで根本は、初めて昨日の野村刑事部長の電話を思い出した。
(ああ、このことだったのか・・・・・・山本、あのテレビでも見かける人か・・・・・・確か、総理にも近い人じゃなかったかな?)

 根本は、品川中央署がすでに令状請求も済み、成田空港にすでに逮捕メンバーを派遣していることを知り、野村に報告。

 野村と根本は、警視総監の高田に会って、この件を野村に一任してもらうことの了解を得た。

 野村は、品川中央警察署長に電話をする。

「逮捕状は、絶対に執行しないでください」
「どういう意味ですか?」と、署長が抵抗する。野村は既に冷静な声に戻っている。
「意味も何も、文字通り、逮捕状を使わないでください、ということです。釈迦に説法ですが、捜査は、任意が原則です。山本は有名人であり、逃走の恐れはありません。そして、いまさら証拠隠滅の恐れもなさそうです。逮捕しなくとも、任意で話を聞けばいいでしょう」
 署長はまだ諦めない。
「ただ、マメは逮捕するのが通常じゃないですか。それに山本は、被害者の女性に、介抱しただけで合意のうえだ、という趣旨のメールを送っています。これは口封じ、つまり証拠隠滅に当たるでしょう。そもそも捜査員が捜査を積み重ねて取った逮捕状を執行しないなんて、少なくとも私は経験したことがない。これは命令ですか?」
 しかし、野村は冷徹言い放つ。
「そう理解していただいても結構です。何も、彼の事件をもみ消せと言っているわけではありません。有名人物である山本については、マスコミからの反響も大きい。その捜査については特に慎重に進めるべきであり、原則に従って任意にすべきだ、と申し上げているだけです。その辺を誤解しないでください。ちなみに、政府レベルでの重要人物であることも申し添えておきます。ご斟酌ください」
 野村は署長の返事も聞かずに、ここで受話器を置いた。

 この野村のモデルは、その後、警察庁総括審議官に出世した中村格。

 その中村に、山口事件のもみ消しについて、執拗に取材を続けたのが、東京新聞の望月記者である。

 望月記者をなんとか貶めようとしているのも、もちろん、その中村格だ。

 官邸ポリスの活躍(?)は、今なお激しさを増している、と言ってよいのだろう。

 この告発本のAmazonのレビューは、通常の書籍のレビューにも増して、ネガティブなものが多い。

 官邸ポリス自身が、このレビューの背景にもあるのは間違いないだろう。

# by koubeinokogoto | 2019-03-08 12:38 | 今週の一冊、あるいは二冊 | Comments(0)
 森友学園の籠池前理事長の補助金詐欺疑惑に関し、今日6日から公判が始まった。

 籠池氏は、「国策捜査」として、徹底的に戦う姿勢を見せている。

 安倍政権は、モリカケ問題は、もう終わったことにしようとしているが、とんでもない。
 これから始まるのだ。


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幕蓮著『官邸ポリスー総理を支配する闇の軍団』(講談社)

 モリカケ問題への対応を含め、政府を支える闇の組織を、元警察庁キャリア官僚が内部告発した本として話題になったのが、昨年末発行された『官邸ポリスー総理を支配する闇の軍団』だ。

