幸兵衛の小言

koubeinoko.exblog.jp
ブログトップ

3分の2だからって、何でも出来る訳ではない。

 参院選の結果は、ある程度は予想していたものの、日本の将来を懸念させるのは事実だ。
 野党が統一名簿を作成できなかった時点で、結果は見えていたのだが、それにしても、民進党の体たらくぶりには、いらだつばかり。
 
 メディアも、ほとんど真っ当な選挙報道をしたと思えない。

 そのことについて、遅ればせながら、日刊ゲンダイに岸井成格へのインタビュー記事が載ったので、前半の一部を紹介。全文は9頁に及ぶ。
「日刊ゲンダイ」の該当記事

元NEWS23岸井成格氏 「このままだとメディアは窒息する」
2016年7月10日

選挙報道が減ったのはイチャモンが面倒くさいから

 改憲派が3分の2を制するのか。天下分け目の参院選を前にこの国の報道の静かなこと。まともに争点を報じず、アベノミクスの検証すらやらない。この国のテレビはどうなっているのか? さぁ、このテーマを聞くなら、この人。毎日新聞特別編集委員の岸井成格氏(71)しかいない。

――参院選の報道を見て、どう感じますか? 報道の量そのものが減ってしまったような気がします。

 その通りだと思いますね。集計していないのでハッキリわかりませんが、減っている印象です。2014年の衆院選の時も、テレビの選挙報道は減った。従来の衆院選の時に比べて半分くらいになった。そうした傾向が続いていますね。

――2014年の衆院選といえば、安倍首相が岸井さんの「ニュース23」に生出演して、文句を言った選挙ですね?

 アベノミクスについての街録で反対意見が多すぎる。局が恣意的に選んでいるんじゃないか。そういうことを言われたんですが、その2日後に自民党からテレビ各局に政治的に中立、公平な報道を求める文書が届いた。街録の人数とか時間とか具体的なことにまで踏み込んで要請文書が来たのは初めてでした。

――テレビ局がスクラムを組んで文句を言うかと思ったら、選挙報道そのものが減ってしまった。

 街録そのものもなくなっちゃった。

――なぜですか?

 イチャモンをつけられるのは嫌だからでしょう。それに現場は面倒くさい。街録でアベノミクスに5人が反対したら、賛成5人を集めなきゃいけない。面倒だから報道そのものが減ったんですが、今回は参院選の争点も番組で扱わなくなっている。だから、何が争点だか、ぼやけてしまっている。舛添問題や都知事選の報道ばかりで、参院選を真正面から取り上げている番組が少ない。今度の参院選が盛り上がらないのは、権力側が争点隠しをやっていて、メディア側も与野党の相違点をきちんと報じないからですよ。
 まだまだ、記事は続いているので、ご確認のほどを。

 この記事、もう少し早く掲載して欲しかったが、今回の選挙の大勢に影響はなかっただろう。
 
 改憲についてメディアの報道や、選挙結果に関する記事には、どうしても違和感を感じてきた。
 「改憲派」と言ったって、それぞれ政党の言い分は違っており、温度差もある。
 また、国民投票に至るまでには、いくつかステップがあるのに、そういった事実をほとんどスルーしているのは、報道機関としては片手落ちだ。

 「3分の2」を確保したら、何でも出来るようなイメージを作っているとしか思えない。

 選挙後の記事も、まるで、憲法改正(改悪)が既定路線のような印象を与えるではないか。

 そんな疑問を感じながら、いくつかネットで検索していて、あるサイトに巡り合った。

「GoHoo」という、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイトである。
「GoHoo」サイト

 楊井人文(やないひとふみ)という人が代表を務める日本報道検証機構が管理している。
 楊井さんは、産経新聞の記者を経て弁護士になり、2012年に、同機構を立ち上げた。

 このサイトから、楊井さんが書いたYahooニュースの記事にリンクされていたので、紹介したい。(太字は記事原文のママ)
「Yahooニュース」の該当記事

参院選 「改憲勢力3分の2」が焦点? メディアが報じない5つのファクト、1つの視点
楊井人文|日本報道検証機構代表・弁護士
2016年7月8日 6時53分配信

 「改憲勢力が3分の2を上回るかが焦点」ー参院選でメディアがまた横並びで、こんな決まり文句を唱えている。

 たとえば、毎日新聞は7月6日付朝刊1面トップで、参院選終盤情勢として「改憲勢力2/3の勢い」と題した記事を掲載。記事の冒頭には「安倍晋三首相が目指す憲法改正に賛同する自民、公明両党、おおさか維新の会などの改憲勢力は・・・」と書かれていた。

