幸兵衛の小言

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「国民の生活が第一」の、「ドイツ脱原発視察」報告書のことなど。

「国民の生活が第一」党は、10月に、五日間という短期間ながら、ドイツの「脱原発」の現状を視察している。「国民の生活が第一」サイトの該当ページ
 アルトマイヤー連邦環境・自然保護・原子力安全大臣との会談も行っており、非常に興味深い視察や階段の内容は、同党サイトから報告書をダウンロードすることができる。56ページの報告書から、部分的に抜粋してご紹介したい。しかし、少し長くなるので、重要と思われる部分を青字にさせていただいたので、その部分だけでもご覧のほどを。
「ドイツ脱原発視察」報告書(PDF)

 まず、視察の概要が、次のように書かれている。

Ⅰ.「ドイツ脱原発視察」概要

【目的】
日本の東京電力福島第一原発事故を受け、ドイツの政府、国会は事故後数か月で2022 年までに国内の原発を全て閉鎖することを決定した(閣議6 月6 日、連邦議会6 月30 日、参議院7 月8 日)。原発ゼロに向けたドイツの連邦政府、議会、産業界、市民社会などの取り組みを視察し、日本における10 年後の脱原発実現への施策の参考とする。
ドイツでは1990 年代初めまで、日本と同様に化石燃料と原子力が中心の電源構成で、再生可能エネルギー産業が存在していなかった。その後、エネルギー政策の大転換により、2010 年には再生可能エネルギー割合を17%にし、2020 年には35%、2040 年には65%への引き上げをめざしている。一方、温室効果ガス削減目標は90年比で2020 年に40%、2050 年には80%削減とし、それを原発に依存せず達成す ることをめざしている。
ドイツより再生可能エネルギー資源が豊富といわれる日本において、10 年後の原発ゼロは実現可能である。今回の我が党の訪独視察によって、脱原発の道筋をより具体化し、それを一人でも多くの国民と共有し、連携を深めて原発ゼロ社会の早 期実現をめざす。
【日程】
10 月16 日:成田発 → ベルリン着
10 月17 日:アルトマイヤー連邦環境・自然保護・原子力安全大臣、
     クリーガー・エネルギー事業連合国際関係特別代表との面談、
     太陽光発電施設の視察
10 月18 日:シュレーター連邦議会環境委員長、ヘーン「緑の党」院内
     総務代行及び再生可能エネルギー協会、独商工会議所、独連邦
     消費者保護連合の関係者との面談、ミュンヘンに移動
10 月19 日:エッセンバッハ町(原発立地自治体)、メルケンドルフ村
    (再生可能エネルギーによる電力自給率247%を2011 年に達成)
     の視察
10 月20 日:ミュンヘン発 → 21 日成田着
【構成】
顧 問:小沢一郎 代表・衆議院議員
団 長:牧 義夫 幹事長代行・衆議院議員
副団長:森ゆうこ 参議院幹事長・参議院議員
松崎哲久 副幹事長・衆議院議員
事務局長:岡島一正 総務委員長・衆議院議員
有識者:河合弘之 脱原発法制定全国ネットワーク代表世話人・弁護士
(随行事務局:鈴木賢一 本部事務局部長、西塔謙志 本部事務局員)



 ご覧のように、「脱原発法制定全国ネットワーク」の世話人である河合弘之弁護士も同行していた。「脱原発法制定全国ネットワーク」のサイト
 河合弁護士の視察後の寄稿文も、「生活」のサイトに掲載されている。
「国民の生活が第一」サイトの該当ページ


官民政が一致して脱原発に進むドイツの手堅さ現実主義に感銘

脱原発法制定全国ネッワーク 代表世話人 河合弘之(弁護士)

  私はこのたび「国民の生活が第一」から誘われてドイツ脱原発視察旅行に参加しました。

 私は長年、日本中の原発差止訴訟にかかわり、その総決算としての脱原発基本法制定運動を行っております。だから、ドイツがなぜ脱原発を明確に打ち出せたのか、そしてそれからなぜ10年かかる(即時ではなく)のかを知りたいと思っていました。そこで、喜んで誘いに応じたのです。

視察して印象的だったことは、ドイツの脱原発は官・民・政が一致した着実なものだということです。電力会社を含む産業界にも脱原発自体にはほとんど是非はなく、覚悟を決めて、次の展開に向って邁進しているようです。日本の経団連会長の米倉氏などのヒステリックな対応とは全く対照的です。ドイツはチェルノブイリ事故の恐怖と教訓から、徐々に脱原発と自然エネルギー強化方向にかじを切り、福島原発事故を深刻かつ真面目に受け止め、脱原発のスピードアップを決めたのです。その手堅さと現実主義は尊敬すべきものがあります。

