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幸兵衛の小言

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安倍がエネルギー基本計画の閣議決定を延ばし、「慎重な議論を」などと言っているが、そんなミエミエのポーズに騙されてはいけない。

 同計画で原発を「重要なベース電源」と明記していることを受けて、東電の再建計画(総合特別事業計画)は、税金のさらなる投入や、原発再稼動を前提にした、とんでもない内容になっている。

 この問題、朝日や毎日はあくまで計画の内容を掲載しているにすぎず、読売は原発再稼動を促す社説を出している。

 ここ最近は、東京新聞のみ、奮闘している印象がある。その東京新聞の記事の方から先に引用。(太字は管理人による) 東京新聞サイトの該当記事

東電再建 税金なし崩し 除染負担軽減で刈羽再稼働 
2014年1月16日 07時04分

 茂木敏充(もてぎとしみつ)経済産業相は十五日、東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。福島第一原発事故に伴う除染関連費を国費で賄うなど東電の負担を軽くした上で、柏崎刈羽原発(新潟県)を七月から再稼働、利益を出し被災者への賠償資金を工面するとの内容。東電の経営陣や株主らの責任は問わず、なし崩し的に税金を投入する計画への批判が高まりそうだ。

無駄な税金投入や原発再稼動、東京電力」の再建計画は、許されない!_e0337865_16400378.jpg


 計画では、政府が原子力損害賠償支援機構を通じて貸し付けるお金の上限を現在の五兆円から九兆円へ拡大東電は返済に二〇一二年に値上げした電気料金などを充てる。さらに除染の際に出る残土を一時的に保管する中間貯蔵施設の整備を急ぐため、国が建設・運営費に一兆一千億円を負担。除染費用の一部の二兆五千億円を、政府が保有する東電株の売却で賄うことも明記した。これらにより東電の負担は軽減される。

 柏崎刈羽原発の1、5、6、7号機を稼働し高コストの火力発電を減らす方針も示した。しかし東京都知事選で「脱原発」の争点化が予想される上、新潟県の泉田裕彦(いずみだひろひこ)知事も再稼働には慎重で、経営の再建が計画通りに進むかは微妙。一方で、計画には柏崎刈羽原発の稼働が遅れた場合、今年秋にも家庭と法人向けを合わせ平均で最大10%の電気料金値上げが必要になるとも明記した。

 このほか予想を上回るコスト削減を達成した場合は、利益の一部を社員の年収アップにつなげる仕組みを導入することも盛り込んだ。福島第一原発事故前に六百五十三万円だった社員の平均年収は管理職で30%、一般職員で20%カットしているが、一六年度には全社員の年収を5%カットの水準に戻す青写真を描く。

 政府は原子力損害賠償支援機構を通じて一二年に一兆円の公的資金を投入し東電株を取得。今回の計画では株価が上がった場合、政府は保有する東電株を順次売却。議決権比率を現在の50・1%から段階的に下げ、経営の自由度を高める方針も盛り込んだ。(東京新聞)



 “柏崎刈羽原発の稼働が遅れた場合、今年秋にも家庭と法人向けを合わせ平均で最大10%の電気料金値上げが必要になるとも明記” するなど、これは国民への脅し以外のなにものでもない。

 次に同じ東京新聞の社説。 東京新聞の1月16日の社説

東電再建計画 原発頼みは筋が通らぬ
2014年1月16日

 政府が認定した東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)は国の支援を強化し、東電の事故負担の軽減を図って再建を確かにする狙いがにじむ。フクシマの反省や教訓はどこへいったのか

 いわば国と東電が二人三脚で作った再建計画である。エネルギー基本計画で原発を「重要なベース電源」と位置付ける政府と当事者である東電の合作では、なし崩し的に原発再稼働が盛り込まれるのは予想できた。だが、過酷事故を忘れてしまったかのような、あまりに無神経な計画の内容ではないか。

 再建計画では、被災者への損害賠償は従来通りに東電が支払うが、電力会社が除染など事故処理の費用をすべて負担する枠組みを見直し、国と東電の役割分担を明確化した。除染のうち、実施・計画済みの費用は国が保有する東電株の売却益を充て、東電の負担を軽くする。

 確かに、一企業では背負いきれない巨額費用を東電に押しつけるだけでは事故収束が進まないおそれがある。国も原発を国策として推進してきた以上、国費の投入はやむを得ないとの声はある。

 しかし、国費投入とは、原発と全く関わり合いがない沖縄県民も含め、国民負担が何兆円も生じることである。東電への融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主の負担を求めるのが本来の筋である。原発を推進した経済産業省などの関係者が誰一人として責任を問われていないのもおかしい。

 再建計画では、東電の収益体質の強化も柱の一つとしている。燃料調達の改善や海外投資などの改革も描くものの、切り札は相変わらず原発である。今年七月以降、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を順次目指すとした。

 福島原発の汚染水問題すら収束せず、今なお十五万以上の人に避難を強いていながら、収益優先で原発に固執する姿勢は到底理解を得られまい。

 汚染水の貯蔵タンクで溶接費を節約したばかりに大量流出を招いたように、東電がこのまま収益重視の経営を続ければ、安全対策はおろそかになろう。再稼働の議論より先に、フクシマの検証と総括もやはり必要だ。

 二〇一六年度からの電力小売り自由化をにらめば、ガス販売や原発に代わる新エネルギー事業へシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念、国の支援もそこに力点を置く。それが福島事故を経験した東電の生き残る道ではないか。


 最期の部分を、赤字で再度強調したい。

“ガス販売や原発に代わる新エネルギー事業へシフトし、原発は再稼働より廃炉に専念、国の支援もそこに力点を置く。それが福島事故を経験した東電の生き残る道” という主張はまったくその通りである。

  東電はフクシマの事故対応に真剣に取組むことと、他の原発の廃炉のために専念すべきである。もし、それができる体制にないのであれば、すみやかに会社を整理し、営利企業ではない事故処理と廃炉計画を進める国の直轄組織に編成し直すべきだろう。

 原発以外の電力業務を担う組織体と切り離さない限り、安全の論理ではなく経営の論理にしばられ、原発再稼動、さもなくば値上げ、などという悪魔のサイクルにつながるのである。

 東電を現在の延長戦上で“再建”しようとすることに、無理がある。

 税金を湯水のように投入して名目上の利益が出るようにしたところで何ら問題は解決しない。

 原料費の低減にしても、他の国のように国がまとめて価格交渉を行うなどのリーダーシップが必要である。

 以前に下記の中日新聞の記事を紹介したが、燃料費の高値買いは、国の怠慢がもたらしてきたようなものである。(中日のサイトの該当記事は、すでにリンク切れになっている)
2012年3月20日のブログ

電気値上げ 燃料高値買いは背信だ

 火力発電の主力燃料、液化天然ガス(LNG)を世界一の高値で買えば電気料金も自(おの)ずと高くなる。唯々諾々と産ガス国の言い値に従い、消費者にツケを回す電力業界の構造は限りなく背信に映る。

