人気ブログランキング |

幸兵衛の小言

koubeinoko.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:原発はいらない( 284 )

 復興より、自分が応援する政治家が大事、という言葉で、ようやく辞任した桜田前五輪大臣と、同じような精神構造持つのが、原子力村の人々、と言えるだろう。

 日本原子力産業協会が、その名も「あつまれげんしりょくむら」というサイトを作ったことに、ネットえは批判の声がとびかっているようだ。

 47NEWSから、引用。

47NEWSの該当記事

原子力団体サイト「炎上」
命名や絵柄「ふざけすぎ」

2019/4/12 05:47

 原子力関連企業などでつくる日本原子力産業協会が12日までに、次世代層向けとしてウェブサイト「あつまれ!げんしりょくむら」を開設し、ツイッターなどに「ふざけすぎ」「原発事故から数年しかたっていないのに」との批判が相次いで、炎上状態となっている。

 協会担当者は「さまざまな意見が寄せられていることは把握している」とし、サイト開設の狙いを「逆境の中でも原子力に関わる若手を応援し、関心ある学生の疑問に答えていきたい」と話す。

 開設は8日。ホーム画面いっぱいに戦国武将や妖怪、ピエロのような大勢のキャラクターを、コミカルなタッチで掲載。

 こちらが、その「あつまれげんしりょくむら」のサイト。
「あつまれげんしりょくむら」のサイト

 サイトでは、海外の原発推進者の、次のような言葉を動画で紹介している。

こんにちは。ポーランドのミアです。あなたにメッセージを送ります。

あなたが私たちの地球の気候変動を心配しているのならば、原子力を応援しましょう。原子力は低炭素社会を実現するテクノロジーです。

是非あなたも一緒に!


こんにちは。私の名前はリバー・ベネット。米国出身です。

私はGeneration Atomic(原子力を推進する非営利団体)で働いていますが、原子力工学を学ぶ学生でもあります。なぜなら、クリーンなエネルギーである原子力の将来にとても期待しているからです。

こんにちは。私はアヌーク。オランダ出身です。原子力についてお話します。
私は原子力は気候変動と闘う解決の一つであると信じています。

もちろん日本ではとても悲しい事故が起こりました。しかし、人々の暮らしをクリーンな電力で支えるために、原発が再稼働されています。

 冗談じゃない。

 新たな「原発安全神話」の布教活動、と言ってよいだろう。


 こちらが、この活動の主体である日本原子力産業協会のサイト。
日本原子力産業協会のサイト
 同サイトの沿革にあるように、「社団法人 日本原子力産業会議」が母体だ。
 昭和31(1956)年1月27日に、当時の原子力委員会委員長正力松太郎が、第8回定例委員会において原子力産業会議設立を提唱したことに、端を発している。

 “原子力大臣 正力松太郎”については、何度か書いている。
2011年4月13日のブログ
2011年4月29日のブログ

 「原子力村」という言葉が意味することを、そのムラの住民たちは知っていてのシャレなのか・・・・・・。

 もう、8年も経ったら、こういうシャレで若き村民たちの交流サイトを作っても許される、とでも思ったのか。

 前五輪大臣と同じで、軽いのだ。

 この協会会員と同じ企業が名を連ねる経団連が、原発再稼動のみならず、新規増設を訴えるのも、復興より大事なのが自分たちの利益、という精神構造があっての悪行。

 「低炭素」「クリーン」「地球温暖化対策」などの言葉に騙された結果が、福島第一の事故だったことを、忘れてはならない。

 原発神話づくりが、再稼動した、とも言える。

 こんなサイトを運営していることは、まさに、犯罪行為である。

 ゾンビのような、原子力村の復活は、許せない。
by koubeinokogoto | 2019-04-12 21:51 | 原発はいらない | Comments(0)

 あれから八年・・・ということで、さまざまな角度から特別番組が組まれているが、重要な問題がおざなりになっているように思う。

 それは、八年前からの、甲状腺がんの増加に関する問題だ。

 検索しても、大手メディアのサイトでは、ここ最近ほとんど扱われていない。

 朝日が今年1月に掲載した記事は、福島県立医大の発表をそのまま扱っていて、どちらかと言うと、原発事故との関連性を希薄化しようとしているような記事で感心しない。
朝日新聞の該当記事

 真実は、もっぱら、他のサイトから確認することになる。

 なかでも、「福島原発事故の真実と放射能健康被害」のサイトが有益だ。
 昨年末更新された、甲状腺がん増加に関する詳細な記事を紹介する。
「福島原発事故の真実と放射能健康被害」のサイト

 なお、関連する内容を2015年10月9日にも書いているので、ご興味のある方はご覧のほどを。
2015年10月9日のブログ

福島の甲状腺がん→現状で子供201人が発病!原発事故の現在と影響
更新日:2018年12月27日 公開日:2014年3月14日

2019年、福島原発事故の現状。それは子供達の甲状腺がんの多発を抜いて語ることはできません。

そこで今回は『福島原発事故と甲状腺癌』のカテゴリに属する7つの記事をまとめて5分で読めるようダイジェストでご紹介します。詳細な内容は各記事への青色のリンクをクリックすることで閲覧できます。

福島原発事故の現状…現在の状況がどうなってしまっているのか…

2018年9月5日に公表された最新の福島県民調査報告書によると、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子供達は、2か月半前…前回の198人から3人増えて合計201人になりました。

それから手術で良性結節だったことが確定し甲状腺がんではなかった1人も元々は、この甲状腺がん及び疑いにカウントされていましたから、この1人も数えれば甲状腺がん及び疑いは合計202人となります。

福島県の発表は甲状腺がんを、悪性…悪性とはがんのことですが『悪性ないし悪性の疑い』という言葉を使い、あたかも甲状腺がんでない子ども達もこの中に含まれているように書くことで、焦点をぼかしチェルノブイリ原発事故との比較を困難にしています。


しかし手術を終えた165人の中で、良性結節だったのはたった1人にすぎず、162人が乳頭癌、1人が低分化癌、1人がその他の甲状腺癌との診断です。

つまり手術を終えた165人中164人が小児甲状腺癌でした。

%表記にすれば『悪性ないし悪性の疑い』のうち99%は、小児甲状腺癌。

ですので疑いという言葉を過大評価して安心するのは危険です。

e0337777_14234865.png


この記事は現状、福島県で甲状腺癌と考えられる201人の子どもたちを市町村別、事故から病気発見までの経過年数別、男女別、事故当時の年齢別、地方別にそれぞれ分類して、チェルノブイリ原発事故や過去の日本や福島県のデータと比較しています。比較することで、現状の福島の小児甲状腺がん患者数が多いのか?少ないのか?放射能の影響はあるのか?ないのか?客観的に見ることができます。

なお混乱しやすい先行検査と本格検査の定義の解説もおこなっていますので初めて『福島の甲状腺がん問題』に接する方にも最適です。


 サイトから、他の記事もぜひご確認いただきたい。

 なぜ、「あれから八年」の番組で、甲状腺がんのことが避けられているのか・・・・・・。

 これは、由々しき問題である。

by koubeinokogoto | 2019-03-11 20:36 | 原発はいらない | Comments(0)
 本日未明の大地震で、泊原発の外部電源が一時喪失していたという、恐ろしい記事。
47NEWSの該当記事

泊原発で外部電源が一時喪失
使用済み燃料は冷却継続
2018/9/6 13:48

 6日午前に北海道で発生した地震で、震度2を観測した泊村にある北海道電力泊原発は午前3時25分、外部電源が喪失、午後1時までに復旧した。同原発は現在停止中で、1~3号機の原子炉に核燃料は入っていないが、非常用発電機6台を起動して、使用済み燃料計1527体を貯蔵中のプールの冷却を続けた。原子力規制庁によると、原子炉の冷却に必要な重要設備に異常は見られず、原発の敷地内や周辺の放射線量に変化はないという。