旅行中、小沢党首とはずっと一緒でしたが、各所における同氏のスピーチや演説は一貫しており、「2022年までに脱原発と再生可能エネルギー強化を実現する。」というものでした。党と党首の脱原発に向けた強固な意志を確認できました。
他の党や国会議員もこの方向で一致して脱原発基本法が成立するようにしてほしいと考えています。


 「官・民・政が一致」、とは何ともうらやましい限りだ。

 五日間とはいえ、報告書によれば非常に精力的に視察や会談を行っており、いわゆるお手盛りの海外出張ではないことは明白。

 こういう活動は、まず今日のマスメディアでは報道されない。ましてや、選挙前の今、「第三極」が、あたかも石原・橋下の「偽維新」に決まったかのような報道をする多くのメディアや、安倍自民の広報部門に成り下がった産経などで紹介されるわけもない。


 さて、この報告書の冒頭には、「生活」が掲げる「提言 エネルギー政策の大転換」「原発は、ただちに稼動ゼロとする」とした十か条は掲げられているので、すべて引用したい。“大文字”のタイトル部分は、実際に大文字を枠で囲んであるので、忠実に(?)大きくした次第。

Ⅱ.提言:エネルギー政策の大転換

原発は、ただちに稼働ゼロとする

1.原発ゼロと十分な電力確保は両立する
 電力は現代社会において欠くことのできないエネルギーである。しかし、原子力を利用した電気は、国民の生活を脅かす危険なエネルギーであることも理解しなければならない。昨年3月の原発事故の反省に立って原子力を利用しない場合の電源構成を考えると、総発電電力量の燃料別比率の推移は、下記のよ うに実現可能な数値が提示される。
           2010年     2011年    2022年    2030年
天然ガス       29.3%    39.5%     48%      45%
石 炭         25.0%    25.0%     25%      20%
石油等         7.5%    14.4%      5%       —
水力・小水力     8.5%     9.0%     10%      10%
新エネルギー     1.1%     1.4%     12%      25%
原子力        28.6%    10.7%      —        —
          (出典:電気事業連合会)   (国民の生活が第一の検討案)

2.原発の再稼働は容認しない
 原発ゼロはただちに実現可能である。2012年の夏も、猛暑日にも深刻な電力不足は生じなかった。したがって、代替発電所の進捗状況、今後の燃料調達先の確保、価格、気候の態様、電力需給見通し等を慎重に見極めながら、また国際枠組を尊重し、外国との協調、地方自治体・住民の意見に配意しつつ、遅くとも2022年までに最終的な廃止を確定する。 なお、原発の廃止とは、「発電のための施設でなくなる」ことである。それまでの間も原発の新増設と再稼働は容認しないので、大飯原発の2基を含めて実質的な「原発稼働ゼロ」は早期に実現する。

3.新エネルギーの普及を確実に増進させる
 低炭素社会実現の観点で最も有利なのは再生可能エネルギーであるが、水力の割合を短期間で大幅に引き上げるのは困難と言わざるを得ない。風力・太陽光・地熱・バイオマスなどは、ドイツ等の事例を見ても、技術開発、法の整備もしくは規制緩和、財政支援を強化する等の適切な誘導策を講じれば、新エネルギー全体で年毎に1%程度の増進が可能である。その際、発電量が天候に左右されるものは、蓄電設備の充実によって効率性と安定性を高めなければならない。
 なお、原発の代替で一時的に増加した石油は、極力抑制する。

4.省エネルギー技術等で電力需要を抑制する
 送電技術の高度化、地域連系の強化など電力事業者側の技術革新とともに、需要者側の省エネルギー技術開発を促進することにより、総電力需要を抑制する。東日本大震災後、需要者側の節電およびピークカット意識の向上は目ざましいものがあり、ライフスタイルの変化、スマートグリッドの普及、コージェネの推進などで、経済成長の鈍化を伴わない最大電力需要の下方見直しが可能である。