 東京電力は企業向け料金の値上げ発表に続き、家庭向けも国に値上げ申請する。原発が失った発電能力を火力で補っているため、燃料費が年八千億円以上増え赤字経営に陥るからだという。

 日本が保有する原発は計五十四基。福島以外の原発も周辺自治体の反対などで定期検査終了後も再稼働できず、今や動いているのはわずか二基だ。

 その結果、日本の総発電量に占める原発の割合は著しく低下し、火力発電は49%から72%へと膨らんだ。東電以外も遅かれ早かれ料金を引き上げるのだろうが、値上げ理由をうのみにはできない。

 火力発電にはLNGや石炭、石油が使われ、LNGが四分の三を占めるが、そのLNG調達には不可解な点があまりに多い。輸入LNGの六割は電力向けで、昨年十二月の購入価格は百万Btu(英国熱量単位)当たり約十六ドル。ところが、欧州は約十ドルで輸入し、米国は自国の地中に堆積した頁岩(けつがん)層からのシェールガス生産が始まり、三ドル前後と極めて安い。

 ドイツはパイプラインで輸入するロシア産と、LNGで輸入するカタール産などを競わせて値引きを迫れるが、日本には産ガス国との間を結ぶパイプラインがない。

 電力業界は高値の理由をこう説明しているが、同じ条件下の韓国は日本企業が投資したロシアのサハリン2から日本の半値以下で輸入し、三年後にはガス輸出国に転じる米国とも安値で契約済みだ。なぜ電力業界は、のほほんと大手を振っていられるのか。主たる理由は原燃料費調整制度の存在だ。

 産ガス国が値上げしても、為替変動で輸入価格が上昇しても、上がった分を電気料金に自動的に上乗せできる制度なので、過保護を見抜かれた電力業界は産ガス国の言い値で押し切られてしまう。

 産業界からの批判を避けるため、大口企業と割引契約を結んでいるともいわれている。中小・零細企業や家庭など、力の弱い需要家ばかりにツケを回し、声の大きい企業は割引で黙らせる。

 こんなあしき構造を許しては原燃料費調整制度を続ける政府も背信のそしりを免れない。円高を活用した海外ガス田の権益獲得など燃料調達も視野に入れた料金制度のゼロからの見直しを求める。


 電力会社を保護する原燃料費調整制度を放置しておいて、燃料費削減というスローガンのみ唱えてみても片手落ちである。総括原価方式だって野放しだ。原子力ムラを擁護する制度はそのままで、東電の見かけの利益づくりのために我々国民の血税を投入しようとするのが、安倍政権なのである。

 原発再稼動、さもなくば値上げ、という発想は、その他の国家努力を放棄しているに過ぎない。

 エネルギー基本計画についてもっと議論を深めるのであれば、その計画を是としての東電の再建計画は、少なくとも基本計画の後に立案されるべきであろう。

 安倍政権が進めようとしていることは、3.11とフクシマの経験にまったく学ぼうとしない暴挙である。

 まずは、都知事選で、国民の「ノーモア原発」の声を高らかに叫ぶことが直近の課題であろう。東京都の有権者の皆さん、よろしくお願いします!
# by koubeinokogoto | 2014-01-16 18:22 | 原発はいらない | Comments(2)
東京都知事選、自民党は原発は争点にならない、と宣伝活動を繰り広げるが、とんでもないことである。

 東京都民ではないが、細川候補を支持する。
 
 この件について、まず最初に、落語ブログ仲間の佐平次さんのブログを読んでいただきたい。
佐平次さんのブログ「梟通信」の該当記事


 福島の原発は主に首都圏の電力を供給するために存在したわけで、東京都の首長としてエネルギー問題は、避けて通れない重大テーマである。

 ましてや、東京に限らず、この国のエネルギー計画について、電力の大量消費地である東京都の首長は、無関心でいられるはずがなかろう。

 政府がそのエネルギー基本計画において、原発を復活させようとしていることについては、先日書いた。2014年1月9日のブログ

 大新聞は年明けからは、この問題をほとんど取り上げないが、11日付けの北海道新聞の社説には、結構しっかりとした主張があった。「北海道新聞」サイトの該当社説

理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな(1月11日)

 将来像も理念も十分な検証も欠いたまま、エネルギー政策が東京電力福島第1原発事故以前の状態に引き戻されようとしている。

 原発を重要なベース電源と位置付けたエネルギー基本計画案、福島第1原発事故による避難住民の全員帰還を断念する復興加速指針、事故対策への国費投入を拡大する東電の新再建計画。

 政府は昨年末、議論を尽くすことなく、これらの重要な政策を矢継ぎ早に打ち出した。

 年が明け、新たな規制基準で原発再稼働を判断する原子力規制委員会の審査が始まってから半年が経過した。早ければ今春にも最初の審査結果がまとまる見通しだ。

 エネルギー基本計画案は原発依存度を可能な限り低減させるとしながら、将来の電源構成比率を示していない。時間を稼いで再稼働の既成事実を積み重ね、その結果を追認させようとする意図は明らかだ。

 これが原子炉3基の炉心溶融という大惨事を引き起こした国の政策だろうか。事故の反省も再生可能エネルギーを育てる意欲も見えない。なし崩しに原発回帰を図るようなやり方は断じて認められない。


◆サイクル堅持する愚◆

 日本原燃は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委に審査を申請した。

 工場は20回も完成延期を繰り返し、本格操業のめどは立たない。

 それでも申請に踏み切ったのは、「核燃料サイクルの推進」を盛り込んだエネルギー基本計画案に力を得てのことだろう。

 長期にわたって巨額の費用を投じながら、展望が全く開けない国家プロジェクトの事例の中でも、核燃サイクルは最悪の見本だ。

仮に再処理工場が稼働しても、プルトニウムを燃やす高速増殖炉が実用化される見込みはない。

 プルトニウムを通常の原子炉で使用するプルサーマル計画は安全性に疑問があり、コストも高い。

 日本は既に、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを国内外に44トンも抱えている。さらに増え続ければ、核不拡散の見地から国際的な批判を招くだけだ。

 核燃サイクルが破綻した現実に目をつむり、ひたすら延命を図る厚かましさには驚くほかない。


 青森県など関係自治体と代替策を話し合い、サイクル撤退の道を追求することこそ政治の役割だ。

◆問題多すぎる再稼働◆

 再稼働に向けた安全審査は、北海道電力泊原発を含む9原発16基について行われている。電力各社の地震や津波の想定には甘さが目立ち、安全対策への熱意がうかがえない。
 北電も原子力規制委の指摘を受け、最大津波の高さをはじめ火山噴火や竜巻被害の想定などで修正を繰り返してきた。敷地内や海底の活断層の疑いも依然残されている。

