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幸兵衛の小言

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大飯以外の原発再稼動を目指す関西電力の暴挙は許されない!

原子力ムラが、その本性を露わにしてきた。大飯再稼動の勢いを他の原発の再稼動につなげようとする関西電力八木社長の発言を紹介。
東京新聞 TOKYO Webの該当記事

関電社長、次の原発再稼働に言及 「国は早く審査を」
2012年7月25日 12時47分

 大飯原発4号機がフル稼働に達した25日、関西電力の八木誠社長が、“次の再稼働”について「高浜3、4号機が最有力」と発言した。時期は明言しないものの「(国には)できるだけ審査を早くしてもらいたい」とも口にし、電力会社トップの前のめりな姿勢を見せた。

 関電は、大飯原発3、4号機を含め八つの原発の安全評価(ストレステスト)の1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出している。

 福井県おおい町で25日午前に取材に応じた八木社長は「電力需給ではなく、わが国のエネルギーセキュリティーを考え、安全性を確認できたプラントはできるだけ早く動かしていきたい」と強調。



「電力需給ではなく、わが国のエネルギーセキュリティーを考え、安全性を確認できたプラントはできるだけ早く動かしていきたい」とは、いったいどういう意味か?
 
 「わが国のエネルギー」政策は、フクシマを踏まえて、今後しっかり議論されるべきで、この「セキュリティ」という言葉は、関電をはじめとする電力会社の「経営上のセキュリティ」を意味すると考えるべきだろう。

 冗談じゃない。フクシマは、まったく収束のメドさえたっていない。また、政府、国会、民間の調査組織がそれぞれに検証結果を報告しているが、地震と津波という天災的な部分と、立地から危機管理対策などの人災的部分について、十分な検証が行われたとは思えない。まだまだ抜けがある。
 百歩譲って、津波に最大の原因を求めても、他の原発において、想定される最大の津波への対策が十分とは言えない。どの原発も、現時点で再稼動させることは暴挙としか言えない。

「我が国のエネルギー」政策は、フクシマの検証を踏まえ長期的視野から立案されるべきである。そして、現在休止中の原発について稼動の是非の判断は、フクシマを踏まえて発足する(はずの)原子力規制委員会の仕事として検討されるべきで、旧組織の安全・保安院も、旧ルールのストレステストも効力を持たないはずだろう。

 以前に内田樹のブログから紹介した言葉で使うならば、火力発電による原料のコスト増や地球温暖化への影響は、対策することが可能(何らかの手を打つことができる)「リスク」の分野だが、原発の事故は取り返しのつかない「デインジャー」である、という認識は原子力ムラの面々には皆無なのだろう。

 関電八木社長の発言からは、彼等が考える「リスク」は自分達のことを対象とするのみであって、国民や日本国土、ひいては地球環境の「リスク」など一切考慮していないとしか思えない。

 そもそも、“高い原燃料”を、他の国のように交渉して安くしようという経営努力をしていなかったのが実態だ。以前に書いた中日新聞の引用を含むブログの内容をあらためて紹介したい。ただし、リンクしていた中日新聞のサイトには、すでに該当記事はないので、ご了承のほどを。しかし、「薔薇、または陽だまりの猫」さんのブログは健在です。
2012年3月20日のブログ
------------3月20日のブログから-------------------------------------
 “原子力ムラ”の問題はいくらでもあるが、彼らが主張する「燃料費高騰による電気料金の値上げ」にも、いろいろとその前に、電力会社と政府が努力すべきことがあるようだ。
 さまざまな問題提起のブログを紹介しているブログ「薔薇、または陽だまりの猫」を見ていて、次の2月25日の中日新聞の社説を知った。
「薔薇、または陽だまりの猫」さんの該当ページ
中日新聞サイトの該当記事

電気値上げ 燃料高値買いは背信だ

 火力発電の主力燃料、液化天然ガス(LNG)を世界一の高値で買えば電気料金も自(おの)ずと高くなる。唯々諾々と産ガス国の言い値に従い、消費者にツケを回す電力業界の構造は限りなく背信に映る。

 東京電力は企業向け料金の値上げ発表に続き、家庭向けも国に値上げ申請する。原発が失った発電能力を火力で補っているため、燃料費が年八千億円以上増え赤字経営に陥るからだという。

 日本が保有する原発は計五十四基。福島以外の原発も周辺自治体の反対などで定期検査終了後も再稼働できず、今や動いているのはわずか二基だ。

 その結果、日本の総発電量に占める原発の割合は著しく低下し、火力発電は49%から72%へと膨らんだ。東電以外も遅かれ早かれ料金を引き上げるのだろうが、値上げ理由をうのみにはできない。

 火力発電にはLNGや石炭、石油が使われ、LNGが四分の三を占めるが、そのLNG調達には不可解な点があまりに多い。輸入LNGの六割は電力向けで、昨年十二月の購入価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり約十六ドル。ところが、欧州は約十ドルで輸入し、米国は自国の地中に堆積した頁岩(けつがん)層からのシェールガス生産が始まり、三ドル前後と極めて安い。