 規制庁によると、原発周辺にある放射線監視装置(モニタリングポスト)計91基のうち21基が、地震の影響で停止した。

 原発は、停止中だって、使用済み燃料は冷却を続けなければならない。
 そのために外部電源が必要となり、大量の電気が必要な発電所、という皮肉。

 泊原発については、ずいぶん古くなるが書いたことがある。
2011年6月28日のブログ

 重複するが、鎌田慧著『原発列島を行く』(集英社新書、2001年11月初版発行)から、あらためて泊原発の誕生の背景や、失われた海のことを紹介したい。
e0337865_16392072.jpg

鎌田慧著『原発列島を行く』
 泊は、石炭の町から、原発の町に変わった歴史を持つ。
村の苦境が狙われた
 北海道の積丹半島の付け根に建設された泊原発が、立地決定の69年当時、「共和・泊原発」と呼ばれていたのは、隣接する共和町との境界線あたりが予定地とされていたからだ。
 このあたりが、建設候補地に選定されたのは、その二年前の67年。それを受けたかたちで、古宇郡泊村には「誘致期成会」が結成された。しかし、岩内郡と泊の両漁協は、真っ向から反対した。
 かつて海の色を変えたといわれたニシンブームは去っていたとはいえ、北上してきた対馬暖流を阻むかのように、突兀(とつこつ)として日本海に突きだした積丹半島は、スケトウダラの産卵場であり、ウニの宝庫でもあった。
 ほぼ一万人を数えていた泊村の人口が、一挙に半減したのは、64年4月、村内にあった茅沼炭鉱閉山の打撃によった。
 この炭鉱は、タラ獲りの「漁夫」によって発見されたもので、函館奉行所、官営炭鉱としての歴史を経て操業108年、戦争末期には、労働者の四分の三が朝鮮人労働者だった(『茅沼炭鉱史』)。
 炭鉱とニシン漁によって、内地からの労働者を多く抱え、泊村の商店街も繁栄していたのだが、「エネルギー転換」によって、炭鉱は歴史を閉じた。とはいっても、この村が、それまでのように、「石炭から石油へ」と段階を踏むのではなく、いきなり、「石炭から原発へ」と一足飛びになったのをみると、村の苦境が狙われていたのがよくわかる。


 ニシン、そして石炭は、歴史的に北海道の主要産業である。「ニシン御殿」や「黒いダイヤ」という言葉が、懐かしい。炭鉱には落盤事故などの危険はある。しかし、あえて言うのならば、石炭からは放射能が発生しない。

 海岸沿いの炭鉱閉鎖地域の苦境に付け込んだのが、まさに原子力村の常套手段だった。
 スイートコーン(トウモロコシ)畑で立ち話をした農民の話によれば、3号炉建設にともなって、8億円支払われたのだが、それ以外にも5億円が追加されている、という。カネが必要になると、電力会社に「迷惑料」が請求される。「風評被害」が担保だが、どこの原発地帯にも共通する、自立とはほど遠い、「打ち出の小槌」への依存である。
 泊村役場は、ややメルヘンチックな建物で、9億6000万円、屋内アイススケート場(8億円)、国民宿舎(15億円)、公共施設はすべて新築、電柱にはオレンジ色の街灯がともり、12歳以下の医療費は無料である。
 さらに、修学旅行の費用は半額補助、70歳以上の老人には年間70枚の温泉無料券、それ以下の年齢は50枚配布される。村内に家を建てれば、200万円の補助がある。いわば、「原発パラダイス」である。


 この「原発パラダイス」の結果、どうなったのか。
温排水による海水上昇
「岩内原発問題研究会」の斉藤武一さん(四十八歳)は、岩内町立の保育所で、「保育士」として働いている。自治労の組合員で、本部が募集している「文学賞」に、反原発運動のルポルタージュを書き送ってこられていて、選考委員のひとりであるわたしはよく記憶していた。
 定年にちかい年輩のひととばっかり想像していたのだが、五十歳前、まだまだ職場になくてはならない人物である。原発促進の自治体にいて、少数者として抵抗するのには、勇気を必要とする。
 岩内町もまた、泊とおなじように、原発反対派がごく少数の地域である。岩内町にとっての原発は、一村をへだてた村にある存在だから、交付金はすくない。それでも、二基のドーム型の原発は、ちいさな入り江をはさんで、街なかから対岸にくっきりとみえていて、なにやら危なっかしい。その距離わずか五キロメートル。
「原発反対にたちあがるまで、十五年かかりました」
 と斉藤さんは率直である。78年から、彼は岩内港の防波堤で、夕方六時にバケツで採集した、海水の温度の変化を記録してきた。その結果、原発の運転開始前と試運転後の冬季間の水温が、1.6度上昇していることが判明した。
 いうまでもなく、温排水の影響だが、20年にわたって、うまずたゆまず、確実な手つきで原発の海で診断してきた沈着さが、最北の原発反対運動の静かな情熱をあらわしている。「報告書」には、原発から五キロメートル離れた地点での1.6度におよぶ水温上昇について、こう書かれている。
「スケソウが水深200メートルから水深300メートルに移動していることと関係あると思われる」
 不漁になった理由である。斉藤さんの祖父は、茅沼炭鉱から専用鉄道で、岩内港まで運ばれてきた石炭を、貨物船に積み込む「沖仲仕」だった。閉山のあおりを食って失職したのだが、その息子にあたる父親は、スケトウ景気に沸く魚市場のまっただなかで仲買人となった。町内でいちばん最初にテレビを買った、というから羽振りがよかった。
 石炭景気とスケトウ景気。それへの依存と栄華の記憶が、商業都市として拡大した岩内のひとたちの、原発への期待に反転した。

 原発は自然を崩壊させ、恐怖を生み出す。

 停止中でさえ、使用済み燃料棒は、ほぼ永遠に冷却し続けなくてはならない。

 ということは、地震などの自然災害による一次的な危険のみならず、「原発は大丈夫か!?」という問い、そして不安が、ほぼ永遠に消え去ることはない、ということだ。

 そんな原発など、いらない。

by koubeinokogoto | 2018-09-06 20:47 | 原発はいらない | Comments(0)
 「再稼働」先にありき、という杜撰さが明白になった、佐賀の玄海原発三号機の蒸気漏れ。

 原子力資料情報室の提言を紹介。

原子力資料情報室サイトの該当ページ

蒸気もれの玄海原発3号炉をいますぐ止めて、総点検を
2018年4月3日
NPO法人原子力資料情報室

 九州電力の玄海原発3号炉(加圧水型炉、電気出力118万kW)で、3月30日19時ごろ、蒸気もれがおきているのをパトロール中の作業員がみつけた。玄海3号炉は、3月23日に原子炉を起動したあと、25日からは発電を開始し、蒸気もれがみつかったのは75%の電気出力で運転中のときだった。

 蒸気もれが起きた箇所は脱気器の空気抜き配管で、原子炉は起動したまま、発電を停止して配管の保温材をはがして点検がおこなわれていた。脱気器の屋外箇所を点検したところ、空気抜き管の1本に長さ13ミリ、幅6ミリほどの貫通孔がみつかった。脱気器は3Aと3Bの2基があり、それぞれに8本の炭素鋼でできた空気抜き管があり、発電用タービンからのもどってきた水(復水)の中の酸素などを、蒸気といっしょに大気中に放出する働きをしている。

 貫通孔は、脱気器3Bの第5空気抜き配管に発生していた。九州電力は、貫通孔がみつかった配管で、外装板・保温材にサビや変色が起きており、配管表面にびっしりとサビができている様子を4月2日に公開した。雨水が保温材の中に浸入し、配管の外側から腐食がすすんでいったもの、と九州電力は原因を推定している。九州電力は16本の空気抜き管を取り替えると発表している。

 九州電力は二次系の設備であるから安全性を軽視しており、十分計画的な点検をおこなってこなかったのではないか。原子炉を止めずに点検をすすめて対策をすませようとしているところにも、九州電力の安全軽視の姿勢が表れている。