5.CO2排出が抑制される最新型火力を即戦力として使う
 再生可能エネルギーの比率拡大が望ましいのは当然だが、普及に一定の年限を要するのも事実である。それまでの間も、「脱原発」をスローダウンさせて原子力を維持するよりは、即戦力として最新型火力発電を優先すべきであって、その際、CO2排出量が著しく増加しないよう配慮する必要がある。したがって、石油火力は高効率の天然ガスに転換し、天然ガス自体もさらに高効率化を図ることにより、また石炭火力は最新型に転換し、国産の間伐材等を利用したバイオマス混焼、CO2分離回収技術(CCS)などにより、排出量削減の達成に努める。
天然ガス・コンバインドサイクル発電を増強する
 天然ガスの高温燃焼と、その排熱(余熱)で沸騰させた高圧蒸気を使う発電を複合させた方式で、高い熱効率(60%超)が得られる日本の技術は世界最先端にある。すでに全国の電力会社が23発電所の33基で出力3159万kwを実際に発電し、2021年度までに1627万kw の運転開始が予定されている。これをさらに加速させ、老朽火力発電所と置換(リプレース)する。

② 高効率石炭火力発電への置換を促進する
 現段階の最高効率技術(微粉炭火力)ですでに熱効率40%以上が実用化され、さらに熱効率55%の達成も可能とされている。既存の旧式火力発電所を最新式に置換(リプレース)し、価格が安く安定した石炭を有力な電源として位置づける。

6.エネルギーの地産・地消を促進する
 電力を使用する地域で発電を行えば、送電ロスも少ない。電力を大量に必要とする地域に発電所を立地するだけでなく、全国各地に設置することで地域の経済活性化、雇用拡大に寄与し、ひいては成長戦略の一環に位置づける。

7.発送電を分離する
 発電、送電、変電及び配電に係る事業の分離を前提に、電力供給体制を抜本的に改革する。明治期以来2分されている東西の周波数を統一して地域連系を容易にするとともに、地域独占の自由化、卸市場の強化等で新電力(PPS)の参入を促進し、消費者の電気料金負担を軽減する。

8.資源調達を多様化し適正価格を確保する
 中東に過度に依存した石油と異なり、天然ガスの調達先は多様化できる。更に、近年のシェールガス革命、非在来型革命に対応し、上流事業への参入促進、石油連動型の長期契約の是正など、廉価かつ安定した資源調達に努める。また、日本近海の資源開発(メタンハイドレートなど)を進める。

9.原発の廃止に伴って必要な措置を実施する
 廃止した原発の廃炉を安全確実に進めるとともに、発生する廃棄物の処理、残された使用済み核燃料の保存・管理・最終処分、及びこれらの業務を円滑に行うための研究者・技術者の育成・確保に全力をあげる必要がある。原発立地地域の雇用・経済対策、電力会社の損失処理等にも配慮した諸施策を推進しなくてはならない。

10.世界の脱原発政策に貢献する
 原発事故の完全収束と瓦礫処理、除染に世界の英知を集め、最優先に取り組むことは、子供たちの命と地域の将来を守るためにも必要不可欠である。エネルギー、原発に関連するその他の分野の研究・技術開発を進め、拠点として原発立地地域の活用を優先する。自家発電、コジェネ(燃料電池)、蓄電技術、廃炉技術、除染技術、廃炉に伴う汚染物質の処理技術等を先入観なく研究し、日本のみならず世界の脱原発政策に積極的に寄与する。



報告書の第三章は「総括」になっている。一部をご紹介。

国民総意のドイツ脱原発
 日本の福島第一原発事故は、ドイツ国民に脱原発と再生可能エネルギーを主軸とするエネルギーシフトへの決意を固める契機となった。先進工業国の日本が原発事故を制御できない事態に直面し、ドイツ政府、国会は、2022 年までに原発を全廃することを決定した。私たちが会談したペーター・アルトマイヤー環境・ 自然保護・原子力安全大臣は「この結論に達するまでに過去30 年にわたる様々な議論があった。現在では独国民の80%が脱原発を支持している。95%の議員は脱原発に賛成しており、党としても反対しているところはない」と述べた。今回の福島原発事故によって、安全性、経済性、温暖化対策の面で優位とされた原子力発電は、いったん事故になれば、放射能汚染が広がり、人的・物的に甚大な被害を引き起こし、その優位性が根底から崩壊した。再生エネルギー協会のシュッツ会長は私たちに「原発事故は人間には制御不能である。放射性廃棄物の処理という大きな問題も存在する。再生可能エネルギーは多くの地域に利益をもたらし、雇用を創造し、環境に優しい技術である」と脱原発の理由を説明した。

再生可能エネルギーシフト
 どのようにドイツは脱原発を具体化していくのか。国内17 基の原発中、日本の原発事故直後に一時停止させた8 基(内1 基は故障停止中)を再稼働しないこと、残る9 基を2022 年までに段階的に廃炉にすることを決定した。太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの割合を2020 年までに35%、2030 年に50%、2050 年に80%とする目標を定めた。すなわち再生可能エネルギーの一層の普及によって、脱原発を進めるとともに、化石燃料への依存度を削減し、地球温暖化防止にも配慮するエネルギー政策である。