 一体いつから、どんなファクトに基づいて、公明党が「安倍晋三首相が目指す憲法改正に賛同」したと報じているのだろうか。自民党とおおさか維新の改正草案を読み比べたことがあるのだろうか。

 記事を書いている記者たちも、4党を「改憲勢力」と書くときの枕言葉に一瞬窮しているはずだ。でも、みんな同じ橋を渡っているのだから、他紙の表現も参考に…という感覚かもしれない(例外的に、読売新聞は「3分の2」という切り口での報道に慎重であることは特記しておく)。

 こうした事実に基づかない報道から距離をおき、今回の選挙における憲法改正の位置づけについて冷静に考えたい人のために、基本的なファクト・視点をまとめておきたい。

1.公明のスタンスは民進に近い 生活の改憲案は具体的

 メディアが当たり前のように使っている「改憲勢力」という表現。自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党(以下「こころ」)の4党を指しているが、それぞれ憲法改正に関する立場にはかなり違いがある。まず、各党が改憲に積極的かどうかは、参院選公約に限らず、党是や過去の発表も含め、具体的な改憲案を示しているかどうかを見なければならない。

 自民、こころ、おおさか維新の3党は、それぞれ具体的な改正案を提示しており、改憲に前向きな勢力といえよう。ただ、おおさか維新の改正案は、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置の3項目であり(マニフェスト、憲法改正草案)、自民党の憲法改正草案とも、こころの憲法改正草案とも共通項がない

 公明党は、従来から「加憲」という立場だが、具体的な改正項目は示していない。むしろ「改正ありき」「期限ありき」ではないとわざわざ強調し、慎重なスタンスだ(参院選:憲法改正)。自民党よりむしろ民進党の立場に近いのではないか。

 民進党は、参院選の公約では「平和主義を脅かす9条改正に反対」と掲げているが、もともと基本政策合意で憲法改正を目指すと明記しており、公約でも「未来志向の憲法を国民とともに構想する」と言っている。具体的な改正項目には言及せず、早期の改憲に積極的でないとみられるが、「改憲自体に反対」の立場でないことも明らかだ。

 この後に他の政党のことも紹介されており、最後に次のように指摘している。
 こうしてみると、憲法改正に積極的といえるのは自民、こころ、おおさか維新の3党。具体案を出している勢力は生活を含めて4党。民進、公明、改革は、具体案は出していないが必要とあれば何らかの改憲を認める立場であり、これらを含めて広義の「改憲勢力」と呼べば、とっくに衆参両院で「3分の2」を超えている。改正項目や内容について一致点が見出されておらず、改正発議の前提条件が整っていない点では、広義の「改憲勢力」7党も、メディアが「改憲勢力」と称する4党も、同じなのである

 この後に、政党ごとの立ち位置が図で紹介されているので、ご参照のほどを。

 次に、国民投票で、自民党原案を一括で問うことなどできないということを、この記事から引用する。
2.国民投票法上、憲法の全面改正はできない

 自民党の憲法改正草案は、全面改正案である。明治憲法体制、戦後憲法体制に代わる、第3の新憲法体制を打ち立てようという発想(いわゆる自主憲法制定論)が基底にある。こころの改正草案も同様である。

 ところが、2007年に制定された国民投票法は、改正項目ごとに賛否を問う個別投票方式を採用したため、事実上、全面改正が不可能になった。(*3)かつて「改憲vs護憲」の対立は「自主憲法制定(全面改正)vs自主憲法反対・現憲法護持」の対立だったが、この不毛な対立軸は、現行の国民投票法のもとでは無意味化している。つまり、「自主憲法制定」を前提とした自民党やこころの改正草案は、そのままでは現行法上「原案」となる資格がないのである。

 もちろん一度の改正発議で複数の項目・条文を対象にすることは可能だが、個別に賛否を問わなければならない。一度に国民投票にかける項目数も事実上限定されている(国民投票法案の審議で、せいぜい3~5項目とされている)。したがって、自民党の憲法改正草案の一部分だけ取り出して「原案」として提出することは可能だが、草案全体をパッケージにして提案することはできない。

 こういうことを、全国紙では、ほとんど説明しない。
 記事の中からは、自民党サイトの憲法改正草案や国民投票に関する政府広報などへのリンクもあるので、ご確認のほどを。

 他にも、与野党が憲法審査会再開で合意していることや、憲法改正には「各議院の総議員の3分の2以上の賛成による発議」と「国民投票での過半数の賛成」以外にも、「審議する改正項目の確定」「改正案の作成、提出。発議」という4つのハードルがあるが、まだ、どれ一つのハードルも超えていないことや、憲法改正のための具体的なステップなども図示されていたりするが、それは実際に読んでいただくとして、この記事の最後にある<視点>を引用したい。