 著者は、幕蓮というペンネームで、巻末のプロフィールには、「東京大学法学部卒業。警察庁入庁。その後、退職」とだけ記されている。
 
 Amazonには、多くの否定的なレビューが投稿されている。
 それだけ、この本の帯にある「92%は現実」を裏付けていると私は思う。

 主要登場人物の仮名と、実際の人物と思われる名を並べてみる。

  内閣官房副長官 瀬戸弘和--->杉田和博
  内閣情報官 工藤茂雄 ------->北村滋
  警察庁総括審議官 野村覚--->中村格

 実名の三人、ここ数年、いろんな場面でネットに登場する。

 さて、森友学園問題の部分を引用したい。

 まさに「国策捜査」の実態はこうだったのか、と思わせる内容。

 なお、本書では、盛永学園で門池理事長、となっている。ちなみに、首相の名は、多部。

 事実はどうであれ、このままでは総理の印象が悪化するばかりだー瀬戸副長官は、大阪府警の毛利本部長に直接、電話した。
「門池を黙らせられないか?」
 毛利本部長は、それまでの盛永学園に関する情報を整理して、門池周辺への聞き込みを強化した。すると、塚田幼稚園が教員の人数を偽り、補助金を不正受給している疑惑が浮上した。それは、瀬戸副長官に伝えられ、当然、工藤情報官以下の内調メンバーにも情報共有された。
 そして2017年3月、当該補助金の不正受給疑惑が新聞で報道された。
 しかし一方で、財務省の佐藤理財局長が、国有地売却について「財務官として、価格を提示したことも、先方から買いたいと希望があったこともない」と国会答弁していた。
 既に、Sを通じて近畿財務局が作成した書類を入手し、それらに目を通していた瀬戸や工藤は、佐藤局長の答弁に冷や冷やしていた。しかし、財務省の答弁に意見を言うわけにもいかず、不安に思っていたところ、四月に入って大阪地検が、財務省職員らに対する告発を受理した。そうして国が不当に安い価格で国有地を売却したとする背任容疑で捜査を開始し、その後、証拠隠滅や公文書等毀棄などの告発も受理した。
 不正受給疑惑が報道された後も、むしろ財務省が世間の批判を浴び出したことに浮かれて、門池の放言は止まらなかった。野党も門池の胡散臭さに気づきつつも、多部政権を攻撃する好材料と考え、連日、話題にした。もうこうなれば、最後の手段だ。
 -門池に、「なか」に入ってもらうしかない。
 盛永学園は寄付金集めに失敗したし、財政的には余裕がないはずだ。それを確認すれば、仕掛けられる。

 ということで、この後、“闇の集団”は、盛永学園の銀行口座や門池夫妻の個人口座を調べ、どの口座にもまとまった金がないことを確認。クレジットの信用調査もブラック分類になっていることが判明。

 次に、工藤調査官の命令で、内閣情報調査室(内調)の調査官を門池の息子を訪問させた。
 
 門池側としても、何か手打開策が欲しかったので、すぐに面会した。その際、清水調査官は、「内閣官房 調査官」という名刺を渡し、内閣官房を代表してお願いするために来たのだと伝え、次のように依頼した。
「もし本当に総理夫人が100万円を寄付していたとしても、万が一にも、返しに来るようなパフォーマンスはしないでください。これ以上、混乱しても困るので、その点は絶対にお守りください。それだけをお伝えするために、大阪まで来ました」
 ところが案の定、6月21日に、突如、上京した門池は、恵子夫人が経営する居酒屋を訪れた。金を返したい、と言う。
 (中 略)
 想定通り、門池が用意した、白い紙の束を一万千札で挟んだ偽の100万円の札束が、テレビカメラに収められた。澤村から事前に耳打ちされていたので、現場に居合わせた奥田麗も、その場面を見た。それを各紙が記事化したため、門池の信頼を完全に失わせることに成功した。
 門池は「嵌められた」と思っただろう。
 