 第四章が、会談や視察の概要。まず、アルトマイヤー大臣との会談から引用。

Ⅳ.「ドイツ脱原発視察」会談・視察概要

(3−1)アルトマイヤー連邦環境・自然保護・原子力安全大臣との会談

①独における脱原発政策等

Q.【視察団】民主党から独立して結党した国民の生活が第一は、10 年後の脱原発を党是として掲げており、与野党を通じて脱原発の年限を明示しているのは我が党のみである。独政府は2022 年までの脱原発を決定したが、独政府としての立場をお聞かせいただきたい。

A.【大臣】新党結成をお祝い申し上げる。自分(「ア」大臣)は再生可能エネルギー等の分野における日独交流強化に大きな関心を抱いており、貴代表一行の来訪を歓迎する。福島の原発事故後、独では2022 年までの脱原発が決定されたが、この結論に達するまでに過去30 年にわたる様々な議論があった。現在では独国民の80%が脱原発を支持している。2022 年までの脱原発は段階的に進めることとなっており、代替エネルギー源として再生可能エネルギーを拡充するとともに、環境への負荷を考慮した政策を進めていく。日独両国は高度な技術を有しており、再生可能エネルギーの開発で協力し、国際市場における競争力を強化していきたい。

Q.【視察団】脱原発の取組みに関し、日本では脱原発は不可能であるとの意見もあるが、我が国へのご意見があれば伺いたい

A.【大臣】独においては脱原発は可能である。電力消費に占める原発の割合は約25%であったが既に8 基の原発を停止することができた。安定的なエネルギー供給は確保できている状態であり、ネットで見ると独はエネルギー輸出国である。
 また、再生可能エネルギーに投資してきており、電力消費の約25%を占めるまでになった。その他はガス、石炭等でカバーしている。電力価格については、少なくとも産業界の負担はそれほど多くはなっておらず、過去数年の傾向を見ても10%程度低下している。これらを踏まえれば、脱原発は経済的にも技術的にも可能である。

Q.【視察団】確かに独はネットではエネルギー輸出国と言えるが、電力不足の時には仏からの原発電力を購入しており、独の脱原発は仏に依存しているとの批判もあるが、貴見如何。

A.【大臣】欧州は共通の電力市場を有しており、独仏間で電力を売買しているが、独から仏への電力輸出の方が多い。特に仏では冬の暖房に電力を使用するので電力不足となり、輸出できる状態ではない。また、欧州全体として原発を制限する傾向にあり、例えば仏は電力消費に占める原発の割合を75%から50%に削減する方針を決定しており、スイスやベルギーでも原子力を削減していく政策を進めている。

Q.【視察団】独の脱原発は10 年後としているが、なぜ即時停止ではないのか。また、欧州において独がより早く脱原発を進めるのはなぜか。

A.【大臣】独における脱原発は2 段階に分けて考えることができる。まず、8 基の古い原発は福島の原発事故後にすぐ停止した。残りの原発は今後10 年間で段階的に停止することとなるが、それには法的理由がある。2010 年の段階では原発稼働を延長する方針だったが、福島の原発事故後に2022 年までの脱原発を決定するという方針転換をしたので、原子力発電企業に対して賠償する必要が生じた。この原発停止によって生じる損失を埋め合わせるために10 年間の時間的猶予を与えたのである。また、原子力発電所は独南部等産業が集積している場所に集中していたが、脱原発による電力不足を補うための再生可能エネルギーによる電力の送電網整備に時間がかかるため、即刻停止を見合わせた。電力供給の安定確保は必要不可欠の要素である。米国等で生じたような大規模停電は絶対に回避しなければならない。
 独が脱原発を率先して実行している背景を理解するためには、これまでの歴史的プロセスに注目する必要がある。1980 年代に緑の党が登場し、脱原発政策を掲げて注目を集めた。また、1986 年にはチェルノブイリ原発事故が発生し、独全体で反原発の声が高まり国民の約40%が反原発を支持するようになった。福島の原発事故後には支持率は約80%にまで高まっている。更に、独では再生可能エネルギー法(EEG)に基づき風力、太陽光等を助成しており、過去10 年にわたる政策が成果を得ていることも、国民の多くが脱原発を支持する理由の一つである。
また、原発稼働により発生する放射性廃棄物の処理という大きな課題が残っており、60 年代から議論が継続しているが、この問題も原発が国民の間で幅広い支持を得られない背景の一つにある。