 規制委は政治的圧力や経済性に左右されぬ原則を貫き、厳格な審査に徹しなければならない。

 周辺自治体の住民避難計画作りも遅れている。泊原発から30キロ圏内の13町村は本年度内に作成する予定だが、問題はその中身だ。

 計画の基礎となる防災指針自体が急ごしらえで、規制委によってさみだれ式に追加修正された。計画はあっても、渋滞対策など詰めるべき課題が多い。訓練も不足しており、現状では実効性が疑わしい。

 政府は再稼働の問題を規制委に、避難計画を自治体にそれぞれ丸投げし、成り行きまかせの状況を静観している。無責任な態度と言わざるを得ない。

 少なくとも「原発依存度を下げる」と言うのであれば、全原発が停止している今こそ、その展望と電源多様化の具体策を示すべきだ。

 福島の事故後、国内の原発はほとんど稼働していない。政治の意思と目標が明確になれば、多くの国民は新たな挑戦に踏み出す用意がある。

◆脱原発の見取り図を◆

 跳ね上がる安全対策費、立地対策を含む社会的コストなどを考えれば、原発は割安な電源ではない。あてのない放射性廃棄物処分、福島の事故の賠償、除染、廃炉の費用も際限なく膨らむだろう。

 復興加速指針は、政府が福島の一部地域について原状回復を事実上放棄することを意味する。

 放射能汚染によって故郷が失われ、人が住めなくなってしまうような事態をコストに換算することなど、そもそも不可能なのだ。

 一昨年、民主党政権に「原発ゼロ目標」を掲げさせた脱原発を求める民意は、決して揺らいでいない。

 将来のエネルギーの選択は結局、どのような社会に暮らしたいかという根本的な問題につながる。

 途方もない危険と巨額で無意味な負担を先送りしない見取り図を描き、真剣に到達の道筋を考える時だ。

 そのために国民が議論する機会さえ封じておいて、脱原発の目標をあっさり否定するのは、民意軽視も甚だしい。




 このままでは「閣僚会議」という密室で、国民の声など無視して原発復活を根底とする基本計画が決まってしまう。

 三大紙のうち読売はもうアテにならないが、朝日、毎日はもっと訴えるべきだろう。


 「3.11」と「フクシマ」を経験したとは思えない安倍政権の愚行を、いかに喰い止めるか・・・・・・。


 私が、原子力資料情報室をつくった高木仁三郎さんのことを最初に書いたのは、2011年3月26日である。
2011年3月26日のブログ

東京都知事選、原発が争点にならないはずがない!_e0337865_16400348.jpg

高木仁三郎著『プルトニウムの恐怖』

 その時の記事の最後に、『プルトニウムの恐怖』から、「第四章 核文明のジレンマ」の冒頭にある、次の引用文を紹介した。

「核エネルギーは、一連の決め手の装置がうまく動作し、かなめの位置にいる人々が完全に指示を守り、サボタージュもなく、輸送中のハイジャックもなく・・・・・・、革命も戦争もない場合に限って安全といえる。
 <神の行為>は許されない。」
-H.アルフヴェン(電磁流体力学に関する業績で知られるスウェーデンの物理学者)
(注 「神の行為」とは、天災など不可抗力のできごとのこと) 




 原発を稼動させることが

 ・自然界に存在しなかった放射性物質を使い廃棄物を出し続ける反自然的行為であること
 ・人間性を無視した現場の過酷な労働を必要としていること
 ・立地する地域の海を奪い、賛成と反対派に分かれて共同体が破壊されること
 ・稼動後に発生する放射能のゴミの処理方法が見出せないこと
 ・原発が人間の管理能力を超える超巨大システムであること
 ・再処理によって作られるプルトニウムはテロ被害の可能性があること
 ・なにより、地震など天災や不可抗力で甚大な被害があること

 などを、あらためて日本人は再認識し、原子力ムラによる国民を犠牲にした無謀な行動を阻止しなければならない。 

 大震災とフクシマを経た日本の国民の良識が試される機会が、次の東京都知事選である。

 私は都民ではない。しかし、都民の知り合いには、細川候補への投票を促したいし、このちっぽけなブログで私の思いが、一人でも多くの東京都の有権者の方に伝わることを祈っている。
# by koubeinokogoto | 2014-01-13 00:54 | 原発はいらない | Comments(4)
6日に「エネルギー基本計画」に関するパブリックコメントの受付が終了した。

 「エネルギー基本計画に対する意見」という資料が公開されており、「電子政府の総合窓口 e-Gov」のサイトから、この「意見」をダウンロードできる。これが、いわば「計画案」である。
「電子政府総合窓口 e-Gov」サイトの該当ページ

 この「意見」は「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」で作成されたもので、この分科会のメンバーの名は、資源エネルギー庁のサイトに掲載されている。
「資源エネルギー庁」サイトの該当ページ

これがメンバー一覧だ。

総合資源エネルギー調査会基本政策分科会

委員名簿

分科会長 三村 明夫 新日鐵住金(株)相談役
委員 秋元 圭吾 (公財)地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダー
植田 和弘 京都大学大学院経済学研究科教授・研究科長
柏木 孝夫 東京工業大学特命教授
橘川 武郎 一橋大学大学院商学研究科教授
崎田 裕子 ジャーナリスト・環境カウンセラー
       NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長
志賀 俊之 日産自動車(株)代表取締役最高執行責任者
辰巳 菊子 (公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問
寺島 実郎 (一財)日本総合研究所理事長
豊田 正和 (一財)日本エネルギー経済研究所理事長
中上 英俊 (株)住環境計画研究所代表取締役会長
西川 一誠 福井県知事
増田 寛也 野村総合研究所顧問、東京大学公共政策大学院客員教授
松村 敏弘 東京大学社会科学研究所教授
山名 元 京都大学原子炉実験所教授
(計 15名)



このメンバーの中で、“脱原発”を唱えているのは植田委員と辰巳委員の二名だけ。完全な少数派。

“原子力ムラ”から寄付を受けている山名元をはじめ原発推進派ばかりなのは、赤旗の記事の通り。「赤旗」サイトの該当記事

 山名元京都大原子炉実験所教授は、「原発利益共同体」の中核団体、「日本原子力産業協会」(原産協会)の地方組織である関西原子力懇談会や東北原子力懇談会などから2006~10年度に計615万円の寄付、いわゆる“原発マネー”を受け取っています。

 第1次安倍内閣で総務相を務めた増田寛也氏が顧問の野村総研は、原産協会の会員企業で、社外取締役には、東京電力の南直哉元社長が就任しています。

 秋元圭吾氏の出身母体、地球環境産業技術研究機構は、電気事業連合会、日本原子力発電、原発メーカーなどが出資企業に名前を連ねる公益財団法人。評議員長は関西経済連合会相談役の秋山喜久関西電力元会長です。



