「戦場の漫才師たち~わらわし隊の戦争~」における、森光子の遺言。
Wikipedia 森光子
この番組のことは見てすぐにブログに書いた。2010年8月11日のブログ
番組で、「わらわし隊」の回想のために登場した三人の芸人さんについて、次のように書いていた。
NHKの番組では、この慰問団のこと、そして慰問団「わらわし隊」のスーパースターであったミス・ワカナのことを、生き残られた数少ない当時の兵士の方々への取材で振り返るとともに、芸能人からは、今年で83歳になる喜味こいしさん、そして共に今年90歳になる森光子さん、玉川スミさんが当時の回想を貴重な映像として残してくれた。
喜味こいしさんは当時を振り返り、有無を言わせず慰問団に順番に派遣されていく先輩達の顔を見ると、「これが最後か・・・・・・」という万感の思いだった、と語る。
玉川スミさんが、いまだに艶やかな舞台を勤めた後で、たぶん滅多に口にされないはずの、残酷な戦争という名の殺人シーンを回顧された言葉は、胸に重く突き刺さる。
そして、ミス・ワカナに可愛がってもらい、舞台『おもろい女』でワカナを演じた森光子さん。正直な感想として、この番組を見ながら、「森さんの遺言か・・・・・・」という思いが募った。彼女が語る戦争体験とワカナへの思慕、結果として伝わる強烈な反戦の主張。演技ではない、人間“森光子”として語り残したいことを振り絞っている、という印象を強く受けた。
昨年一月に喜味こいしが満八十三歳で亡くなり、今年の九月に玉川スミ、そして十一月十日、森光子がともに九十二歳で旅立った。
あの時の、「森さんの遺言か・・・・・・」という印象は、残念ながら当たっていたようだ。
あらためて録画を見た。森光子は、最後のテレビ出演で、こう語っている。
戦争は絶対避けるべきですね。誰も得しないと思いますし、ワカナさんなんか弱い人の味方でしたから、そういう気持いっぱい持ってらしたと思いますよ。人へのやさしさも大事に持ってらして、自分のことはあまり言わずに、人の心配ばかりしてらしたから・・・・・・
反戦、そして他人への思いやり・・・・・・最後のテレビ出演における稀代の芸人森光子の遺言を肝に銘じなければならないだろう。
私は『放浪記』をはじめとする舞台を一度も観たことはない。私にとっては、『時間ですよ』の松の湯の女将さんであり、『渡る世間は鬼ばかり』における“ハワイのお姉ちゃん”であり、連れ合いにとっては『天国の父ちゃんこんにちは』のパンツ屋のおばさんである。
*連れ合いは追悼番組で“パンツ屋”を放送してくれることを期待しているが・・・・・・。
森光子は、『おもろい女』でミス・ワナカを演じ、『放浪記』で林芙美子を演じた。さて、何年後に、この方の一代記を書く作家、それを演じる女優が現れるのか・・・・・・。
幅広い世代に愛された森光子という大芸人の懐の深さは、きっと人には言えない、あの戦場での経験やその後の“芸の戦場”での修練がもたらしたのものではなかろうか。
今頃天国では、ミス・ワカナが、「待ってたで、えらい遅かったやないか!」と迎えているような、そんな気がする。
近ごろ、また石原慎太郎なぞという戦争屋が跋扈し始めてきましたが、森さんの言葉は重いですね。
石原なんぞは、一人で尖閣の小屋番にでも行けばいいのです。それも豪華クルーザーではなく、猪牙船にでも乗って^^
この世代の芸人さんには、立場に関係のない「反戦」が自明のことだった訳ですね。
(森さんが「最高責任者」を告発する井上ひさしの『紙屋町さくらホテル』初演に出演していたことを思い出しました)
それが今では、「戦争屋」の政治家達が絶大な支持を集めているとされ、何人もの人気芸人も媚びている。
「反戦」は本当に支持を失ってしまったのでしょうか?
そうですか、森さんがそういう舞台に出ていらしたんですね。
これから、少しは勉強させていただきます。
「反戦」の姿勢は、この国の指導者たる者にとって本来不可欠な要素のはずです。それを語らなくてよい時代だから「平和」、という逆説もあるかもしれませんが、毎日多くの犠牲者が出ている中東の状況を見て、日本は何も国際平和に対し貢献できないということは、唯一の被爆国として残念でなりません。
次期衆院選、「競争大好き」な「新自由主義」だけでつながった“烏合の衆”に票を投じる気は一切ありません。