ブーリング・シュレーター連邦議会環境委員長、および緑の党メンバー達との会談からも引用したい。

Q.【視察団】我が党としては、近く実施される衆参議院選挙で国民の支持を得て脱原発を実現したい。また、再生可能エネルギーにより電力需要を十分カバーできると考えており、その参考とするためにも独の戦略を伺いたい。

A.【委員長】独には4 つの電力大手が存在するが、2010 年のエネルギーコンセプトで原発稼働期間が延長されたことからも業界の強さが理解できると思う。脱原発及び再生可能エネルギー促進を実現するために重要なのは、そのための法的枠組みを作り、政権交代が起こっても政策が逆戻りしないようにすることである。

Q.【委員長】日本の政策について伺いたいが、実際には原発がなくとも電力を十分供給できているにもかかわらず、核兵器に転用できるプルトニウムが発生する原発をなぜ利用するのか。

A.【視察団】ご指摘のとおり、今年の夏は記録的な猛暑だったが、原発を2 基しか稼働しなくても電力供給は可能だった。他方、原発を停止した分の電力供給を賄うために石油や石炭による火力発電のコストが上昇し、当面は電力会社や経済界は経済的に厳しい状況に直面している。プルトニウムについては、確かに日本にはかなりの分量があるが、これを核兵器に転用するとの意見は少数派にすぎない。

【緑の党議員】独における再生可能エネルギー促進の成功の鍵は再生可能エネルギー法(EEG)であり、日本でもこの夏に導入されたと承知している。独では再生可能エネルギーを生産した者から電力を買い取り、20 年間買い取り価格を保障している。これは、大規模な発電会社から小口の発電企業にも幅広く売電の機会を提供するという民主的な政策である。地方公共団体や私人等を含めて100 万か所で発電されており、特に個人の発電施設への投資に必要な資金を地元の銀行が貸付け、農業従事者が土地を貸すという流れが上手くつながれば、大きな価値を生み出すことになる。



 今後の日本の政局を想像するにおいても、政権政党が頻繁に替わる可能性が高い。
法的枠組みを作り、政権交代が起こっても政策が逆戻りしないようにすることは非常に重要だ。だからこそ、「脱原発法」が必要なのである。

 産業界の見解について、ボレイドイツ商工会議所エネルギー気候政策課長との会談が報掲載されているので、一部紹介。

Q.【視察団】日本商工会議所は脱原発に反対の立場を示しているが、独においてはそのような意見はなかったのか。
A.【課長】福島原発事故までは産業界は原発の稼働期間の延長を求めてきていた。しかし、事故以降、現在では産業界において、多少異なる意見もあるものの、既に脱原発という決定に関するコンセンサスが存在していると考える。日本の産業界のように、一度に原発を無くすことにつき反対するのは理解できるが、全般的に反対という立場は自分としては理解できない。重要なのはその過渡期をどのように乗り越えていくかである。


 これがドイツ財界の“常識”なのだろう。日本の財界の“常識”とは、天と地の違いである。 

 冒頭で紹介した河合弁護士の寄稿文にある経団連米倉会長は、果たしてドイツの産業界の「脱原発」への対応を、どう考えているのか。きっと、そんなことは知ろうともしないんだろうなぁ。あの方も石原(今年満80歳)同様に満75歳にして“老害”を撒き散らしている一人と言ってよいだろう。75歳も過ぎた老人には、政界や財界の第一線から潔く引き下がって後進に道を譲っていただきたいものだ。

 さて、報告書には小沢一郎と現地記者との懇談も紹介されているので、一部引用。

Ⅴ.小沢一郎代表の記者懇談概要

(4−1)2012年10月17日午前 於:ベルリン・環境省

 今日は企業の団体の代表の方、そして今、担当の大臣にお会いして、ドイツの2022 年脱原発政策につきまして、その議論の経過、あるいはお考えを聞いてまいりました。私どもとしてはあらかじめいろいろと知識を得ておりましたけれども、今日当事者の方からお聞きして、改めて、非常に驚いたというか、ドイツの意気込みに大変力強いものを感じました。というのは、ドイツでは前から脱原発の議論があったそうですが、チェルノブイリの事故で国民の意識がかなり高くなって、そして福島の原発の事故において、もうこのままではだめだ、脱原発ということで、国民の80%以上、それから政治の場で、政党の場で言いますとすべての政党が、議員の中でもほんの数人が反対している程度で、みんながこの脱原発の徹底と今後の進め方を支持しているということを、改めて当事者の方からお聞きいたしました。私どもとしては福島原発の事故を抱えている当事者ですから、国民皆さんに今日のドイツの担当大臣と産業界の代表の方のお話を聞かせてあげたいと思うくらいの、明確な脱原発に対する意思表示でありました。私どももこれから、政治の場で国民の皆さんにこのことを強く、そして広く訴えていきたいと思っております。なにしろ日本の政界の中では、国民の生活が第一、我々だけが唯一、明確に期限を切って10 年後に脱原発ということを主張しているにすぎないので、大変残念に思っておりますが、これを機会に一層自信を持って国民皆さんに訴えたいと思っております。