 藁をもつかむ思いの門池(籠池)陣営が、まんまと嵌められ、その醜態をメディアに晒した。

 たしかに、あのパフォーマンスは、印象を大いに悪くしたなぁ。

 澤村は、“闇の集団 官邸ポリス”の若手メンバー。奥田は新聞記者で、澤村とは恋仲になっている女性。

 こうして、官邸ポリスの工作の末、2017年7月31日に、夫妻は大阪地検特捜部に補助金適正化法違反の疑いで逮捕された。

 そして、異例と言える十ヶ月に及ぶ収監。


 籠池前理事長が「国策捜査」と言うのは、まさに、このことであろうと思える内容だ。

 この本からは、あと何度かご紹介するつもり。

 本書では、多部政権に反対する何人もの人が官邸ポリスによって罠を仕掛けられ、政権にとって都合の良い人物には、官邸ポリスによって、犯罪モミ消しがあった。

 “92%”の現実と思える部分について、このシリーズを続ける予定。


# by koubeinokogoto | 2019-03-06 22:24 | 今週の一冊、あるいは二冊 | Comments(0)
 「ハフィントンポスト」が、今日から公判が始まる森友学園の籠池前理事長に、この問題を当時NHKでいちはやく取り上げ、前理事長との信頼も厚い相沢冬樹現大阪日日新聞論説委員のロング・インタビューを掲載している。
「ハフィントンポスト」の該当記事

 少し長くなるが、引用する。


NEWS
2019年03月05日 21時35分 JST | 更新 27分前
森友学園の籠池泰典・前理事長「安倍首相はエセ保守」元NHK記者のインタビューに断言。3月6日に初公判
寄付金100万円は「内緒に」と口止めされていたことも明かした

学校法人「森友学園」(大阪市)の前理事長、籠池泰典被告(66)と妻の諄子被告(62)に対する補助金詐欺事件の初公判が3月6日、大阪地裁である。

籠池夫妻は国や大阪府、大阪市の補助金をだまし取ったなどとされる詐欺や詐欺未遂罪に問われている。

裁判に先立ち、籠池夫妻は単独取材に応じ、「安倍首相の関与を隠すための国策捜査だ。勝たないかん」と全面的に争う姿勢を鮮明にした。

インタビューの中で、泰典被告は一連の問題が発覚する前、小学校で使う副読本を安倍晋三首相側に渡していたことや、昭恵夫人から100万円を寄付された際、昭恵夫人から「内緒に」するよう口止めされたことも明らかにした。

かつては信奉していた安倍首相を「エセ保守だ」と指摘。その上で、「保身のために我々を切り捨てた。国民もだまされている。退陣するまで闘う」と「宣戦布告」した。

インタビューの全文は次の通り(以下、敬称略)。
聞き手=大阪日日新聞論説委員・記者(元NHK記者)相沢冬樹

国策捜査には負けない

──一緒に街を歩いていると、いろいろな方から声をかけられますね。

泰典 そうですね。ありがたいことやと思います。昨日も梅田のまちで建物に入るところを7、8人くらいの学生さんがパッと見て、長いこと待っているんです。で、僕が出たら「籠池さん頑張ってくださいね」って言うわけですよ。

ほかにもおばあちゃま方がこの人(=諄子夫人)の方を見て「頑張ってくださいね~」とか。握手を求めてきたりしますよ。

──何を頑張ってほしいと言っているんでしょう。

泰典 やはり、とんでもない権力に対し、1人で立ち向かっているということについて、共感してくださるんじゃないでしょうか。大変な目にあっているからエールを送っておかなあかんと。

──その話ですけど、補助金詐欺容疑での逮捕から1年半あまり。いよいよ3月6日にお二人の刑事裁判が始まります。初公判を前に今の心境はいかがですか。

泰典 淡々としていますよ。平常心です。

──裁判でどのように訴えていきますか。

泰典 これは大きな事件からの論点のはぐらかしだと。国策捜査であって、国策逮捕だったんだということを懸命に訴えていきます。国策捜査に負けるわけにはいかない。

──国策捜査だという意味は。

泰典 もともと私たちが開校を目指した小学校というのは、安倍首相も昭恵夫人も関わっていました。安倍夫妻と一緒にこの学校をつくっていこうということで話が進んでいたんです。

ところが途中で国有地の問題が取り上げられると、風向きが急に変わって、安倍首相は私のことを「非常にしつこい」と言ったり、私たちを切り捨てるような動きを見せた。

そして大阪府の松井(一郎)知事が「森友学園の補助金がおかしい」と言い出した。でも、この幼稚園に対する補助金というものはずっと以前から申請していました。

そして大阪府は毎年監査していましたけど、問題だと指摘されたことはなかったんです。それが突然、国有地の値引きが問題になった直後に、大阪府が急におかしいと言ってきた。

