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幸兵衛の小言

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「最高水準」に高めるのなら、CNICの申し入れに政府は応えよ!

野田“どじょう”首相は、予想通りに原子力村の村民であることを国連で世界に向けて再表明した。時事ドットコムの該当記事

野田首相、原発安全性「最高水準に」=再稼働念頭、国連会合で表明
【ニューヨーク時事】原子力安全に関する首脳級会合が22日午前(日本時間同日夜)、国連本部で開かれた。冒頭に演説した野田佳彦首相は、東京電力福島第1原発の事故について、年内の原子炉の「冷温停止」に全力を挙げていると表明。また、「日本は、原子力発電の安全性を世界最高水準に高める」と述べ、停止中の原発の再稼働や新興国への原発輸出を念頭に、安全対策に取り組む意向を強調した。
 首脳級会合は原子力の安全対策について各国で議論するため、潘基文国連事務総長が呼び掛け、国連総会に合わせて開かれた。首相は既に来夏に向けて原発再稼働の意向を示しており、国際社会の場で、日本が直ちに「脱原発」の方向に進むのではなく、原発の安全性を高めて利用していく考えを明確にした。
 首相は演説で、福島第1原発事故について「人類が原子力にどのように関わっていくべきかという深刻な問いをわれわれに投げ掛けている」と指摘。「事故の早期収束のため、国家の総力を挙げて取り組んできた」とし、原子炉の冷温停止も来年1月までとしていた予定を前倒ししたことなどを説明した。
 事故原因については「津波への備えに過信があった」と述べた上で、今後、原発安全性の総点検を進め、「事故の全てを迅速かつ正確に国際社会に開示する」と表明。「原子力安全庁」を創設するなどして安全規制の強化を図る考えも示した。(2011/09/22-22:06)


 原発の安全性について「最高水準」を目指す、と全世界に約束した以上、来年の再稼動の是非を握る「ストレステスト」は、3.11やフクシマを経た今日、“想定内”の地震や津波への対策を含む「最高水準」の厳格さであるべきだが、残念ながら、今のままでは、世界中に大嘘をつくことになる。

 原子力資料情報室(CNIC)は、現時点のストレステストの内容について、下記のような申し入れを政府に突きつけている。原子力資料情報室サイトの該当ページ

野田佳彦内閣総理大臣様
藤村修内閣官房長官様
枝野幸男経済産業大臣様
細野豪志原子力担当大臣様

2011.9.15
NPO法人原子力資料情報室共同代表
山口幸夫/西尾漠/伴英幸

安全を確保するためのストレステストに関する申し入れ

電力各社は原子力安全・保安院の指示に基づき順次「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合評価の実施」(以下、ストレステスト)を実施しています。政府はこれに基づいて定期検査終了後の原発の再稼働の可否を判断するとしています。
福島原発事故はいまだ収束しておらず、事故の影響は非常に長く続くと考えられます。他の原発の安全は十二分にも確認されなければなりません。しかしながら、今回、原子力安全・保安院が実施を求めているストレステストの中身を検討しますと、これではとても安全が確保できるものではないと考えざるを得ません。
その大きな理由は、地震動そのものが配管の破断を招いて冷却材喪失事故に至った高い可能性の視点(専門家の指摘 があります)、あるいは原発の老朽化による設備劣化の視点が抜け落ちているからです。加えて、内容の面からも問題があると私たちは考えています。
それは、①事故発生のシナリオの検討においても地震以外について決定論的手法が採用されているのに対して、日本では確率論的手法が認められています、②日本では原発の安全性に関して網羅的な検証を求めていない、③過酷事故時の管理体制(放射線管理や被ばく管理を含む)の検証と改善策に関する報告を求めていない、④これらに対して「過度の保守性を考慮することなく現実的な考慮を行う」としている、そして何より、⑤「公開と透明性の原則」とこれに基づく住民合意を明記していない、などです。これらはヨーロッパで行われるストレステストとはずいぶんと異なる点で、換骨奪胎の感があります。
しかも1次評価の後に運転を認めるといった、再稼働優先の対応となっています。これでは原発の安全は確保できず、第二のフクシマ事故が起こる恐れがぬぐえません。
運転再開の判断に際しては、少なくとも2次評価までのストレステストをもって行ってください。かつ、原子力安全委員会の現行の安全審査指針が今回の事故によって破たんしたことが明らかになり、目下、同委員会で指針の見直しが進められていますが、この見直し指針に基づいて、これまで原子力安全・保安院によって進められてきた耐震バックチェックをもう一度やり直し、十二分に耐震安全性が確認されてから判断してください。さらに、これらの内容が十分に公開されて、住民の合意を得るように努めてください。