Q.環境大臣との会談の中で10 年後に原発をなくすにあたり、参考になるような具体策や話はあったのか。

A.1つはドイツでは非常に風力発電が以前から進められておりまして、これが再生可能エネルギー、代替エネルギーとしてかなり大きな比重を占めていると言っておりました。それから太陽光にしろ、あらゆる新しい代替エネルギーの開発に今後も取り組んでいきたいと話しておりました。こちらから、電気料金が上がると日本では伝えられているが、ということを申しあげましたところ、新しい、まさに原発以外の方法で、再生エネルギー、代替エネルギーをつくっていくので、その分のコストとして30 年にわたってそれを分担していこうということを言っておられましたが、いずれにしろ、原発からくる命の問題、そして暮らしの問題、そして最終的にドイツでも高レベルの廃棄物の最終処分が決まらないのです。ですからそのコスト自体も膨大なものに今後なっていくでしょう。ましてや事故を起こしたならば、日本の福島原発の処理にどれほどの莫大なお金がかかるか。県民の皆さんの生活の問題、それからまだまだ放射性の物質が飛散しているというのが東電からも発表になりましたそうですね、最近。だから完全に福島原発の放射能を収めるためにはこれまたたぶん何十兆円という規模のお金がかかると思います。それを考えますと、非常に原発というのが安い安全なエネルギーという風にいわれてきましたけれども、とても安いどころではない、そのコストを考えたら大変な高いものになる。それからひとたび事故が起きたら本当に国民の命、生活がだめになってしまう。こういうことですので、誰もが電気料金は安い方がいいですし、なんでも安い方がいいですけれども、やはりそのことを冷静に考えてみると、新しいエネルギーを、安全で環境にもいいエネルギーを開発していくには、多少のことは、という感覚で、ドイツではおられるようです。



2012年10月19日に訪れたメルケンドルフ村での記者とのやりとりもご紹介。

Q.改めて日本での脱原発の必要性は。

A.原子力というのは、日本ではこれまで安くて安全なエネルギーだという触れ込みでどんどんやってきたわけです。ところが決して安いものではない。というのは事故が起きて福島の処理はどうするのか、何十兆、何百兆とかかるコストです。これは電力会社では到底払えない。また事故が起きなくても、ドイツでもそうですが、最終の高レベルの廃棄物をどう処分するのか、このコストはどのくらいかかるかわからないのです。それを全然考えないで、ただ単に原発の初期投資だけでコストを計算して、安い、安全だという謳い文句はもう崩れてしまったのです。
 コストの問題以上に、国民の命、生活を破壊してしまうことになるわけですから、 脱原発というのは日本では特に、ヨーロッパ、大陸以上に、国策として決めないといけないのではないかと思います。ドイツで現実にすでに始まっている脱原発、そしてそれに代わるエネルギーの開発を実際に見せていただきましたので、私たちの主張が裏付けられた。我々の思いが正しいということを強く感じました。

Q.はじめCSU で脱原発を唱えた唯一の議員、ゲッペル議員に会ったが、どうだったか。

A.まさに先駆的な考えを持った地元の議員さんでした。ところが彼も言っていましたように、今自分の主張が完全に党の主張になり、そして国民の、国家の主張になり非常にうれしい。これを何としても続け、今後とも全力で活動していきたいというお話でした。だから我々も、会派で言えば60 人もいるのだから絶対できますよ、と激励をうけましたけれども、本当に先駆的なグループ、政党として必ず国民皆さんから賛同を得られると確信しながら頑張っていきたいと思います。


 
 「脱原発」(What)を真剣に考えるのなら、まず第一に「いつ(When)までに実現するか」というマイルストーンを設定することは重要だ。そのマオイルストーンについて「出来るはずがない」と批判するのは誰でもできる。
 できない理由はいくらでもあるわけで、重要なのは、どう出来るようにすすか、なのであろう。