おかしいなら修正するし、詐欺罪に問われるような話ではなかったはずなのに、逮捕されてしまったわけです。

そして300日間も勾留された。行政の指示通りに対応していた分もあるのに立件されるなんて、釈然としませんよ。

これは、国有地の問題が安倍首相まで行かないようにするための国策捜査だったと受けとめています。安倍首相と松井大阪府知事は仲良しですから、私の口封じをするための「ナイスアシスト」でしょう。

──この事件では諄子夫人も逮捕・起訴されています。

泰典 この人(=諄子夫人)は補助金のことにまったく関わっていませんから、完全な無実ですよ。

それなのに逮捕されたのは、昭恵夫人と親しいからでしょう。私1人を逮捕しただけでは、この人が社会でしゃべり続けるから、これは2人一緒に(拘置所に)入れておいた方がいいと思ったんでしょう。

──罪に問われた補助金の中には、小学校の建設にあたり、国から受け取った補助金もあります。

泰典 あれは設計業者が扱っていたことで、主導権は私たちではなく、業者にあったんです。

安倍首相に副読本渡す

──籠池さんは大阪府豊中市の国有地に小学校を建てるということを最大の目標にしていたわけですが、そこに安倍首相や昭恵夫人はどのように関わっていたんでしょうか。

泰典 義務教育期間は大切です。人間育成の基本になりますから。私は義務教育課程の中で、日本国、日本国民のために役立つ素晴らしい人材を育成したいと考え、それが今の公立学校では足りないと思ったからこそ、金銭的には得にならないとわかっていても小学校の開校をめざしたわけです。

それまで私どもの幼稚園では素晴らしい教育を行っているということで、保守系の方々、日本会議の方々を中心に一定の評価を頂いていました。政治家も含め、こうした方々が小学校の計画に賛同してくださった。

安倍首相は「美しい国、日本」を唱えていましたから、私たちの教育がそれに合うと思われたから支援して頂いたと思うんですよ。

──具体的にはどのような関わりがあったんですか。

泰典 小学校で使う副読本を作ったとき、昭恵夫人を通じて安倍首相にお渡ししました。それに対し「素晴らしい内容だ」というお答えを、昭恵夫人を通して頂きました。私たちは安倍夫妻と一体になって小学校の準備を進めていたんですよ。

──安倍首相と直接やりとりしたことはあるんですか。

泰典 第2次(安倍)政権が誕生する前、安倍首相がまだ一衆議院議員だった時に、昭恵夫人や安倍事務所を通して安倍さんに学園での講演をお願いし、了承を得ていました。

ところが講演直前の4日前になって、安倍さん本人から電話がかかってきたんですよ。僕の携帯にね。「あの、安倍晋三ですが」って。「ドタキャンで申し訳ありませんが、今度自民党の総裁選挙に出馬することになりまして、申し訳ありませんが今回の講演はできません」と。「申し訳ありません」と2回くらい言われましたね。

──ドタキャンという言葉は安倍さんが使ったんですか。

泰典 そうです。

──その時に籠池さんはどうおっしゃったんですか。

泰典 「そうですか。残念ですね。でも総裁選も頑張ってください。次に必ずお越しくださいね」と。すると「必ず行きます」ということでした。

そのことをPTAの方々にお伝えするために、文書で頂ければありがたいですとお願いしたわけです。そしたら後で文書を送ってこられました。

「申し訳ありません。総裁選挙に出馬しますので講演会はできません。必ず次回はさせていただきます」と、署名が入ったものを頂きました。それを幼稚園の保護者会の会報の「おかあさん新聞」にも掲載しています。

