幸兵衛の小言

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関西電力、株主提案すべてに反対。橋下はどうする!?

予想はしていたが、関西電力が、大阪市などの株主からの脱原発関連提案のすべてに反対することを明記した株主総会招集通知を送付した。時事ドットコムの該当ニュース

関電、脱原発提案に反対=株主総会の招集通知に明記

 関西電力は7日、筆頭株主の大阪市が提案した「脱原発」など28件の株主提案全てに反対する意見を明記した株主総会の招集通知を発送した。
 関電株の約9.4%を保有する大阪市は「可及的速やかな全原発廃止」のほか、発電部門と送電部門の分離、天下りの受け入れ禁止、取締役の半減など10件を提案。また、第4位株主で約3%を保有する神戸市も株主の京都市と共同で「原発に依存しない電力供給体制の早期構築」を提案していた。
 脱原発提案に対し、関電は「安全確保を大前提に原発を今後も重要な電源として活用していく必要がある」と主張するなど、株主提案全てに反対する取締役会の意見を明記した。(2012/06/07-12:34)



 この招集通知は、同社サイトの「株主総会情報」のページから、株主ではなくても、ダウンロードできる。最初に並んだ提案の「第3号議案」に関する記述を引用する。ちなみに、このPDFはセキュリティがかかっていて、文章のコピペができないため、私が見ながら書き起こした次第。誤字脱字はお許しのほどを。関西電力サイトの「株主総会情報」のページ

<株主(33名)からのご提案(第3号議案から第11号議案まで)>
第3号議案から第11号議案までは、株主(33名)からのご提案によるものであります。なお、提案株主(33名)の議決権の数は、635個であります。

第3号議案 定款一部変更の件(1)
▼提案の内容
 「第1章 総則」(目的)第2条の(1)電気事業、に次の分を追加する。
 ただし原子力発電から撤退し、将来、送電線設備を全国的な公的運営組織に移管する。
▼提案の理由
  昨年3月の東北地方太平洋沖地震による福島原発事故は、福島県を中心に、10万人以上を放射能汚染による避難生活と、全国民を放射能に怯える生活への陥れ世界を震撼させました。このような事態を招いた原発推進共同体(電力業界、原子力発電建設企業、推進してきた政治家・行政・マスメディア・言論界と関係学者など)の責任は重大です。とりわけ1960年代から原子力発電推進を第一とした歴代経営者は「建設・運転維持」のコストだけで、巨大事故による地域社会・住民生活破壊の「社会的コスト」を無視してきいた事実は歴史に刻み込まれました。こうした企業犯罪とも云うべき事態の根本的反省なしにこれからの電力はあり得ません。よって今後、経営を根本的に破壊するおそれのある原子力発電事業から撤退を決意し、急速に自然エネルギーを普及して、全国で自由にどこでも接続できる送電系統設備へ向けた準備を行うことにします。