 九州電力は、玄海3号炉の原子炉をいますぐ止めて、総点検すべきだ。

 まったく、この通りであり、即時停止し点検すべきである。

 再稼働を認可した原子力規制委員会が、原発村の“寄生”委員会となっていることも、今回の事故ー間違いなく、事故であるーの元凶の一つ。

 Wikipediaの「玄海原子力発電所」から、各原子炉の表を借用した。
Wikipedia「玄海原子力発電所」

e0337865_13594322.png



 ご覧のように、三号機はMOX燃料。

 MOX燃料の危険性は、福島第一の三号機の件を含め昨年も書いている。
2017年7月8日のブログ
2017年7月21日のブログ

 プルトニウムそのものを燃料に含むのがMOX燃料なので、放射性物質はウランのみを燃料とするより種類も量も多くなる。アクチノイド系の放射能が多く発生しているはずで危険性が高い。また、MOX燃料は融点も低く溶融しやすい。

 昨年7月8日の記事と重複するが、高木仁三郎さんの解説と警句を再度紹介したい。

 『新装版 反原発、出前します-高木仁三郎講義録-』(反原発出前のお店編、高木仁三郎監修、七つ森書館)から。どれほどMOX燃料を使うと“やっかい”なのか、重要部分を太字にする。
e0337865_16393072.jpg

『新装版 反原発、出前します』(七つ森書館)

 MOX燃料を使うためには、ウラン濃縮度がいろいろ違った燃料を作らなくてはなりません。さらにプルトニウムの冨化度(濃度)もいろいろと違ったものを作らなくてはいけないのです。仮にそれを再処理するとなるとどういうことになるかを考えると、頭が混乱してきます。同じ組成のものは一度に再処理できますが、違った組成のものは一度に再処理できないので、原子炉からでてきた使用済み燃料を何通りにも分けなくてはなりません。このように核燃料サイクルがきわめて複雑になるのです。
 もう一つ、MOX燃料加工の場合に問題になるのは、プルトニウムn半減期の問題です。プルトニウム-239の半減期は2万4000年ですが、プルトニウム-240の半減期は6600年です。それからプルトニウム-241の半減期は14年で、プルトニウム-242の半減期は37万年です。このような放射能ができるのです。これが原子炉ごとに違ってくるのですが、問題はプルトニウム-241です。この半減期が短いので早く崩壊していって、アメリシウム-241になります。半減期が14年ですから、一年もすればけっこうたまってきます。アメリシウム-241はガンマ線を強く出しますので、取り扱いが面倒な上に核特性が違ってきます。燃料としては品質が劣化します。このアメリシウム-241がMOX燃料の加工をやっているうちに、たまってきてしまうと、強いガンマ線のために工場に立ち入れなくなることもあります。ですから、「プルトニウムを長い間置いておくな!」「プルトニウムは取り出したらすぐ使え!」といわれています。

 このように、通常のウラン燃料さえ原発のゴミはやっかいなのに、MOX燃料の原発でできるゴミは、もっとやっかいだし、危険性が増すばかりなのだ。

 だから、原子炉を含め、設備の老化は早いのである。

 1994年から稼働の玄海原発三号機は、まだ二十四年で、こんな状態になっているのは、たぶんにMOX燃料だからだろう。

 もちろん、MOX燃料ではない他の原子炉だって、三十年も動かしていてば、ボロボロなはずである。

 玄海も限界だし、すべての原発が、危険性の面でも、地球環境のためにも、加えてコストの面でも、限界なのである。

 だから、停止していようが、設備の老朽化による放射能漏れなどを監視し続けることを忘れてはならない。

 そして、テロ対策も必要になる。

 原発は、限界であり、厳戒なのである。

 原子力村は、廃炉の難しさや高いコストのことを、あえてメディアにリークしているようだが、稼働させるための労力やコストなどは、なかなか明かそうとしない。

 ましてや、いつ何があるか分からないことへの国民の不安については、彼らはふれようとしない。
 原発立地地域の住民とは、すでに金で解決している、と考えている。


 とにかく、すぐに原発は止めて国民の不安を取り除き、新たなエネルギー政策を考える時である。



by koubeinokogoto | 2018-04-05 14:25 | 原発はいらない | Comments(0)
 少し前に、MOX燃料が、また日本に運ばれてくることについて記事を書いた。
 高浜原発で使うつもりなのだ。

 福島第一原発の3号機もMOX燃料を使っていた。

 今回のロボットによる調査結果を、朝日新聞から引用する。
朝日新聞の該当記事

燃料デブリか、圧力容器下つらら状の塊 福島第一3号機
2017年7月21日15時01分

 東京電力福島第一原発3号機のロボット調査で、東電が21日、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)とみられるものが、原子炉圧力容器の下につらら状に垂れ下がっているのを確認したことが、関係者への取材で分かった。3号機はこれまでの解析で、ほとんどの核燃料が圧力容器に開いた穴から溶け落ちたとみられる。デブリと確認されれば、事故の解明や今後の廃炉作業の貴重なデータとなる。

 東電はこの日早朝から、3号機の格納容器に水中ロボットを投入。19日に調査した圧力容器直下へとつながる開口部から中へと入り、崩落した構造物の状況などを調べていた。

 ロボットが圧力容器の直下にまで進んだところ、圧力容器に開いた穴からデブリとみられる物体が、つららのように垂れ下がっている様子がカメラに映ったという。

 19日の調査では、圧力容器の底にあった構造物などが崩落している様子が撮影されていた。溶けた燃料が周囲の構造物を巻き込みながら落下した可能性があるという。

 まだ、1号機、2号機の様子が分からない、私は3号機でとりわけ悲惨な状況を示していると察している。

 2011年5月17日の記事と重複するが、高木仁三郎さんの本の引用を含めて記したい。
2011年5月17日のブログ


e0337865_19014051.jpg

高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』

 まず、原子炉が停止した後、どんな放射性物質が原子炉にあるのかを知るために、高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』(岩波新書、1981年11月20日第1刷発行)の第3章「核燃料はめぐる」から引用したい。
下流の放射能
 原子炉で燃料が燃えると、燃えかすとしてさまざまな放射能が発生する。燃えかすの主な放射性物質の発生量とその毒性を、表3-1にまとめて掲げる。

表3-1 原子炉の内蔵放射能の目安(100万kw軽水炉停止後1日)
—————————————————————————————————
主な核種      半減期   およその放射能量  許容量*の何倍か
                (100万キューリー)
—————————————————————————————————
クリプトン-85     10.8年       1.1         —
他の希ガス       —         200         —
ストロンチウム-89   54日        70      175兆(骨)
ストロンチウム-90   28年         9       45兆(骨)
ジルコニウム-95    65日         140       70兆(全身)
ヨウ素-131       8日        50      710兆(甲状腺)
セシウム-137      30年        9       3兆(全身)
プルトニウム-238    87.7年        0.28    175兆(肺)
プルトニウム-239  24100年        0.033     20兆(肺)
—————————————————————————————————
 合  計              3500   1000-2000兆(全身)
—————————————————————————————————
*各決定臓器に対する最大許容負荷量の10分の1