──その文書はどこにあるんですか。

泰典 学園の僕の机の中に、安倍さん関係の分はまとめて置いていました。けれど、検察庁の捜索で全部持っていかれた。返してくれへん。私の刑事事件(補助金詐欺)とは関係のない話なのにね。

幻の校名

──安倍首相や昭恵夫人とはどのようにつながりができたんですか。

泰典 最初は我々の幼稚園のPTAの役員さんですね。この方が、教育理念が一緒だということで、昭恵夫人に保護者会の「おかあさん新聞」を送ったんです。

それを昭恵夫人が見て「いい幼稚園ですね」と。安倍首相にも渡して、すばらしい学園だと認識して頂いたそうです。

この保護者の方を通して昭恵夫人と直接連絡を取るようになりました。このやり取りの中で、安倍晋三さんの名前を小学校の冠として使いたいとお願いしたんです。

──「安倍晋三記念小學院」という校名ですね。

泰典 安倍首相や昭恵夫人と一緒にこの学校を作っていくという思いがあったからこの名前を付けようとしたんです。

で、昭恵夫人とやりとりがたくさんあって、安倍さんは首相になる前は「ああ、もういいですよ」とおっしゃって頂いたと夫人からお聞きしました。

それが総裁になって首相になって「それについてはちょっとと言ってます」と変わってきた。

私は何度もプッシュしてね、何とか安倍晋三さんの名前を使いたい、とお話をしていました。

平成26年(2014年)の3月に安倍首相とお会いする機会ができたんです。昭恵夫人が「主人(=安倍首相)も連れていきます」ということだったので、ホテルの料亭でね、4席を用意しまして、お会いすることになったんです。

ところが安倍首相は公務で来られなくて、秘書の運転する車で昭恵夫人だけが来られました。そこで話をしているうちに、「ちょっと首相ですので」ということで、安倍晋三さんの名前を校名に使う件を正式にご辞退されたわけです。

財務局が一変。昭恵夫人との写真

──その後、昭恵夫人は実際に学園で講演していますよね。

泰典 夫人とは密接に連絡を取り合っていましたから。あるとき「大阪の住吉大社に参ります」というので、「それなら私どもの学園に寄ってPTAの方々と幼稚園の先生方を対象に講演をして頂けますか?」とお願いして実現したんです。

住吉大社で私たち夫婦も一緒に昇殿参拝させて頂いたあと、学園の方にお越し頂きました。

──それが初めての講演?

泰典 ええ、いい講演されましたよ。第1次(安倍)政権が退陣する時の心情、結婚のいきさつなど、いろいろ話して頂きました。面白い講演でしたよ。

──その後、小学校の予定地を見に行くわけですね。

諄子 講演の後、(大阪市にある超高層ビル)「あべのハルカス」でお友だちと飲み会があるとおっしゃっていて、それまでに時間があると。それでお父さん(=籠池氏)が「それなら小学校の予定地を見に行きませんか?」と。

──それに対して昭恵夫人は何と?

泰典 「ああ、行きましょう」と言いました。ということで、お供が運転する車から私が運転する私の車に乗られて現場に向かいました。お供の車は後からついてこられましたね。

──予定地をご覧になって昭恵夫人は何とおっしゃっていましたか。

泰典 昭恵夫人って、ほら、棚田を作ってらっしゃるでしょう。田んぼのことをすぐにイメージされるんですよね。「ああ、この場所はいいとこですね。いい棚田にできますね」と。

──棚田にできる?