 そのゴールを実現するためにどうすればいいか(How)を、幅広く、そして注意深く検討する必要がある。検討の際には数多くの「なぜ」(Why)に応えながら、さまざまな障害を除去し、政策によって被害を被る国民や自治体、企業にどう賠償するかとか、代替エネルギーの具体的な展開のための税制面の支援をどうするか、産業振興のためにどんなことを国が支援できるか、など数多くの課題を解決する必要がある。

 そのためにも重要なのは“法”の整備である。ご紹介した「生活」視察団とブーリング・シュレーター連邦議会環境委員長との会談の中でシュレーター委員長から指摘された通り、政権党の交替などで影響を受けない法的な整備を行うことは、実現のために不可欠である。
 果たして日本の「立法府」にいる人間たち、そしてその世界に入ろうとしている党や候補者の中で、「脱原発」のための「立法府」としての仕事を真剣に実施しようとしている集団や個人は、どの位いるのだろうか。

 真剣に仕事をしようとする意思があるならば、一足早く「脱原発」へ踏み出したドイツをベンチマークしようと思うのが、至極当然のことだと思う。そして、「生活」(もうじき「未来」)以外には、こういった活動をしているようには思えない。
 しかし、そんなことは、どこのマスメディアも報道しない。連日「維新」「維新」か、旗色鮮明な産経のように「安倍」「安倍」「自民」「自民」である。残念ながら、それが今日の日本のマスメディアの実態だ。
 
 だから、「ゲンダイ」次のような記事が貴重に思えてくる。Gendai.Netの該当記事

これは絵空事ではない 未来の党 比例で40%、76議席を固めている
【政治・経済】
2012年11月30日 掲載

<無党派層の3%が動けば小選挙区も激震>

 電撃的に旗揚げし、選挙をガ然、面白くさせた嘉田新党、「日本未来の党」は果たして、どれくらい勝てるのか。大マスコミは「準備不足」や小沢一郎が背後にいることを理由に冷ややかだが、「未来」の選挙関係者の見方はまったく違う。彼らが描く「比例で80議席」は、決して大風呂敷ではない。

 大マスコミの世論調査は、自民がトップで維新が続き、民主が3番手というのが多い。
 比例の投票先は自民が二十数%、民主は十数%、維新は民主を若干リードで、小沢の「国民生活」などは数%にとどまっている。
 この通りの結果になれば、政治は何も変わらないが、朝日新聞OBで政治評論家の国正武重氏はまったく別の見方をする。
「ハッキリ言って、日本未来の党が旗揚げする前の調査は意味がないと思いますよ。卒原発、消費税反対の未来ができたことで、大きな変化が起きると思う。とくに女性や若者の票を取り込むだろうから、大新聞のこれまでの世論調査とはまったく違う結果になると思います」
 国正氏によると、小選挙区制では「3~5%の理論」というのがあるという。
「無党派層の3~5%が動くだけで選挙の流れが一変するのです。既成政党の票は固定票プラスαの無党派層。このαが変われば、オセロゲームのように選挙結果が変わります。今度の選挙は7割の有権者が関心を持ったり、選挙に必ず行くと答えている。3・11後初の国政選挙であることも大きい。無党派層の数%が選挙に行けば、投票率がグンと上がる。当然、その投票先は既成政党ではないし、石原、橋下ファンが固定化している維新でもない。未来がその受け皿になれば、選挙はガ然、面白くなってきます」

 実は未来の選挙関係者も同じような見方をしている。
 参考にすべきは7月に投開票された山口県知事選だ。
 自民・安倍総裁の地元で、保守の牙城といわれた山口で、自民党候補の山本繁太郎氏が取った票は25万2000票。辛うじて逃げ切ったが、脱原発を掲げて挑んだ飯田哲也氏も18万5000票を集めた。その差はたった7万票、飯田氏は有権者の35%の票をかき集めた。
 その飯田氏が未来の副代表になり、山口県知事選のリベンジをするのだ。
「脱原発を掲げたところ、保守の山口で35%の票が出たのは非常に大きい。全国規模になれば、比例で40%くらいの票を集められる」と選挙関係者はソロバンをはじいている。
「40%といえば、前回の衆議院選で民主党が比例で取った42%に匹敵する。この選挙で民主は87議席を取りました。自民党は26%で55議席。自公をあわせると38%で76議席でした。となると、未来も比例で76議席超はいく。これは決して、皮算用ではありませんよ」(未来を取材している選挙関係者)
 小選挙区は候補者が出揃うこれからだが、そこでも「3~5%の理論」を当てはめると、躍進が期待できる。
 少なくとも、76プラスα。これだけの議席が期待できれば、未来は間違いなく台風の目になるし、大新聞の選挙予想は大外れということになる。