 この表で、「許容量」とは、職業人の対する最大許容負荷量の十分の一を意味する。
 また、(肺)とか(骨)とかいうのは、その臓器に対する負荷量をもとに計算したことを示す。このように線量評価や規制をある臓器(組織)に着目して行う場合、それを決定臓器(組織)と呼んでいる。
 この表に掲げられた巨大な放射能が一つの原子炉で毎年生産されることが、いわば原子力問題のアルファでありオメガであるといってもよい。原子力発電所の最大の問題は、これだけの放射能を炉心に内蔵させながら運転しなければならない、ということであり、再処理工場はそれらの放射能を化学処理しなくてはならない、ということである。
 表3-1にみられるように、一つの炉心に一年間に生まれる放射能は、ひとりの人間の許容量にすればおよそ2000兆倍(2000兆人分)に相当する。もちろんこの放射能が、そのまま環境に漏れ出るわけではなく、環境に漏れたものがそのまま人体に入ってくるわけでもない。 しかし、かりにその1000万分の1が漏れ出ても、二億人の許容量にあたる量が環境を汚染する。閉じこめの信頼度を1000万分の1に保つことは、現在の技術では最高水準に属することだが、それでもなお膨大な放射能が環境に放出されることになる。実際、このレベルを上まわる環境放出が、核燃料サイクルのどこか(とくに再処理工場)で日常的に起こっている。
 そして仮に環境放出や事故などなくても、いったん閉じこめた放射能(放射性廃棄物)を最終的にどうするかが、核燃料サイクルが回転するためには大きな問題となる。

 原発の怖さを物語る内容だ。
 肝腎な部分を、再度太字で確認。

“かりにその1000万分の1が漏れ出ても、二億人の許容量にあたる量が環境を汚染する。閉じこめの信頼度を1000万分の1に保つことは、現在の技術では最高水準に属することだが、それでもなお膨大な放射能が環境に放出されることになる。実際、このレベルを上まわる環境放出が、核燃料サイクルのどこか(とくに再処理工場)で日常的に起こっている”

 見出しの「下流」について補足する。核燃料サイクルには、ウランの採掘から始まって、その燃料の加工、原子力発電での燃焼、さらに放射性廃棄物へと至る流れがあり、その中の“原子炉へ向かう”流れを「上流(アッパーストリーム)」と呼び、“原子炉から先”の流れが、「下流(ダウンストリーム)」と呼ばれる。

 福島第一原発は、1号機が46万kw、2号機が78.4万kw、3号機も78.4万kwなので発電量の合計は202.8万kw。高木さんの表は100万kwを想定しているから、ほぼこの倍の放射性物質が停止後の炉心にあったと想定できる。

 それに加えて3号機がプルトニウムそのものを燃料に含むMOX燃料なので、放射性物質はウランのみを燃料とする1号機、2号機より種類も量も多くなる。アクチノイド系の放射能が多く発生しているはずだ。加えて、MOX燃料は融点も低く溶融しやすい。

 福島第一の3号機の状況が明らかになろうとしているのに、いまだに、通常の原発のみならず、MOX燃料を使う原発まで再稼働させようとしている日本は、まったく学習効果のない国と言ってよいだろう。

 原発は稼働していなくても危険なのに、再稼働することで、全人類、そして地球破壊を招きかねない危機を増大させている。

 メディアは、3号機問題を機に、そのことを適切に指摘すべきだ。


by koubeinokogoto | 2017-07-21 19:01 | 原発はいらない | Comments(0)
 ここ数日、四年ほど前に書いた記事へのアクセスが増えている。
2013年6月27日のブログ

 内容は、高浜原発で使用するMOX燃料がフランスから到着した、という記事に関するもの。
 いかにMOX燃料が危険きわまりないかを関連するサイトや本の引用を含め書いたのだが、アクセス急増は、四年ぶり、3.11以降二度目のMOX燃料輸送のため、船がフランスを出港したということがきっかけのようだ。

 NHK NEWS WEBから引用する。
NHK NEWS WEBの該当記事
日本の原発で使うMOX燃料 フランスを出発
7月6日 4時14分

ことし5月に再稼働した福井県の関西電力高浜原子力発電所4号機で発電に使われるMOX燃料を積んだ船が、日本時間の6日未明、フランスの港から日本へ向けて出発しました。

日本に輸送されるのは、原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出してウランと混ぜた「MOX燃料」で関西電力が高浜原発4号機の「プルサーマル」で使用するためフランスの原子力企業「アレバ」に製造を委託していました。

フランス北西部のシェルブール港では、MOX燃料が入った円筒形の容器2基が大型クレーンで専用の輸送船に積み込まれ、日本時間の6日未明、日本へ向けて出発しました。

アレバによりますと、日本へのMOX燃料の輸送はこれまでに5回行われ、東京電力福島第一原子力発電所の事故の後では2回目となります。

輸送には2か月から3か月かかる見通しだということで、安全を確保するため、輸送ルートについてはおよそ2週間後に公表するとしています。

福島第一原発の事故のあと、各国で原発の安全対策の強化が求められて原発の新規建設が難しくなるなか、アレバは厳しい経営状況が続いていて、広報担当者は「われわれは今後も日本にMOX燃料を提供し続けられると期待している」と話しています。

 東芝の足を引っ張ったウェスティングハウスの原発事業のみならず、世界的に原発というビジネスは経済的にも行き詰っている。
 アレバも、その影響を受けないはずがない。アレバにとって日本は、大事な顧客である。
 しかし、国のエネルギー政策は、海外の一企業の窮状を救うためにあるわけでは、もちろんありえない。

 四年前の記事と重複するが、いかにMOX燃料が危険かをあらためて確認したい。

 「MOX」は、プルトニウムそのものを燃料に使うことにより、例えば原子炉のブレーキに相当する制御棒が効きにくいなど原発稼動中の危険性も大きいが、その燃料を作る過程や再処理まで危険がいっぱいである。
 『新装版 反原発、出前します-高木仁三郎講義録-』(反原発出前のお店編、高木仁三郎監修、七つ森書館)から再度引用したい。どれほどMOX燃料を使うと“やっかい”なのか、重要部分を太字にする。
e0337865_16393072.jpg

『新装版 反原発、出前します』(七つ森書館)

 MOX燃料を使うためには、ウラン濃縮度がいろいろ違った燃料を作らなくてはなりません。さらにプルトニウムの冨化度(濃度)もいろいろと違ったものを作らなくてはいけないのです。仮にそれを再処理するとなるとどういうことになるかを考えると、頭が混乱してきます。同じ組成のものは一度に再処理できますが、違った組成のものは一度に再処理できないので、原子炉からでてきた使用済み燃料を何通りにも分けなくてはなりません。このように核燃料サイクルがきわめて複雑になるのです。
 もう一つ、MOX燃料加工の場合に問題になるのは、プルトニウムn半減期の問題です。プルトニウム-239の半減期は2万4000年ですが、プルトニウム-240の半減期は6600年です。それからプルトニウム-241の半減期は14年で、プルトニウム-242の半減期は37万年です。このような放射能ができるのです。これが原子炉ごとに違ってくるのですが、問題はプルトニウム-241です。この半減期が短いので早く崩壊していって、アメリシウム-241になります。半減期が14年ですから、一年もすればけっこうたまってきます。アメリシウム-241はガンマ線を強く出しますので、取り扱いが面倒な上に核特性が違ってきます。燃料としては品質が劣化します。このアメリシウム-241がMOX燃料の加工をやっているうちに、たまってきてしまうと、強いガンマ線のために工場に立ち入れなくなることもあります。ですから、「プルトニウムを長い間置いておくな!」「プルトニウムは取り出したらすぐ使え!」といわれています。

 このように、通常のウラン燃料さえ原発のゴミはやっかいなのに、MOX燃料の原発でできるゴミは、もっとやっかいだし、危険性が増すばかりなのだ。

 危険性の問題のみならず、経済性の面でも、MOX燃料は割に合わない。

e0337865_16391761.png

高木仁三郎著『原子力神話からの解放』

 高木仁三郎さんの『原子力神話からの解放』は、初版が光文社カッパ・ブックスから亡くなる直前2000年8月に発行され、講談社+α文庫で再刊された。
「第9章 『核燃料はリサイクルできる』という神話」から、MOX燃料が危険なだけでなく、経済性の面でもメリットがないことについて引用。

リサイクルで放射能が増える!