○取締役会の意見
 当社は、お客さまに良質で低廉な電気を安定的にお届けする使命を果たすため、安全確保(Safety)を大前提に、長期的なエネルギーセキュリティの確保(Energy Security)や経済性(Economy)、地球環境問題への対応(Environmental Conservation)の3つのEを加えた、「S+3E」の観点で総合的に勘案し、電源について多様な選択肢を持ち続けることが重要であると考えております。
 わが国は、エネルギー自給率が4%と極めて低く、原油価格の高騰や化石燃料調達先の特定地域への依存など、さまざまなリスクに直面しておりますことから、当社としては、化石燃料に過度に依存しないエネルギーミックスが大切であり、安全確保を大前提に原子力発電所を今後も重要な電源として活用していく必要があると考えております。
 原子力発電所の安全確性向上対策については、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、「電源の確保」、「原子炉の冷却機能の確保」、「使用済燃料プ^ルの冷却機能の確保」のための緊急対策を直ちに実施し、多重性・多様性を拡充してまいりました。また、より一層の安全性・信頼性向上に資する対策についても、計画に基づき着実に実施しております。政府においても、大飯発電所第3、4号機について、これまで当社が実施してきた対策により安全性の確保が図られており、福島第一原子力ハウ伝書の事故と同様の事故は起きないものと判断がなされております。
 当社は、規制の枠組みにとどまることなく、安全性向上対策を自主的かつ継続的に進めていくことが不可欠であると考えており、今後も、福島第一原子力発電所の事故に関する新たな知見への対応や諸外国の動向も踏まえた最新の知見への対応も含め、原子力発電所の安全性向上対策を着実に実施してまいります。
 また、自然エネルギーについては、現行の事業体制のもと、送配電網への接続や他の電力会社と相互に協力して地域間連系線を活用した風力発電の導入拡大の仕組みを進めるなど、普及拡大にも積極的に取り組んでまいります。
 これらの取組みに加え、現行の事業体制のもと、送配電部門の透明性・公平性を高めるための工夫を検討してまいりますので、送電線設備を全国的な公的運営機関に移管する必要はないと考えております。
 したがいまして、取締役会は本議案に反対いたします。



 ちなみに、「S+3E」というキーワードは、昨年の6月に経産省によって示されたもの。次のような経産省資料の説明がある。資料の詳細はPDFでご覧のほどを。経産省「エネルギー政策見直しの基本的視点」(2011.6.29)


Ⅱ.震災を踏まえた今後のエネルギー政策の基本的視点
<「S+3E」と「時間軸」を踏まえたプライオリティの見直し>

【「3E」から「S+3E」へ)】
○エネルギー政策の基本理念である3E(安定供給、経済性、環境適合性)の重要性は不変だが、加えてS(安全性確保)が大前提であることを再認識する必要。特に原子力については、安全確保に万全を期すことが不可欠。
○「安定供給」については、海外依存度の低減のみならず、災害等の国内有事にも強いエネルギー供給体制の構築が必要。その際、大規模集中電源に依存するリスクが顕在化したことを踏まえ、分散型電源や電力以外のエネルギー源と共生する複線・多重型のシステムを実現する必要。
○「需要サイド」は、これまでの省エネ技術の革新等を通じたエネルギー消費の効率化への不断の取組に加え、エネルギー消費の際限ない増加を許容する社会のあり方を問い直し、「省エネ・節電型」に変革する必要。



 国策と言われる原発。そして、この通知書にある「S+3E]も経産省が掲げたものだが、関電の「意見」にはそのことが、まったく触れられていない。まるで「S+3E」は関電のオリジナルのような書き様だ。

 株主提案の第3号から11号までの議案は、株主33名で議決権635ということは、一般市民の善意の株主なのか、それとも橋下を含む大阪市の職員なのか、などは不明。
 たしかに、定款に「脱原発」を盛り込むという提案は関電も飲めないだろうが、まるで未来永劫原発を稼動させるとでも受け取れる関電の「意見」には、閉口する。
 「3E」にSafetyの「S」が加わった「S+3E」を説明しながら、原発は「S」に影響しないとでも言う論調には、困ったものだ。たとえば、ありえないことだが「長期的には原発以外の再生可能エネルギーの可能性を追求しながらも、短期的には原子力発電への依存は避けられなく、定款への記述というご提案には賛成できません。」というような内容であれば、まだ会話をする余地がある。しかし、関電は何が何でも原発再稼動なのである。