泰典 できませんよね。「いい田んぼにできる」という意味でしょう。そう言いながらしばらく見ていらっしゃって、「いい土地ですね。もうぜひ話を進めてください」という言葉を頂きました。

さらに「何か相談したいことがあったらおっしゃってください」と向こうから聞かれて。

ちょうどその時に財務省と土地の貸借のことで色々あったんですけど、家内が「お父さん言ったらどうなの」って言ったんですが、私は「まあまあ」と。

それを察知された昭恵夫人がね、こう言われたんですよ。「あ、何でも言ってください。おっしゃってきてください。どうぞ遠慮しないで」ということでした。で、写真を撮られたの。

──昭恵夫人とお二人のスリーショット写真ですね。

泰典 昭恵夫人が「写真を撮りましょう」とおっしゃったんです。それで秘書の方が写真を撮りました。

──その写真を3日後に近畿財務局との交渉で見せていますよね。

泰典 それまでも僕たちは昭恵夫人のことや、小学校を「安倍晋三記念小學院」としてつくりたいということを、(土地取引の相手の)近畿財務局の担当者に話していたんですよ。

政治家の人も色々と話してくれているんだと言っても、いま一つ、彼ら(=近畿財務局)が信ぴょう性を感じていないように感じられました。

それでこの時に、「この前ね、ちょうど昭恵夫人が来られたんですよ」と話してね。「あの土地を見て『いい土地ですね。話を進めてください』とおっしゃった。写真もありますよ」と。

そしたら財務局の人が「えー、本当ですか。ぜひ写真を見たいです。見せてください」と言うので見せたら、「これコピーしていいですか?」と。「どうすんですか?」って聞いたら「いや、上司にも見せたいと思っているので」と。

──写真を見せて近畿財務局の態度は変わりましたか。

泰典 変わりました。それまではなかなか話が進まずに、依頼していた弁護士も怒っていたんですが、写真を見せた後は物事の対応が早くなった。柔軟になりました。

──どういう風に柔軟になったのですか。

泰典 それまで定期借地権の期間を10年とすることに「10年なんて」と言っていたのが、急に「10年でいきましょう」となった。

今まで「こんなん、できませんで」という態度だったのが、わりとほんわかと、スッといくようになった。書類の作成についてもあちらから「こうされたらどうですか?」「このようにする方がいいですよ」などと、提言のようなものがどんどん出てきました。

──その後も昭恵夫人について何か聞かれましたか。

泰典 「よく来られているんですか」「この前はいつ来られてどんなことがあったんでしょうか」というふうに、いろいろなことを聞かれました。

「神風」

──その後、国有地の売買交渉の中で、近畿財務局の方から、学園が出せる上限額を聞き出すということがありました。実際そこに収まる金額で売却されています。買い手の都合に合わせて売却額を決めたと思われる行為です。財務局の背任行為を強く伺わせる特ダネ情報としてNHKで放送しました。私の著書「安倍官邸vs.NHK」でも詳しく紹介しています。

泰典 確かにそういうことがありました。

──どういうやりとりだったんですか。

泰典 近畿財務局が学園の顧問弁護士に「売却はいくらまでなら出せるか」と聞いていると。

その後、近畿財務局から私の方にも連絡があって、私は「安ければ安い方がええ。ゼロ円に近い方がええね」と言ったんですけど、「そうするのは無理なんですよ」と。それで「1億6000万円くらいが上限です」と答えました。

──それに近畿財務局はなんと答えました?

泰典 「理事長の意向に添えるように努力します」と。それを聞いて「神風吹けり。これでうまくいった」と思いました。

──実際の売却額は1億3400万円。まさに意向通りになっています。それも10年の分割払いでした。

泰典 あれは財務局の方が「一括して払われますか。10年間で分割もできますよ」と言ってくれたから、「それなら分割にしよう」と。それはありがたいことですよ。

 ぜひ、全文を読んでいただきたい。

 「ハフィントンポスト」、よくぞ載せた!

 どう考えても、安倍夫婦はブラックだ。

 2017年2月17日に、「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」と言っていた、その約束を果たしてもらおうじゃないか。

 籠池前理事長が言う「国策捜査」については、元警察庁キャリアが書いた、とされる告発本、『官邸ポリスー総理を支配する闇の集団』から紹介する予定。
# by koubeinokogoto | 2019-03-06 12:47 | 責任者出て来い! | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