 MOX燃料は私の専門分野ですから、大きな国際研究もやりましたし、いろいろなレポートも書いています。ここではくわしく述べませんが、プルサーマル計画、つまりMOX燃料をやると、どのくらいエネルギー的に得をするのか研究したことがあります。たとえ1パーセント以下とはいえ、本来なら捨ててしまうプルトニウムをまた使うわけですから、それによる燃料節約の効果も一定程度はあるだろうと、計算上は考えられるわけです。そこで、私たちの国際研究であるIMAプロジェクトのなかで、このメリットについて研究してみました。
 IMA研究の正式な名前は「MOX燃料の軽水炉利用の社会的影響に関する包括的評価」というものです。私たちがこの研究をやって明らかにした一つの重要な点は、プルトニウムを取り出して燃やすことは、安全性の問題は別にしても、燃料資源上のメリットはまったくないということです。とくに、リサイクルによって環境の負荷を少なくするといったメリットは、まったくありません。
 ウランが原発の燃料となるプロセスは、非常に長い道のりだという話はすでにしましたけれども、使用済み燃料を再処理して取り出すことは、それをさらに複雑にした流れとなります。プルトニウムをあちこちに動かし、いろいろな工程を経てプルサーマルという名の再利用を行なうと、その過程でいろいろな廃棄物が出てくるうえに、そうやって燃やしたプルトニウム自体が結局、最終的には使用済みのMOX燃料というゴミとなって残ってしまいます。ゴミを減らすことになるどころか、この計画はかえってゴミを増やすことになるのです。

 “リサイクル”などと言う言葉に誤魔化されてはいけない。通常のウラン燃料より放射能のゴミが増えるし、稼動後の危険性も増すのに、経済的な効果もないMOX燃料など、フランスから届いたらそのままで廃棄物とすべきだ。

 世界の潮流は、脱原発であり、再生可能エネルギーの導入である。
 
 しかし、“フクシマ”を経験した日本が、なぜ、フランスの原発会社のためとも思われる狂気の沙汰に出るのか。
 ドイツは日本の原発事故を契機に、エネルギー政策で世界のリーダーたる存在になったが、本当は、日本がそうなるべきである。

 世界各国が核をなくそう、と叫んでいるのに、唯一の被爆国である日本は、アメリカに追随してその行動に参画しようとしない。

 原発再稼働も含め、今この国は、後年の歴史家が首をかしげるようなことしかしていない。
 
 モリやカケどころではない問題を、MOX燃料による原発の再稼働は孕んでいる。
 問題を何十万年後にまで残す、地球規模の環境問題であり、その地球を何度も壊すだけの危険性のあるゴミを増やし続けると言う蛮行。

 高浜原発の再稼働をもっとも喜んだのは、アレバだろう。
 もしかすると、フランスにも安倍のお友達がいるのかもしれない。

 しかし、そのお友達がもたらすのは、危険極まりない核のゴミだ。
 
 “お友達ファースト”の安倍晋三。
 そのお友達であるモリやカケ、未熟な国会議員の暴言などにメディアがスペースを割いているが、実は、安倍政権で最も危険な暴挙は、原発再稼働であることを、忘れてはならない。

 原発は稼働させればさせるほど、その処理方法が存在しないに等しい核のゴミを増やし続ける。
 そんな危険なゴミを増やしてはならないとともに、危険な政府は、一日も早くゴミとして廃棄すべきだろう。


by koubeinokogoto | 2017-07-08 14:26 | 原発はいらない | Comments(0)
肥田舜太郎の訃報を目にした。
 毎日新聞から引用。
毎日新聞の該当記事

肥田舜太郎さん100歳=広島原爆で被爆の医師
毎日新聞2017年3月20日 20時49分(最終更新 3月20日 22時10分)

 広島原爆で被爆し、医師として被爆者医療に尽力した肥田舜太郎(ひだ・しゅんたろう)さんが20日、肺炎のため亡くなった。100歳。葬儀は26日午前10時半、さいたま市浦和区瀬ケ崎3の16の10のさがみ典礼北浦和葬斎センターで営まれる。喪主は元全日本民医連会長の長男泰(ゆたか)さん。

 軍医として広島陸軍病院在勤中の1945年8月6日に被爆し、直後から被災者救護にあたった。戦後、東京や埼玉で低所得者向けの診療所を開設し被爆者を診察。30年にわたって日本被団協原爆被爆者中央相談所(既に解散)の理事長を務め、全国の被爆者への医療相談に取り組んだ。医師の立場から原爆被害の実態を伝えるため、欧米など海外約30カ国も訪問。各国の反核団体と連携して核兵器廃絶を訴えた。

 2000年代の原爆症認定集団訴訟では証人として出廷し、長年の臨床経験と海外の文献研究を基に証言。原爆投下後に広島・長崎に入った「入市被爆者」が、飛散した放射性物質を呼吸や飲食で体内に摂取し、「内部被ばく」を起こしてがんなどの原因になったと訴えた。国の認定手法の問題点を突き、原告勝訴の判決を引き出す力になった。

 09年に医療の第一線から退いた後も、各地で精力的に講演活動を展開。毎日新聞が06年から続けている記録報道「ヒバクシャ」でも反核や平和への思いを語っていた。

 百歳での大往生。

 その長寿を天が肥田さんに与えたのは、原爆の悲惨さ、内部被曝の実態を世に知らしめるという仕事をしてもらうためではなかっただろうか。

 肥田さんは、まさに、「被爆」と「被曝」の恐怖を伝えてきた“語り部”と言えるだろう。

e0337777_14221789.jpg

肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』

 肥田舜太郎さんと鎌仲ひとみさんの共著『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』から、あらためて引用したい。

 本書は2005年に刊行されたものだが、私は3.11の後で読み、何度か拙ブログで紹介している。

 肥田さんが執筆担当の「第2章 爆心地からもういちど考える」より。

 ここでは被曝から60年後の時点での状況が書かれているが、さて、どれほど事態は改善されているのか、大いに疑問だ。

 引用文の最期の部分で、肥田さんは、国の対応を「差別」と糾弾する。
2000年代の被ばく者 
 中級の建設会社の社長で根っからの酒好き、じっとしていることが嫌いでいつも忙しく何か活動しているという友人がいる。定年で会社を退いてから町内会の役員を引き受けて、祭りの準備から消毒の世話まで目まぐるしく動きまわっているうちに、健康診断で血小板減少を指摘された。
 気になることがあって無理やり精密検査をすすめたところ、骨髄異型性症候群という厄介な病気のあることが分かった。専門学校時代、原爆投下の広島に何日かたって入市したと聞いたことを思い出し、確かめたところ1945年の8月9日に五人の級友と海軍のトラックで広島に入市し、海田市からは徒歩で千田町の県立広島工業学校まで行き、誰もいない崩れた校舎に入って散乱している機械器具を片付けたり防水布を掛けたり、三時間くらい作業をした。近辺は学校ばかりが集まっている地域で人は一人も見かけず、日が暮れたので呉へ帰ったという。
 彼らは1944年秋から呉の海軍施設に勤労動員で派遣されていたのである。明らかに入市被ばく者なので、早速、被ばく者健康手帳交付の申請を勧めたが、億劫なのか、なかなか手続きをしないでいるうち、今度は大腸癌が見つかって入院手術となり、観念して手帳を申請、証人の依頼に手間取って、数カ月かかってやっと広島の被ばく者と認められた。
 現在、血色素の一定数を目安に輸血を繰り返しているが治癒の見込みはなかなかむずかしい。厚生大臣の認める認定患者認定を申請したが四月末、永眠した。

被ばく者の六十年 
 2005年の今年、生き残っている約二十七万人の被ばく者の多くは二つ、三つの病気を持ちながら、様々な不安や悩みを抱えて生き続けている。
 彼らの多くは被ばくの前は病気を知らず、健康優良児として表彰までされたのが、被ばく後はからだがすっかり変わり、病気がちで思うように働けず、少し動くとからだがだるくて根気が続かずに仕事を休みがちになった。医師に相談していろいろ検査を受けても、どこも異常がないと診断され、当時、よく使われたぶらぶら病の状態が続き、仲間や家族からは怠け者というレッテルを貼られたつらい記憶を持つものが少なくない。事実、「からだがこんなになったのは原爆のせい」とひそかに思いながら被ばく事実を隠し続け、誰からも理解されずに社会の底辺で不本意な人生を歩いた被ばく者を私は何人も診ている。