 さて、次に議決権の多い株主提案を一つご紹介。

<株主(3名)からのご提案(第18号議案から第20号議案まで)>
 第18号議案 定款一部変更の件(1)
 ▼提案の内容
 「第1章 総則」に以下の条文を追加する。
 (経営の透明性の確保)
 第5条の2 本会社は、可能な限り経営及び事業に関する情報開示をすることなどにより、需要家の信頼及び経営の透明性を確保する。
 ▼提案の理由(提案株主(2名)、議決権の数(879,404個))
  電力事業は、その公益性に鑑み、需要家の信頼と経営の透明性を確保することが必要であり、経営及び事業に関する最大限の情報開示を行う必要がある。同時に、政治家及び政治的団体等への寄付等の便益供与や、例えば「原子力安全委員会」等に携わる研究者等に対する寄付等については一切行わないとともに、あわせて競争入札による調達価格の適正化に努めることを会社の方針として明確に示すことが必要である。
 ▼提案の理由(提案株主(1名)、議決権の数(273,511個))
  電力事業は、その公益性に鑑み、需要家の信頼と経営の透明性を確保することが必要であり、経営及び事業に関する最大限の情報開示を行う必要がある。

〇取締役会の意見
 関西電力グループの事業活動は、お客さまや地域社会をはじめとした社会の多くのみささまにより支えられております。こうしたみなさまからいただく信頼こそが、企業としての使命を果たし、持続的に成長を遂げていくための基盤であると考えおります。このような認識のもと、平成16年に「関西電力グループCSR行動憲章」を定め、「透明性の高い開かれた事業活動」など6つの行動原理に基づき、すべての事業活動を展開し、社会に対する責任を誠実に果たしていくことにしております。当社は、記者発表やホームページなどを通じて情報を積極的にお届けしており、今後も引き続き情報開示に努めてまいります。
 また、寄付金の支出に当たっては、公益事業としての立場を踏まえ、公益への寄付、地域社会への貢献等の観点から、当該寄付の趣旨を慎重に考慮し、対処しております。
 個別の寄付実績の開示については、相手方との関係や今後の業務遂行上支障となるおそれがあるため、行っておいません。
 なお、当社は政治家や政治団体に対する寄付は行っておりません。
 資材調達に当たっては、指名競争入札に加えて、さまざまな発注方法の工夫によりコスト低減を図っております。また、継続的な取引においては、サプライチェーン全体最適化の観点から、安全・品質・工事力の確保および技術力の維持を図りつつ、仕様や発注単位の見直しおよび業務運営の効率化等による原価低減に取り組んでおります。
 今後も、これまで以上に、競争入札の可能性の追求や競争効果を高める発注方法の工夫、取引先提案の活性化、価格査定の充実等によりコスト低減に取り組むとともに、サプライチェーン全体最適化の取組みにより安定調達とコスト低減の両立に注力してまいります。
 したがいまして、あらためて本提案のような規定を設ける必要はなく、取締役会は本議案に反対いたします。



 この提案が大阪市、神戸市そして京都市からのものであることは容易に察することができる。提案自体はごく真っ当なものと言えるだろう。

 株主提案は、定款に「本会社は、可能な限り経営及び事業に関する情報開示をすることなどにより、需要家の信頼及び経営の透明性を確保する。」という内容を追加することなのだが、関電の回答には、「やることはやっている、文句あるか!」という本音がちらつく。そして、関電の意見の後半は、「コスト」の文字のオンパレード。原発が稼動しないことによる業績悪化が、コスト削減意識を強くするのは分からないでもないが、あまりにもコスト意識が過剰になると、安全がなおざりになりかねない。
 
 関電が「情報開示」などは、最初からするつもりがないのは、先日の原子力委員会の秘密会合でも露呈した通りだ。

 まぁ、誤魔化したり、煙に巻くのはお手の物なのだろうが、総会では紛糾必至だろう。

 さて、大飯再稼動では結局関電になびいた橋下。筆頭株主大阪市の首長として、どう対応するのか。この男ならではのスタンドプレーは間違いなくあるだろうが、鋭い突っ込みはできそうにないだろう。大飯を反対できなかった男に対し、他の市民株主から糾弾される可能性だってあるだろう。いずれにしても、関電、そして東電の株主総会から目が離せない。
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by koubeinokogoto | 2012-06-07 21:04 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


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