 「未来」の嘉田代表の「2022年」という目標設定に対し、「実現できない」と批判した橋下は、どこに根拠を見出して発言しているのか。もちろん、そんな根拠はないのである。ドイツの実態などにも興味はないだろう。しかし、「橋下が苦言」とか「牽制」などいう言葉は見出しを飾るが、その根拠の虚弱性を追求するメディアは、ほとんどない。せいぜい、「脱原発」については東京新聞が孤軍奮闘、というところか。朝日は宿敵安倍との対決に忙しく、「脱原発」のトーンが下がってきたように思う。

 “カメレオン”橋下は“老害”石原との妥協の産物としての政策を発表したが、「既設の原子炉による原子力発電は2030年代までにフェードアウト(徐々に削減)する」という英語まじりの表現には、とても「実現しよう」とする意思(will)を感じない。非常に他力本願的なニュアンスであり、石原案との妥協の産物。そのうち原発擁護のために石原が、「フェードアウトをフェードアウトさせるだろう」などと思っていたら、すでにそういう発言をしていたよ、この爺さん。
朝日新聞のサイトの該当記事

2012年11月30日15時3分
原発フェードアウト公約「見直す」 維新・石原代表

 日本維新の会の石原慎太郎代表は30日午後の党首討論会(日本記者クラブ主催)で、29日に発表した政権公約に「(原発は)2030年代までにフェードアウト(消えていく)」と盛り込んでいることについて「そういう公約はやっぱり直させます」と語り、見直す考えを示した。

 石原氏は29日、維新代表代行の橋下徹大阪市長とともに記者会見して政権公約「骨太2013~2016」を発表。「脱原発依存体制の構築」「原発政策のメカニズム・ルールを変える」と明記した。政策の実例として「既設の原子炉による原子力発電は30年代までにフェードアウトすることになる」とした。

 石原氏は討論会で、原子力利用の選択肢を失うことは「困る」とした上で、「私はそういう公約はやっぱり直させます。(エネルギー政策などの)シミュレーションをして、そのシミュレーションの中で、原発の淘汰(とうた)を考えていくことだ」と語った。


 原発だけはどうしても続けさせたいらしい。背後にある組織は間違いなく“原子力村”であろう。

 どんなにシミュレーションしたって、地震大国日本で原発が安全という解析結果が出るはずもない。エネルギー政策検討の大前提は、再生可能なエネルギーの活用であり、人間の制御の範囲を超えた巨大すぎて、危険すぎるシステムを稼働させないことである。

 そもそも“硬直した官僚の支配体制”について、何か具体的な説明や事例を、この人は発言しているよいには見受けない。たぶんに、東京都知事が、日本という国の官僚から受けた被害者意識のみが漂っている。もし、そうだとすれば、東京都が暴走しようとしたら、国がブレーキをかけるのは当たり前のことだ。

 いずれにしても、“偽維新”は、「脱原発」というフクシマ後最初の国政選挙における最大の争点に対して、有権者に訴える言葉を失ったと言えるだろう。

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についても、「交渉参加、ただし国益に反する場合は反対」という内容の、どこが“骨太”なのか・・・・・・。この“国益”という言葉の欺瞞性を多くの有権者が感じるに違いない。
 国益を語るなら、「何が国益なのか」という定義や基準がなければならない。


 「生活」(「未来})の「ドイツ脱原発視察」報告書を読むことで、誰が(あるいはどの党が)もっとも「脱原発」を真剣に考え、観念論を越えた実現性のある政策の推進を期待できそうかが分かる。

 政治家よりはタレントとしてマスコミに重宝がられていることに気づかない老人と弁護士は、そろそろ本業のテレビタレントに戻るべき時である。
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Commented by hajime at 2012-12-02 09:56 x
私の娘は今年二十歳になりまして、大学に通っていますが、その娘が先日「今度始めて投票するけど、小沢さんの「日本未来の党」に入れる。とポツリと語っていました。
普段、政治の話などしませんが、「学校でもみんな、そう言ってるよ」と言っていました。
若者は我々以上にこのまま行く行末を心配しているみたいです。
それが広まれば安心できますね(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-12-02 19:27 x
お嬢さんの判断、私は支持します。
若い人達も“偽維新”やドジョウ、そしてみやみに右っぽい“坊ちゃん”安倍への嫌悪感はあるのでしょう。
日本の未来は、そんなに暗くないかもしれません^^

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by koubeinokogoto | 2012-11-30 20:42 | 原発はいらない | Comments(2)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