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幸兵衛の小言

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「富田メモ」で明らかな、靖国A級戦犯合祀への昭和天皇の“不快感”

「昭和の日」は、昭和を振り返るための祝日らしいので、靖国について昭和天皇がどう思っていたか、を振り返りたい。そして、中国や韓国を無駄に刺激している閣僚や議員の先日の参拝の無謀と無策について考えたい。

 昭和天皇は、戦後は数年置きに計八度靖国神社に親拝したが、昭和50(1975)年11月21日を最後に、親拝を行っていない。 この理由については、「富田メモ」により明らかである。

 宮内庁長官であった富田朝彦による「富田メモ」は、2006年に日本経済新聞が遺族から受け取り、その後複数の人間によってその信憑性につい検証され、歴史の貴重な証言としてお墨付きを得たものだ。このメモについての靖国支持派からの批判や無視する動きはあるが、私はこのメモに、明確に昭和天皇の靖国への思いが表現されていると思う。

「富田メモ」は、さまざまな書籍で引用されているが、Wikipediaから引用する。
「富田メモ」Wikipedia

公開された富田メモの一部は以下の通りである。靖国神社についての発言は1988年4月28日(昭和天皇の誕生日の前日)のメモにあった。一連のメモは4枚あったとされ、そのうちの4枚目にあたる。

 前にもあったが どうしたのだろう
 中曽根の靖国参拝もあったが
 藤尾(文相)の発言。
 =奥野は藤尾と違うと思うがバランス感覚の事と思う、
  単純な復古ではないとも。

 私は或る時に、A級が合祀され
 その上 松岡、白取までもが
 筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが
 松平の子の今の宮司がどう考えたのか
 易々と
 松平は平和に強い考えがあったと思うのに
 親の心子知らずと思っている
 だから 私あれ以来参拝していない
 それが私の心だ

※「易々と」の左側の位置から「そうですがが多い」「全く関係者も知らず」の2行が縦書きで書かれている。

メモは、「私は或る時に、A級が合祀されその上 松岡、白取までもが、筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが」と記している。松岡は日独伊三国同盟を締結し、A級戦犯で合祀されている元外務大臣の松岡洋右、白取はこれもA級戦犯で合祀されている元駐イタリア大使の白鳥敏夫、筑波は1966年に旧厚生省からA級戦犯の祭神名票を受け取りながら合祀しなかった靖国神社宮司の筑波藤麿とみられる。昭和天皇は、筑波宮司がA級戦犯合祀に慎重であったのに対し、筑波が退任後、A級戦犯が合祀されたことに懸念を表明し、その中でも松岡洋右と白鳥敏夫までもが合祀されたことに強い不快感を表明した。

メモは、さらに「松平の子の今の宮司がどう考えたのか」「松平は平和に強い考があったと思うのに」と記している。「松平」は終戦直後の最後の宮内相の松平慶民。「松平の子」は、長男で1978年にA級戦犯を合祀した当時の靖国神社宮司・松平永芳とみられる。「親の心子知らずと思っている」として、松平慶民は合祀に慎重であったのに、その子供である松平永芳が、「易々と」合祀してしまったことに対して昭和天皇は強い不快感を表明した。末尾には「だから 私あれ以来参拝していない。それが私の心だ」と記述されている。


 麻生をはじめとする閣僚や議員の参拝は、まったく愚かな行為である。その行為への海外からの批判に対し、まるで開き直るかのような抗弁をした安倍は、まったく馬鹿である。

 昨日の「主権回復」式典では、国内の沖縄や奄美、小笠原の市民の気持を逆撫でした。
 そして、靖国問題は、あの戦争で大きな犠牲を払ったアジアの隣人の心を痛ませている。日本は、「戦争好きな国」「反省しない国」という印象を強く与え、予定されていた外交上のコミュニケーションの機会をことごとく失うことになっている。
 「ドイツを見習え」という声も今後は強くなるだろう。戦争責任者をいまだに追及し処罰することを徹底しているドイツと、戦犯が祀られている靖国を閣僚が参拝する日本。海外からは、その違いがあまりにも明白に映るだろう。
 安倍が今後、まかり間違って、「東京裁判は間違いだ」とか「戦勝国の暴力だ」などといっても、個人的な思いならともかく、政治の“グローバル”な舞台においては、何ら通用しない“負け犬の遠吠え”なのである。


 昭和の日に、昭和天皇が靖国に対して抱いていた“不快感”を真摯に受け止め、考えることで、靖国問題解決の鍵が見えてくるはずだが、安倍や側近には、この“不快感”を思うことが“不快”らしい。しかし、安倍らの“不快”は、中国や韓国、そして昨日の式典による沖縄や奄美、小笠原の人々の“不快”から思えば、まったく取るに足らないものだ。
Commented by ほめ・く at 2013-05-03 12:10 x
靖国参拝を安倍らは「英霊に対し・・」なんて言ってますが、根本問題はA級戦犯に対する扱いです。
もしドイツの閣僚がヒトラーやナチス幹部の墓前に揃って参拝したら、諸外国はどう捉えるでしょうか。英霊を祀るかどうかは国内問題だで済むでしょうか。
そういう想像力が全く欠如しています。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-05-03 17:19 x
おっしゃる通りです。
外交に限らずあらゆるコミュニケーションにおいて、「相手の立場」で考えるという原則を、国のリーダーたる者がないがしろにしていては、諸外国と良好な関係など構築できるはずがない。
どうもアジアの隣人には「強面で行け」と周囲も煽って、アメリカには、「相手を怒らすな」と安倍を操っているかのようです。どちたにしても、「敵を知る」という孫氏の教えに立てば、まったく「相手を知らず」に一人相撲を取っているように見えます。対応の仕方は、逆ではないでしょうか。
これから、よほど安倍の周囲が厳しく“靖国大好きボンボン”の行き過ぎを止めなければ、日本は信頼されるどころか嫌われるだけの国に堕すのみでしょう。それでは、国民は不幸すぎます。

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by koubeinokogoto | 2013-04-29 10:41 | 戦争反対 | Comments(2)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