占領米軍による被ばく者の敵視と差別 
 被ばく者は敗戦直後から米占領軍総司令官の命令で広島・長崎で見、聞き、体験した被ばくの実相を語ること、書くことの一切を禁止された。違反者を取り締まるため、日本の警察に言動を監視された経験のある被ばく者は少なくない。また、1956年に日本核団協(各都道府県にある被ばく者の団体の協議会)が結成された前後は、被ばく者は反米活動の危険があるとして警戒され、各地で監視体制が強められた。1957年、埼玉県で被ばく者の会を結成した小笹寿会長の回顧録のなかに、当時の執拗な埼玉県警の干渉があったことを書き残している。私自身も1950年から数年間、東京の杉並区でひそかに広島の被ばく体験を語り歩いたとき、米軍憲兵のしつこい監視と威嚇を受けた覚えがある。

日本政府による差別 
 敗戦後、辛うじて死を免れた被ばく者は家族、住居、財産、仕事の全てを失った絶望的な状態のなかから廃墟に掘っ立て小屋を建てて生き延びる努力をはじめた。故郷のある者は故郷に、ない者は遠縁や知人を頼って全国へ散って行った。被ばく地に残った者にも、去った者にも餓死寸前の過酷な日々が続いた。政府は1957年に医療法を制定し、被ばく者健康手帳を交付するまでの十二年間、被ばく者に何の援護もせず、地獄のなかに放置した。
 なお、被ばく者手帳を発行して被ばく者を登録したとき、政府は被ばく者を①爆心地近くの直下で被ばくした者、②爆発後二週間以内に入市した者および所定の区域外の遠距離で被ばくした者、③多数の被ばく者を治療・介護した者、④当時、上記の被ばく者の胎内にあった者に区分して被ばく者のなかに差別を持ち込んだ。

 肥田さんの指摘するごとく、これは「差別」である。

 戦後70年経っても、被爆者の苦しみは終わっていない。
 
 永田町や霞が関は、「新たな被爆者」を増やそうとはしないし、内部被曝の脅威を正しく評価しようとしない。

 年間20ミリシーベルトなどという基準を変えようとせず、自主避難する人々への支援を放棄しようとしていることに、肥田さんはどんな思いを抱いていたのだろうか。
 
 
 貴重な著作や記録、記憶を残してくれた肥田さんのご冥福を心よりお祈りする。

by koubeinokogoto | 2017-03-21 17:46 | 原発はいらない | Comments(0)
 朝日新聞の記事を引用する。
朝日新聞の該当記事

原発周辺、「故郷に戻らない」が大幅増
大月規義
2017年3月8日06時54分

 復興庁は7日、東京電力福島第一原発事故で避難指示を受けた世帯に対する今年度の意向調査を発表した。2014年度調査と比較可能な5町村で「故郷に戻らない」と答えた世帯が大幅に増加。原発に近いほど、故郷に帰らずに移住を決める世帯が増える傾向だ。

 16年度調査では、14年度調査に比べて「戻るかまだ判断がつかない」とした世帯が減り、「戻らない」が4~9ポイント増加した。原発が立地する双葉町で「戻らない」は62%(14年度は56%)だった。次いで原発に近い浪江町は53%(同48%)、富岡町58%(同49%)。原発から40キロ前後離れた飯舘村と川俣町では、「戻らない」がいずれも31%だった。14年度調査は飯舘が27%、川俣が23%だった。

 今回の調査対象ではないが、大熊町は15年度調査で64%(同58%)だった。

 一方、「戻りたい」とした世帯は14年度調査とほぼ同じ水準で、原発近辺の町では1割台。飯舘と川俣はそれぞれ34%と44%だった。また、すでに避難指示が解除された自治体の中には、川内村で41%が「元の家に住んでいる」と答えた。

 これは、妥当な住民の皆さんの判断の結果である。

 楢葉町の町長の無謀な発言を昨日の記事で紹介したが、国の出鱈目な基準で「帰れ」と言われても、とても帰れる場所ではないのだ。


 日本とチェルノブイリの避難地域の基準を並べてみる。
e0337865_13560427.jpg


 20ミリシーベルトを少し下回ったところで、チェルノブイリなら「強制避難地域」であるし、5ミリシーベルト以上なら、移住の「義務」がある。

 20ミリシーベルト未満なら安全、などという日本の基準は、まったく国民の生命をないがしろにするものである。

 日本の政府や官庁は、この六年何を学んだのだろうか。

 20ミリシーベルトなんて基準はありえない。

 事故から五年後に制定されたチェルノブイリ基準に照らして再考すべきだ。

by koubeinokogoto | 2017-03-08 21:57 | 原発はいらない | Comments(0)
 あれから6年が経とうとしている。

 問題が風化しつつあることの象徴が「年間20ミリシーベルト以下なら安全」という新たな「神話」づくりだろう。

 国の避難区域の設定は、次のようになっている。
 (1)50ミリシーベルトを超え、自由に立ち入りできない「帰還困難(きかんこんなん)区域」
 (2)20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下で、日中の出入りは自由にできるが宿泊はできない「居住制限区域」
 (3)20ミリシーベルト以下だがインフラの未整備などの理由で宿泊ができない「避難指示解除準備区域」

 (3)は、裏返すとインフラが整えば避難解除する、ということになる。
 そして、国はそのインフラ整備を、地元に押し付けようとしている。

 こんな出鱈目な基準を元に、もう戻れると国が言ったところで、危険性や生活基盤を考え、旧ふるさとへ帰るかどうか決めるのは、一人一人の人間であるべきだ。

 そんなまだ危険な場所に戻ることを強制するようなことを言っている主長がいる。
 楢葉町の町長だ。
 河北新報から引用する。
河北新報の該当記事

<避難解除>帰町しない職員 昇格させない
河北新報 3/7(火) 11:19配信


 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2015年9月に解除され、今春を「帰町目標」に掲げる福島県楢葉町の松本幸英町長が、町職員への対応で「帰町しない場合、昇格・昇給させないようにしたい」との趣旨の発言をしていたことが6日、分かった。
.
 町議会一般質問で松本清恵議員が「町民から(発言への)問い合わせがあった。職員も避難者。行き過ぎではないか」と指摘。松本町長は「オフィシャルな席で、ある意味、伝わるように話をした」と認めた。

 同議員によると、発言があったのは2月の町長の私的新年会。別の議員らによると、昨秋の庁議などでも同様の考えを示し、「辞めてもらっても構わない」とも話しているという。

 松本町長は答弁で(1)環境がある程度整い、帰町目標を掲げた(2)昨年11月の地震の際、職員がすぐに集まれなかった(3)町民から職員が戻っていないとの声がある-などと説明。「守るべき責任の重さがある。やり過ぎとの声はあろうと思うが、基本的考え方として行政執行に当たっている」と強調した。

 人事への影響について大和田賢司副町長は取材に「町に住まないと支障が出る職場もあり配置で考慮することもあり得るが、昇格も含め人事は適材適所で判断する」と説明した。

 町によると、本庁舎の職員約100人のうち帰町者は35人で、今月末には43人に増える見込み。町は職員が業務外扱いで、輪番で町内に宿泊している態勢を終えたい考えを示した。

 自治労県本部は「職員が町内に居住しないことが公共の福祉に反していると言えず、居住の自由は認められる。居住地を人事の評価対象にするのは問題がある」と指摘した。

 とんでもない町長だ。

 国が避難解除の基準としているのは、国際放射線防護委員会(ICRP)が、原発事故からの復旧期には年1〜20ミリシーベルトを「許容範囲」としていることに頼っている。
 これは、とんでもないことだ。
 1ミリシーベルトより少ない被曝量でさえ、内部被曝には危険性がある。