 安倍政権で堂々と“原子力ムラ”が復活し、3.11後の「エネルギー基本計画」策定に関与する委員に原発推進派ばかりが就任している。これが、今の日本の実態なのだ。

 だから、この「計画案」は、とんでもない内容になっている。ここから先は、引用が少し長くなるのでご了解のほどを。

「第2章 エネルギー政策の新たな視点」の「第2節 各エネルギー源の位置づけと政策の時間軸」から「1.一次エネルギー構造における各エネルギー源の位置付けと政策の基本的な方向」をすべて引用する。

第2節 各エネルギー源の位置付けと政策の時間軸

1.一次エネルギー構造における各エネルギー源の位置付けと政策の基本的な方向

我が国が、安定したエネルギー需給構造を確立するためには、エネルギー源ごとにサプライチェーン上の特徴を把握し、状況に応じて、各エネルギー源の強みが発揮され、弱みが補完されるよう、各エネルギー源の需給構造における位置付けを明確化し、政策的対応の方向を示すことが重要である。
“多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造”における各エネルギー源の位置付けと政策の方向性について、以下のように整理する。

(1)石油
①位置付け
国内需要は減少傾向にあるものの、現在、一次エネルギーの4割を占めており、幅広い燃料用途(運輸・民生・ピーク電源及び調整電源等)や素材用途(化学)があるという利点を持っている。特に運輸部門の依存は極めて大きく、調達に係る地政学的リスクは最も大きいものの、可搬性が高く、全国供給網も整い、備蓄も豊富なことから、他の喪失電源を代替するなどの役割を果たすことができ、今後とも活用していく重要なエネルギー源である。
②政策の方向性
供給源多角化、産油国協力、備蓄等の危機管理の強化や、原油の有効利用、運輸用燃料の多様化、調整電源としての石油火力の活用等を進めることが不可欠である。また、災害時には、エネルギー供給の「最後の砦」になるため、供給網の一層の強靭化を推進することに加え、内需減少とアジア全域での供給増強が同時に進む中、平時を含めた全国供給網を維持するため、石油産業の経営基盤の強化に向けた取組などが必要である。

(2)天然ガス
①位置付け
現在、電源の4割超を占め、熱源としての効率性が高いことから、利用が拡大している。海外からパイプラインを通じた輸入はないが、石油と比べて地政学的リスクも相対的に低く、化石燃料の中で温室効果ガスの排出も最も少ない。水素社会の基盤の一つとなっていく可能性もある。今後、シェール革命により競争的に価格が決定されるようになっていくことなどを通じて、各分野における天然ガスシフトが進行する見通しであることから、その役割を拡大していく重要なエネルギー源である。
②政策の方向性
我が国は、現時点では、国際的には高い価格でLNGを調達しており、電源としての過度な依存を避けつつ、供給源多角化などを進めてコストの低減を進めることが重要である。また、地球温暖化対策の観点からも、コージェネレーションなど利用形態の多様化により、産業分野などにおける天然ガスシフトを着実に促進し、コンバインドサイクル火力発電など天然ガスの高度利用を進めるとともに、有事における強靭性の向上などの体制整備を進める必要がある。

(3)石炭
①位置付け
温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが、地政学的リスクが化石燃料の中で最も低く、熱量当たりの単価も化石燃料の中で最も安いことから、優れたベース電源の燃料として重要性が再評価されており、環境負荷を低減(高効率火力発電技術の利用等)しつつ活用していくエネルギー源である。
②政策の方向性
老朽火力発電所のリプレースや新増設による利用可能な最新技術の導入を促進することに加え、発電効率を大きく向上することで発電量当たりの温室効果ガス排出量を抜本的に下げるための技術等の開発をさらに進める。こうした高効率化技術等を国内のみならず海外でも導入を推進していくことで、地球全体で環境負荷の低減と両立した形で利用していく必要がある。

(4)LPガス
①位置付け
中東依存度が高く脆弱な供給構造であったが、北米シェール随伴の安価なLPガスの購入などが進んでおり、地政学的リスクが小さくなる方向にある。化石燃料の中で温室効果ガスの排出が比較的低く、最終需要者への供給体制及び備蓄制度が整備され、可搬性、貯蔵の容易性に利点があることから、平時の国民生活、産業活動を支えるとともに、有事にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源である。
②政策の方向性
災害時にはエネルギー供給の「最後の砦」となるため、備蓄の着実な実施や中核充填所の設備強化などの供給体制の強靭化を進めるとともに、供給構造の改善を通じてコストを抑制することで、利用形態の多様化を促進するとともに、LPガス自動車など運輸部門においてさらに役割を果たしていく必要がある。

(5)原子力
①位置付け
燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である。
②政策の方向性
原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。その方針の下で、我が国のエネルギー制約を考慮し、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から、必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する。
安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、独立した原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼動を進める
また、万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。
さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠
である。

(6)再生可能エネルギー
①位置付け
安定供給面、コスト面で様々な課題が存在するが、温室効果ガスを排出しない、国内で生産できる有望な国産エネルギー源である。
②政策の方向性
今後3年程度、再生可能エネルギーの導入を最大限加速していくとともに、系統強化、規制の合理化、低コスト化の研究開発などを着実に進める。
一方、各エネルギー源で特徴が異なることから、それぞれの特徴を踏まえ、経済性等とのバランスのとれた開発を進めていくことが必要である。

1)太陽光
個人を含めた需要家に近接したところで中小規模の発電を行うことも可能で、系統負担も抑えられる上に、非常用電源としても利用可能である。
一方、発電コストが高く、出力不安定性などの安定供給上の問題があることから、更なる技術革新が必要である。中長期的には、コスト低減が達成されることで、分散型エネルギーシステムにおける昼間のピーク需要を補い、消費者参加型のエネルギーマネジメントの実現等に貢献するエネルギー源としての位置付けも踏まえた導入が進むことが期待される。

2)風力
大規模に開発できれば発電コストが火力並であることから、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源である。
ただし、需要規模が大きい電力管内には十分な調整力がある一方で、北海道や東北北部の風力適地では、必ずしも十分な調整力がないことから、系統の整備、広域的な運用による調整力の確保、蓄電池の活用等が必要となる。こうした経済性も勘案して、利用を進めていく必要がある。

3)地熱
世界第3位の地熱資源量を誇る我が国では、発電コストも低く、安定的に発電を行うことが可能なベース電源を担うエネルギー源となりうる。
また、発電後の熱水利用など、エネルギーの多段階利用も期待される。
一方、開発には時間とコストがかかるため、投資リスクの軽減、送配電網の整備、円滑に導入するための地域と共生した開発が必要となるなど、中長期的な視点を踏まえて持続可能な開発を進めていくことが必要である。

4)水力
発電量の調整が容易で、コストも低い水力は、渇水の問題を除き、安定的なエネルギー源としての役割を果たしている。
一方、国内には大規模出力を確保できる開発候補地を見つけることが困難であるため、既開発地点の更新や有効利用が重要となる。新たな未開発地点が残る中小水力について、高コスト構造や水利権の調整等の課題を踏まえつつ、地域の分散型エネルギー需給構造の基礎を担うエネルギー源としても活用していくことが期待される。