 ドイツはパイプラインで輸入するロシア産と、LNGで輸入するカタール産などを競わせて値引きを迫れるが、日本には産ガス国との間を結ぶパイプラインがない。

 電力業界は高値の理由をこう説明しているが、同じ条件下の韓国は日本企業が投資したロシアのサハリン2から日本の半値以下で輸入し、三年後にはガス輸出国に転じる米国とも安値で契約済みだ。なぜ電力業界は、のほほんと大手を振っていられるのか。主たる理由は原燃料費調整制度の存在だ。

 産ガス国が値上げしても、為替変動で輸入価格が上昇しても、上がった分を電気料金に自動的に上乗せできる制度なので、過保護を見抜かれた電力業界は産ガス国の言い値で押し切られてしまう。

 産業界からの批判を避けるため、大口企業と割引契約を結んでいるともいわれている。中小・零細企業や家庭など、力の弱い需要家ばかりにツケを回し、声の大きい企業は割引で黙らせる。

 こんなあしき構造を許しては原燃料費調整制度を続ける政府も背信のそしりを免れない。円高を活用した海外ガス田の権益獲得など燃料調達も視野に入れた料金制度のゼロからの見直しを求める。


 「総括原価方式」といい、この「原燃料費調整制度」といい、まったく国民無視の制度といってよいし、放置しておくことで、どんどん市民生活を圧迫させるものと言えるだろう。
 原燃料のコスト削減努力を放棄し、高い燃料で購入したとしても値上げして電力会社の利益は確保できる。これは、電力会社のみを優遇する不平等制度であろう。
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 このように、電力会社だけは儲かる不平等制度にあぐらをかいて、原燃料コストダウンの努力をしてこなかったのである。 

 経済の論理にのみ固執し原発再稼動で一石二鳥、いや一石三鳥を狙う関電は、大飯再稼動後にも“電力不足”の危機を煽るために火力発電所を休止している。ガジェット通信から、「週刊ポスト」8月3日号の記事を紹介する。
ガジェット通信の該当記事

大飯再稼働も供給量増えず 関電は火力発電止めて調整してた

 政府はこれまでに大飯原発3、4号機の再稼動に踏み切ったが、『週刊ポスト』がこれまで再三指摘してきたように、原発を再稼働しなくても電力が足りることは間違いない。大飯原発3号機の再稼働によって、皮肉にもそれが証明されてしまった。

 実は、大飯原発3号機が再稼働しても、関電の電力供給量は「全く増えていない」のだ。 たとえば、節電が開始された7月2日の関電のピーク時供給力は2470万kWだった。

 関電は、大飯3号機再稼働による供給力の増加を原子力118万kW、揚水発電(※注)53万kWの計171万kWと公表している。ならば大飯原発3号機がフル稼働した7月10日以降は、単純に計算しても2640万kW以上の供給力があってしかるべきだろう。

 しかし、3号機のフル稼働後も関電の最大供給力はほとんど変化していない。7月10日は2441万kW、11日は2520万kWである。

 このおかしな事態の背景には、国民を欺く重大な裏切り行為がある。関電は大飯3号機を再稼働した後、一部の火力発電所を止めることによって自ら供給力を調整していたのだ。

 たとえば11日は赤穂発電所2号機(兵庫県赤穂市)や海南発電所3号機(和歌山県海南市)など4プラントの運転を止めていた。12日も御坊発電所3号機(和歌山県御坊市)など4機を停止させている。

 関電も「検査作業で止まっている姫路第二発電所以外は、検査やトラブルではなく需給状況を見て停止させている」(報道グループ)と認めた。つまり、原発再稼働でできた余裕で、燃料コストのかさむ火力発電所を止めていたというわけだ。

 関電は、「でんき予報」と称して管内の電力使用率を公開している。しかし、自分たちの都合で供給力を調整しているために、大飯原発再稼働後も使用率は一向に低下しておらず、再稼働前と同じ80%台を推移している。これでは国民が関電に不信感を覚えるのも当然である。

 節電の根拠となった需給予測そのものの嘘も露呈しはじめた。関電は5月19日に「今夏の需給見通し」を発表しており、この中で7月前半の最大電力需要を2757万kWとしていた。しかし実際は10日の2211万kWが最大で、ほとんどの日の最大電力は2100万kW以下だ。

 想定需要と実際の需要がここまで食い違ってしまったのは、決して節電努力だけが理由ではない。想定需要は、観測史上最大の猛暑である2010年を基準にし、あらかじめ不当に高く見積もられていたのである。

 各電力会社は5月時点での本誌取材に対し「今夏の気温については想定できないため」(関西電力広報室)などとその基準の正当性を主張していた。しかし、7月ともなれば事情は変わってくる。気象庁の1か月予報(7月14日~8月13日)によれば、今夏の気温は平年並みとなる可能性が高い(平年より低い30%、平年並み30%。平年より高い40%)。需要予測もこれに合わせて修正すべきだろう。

