幸兵衛の小言

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「原子力規制庁」を、いかに“規制”するか・・・・・・。

四月から環境省の外局として発足する「原子力規制庁」は、当初「原子力安全庁」という名の予定だったのだが、「規制庁」に替わった。さて、「規制」という言葉の意味を、私が持っている国語辞書で再確認。

規制
予測される悪い事態に備えて、何かを制限すること。また、そのきまり。「法的—を加える・—を強める・食品添加物の—が強化される:自主—」(『新明解国語辞典-第四版-』)


 この組織の主だったメンバーは、これまで原発を推進してきた経産省、文科省から構成される。そして、「出向」という形式ならばなおさら、母体の組織の意向を、継続して反映して活動する恐れがある。
 そういった「予測される悪い事態」に備えての“規制”と考えていいのだとしたら、細野環境相による、「ノーリターン」の措置は、まさに「規制庁」メンバーへの“規制”と言えるかもしれない。時事ドットコムの該当記事

課長級以上は「片道切符」=経産、文科の影響排除−原子力規制庁
 細野豪志原発事故担当相(環境相)は24日の閣議後記者会見で、4月発足予定の原子力規制庁の幹部人事について、経済産業、文部科学両省から来た課長級以上の幹部職員は原則として出身省庁に戻さない方針(ノーリターン・ルール)を明らかにした。
 原子力規制庁は、原子力規制行政を利用推進官庁である経産省から分離、独立する目的で環境省の外局に設置される。原子力規制に関する専門的知識を持つ職員は経産、文科両省に頼るしかなく、発足当初は多くの職員が両省出身者で占められるとみられる。
 このため、経産、文科両省出身の審議官以上の指定職は例外なく出身省庁に戻さないこととし、課長級以上でも適性面で問題があるなどやむを得ない事情を除いては、原則として戻さないことにした。(2012/02/24-13:15)

 
 昔懐かしいオールディーズ、ニール・セダカの
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“One Way Ticket”を思い出すじゃないか^^

 細野が、「原子力規制庁に骨を埋めよ!」と言うのなら、それ自体は悪くない話である。
 しかし、退路を絶たれたにせよ、これまで原発を推進してきた同じ顔ぶれが、場所を替えて再度集まるのだから、放っておけばやることは同じになる可能性も捨てきれない。

 そして、この新組織発足を含む関連法案には、原子力の“規制”に影響を与える「審査専門委員」のことが含まれているが、その組織への懸念なども含め、「週刊金曜日」が次のように問題点を指摘している。Yahooニュースの該当記事

「ブレーキ」は統合、「アクセル」に変化なし——原発維持の原子力規制へ
週刊金曜日 2月23日(木)14時51分配信

 原子力規制に関するダブルチェックが任務だった原子力安全・保安院と原子力安全委員会を統廃合し、「原子力規制庁」と「原子力安全調査委員会」になる関連法案が一月末に閣議決定された。規制庁の定員四八五人を満たす人材は環境省にはいないため、経済産業省から三五九人、文部科学省から四五人、内閣府から六九人が出向する。各々はいずれも、これまで原子力を推進する立場にあった。

 常勤二人を含む「原子力安全調査委員会」は報道等で注目を浴びているが、規制作りの要となるのは、原子炉等規制法改正案で目立たない名称を付けられた「審査専門委員」(非常勤、若干名)である。ここに、原子力ムラ人脈をもとに御用学者が任命されることになれば、規制庁長官や原子力安全調査委員長が誰であれ、原子力規制行政は変わらない。

 なぜなら、原子力政策の源である「原子力基本法」の目的(第一条)は「原子力の研究、開発及び利用を推進する」ことにあるからだ。政府の東電福島原発事故調査・検証委員会は昨年一二月に中間報告を出したが、昨年三月二四日に首相執務室で示された「最悪シナリオ」が隠蔽されていたことは、年が明けてから判明した。