5)バイオマス(バイオ燃料を含む)
材料や形態が様々であり、コスト等の課題を抱えることから、規模のメリットの追求と、そのための原材料の安定供給の確保や、既存の利用形態との競合の調整等を踏まえ、分散型エネルギーシステムの中の位置付けも含めて、導入の拡大を図っていくことが期待される。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続する。



 原発への入れ込みと比べ、再生可能エネルギーに関して、なんと文章が簡素なことか・・・・・・。

 もちろん、原発を擁護する理屈として、前段では、石油など燃料確保の脆弱性、二酸化炭素による温暖化、そして経済性の要因を、くどい位に並べている。

第1章 我が国のエネルギー需給構造が抱える課題

第1節 我が国が抱える構造的課題

1.海外の資源に大きく依存することによるエネルギー供給体制の根本的な脆弱性

我が国は、国民生活や産業活動の高度化、産業構造のサービス化を進めていく中で、1973年の第一次石油ショック後も様々な省エネルギーの努力などを通じてエネルギー消費の抑制を図り、1973年に比べて最終エネルギー消費を2012年に1.3倍の増加に留めた。
我が国では現状、ほとんどのエネルギー源を海外からの輸入に頼っているため、海外においてエネルギー供給上の何らかの問題が発生した場合、我が国が自律的に資源を確保することが難しいという根本的な脆弱性を有している。
こうした脆弱性は、エネルギー消費を抑制するだけで解決されるものではないことから、我が国は中核的エネルギー源である石油の代替を進め、リスクを分散するとともに、国産エネルギー源を確保すべく努力を重ねてきた。
その結果、2010年において、原子力を含むエネルギー自給率は19.9%にまで改善されたが、なお、根本的な脆弱性を抱えた構造となっている



2.人口減少、技術革新等による中長期的なエネルギー需要構造の変化

我が国の人口は減少に向かい、2050年には9,707万人になると予想されている(社会保障・人口問題研究所)。こうした人口要因は、エネルギー需要を低減させる方向に働くことになる
例えば、自動車の燃費や、家電の省エネ水準が向上しているほか、製造業のエネルギー原単位も減少傾向にあるなど、我が国の産業界の努力により、着実に省エネルギー化が進んでいる。
また、電気や水素などを動力源とする次世代自動車や、ガス等を効率的に利用するコージェネレーションの導入などによるエネルギー源の利用用途の拡大なども需要構造に大きな変化をもたらすようになっている。
こうした人口減少や技術革新等を背景とした我が国のエネルギー需要構造の変化は、今後とも続くものと見込まれ、このような変化にどう対応していくかが課題となっている。


3.新興国のエネルギー需要拡大等による資源価格の不安定化

世界に目を転じると、エネルギーの需要の中心は、先進国から新興国に移ってきている。世界のエネルギー需要は、2030年には2010年の1.3倍に増加すると見込まれているが、需要増加の9割は非OECD諸国のエネルギー需要の増加によるものである。
エネルギー需要を拡大する中国やインドといった国々は、国営企業による資源開発・調達を積極化させており、新興国の企業群も交えて激しい資源の争奪戦が世界各地で繰り広げられるようになっている。
こうした資源獲得競争の激化や地域における紛争、さらには経済状況の変化による需要動向の変動が、これまで以上に資源価格の乱高下を発生させやすい状況を生み出している。中国の海外からの原油調達が急増し始める2004年以降、30ドル/バレル前後であった原油価格(WTI)は2008年夏には瞬間的に147ドル/バレルを超えるまでに急騰した。その直後に発生したリーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに深刻化した金融危機により、欧米を中心に需要見通しが大きく落ち込んだ結果、原油価格は40ドル/バレルを割り込むまでに落ち込んだが、現在は再び上昇し、100ドル/バレルを超える水準となっている。今後も、中東地域における政治・社会情勢や欧米、中国等の経済状況によって、原油価格に大きな変動が生じる状況が続いていくものと考えられる。


4.世界の温室効果ガス排出量の増大

新興国の旺盛なエネルギー需要は、温室効果ガスの排出状況の様相も一変させるに至っている。世界の二酸化炭素排出量は、約227億トン(1997年)から約300億トン(2010年)に増加した。
現在、新興国が二酸化炭素排出量増加の大宗を占めており、世界全体の排出量全体に占める先進国(米・EU・日)の排出量の割合は、約5割から約3割に低下し、先進国と新興国の排出量の割合が逆転した。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界全体のエネルギー起源二酸化炭素の排出量は、2035年までに、さらに20%増加すると予測されている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書によると、人類の活動による影響が20世紀半ば以降に観測された地球温暖化の最も有力な要因であった可能性が極めて高いとされており、地上の世界平均気温が上昇するにつれて、今世紀末までに極端な降水がより頻繁となる可能性が高いことが報告されている。
地球温暖化問題について、もはや、一国主義的な考え方に基づいて、先進国を中心にエネルギー需要や利用の在り方を工夫するだけでは対処することができない状況となっている



第2節 東京電力福島第一原子力発電所事故及びその前後から顕在化してきた課題

1.東京電力福島第一原子力発電所事故による深刻な被害と原子力発電の安全性に対する懸念

東日本大震災とそれによる巨大津波は、被災地域に甚大な損害をもたらすとともに、全電源を喪失して原子炉冷却機能を失った東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故を引き起こし、周辺地域の住民が避難生活を余儀なくされる事態となり、未だに約14万人(2013年12月16日現在)の避難住民が帰還できない状況が続いている。
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けては、長い時間をかけた取組が必要であるが、福島再生に向けて、汚染水処理対策、燃料デブリの取り出しなど、多くの困難が伴う取組を少しでも早く進めていかなければならない。
東京電力福島第一原子力発電所の事故は、エネルギー分野におけるシビア・アクシデントへの対応策が欠如していたことを露呈した。いわゆる「安全神話」に陥ってしまったことや、被災者の皆様を始めとする国民の皆様に多大なご苦労をおかけしていることを、政府及び事業者は深く反省しなければならない。
事故の結果、原子力発電所の安全性に対して、国民から重大な懸念が示され、原子力発電所は全国で次々と停止されることとなった。