 2011年5月28日の記事は、これまで何度か引用してきた本『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』を元に書いたものだが、久しぶりにその内容を再度紹介したい。
2011年5月28日のブログ

e0337865_16391245.jpg

肥田舜太郎・鎌仲ひとみ著『内部被曝の脅威-原爆から劣化ウラン弾まで』
 
 20ミリどころか、1ミリシーベルトでも安全とは言えず、正解に近い答えは、「内部被曝は、ごく低線量の放射線でも危険性はある。放射能は浴びないにこしたことはない」ということになるのである。

 まるで、20ミリシーベルトが国民のコンセンサスも得ているようなメディアの論調だが、とんでもないことである。

 ちくま新書から2005年6月に初版が発行された本書は、ヒロシマで自らも軍医としてその日を迎え、その後、数多くの内部被曝患者の診療を経験した肥田舜太郎さんと、湾岸戦争で使用された劣化ウラン弾の内部被曝によるイラクの人々の被害を明らかにしたドキュメンタリー映画「ヒバクシャ」を制作した鎌仲ひとみさんの共著。内部被曝に関して数々の有益な情報を提供してくれる。「第4章 被ばくは私たちに何をもたらすか」からの引用。

 人類史上、最大の人体実験ともいわれる広島・長崎への原爆投下があっても、内部被曝そのものに関しては長い間、言及されることはなかった。近年、ようやく内部被曝の存在が注目され、国際放射線防護委員会(ICRP)の見解とヨーロッパの科学者グループ、欧州放射線リスク委員会(ECRR)が出した見解がはっきりと二つに分かれるようになった。前者は内部被曝も体外被曝と同様に許容量を定め、後者は内部被曝の許容量をゼロ以外は安全ではないとしている。
 たとえば、たった一粒のプルトニウムが体内に入った場合、ECRRは体内で放出されるアルファ放射線がその人間に癌を発症させる可能性は十分にある、というのだ。ちなみに、この一粒はたばこの煙の粒子の20分の1の大きさしかない。
 ヨーロッパの科学者グループであるECRRが2003年に公表した報告によると、1945年から89年までに放射線被ばくで亡くなった人の数は6160万人になる。ICRPのこれまでの計算では117万人ということになっている。ECRRは現行の国際放射線防護委員会が設定する一般人の許容限度、1ミリシーベルト/年を0,1ミリシーベルト/年以下に、労働者の限度も50ミリシーベルト/年から0.5ミリシーベルト/年に引き下げるべきだと主張している。もし、これが実現すれば、原発の労働者だけでも100倍の人員が必要になる計算だ。これによって増加する人件費が原子力産業にとって経済的に見合わないことは明白だろう。
 だからこそ、ICRPは「合理的に達成できる限り低く保つ」と許容限度を勧告しているのだ。


 “6160万人 対 117万人”の差は、あまりにも大きい。

 ECRRとICRPと、どちらの主張を信じるかは人それぞれだろうが、もちろん私はECRRに軍配を上げる。

 3.11以降、市民や企業で、子どもから放射能を守ろうとして地道に活動を続けている組織がある。
 その中の一つが「ほうきネット」だ。
 サイトから、引用する。
ほうきネットについて

放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク(通称:ほうきネット)は、原発事故で放出された放射性物質による被ばくから子どもたちや若い世代の健康を守ること及び放射能から子どもを守るために脱原発に取り組むことに賛同・協力する企業と市民のネットワークです。

【活動内容】

1.医療支援と被ばく軽減の支援

●検診の拡充
・福島県外の放射能汚染地(年1ミリシーベルト以上の汚染地)でも、事故当時19歳以上の人も、甲状腺検査の実施。
・移動検診のためのポータブルエコー(超音波診断装置)の購入。検診を受けやすいように医師がエコーを持って動きます。

●被ばくを減らす活動
・保養の拡充(現在、夏休みや春休みに全国で行われている取り組みですが、多くの団体が資金不足に苦しんでいます)
・子ども留学・疎開(家族みんなで避難はできない、子どもだけでも避難させたい方を対象に) まつもと子ども留学など。
・移住のサポート(移住を希望される方のサポート)。

●子どもたちを放射能から守るために重要な情報の収集と発信

・マスコミの問題でもありますが、重要な情報が一般に知られていないことが多いので、メディアの役割も担っていきます。

・独立系メディアの支援。

2.企業と市民のネットワークで基金を創設

上記活動が拡充していくために多額の資金が必要です。少しでも多くの企業や市民の方々が参加する基金の創設を目指していきます。

その他、必要な支援を行っていきます。

 その「ほうきネット」では、福島における、今もそこにある被害について報告している。

 「ほうきネット」の該当ページ


 この記事でも紹介されている内容で、国連人権理事会で健康問題を担当する弁護士のアナンド・グローバーの指摘を掲載した毎日新聞の記事を引用する。

 報告書は、県民健康管理調査で子供の甲状腺検査以外に内部被ばく検査をしていない点を問題視。白血病などの発症も想定して尿検査や血液検査を実施するよう求めた。甲状腺検査についても、画像データやリポートを保護者に渡さず、煩雑な情報開示請求を要求している現状を改めるよう求めている。また、一般住民の被ばく基準について、現在の法令が定める年間1ミリシーベルトの限度を守り、それ以上の被ばくをする可能性がある地域では住民の健康調査をするよう政府に要求。国が年間20ミリシーベルトを避難基準としている点に触れ、「人権に基づき1ミリシーベルト以下に抑えるべきだ」と指摘した。


 本来この20ミリシーベルト基準を問題にすべきなのだ。

 チェルノブイリ事故から五年後1991年に、ソ連(正確にはロシア・ウクライナ・ベラルーシ)で設定された避難基準には2段階あって、一つは公衆被曝の1mSv/年を超えると「移住権利」が発生する。もう一つ5mSv/年を超える場合、「移住義務」になる。

 20ミリシーベルトで安全、などという基準は、チェルノブイリから何も学んでいない、ということだ。

 南相馬では、この基準を撤回すべく訴訟を起こしている人々がいる。
「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会」のサイト

 六年の月日の中で風化しつつある20ミリシーベルトの問題は、もっともっと論議されて然るべきだ。

 あれから六年経っても、福島原発事故から日本は復興などしていないし、事態は決して好転していない。

 国家や市町村が、内部被曝の危険性のある場所に人々を戻そうとしている。

 とんでもない暴挙だ。



by koubeinokogoto | 2017-03-07 21:31 | 原発はいらない | Comments(0)
 22日の朝の震度5弱以降、福島沖を震源とする地震が続いている。

 そして、22日の地震の影響で、福島第2で、核燃料プールの冷却ポンプが、一時停止した。
 日経から引用。
日本経済新聞の該当記事

福島第2、燃料プールの冷却1時間半停止
地震で水面揺れる

2016/11/22 11:04

 22日早朝に福島県などで起きた地震で、午前6時10分ごろ、東京電力福島第2原子力発電所3号機の使用済み核燃料プールを冷却するためのポンプが自動停止した。東電の増田尚宏・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は東京都内で記者会見し「地震でプールの水が揺れた結果、水位が低下したと水位計が検知してポンプが止まった」との認識を示した。

 使用済み核燃料プールは水位低下などの異常を検知すると、自動的に冷却を停止する仕組みになっている。タンクや配管が破損して水漏れが生じるなど、冷却システムに異常が発生している可能性があるためだ。

 同7時47分には冷却を再開。核燃料の異常や水漏れなどは確認されていない。東電は冷却水を送る配管に異常がないかを確認した結果、冷却再開に約1時間半かかったと説明している。

 3号機のプールには2544体の核燃料が保管されている。冷却が停止した時の水温は29.3度で、ポンプの停止により一時は29.5度まで上昇した。運転管理上の制限値は65度だった。