 同シナリオを書いた近藤駿介委員長率いる「原子力委員会」は、原子力基本法を根拠としており、統廃合を免れた。同氏は、昨年四月の衆院で三月一一日後、定例会を三週間も開催しなかった理由を「目の前で原子力が爆発しているような状況で、会議を開いて議論するのは適切でないと考えた」と答弁した人物だ。

 原子力推進体制の抜本改革がなされない理由を、内閣官房は「今回は安全規制組織(ブレーキ)の統合」と話した。つまりアクセルに変化はないというのだ。

 国会事故調査委員会の黒川清委員長が「『行政組織の在り方の見直し』を含めた調査の最中に政府が法案を決定したことは理解できない」と不満を表明したが、至極当然である。推進体制が変わらないのは会計も同様である。安全規制対策費が区分経理されるだけで、電源立地と電源利用対策費は不動である。四月一日に施行させる規制庁をスケープゴートに、原子力ムラを推進する体制に政権が蝕まれていると官邸は自覚しているか。

(まさのあつこ・ジャーナリスト、2月10日号)
最終更新:2月23日(木)14時51分


 そもそも、関連法案の「閣議決定」だけで、これだけ重要なことが決まってしまうのが納得できないのだが、ともかく「週刊金曜日」の記事は、まったく妥当な指摘だと思う。


 「規制」を法的に明確にした法律などはなく、「推進」を明記した旧法が残ったままで、それを遵守するのが仕事である組織は未だに存在し続ける。そんなことで、良いはずがない。
 “アクセル”をそのままに吹かしていては、いくら“ブレーキ”を強化しても、車はなかなか止まらないのだ。そもそも、新組織が“ブレーキ”なのかどうかさえ、今の時点では大いにあやしい。

 まだ、引っ越すビルも決まらず、4月から当面は現在の原子力安全・保安庁のある経産省の別館で仕事を開始するらしい、「規制庁」や「安全調査委員会」。その組織に経産省や文科省から出向する官僚たちは、果たして“ブレーキ”役になれるのだろうか。

 かつて城山三郎などが描いてきた、戦後の日本復興などに“公僕”として体を張ってきた官僚の歴史がある。

 また、長い間、「政治は三流だが、官僚がしっかりしているから日本は強い」と言われたことさえある。

 少なくとも、高給を取り賄賂が横行していたことでデフォルトの危機を迎えたギリシャの官僚などとは大きく違う、モラルと責任感、そして憂国の思いが強いのが本来の日本の官僚ではなかったのか。

 今や、原子力の問題は、国家の存亡にかかわる重要な課題だ。「原子力規制庁」そして「原子力安全調査委員会」に赴く人たちには、かつて日本国家を支えた憂国の官僚達がいたことを思い出し、精神的にも旧省庁への“帰省”の思いなど捨て去って、ぜひ原発の“規制”を考えることに集中して欲しいものだ。*最後はつまらない地口で失礼しました。
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Commented by 佐平次 at 2012-02-25 11:57 x
今朝の朝日「記者有論」に朝日の現役編集委員が自社の社説に反論しています。
東電国有化「国ならば改革できるのか」
東電と二人三脚で原発行政を進めてきた政府は本来なら東電とともに被告人席に座り罪を問われるべきである。
泥棒が泥棒規制案を造って泥棒にやらせるような話が横行していますね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-02-25 13:15 x
情報ありがとうございます。
原真人の「記者有論」を読みました。
最近の朝日は、なかなかおもしろくなってきたと思います。
編集委員が自社の社説に異論を唱えるなど、かつてはありえないことでした。
ある意味では、巧妙なバランス感覚とも言えるでしょうし、そもそもあの社説を出すべきではなかった、という指摘もあるでしょうが、自浄能力がある、ということでプラスに考えたいと思います。
原の言う通り、「目の前に課題は山積している」わけで、政府と東電の綱引きは、もっと後からにしてもらいたいものです。

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by koubeinokogoto | 2012-02-24 15:46 | 原発はいらない | Comments(2)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


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