2.化石燃料への依存の増大とそれによる国富流出、供給不安の拡大

原子力発電所が停止した結果、2012年時点におけるエネルギー自給率は6.0%まで落ち込み、国際的に見ても自給率の非常に低い脆弱なエネルギー供給構造を抱える状況となっている。原子力を代替するために石油、天然ガスの海外からの輸入が拡大することとなり、電源として化石燃料に依存する割合が震災前の6割から9割に急増した。日本の貿易収支は、化石燃料の輸入増加の影響等から、2011年に31年ぶりに赤字に転落し、エネルギー分野に留まらず、マクロ経済上の問題となっている
現在、原子力発電の停止分の発電電力量を火力発電の焚き増しにより代替していると推計すると、2013年度に海外に流出する輸入燃料費は、東日本大震災前並(2008年度~2010年度の平均)にベース電源として原子力を利用した場合と比べ、約3.6兆円増加すると試算される。
海外からの化石燃料への依存の増大は、資源供給国の偏りというもう一つの問題も深刻化させている。現在、原油の83%、LNGの29%を中東地域に依存しており(2012年)、中東地域が不安定化すると、日本のエネルギー供給構造は直接かつ甚大な影響を受ける可能性がある
石油の場合、第一次石油ショック後から整備してきた備蓄制度によって、需要の189日分(2013年9月末時点)の備蓄が確保されており、供給途絶に至る事態が発生した場合でも、輸入が再開されるまでの国内供給を支えることが一定程度可能である。他方、天然ガスについては、供給源が多角化しているものの、発電用燃料として急速に利用が拡大しているため、主要な供給地において供給途絶に至るような事態が発生した場合には、電力供給体制に深刻な影響を及ぼす可能性があり、そうした事態に陥らないよう、北米からのLNG供給を含む供給源の更なる多角化を迅速に進める必要に迫られている。


3.電源構成の変化による電気料金上昇とエネルギーコストの国際的地域間格差によるマクロ経済・産業への影響

(1)電気料金の上昇とその影響
6電力会社が既に規制部門の電気料金について6.2~9.8%の値上げなどの改定を行っているが、実際には、高騰する燃料価格等により、全国で標準世帯のモデル料金が2割程度上昇している。
さらに、2012年7月から始まった固定価格買取制度により、再生可能エネルギー供給のための設備投資が加速し始め、非住宅向け太陽光を中心とした導入が急増している。2013年7月末までに設備認定を受けた発電容量の17%程度が運転を開始したが、電気利用者への負担は、太陽光発電の余剰電力買取制度によるものも含めると、現在、賦課金がkWh当たり0.40円であり(国全体で3,500億円)、標準家庭モデルで月に120円ほどとなっている。固定価格買取制度に基づいて導入される再生可能エネルギーは、今後増加していくと考えられ、電気利用者の負担の上昇要因となっていくと考えられる。
電気料金の上昇は、電力を大量に消費する産業や中小企業の企業収益を圧迫し、人員削減、国内事業の採算性悪化による海外への生産移転、廃業等の悪影響が生じ始めている。
マクロ経済に対する影響について、2011年12月に内閣府が「日本経済2011−2012」の中で、原子力発電を火力発電ですべて置き換えた場合、電力業に生じる生産性が10%程度低下すると見込まれる(すなわち発電コストが上昇する)ことから、実質GDPは0.39~0.60%程度減少するという試算を示しており、エネルギー構造の変化が経済成長にも悪影響を及ぼすことが懸念されている。

(2)エネルギーコストの国際的地域間格差の拡大とその影響
北米で始まったシェール革命は、天然ガスを始めとして国際的な地域間におけるエネルギー価格に大きな格差を生じさせはじめており、このことが、各国の産業構造に対して大きな影響を与える可能性がある。
IEAのWorld Energy Outlook 2013では、米国内の天然ガス価格は欧州の3分の1、日本の5分の1となっており(2013年10月時点)、この地域間のエネルギー価格差が継続した場合、世界で産業部門のエネルギー使用量の7割を占めるエネルギー集約型産業(化学、アルミ、セメント、鉄鋼、製紙、ガラス、石油精製)については、日、米、EUを比べた場合、米国のみが拡大し、日、EU合わせて現在の輸出シェアの3分の1を失うとの試算を示している。このように、エネルギーコストの国際的な地域間格差が、エネルギー分野に留まらず、石油化学産業等も含め、産業の活動に大きな変化をもたらし、経済成長や産業構造に大きな影響を与える可能性がある。

4.我が国の温室効果ガス排出量の急増

化石燃料依存の増大は、コスト面だけでなく、地球温暖化問題への対応についても困難をもたらしている。現在、エネルギー起源の温室効果ガスの排出は、発電部門を中心に増加に転じている。2010年度の二酸化炭素排出量と比べて、2012年度の一般電気事業者以外の排出量が29百万トン減少しているにも関わらず、一般電気事業者の排出量が112百万トン増加した結果、全体として二酸化炭素排出量は83百万トンの大幅な増加となった
こうした変化は、企業活動のライフサイクルアセスメントに悪影響を及ぼし、企業の海外移転の加速につながる。



 前段は、すべからく原発を再稼動させるための作文。

 
赤字にした部分などは、まったく出来の悪い作文としか言えない。最高学府を卒業したであろう官僚も、筋の通らないことを表現しようとすると、こういう駄文を書くことになる、という好例と言えるだろう。

 あらためて引用する。

“東京電力福島第一原子力発電所の事故は、エネルギー分野におけるシビア・アクシデントへの対応策が欠如していたことを露呈した。いわゆる「安全神話」に陥ってしまったことや、被災者の皆様を始めとする国民の皆様に多大なご苦労をおかけしていることを、政府及び事業者は深く反省しなければならない。
事故の結果、原子力発電所の安全性に対して、国民から重大な懸念が示され、原子力発電所は全国で次々と停止されることとなった”


 “深く反省”すれば、それだけでいいのか。原発が全国で次々と停止した、という事実を挙げて終わっているこの駄文は、いったい何を言いたいのか・・・・・・。

 なぜ停止せざるを得なかったのか、それが問題だろう。

 そして、次の部分が重要。

“万が一事故が起きた場合に被害が大きくなるリスクを認識し、事故への備えを拡充しておくことが必要である。さらに、原子力利用に伴い確実に発生する使用済核燃料は、世界共通の悩みであり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を着実に進めることが不可欠”

 この指摘は、その通り。問題は、この重要な課題への解答がない以上、原発再稼動はありえない、ということ。

 “原子力規制委員会によって世界で最も厳しい水準の新規制基準” といった文章には、あらためて「安全神話」をつくろうとする意図がミエミエである。

 分科会は、原発推進官僚の作文を追認しただけと言えるだろうし、“原子力ムラ”メンバーによって3.11以降のエネルギー基本計画を立案するなど、茶番にすぎない。

 「美浜の会」のサイトには、この計画に対する反対のチラシが掲載されていて、次のように非難している。

(チラシのタイトル)
“原子力ムラ”による「エネルギー基本計画」立案など、まったくの茶番だ!_e0337865_16400286.jpg

「美浜の会」サイトのPDF

“原子力政策の具体的施策の方向性の1 番目に福島の再生・復興に向けた取組を上げ、「政府の最優先課題として廃炉・汚染水対策、原子力賠償、除染・中間貯蔵事業など、福島の再生・復興に全力で取り組んで行かなければならない」。「事業者任せにするのではなく、国が前面に立つ必要がある」と述べている。しかし現実は全く逆である。国は多額の税金を投入して東電を救済し、被災者は切り捨て、被ばく線量が下がっていないのに早期帰還を強要している。汚染水は今も漏れ続けているが、なんら具体的な対策も取れていない”


