幸兵衛の小言

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「暫定」基準を下回ったコメは、果して安心して食べることができるのか?

福島県が県内のコメの放射性物質調査の結果、「暫定」基準である1キログラム当たり500ベクレルを下回ったということで、「安全宣言」をしたようだ。時事ドットコムの該当記事

福島全域でコメ出荷可能=セシウム、規制値下回る

 福島県は12日、収穫後のコメを対象に実施した放射性物質の本調査をすべて終え、全検査地点でセシウム濃度が国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を下回ったと発表した。これに伴い、県内全域でコメの出荷が可能になった。佐藤雄平知事は同日、記者団に対し「コメの安全性が確認され、安堵(あんど)している。(今後は)トップセールスに出掛けたい」と述べ、昨年の生産量が全国4位の44万5700トンだった県産米を売り込む姿勢を強調した。
 収穫前に行う予備調査では、二本松市の旧小浜町の水田で規制値と同じ500ベクレルのセシウムを検出。この日の本調査の結果は470ベクレルにとどまった。県は、この水田と近隣で収穫されたコメは、検査のために全量買い上げる方針。市場に出回ることはないとしている。
 県は、今年のコメの作付けが制限された東京電力福島第1原発の周辺自治体を除く48市町村で、放射性物質を調査。9月上旬から予備調査、次いで出荷の可否を決める本調査を行い、問題のなかった自治体から順次、出荷を解禁していた。特に二本松市は本調査を、当初予定の38地点から288地点に増やし、重点的に調べてきた。
(2011/10/12-19:17)


 果して、「暫定基準」に従った調査結果について、消費者はどう評価するのだろうか。
 
 これまで、くどいくらいに紹介してきたが、ウクライナの現状の基準と日本の「暫定」基準は次のような相違がある。2011年7月21日のブログ
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■放射性セシウムに関する規制値比較(ベクレル/Kg、ベクレル/リットル)
           日本                    ウクライナ
飲料水        200                      2
牛乳・乳製品    200                     100
野菜類        500     ジャガイモ          60
                   野菜(根菜、葉菜)      40
穀類          500    パン・パン製品        20
                   パン・穀類製品       185 *ジトーミル州の管理基準値
肉・卵・魚・その他 500      肉・肉製品         200
                    魚・魚製品         150    
-------------------------------------------------------------------------
*「飲料水」の「2ベクレル/リットル」は、決して書き間違いではない。

 日本の「暫定」基準は、「野菜類」「穀類」「肉」など全て500ベクレル/Kgであるが、ウクライナではジャガイモで60ベクレル/Kg、野菜は40ベクレル/Kg、パン・パン製品は20ベクレル/Kg、パン・穀類製品という分類で、ジトーミル州で185ベクレル/Kgという基準を採用している。

 ウクライナ基準は、食べる頻度を想定し、年間の内部被曝を1ミリシーベルトに抑えるように計算されている。毎日飲む飲料水は、2ベクレル/リットル、食べる頻度の高いジャガイモや野菜も、基準が低くなるのは理屈である。

 日本における主食のコメの基準が、果たして「暫定」500ベクレル/Kgの限界ギリギリの場合、毎日食べたら、、いったい年間での内部被曝はどれほどになるのか。計算式があるから、近いうちに試算してみるが、500ベクレル/Kgという基準が、子ども達や妊婦にとってとても安全には思えないのだ。

 知事自らトップセールスする、という意気込みは褒められるのかもしれない。
 しかし、「暫定」基準を元に早々に「安全宣言」を出すことで、問題は解決するのだろうか。たしかに厳しい基準を適用すると、それだけ農家の生計を圧迫するかもしれない。しかし、コメは主食である。消費者の関心はそれだけ高いことになる。そして、「暫定」基準については、市民の多くが疑いの目で見ているように思う。

 何度も書いてきたが、ウクライナ基準を参考にするか、専門家による算定に基づき新たな日本の「正式」基準を策定し、その基準を元に評価することが本来優先されるのではなかろうか。「暫定」基準の適用から、すでに半年以上経過しているのだ。

 もし、あるべき「正式」基準に満たないコメの生産農家には、国(税金)で買い取るか生産者を金銭的に援助すべきだろう。しかし、なぜかこの問題をメディアは取り上げない。「報道ステーション」でも、このニュースには古館のコメントもなく、スッと通り過ぎたなぁ。

 すでに、フクシマについて政府、官僚、そしてマスコミが結託して“収束”ムードを演出しているようだ。本当に安全なら、私もブログでこんなことは何度も書きたくはない。しかし、チェルノブイリを経験したウクライナの基準を歴史の教訓として、フクシマを経験した日本が生かすことができないのなら、日本という国にはまったく“学習効果”がない、と言えないだなかろうか。

 どれほど知事が「安全」と叫んでも、「暫定」が続く時間が長ければ長いだけ、市民の食への不安は払拭されないはずだ。私はそう思う。
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Commented by 佐平次 at 2011-10-13 10:54 x
標本数はどのくらいだったのでしょう。世田谷で2・7mシーベルトという数字が出ているのをみてもすでに日本は崩壊しているような気がします。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-10-13 13:39 x
世田谷の件、あまり悲観なさらないように。佐平次さんのことなので、たぶん、大丈夫でしょうけど^^
福島県のサイトの次のページに、サンプル数などの情報を含め、調査結果がPDF資料を中心に掲載されています。
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=25325

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by koubeinokogoto | 2011-10-12 21:29 | 原発はいらない | Comments(2)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


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