 また福島第2原発では放射性物質を含む空気中のちりを観測する装置が1台停止したが、午前10時10分に復旧した。6時半すぎには福島第1原発と第2原発で高さ約1メートルの津波を観測したが、安全上の問題や作業員の被害は確認されていない。

 私は、「冷却停止」のニュースを最初に目にして、正直、冷汗をかいた。

 万が一・・・・・・。

 結果として冷却は再開したが、果たして、日本のメディア関係者のどれほどの人が、私のように冷汗をかいただろうか。


 この件に関して、東電およびその下請け業者の人たちが手を抜いていたとは思わない。

 しかし、こうした天災と人災の掛け合わせによる事故が、いつ起こっても不思議はない。

 原発とは、そういうものなのだ。

 原発という超巨大で危険なシステムは、人類の管理の範囲を超えているのであって、安倍晋三がオリンピック招致のために使った「Under Control」という言葉は、根本からウソなのである。

 もし、「管理下」にあるなら、想定できる地震で、なぜ今回のようなことが起こるのか、ぜひ説明して欲しい。


 少し古いが、2011年8月18日の記事と重複するが、再度、使用済み核燃料の問題、そして廃炉に関わる内容を、ある本からの引用を中心に紹介したい。
2011年8月18日のブログ

e0337865_16392803.jpg
石橋克彦編『原発を終わらせる』

 2011年7月20日発行の『原発を終わらせる』(石橋克彦編、岩浪新書)からの引用。

 目次を紹介。
--------------------------------------------
はじめに            石橋克彦
Ⅰ 福島第一原発事故
 1 原発で何が起きたのか  田中三彦
 2 事故はいつまで続くのか 後藤政志
 3 福島原発避難民を訪ねて 鎌田 遵
   
Ⅱ 原発の何が問題か-科学・技術的側面から-
 1 原発は不完全な技術     上澤千尋
 2 原発は先の見えない技術   井野博満
 3 原発事故の災害規模     今中哲二
 4 地震列島の原発       石橋克彦
   
Ⅲ 原発の何が問題か-社会的側面から-
 1 原子力安全規制を麻痺させた安全神話 吉岡 斉
 2 原発依存の地域社会        伊藤久雄
 3 原子力発電と兵器転用
   —増え続けるプルトニウムのゆくえ  田窪雅文

Ⅳ 原発をどう終わらせるか
 1 エネルギーシフトの戦略
   —原子力でもなく、火力でもなく    飯田哲也
 2 原発立地自治体の自立と再生    清水修二
 3 経済・産業構造をどう変えるか    諸富 徹
 4 原発のない新しい時代に踏みだそう 山口幸夫
--------------------------------------------

 “トリ”の山口幸夫“原発のない新しい時代に踏みだそう”から引用。
 小泉純一郎元首相も観た、ある映画のことが紹介されている。

10万年後の不安
 「オンカロ」(ONKALO)という聞きなれない言葉がある。フィンランドにつくられつつある地下岩盤特性調査施設のことだが、「隠された場所」という意味があるらしい。オンカロは首都ヘルシンキの北西250キロ、バルト海のボスニア湾沿岸に近いオルキルキト島にある。世界でただ一つの放射性廃棄物の地下処分場の予定地だ。工事は2004年に始まった。地下520メートルまで掘る計画で、2011年4月現在、440メートルに達した。操業開始は2020年、100年後の2120年まで使用する予定だ。その後、厳重に封鎖される。10万年後までの安全を見込んでいるという。
 明日のことも分からぬは人の世の常である。しかし、放射能は違う。放射能の半減期は放射性の核種に固有の値であり、その核種の放射能の量が半分になるまでの時間のことである。放射能は、時間とともに指数関数的に減ってはいくが、消え去ることはない。半減期の20倍の時間を、放射能の影響が実質的になくなる一応の目安にしてみよう。もちろん、放射能の量は放射性物質の総量によるので、それをもって、安全になるまでの時間とみなすわけにはいかない。ここでは、半減期の20倍を「待ち時間」と呼んでおこう。一半減期ごとに二分の一になるので、半減期の20倍の時間が過ぎると、1/2x1/2x・・・1/2と20回かけあわせて、放射能の量は、およそ100万分の1になる。
 福島第一原発から大量に放出されたヨウ素131の半減期は8.04日なので、その20倍は160日、およそ半年の「待ち時間」だ。セシウム137は、半減期30.1年の20倍の600年、プルトニウム239ならば、その半減期は2万4100年だから、ざっと50万年を待たなければならない。
 原発を運転すると、燃料のウランから、長短さまざまの半減期を持つ放射性物質がたくさんできてしまう。この後始末がじつに厄介なのである。原発で使い終わった燃料の中の放射能の害を無視してもよい状態になるまで、きちんと保管・管理しておかなければならない。ヨーロッパでは、この「待ち時間」を10万年とみなしているいる。オンカロはこの目的のためにつくられつつある。

絶対に触れないでください
 2009年に制作された国際共同ドキュメンタリー作品『100,000年後の安全』を見た。原題は、「Into Eternity」である。「永遠の中へ」という意味だろう。オルキルオト島の十八億年前に形成されたという頑丈な地層の中に、一大近代都市に似た、しかし殺伐とした地下構造物が建設されている現場が映し出される。地上では、雪の降り積もった針葉樹林の中をゆったりと歩むヘラジカが姿をみせる。絵に描いたような北欧の世界だ。まさか、その地下に、危険このうえもない放射性廃棄物が閉じ込められているとは、まさに「隠された場所」(オンカロ)である。10万年後までの安全を確保するというが、その頃、人類は存在しているにだろうか。仮に、人類が存在したとしても、標識に書かれた警告の言葉は通じるだろうか。ひょっとして、そのころの誰かが、ここを発掘するかもしれない。
 監督のマイケル・マドセンは、「未来のみなさんへ」と題するメッセージで映像をしめくくっている。

 未来のみなさんへ

ここは21世紀に処分された放射性廃棄物の埋蔵場所です。
決して入らないでください。
あなたを守るため、地中奥深くに埋めました。
放射性物質は大変危険です。透明で、においもありません。
絶対に触れないでください。
地上に戻って、我々より良い世界を作ってください。
幸運を。


 もはや、言うまでもないだろう。「10万年後」にも不安を抱かざるを得ない原発が必要か否かは。

 ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマを経ても原発に明確なノーと言えない国の国民であることが、なんともやるせない。

 “隠された場所 オンカロ”に、全世界の放射性廃棄物を収容する能力などはない。もちろん、オンカロに閉じ込められた廃棄物が10万年に渡って安全であるかも、今日の人類には知りえることではない。当座の問題の時間稼ぎをしているにすぎない。

 原発が稼動している間、日々放射性廃棄物は増える一方である。海外にまで原発を売り込もうとしている人間には、事故への対策という問題とともに、「放射性廃棄物をどうするのか?」という疑問に対し、明確に答えてもらわなければならない。「時間が解決する」などと答える政治家こそ、10万年間地下に隠れていてもらいたいものだ。

 地震列島日本では、常に、原発事故という当座の問題を危惧しなければならない。

 そして、核燃料廃棄物への危惧は、10万年後、いや永遠に消えない。

 福島第2の冷却ポンプ停止は、あらためて「今そこにある危機」を思い出させてくれた、ともいえる。

 しかし、当座の危機を逃れるために、電力も人の労力もかけて冷やし続ける作業を続けなければならない。そして、その先には、何が待っているのか。

 40年以上稼働している「老朽化」原発まで、この国の為政者は動かそうとしている。

 かつて「経年化」という言い換えで誤魔化してきたように、政府は国民を誤魔化そうとしている。

 思い出そうじゃないか、オンカロのことを。

 核燃料廃棄物は、とても「Under Control」な対象ではない。

 しかし、メディアも、5年半前に味わった危機感を、失ってきた。

 ぜひ、今回の冷却ポンプ停止で、冷汗を書いたメディアの人が多いことを祈っている。

by koubeinokogoto | 2016-11-24 22:20 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