まったくその通りである。

 この件について、一部の新聞は12月には社説などで反対の意見を表明していたが、年が明けてからダンマリである。朝日の今日の社説などはIPCCのレポートを無批判に支持し地球温暖化のことを取り上げているが、“原子力ムラ”に塩を送っているようなものだ。

 このまま「閣議決定」で「エネルギー基本計画」が了承されようとしている。こんな乱暴なことはない。

 「そんなこと言ったって、もう決まりでしょう。無駄な抵抗じゃないの!?」という声も聞こえる。

 しかし、フクシマを経験した国が、原発を「ベース電源」とし、原子力規制委員会が認可したら「再稼動」もあり、なんて計画を国民としてだまっていられますか!
# by koubeinokogoto | 2014-01-09 00:12 | 原発はいらない | Comments(0)
安倍晋三という男は、“グローバル”という言葉が好きなようで頻繁に使うが、その“グローバル”な視点から言っても、昨日の彼の靖国参拝は、まったくの間違った行動である。

 今年の“昭和の日”に書いた内容と重複するが、なぜ靖国参拝が“グローバル”視点で間違いかを再度記したい。
2013年4月29日のブログ

安倍の靖国参拝は、“グローバル”な視点からまったくの間違い!_e0337865_16400937.jpg

東郷和彦著『歴史認識を問い直す-靖国、慰安婦、領土問題』(角川ワンテーマ21)

 東郷和彦著『歴史認識を問い直す-靖国、慰安婦、領土問題』(角川ワンテーマ21、2013年4月10日初版発行)から、中国の靖国に関する考え方、いわゆる「周恩来テーゼ」について記されている部分を紹介。

 日本人一般がこのテーゼを一番初めに広く耳にしたのは、1972年9月25日、日中国交正常化の調印のために田中角栄首相一行が北京についた夜の歓迎夕食会で行われた周演説のようである。
「1894年から半生記にわたり、日本の軍国主義者による中国侵略によって、中国人民は重大な災害をうけ、日本国民もまた、大きな損害をうけました。
 先に起きたことを忘れず、後に起こることの手本とするという言葉がありますが、このような経験を我々はしっかりと覚えておかねばなりません。
 中国人民は、毛沢東主席の考えに従い、ごく少数の軍国主義者と日本国民を厳格に区別します」(『中国語ジャーナル』2002年9月・10月号)
 事柄の重要性にくらべ、この演説の存在はあまり知られていないようである。この夕食会で、田中首相が日中戦争に関して「迷惑をかけた」という表現を使ったことが中国側の不興を買い、翌日の公式会談で問題提起がなされる事態に大方の関心がいってしまったことによるかもしれない。
 しかしながら、この演説に出てきた考え方は、遡ること20年に及ぶことが解った。ノンフィクション作家の保阪正康氏が、2005年雑誌『現代』において、次のような指摘をしている。
「52年、中国ハルビンで日本のスケート選手を招待しようという計画が持ち上がった際、戦争で傷つけられた人たちの怒りが激しく、招待計画が中止になった事件が起きた。これを契機に周首相は、『こうした状態が続けば将来大変なことになると考え、そういう人たちに、日本人兵士もまたひとにぎりの軍事指導者に騙されていた犠牲者だと説得した』という」(『現代』「周恩来の『遺訓』を無視する首相の靖国参拝」2005年7月号、84~93ページ)
 (中略)
 結局中国の考え方は、①靖国神社には、日中人民の共通の敵である日本軍国主義者の代表たるA級戦犯が祀られている、②靖国神社に参拝するのは、A級戦犯に参拝することになる、③だから、靖国神社の参拝は許せないということになる



 中国政府が、周恩来テーゼを継承しているなら、現在の日本人に戦争責任を求めることはない。あくまで、過去の“軍国主義者”によって、日中両国の国民が犠牲になったのである。

 そして、この考え方をアメリカも追認していると考えてよいだろう。また、靖国に関しては韓国も同様の見解を持っていると察せられる。

 安倍政権が好きな言葉、“グローバル”な視点とは、地球的視野で未来志向で考えるということだとするなら、実はこういう中国側の、あの戦争への“けじめ”のつけ方にこそ“グローバル”という言葉があてはまるのではなかろうか。

 せっかく、「過去のことは水に流そう」と言ってくれているのに、安倍は「村山語録」を見直そうとしたり、憲法改正を言い出し、靖国参拝を強行する。

 せっかく“けじめ”をつけて前に進もうとするアジアの隣人にとって、安倍の態度や行動は、歴史を逆行させようとする行為としか映らない。中国や韓国から見れば、まさに安倍は軍国主義者日本の象徴なのである。

 そして、安倍の靖国参拝は外交面のみならず、経済活動においても影響している。せっかく素晴らしい日本の製品を中国や韓国の現場の人たちが評価し上申しても、最終的には発注に至らないケースが頻出している。経営者の忖度であったり中国政府筋からの明確な指示があるのだ。こういった産業面での悪影響があることを安倍政権の政治家や官僚はどこまで当事者として認識しているのだろうか。残念ながら経団連などの産業界の組織は、安倍の暴走を引き留める役割を果たしていない。

 安倍の周囲には靖国参拝を奨励したり是認する者しかいないのだろうか。そうだとしたら、彼等には“グローバル”などと言う言葉を軽々しく発言して欲しくない。安倍と彼を取り巻く連中は、永田町と霞が関という狭い地域にのみ生息する、まったく“ローカル”な“井の中の蛙”なのである。
# by koubeinokogoto | 2013-12-27 06:38 | 戦争反対 | Comments(2)
与党が除染や中間貯蔵施設の建設・管理に税金を投入するよう安倍に要請した。
「東京新聞」サイトの該当記事

除染に国費投入提言 与党の復興加速化本部
2013年11月11日 夕刊

 自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部は十一日、東京電力福島第一原発事故に伴う除染や、福島県内の廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設・管理への国費投入を柱とした第三次提言を安倍晋三首相に提出した。首相は「与党と廃炉や汚染水処理に取り組んでいきたい。(復興を)一歩進めていくための選択、判断基準を(被災者に)示していかないといけない」と述べた。

 政府は提言に沿い、除染費用は東電負担としてきたこれまでの政策を見直す方針だ。

 それぞれ本部長を務める大島理森(ただもり)・自民党前副総裁、井上義久公明党幹事長らが官邸で政府の復興施策に反映させるよう要請した。

 大島氏は、民法の規定で三年とされる原子力損害賠償の時効問題で、停止や延長措置を盛り込んだ関連法案を与党の議員立法で今国会に提出する考えを記者団に明らかにした。

 提言は、除染とインフラ整備を当面、帰還可能な地域で優先的に進める必要性を明記。福島第一原発の廃炉や汚染水対策の実施体制を明確にするため、東電の関係部門の分社化や独立行政法人化の検討を盛り込んだ。