<視点>党議拘束を前提とした「数の論理」でよいのか

 憲法改正権力は国民にある。国会の勢力図によって決まるものではない。いくら国会で「3分の2」で改正の発議をしても「提案」できるにすぎず、国民投票で過半数が賛成しなければ実現しない(日本国憲法96条)。

 憲法改正問題は本来、超党派で議論すべき事柄であるのに、「改憲勢力が3分の2を取るか」にこだわってよいのか。党派的な「数の論理」を持ち込めば、党派を超えた議論の基盤を損なうのではないか。そのことをメディアは自覚しているだろうか。

 この点については、安倍晋三首相にも大きな責任がある。1月10日のNHK討論番組で、与党だけでなく、改憲に前向きな野党も含めて「未来に向かって責任感の強い人たちと3分の2を構成していきたい」と述べた(読売新聞ニュースサイト)。これでは、「改憲の中身」より「数の論理」を優先する本音が出てしまったと言われても仕方がない。しかし、野党側も「3分の2の阻止」と応じ、メディアも同じ土俵に乗って報道してしまっているのである。

 そもそも「3分の2を取る/取らせない」という発想は、政党の「党議拘束」を前提としている。本来超党派で議論すべき問題なら「党議拘束」を外して各議員の良心にしたがって採決すべき、という議論が出てきてもよい。「党議拘束なし」を前提とすれば「3分の2」を取ってから議論をスタートさせる、という発想は出てこないはずである。「3分の2」はあくまで超党派の審議、熟議の末のゴールにすぎなくなる。(*5)

 与野党ともに「党議拘束」を前提とした「数の論理」に拘泥すればするほど、「3分の2」vs「3分の1」の攻防が先鋭化し、再び不毛な論議に陥るおそれがある。そうした危険性に警鐘を鳴らすでもなく、むしろ率先して「数の論理」に加担するメディアの罪は、あまりにも大きい。

 まったく、本記事の指摘通りだと思う。

 言葉を大事にするはずのメディアに、「改憲派」とは何か、確認したいものだ。

 あまりにも多くの形容詞や注釈を省略して、言葉を使っているように思う。

 全国紙やテレビの「3分の2」に関するニュースには、十分に気を付けるべきだ。

[PR]
Commented by YOO at 2016-07-12 00:37 x
以前にもコメントしたと思いますが、最近の選挙結果はどう受け止めたらいいのか分りません。教育やマスメディアの影響でここまで(あんな愚劣な)体制べったりの民意になるのだとしたら、日本の将来はかなり危険だと思ってしまいます。
陰謀論という安易な逃げ道に与する事になるのかも知れませんが、2009年の政権交代が、官僚機構に大きなショックを与えたのは確かだと思います。まず、鳩山政権を潰した後、小沢・菅の代表選(これは党内の選挙ですが・・・)以降の選挙には、なんらかの結果操作があったのではないかという気がしてなりません?
安倍政権のあれほど異常なまでに強引な手法も、絶対に選挙では負けないという裏付けがあってのことではないでしょうか?
Commented by koubeinokogoto at 2016-07-12 08:32
>YOOさんへ

小沢潰しは、間違いなくアメリカが背後にいますね。
その後遺症は、まだ続いており、統一名簿作成をリードする役割を小沢さんも果たせなかった。
結果として、彼にもはや求心力がない、ということがはっきりしました。
今回の選挙結果は、少し冷静に見るならば、野党がだらしなさ過ぎる、ということに尽きます。
民進党は、右派を切り離さない限り共産党と協働することは難しいでしょう。
結局、「なんだかんだ言って、安倍はよくやっているんじゃないか」とか、「民主党の時よりは、まだましだ」という劣等比較の結果なのだと思います。
しかし、3分の2でなんでもできると思ったら大間違い、ということを書きたかった記事です。
兄弟ブログ「噺の話」では、落語風にアレンジしてみました^^
遊び心も必要ですからね!
Commented by YOO at 2016-07-12 18:32 x
幸兵衛様
いつもピントハズレのコメントばかりで申し訳ありません。どうにも腸が煮えくり返って治まらなかったもので失礼しました。一種の酒乱でお恥ずかしい・・・
3分の2なら何でも出来るものではないのはいくらか安心材料ですが、隷米官僚と組んだ安倍内閣なら、どんな手を使うか分ったものではありませんね。
Commented by koubeinokogoto at 2016-07-13 12:09
>YOOさんへ

いえいえ、私もしゅっちゅう酒の勢いでブログを書いて間違いますから、お気になさらずに。

たしかに、どんな手を使うか分からない安倍政権ですので、油断は禁物です。
でも、国民は、そう馬鹿じゃない!
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by koubeinokogoto | 2016-07-11 12:59 | 戦争反対 | Comments(4)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