【※注】揚水発電/夜間など電力需要の少ない時間帯の余剰電力を使用し下部貯水池から上部貯水池へ水を汲み上げ、電力需要が大きくなる時間帯に水を導き落とす水力発電方式

※週刊ポスト2012年8月3日号


 企業努力しないままに高くなった原燃料費を抑えるために、火力発電をできるだけ止めたい、というのが関電の本音だ。そのためには、活断層があるという指摘にも目を向けず原発を稼動させたいのである。もちろん、資産として計上するためにも、原発の稼働は彼らにとっては重要なのだ。

 休止中の火力発電所に関して、発電所が立地する住民からも、関西電力に再稼動の要請があがっているが、関電はノラリクラリとその要請を拒んでいる。
MSN.産経ニュースWESTの該当記事


関電の火発を再開、岬町議会が要望 大阪の多奈川第2
2012.7.19 18:59

 大阪府岬町議会の田島乾正議長らは19日、大阪市北区の関西電力本店を訪問し、運転休止中の火力発電所「多奈川第2発電所」(同町)の運転再開を求める決議書を手渡した。

 田島議長は「電力の安定供給、地産地消のため、運転再開をお願いしたい」と再稼働を要請した。ただ、関電火力センターの島本恭次センター所長は「中長期的な観点から判断すべきと考える」と述べ、早期の運転再開には慎重な姿勢を示した。

 昭和52(1977)年に運転開始した多奈川第2発電所は、平成17(2005)年4月に運転を停止した。岬町は田代堯(たかし)町長が今年2月、運転再開を求める要望書を関電に提出。さらに、同町議会が6月に運転再開の要望を決議した。

 ただ、同発電所は劣化したタービンなど主要設備を交換する必要があり、運転再開には3年程度かかるとされている。


 大飯原発は目の前の電力不足を煽って再稼動させたくせに、休止中の火力発電所については「中長期的な観点から判断すべき」ことらしい。逆ではないか?
 多奈川発電所よりも古い昭和39(1964)年運転開始の横須賀火力発電所(3号機、4号機)は、柏崎刈羽原発稼働により2010年から休止していたが、3.11により再稼動を決定し、たった4か月後の昨年7月に稼働した。このことからも関電が意図的に火力発電所を稼動させたくないのは明白。本当に運転させたいのなら、2005年に停止してから設備交換すれば、とうに稼動しているはずだ。


 原発維持のために、せっかく投資した設備をムダにしている。すべては、原発を稼動させることにより企業としての金銭的なメリットが大きいからなのだ。そこには、「経済」の論理はあっても、「安全」や「生命」の論理は存在しない。


 あらためて言いたい。

 大飯を含め原発再稼動なしでも、現在の節電努力が続くなら、休止中の火力発電所を稼動させたり他社からの受電量を増やすことで、電力不足にはなならない。しかし、彼らは経済の論理で大飯のみならず原発再稼動のみを優先し、その他の努力を放棄している。

 火力発電の原燃料費が高いのは、電力会社の企業努力の欠如と、そのサボタージュを誘発する電力会社を利するだけの不平等制度「総括原価方式」「原燃料費調整制度」が原因である。

 フクシマの事故原因の検証と地震国日本での原発のあり方を検討し、フクシマを踏まえた長期的なエネルギー政策を議論することが重要だ。その論議の中で不平等制度の廃止を含めてエネルギー政策自体を「クリーン」にすることなしに、短期的な“電力不足”キャンペーンによって他の原発再稼動を目指す関電、および原子力ムラの暴挙は、決して許されない
Commented by YOO at 2012-07-26 01:47 x
私の従兄も原子力技術者です。子供の頃から頭も良く、大好きな人だったのですが、昨年の3.11事故直後に「原子力は安全だ!」というリーフレットを送って来たので、それ以後はまったく連絡していません。
人生の大半をその事業に捧げて生活して来たという大勢の人達の集合体が原子力村(彼らにとっては世界)なのでしょう。そう簡単に自己否定する事は出来ないのでしょうね。
悲しい事です。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-07-26 09:01 x
YOOさんの従兄の方も、ある意味では、「国策」「原発は安全」と言ううたい文句のもとで原発を推進してきた国の政策の被害者だと思います。
そして、その世界に長くいればいるほど、それまでの人生を否定するようなことは、精神的にもかなり酷いことに違いありません。
しかし、その方が本当に優秀なら、フクシマ以降は考え方は変っているはずではないでしょうか。
少なくとも、非常につらい心理状態にあるのではないでしょうか。
もし、良い機会があれば、もう一度お話をされてはいかがですか。
赤の他人の身勝手な言い分ですが、そのように思いました。

Commented by YOO at 2012-07-27 01:39 x
確かにそうですね。
20数年前に反原発運動が盛り上がった時、そんな話題になって気まずくなってから、あえてその話題は持ち出さずにいましたが、今度会う機会があったら落ち着いて話してみたいと思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-07-27 08:22 x
何か偉そうなことを言って、恐縮です。
しかし、私も含めて多くの人が、原発や放射能のこれほどの危険性に目をつぶってきたと思います。
「安全神話」に見事に騙されてもきました。
今後、廃炉に向かって原発を知る技術者の存在は重要でしょう。
従兄の方との関係が修復されることを祈っております。

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by koubeinokogoto | 2012-07-25 21:14 | 原発はいらない | Comments(4)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