原子力資料情報室(CNIC)、今は数少ない、信頼できそうな組織。
原子力資料情報室の共同代表者である伴さんが、19日のTBS「報道特集」に出演されていた。
この日の「報道特集」は、災害発生後の番組の中では出色の出来と言って良く、ヨウ素やセシウムの半減期のことも専門家の言葉でしっかり説明し、津波の怖さについては、たまたま仙台の若林地区で別の取材をしていた東北放送の武田記者が命からがら回したカメラに残った、あの津波の実態のリアルで貴重な映像が放送された。これこそが“衝撃”的映像だ。記者本人により、救えなかった人たちへの無念さとともに回想されたのだが、まさに胸を打たれた。他にも有益な情報が整理されて構成されていて、この歴史ある“硬派”報道番組の特徴が十分に活かされていた。個人的な感想として、東北放送の記者の映像は、「ピューリュツァー賞」候補だと思う。
さて、原子力資料情報室という組織の名で思い出すのは、やはりこの組織を設立した高木仁三郎さんだろう。
まず、この組織のことをWikipediaから引用。
原子力資料情報室(げんしりょくしりょうじょうほうしつ)は、原子力を利用しない社会を目指して作られた民間シンクタンク。
政府や企業から独立した立場から原子力業界を批判している。
概要 [編集]
1975年9月、高木仁三郎が設立。1999年9月に特定非営利活動法人化。
原子力業界から独立した立場で、調査・研究などを行っている。また、公開研究会や国際会議、シンポジウム等を開催している。
2011年現在は、没した高木に代わり、山口幸夫(法政大学教授)と西尾漠、伴英幸(元事務局長)の3人が共同で代表を務める。
七つ森書館より『原子力市民年鑑』を刊行(1996年から98年までは『脱原発年鑑』)。
高木さんは生前、原発問題がテーマの時によくテレビでお見かけした。現在共同代表のお一人である西尾さんも、岩波ジュニア新書の『新版 原発を考える50話』などを含め、数多くの原子力発電所に関する啓蒙書を書かれている。
CNICはこの度の原発事故発生後、政府への申し入れや、メッセージなども発信しているが、新宿での放射線測定結果も公表している。
原子力資料情報室のサイト
3/21 11:30 コメント追記
屋外での測定値が高くなっています。これは雨のために普段から自然界にあるラドンの影響が出てきているためで、原発に起因するものではないと思われます。
原子力資料情報室(東京都新宿区)での放射線の測定結果
使用している機器はALOKA γSURVEY METER TSC-171
単位はマイクロシーベルト/時
2011/3/14
事務所窓際 μSv/h
10:00 0.06-0.09
10:40 0.05-0.08
11:00 0.06-0.08
11:30 0.06-0.10
12:00 0.05-0.10
2011/3/15
08:30 0.06-0.10
09:00 0.09-0.13
09:30 0.09-0.14
10:30 0.17-0.21
11:00 0.10-0.11
11:30 0.07-0.09
12:00 0.08-0.09
13:00 0.06-0.09
13:30 0.06-0.09
16:00 0.09-0.09
16:30 0.06-0.08
17:00 0.05-0.09
17:30 0.05-0.11
18:00 0.12-0.13
以降、屋外での測定も開始
(左数値:室内、右:屋外)
2011/3/15
20:00 0.19-0.21 0.63-0.65
2011/3/16
10:00 0.06-0.08 0.10-0.12
11:00 0.05-0.08 0.09-0.10
12:00 0.07-0.09 0.10-0.11
14:00 0.06-0.07 0.06-0.11
15:00 0.07-0.08 0.10-0.11
16:00 0.07-0.08 0.10-0.11
17:00 0.07-0.08 0.10-0.11
18:00 0.08-0.11 0.10-0.11
20:00 0.06-0.07 0.09-0.10
21:00 0.07-0.08 0.09-0.10
23:00 0.07-0.09 0.09-0.11
2011/3/17
02:00 0.07-0.09 0.09-0.11
10:00 0.07-0.08
14:00 0.07-0.08 0.09-0.11
17:00 0.07-0.08 0.09-0.10
20:00 0.06-0.08 0.09-0.10
23:00 0.07-0.08
2011/3/18
10:00 0.07-0.08 0.09-0.10
12:00 0.07-0.08 0.08-0.09
15:00 0.07-0.08 0.09-0.10
19:00 0.07-0.08 0.06-0.10
2011/3/19
00:00 0.07-0.08 0.09-0.10
08:00 0.05-0.12
12:00 0.06-0.10
13:00 0.07-0.08
14:00 0.07-0.08
15:00 0.07-0.08
17:00 0.06-0.08 0.08-0.09
20:00 0.07-0.08 0.09-0.10
21:00 0.07-0.08
23:00 0.07-0.08 0.08-0.09
2011/3/20
00:00 0.07-0.08
13:00 0.05-0.07 0.08-0.09
14:30 0.07-0.08 0.09-0.10
15:30 0.07-0.08 0.09-0.10
16:30 0.07-0.08 0.09-0.10
17:30 0.07-0.08 0.09-0.10
18:00 0.07-0.08 0.09-0.10
19:00 0.07-0.08 0.09-0.10
21:30 0.07-0.08 0.08-0.09
2011/3/21
11:30 0.08-0.09 0.20-0.21
13:00 0.07-0.09 0.20-0.21
15:00 0.07-0.08 0.22-0.23
16:00 0.08-0.09 0.22-0.23
アメリカから専門家が来たことは朗報ではあるが、被災の当事国である日本においても、原発の危険性を根気強く指摘し続け、この災害時にも市民のための有益な情報を発信してくれている組織があることは、もっと知られていいだろう。政府、東電、マスコミ、セリーグなどの組織への信頼が大きく揺らぎ憂鬱になるが、自分たちの自己防衛のため、そして心の準備と安定のために、この組織は信頼してよいような気がする。