 「最高水準」を目指すなら、EUのストレステストの内容に、地震大国日本としての更なる厳しい条件が加わって当たり前なのに、EUの厳格ささえ骨抜きにした内容で、再稼動を前提とする“儀式”“通過儀礼”としてストレステストを位置づけていることは明白である。

 “どじょう”やその周囲の“なまず”やら“アメンボ”達、そして彼らにドングリを与えている原子力村の村民達が、このまま「電力不足」を煽り「原発再稼動」を声高に唱える姿を見て、どれだけ“異常”と感じる国民、そしてジャーナリスト、市井の科学者や技術者がいるかということに、この国の未来がかかっているように思う。
 
 ABK(Anyone But Kan)と誰もが感じていた“菅ピューター”のことを、実効性はないにしても、思いつきであるにしても、「脱原発」という方向性だけは、すでに懐かしく思えるではないか。原子力村にとって目の上のタンコブであった菅なき今、好き放題に日本滅亡への道を進ませる原子力村の道連れにはなりたくない。
 加えて、アジアを中心に原発を輸出することで、日本が地球規模での危機を助長することになるが、そんな国に血税を払いたくはないし、ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマを経ても学べない国の国民であることは、あまりにも辛い。

 何度も書いてきたし、さまざまな著書も紹介してきたが、長期的なエネルギー政策、これからの日本人の生活のあり方、地球環境との共生への取り組み、などの文脈の中で、初めて期間限定の原発再稼動と言われなければならないと思う。たとえば、電力需要予測そのものを従来の右肩上りから右肩下がりに設定できさえすれば、「電量不足」→「原発再稼動」の論理が崩れる。

そして、フクシマにより中断されていた新大綱策定会議の再開が原子力委員会より発表され、第6回(再開第1回)会議が9月27日(火)に始まる。原子力委員会サイトの該当ページ


              原子力委員会
        新大綱策定会議(第6回)の開催について
                               平成23年9月20日
                               内    閣    府
                               原子力政策担当室

  標記会合について、下記のとおり開催することといたしましたので、お知らせいたします。なお、本会合は公開により行います。

                記
1.開催日時:平成23年9月27日(火)9:00~12:00

2.開催場所:全国都市会館 大ホール
          (住所:東京都千代田区平河町2−4−2)

3.議題:        

(1) 東京電力福島原子力発電所事故以降の原子力を取り巻く状況について

(2) その他


4.傍聴登録:
<一般傍聴を希望される方>
 事前の登録は不要ですので、会議開催時に現地にお越しください(受付開始は8時30分を予定しています)。ただし、会場の都合(座席数200席程度)上、一定の人数に達した際は、座席が確保できずに立ち見をお願いする場合や入場を制限させていただく場合がございますので、あらかじめ御了承ください。



 国の原子力政策は、この大綱を元に国会審議を必要とせずで閣議決定で進めることができる、という仕組みそのものの欠陥があるが、いずれにしても一般傍聴も可能なこの会議の成り行きには注意を向ける必要があるだろう。原子力資料情報室の伴英幸共同代表が参加されることが、何よりの心の支えでもある。原子力資料情報室サイトの該当ページ
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by koubeinokogoto | 2011-09-23 10:12 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


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