 年間被ばく放射線量が五〇ミリシーベルト超の「帰還困難区域」に関し、除染しても何年間、帰還できないか明確にすべきだとも指摘。避難指示が六年を超える被災者への追加賠償について、年内に方向性を示すよう要請した。



 この要請に石原環境相が異議を唱える発言をしているようだが、それはともかく、ここでよく考えなければならないのは、「除染」するということは、除染後に「住む」ということを前提としているということだ。

 しかし、「住むことが可能」とする国の基準には大きな問題がある。

 与党の要請の中に、“年間被ばく放射線量が五〇ミリシーベルト超の「帰還困難区域」に関し、除染しても何年間、帰還できないか明確にすべき”とあるのを目にして、この人たちはチェルノブイリのことをどれだけ知っているのだろう、と思った。
 それとも、該当区域については、帰還をあきらめてもらうよう伝えるべきだ、というのなら少しは理解できるが、そうだとしたら、五〇ミリシーベルト以下の地域はいったいどうなのか・・・・・・。そもそも税金を使って除染をしたり貯蔵施設を作ることは緊急性の観点で優先度が高いのか、とも思う。

 私には、この要請をした与党議員の背後に、除染や中間貯蔵施設を建設する業者の影がちらついて見える。

 たしかに、被災者の方は、生まれ故郷に帰りたいだろう。しかし、それは「住める故郷」にである。五〇ミリシーベルトの地域が数十年、あるいは百数十年後には住めるようになります、と言われたとして、故郷を追われた人々は癒されることはない。未だに“避難”生活をして困窮している人々が“日常生活”を取り戻すことを支援するのが、国の緊急課題だろう。

 そもそも基準に問題がある。福島とチェルノブイリの避難基準を比較してみよう。

    福島の区分         年間放射線量     チェルノブイリの区分
 帰宅困難区域            50mSV以上     (強制避難区域)
 居住制限区域(一部帰宅可能) 20mSv~50mSv    (強制避難区域)
 避難指示解除準備区域       ~20mSv      (強制避難区域)
   (居住可能)              5mSv~     
移住の義務発生
   (居住可能)              3mSv~     18歳未満立入り禁止
   (居住可能)              1mSv~     移住の権利発生    
   (居住可能)              0.5mSv~    放射線管理ゾーン


 赤字が「立入り禁止」区域の基準である。

 チェルノブイリが5mSvに基準をおき、福島は20mSvに基準を置く。日本はチェルノブイリから何ら学んでいない。20mSv規準は、あくまで「経済性」優先の悪行なのである。

 民主党政権時代に設定したからと言って、安倍政権は国民の安全管理から責任を逃れられない。

 この基準についての議論は、今ではほとんど聞くことがない。しかし、食品の基準だって年間1mSv基準に変わったのだ。なぜ、年間20mSvで「安全」と言えるのだろうか・・・・・・。まず、この基準をもう一度改訂することが、除染や中間貯蔵施設をつくるより優先するはずだ。

 たとえば、現在10mSvの地域が除染の結果5mSvになっても、「本当に、住めるのか?」という疑問が、そこを故郷にする人々にだってあるはずだ。チェルノブイリの基準を知れば、大いに不安になるだろう。私は非常に危険だと思う。

 日本政府のソ連よりも4倍も甘い基準は詳しくは下記の通り。

避難指示解除準備区域
 20ミリシーベルト/年以下
 空間線量率が3.8マイクロシーベルト/時以下
居住制限区域
 20ミリシーベルト/年超 50ミリシーベルト/年以下
 空間線量率が3.8マイクロシーベルト/時超 9.5マイクロシーベルト/時以下
帰還困難区域
 50ミリシーベルト/年超
  空間線量率が9.5マイクロシーベルト/時超

 経産省のサイトから「避難指示区域の見直しについて」という資料をダウンロードできる。 
「避難指示区域の見直しについて」(PDF)
 この資料には、20mSvの基準の根拠などは一切記載されていない。

 除染に関しては、除染による汚物を川に放出することによる汚染水拡大が問題になっているし、除染業者そのものにも問題が多い。

 特に20mSvを超える地域に関しては、「除染して住めるようにしましょう」という言葉を、被災者自身が、空虚な実現性の低いものととして受け止めているように思う。

 とても数十年にわたって住める環境にはならないであろう地域を税金でせっせと除染するより、現在もっとも緊急を要するのは、毎日“記録”を更新している放射能汚染水対策のはずだ。
「時事ドットコム」の該当記事

71万ベクレルを検出=連日最高値、漏えいタンク周辺−福島第1

 東京電力は12日、福島第1原発で汚染水約300トンが漏れたタンク近くの観測井戸で10日に採取した地下水から、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり71万ベクレル検出されたと発表した。
 7日に採取した分の同42万ベクレルから4日連続で過去最高値を更新した。東電は「検出された値を見れば、漏れたタンクの汚染水の影響が考えられる」としている。(2013/11/12-11:44)



 安倍は与党の要請に答えて「廃炉や汚染水処理に取り組んでいきたい」と答えたようだが、とても真剣に汚染水対策に取り組んでいるようには思えない。もはや、今の東電は心身ともに“死に体”である。放っておけば被害は広がるばかりである。

 安倍政権は、まったく戦略的ではないのだ。戦略とは、「あれも、これも」ではなく「あれか、これか」なのである。

 今、重要なことは、あらためてチェルノブイリの教訓を生かして居住規準を5mSvに設定し直すことではなかろうか。それとも、ウクライナの人と日本人とでは放射能への耐性が違っていて日本人は放射能に強い、と政府は言いたいのだろうか・・・・・・。冗談じゃない。

 故郷を失った住民の方には住まいを含めて、しっかりとした生活ができるための補償をすべきであり、税金は除染よりも、まず被災者の方への支援を優先して使われるべきだと、私は思う。そして、政府や官僚、政治家は、あてにならない遠い未来における復帰、という当座しのぎの嘘をつくのをやめて、緊急性では優先順位が落ちる活動への税金投入を止めて、待ったなしの今そこにある危機や、国民の生きるための対策を優先すべきである。

 故郷を失った国民が新しい生活を踏み出すための支援をするのが、“国策”による被害者への政府の責務だ。そして、汚染水問題の解決が遅れることは、故郷を、そして自分たちの仕事場である豊漁の海を失う人が増え続けることにつながる。

 除染も中間貯蔵施設も重要である。問題は緊急性と拡大傾向として、放射能汚染水問題が最優先の課題であるということだ。非常に危険なレベルの放射能が検出されている。だからこそ、東電任せから国の直接関与により、世界中の知恵や人材や技術を動員しなくてはならないと思う。

 今でも、とめどなく放射能汚染水が地下をはい回り、海に流れ出ている。これは、地球規模の危機の拡大なのである。
# by koubeinokogoto | 2013-11-12 17:19 | 原発はいらない | Comments(0)

人間らしく生きることを阻害するものに反対します。


by 小言幸兵衛